八郎潟新農村建設事業団法
法令番号: 法律第八十七号
公布年月日: 昭和40年5月27日
法令の形式: 法律
八郎潟新農村建設事業団法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十年五月二十七日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第八十七号
八郎潟新農村建設事業団法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
役員及び職員(第八条―第十八条)
第三章
業務(第十九条―第二十八条)
第四章
財務及び会計(第二十九条―第四十条)
第五章
監督(第四十一条・第四十二条)
第六章
雑則(第四十三条―第五十条)
第七章
罰則(第五十一条―第五十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 八郎潟新農村建設事業団は、国営八郎潟干拓事業により生ずる土地につき総合的かつ計画的に農地等の整備、農村施設の造成等の事業を行なうことにより、当該土地に係る区域に模範的な新農村を建設することを目的とする。
(法人格)
第二条 八郎潟新農村建設事業団(以下「事業団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 事業団は、主たる事務所を秋田市に置く。
2 事業団は、農林大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第四条 事業団の資本金は、二億円とし、政府がその全額を出資する。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団に追加して出資することができる。
3 事業団は、前項の規定による政府の出資があつたときは、その出資額により資本金を増額するものとする。
(登記)
第五条 事業団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 事業団でない者は、八郎潟新農村建設事業団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、事業団について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第八条 事業団に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第九条 理事長は、事業団を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、事業団の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は農林大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十条 理事長及び監事は、農林大臣が任命する。
2 理事は、農林大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第十一条 役員の任期は、三年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十二条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であつて事業団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十三条 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 農林大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十四条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十五条 事業団と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。
(代理人の選任)
第十六条 理事長は、理事又は事業団の職員のうちから、事業団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十七条 事業団の職員は、理事長が任命する。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十八条 事業団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務の範囲)
第十九条 事業団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 秋田県南秋田郡大潟村(以下「大潟村」という。)の区域内における農地、宅地その他の用に供する土地の整備を行なうこと。
二 大潟村の区域内における次に掲げる施設の造成(当該施設と一体的に使用される施設の造成で大潟村に隣接する市町村の区域内におけるものを含む。)を行なうこと。
イ 公用又は公共用に供する施設及び住民の共同の福祉のため必要な政令で定める施設(ロに掲げるものを除く。)
ロ 農業に係る共同利用施設及び農業者のための集団的な住宅
三 次に掲げる土地又は施設についての災害復旧を行なうこと。
イ 第一号の業務を行なうことにより整備された土地
ロ 前号の業務を行なうことにより造成された施設で事業団の所有に係るもの
四 前二号の業務を行なうことにより造成された施設の譲渡し及び当該施設のうち第二号ロに掲げるものの貸付けその他の管理を行なうこと。
五 第二号に掲げる施設の用に供する土地その他の土地で第四十三条第二項の規定により取得したものの譲渡しを行なうこと。
六 大潟村の区域内における農業者の農業の用に供する機械器具の譲渡し及び貸付けを行なうこと。
七 前各号の業務に附帯する業務を行なうこと。
2 事業団は、前項の業務のほか、国又は地方公共団体からの委託を受けて次の業務を行なうことができる。
一 農業に関する技術及び知識の普及指導を行なうこと。
二 前項第一号から第三号までの業務として行なう工事と密接な関連を有する工事を行なうこと。
三 大潟村又はこれに隣接する市町村の区域内にある土地改良財産(土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第九十四条の土地改良財産をいう。)の管理を行なうこと。
(基本計画)
第二十条 農林大臣(前条第一項第二号イに掲げる施設の造成、災害復旧、譲渡しその他の業務に関する事項については、農林大臣及び自治大臣。以下この条から第二十二条まで、第三十条、第四十一条、第四十二条、第四十八条及び第五十二条において同じ。)は、事業団の成立後遅滞なく、前条第一項第一号及び第二号の業務につき、基本計画を定め、これを事業団に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の基本計画には、次の事項を記載しなければならない。
一 新農村の建設に関する基本方針
二 工事計画に関する事項
三 所要事業費に関する事項
四 その他新農村の建設に関する重要事項で政令で定めるもの
