(公共施設等運営権の設定)
第十条の三 公共施設等の管理者等は、選定事業者に公共施設等運営権を設定することができる。
(公共施設等運営権に関する実施方針における記載事項の追加)
第十条の四 公共施設等の管理者等は、公共施設等運営権が設定されることとなる民間事業者を選定しようとする場合には、実施方針に、第五条第二項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
二 公共施設等運営権に係る公共施設等の運営等の内容
四 第十条の七の規定により費用を徴収する場合には、その旨(あらかじめ徴収金額を定める場合にあっては、費用を徴収する旨及びその金額)
五 第十条の九第一項に規定する公共施設等運営権実施契約に定めようとする事項及びその解釈について疑義が生じた場合における措置に関する事項
(実施方針に関する条例)
第十条の五 公共施設等の管理者等(地方公共団体の長に限る。)は、前条に規定する場合には、条例の定めるところにより、実施方針を定めるものとする。
2 前項の条例には、民間事業者の選定の手続、公共施設等運営権者が行う公共施設等の運営等の基準及び業務の範囲、利用料金に関する事項その他必要な事項を定めるものとする。
(公共施設等運営権の設定の時期等)
第十条の六 公共施設等の管理者等は、第十条の四の規定により実施方針に同条各号に掲げる事項を定めた場合において、第七条第一項の規定により民間事業者を選定したときは、遅滞なく(当該実施方針に定めた特定事業が公共施設等の建設、製造又は改修に関する事業を含むときは、その建設、製造又は改修の完了後直ちに)、当該実施方針に従い、選定事業者に公共施設等運営権を設定するものとする。
2 公共施設等運営権の設定は、次に掲げる事項を明らかにして行わなければならない。
3 公共施設等の管理者等は、第一項の規定により公共施設等運営権を設定したときは、その旨並びに当該公共施設等運営権に係る公共施設等の名称及び立地並びに前項第二号に掲げる事項を公表しなければならない。
4 公共施設等の管理者等(地方公共団体の長に限る。)は、第一項の規定により公共施設等運営権を設定しようとするときは、あらかじめ、議会の議決を経なければならない。
(費用の徴収)
第十条の七 公共施設等の管理者等は、実施方針に従い、公共施設等運営権者(公共施設等運営権に係る公共施設等の建設、製造又は改修を行っていない公共施設等運営権者に限る。)から、当該建設、製造又は改修に要した費用に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。
(公共施設等運営事業の開始の義務)
第十条の八 公共施設等運営権者は、公共施設等の管理者等が指定する期間内に、公共施設等運営事業を開始しなければならない。
2 公共施設等の管理者等は、公共施設等運営権者から申請があった場合において、正当な理由があると認めるときは、前項の期間を延長することができる。
3 公共施設等運営権者は、公共施設等運営事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を公共施設等の管理者等に届け出なければならない。
(公共施設等運営権実施契約)
第十条の九 公共施設等運営権者は、公共施設等運営事業を開始する前に、実施方針に従い、内閣府令で定めるところにより、公共施設等の管理者等と、次に掲げる事項をその内容に含む契約(以下「公共施設等運営権実施契約」という。)を締結しなければならない。
二 公共施設等運営事業の継続が困難となった場合における措置に関する事項
三 公共施設等の利用に係る約款を定める場合には、その決定手続及び公表方法
2 公共施設等の管理者等は、公共施設等運営権実施契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、公共施設等運営権実施契約の内容(公共施設等運営権者の商号又は名称、前項第二号に掲げる事項その他内閣府令で定める事項に限る。)を公表しなければならない。
3 前項の規定は、地方公共団体が、同項に規定する事項以外の公共施設等運営権実施契約に関する情報の公表に関し、条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。
(公共施設等の利用料金)
第十条の十 公共施設等運営権者は、利用料金を自らの収入として収受するものとする。
2 利用料金は、実施方針に従い、公共施設等運営権者が定めるものとする。この場合において、公共施設等運営権者は、あらかじめ、当該利用料金を公共施設等の管理者等に届け出なければならない。
(性質)
第十条の十一 公共施設等運営権は、物権とみなし、この法律に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定を準用する。
(権利の目的)
第十条の十二 公共施設等運営権は、法人の合併その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え及び仮処分並びに抵当権の目的となるほか、権利の目的となることができない。
(処分の制限)
第十条の十三 公共施設等運営権は、分割し、又は併合することができない。
2 公共施設等運営権は、公共施設等の管理者等の許可を受けなければ、移転することができない。
3 公共施設等の管理者等は、前項の許可を行おうとするときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
一 公共施設等運営権の移転を受ける者が第七条の二各号のいずれにも該当しないこと。
