中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第27号
公布年月日: 昭和41年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

中小企業の経済的重要性に鑑み、工場・店舗の集団化等の構造高度化や設備近代化に必要な資金貸付制度を設けてきたが、さらなる充実が必要となっている。特に、工場・店舗の集団化は資金面で困難を伴うため、貸付条件の改善が求められる。また、小売商業の近代化推進のため、連鎖化事業への新たな資金助成も必要である。さらに、小規模企業者は既存の制度利用が困難なため、工場集団化や設備近代化を推進する物的貸与制度の新設が必要である。加えて、中小企業の自己資金蓄積を促すため、組合が構造改善事業のために積み立てる資金への税制優遇措置を講じることで、資金助成と税制優遇の両面から中小企業の構造高度化を推進しようとするものである。

参照した発言:
第51回国会 衆議院 商工委員会 第9号

審議経過

第51回国会

参議院
(昭和41年2月24日)
衆議院
(昭和41年3月1日)
参議院
(昭和41年3月8日)
衆議院
(昭和41年3月22日)
(昭和41年3月23日)
(昭和41年3月25日)
(昭和41年3月29日)
(昭和41年3月29日)
参議院
(昭和41年3月30日)
(昭和41年3月31日)
(昭和41年3月31日)
(昭和41年4月15日)
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十一年三月三十一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第二十七号
中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律
中小企業近代化資金助成法(昭和三十一年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
中小企業近代化資金等助成法
第一条中「貸付け」を「貸付け等」に、「行なうこと」を「行なうこと等」に改める。
第二条第二項中「次条各号」を「次条第一項各号」に改め、同条に次の一項を加える。
4 この法律において「中小企業構造改善事業」とは、事業協同組合その他の特別の法律によつて設立された組合又はその連合会であつて政令で定めるもの(以下「特定組合」という。)がその作成する一定の計画に基づいて行なう中小企業者の事業の共同化、工場及び店舗の集団化その他中小企業構造の高度化の促進に寄与すると認められる事業であつて、その組合員又は会員に対して経費を賦課し、当該賦課に基づいて納付された金額を費用の全部又は一部に充てて行なうものをいう。
第三条の見出し中「貸付事業」を「貸付事業等」に改め、同条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 事業協同組合若しくは事業協同小組合(これらの組合の組合員たる資格に係る事業が商業であるものに限る。)若しくはこれらの組合のみを会員とする協同組合連合会(以下「商業協同組合等」という。)若しくはこれらの組合員若しくは所属員、小売商業を営む中小商業者が他の中小商業者とともに資本の額若しくは出資の総額の大部分の出資をしている中小商業者たる会社又は小売商業を営む中小商業者が他の中小商業者とともに資本の額若しくは出資の総額の大部分の出資をして設立する会社(商業を営むものに限る。)が、当該商業協同組合等若しくは当該出資を受けている中小商業者たる会社が作成し、又は当該出資をしようとする者が共同して作成する小売商業連鎖化計画に基づいて倉庫その他の施設で当該計画の作成に直接又は間接に参加する小売商業を営む中小商業者の共通の利益の増進に寄与すると認められるものを設置する場合において、当該計画の内容が政令で定める基準に該当し、かつ、中小小売商業の近代化に著しく寄与するものであると認められるときには、当該施設の設置に必要な資金
第三条第四号中「含む。」の下に「以下同じ。」を加え、同号イ中「又は建物を建設する」を「建物を建設し、又は設備(組合員又は所属員たる中小企業者又は企業組合の事業の共同化に著しく寄与するものに限る。ロにおいて同じ。)を設置する」に改め、同号ロ中「又は建物を建設する」を「建物を建設し、又は設備を設置する」に改め、同条に次の一項を加える。