3 農林大臣は、第一項の基本計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、秋田県知事及び大潟村の村長(大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律(昭和三十九年法律第百六号)第四条第一項の規定により秋田県知事が定めた同村の長の職務を行なう者を含む。次条第三項において同じ。)の意見をきかなければならない。
(事業実施計画)
第二十一条 事業団は、第十九条第一項第一号から第三号までの業務を行なおうとするときは、政令で定めるところにより、事業実施計画を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 第十九条第一項第一号及び第二号の業務についての前項の事業実施計画の作成及び変更は、前条第一項の基本計画に基づいてしなければならない。
3 事業団は、第一項の事業実施計画を作成し、又はこれを変更しようとするときは、秋田県知事及び大潟村の村長に協議しなければならない。
(業務方法書)
第二十二条 事業団は、第十九条第一項第四号から第六号までの業務の開始の際、業務方法書を作成し、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、政令で定める。
(賦課金)
第二十三条 事業団は、政令で定めるところにより、第十九条第一項第一号の業務として行なう土地の整備によつて利益を受ける者でその整備に係る土地の所有権を土地改良法第九十四条の八第四項の規定により取得したものその他農林大臣の指定するものに対し、その者の受ける利益を限度として、当該業務に要する費用の全部又は一部を賦課徴収することができる。
2 前項に規定する者が同項の土地の全部又は一部をその地区に含む土地改良区の組合員である場合には、事業団は、その者に対する同項の規定による賦課徴収に代えて、その土地改良区に対し、当該賦課金の額に相当する額の金銭を賦課徴収することができる。
3 前二項の規定による賦課徴収の処分を受けた者は、その処分について不服があるときは、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による異義申立てをすることができる。
(強制徴収)
第二十四条 事業団は、前条第一項又は第二項の規定による賦課金の納付義務者がその納期限までにその賦課金を納付しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 事業団は、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 事業団は、第一項の規定による督促を受けた賦課金の納付義務者がその指定の期限までにその賦課金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、農林大臣の認可を受けて、国税の滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
5 事業団は、第一項の規定により督促をしたときは、同項の賦課金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収する。ただし、農林省令で定める場合は、この限りでない。
6 前条第三項の規定は、第一項、第三項又は前項の規定による処分について準用する。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第二十五条 第二十三条第二項の規定による賦課金については、これを土地改良区の事業に要する経費とみなして、土地改良法第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条(賦課金等の徴収の委任)並びに第三十九条(賦課金等の徴収)の規定を準用する。
(譲渡しの対価等)
第二十六条 事業団は、第十九条第一項第四号から第六号までの規定による譲渡しを行なおうとするときは、政令で定める基準に従い、当該譲渡しに係る土地、施設及び機械器具の対価並びにその支払方法を定めなければならない。
(土地の譲渡し)
第二十七条 事業団は、第十九条第一項第五号の規定による土地の譲渡しを行なおうとするときは、政令で定めるところにより、農林大臣の認可を受けて土地譲渡計画を定め、これに基づき、譲り渡そうとする土地の所在、予定譲渡口数及び予定譲渡面積を公告しなければならない。
2 前項の規定による公告に係る土地を譲り受けようとする者は、農林省令で定めるところにより、譲受申込書を事業団に提出しなければならない。
3 事業団は、政令で定めるところにより、前項の譲受申込書を提出した者のうちから公告に係る土地を譲り渡すことが適当と認められる者を選定し、その者に当該土地を譲り渡さなければならない。
4 前項の規定による土地の譲渡しについては、その譲渡しの契約において、政令で定めるところにより、当該契約に係る土地の用途並びに当該土地の譲受人又はその一般承継人が、その土地を譲り受けた日から起算して八年を経過しない間に、その土地の全部若しくは一部を当該用途以外の用途に供した場合又はその土地の全部若しくは一部を当該用途以外の用途に供するため、その所有権を移転し、若しくはこれにつき地上権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を設定した場合における納付金に関する事項を定めなければならない。
5 事業団は、前項の納付金を徴収したときは、これを国に納付しなければならない。
(賦課金等の徴収の委任)
第二十八条 事業団は、政令で定めるところにより、第二十三条第一項又は第二項の規定による賦課金及び第二十六条の規定により定められた対価の徴収を地方公共団体に委任することができる。
第四章 財務及び会計
(事業年度)
第二十九条 事業団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第三十条 事業団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、農林大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十一条 事業団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に農林大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 事業団は、前項の規定により財務諸表を農林大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十二条 事業団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 事業団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び八郎潟新農村建設債券)
第三十三条 事業団は、農林大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は八郎潟新農村建設債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、農林大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、事業団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 事業団は、農林大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(政府の保証)
