農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第97号
公布年月日: 平成8年6月21日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の金融環境の変化に対応し、農協・漁協等の貯金者保護と信用秩序維持を図るため、経営困難時の対応措置を改善する必要がある。具体的には、保険事故発生時における機構による貯金等債権の買取り制度の創設、信用事業の全部譲渡を資金援助の対象に追加、今後5年間の時限措置として資金援助及び貯金等債権買取りの特例措置の導入、さらに漁協から信用事業を譲り受けた漁業協同組合連合会を貯金保険の適用対象に加えることを内容とする改正を行うものである。

参照した発言:
第136回国会 衆議院 本会議 第26号

審議経過

第136回国会

衆議院
(平成8年5月21日)
(平成8年6月7日)
参議院
(平成8年6月10日)
(平成8年6月18日)
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成八年六月二十一日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第九十七号
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律
農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)の一部を次のように改正する。
目次中「第六十七条」を「第六十七条の二」に、
第五節
補則(第六十八条)
第四章
雑則(第六十九条・第七十条)
第五章
罰則(第七十一条―第七十七条)
第四章
貯金等債権の買取り(第六十八条―第六十八条の四)
第五章
雑則(第六十九条―第七十条の二)
第六章
罰則(第七十一条―第七十七条)
に改める。
第一条中「農水産業協同組合貯金保険」を「この法律」に改め、「支払」の下に「と貯金等債権の買取り」を加え、「行い」を「行う制度を確立し」に改める。
第二条第一項第一号及び第二号中「行なう」を「行う」に改め、同項第三号中「行なう」を「行う」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号の次に次の一号を加える。
三 水産業協同組合法第八十七条第一項第二号の事業を行う漁業協同組合連合会(前号に掲げる者から同法第十一条第一項第二号の事業を譲り受けたものに限る。以下「特定漁業協同組合連合会」という。)
第二条第四項中第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 水産業協同組合法第八十七条第一項第一号及び第二号の事業(これらの事業に附帯する事業を含む。)並びに同条第四項及び第五項の事業
第二条第五項中「農水産業協同組合(」の下に「第一項第一号、第二号及び第四号に掲げる者にあつては、」を加える。
第十五条中「次章」の下に「及び第四章」を加える。
第二十五条に次の一項を加える。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は主務大臣に意見を提出することができる。
第三十四条第四号中「前三号」を「前各号」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。
四 第四章の規定による貯金等債権の買取り
第四十条第一項中「二月」を「三月」に、「提出しなければ」を「提出して、その承認を受けなければ」に改め、同条第二項中「予算」を「当該事業年度の事業報告書及び予算」に改め、「当該事業年度の」を削り、「添附」を「添付」に改め、同条に次の一項を加える。
3 機構は、第一項の規定による主務大臣の承認を受けた財務諸表並びに前項の事業報告書及び決算報告書をその事務所に備えて置かなければならない。
第四十二条第一項中「又は第三号」を「から第四号まで」に改める。
第四十九条第一項中「第十一条第一項第二号」の下に「、第八十七条第一項第二号」を加え、「行なう」を「行う」に改め、同条第二項第二号中「若しくは水産業協同組合法」を「、水産業協同組合法」に改め、「含む。)」の下に「、同法第九十一条の二第一項第六号若しくは同条第四項第二号若しくは第三号」を加える。
第五十一条第一項中「受け入れた貯金」の下に「、特定漁業協同組合連合会が農水産業協同組合である会員から受け入れた貯金」を加える。