2 国は、小規模企業者(製造業を営む者であつて、常時使用する従業員の数が二十人以下のものをいう。以下同じ。)の工場の集団化を促進するとともに事業の共同化に資するため、都道府県が事業協同組合若しくは事業協同小組合(これらの組合の組合員たる資格に係る事業が製造業であり、かつ、その組合員の大部分が小規模企業者であるものに限る。)若しくはこれらの組合のみを会員とする協同組合連合会又はこれらの組合員若しくは所属員の事業の用に供する建物その他の施設を設置し、これらの者に対して当該施設を譲り渡し、又は貸し付ける事業(以下「中小企業共同工場貸与事業」という。)を行なう場合において、当該事業の内容が政令で定める基準に該当し、かつ、小規模企業の近代化に著しく寄与するものであると認められるときには、その都道府県に対し、予算の範囲内において、その事業に必要な資金の一部を貸し付けることができる。
第三条の二第一項中「中小企業者の設備であつて中小企業の近代化に著しく寄与すると認められるものの設置に充てられる資金(前条に規定するものを除く。)」を「次に掲げる資金」に改め、同項に次の各号を加える。
一 中小企業者の設備であつて中小企業の近代化に著しく寄与すると認められるものの設置に充てられる資金(前条第一項に規定するものを除く。)
二 民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人であつて、中小企業者の事業の用に供する設備で中小企業の近代化に著しく寄与すると認められるものを譲り渡し、又は貸し付ける事業(以下「中小企業設備貸与事業」という。)を行なうもの(以下「貸与機関」という。)が当該事業を行なうのに必要な資金
第五条の見出し中「償還期間」を「償還期間等」に改め、同条中「七年を」を「十年を」に、「九年」を「十二年」に改め、同条に次の一項を加える。
2 中小企業共同工場貸与事業により設置された建物その他の施設(以下「中小企業共同工場」という。)の譲渡の対価の支払期間又は貸付けの期間は、十三年をこえない範囲内で政令で定める期間とする。
第六条第一項中「、借主に対し」を「借主(貸与機関を除く。)に対し、中小企業共同工場の譲渡又は貸付けについては譲受人又は借主に対し」に改め、同条第二項中「借主」を「借主又は譲受人」に改める。
第七条の見出しを「(期限前償還等)」に改め、同条に次の一項を加える。
2 都道府県は、中小企業共同工場の譲渡又は貸付けをした場合において、譲受人又は借主が次の各号の一に該当するときは、当該譲渡の対価の支払期日前にその譲受人に対し当該中小企業共同工場の譲渡の対価の全部若しくは一部の支払を請求し、又はその契約を解除することができる。
一 中小企業共同工場をその譲渡又は貸付けの目的以外の目的に使用したとき。
二 譲渡の対価又は貸付料の支払を怠つたとき。
三 その他正当な理由がないのに譲渡又は貸付けの条件に違反したとき。
第八条の見出しを「(償還等の免除)」に攻め、同条第一号中「借主の責」を「借主(借主が貸与機関であるときは、貸与機関から設備の譲渡又は貸付けを受けた者)の責め」に改め、「設備」の下に「(借主が貸与機関であるときは、貸与機関が譲り渡し、又は貸し付けた設備)」を加え、同条第二号中「第三条第一号」を「第三条第一項第一号」に、「同条第三号の二」を「同項第三号の二若しくは第三号の三」に、「事業協同組合又は事業協同小組合」を「商業協同組合等」に改め、同条に次の一項を加える。
2 前項の規定は、中小企業共同工場の譲渡の対価又は貸付料に準用する。
第九条第一項中「借主」を「借主又は譲受人」に改め、「償還せず」の下に「、若しくは譲渡の対価若しくは貸付料を支払わず」を加え、「第七条第二号」を「第七条第一項第二号若しくは第二項第二号」に改め、同条第二項中「借主」を「借主又は譲受人」に、「第七条第一号又は第三号」を「第七条第一項第一号若しくは第三号又は第二項第一号若しくは第三号」に改め、「貸付けの日」の下に「又は中小企業共同工場の譲渡の日」を加え、「貸付金の金額」を「貸付金又は譲渡の対価の金額」に改める。
第十条第一項中「又は」を「、中小企業共同工場貸与事業又は」に、「行わなければ」を「行なわなければ」に改め、同条第二項中「第七条」を「第七条第一項」に改め、「及び前条の違約金」を削り、「及び附属雑収入」を「、中小企業共同工場の譲受人又は借主からの支払金(第七条第二項の規定による請求に係る支払金を含む。)、前条の違約金及び附属雑収入」に改め、「、貸付金」の下に「、中小企業共同工場貸与事業に要する費用」を加え、同条第三項中「貸付事業」の下に「又は中小企業共同工場貸与事業」を加える。
第十一条第二項を同条第三項とし、同条第一項中「国からの貸付金」の下に「(第三条第一項の規定によるものに限る。)」を加え、同項の次に次の一項を加える。
2 一の都道府県に対する国からの貸付金(第三条第二項の規定によるものに限る。)の額は、当該都道府県が行なう中小企業共同工場貸与事業に要する費用の財源として必要な資金の五分の二以内で、かつ、当該都道府県の一般会計から県の特別会計に繰り入れる金額と同額以内とする。
