(測量及び調査のための土地の立入り等)
第六十条 施行者となろうとする者若しくは組合を設立しようとする者又は施行者は、市街地再開発事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、みずから立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。ただし、組合を設立しようとする者又は組合にあつては、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けた場合に限る。
2 前項の規定は、次の各号に掲げる公告があつた日後、施行者が市街地再開発事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する建築物その他の工作物に立ち入つて測量又は調査を行なう必要がある場合について準用する。
一 組合が施行する市街地再開発事業にあつては、その設立についての認可の公告又は新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の認可の公告
二 地方公共団体が施行する市街地再開発事業にあつては、事業計画の決定の公告又は新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の公告
三 公団が施行する市街地再開発事業にあつては、施行規程及び事業計画の認可の公告又は新たな施行地区の編入に係る事業計画の変更の認可の公告
3 前二項の規定により他人の占有する土地又は工作物に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を当該土地又は工作物の占有者に通知しなければならない。
4 第一項の規定により建築物が存し、若しくはかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとするとき、又は第二項の規定により他人の占有する工作物に立ち入ろうとするときは、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地又は工作物の占有者に告げなければならない。
5 日出前及び日没後においては、土地又は工作物の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地又は工作物に立ち入つてはならない。
6 土地又は工作物の占有者は、正当な理由がない限り、第一項又は第二項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第六十一条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、施行者となろうとする者、組合を設立しようとする者若しくは施行者又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第六十二条 第六十条第一項又は第二項の規定により他人の占有する土地又は工作物に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書及び、組合を設立しようとする者又は組合にあつては、都道府県知事の許可証を携帯しなければならない。
2 前条の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都道府県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第六十三条 施行者となろうとする者若しくは組合を設立しようとする者又は施行者は、第六十条第一項若しくは第二項又は第六十一条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(測量のための標識の設置)
第六十四条 施行者となろうとする者若しくは組合を設立しようとする者又は施行者は、市街地再開発事業の施行の準備又は施行に必要な測量を行なうため必要があるときは、建設省令で定める標識を設けることができる。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(関係簿書の閲覧等)
第六十五条 施行者となろうとする者若しくは組合を設立しようとする者又は施行者は、市街地再開発事業の施行の準備又は施行のため必要があるときは、施行地区となるべき区域若しくは施行地区を管轄する登記所に対し、又はその他の官公署の長に対し、無償で必要な簿書の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
(建築行為等の制限)
第六十六条 第六十条第二項各号に掲げる公告があつた後は、施行地区内において、市街地再開発事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、その許可をしようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の許可をする場合において、市街地再開発事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 都道府県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者があるときは、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、市街地再開発事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 都道府県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事は、それらの者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
8 第六十条第二項各号に掲げる公告があつた後に、施行地区内において土地の形質の変更、建築物その他の工作物の新築、改築、増築若しくは大修繕又は物件の附加増置(以下この条において「土地の形質の変更等」と総称する。)がされたときは、当該土地の形質の変更等について都道府県知事の承認があつた場合を除き、当該土地、工作物又は物件に関する権利を有する者は、当該土地の形質の変更等が行なわれる前の土地、工作物又は物件の状況に基づいてのみ、次節の規定による施行者に対する権利を主張することができる。
9 前項の承認の申請があつたときは、都道府県知事は、あらかじめ、施行者の意見をきいて、当該土地の形質の変更等が災害の防止その他やむを得ない理由に基づき必要があると認められる場合に限り、その承認をするものとする。
10 第一項の許可があつたときは、当該許可に係る土地の形質の変更等について第八項の承認があつたものとみなす。
(市街地再開発事業の施行についての周知措置)
第六十七条 第六十条第二項各号に掲げる公告があつたときは、施行者は、すみやかに、建設省令で定めるところにより、関係権利者に当該市街地再開発事業の概要を周知させるため必要な措置を講ずることにより、市街地再開発事業の施行についてその協力が得られるように努めなければならない。
(土地調書及び物件調書)
第六十八条 第六十条第二項各号に掲げる公告があつた後、施行者は、土地調書及び物件調書を作成しなければならない。
2 土地収用法第三十六条第二項から第六項まで及び第三十七条から第三十八条までの規定は、前項の土地調書及び物件調書について準用する。この場合において、同法第三十七条第一項及び第二項中「前条第一項」とあるのは「都市再開発法第六十八条第一項」と、「収用し、又は使用しようとする土地」とあるのは「施行地区内の各個の土地」と、第三十七条の二中「第三十六条第一項」とあるのは「都市再開発法第六十八条第一項」と、「第三十五条第一項」とあるのは「同法第六十条第一項又は第二項」と、「同項の」とあるのは「これらの」と読み替えるものとする。
3 土地調書又は物件調書の記載について関係権利者のすべてに異議がないときは、前項において準用する土地収用法第三十六条の規定による立会いは、省略することができる。
(土地の使用)
第六十九条 地方公共団体又は公団は、施行地区内の土地に在する建築物に居住する者で施設建築物に入居することとなるものを一時収容するため必要な施設その他市街地再開発事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な施行地区外の土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
2 前項の規定による使用に関しては、土地収用法の規定を適用する。