水資源開発公団法
法令番号: 法律第二百十八号
公布年月日: 昭和36年11月13日
法令の形式: 法律
水資源開発公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月十三日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第二百十八号
水資源開発公団法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
役員及び職員(第七条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十五条)
第四章
水資源開発施設に関する費用(第二十六条―第三十三条)
第五章
財務及び会計(第三十四条―第四十七条)
第六章
監督(第四十八条・第四十九条)
第七章
雑則(第五十条―第五十七条)
第八章
罰則(第五十八条―第六十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 水資源開発公団は、水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)の規定による水資源開発基本計画(以下「水資源開発基本計画」という。)に基づく水資源の開発又は利用のための事業を実施すること等により、国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 水資源開発公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第四条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第五条 公団でない者は、水資源開発公団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公団について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 公団に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事八人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第八条 総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、公団を代表し、総裁の定めるところにより、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、公団の業務を監査する。
(役員の任命)
第九条 総裁及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副総裁及び理事は、総裁が内閣総理大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十条 役員の任期は、四年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長
二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
三 物品の製造若しく販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又は、これらの者が法人であるときは、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
四 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十二条 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 総裁は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公団と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十五条 総裁及び副総裁は、公団の理事及び職員のうちから、公団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十六条 公団の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の地位)
第十七条 公団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務)
第十八条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 水資源開発基本計画に基づいて、次に掲げる施設(当該施設のうち発電に係る部分を除く。)の新築又は改築を行なうこと。
イ ダム、河口堰、湖沼水位調節施設、多目的用水路、専用水路その他の水資源の開発又は利用のための施設
ロ イに掲げる施設と密接な関連を有する施設
二 前号の業務を行なうことにより生じた施設(以下「水資源開発施設」という。)の操作、維持、修繕その他の管理を行なうこと。
三 水資源開発施設についての災害復旧工事を行なうこと。
四 前三号の業務に附帯する業務を行なうこと。
2 公団は、前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、委託に基づき、次の業務を行なうことができる。ただし、第三号及び第四号の業務を行なうについては、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
一 水資源の開発又は利用に関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。
二 前項第一号イの施設のうち発電に係る部分の新築、改築若しくは管理又はこれについての災害復旧工事を行なうこと。
三 水資源の開発若しくは利用のための施設に関する工事又はこれと密接な関連を有する工事を行なうこと。
四 水資源の開発又は利用のための施設の管理を行なうこと。
(事業実施方針)
第十九条 主務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項第一号の業務につき、水資源開発基本計画に基づいて事業実施方針を定め、内閣総理大臣を経てこれを公団に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。これを変更するときも、同様とする。
2 主務大臣は、前項の事業実施方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
(事業実施計画)
第二十条 公団は、第十八条第一項第一号の業務を行なおうとするときは、政令で定めるところにより、前条第一項の事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画を作成し、又は変更しようとする場合において、当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、その者の意見をきくとともに、第二十九条の規定による当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の負担についてその者の同意を得なければならない。当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水をかんがいの用に供しようとする者の組織する土地改良区が特定しているときも、同様とする。
3 土地改良区は、前項の同意をするには、政令で定めるところにより、総会の議決を経、かつ、その組合員のうち同項の流水をかんがいの用に供しようとする者の三分の二以上の同意を得なければならない。
(施設管理方針)
第二十一条 主務大臣は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第二号の業務につき、施設管理方針を定め、これを公団に指示することができる。この場合において、主務大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(施設管理規程)
第二十二条 公団は、第十八条第一項第二号の業務を行なおうとする場合においては、政令で定めるところにより、かつ、前条の施設管理方針が指示されているときはこれに基づいて、施設管理規程を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(河川法の特例)
第二十三条 公団は、第五十五条第二号に規定する施設(以下「特定施設」という。)の新築又は改築について、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第七条(河川に関する工事等)(同法第五条(河川法の準用)の規定により準用される場合を含む。)の規定にかかわらず、同法にいう河川に関する工事を行なうことができる。