第五十六条第一項中「受け入れた貯金」の下に「、特定漁業協同組合連合会が農水産業協同組合である会員から受け入れた貯金」を、「除く」の下に「。第六十条において同じ」を、「債権」の下に「(その者が前条第一項の請求をした時において現に有するものに限る。)」を加え、「前条第一項」を「同項」に改め、同条第二項を削り、同条第三項中「前二項」を「前項」に、「こえる」を「超える」に改め、同項を同条第二項とし、同条第四項中「前三項」を「前二項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第五項中「から第三項まで」を「及び第二項」に改め、同項を同条第四項とする。
第五十七条第三項第二号中「含む。)」の下に「若しくは第九十一条の二第五項」を加え、同項中第三号を第四号とし、第二号の次に次の一号を加える。
三 その監督に係る特定漁業協同組合連合会につき、水産業協同組合法第九十一条の二第四項第二号に規定する処分をしたとき。
第五十八条第一項第三号中「合併」の下に「又は信用事業の全部の譲渡若しくは信用事業の全部若しくは一部の譲受け(以下「信用事業譲渡等」という。)」を加え、同項第四号並びに同条第三項第三号及び第四号中「合併」の下に「又は信用事業譲渡等」を加える。
第五十九条第一項中「すみやかに」を「速やかに」に改め、「支払場所」の下に「、支払方法」を加え、同条に次の一項を加える。
6 保険金の支払は、機構が、保険事故に係る各貯金者等ごとに、当該保険事故に係る保険金に相当する金額を農水産業協同組合その他の金融機関に預貯金として預け入れ、当該預貯金に係る債権を当該貯金者等に対して譲渡する方法により行うことができる。
第六十条の見出しを「(債権の取得等)」に改め、同条第一項中「保険金の支払をしたときは、その支払金額」を「第五十五条第一項に規定する保険金の支払の請求があつたときは、当該請求に係る貯金者等に対して第五十六条第一項から第三項までの規定により支払われるべき保険金の額」に、「貯金者等」を「当該貯金者等」に、「当該貯金等」を「貯金等」に、「次項」を「以下この条」に改め、同条第二項中「機構は、」の下に「貯金者等に対し」を加え、「第五十六条第五項」を「第五十六条第四項」に、「貯金者等」を「当該貯金者等」に、「当該貯金等」を「貯金等」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。
2 前項に規定する貯金者等に対して支払われるべき保険金の額が第五十六条第一項に規定する元本の額に満たないときは、機構は、次に定めるところにより、当該貯金者等が農水産業協同組合に対して有する貯金等に係る債権を取得する。
一 貯金等に係る債権のうちに担保権の目的となつているものと担保権の目的となつていないものがあるときは、担保権の目的となつていないものを先とする。
二 貯金等に係る債権で担保権の目的となつていないものが二以上あるときは、その金利(利率その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。次号において同じ。)の高いものを先とする。
三 前号の場合において、金利の同じものが二以上あるときは、その弁済期の早いものを先とする。
四 前号の場合において、弁済期の同じものが二以上あるときは、機構が指定するものとする。
五 貯金等に係る債権で担保権の目的となつているものが二以上あるときは、当該担保権の目的となつている貯金等に係る債権の額から当該担保権に係る被担保債権の額を控除した額(次号において「担保余力額」という。)の大きいものを先とする。
六 前号の場合において、担保余力額の同じものが二以上あるときは、第二号から第四号までの規定の例による。
3 機構は、前二項の規定により取得した貯金等に係る債権のうちに担保権の目的となつているものがあるときは、当該担保権に係る被担保債権が消滅するまでの間、当該担保権の目的となつている貯金等に係る債権(機構が取得した部分に限る。)の額に相当する金額を限度として、政令で定めるところにより、保険金の支払を保留することができる。
