(知識の普及)
第九条 都道府県知事(保健所を設置する市にあたつては、市長とする。以下次条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで及び第二十条第一項において同じ。)は、母性又は乳児若しくは幼児の健康の保持及び増進のため、妊娠、出産又は育児に関し、相談に応じ、個別的又は集団的に、必要な指導及び助言を行なう等により、母子保健に関する知識の普及に努めなければならない。
(保健指導)
第十条 都道府県知事は、妊産婦又は乳児若しくは幼児の保護者に対して、妊娠、出産又は育児に関し、必要な保健指導を行ない、又は医師、歯科医師、助産婦若しくは保健婦について保健指導を受けることを勧奨しなければならない。
(新生児の訪問指導)
第十一条 都道府県知事は、前条の場合において、当該乳児が新生児であつて、育児上必要があると認めるときは、医師、保健婦、助産婦又はその他の職員をして当該新生児の保護者を訪問させ、必要な指導を行なわせるものとする。ただし、当該新生児につき、第十九条の規定による指導が行なわれるときは、この限りでない。
2 前項の規定による新生児に対する訪問指導は、当該新生児が新生児でなくなつた後においても、継続することができる。
(健康診査)
第十二条 都道府県知事は、満三歳をこえ満四歳に達しない幼児に対して、毎年、期日又は期間を指定して、厚生省令の定めるところにより、健康診査を行なわなければならない。
第十三条 前条の健康診査のほか、都道府県知事は、必要に応じ、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、健康診査を行ない、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない。
(栄養の摂取に関する援助)
第十四条 市町村(特別区を含む。以下次条及び第二十二条において同じ。)は、妊産婦又は乳児若しくは幼児に対して、栄養の摂取につき必要な援助をするように努めるものとする。
(妊娠の届出)
第十五条 妊娠した者は、厚生省令の定めるところにより、すみやかに、保健所を設置する市においては保健所長を経て市長に、その他の市町村においては市町村長に妊娠の届出をするようにしなければならない。
2 市町村長(保健所を設置する市の市長を除く。)は、前項の妊娠の届出を受理したときは、厚生省令の定めるところにより、すみやかに、その旨を保健所長を経て都道府県知事に報告しなければならない。
(母子健康手帳)
第十六条 都道府県知事(特別区の存する区域にあつては、特別区の区長)は、妊娠の届出をした者に対して、厚生省令の定めるところにより、母子健康手帳を交付しなければならない。
2 妊産婦は、医師、歯科医師、助産婦又は保健婦について、健康診査又は保健指導を受けたときは、そのつど、母子健康手帳に必要な事項の記載を受けなければならない。乳児又は幼児の健康診査又は保健指導を受けた当該乳児又は幼児の保護者についても、同様とする。
3 前二項に定めるもののほか、母子健康手帳に関し必要な事項は、厚生省令で定める。
(妊産婦の訪問指導等)
第十七条 都道府県知事は、第十三条の規定による健康診査の結果に基づき、当該妊産婦の健康状態に応じ、保健指導を要する者については、医師、助産婦、保健婦又はその他の職員をして、その妊産婦を訪問させて必要な指導を行なわせ、妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病にかかつている疑いのある者については、医師又は歯科医師の診療を受けることを勧奨するものとする。
2 都道府県又は保健所を設置する市は、妊産婦が前項の勧奨に基づいて妊娠又は出産に支障を及ぼすおそれがある疾病につき医師又は歯科医師の診療を受けるために必要な援助を与えるように努めなければならない。
(低体重児の届出)
第十八条 体重が二千五百グラム以下の乳児が出生したときは、その保護者は、厚生省令の定めるところにより、すみやかに、その旨をその乳児の現在地の都道府県知事に届け出なければならない。
(未熟児の訪問指導)
第十九条 都道府県知事は、その都道府県(保健所を設置する市の市長にあつては、その市)の区域内に現在地を有する未熟児について、養育上必要があると認めるときは、医師、保健婦、助産婦又はその他の職員をして、その未熟児の保護者を訪問させ、必要な指導を行なわせるものとする。
2 第十一条第二項の規定は、前項の規定による訪問指導に準用する。
(養育医療)
第二十条 都道府県知事は、養育のため病院又は診療所に収容することを必要とする未熟児に対し、その養育に必要な医療(以下「養育医療」という。)の給付を行ない、又はこれに代えて養育医療に要する費用を支給することができる。
2 前項の規定による費用の支給は、養育医療の給付が困難であると認められる場合に限り、行なうことができる。
4 養育医療の給付は、厚生大臣又は都道府県知事が次項の規定により指定する病院若しくは診療所又は薬局(以下「指定養育医療機関」という。)に委託して行なうものとする。
5 厚生大臣は、国が開設した病院若しくは診療所又は薬局についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院若しくは診療所又は薬局についてその開設者の同意を得て、第一項の規定による養育医療を担当させる機関を指定する。
6 児童福祉法第二十一条及び第二十一条の九第六項から第八項までの規定は、指定養育医療機関について、同法第二十一条の二から第二十一条の四までの規定は、養育医療の給付について、同法第二十一条の五の規定は、養育医療に要する費用について準用する。この場合において、同法第二十一条の三第四項及び第二十一条の四第二項中「都道府県」とあるのは、「都道府県又は保健所を設置する市」と読み替えるものとする。
(費用の支弁等)
第二十一条 都道府県知事又は保健所を設置する市の市長が行なう第十条の規定による保健指導、第十二条の規定による健康診査及び前条の規定による措置に要する費用は、それぞれ、当該都道府県又は当該市の支弁とする。
2 国は、政令の定めるところにより、前項の規定により都道府県又は市が支弁する費用のうち、第十条の規定による保健指導及び前条の規定による措置に要する費用についてはその十分の八を、第十二条の規定による健康診査に要する費用についてはその三分の一を負担するものとする。
3 第一項の規定により前条の規定による養育医療の給付に要する費用を支弁した都道府県又は市の長は、当該措置に要する費用を、当該措置を受けた者又はその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。)から徴収しなければならない。ただし、これらの者が、経済的理由により、その費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、この限りでない。
4 第一項の規定により第十条の規定による保健指導に要する費用を支弁した都道府県又は市の長は、当該措置を受けた者又はその扶養義務者から、当該措置に要する費用を徴収することができる。ただし、これらの者が、経済的理由により、その費用の全部又は一部を負担することができないと認めるときは、この限りでない。
5 前二項の規定による費用の徴収は、徴収されるべき者の居住地又は財産所在地の都道府県知事又は市町村長に嘱託することができる。
6 第三項及び第四項の規定により徴収される費用を、指定の期限内に納付しない者があるときは、国税滞納処分の例により処分することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。