2 公団が特定施設の新築又は改築を完了したときは、河川法第四条第二項(河川の附属物)(同法第五条の規定により準用される場合を含む。)の規定にかかわらず、建設大臣が、これを河川の附属物として認定することができる。
3 建設大臣は、前項の規定による認定をしようとする場合において、当該特定施設の新築若しくは改築に要する費用について第二十条第二項の規定による同意をした者又は当該特定施設の一部の工事を公団に委託した者があるときは、あらかじめ、これらの者の同意を得なければならない。
4 第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設については、河川法第三条(私権の排除)の規定は、適用しない。
5 特定施設の新築及び改築並びに河川の附属物として認定された特定施設の管理に係る公団の監督については、河川法第四十九条(河川行政の監督)(同法第五条の規定により準用される場合を含む。)の規定は、適用しない。
6 公団が行なう特定施設の新築及び改築並びに第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設の管理に係る河川法の適用又は準用に関しては、この条に定めるもののほか、政令で定める。
7 公団は、その行なう特定施設の新築及び改築並びに第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設の管理に関しては、政令で定めるところにより、河川法に規定する地方行政庁の権限を行なうことができる。
8 公団が特定施設の新築又は改築の工事を開始しようとするとき、及び当該工事を完了したとき、並びに建設大臣が第二項の規定により特定施設を河川の附属物として認定したときは、公団又は建設大臣は、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(特定施設の操作に関する建設大臣の指揮)
第二十四条 建設大臣は、洪水を防ぐため緊急の必要があると認めるときは、その必要の範囲内において、特定施設の操作に関し、政令で定めるところにより、公団を指揮することができる。
(危害防止のための通知等)
第二十五条 公団は、水資源開発施設を操作することによつて流水の状況に著しい変化を生ずると認める場合において、これによつて生ずる危害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、関係市町村長及び関係警察署長に通知するとともに、一般に周知させるため必要な措置をとらなければならない。
第四章 水資源開発施設に関する費用
(特定施設に係る国の交付金等)
第二十六条 国は、特定施設の新築又は改築に要する費用のうち、洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を公団に交付するものとする。
2 前項の費用の範囲、同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な事項は、政令で定める。
3 都道府県は、第一項の規定により国が公団に交付する金額の一部を負担しなければならない。
4 前項の規定による都道府県の負担の割合その他同項の規定による都道府県の負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
第二十七条 国は、特定施設の操作、維持、修繕その他の管理に要する費用及び特定施設についての災害復旧工事に要する費用のうち、洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を公団に交付するものとする。
2 前項の費用の範囲、同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な事項は、政令で定める。
3 都道府県は、第一項の規定により国が公団に交付する金額の一部を負担しなければならない。
4 前条第四項の規定は、前項の都道府県の負担金について準用する。
5 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)の適用に関しては、同法第四条第一項(国庫負担率)及び第四条の二(連年災害における国庫負担率の特例)の災害復旧事業費の総額には、同法第四条第二項に掲げるもののほか、第一項の規定により災害復旧工事に要する費用(政令で定めるものを除く。)として公団に交付される金額を含むものとする。
(費用の負担)
第二十八条 特定施設の新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれている場合において、専用の施設を新設し、又は拡張することにより当該特定施設を利用して流水をかんがいの用に供する者は、政令で定めるところにより、当該特定施設の新築又は改築に要する費用の一部を負担しなければならない。
2 前項の規定による負担金は、政令で定めるところにより、都道府県知事が徴収して、これを国に納付するものとする。
第二十九条 公団は、水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者又は水資源開発施設(特定施設でその新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれているものを除く。)を利用して流水をかんがいの用に供する者の組織する土地改良区に、政令で定めるところにより、当該水資源開発施設の新築、改築及び管理並びにこれについての災害復旧工事に要する費用を負担させるものとする。
第三十条 第十八条第一項第一号から第三号までの業務(特定施設でその新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれているものに係るものを除く。)であつて、かんがい排水に係るものの受益地の全部又は一部をその区域に含む都道府県は、政令で定めるところにより、その業務に要する費用の一部を負担金として公団に支払わなければならない。
(受益者負担金)
第三十一条 公団は、水資源開発施設の新築又は改築によつて著しく利益を受ける者があるときは、政令で定めるところにより、その利益を受ける限度において、当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の一部を負担させることができる。
(強制徴収)
第三十二条 第二十八条第一項、第二十九条又は前条の規定による負担金をその納期限までに納付しない者があるときは、都道府県知事又は公団は、期限を指定して、その納付を督促しなければならない。
2 都道府県知事又は公団は、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 都道府県知事又は公団は、第一項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその負担金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、都道府県知事にあつては地方税の滞納処分の例により、公団にあつては内閣総理大臣の認可を受けて国税の滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
5 都道府県知事又は公団は、第一項の規定により督促をしたときは、同項の負担金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその負担金の完納の日又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。ただし、当該都道府県の条例又は総理府令で定める場合は、この限りでない。
6 前項の規定により都道府県知事が徴収した延滞金は、当該都道府県に帰属する。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第三十三条 第二十九条の規定により土地改良区が費用を負担する場合においては、当該負担金については、これを土地改良区の事業に要する経費とみなして、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条(賦課金等の徴収の委任)並びに第三十九条(賦課金等の徴収)の規定を適用する。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十四条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(収入及び支出の予算等の認可)