第六十一条第一項中「合併(経営困難農水産業協同組合と合併する農水産業協同組合が存続するものに限る。以下同じ。)」を「合併等」に改め、「でないもの」の下に「又は合併等を行う漁業協同組合連合会(水産業協同組合法第八十七条第一項第二号の事業を行うものに限り、かつ、特定漁業協同組合連合会であるものを除く。次項及び第六十七条の二において同じ。)」を加え、「救済農水産業協同組合」を「救済農水産業協同組合等」に、「合併を」を「合併等を」に改め、同条第二項中「農水産業協同組合は」を「農水産業協同組合等(農水産業協同組合及び漁業協同組合連合会をいう。以下同じ。)は」に、「農水産業協同組合に」を「農水産業協同組合等に」に改め、同条に次の一項を加える。
3 第一項の「合併等」とは、次に掲げるものをいう。
一 経営困難農水産業協同組合と合併する農水産業協同組合等が存続する合併
二 信用事業譲渡等で経営困難農水産業協同組合がその信用事業の全部を他の農水産業協同組合等に譲渡するもの
第六十二条第一項中「農水産業協同組合連合会又は」を「農水産業協同組合連合会(特定漁業協同組合連合会にあつては、経営困難農水産業協同組合でないものに限る。)又は」に、「農水産業協同組合に」を「農水産業協同組合等に」に、「合併」を「合併等」に改め、同条第二項中「農水産業協同組合に係る」を「農水産業協同組合等に係る」に改め、同項第一号中「農水産業協同組合の」を「農水産業協同組合(特定漁業協同組合連合会を除く。以下この号において同じ。)の」に、「救済農水産業協同組合又は経営困難農水産業協同組合」を「救済農水産業協同組合等又は経営困難農水産業協同組合である農業協同組合、漁業協同組合又は水産加工業協同組合」に改め、同項第二号中「前号」を「前二号」に改め、同号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。
二 漁業協同組合連合会(水産業協同組合法第八十七条第一項第二号の事業を行うものに限る。以下この号において同じ。)の相互扶助に資することを目的として、全国の区域を対象に漁業協同組合連合会及び農林中央金庫が行う取決めであつて、漁業協同組合連合会が当該目的のため農林中央金庫に預け入れた預金その他の資金を原資として、農林中央金庫が救済農水産業協同組合等又は経営困難農水産業協同組合である漁業協同組合連合会に対し資金の貸付けその他の援助を行うことを定めるもの
第六十三条第一項中「合併に」を「合併等に」に、「農水産業協同組合は」を「農水産業協同組合等は」に、「当該合併後存続する農水産業協同組合」を「合併後存続する農水産業協同組合等又は信用事業の全部若しくは一部を譲り受ける農水産業協同組合等」に改め、同条第三項中「合併」を「合併等」に、「農水産業協同組合の」を「農水産業協同組合等の」に改め、同条第四項第一号中「合併又は信用事業再建措置(以下「合併等」という。)」を「合併等又は信用事業再建措置」に改め、同項第二号及び第三号中「合併等」の下に「又は信用事業再建措置」を加え、同項第四号中「農水産業協同組合又は」を「農水産業協同組合等、信用事業の全部若しくは一部を譲り受ける農水産業協同組合等又は」に改め、同条第六項及び第七項中「に係る農水産業協同組合」を「に係る農水産業協同組合等」に改める。
第六十四条の見出し中「合併」を「合併等」に改め、同条第一項中「他の農水産業協同組合」を「他の農水産業協同組合等」に、「合併」を「合併等」に改め、同条第二項中「農水産業協同組合」を「農水産業協同組合等」に改め、同条第三項中「農水産業協同組合に」を「農水産業協同組合等に」に、「合併」を「合併等」に改める。
第六十五条第一項中「農水産業協同組合又は」を「農水産業協同組合等又は」に改め、同条第四項中「農水産業協同組合」を「農水産業協同組合等」に改め、「合併等」の下に「又は信用事業再建措置」を加え、同条第五項中「農水産業協同組合又は」を「農水産業協同組合等又は」に改める。
第六十六条の見出し中「合併等」の下に「又は信用事業再建措置」を加え、同条第一項中「農水産業協同組合又は」を「農水産業協同組合等又は」に、「合併」を「合併等」に、「救済農水産業協同組合」を「救済農水産業協同組合等」に改める。
第六十七条第一項中「農水産業協同組合」を「農水産業協同組合等」に、「又は水産業協同組合法の規定」を「若しくは水産業協同組合法の規定又は定款の定め」に、「合併」を「合併等」に改め、第三章第四節中同条の次に次の一条を加える。
(合併等を行つた漁業協同組合連合会の特例)
第六十七条の二 適格性の認定等を受けた救済農水産業協同組合等である漁業協同組合連合会が当該適格性の認定等に係る合併等を行つたときは、当該漁業協同組合連合会を特定漁業協同組合連合会とみなして、この法律の規定を適用する。
第三章第五節を削る。
