日本観光協会法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年三月二十四日
内閣総理大臣 岸信介
法律第三十九号
日本観光協会法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
会員(第八条―第十条)
第三章
役員(第十一条―第十九条)
第四章
運営委員会(第二十条―第二十三条)
第五章
業務等(第二十四条・第二十五条)
第六章
財務及び会計(第二十六条―第三十三条)
第七章
監督(第三十四条・第三十五条)
第八章
雑則(第三十六条・第三十七条)
第九章
罰則(第三十八条―第四十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 日本観光協会は、外国人観光旅客の来訪及び外国人観光旅客に対する接遇等の改善を促進することにより、国際観光事業の振興を図り、あわせて観光事業一般の健全な発達に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 日本観光協会(以下「協会」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 協会は、主たる事務所を東京都に置く。
2 協会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(定款)
第四条 協会は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 会員に関する事項
五 役員に関する事項
六 運営委員会及び運営委員に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 会計に関する事項
九 その他協会の業務に関する重要事項
2 定款の変更は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第五条 協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 協会でない者は、日本観光協会という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、協会に準用する。
第二章 会員
(資格)
第八条 次の各号に掲げる者は、協会の会員となることができる。
一 日本国有鉄道
二 地方公共団体
三 旅客を運送する運送事業を経営する者
四 ホテル業、旅館業又は旅行あつせん業を経営する者
五 前二号に掲げる者の団体
六 その他定款で定める者
(加入及び脱退)
第九条 協会は、会員たる資格を有する者が協会に加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒んではならない。
2 会員は、何時でも、協会を脱退することができる。
(会費の負担)
第十条 会員は、協会の会費を負担する。
第三章 役員
(役員)
第十一条 協会に、役員として、会長一人、副会長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十二条 会長は、協会を代表し、その業務を総理する。
2 副会長は、会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、会長の定めるところにより、会長及び副会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、協会の業務を監査する。
(役員の任命)
第十三条 会長、副会長及び監事は、運輸大臣が任命する。
2 理事は、運輸大臣の認可を受けて会長が任命する。
(役員の任期)
第十四条 会長、副会長及び理事の任期は三年とし、監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十六条 運輸大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、これを解任しなければならない。
2 運輸大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 会長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、運輸大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十八条 協会と会長との利益が相反する事項については、会長は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 会長は、協会の理事又は職員のうちから、従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第四章 運営委員会
(運営委員会)
第二十条 協会に、運営委員会を置く。
2 運営委員会は、三十人以内において定款で定める数の運営委員をもつて組織する。
3 運営委員は、定款で定めるところにより、会員が会員(会員が法人である場合には、その代表者又は代理人)のうちから選挙する。
4 委員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。
(権限)
第二十一条 次の事項は、運営委員会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 会費の額及び徴収の方法
三 その他定款で定める事項
2 運営委員会は、前項に規定するもののほか、会長の諮問に応じ、協会の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。
(議長)
第二十二条 運営委員会に議長を置き、運営委員がこれを互選する。
2 議長は、運営委員会の会務を総理する。
3 運営委員会は、あらかじめ、運営委員のうちから、議長に事故がある場合にその職務を代行する者を定めておかなければならない。
(招集及び議事)
第二十三条 会長は、運営委員会を招集し、及びこれに議案を提出する。
2 運営委員会は、運営委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 運営委員会の議事は、出席した運営委員の過半数をもつて決する。可否同数のときは、議長が決するところによる。
第五章 業務等
(業務の範囲)
第二十四条 協会は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 外国人観光旅客の来訪を促進するための宣伝を行うこと。
二 外国人観光旅客に対する接遇の向上その他観光事業に関する業務の改善に関する指導を行うこと。
三 観光に関する調査及び研究を行うこと。
四 観光に関する出版物の刊行を行うこと。
五 前各号の業務に附帯する業務
(国際観光事業の助成に関する法律の適用)
第二十五条 協会については、これを国際観光事業の助成に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十九号)第一条の政令で定める法人とみなして、同法の規定を適用する。
第六章 財務及び会計
(事業年度)
第二十六条 協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(予算等の認可)
第二十七条 協会は、毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、事業年度開始前に、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第二十八条 協会は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表等)
第二十九条 協会は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に運輸大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 協会は、前項の規定により財務諸表を運輸大臣に提出するときは、予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。
3 会長は、第一項の承認を受けた財務諸表、決算報告書及び前項の監事の意見書を次回の運営委員会に提出しなければならない。
4 協会は、第一項の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えておかなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十条 協会は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 協会は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(一時借入金)
第三十一条 協会は、運輸大臣の認可を受けて、一時借入金をすることができる。
2 前項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた一時借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第三十二条 協会は、業務上の余裕金については、銀行その他運輸大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金にするほか、これを他に運用してはならない。