第三十五条 公団は、毎事業年度開始前に、その事業年度の収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第三十六条 公団は、毎事業年度の決算を翌事業年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十七条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下次項において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に、内閣総理大臣に提出してその承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十八条 公団は、毎事業年度、損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 公団は、毎事業年度、損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び水資源開発債券)
第三十九条 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は水資源開発債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、内閣総理大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(政府からの貸付け等)
第四十条 政府は、公団に対し長期若しくは短期の資金の貸付けをし、又は債券の引受けをすることができる。
(債務保証)
第四十一条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条(保証契約の禁止)の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、債券に係る債務について保証することができる。
(償還計画)
第四十二条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画をたてて、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第四十三条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公団に対し、第十八条第一項第一号又は第三号に掲げる業務に要する経費の一部を補助することができる。
(余裕金の運用)
第四十四条 公団は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他内閣総理大臣の指定する有価証券の保有
二 銀行への預金又は郵便貯金
(財産の処分等の制限)
第四十五条 公団は、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十六条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、又は変更しようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
(総理府令への委任)
第四十七条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十八条 公団は、主務大臣が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による主務大臣の監督について、必要な調整をすることができる。
(報告及び検査)
第四十九条 主務大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して報告をさせ、又はその職員に公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第五十条 公団の解散については、別に法律で定める。
(訴願)
第五十一条 この法律の規定に基づいて都道府県知事又は公団がした処分について不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に主務大臣に訴願することができる。
(協議)
第五十二条 内閣総理大臣は、次の場合には、あらかじめ、主務大臣に協議しなければならない。
一 第三条第二項、第十八条第二項ただし書、第三十五条又は第四十五条の規定による許可又は認可をしようとするとき。
二 第三十七条第一項の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十七条の規定により総理府令を定めようとするとき。
第五十三条 主務大臣は、次の場合には、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
一 第二十条第一項又は第二十二条の規定による認可をしようとするとき。
二 第四十八条第二項の規定による命令をしようとするとき。
第五十四条 内閣総理大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十八条第二項ただし書、第三十五条、第三十九条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第四十二条又は第四十五条の規定による許可又は認可をしようとするとき。
二 第三十七条第一項又は第四十六条の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十四条第一号の規定による指定をしようとするとき。
四 第四十七条の規定により総理府令を定めようとするとき。
(主務大臣)
第五十五条 この法律において主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、内閣総理大臣
二 洪水(高潮を含む。)防禦の機能又は流水の正常な機能の維持と増進をその設置の目的に含む多目的ダム、河口堰、湖沼水位調節施設その他の水資源の開発又は利用のための施設であつて政令で定めるものの新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、建設大臣
三 前号の多目的ダムの利用に係る多目的用水路で政令で定めるものの新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、建設大臣
四 前二号に掲げる施設以外のダム、堰、水路その他の水資源の開発又は利用のための施設(多目的のものを含む。)の新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、政令で定めるところにより、厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣又は建設大臣
(内閣総理大臣の権限の委任)
第五十六条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、この法律の規定によるその権限の一部を経済企画庁長官に委任することができる。
(他の法令の準用)
第五十七条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第八章 罰則
第五十八条 第四十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第五十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣又は主務大臣の許可、認可又は承認を受けなければならない場合において、その許可、認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第四条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第四十四条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十八条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第六十条 前二条の規定の適用については、この法律の規定(第五十六条の規定を除く。)中内閣総理大臣又は主務大臣とあるのは、第五十六条の規定により権限の委任を受けた経済企画庁長官を含むものとする。
第六十一条 第五条の規定に違反して水資源開発公団という名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公団の設立)
第二条 内閣総理大臣は、公団の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁又は監事となるべき者は、公団の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ総裁又は監事に任命されたものとする。