第七十二条第一項第二号中「第五十九条第五項」の下に「及び第六十八条の三第五項」を加える。
第七十六条中「十万円」を「二十万円」に改め、同条第四号中「第四十条」を「第四十条第一項又は第二項」に改める。
第七十七条中「十万円」を「二十万円」に改める。
第五章を第六章とする。
第四章中第七十条の次に次の一条を加える。
(政令への委任)
第七十条の二 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。
第四章を第五章とする。
第三章の次に次の一章を加える。
第四章 貯金等債権の買取り
(貯金等債権の買取り)
第六十八条 機構は、第五十九条第一項各号に掲げる場合には、委員会の議決を経て、当該各号の保険事故に係る貯金等債権(貯金者等が当該保険事故の発生した農水産業協同組合に対して有する貯金等(地方公共団体から受け入れた貯金、特定漁業協同組合連合会が農水産業協同組合である会員から受け入れた貯金その他の政令で定める貯金等を除く。)に係る債権であつて、担保権の目的となつていないものをいう。以下同じ。)の買取りを行うことを決定することができる。
2 前項の買取りは、第六十八条の三第一項又は第三項の規定により公告した買取期間内に、前項の保険事故に係る貯金者等が有する貯金等債権(保険金の支払の請求があつたことにより機構が取得した部分を除く。)を、その請求に基づいて、概算払額に相当する金額で買い取ることにより行うものとする。ただし、機構は、その買取りに係る貯金等債権の回収をした場合において、当該回収によつて得た金額から当該買取りに要した費用として政令で定めるものの額を控除した金額が、当該買取りに係る概算払額に相当する金額を超えるときは、その超える金額を当該貯金者等に対して支払うものとする。
3 前項に規定する概算払額は、機構が貯金者等から買い取る貯金等債権の額から、保険事故が発生した日から当該買取りの日までの期間に対応する利息その他これに準ずるもので政令で定めるものの額を控除した額に、次条第一項の規定により機構が定める率(以下「概算払率」という。)を乗じて計算した金額とする。
4 機構は、貯金者等が第二項の買取期間内に同項の請求をしなかつたことにつき災害その他やむを得ない事情があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、当該買取期間経過後であつても、当該貯金者等の貯金等債権の買取りを行うことができる。
(概算払率等)
第六十八条の二 機構は、前条第一項の決定においては、委員会の議決を経て、当該決定に係る買取りの概算払率を定めるものとし、当該決定について主務大臣の認可を受けなければならない。
2 委員会は、前項の概算払率に係る議決を行う場合には、前条第一項の決定に係る農水産業協同組合の財務の状況に照らし、当該農水産業協同組合について破産手続が行われたならば当該農水産業協同組合に係る貯金等債権について弁済を受けることができると見込まれる額を考慮し、機構の資産の効率的な利用に配意しなければならない。
3 主務大臣は、都道府県知事の監督に係る農水産業協同組合に対し第一項の認可を行うときは、当該都道府県知事に協議しなければならない。
(買取りの公告等)
第六十八条の三 機構は、前条第一項の認可を受けたときは、速やかに、委員会の議決を経て、貯金等債権の買取りに係る買取期間、買取場所、概算払額の支払方法その他政令で定める事項を定め、これを当該認可に係る概算払率とともに公告しなければならない。
2 機構は、前項の規定による公告をした後に当該農水産業協同組合が破産の宣告を受け、又は当該農水産業協同組合について和議開始の決定があつたときは、政令で定めるところにより、その公告した買取期間を変更することができる。
3 機構は、前項の規定により買取期間を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る事項を公告しなければならない。
4 機構は、第六十八条第二項ただし書の規定による支払をするときは、あらかじめ、委員会の議決を経て、支払額、支払期間その他政令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
5 第五十八条第四項の規定は、第一項に規定する事項を定めた場合、第二項の規定により買取期間を変更した場合及び前項に規定する事項を定めた場合について準用する。