第十二条第一項中「貸付事業又は」を「貸付事業、中小企業共同工場貸与事業又は」に改め、同条第二項中「又は」を「、中小企業共同工場貸与事業又は」に、「行つて」を「行なつて」に改める。
第十四条中「都道府県への償還金」の下に「又は中小企業共同工場の譲受人若しくは借主からの支払金」を加え、同条の次に次の六条を加える。
(貸与機関)
第十五条 都道府県が国からの補助金を財源の一部として貸し付ける資金であつて第三条の二第一項第二号に掲げるもの(以下「設備貸与資金」という。)を貸し付けることができる貸与機関は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 その出資金額又は拠出された金額の全額が地方公共団体により出資又は拠出をされていること。
二 その中小企業設備貸与事業の業務の方法が通商産業省令で定める基準に従い定められていること。
三 中小企業設備貸与事業の運営に当たつては、特に小規模企業の近代化に重点を置くものであること。
四 中小企業設備貸与事業に係る設備の譲渡又は貸付けを受けた者の依頼に応じて当該設備の効率的な利用に資するため必要な指導を行なう事業をあわせて行なうものであること。
五 前各号に掲げるもののほか、通商産業省令で定める要件に適合すること。
第十六条 中小企業金融公庫は、中小企業金融公庫法(昭和二十八年法律第百三十八号)第十九条の規定にかかわらず、都道府県から設備貸与資金の貸付けを受けている貸与機関に対し、その行なう中小企業設備貸与事業に必要な長期資金を貸し付けることができる。
2 前項の規定による貸付けは、中小企業金融公庫法の適用については、同法第十九条の業務とみなす。
第十七条 都道府県から設備貸与資金の貸付けを受けている貸与機関が行なう中小企業設備貸与事業に係る設備の譲渡又は貸付けについては、割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)第二章の規定は、適用しない。
(中小企業構造改善事業計画の承認)
第十八条 特定組合は、中小企業構造改善事業を行なおうとするときは、中小企業構造改善事業計画(以下「構造改善計画」という。)を作成し、これを通商産業大臣及びその特定組合を所管する大臣(以下「主務大臣」と総称する。)に提出して、その構造改善計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 構造改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 中小企業構造改善事業の目的、内容及び実施時期
二 中小企業構造改善事業を実施するのに必要な資金の額及びその調達方法並びに組合員又は会員に対する経費の賦課の基準
三 前二号に掲げるもののほか、中小企業構造改善事業を実施するのに必要な事項であつて政令で定めるもの
3 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その構造改善計画の内容が政令で定める基準に該当し、かつ、中小企業の近代化に著しく寄与するものであると認めるときは、同項の承認をするものとする。
(中小企業構造改善事業計画の変更等)
第十九条 特定組合は、前条第一項の承認に係る構造改善計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、前条第一項の承認を受けた特定組合の当該承認に係る構造改善計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)の内容が同条第三項に規定する要件に適合しなくなつたと認めるとき、又は同条第一項の承認を受けた特定組合が当該承認に係る構造改善計画に従つて中小企業構造改善事業を実施していないと認めるときは、当該承認を取り消すことができる。
3 前条第三項の規定は、第一項の承認に準用する。
(課税の特例)
第二十条 第十八条第一項の承認を受けた特定組合が当該承認に係る構造改善計画に定める賦課の基準に基づいてその組合員又は会員に対して経費を賦課した湯合において、当該特定組合が当該賦課に基づいて納付された金額を中小企業構造改善準備金勘定に繰り入れたとき、又はその組合員若しくは会員が当該賦課に基づき納付すべき金額を納付したときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、当該特定組合又はその組合員若しくは会員に対する法人税又は所得税の課税について特別の措置を講ずる。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和四十一年四月一日から施行する。
(中小企業庁設置法の一部改正)