第三条 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者は、前条第二項の事務の引継ぎを受けたときは、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
第六条 この法律の施行の際現に水資源開発公団という名称を使用している者については、第五条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第七条 公団の最初の事業年度については、第三十四条の規定にかかわらず、政令で別段の定めをすることができる。
第八条 公団の最初の事業年度の収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画については、第三十五条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の一部改正)
第九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一号ノ五中「愛知用水公団」を「水資源開発公団又ハ愛知用水公団」に改める。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ五ノ三中「愛知用水公団」を「水資源開発公団又ハ愛知用水公団」に改める。
(所得税法の一部改正)
第十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号の四を次のように改める。
四の四 水資源開発公団及び愛知用水公団
(法人税法の一部改正)
第十二条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(土地収用法の一部改正)
第十四条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三十四号の次に次の一号を加える。
三十四の二 水資源開発公団が設置する水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第十八条第一項第一号に掲げる施設
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十五条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「農地開発機械公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(治山治水緊急措置法の一部改正)
第十六条 治山治水緊急措置法(昭和三十五年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項各号列記以外の部分中「施行するもの及び」を「施行するもの、」に改め、「補助するもの」の下に「及び水資源開発公団が施行し、かつ、これに要する費用を国が交付するもの」を加え、同項第一号中「第四号」の下に「及び第五号」を加え、同項に次の一号を加える。
五 水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第十八条第一項第一号及び第二号の事業
(治水特別会計法の一部改正)
第十七条 治水特別会計法(昭和三十五年法律第四十号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項に次の一号を加える。
五 法第二条第二項第五号に掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で水資源開発公団が施行するものに係る交付金の交付
第四条第一項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 第一条第二項第五号に規定する事業に係る水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第二十六条第三項又は第二十七条第三項の規定による都道府県の負担金及び同法第二十八条第二項の規定による納付金
第四条第二項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 第一条第二項第五号に規定する事業に係る国の交付金
第七条第一項中「費用」の下に「及び第一条第二項第五号に規定する事業に係る交付金」を加える。
(後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部改正)
第十八条 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和三十六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「前項」を「第二項」に改め、附則中第十一項を第十二項とし、第三項から第十項までを一項ずつ繰り下げ、第二項の次に次の一項を加える。
3 前項の規定の適用上、水資源開発公団が施行する水資源開発施設の新築又は改築の工事のうちその費用の一部を都道府県が負担する政令で定めるものは、この法律による改正前の国の負担割合の特例に関する法令の規定による国の負担総額、この法律の規定による国の負担総額及び通常の国の負担割合による国の負担総額並びに同項後段に規定する数又は率の算定については、政令で定めるところにより、この法律による改正前の国の負担割合の特例に関する法令に規定する事業又は開発指定事業とみなす。
(行政管理庁設置法の一部改正)
第十九条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「日本住宅公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(建設省設置法の一部改正)
第二十条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第八号の三の次に次の一号を加える。
八の四 水資源開発公団の業務の監督その他水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)の施行に関する事務を管理すること。
第三条第二十六号の二中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(厚生省設置法の一部改正)
第二十一条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第九条の二第七号の次に次の一号を加える。
七の二 水資源開発公団を監督すること。
(農林省設置法の一部改正)
第二十二条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項第十五号中「及び農地開発機械公団」を「、農地開発機械公団及び水資源開発公団」に改める。
(経済企画庁設置法の一部改正)
第二十三条 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号ヨの次に次のように加える。
タ 水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)
第九条に次の一号を加える。
十四 水資源開発公団に関すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第二十四条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第九条第十一号の三の次に次の一号を加える。
十一の四 水資源開発公団に関すること。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 灘尾弘吉
農林大臣 河野一郎
通商産業大臣 佐藤榮作
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙
水資源開発公団法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十六年十一月十三日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第二百十八号
水資源開発公団法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
役員及び職員(第七条―第十七条)
第三章
業務(第十八条―第二十五条)
第四章
水資源開発施設に関する費用(第二十六条―第三十三条)
第五章
財務及び会計(第三十四条―第四十七条)
第六章
監督(第四十八条・第四十九条)
第七章
雑則(第五十条―第五十七条)
第八章