(運輸省令への委任)
第三十三条 この法律に規定するもののほか、協会の財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第七章 監督
(監督)
第三十四条 協会は、運輸大臣が監督する。
2 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、協会に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十五条 運輸大臣は、協会に対して、その業務及び資産の状況に関し報告させ、又はその職員に協会の事務所その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類、その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第八章 雑則
(解散)
第三十六条 協会の解散については、別に法律で定める。
(運輸省令への委任)
第三十七条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第九章 罰則
(収賄等)
第三十八条 協会の役員又は職員は、その職務に関してわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。
2 協会の役員又は職員であつた者は、その在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことに関してわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
3 協会の役員又は職員は、その職務に関し請託を受けて第三者にわいろを供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
4 犯人又は情を知つた第三者の収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(贈賄)
第三十九条 前条第一項から第三項までに掲げる者に対してわいろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
(報告義務違反等)
第四十条 第三十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした協会の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
(過料)
第四十一条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした協会の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により運輸大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の規定による政令に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第二十四条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十二条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第三十四条第二項の規定による運輸大臣の命令に違反したとき。
第四十二条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(協会の設立)
第二条 運輸大臣は、協会の会長、副会長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された会長、副会長又は監事となるべき者は、協会の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ会長、副会長又は監事に任命されたものとする。
第三条 運輸大臣は、設立委員を命じて、協会の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、定款を作成して、運輸大臣の認可を受けなければならない。
3 設立委員は、前項の認可を申請しようとするときは、会員になろうとする者七人以上の同意を得なければならない。
4 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その事務を前条第一項の規定により指名された会長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された会長となるべき者は、前条の規定による事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 協会は、設立の登記をすることによつて成立する。
第五条 附則第三条第三項の同意をした者は、協会の成立の時において会員となつたものとする。
(財団法人国際観光協会等からの引継)
第六条 昭和三十年五月二十四日に設立された財団法人国際観光協会及び昭和二十二年六月三日に設立された社団法人全日本観光連盟は、当該寄附行為又は定款で定めるところにより、設立委員に対して、協会においてこれらの法人の一切の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。
2 設立委員は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、運輸大臣の認可を申請しなければならない。
3 前項の認可があつたときは、財団法人国際観光協会又は社団法人全日本観光連盟の一切の権利及び義務は、協会の成立の時において協会に承継されるものとし、これらの法人は、その時において解散するものとする。この場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
4 前項の規定により財団法人国際観光協会又は社団法人全日本観光連盟が解散した場合におけるこれらの法人の解散の登記については、政令で定める。
(経過規定)
第七条 この法律の施行の際現に日本観光協会という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。この場合において、第六条の規定は、当該期間内は、これらの者には、適用しない。
第八条 協会の最初の事業年度は、第二十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十五年三月三十一日に終るものとする。
第九条 協会の最初の事業年度の予算及び事業計画については、第二十七条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「協会の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の改正)
第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本自転車振興会」の下に「、日本観光協会」を、「自転車競技法」の下に「、日本観光協会法」を加える。
(所得税法の改正)
第十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十号中「日本自転車振興会」の下に「、日本観光協会」を加える。
(法人税法の改正)
第十二条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第六号中「及び日本自転車振興会」を「、日本自転車振興会及び日本観光協会」に改める。
(地方税法の改正)
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第六号中「及び日本自転車振興会」を「、日本自転車振興会及び日本観光協会」に改める。
(運輸省設置法の改正)
第十四条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中第四十四号の十二を削り、第四十四号の十一を第四十四号の十二とし、第四十四号の十の次に次の一号を加える。
四十四の十一 日本観光協会を監督すること。
第四条第一項第四十四号の十四の次に次の一号を加える。
四十四の十五 通訳案内業の試験を行うこと。
第二十八条の三中第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、第二号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の一号を加える。
二 日本観光協会に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 愛知揆一
大蔵大臣 佐藤榮作
運輸大臣 永野護
日本観光協会法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十四年三月二十四日
内閣総理大臣 岸信介
法律第三十九号
日本観光協会法
目次
第一章
総則(第一条―第七条)
第二章
会員(第八条―第十条)