第三十四条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、事業団の長期借入金又は債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について保証することができる。
(償還計画)
第三十五条 事業団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画をたてて、農林大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第三十六条 地方公共団体は、自治大臣の承認を受けて、事業団に対し、第十九条第一項の業務に要する経費の一部を補助することができる。
(余裕金の運用)
第三十七条 事業団は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他農林大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行、農林中央金庫その他農林大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
(財産の処分等の制限)
第三十八条 事業団は、農林省令で定める重要な財産を譲り渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、農林大臣の認可を受けなければならない。ただし、第十九条第一項第四号から第六号までの規定による譲渡しを行なおうとするときは、この限りでない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第三十九条 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、農林大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(農林省令への委任)
第四十条 この法律に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、農林省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第四十一条 事業団は、農林大臣が監督する。
2 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十二条 農林大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に事業団の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合においては、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第六章 雑則
(事業団に対する干拓予定地の配分)
第四十三条 農林大臣は、事業団の意見をきき、国営八郎潟干拓事業(この法律の施行の際現に国が八郎潟において土地改良法第八十七条の二第一項の規定により行なつている同項第二号の事業をいう。以下同じ。)により造成されるべき干拓地(以下「干拓予定地」という。)のうち第十九条第一項第二号に掲げる施設の用に供する土地その他事業団に配分することを相当と認めるものを選定し、同法第九十四条の八第一項の規定による公告前に、当該選定に係る干拓予定地を事業団に配分するため、次に掲げる事項を記載した配分通知書を事業団に交付することができる。
一 配分する干拓予定地の所在の場所及び面積
二 土地の用途
三 配分の条件
四 その他農林省令で定める事項
2 前項の規定による配分通知書の交付があつた場合には、事業団は、国営八郎潟干拓事業の完了の期日において、当該配分通知書に記載された場所の干拓予定地につき造成される干拓地の所有権を取得する。この場合において、当該干拓地につき国の所有権が存するときは、当該完了の期日において、その国の所有権は、消滅する。
3 前項の完了の期日は、国営八郎潟干拓事業について公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第四十二条第二項の規定により農林大臣が竣功の通知をする日とする。
4 国営八郎潟干拓事業の施行に係る地域を数区に分けた場合におけるそのおのおのの区に係る土地改良事業については、これをそれぞれ国営八郎潟干拓事業とみなして、前三項の規定を適用する。
(配分に係る干拓予定地についての負担金)
第四十四条 国は、政令で定めるところにより、事業団に、国営八郎潟干拓事業に要する費用のうち前条第二項の規定により事業団が所有権を取得した干拓地に係る部分の一部を負担させることができる。
(干拓予定地の一時使用)
第四十五条 農林大臣は、第四十三条第一項の配分通知書に記載された場所の干拓予定地その他事業団が第十九条の業務を行なうために必要とする干拓予定地を、農林大臣の定める条件で、事業団に使用させることができる。
2 前項の規定による干拓予定地の使用は、無償とする。
(土地改良法の特例)
第四十六条 国営八郎潟干拓事業についての土地改良法第九十四条の八の規定の適用については、同条第一項中「(以下「埋立予定地」という。)」とあるのは、「(以下「埋立予定地」という。)で八郎潟新農村建設事業団法(昭和四十年法律第八十七号)第四十三条第一項の規定による交付に係る配分通知書に記載された場所の干拓予定地以外のもの」とする。
(解散)
第四十七条 事業団の解散については、別に法律で定める。
(大蔵大臣との協議)
第四十八条 農林大臣は、次の場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第二十条第一項の基本計画を定め、又はこれを変更しようとするとき。
二 第二十二条第一項、第三十条、第三十三条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第三十五条又は第三十八条の規定による認可をしようとするとき。
三 第三十一条第一項又は第三十九条の規定による承認をしようとするとき。
四 第三十七条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
五 第四十条の規定により農林省令を定めようとするとき。
(他の法令の準用)
第四十九条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、事業団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
(不動産登記法の特例)
第五十条 事業団が譲り渡す土地及び建物の登記については、政令で不動産登記法の特例を定めることができる。
第七章 罰則
(罰則)