罰則(第五十八条―第六十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 水資源開発公団は、水資源開発促進法(昭和三十六年法律第二百十七号)の規定による水資源開発基本計画(以下「水資源開発基本計画」という。)に基づく水資源の開発又は利用のための事業を実施すること等により、国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 水資源開発公団(以下「公団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 公団は、主たる事務所を東京都に置く。
2 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第四条 公団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第五条 公団でない者は、水資源開発公団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、公団について準用する。
第二章 役員及び職員
(役員)
第七条 公団に、役員として、総裁一人、副総裁一人、理事八人以内及び監事二人以内を置く。
(役員の職務及び権限)
第八条 総裁は、公団を代表し、その業務を総理する。
2 副総裁は、公団を代表し、総裁の定めるところにより、総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、総裁の定めるところにより、総裁及び副総裁を補佐して公団の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、公団の業務を監査する。
(役員の任命)
第九条 総裁及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 副総裁及び理事は、総裁が内閣総理大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期)
第十条 役員の任期は、四年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長
二 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
三 物品の製造若しく販売若しくは工事の請負を業とする者であつて公団と取引上密接な利害関係を有するもの又は、これらの者が法人であるときは、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
四 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十二条 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は総裁は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 総裁は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
(代表権の制限)
第十四条 公団と総裁又は副総裁との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が公団を代表する。
(代理人の選任)
第十五条 総裁及び副総裁は、公団の理事及び職員のうちから、公団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十六条 公団の職員は、総裁が任命する。
(役員及び職員の地位)
第十七条 公団の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
(業務)
第十八条 公団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 水資源開発基本計画に基づいて、次に掲げる施設(当該施設のうち発電に係る部分を除く。)の新築又は改築を行なうこと。
イ ダム、河口堰、湖沼水位調節施設、多目的用水路、専用水路その他の水資源の開発又は利用のための施設
ロ イに掲げる施設と密接な関連を有する施設
二 前号の業務を行なうことにより生じた施設(以下「水資源開発施設」という。)の操作、維持、修繕その他の管理を行なうこと。
三 水資源開発施設についての災害復旧工事を行なうこと。
四 前三号の業務に附帯する業務を行なうこと。
2 公団は、前項の業務の遂行に支障のない範囲内において、委託に基づき、次の業務を行なうことができる。ただし、第三号及び第四号の業務を行なうについては、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
一 水資源の開発又は利用に関する調査、測量、設計、試験及び研究を行なうこと。
二 前項第一号イの施設のうち発電に係る部分の新築、改築若しくは管理又はこれについての災害復旧工事を行なうこと。
三 水資源の開発若しくは利用のための施設に関する工事又はこれと密接な関連を有する工事を行なうこと。
四 水資源の開発又は利用のための施設の管理を行なうこと。
(事業実施方針)
第十九条 主務大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項第一号の業務につき、水資源開発基本計画に基づいて事業実施方針を定め、内閣総理大臣を経てこれを公団に指示するとともに、その概要を公表しなければならない。これを変更するときも、同様とする。
2 主務大臣は、前項の事業実施方針を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。
(事業実施計画)
第二十条 公団は、第十八条第一項第一号の業務を行なおうとするときは、政令で定めるところにより、前条第一項の事業実施方針に基づいて事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 公団は、前項の規定により事業実施計画を作成し、又は変更しようとする場合において、当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水を水道又は工業用水道の用に供しようとする者が特定しているときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、その者の意見をきくとともに、第二十九条の規定による当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の負担についてその者の同意を得なければならない。当該事業実施計画に係る水資源開発施設を利用して流水をかんがいの用に供しようとする者の組織する土地改良区が特定しているときも、同様とする。
3 土地改良区は、前項の同意をするには、政令で定めるところにより、総会の議決を経、かつ、その組合員のうち同項の流水をかんがいの用に供しようとする者の三分の二以上の同意を得なければならない。
(施設管理方針)
第二十一条 主務大臣は、政令で定めるところにより、第十八条第一項第二号の業務につき、施設管理方針を定め、これを公団に指示することができる。この場合において、主務大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(施設管理規程)
第二十二条 公団は、第十八条第一項第二号の業務を行なおうとする場合においては、政令で定めるところにより、かつ、前条の施設管理方針が指示されているときはこれに基づいて、施設管理規程を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(河川法の特例)
第二十三条 公団は、第五十五条第二号に規定する施設(以下「特定施設」という。)の新築又は改築について、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第七条(河川に関する工事等)(同法第五条(河川法の準用)の規定により準用される場合を含む。)の規定にかかわらず、同法にいう河川に関する工事を行なうことができる。
2 公団が特定施設の新築又は改築を完了したときは、河川法第四条第二項(河川の附属物)(同法第五条の規定により準用される場合を含む。)の規定にかかわらず、建設大臣が、これを河川の附属物として認定することができる。
3 建設大臣は、前項の規定による認定をしようとする場合において、当該特定施設の新築若しくは改築に要する費用について第二十条第二項の規定による同意をした者又は当該特定施設の一部の工事を公団に委託した者があるときは、あらかじめ、これらの者の同意を得なければならない。
4 第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設については、河川法第三条(私権の排除)の規定は、適用しない。