第三章
役員(第十一条―第十九条)
第四章
運営委員会(第二十条―第二十三条)
第五章
業務等(第二十四条・第二十五条)
第六章
財務及び会計(第二十六条―第三十三条)
第七章
監督(第三十四条・第三十五条)
第八章
雑則(第三十六条・第三十七条)
第九章
罰則(第三十八条―第四十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 日本観光協会は、外国人観光旅客の来訪及び外国人観光旅客に対する接遇等の改善を促進することにより、国際観光事業の振興を図り、あわせて観光事業一般の健全な発達に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 日本観光協会(以下「協会」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 協会は、主たる事務所を東京都に置く。
2 協会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(定款)
第四条 協会は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 会員に関する事項
五 役員に関する事項
六 運営委員会及び運営委員に関する事項
七 業務及びその執行に関する事項
八 会計に関する事項
九 その他協会の業務に関する重要事項
2 定款の変更は、運輸大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第五条 協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第六条 協会でない者は、日本観光協会という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第七条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、協会に準用する。
第二章 会員
(資格)
第八条 次の各号に掲げる者は、協会の会員となることができる。
一 日本国有鉄道
二 地方公共団体
三 旅客を運送する運送事業を経営する者
四 ホテル業、旅館業又は旅行あつせん業を経営する者
五 前二号に掲げる者の団体
六 その他定款で定める者
(加入及び脱退)
第九条 協会は、会員たる資格を有する者が協会に加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒んではならない。
2 会員は、何時でも、協会を脱退することができる。
(会費の負担)
第十条 会員は、協会の会費を負担する。
第三章 役員
(役員)
第十一条 協会に、役員として、会長一人、副会長一人、理事五人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第十二条 会長は、協会を代表し、その業務を総理する。
2 副会長は、会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、会長の定めるところにより、会長及び副会長を補佐して協会の業務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、協会の業務を監査する。
(役員の任命)
第十三条 会長、副会長及び監事は、運輸大臣が任命する。
2 理事は、運輸大臣の認可を受けて会長が任命する。
(役員の任期)
第十四条 会長、副会長及び理事の任期は三年とし、監事の任期は二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 国会議員、国家公務員(審議会、協議会等の委員その他これに準ずる地位にある者であつて、非常勤のものを除く。)、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十六条 運輸大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、これを解任しなければならない。
2 運輸大臣又は会長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 会長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、運輸大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、運輸大臣が役員としての職務の執行に支障がないものと認めて許可したときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十八条 協会と会長との利益が相反する事項については、会長は、代表権を有しない。この場合には、監事が協会を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 会長は、協会の理事又は職員のうちから、従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
第四章 運営委員会
(運営委員会)
第二十条 協会に、運営委員会を置く。
2 運営委員会は、三十人以内において定款で定める数の運営委員をもつて組織する。
3 運営委員は、定款で定めるところにより、会員が会員(会員が法人である場合には、その代表者又は代理人)のうちから選挙する。
4 委員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。
(権限)
第二十一条 次の事項は、運営委員会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 会費の額及び徴収の方法
三 その他定款で定める事項
2 運営委員会は、前項に規定するもののほか、会長の諮問に応じ、協会の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。
(議長)
第二十二条 運営委員会に議長を置き、運営委員がこれを互選する。
2 議長は、運営委員会の会務を総理する。
3 運営委員会は、あらかじめ、運営委員のうちから、議長に事故がある場合にその職務を代行する者を定めておかなければならない。
(招集及び議事)
第二十三条 会長は、運営委員会を招集し、及びこれに議案を提出する。
2 運営委員会は、運営委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 運営委員会の議事は、出席した運営委員の過半数をもつて決する。可否同数のときは、議長が決するところによる。
第五章 業務等
(業務の範囲)
第二十四条 協会は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 外国人観光旅客の来訪を促進するための宣伝を行うこと。
二 外国人観光旅客に対する接遇の向上その他観光事業に関する業務の改善に関する指導を行うこと。
三 観光に関する調査及び研究を行うこと。
四 観光に関する出版物の刊行を行うこと。
五 前各号の業務に附帯する業務
(国際観光事業の助成に関する法律の適用)
第二十五条 協会については、これを国際観光事業の助成に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十九号)第一条の政令で定める法人とみなして、同法の規定を適用する。
第六章 財務及び会計
(事業年度)
第二十六条 協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(予算等の認可)
第二十七条 協会は、毎事業年度、予算及び事業計画を作成し、事業年度開始前に、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第二十八条 協会は、毎事業年度の決算を翌年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表等)
第二十九条 協会は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に運輸大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 協会は、前項の規定により財務諸表を運輸大臣に提出するときは、予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添附しなければならない。
3 会長は、第一項の承認を受けた財務諸表、決算報告書及び前項の監事の意見書を次回の運営委員会に提出しなければならない。
4 協会は、第一項の承認を受けた財務諸表を各事務所に備えておかなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十条 協会は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 協会は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(一時借入金)
第三十一条 協会は、運輸大臣の認可を受けて、一時借入金をすることができる。