第五十一条 第四十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第五十二条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした事業団の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により農林大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の政令の規定に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十九条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第三十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十一条第二項の規定による農林大臣の命令に違反したとき。
第五十三条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九十日をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(事業団の設立)
第二条 農林大臣は、事業団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、事業団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 農林大臣は、設立委員を命じて、事業団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、事業団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、政府に対し、出資金の払込みの請求をしなければならない。
3 設立委員は、出資金の払込みがあつた日において、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第三項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 事業団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
第六条 この法律の施行の際現に八郎潟新農村建設事業団という名称を使用している者については、第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第七条 事業団の最初の事業年度は、第二十九条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十一年三月三十一日に終わるものとする。
第八条 事業団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第三十条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「事業団の成立後遅滞なく」とする。
(特定土地改良工事特別会計法の一部改正)
第九条 特定土地改良工事特別会計法(昭和三十二年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。
第三条中「貸付料」の下に「、八郎潟新農村建設事業団法(昭和四十年法律第八十七号)第二十七条第五項の規定による納付金、同法第四十四条の規定による負担金及びその利息」を加える。
第十一条の二の見出し中「特別徴収金」を「特別徴収金等」に改め、同条中「徴収金」の下に「及び八郎潟新農村建設事業団法第二十七条第五項の規定による納付金」を加える。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「金属鉱物探鉱促進事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加える。
(登録税法の一部改正)
第十一条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「畜産振興事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を、「畜産物の価格安定等に関する法律」の下に「、八郎潟新農村建設事業団法」を加え、同条第十八号中「雇用促進事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加え、同条第二十五号ノ二の次に次の一号を加える。
二十五ノ三 八郎潟新農村建設事業団ガ八郎潟新農村建設事業団法第十九条第一項第二号ノ業務トシテ造成シタル建物又ハ同法第四十三条第二項ノ規定ニ依リ取得シタル土地ノ所有権ノ保存ノ登記
(印紙税法の一部改正)
第十二条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第九号ノ五ノ四の次に次の一号を加える。
九ノ五ノ五 八郎潟新農村建設事業団ノ発スル証書、帳簿
(所得税法の一部改正)
第十三条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中農林漁業団体職員共済組合の項の次に次のように加える。
八郎潟新農村建設事業団
八郎潟新農村建設事業団法(昭和四十年法律第八十七号)
(法人税法の一部改正)
第十四条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中農林漁業金融公庫の項の次に次のように加える。
八郎潟新農村建設事業団
八郎潟新農村建設事業団法(昭和四十年法律第八十七号)
(地方税法の一部改正)
第十五条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「日本蚕繭事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加える。
第七十三条の四第一項第一号中「鉱害復旧事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加える。
第三百四十八条第二項第二号中「農地開発機械公団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加える。
(行政管理庁設置法の一部改正)
第十六条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「日本蚕繭事業団」の下に「、八郎潟新農村建設事業団」を加える。
(農林省設置法の一部改正)
第十七条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項第十五号中「及び水資源開発公団」を「、水資源開発公団及び八郎潟新農村建設事業団」に改める。
(自治省設置法の一部改正)
第十八条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十六号の三の次に次の一号を加える。
十六の四 八郎潟新農村建設事業団を監督すること。
第十条第九号の二の次に次の一号を加える。
九の三 八郎潟新農村建設事業団を監督すること。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 高橋等
大蔵大臣 田中角栄
農林大臣 赤城宗徳
自治大臣 吉武恵市