5 特定施設の新築及び改築並びに河川の附属物として認定された特定施設の管理に係る公団の監督については、河川法第四十九条(河川行政の監督)(同法第五条の規定により準用される場合を含む。)の規定は、適用しない。
6 公団が行なう特定施設の新築及び改築並びに第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設の管理に係る河川法の適用又は準用に関しては、この条に定めるもののほか、政令で定める。
7 公団は、その行なう特定施設の新築及び改築並びに第二項の規定により河川の附属物として認定された特定施設の管理に関しては、政令で定めるところにより、河川法に規定する地方行政庁の権限を行なうことができる。
8 公団が特定施設の新築又は改築の工事を開始しようとするとき、及び当該工事を完了したとき、並びに建設大臣が第二項の規定により特定施設を河川の附属物として認定したときは、公団又は建設大臣は、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(特定施設の操作に関する建設大臣の指揮)
第二十四条 建設大臣は、洪水を防ぐため緊急の必要があると認めるときは、その必要の範囲内において、特定施設の操作に関し、政令で定めるところにより、公団を指揮することができる。
(危害防止のための通知等)
第二十五条 公団は、水資源開発施設を操作することによつて流水の状況に著しい変化を生ずると認める場合において、これによつて生ずる危害を防止するため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、あらかじめ、関係市町村長及び関係警察署長に通知するとともに、一般に周知させるため必要な措置をとらなければならない。
第四章 水資源開発施設に関する費用
(特定施設に係る国の交付金等)
第二十六条 国は、特定施設の新築又は改築に要する費用のうち、洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を公団に交付するものとする。
2 前項の費用の範囲、同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な事項は、政令で定める。
3 都道府県は、第一項の規定により国が公団に交付する金額の一部を負担しなければならない。
4 前項の規定による都道府県の負担の割合その他同項の規定による都道府県の負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
第二十七条 国は、特定施設の操作、維持、修繕その他の管理に要する費用及び特定施設についての災害復旧工事に要する費用のうち、洪水調節に係る費用その他政令で定める費用を公団に交付するものとする。
2 前項の費用の範囲、同項の交付金の額の算出方法その他同項の交付金に関し必要な事項は、政令で定める。
3 都道府県は、第一項の規定により国が公団に交付する金額の一部を負担しなければならない。
4 前条第四項の規定は、前項の都道府県の負担金について準用する。
5 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)の適用に関しては、同法第四条第一項(国庫負担率)及び第四条の二(連年災害における国庫負担率の特例)の災害復旧事業費の総額には、同法第四条第二項に掲げるもののほか、第一項の規定により災害復旧工事に要する費用(政令で定めるものを除く。)として公団に交付される金額を含むものとする。
(費用の負担)
第二十八条 特定施設の新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれている場合において、専用の施設を新設し、又は拡張することにより当該特定施設を利用して流水をかんがいの用に供する者は、政令で定めるところにより、当該特定施設の新築又は改築に要する費用の一部を負担しなければならない。
2 前項の規定による負担金は、政令で定めるところにより、都道府県知事が徴収して、これを国に納付するものとする。
第二十九条 公団は、水資源開発施設を利用して流水を水道若しくは工業用水道の用に供する者又は水資源開発施設(特定施設でその新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれているものを除く。)を利用して流水をかんがいの用に供する者の組織する土地改良区に、政令で定めるところにより、当該水資源開発施設の新築、改築及び管理並びにこれについての災害復旧工事に要する費用を負担させるものとする。
第三十条 第十八条第一項第一号から第三号までの業務(特定施設でその新築又は改築に係る第二十六条第一項の規定による国の交付金にかんがいに係るものが含まれているものに係るものを除く。)であつて、かんがい排水に係るものの受益地の全部又は一部をその区域に含む都道府県は、政令で定めるところにより、その業務に要する費用の一部を負担金として公団に支払わなければならない。
(受益者負担金)
第三十一条 公団は、水資源開発施設の新築又は改築によつて著しく利益を受ける者があるときは、政令で定めるところにより、その利益を受ける限度において、当該水資源開発施設の新築又は改築に要する費用の一部を負担させることができる。
(強制徴収)
第三十二条 第二十八条第一項、第二十九条又は前条の規定による負担金をその納期限までに納付しない者があるときは、都道府県知事又は公団は、期限を指定して、その納付を督促しなければならない。
2 都道府県知事又は公団は、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して二十日以上経過した日でなければならない。
3 都道府県知事又は公団は、第一項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその負担金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、都道府県知事にあつては地方税の滞納処分の例により、公団にあつては内閣総理大臣の認可を受けて国税の滞納処分の例により、滞納処分をすることができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
5 都道府県知事又は公団は、第一項の規定により督促をしたときは、同項の負担金の額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日からその負担金の完納の日又は財産差押えの日の前日までの日数により計算した延滞金を徴収することができる。ただし、当該都道府県の条例又は総理府令で定める場合は、この限りでない。
6 前項の規定により都道府県知事が徴収した延滞金は、当該都道府県に帰属する。
(土地改良区の組合員に対する経費の賦課)
第三十三条 第二十九条の規定により土地改良区が費用を負担する場合においては、当該負担金については、これを土地改良区の事業に要する経費とみなして、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三十六条第一項、第二項及び第四項(経費の賦課)、第三十八条(賦課金等の徴収の委任)並びに第三十九条(賦課金等の徴収)の規定を適用する。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十四条 公団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(収入及び支出の予算等の認可)
第三十五条 公団は、毎事業年度開始前に、その事業年度の収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(決算)
第三十六条 公団は、毎事業年度の決算を翌事業年度の七月三十一日までに完結しなければならない。
(財務諸表)
第三十七条 公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下次項において「財務諸表」という。)を作成し、決算完結後二月以内に、内閣総理大臣に提出してその承認を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに予算の区分に従い作成した当該事業年度の決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(利益及び損失の処理)
第三十八条 公団は、毎事業年度、損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
2 公団は、毎事業年度、損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金及び水資源開発債券)