第二条 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号の二の二中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に改める。
(地方税法の一部改正)
第三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の十四第五項中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に、「第三条」を「第三条第一項」に、「又は」を「若しくは」に改め、「場合」の下に「又は同条第二項の規定による政府の助成に係る施設で政令で定めるものを地方公共団体から譲渡を受けた場合」を加え、「当該貸付けを受けた額」を「それぞれ当該貸付けを受けた額又は当該施設の設置のために地方公共団体が受けた政府からの貸付金の額の二倍に相当する額」に改める。
第七十三条の二十七の五第一項中「中小企業近代化資金助成法第三条第四号」を「中小企業近代化資金等助成法第三条第一項第四号」に、「同条第五号」を「同項第五号」に、「同条第四号」を「同項第四号」に改める。
(中小企業信用保険法の一部改正)
第四条 中小企業信用保険法(昭和二十五年法律第二百六十四号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項第六号中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に、「第三条第四号」を「第三条第一項第四号」に、「貸付けを受けたものを含む」を「貸付けを受けたもの及び中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第二十七号)による改正前の中小企業近代化資金助成法第三条第四号の事業協同組合等であつて、同号の規定に基づく資金の貸付けを受けたものを含む」に改める。
(租税特別措置法の一部改正)
第五条 租税特別措置法の一部を次のように改正する。
第四十三条第一項の表の第三号中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に、「第三条第三号の二」を「第三条第一項第三号の二」に改める。
第七十八条の二中「中小企業近代化資金助成法第三条第四号に」を「中小企業近代化資金等助成法第三条第一項第四号に」に、「中小企業近代化資金助成法第三条第四号イ」を「中小企業近代化資金等助成法第三条第一項第四号イ」に、「又は」を「若しくは」に改め、「造成したもの」の下に「又は同条第二項に規定する中小企業共同工場貸与事業により都道府県から譲渡を受けたもののうち政令で定めるもの」を加える。
(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部改正)
第六条 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)の一部を次のように改正する。
第十三条の見出しを「(中小企業近代化資金等助成法による貸付金等の償還期間等の特例)」に改め、同条中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に、「第三条」を「第三条第一項」に改め、「受けたもの」の下に「(同項第二号の貸与機関が同号に規定する設備を激甚災害を受けた者で政令で定めるものに対しその者が当該災害を受ける以前に譲り渡し、又は貸し付けた場合における当該設備の譲渡又は貸付けに充てるため貸付けを受けたものを含む。)」を加え、「同法第五条」を「同法第五条第一項」に改め、同条に次の一項を加える。
2 都道府県は、中小企業近代化資金等助成法第五条第二項の中小企業共同工場であつて、激甚災害を受けた者で政令で定めるものが当該災害を受ける以前に譲渡又は貸付けを受けたものについては、同項の規定にかかわらず、その譲渡の対価の支払期間又は貸付けの期間を二年をこえない範囲内において延長することができる。
(中小企業高度化資金融通特別会計法の一部改正)
第七条 中小企業高度化資金融通特別会計法(昭和三十八年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「中小企業近代化資金助成法」を「中小企業近代化資金等助成法」に、「第三条」を「第三条第一項」に改め、「貸付事業」の下に「又は同条第二項の規定による中小企業共同工場貸与事業」を加える。
内閣総理大臣 佐藤栄作
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 鈴木善幸
農林大臣 坂田英一
通商産業大臣 三木武夫
運輸大臣 中村寅太
建設大臣 瀬戸山三男
自治大臣 永山忠則