(目的)
第一条 この法律は、北方地域の施政について存する特殊事情及びこれに基因して北方地域旧漁業権者等の置かれている特殊な地位等にかんがみ、北方地域旧漁業権者等その他の者に対してその営む漁業その他の事業及びその生活に必要な資金を低利で融通することを主たる業務とする北方協会を設立して、これに国が所要の資金の交付を行ない、もつてこれらの者の営む漁業その他の事業の経営とその生活の安定を図り、あわせて北方地域に関する諸問題の解決の促進に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「北方地域」とは、歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島をいう。
2 この法律において「北方地域旧漁業権者等」とは、次に掲げる者をいう。
一 北方地域の一部をその地区の全部若しくは一部としていた旧水産業団体法(昭和十八年法律第四十七号)第一条に規定する漁業会若しくは旧漁業法(明治四十三年法律第五十八号)第四十二条第一項に規定する漁業組合が同法第五条の免許を受けて有していた専用漁業権又はこれを目的とする入漁権に基づき、昭和二十年八月十五日において旧水産業団体法第十三条第二項又は旧漁業法第四十三条第四項の規定により漁業を営む権利を有していた個人
二 昭和二十年八月十五日において、北方地域の周辺の主務省令で定める海域内に所在する漁場において漁業を営むことにつき旧漁業法第四条若しくは第六条の免許を受け、又は当該免許に係る漁業権の貸付けを受けていた者(その者が法人である場合には、その構成員又は出資者たる個人)
三 前二号に掲げる者のほか、昭和二十年八月十五日まで引き続き六月以上北方地域に生活の本拠を有していた者
四 第一号又は第二号に掲げる者が死亡した場合におけるその死亡した者の死亡の当時における配偶者、子及び父母のうち主務省令で定めるもの(当該配偶者、子及び父母のうちに前三号に掲げる者に該当する者がある場合を除く。)
(法人格)
第三条 北方協会(以下「協会」という。)は、法人とする。
(国債の交付等)
第四条 政府は、協会に対し、その業務の遂行に必要な資金の財源に充てるための基金として、十億円を国債をもつて交付する。
2 前項の規定により交付するため、政府は、同項に規定する金額に相当する額の国債の発行をすることができる。
3 前項の規定により発行する国債の償還期限は、十年とし、その利率は、年六分とする。
4 前項に規定するもののほか、第二項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、大蔵省令で定める。
(事務所)
2 協会は、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(定款)
第六条 協会は、定款をもつて次の事項を規定しなければならない。
2 定款の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(登記)
第七条 協会は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第八条 協会でない者は、北方協会という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第九条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、協会に準用する。