第三十九条 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は水資源開発債券(以下「債券」という。)を発行することができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができない金額に限り、内閣総理大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
4 第一項の規定による債券の債権者は、公団の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
5 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
6 公団は、内閣総理大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
7 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条まで(受託会社の権限及び義務)の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
8 第一項及び第四項から前項までに定めるもののほか、債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(政府からの貸付け等)
第四十条 政府は、公団に対し長期若しくは短期の資金の貸付けをし、又は債券の引受けをすることができる。
(債務保証)
第四十一条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条(保証契約の禁止)の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、債券に係る債務について保証することができる。
(償還計画)
第四十二条 公団は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償還計画をたてて、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(補助金)
第四十三条 政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公団に対し、第十八条第一項第一号又は第三号に掲げる業務に要する経費の一部を補助することができる。
(余裕金の運用)
第四十四条 公団は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他内閣総理大臣の指定する有価証券の保有
二 銀行への預金又は郵便貯金
(財産の処分等の制限)
第四十五条 公団は、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十六条 公団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、又は変更しようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
(総理府令への委任)
第四十七条 この法律及びこれに基づく政令に規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十八条 公団は、主務大臣が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、公団に対して、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による主務大臣の監督について、必要な調整をすることができる。
(報告及び検査)
第四十九条 主務大臣は、必要があると認めるときは、公団に対して報告をさせ、又はその職員に公団の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(解散)
第五十条 公団の解散については、別に法律で定める。
(訴願)
第五十一条 この法律の規定に基づいて都道府県知事又は公団がした処分について不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に主務大臣に訴願することができる。
(協議)
第五十二条 内閣総理大臣は、次の場合には、あらかじめ、主務大臣に協議しなければならない。
一 第三条第二項、第十八条第二項ただし書、第三十五条又は第四十五条の規定による許可又は認可をしようとするとき。
二 第三十七条第一項の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十七条の規定により総理府令を定めようとするとき。
第五十三条 主務大臣は、次の場合には、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。
一 第二十条第一項又は第二十二条の規定による認可をしようとするとき。
二 第四十八条第二項の規定による命令をしようとするとき。
第五十四条 内閣総理大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十八条第二項ただし書、第三十五条、第三十九条第一項、第二項ただし書若しくは第六項、第四十二条又は第四十五条の規定による許可又は認可をしようとするとき。
二 第三十七条第一項又は第四十六条の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十四条第一号の規定による指定をしようとするとき。
四 第四十七条の規定により総理府令を定めようとするとき。
(主務大臣)
第五十五条 この法律において主務大臣は、次のとおりとする。
一 役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、内閣総理大臣
二 洪水(高潮を含む。)防禦の機能又は流水の正常な機能の維持と増進をその設置の目的に含む多目的ダム、河口堰、湖沼水位調節施設その他の水資源の開発又は利用のための施設であつて政令で定めるものの新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、建設大臣
三 前号の多目的ダムの利用に係る多目的用水路で政令で定めるものの新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、建設大臣
四 前二号に掲げる施設以外のダム、堰、水路その他の水資源の開発又は利用のための施設(多目的のものを含む。)の新築、改築、管理その他の業務に関する事項については、政令で定めるところにより、厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣又は建設大臣
(内閣総理大臣の権限の委任)
第五十六条 内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、この法律の規定によるその権限の一部を経済企画庁長官に委任することができる。
(他の法令の準用)
第五十七条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、公団を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
第八章 罰則
第五十八条 第四十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の罰金に処する。
第五十九条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした公団の役員又は職員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣又は主務大臣の許可、認可又は承認を受けなければならない場合において、その許可、認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第四条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
三 第十八条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第四十四条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十八条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第六十条 前二条の規定の適用については、この法律の規定(第五十六条の規定を除く。)中内閣総理大臣又は主務大臣とあるのは、第五十六条の規定により権限の委任を受けた経済企画庁長官を含むものとする。