二 公共施設等運営権の移転が実施方針に照らして適切なものであること。
4 公共施設等の管理者等(地方公共団体の長に限る。)は、第二項の許可を行おうとするときは、あらかじめ、議会の議決を経なければならない。ただし、条例に特別の定めがある場合は、この限りでない。
5 抵当権の設定が登録されている公共施設等運営権については、その抵当権者の同意がなければ、これを放棄することができない。
6 第二項の許可を受けないで、又は前項の同意を得ないでした公共施設等運営権の移転又は放棄は、その効力を生じない。
(登録)
第十条の十四 公共施設等運営権及び公共施設等運営権を目的とする抵当権の設定、移転、変更、消滅及び処分の制限並びに第十条の十六第一項の規定による公共施設等運営権の行使の停止及びその停止の解除は、公共施設等運営権登録簿に登録する。
2 前項の規定による登録は、登記に代わるものとする。
3 第一項の規定による登録に関する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。
4 公共施設等運営権登録簿については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
5 公共施設等運営権登録簿に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第四章の規定は、適用しない。
6 前各項に規定するもののほか、登録に関し必要な事項は、政令で定める。
(指示等)
第十条の十五 公共施設等の管理者等は、公共施設等運営事業の適正を期するため、公共施設等運営権者に対して、その業務若しくは経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。
(公共施設等運営権の取消し等)
第十条の十六 公共施設等の管理者等は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、公共施設等運営権を取り消し、又はその行使の停止を命ずることができる。
一 公共施設等運営権者が次のいずれかに該当するとき。
イ 偽りその他不正の方法により公共施設等運営権者となったとき。
ロ 第七条の二各号のいずれかに該当することとなったとき。
ハ 第十条の八第一項の規定により指定した期間(同条第二項の規定による延長があったときは、延長後の期間)内に公共施設等運営事業を開始しなかったとき。
ニ 公共施設等運営事業を実施できなかったとき、又はこれを実施することができないことが明らかになったとき。
ホ ニに掲げる場合のほか、公共施設等運営権実施契約において定められた事項について重大な違反があったとき。
ト 公共施設等運営事業に関する法令の規定に違反したとき。
二 公共施設等を他の公共の用途に供することその他の理由に基づく公益上やむを得ない必要が生じたとき。
2 公共施設等の管理者等は、前項の規定による公共施設等運営権の行使の停止の命令をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
3 公共施設等の管理者等は、第一項の規定により、抵当権の設定が登録されている公共施設等運営権を取り消そうとするときは、あらかじめ、その旨を当該抵当権に係る抵当権者に通知しなければならない。
4 公共施設等の管理者等が、公共施設等の所有権を有しなくなったときは、公共施設等運営権は消滅する。
(公共施設等運営権者に対する補償)
第十条の十七 公共施設等の管理者等は、前条第一項(第二号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)の規定による公共施設等運営権の取消し若しくはその行使の停止又は前条第四項の規定による公共施設等運営権の消滅(公共施設等の管理者等の責めに帰すべき事由がある場合に限る。)によって損失を受けた公共施設等運営権者又は公共施設等運営権者であった者(以下この条において単に「公共施設等運営権者」という。)に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、公共施設等の管理者等と公共施設等運営権者とが協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、公共施設等の管理者等は、自己の見積もった金額を公共施設等運営権者に支払わなければならない。
4 前項の補償金額に不服がある公共施設等運営権者は、その決定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもって、その増額を請求することができる。
5 前項の訴えにおいては、当該公共施設等の管理者等を被告とする。
6 前条第一項の規定により取り消された公共施設等運営権又は同条第四項の規定により消滅した公共施設等運営権(公共施設等の管理者等の責めに帰すべき事由により消滅した場合に限る。)の上に抵当権があるときは、当該抵当権に係る抵当権者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、公共施設等の管理者等は、その補償金を供託しなければならない。
7 前項の抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。
8 公共施設等の管理者等は、第一項の規定による補償の原因となった損失が前条第一項の規定による公共施設等運営権の取消し又はその行使の停止によるものであるときは、当該補償金額の全部又は一部をその理由を生じさせた者に負担させることができる。