2 前項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、運輸大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた一時借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第三十二条 協会は、業務上の余裕金については、銀行その他運輸大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金にするほか、これを他に運用してはならない。
(運輸省令への委任)
第三十三条 この法律に規定するもののほか、協会の財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第七章 監督
(監督)
第三十四条 協会は、運輸大臣が監督する。
2 運輸大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、協会に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第三十五条 運輸大臣は、協会に対して、その業務及び資産の状況に関し報告させ、又はその職員に協会の事務所その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類、その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
第八章 雑則
(解散)
第三十六条 協会の解散については、別に法律で定める。
(運輸省令への委任)
第三十七条 この法律に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
第九章 罰則
(収賄等)
第三十八条 協会の役員又は職員は、その職務に関してわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よつて不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたときは、五年以下の懲役に処する。
2 協会の役員又は職員であつた者は、その在職中に請託を受けて職務上不正の行為をし、又は相当の行為をしなかつたことに関してわいろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。
3 協会の役員又は職員は、その職務に関し請託を受けて第三者にわいろを供与させ、又はその供与を約束したときは、三年以下の懲役に処する。
4 犯人又は情を知つた第三者の収受したわいろは、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
(贈賄)
第三十九条 前条第一項から第三項までに掲げる者に対してわいろを供与し、又はその申込若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
(報告義務違反等)
第四十条 第三十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした協会の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
(過料)
第四十一条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした協会の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により運輸大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第五条第一項の規定による政令に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第二十四条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
四 第三十二条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第三十四条第二項の規定による運輸大臣の命令に違反したとき。
第四十二条 第六条の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(協会の設立)
第二条 運輸大臣は、協会の会長、副会長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された会長、副会長又は監事となるべき者は、協会の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ会長、副会長又は監事に任命されたものとする。
第三条 運輸大臣は、設立委員を命じて、協会の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、定款を作成して、運輸大臣の認可を受けなければならない。
3 設立委員は、前項の認可を申請しようとするときは、会員になろうとする者七人以上の同意を得なければならない。
4 設立委員は、設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その事務を前条第一項の規定により指名された会長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された会長となるべき者は、前条の規定による事務の引継を受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 協会は、設立の登記をすることによつて成立する。
第五条 附則第三条第三項の同意をした者は、協会の成立の時において会員となつたものとする。
(財団法人国際観光協会等からの引継)
第六条 昭和三十年五月二十四日に設立された財団法人国際観光協会及び昭和二十二年六月三日に設立された社団法人全日本観光連盟は、当該寄附行為又は定款で定めるところにより、設立委員に対して、協会においてこれらの法人の一切の権利及び義務を承継すべき旨を申し出ることができる。
2 設立委員は、前項の規定による申出があつたときは、遅滞なく、運輸大臣の認可を申請しなければならない。
3 前項の認可があつたときは、財団法人国際観光協会又は社団法人全日本観光連盟の一切の権利及び義務は、協会の成立の時において協会に承継されるものとし、これらの法人は、その時において解散するものとする。この場合においては、他の法令中法人の解散及び清算に関する規定は、適用しない。
4 前項の規定により財団法人国際観光協会又は社団法人全日本観光連盟が解散した場合におけるこれらの法人の解散の登記については、政令で定める。
(経過規定)
第七条 この法律の施行の際現に日本観光協会という名称を使用している者は、この法律の施行後六月以内にその名称を変更しなければならない。この場合において、第六条の規定は、当該期間内は、これらの者には、適用しない。
第八条 協会の最初の事業年度は、第二十六条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和三十五年三月三十一日に終るものとする。
第九条 協会の最初の事業年度の予算及び事業計画については、第二十七条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「協会の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の改正)
第十条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本自転車振興会」の下に「、日本観光協会」を、「自転車競技法」の下に「、日本観光協会法」を加える。
(所得税法の改正)
第十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第十号中「日本自転車振興会」の下に「、日本観光協会」を加える。
(法人税法の改正)
第十二条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第六号中「及び日本自転車振興会」を「、日本自転車振興会及び日本観光協会」に改める。
(地方税法の改正)
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第六号中「及び日本自転車振興会」を「、日本自転車振興会及び日本観光協会」に改める。
(運輸省設置法の改正)
第十四条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中第四十四号の十二を削り、第四十四号の十一を第四十四号の十二とし、第四十四号の十の次に次の一号を加える。
四十四の十一 日本観光協会を監督すること。
第四条第一項第四十四号の十四の次に次の一号を加える。
四十四の十五 通訳案内業の試験を行うこと。
第二十八条の三中第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、第二号から第五号までを一号ずつ繰り下げ、第一号の次に次の一号を加える。
二 日本観光協会に関すること。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 愛知揆一
大蔵大臣 佐藤栄作
運輸大臣 永野護