第六十一条 第五条の規定に違反して水資源開発公団という名称を用いた者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(公団の設立)
第二条 内閣総理大臣は、公団の総裁又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された総裁又は監事となるべき者は、公団の成立の時において、この法律の規定によりそれぞれ総裁又は監事に任命されたものとする。
第三条 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、公団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、公団の設立の準備を完了したときは、その事務を前条第一項の規定により指名された総裁となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された総裁となるべき者は、前条第二項の事務の引継ぎを受けたときは、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 公団は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
第六条 この法律の施行の際現に水資源開発公団という名称を使用している者については、第五条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第七条 公団の最初の事業年度については、第三十四条の規定にかかわらず、政令で別段の定めをすることができる。
第八条 公団の最初の事業年度の収入及び支出の予算、事業計画並びに資金計画については、第三十五条中「毎事業年度開始前に」とあるのは、「公団の成立後遅滞なく」とする。
(登録税法の一部改正)
第九条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第一号ノ五中「愛知用水公団」を「水資源開発公団又ハ愛知用水公団」に改める。
(印紙税法の一部改正)
第十条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ五ノ三中「愛知用水公団」を「水資源開発公団又ハ愛知用水公団」に改める。
(所得税法の一部改正)
第十一条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号の四を次のように改める。
四の四 水資源開発公団及び愛知用水公団
(法人税法の一部改正)
第十二条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二号中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(土地収用法の一部改正)
第十四条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第三十四号の次に次の一号を加える。
三十四の二 水資源開発公団が設置する水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第十八条第一項第一号に掲げる施設
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十五条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「農地開発機械公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(治山治水緊急措置法の一部改正)
第十六条 治山治水緊急措置法(昭和三十五年法律第二十一号)の一部を次のように改正する。
第二条第二項各号列記以外の部分中「施行するもの及び」を「施行するもの、」に改め、「補助するもの」の下に「及び水資源開発公団が施行し、かつ、これに要する費用を国が交付するもの」を加え、同項第一号中「第四号」の下に「及び第五号」を加え、同項に次の一号を加える。
五 水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第十八条第一項第一号及び第二号の事業
(治水特別会計法の一部改正)
第十七条 治水特別会計法(昭和三十五年法律第四十号)の一部を次のように改正する。
第一条第二項に次の一号を加える。
五 法第二条第二項第五号に掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で水資源開発公団が施行するものに係る交付金の交付
第四条第一項中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 第一条第二項第五号に規定する事業に係る水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)第二十六条第三項又は第二十七条第三項の規定による都道府県の負担金及び同法第二十八条第二項の規定による納付金
第四条第二項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。
四 第一条第二項第五号に規定する事業に係る国の交付金
第七条第一項中「費用」の下に「及び第一条第二項第五号に規定する事業に係る交付金」を加える。
(後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律の一部改正)
第十八条 後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律(昭和三十六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。
附則第三項中「前項」を「第二項」に改め、附則中第十一項を第十二項とし、第三項から第十項までを一項ずつ繰り下げ、第二項の次に次の一項を加える。
3 前項の規定の適用上、水資源開発公団が施行する水資源開発施設の新築又は改築の工事のうちその費用の一部を都道府県が負担する政令で定めるものは、この法律による改正前の国の負担割合の特例に関する法令の規定による国の負担総額、この法律の規定による国の負担総額及び通常の国の負担割合による国の負担総額並びに同項後段に規定する数又は率の算定については、政令で定めるところにより、この法律による改正前の国の負担割合の特例に関する法令に規定する事業又は開発指定事業とみなす。
(行政管理庁設置法の一部改正)
第十九条 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「日本住宅公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(建設省設置法の一部改正)
第二十条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第八号の三の次に次の一号を加える。
八の四 水資源開発公団の業務の監督その他水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)の施行に関する事務を管理すること。
第三条第二十六号の二中「首都高速道路公団」の下に「、水資源開発公団」を加える。
(厚生省設置法の一部改正)
第二十一条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第九条の二第七号の次に次の一号を加える。
七の二 水資源開発公団を監督すること。
(農林省設置法の一部改正)
第二十二条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項第十五号中「及び農地開発機械公団」を「、農地開発機械公団及び水資源開発公団」に改める。
(経済企画庁設置法の一部改正)
第二十三条 経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十号ヨの次に次のように加える。
タ 水資源開発公団法(昭和三十六年法律第二百十八号)
第九条に次の一号を加える。
十四 水資源開発公団に関すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第二十四条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第九条第十一号の三の次に次の一号を加える。
十一の四 水資源開発公団に関すること。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
厚生大臣 灘尾弘吉
農林大臣 河野一郎
通商産業大臣 佐藤栄作
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