(廃船の規制)
第四十三条 何人も、船舶を海洋に捨ててはならない。ただし、政令で定める海域に政令で定める方法により捨てる場合又は除去することが困難な遭難船舶を放置する場合は、この限りでない。
(港湾における廃棄物処理施設等の整備計画)
第四十四条 港湾管理者は、当該港湾の港湾区域及びその周辺地域において生ずる廃棄物の種類及び量等に照らし、当該港湾区域及びその周辺海域において船舶又は海洋施設から廃棄物が排出され、海洋が汚染されることを防止するため必要があると認めるときは、当該港湾において廃棄物処理施設の整備が促進され、及び廃棄物の処理場所が確保されるようこれらの建設又は配置について港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第四十八条第一項の計画その他の港湾の整備に関する計画に定めなければならない。
(海洋の汚染状況の監視等)
第四十五条 海上保安庁長官は、本邦の沿岸海域における海洋の汚染状況について、必要な監視を行なわなければならない。
2 海上保安庁長官は、著しい海洋の汚染があると認めるときは、その汚染の状況について、当該汚染海域を地先水面とする地方公共団体の長に通知するものとする。
(水路業務及び気象業務の成果の活用等)
第四十六条 海上保安庁長官及び気象庁長官は、水路業務又は気象業務による成果及び資料を海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のために活用するとともに、これらの業務に関連する海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のための科学的調査を実施するものとする。
(関係行政機関の協力)
第四十七条 運輸大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全に関し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
2 関係地方公共団体の長は、海洋の汚染の防止及び海洋環境の保全のため必要があると認めるときは、この法律の施行に関し、運輸大臣に対し、意見を述べることができる。
3 農林大臣は、油又は廃棄物の排出により漁場の効用が著しく低下し、又は低下するおそれがあると認められるときは、運輸大臣に対し、この法律の施行に関し、当該漁場及びその周辺海域における油又は廃棄物の排出の規制のための適切な措置を講ずることを要請することができる。
(報告の徴収等)
第四十八条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者に対し、その事業又はその廃油処理施設による廃油の処理に関し報告をさせることができる。
2 運輸大臣又は海上保安庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、船舶所有者若しくは船長又は海洋施設の設置者に対し、当該船舶又は海洋施設に係る油若しくは廃棄物の排出又は油若しくは廃棄物の取扱いに関する作業に関し報告をさせることができる。
3 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者の事務所その他の事業場に立ち入り、廃油処理設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
4 運輸大臣又は海上保安庁長官は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、船舶若しくは海洋施設又は船舶所有者若しくは海洋施設の設置者の事務所に立ち入り、ビルジ排出防止装置、油濁防止規程、油記録簿その他の物件を検査させることができる。
5 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
6 第三項及び第四項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(油記録簿の写しの証明)
第四十九条 前条第四項の規定により船舶又は船舶所有者の事務所に立ち入つた職員は、この法律の施行に必要な限度において、油記録簿の記載事項の写しを作成し、その写しが真正である旨の証明を船長又は船舶所有者に対して求めることができる。
(国の援助)
第五十条 国は、ビルジ排出防止装置、廃油処理施設その他海洋の汚染を防止するための装置若しくは施設の設置又は改善に必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。
(研究及び調査の推進等)
第五十一条 国は、船舶及び海洋施設からの油及び廃棄物の排出の防止並びに廃油及び廃船の処理に関する技術の研究及び調査その他海洋の汚染の防止に関する研究及び調査を推進し、その成果の普及に努めるものとする。
(適用除外)
第五十二条 この法律の規定は、放射性物質による海洋の汚染及びその防止については、適用しない。
(権限の委任)
第五十三条 この法律の規定により運輸大臣又は海上保安庁長官の権限に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長又は管区海上保安本部長に行なわせることができる。
2 管区海上保安本部長は、運輸省令で定めるところにより、前項の規定によりその権限に属させられた事項の一部を海上保安監部その他の管区海上保安本部の事務所の長に行なわせることができる。
(経過措置)
第五十四条 第三条第六号の規定に基づき、政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(経過措置に関する罰則を含む。)を定めることができる。