6 第五十九条第六項の規定は、第六十八条第二項の規定による買取りに係る概算払額に相当する金額の支払(以下「概算払額の支払」という。)について準用する。
(課税関係)
第六十八条の四 貯金者等がその有する貯金等債権について概算払額の支払を受けた場合には、当該概算払額の支払を受けた金額(以下この条において「概算払の金額」という。)が当該概算払額の支払の日における当該貯金等債権のうち元本の額として政令で定める金額(以下この条において「基準日における元本額」という。)以下であるときにあつては当該概算払の金額は当該貯金等債権のうち元本の払戻しの額とみなし、当該概算払の金額が当該基準日における元本額を超えるときにあつては当該概算払の金額のうち当該基準日における元本額に相当する部分の金額は当該貯金等債権のうち元本の払戻しの額と、当該概算払の金額のうちその超える部分の金額は当該貯金等債権に係る貯金等の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額とみなして、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
一 貯金 当該貯金の利子
二 定期積金 当該定期積金に係る契約に基づく給付補てん金(所得税法第百七十四条第三号に掲げる給付補てん金をいう。)
2 貯金者等が第六十八条第二項ただし書の規定による支払を受けた場合には、当該支払に係る貯金等債権につき支払を受けた金額(以下この項において「精算払の金額」という。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額とみなして、所得税法その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
一 精算払の金額と当該貯金等債権に係る概算払の金額との合計額(次号において「精算払の金額と概算払の金額との合計額」という。)が、当該貯金等債権に係る基準日における元本額以下である場合 当該貯金等債権のうち元本の払戻しの額
二 精算払の金額と概算払の金額との合計額が当該貯金等債権に係る基準日における元本額を超え、かつ、当該貯金等債権に係る概算払の金額が当該基準日における元本額以下である場合 次に掲げる精算払の金額の区分に応じそれぞれ次に定める額
イ 当該精算払の金額のうち、当該基準日における元本額から当該概算払の金額を控除した金額に相当する金額 当該貯金等債権のうち元本の払戻しの額
ロ 当該精算払の金額のうち、精算払の金額と概算払の金額との合計額から当該基準日における元本額を控除した金額に相当する金額 当該貯金等債権に係る貯金等の前項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額
三 当該貯金等債権に係る概算払の金額が当該貯金等債権に係る基準日における元本額を超える場合 当該貯金等債権に係る貯金等の前項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額
3 前二項の規定の適用がある場合における租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第四条の二及び第四条の三の規定の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
附則第七条から第十一条までを次のように改める。
(資金援助の特例)
第七条 機構は、平成十三年三月三十一日までを限り、第六十一条第一項又は第六十二条第一項の規定による申込みがあつた場合において、当該申込みに係る資金援助に要すると見込まれる費用が、当該資金援助に係る経営困難農水産業協同組合の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用を超えると認めるときは、当該申込みに係る第六十五条第一項の委員会の議決を経る前に、主務大臣にその旨を報告しなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該報告のされた資金援助の申込みに係る合併等又は信用事業再建措置が行われなければ信用秩序の維持に大きな支障が生ずるおそれがあると認めるときは、信用秩序の維持のために当該合併等又は信用事業再建措置を行う必要がある旨の認定を行い、その旨を機構に通知しなければならない。
3 第六十三条第六項の規定は、前項の認定を行う場合について準用する。
4 主務大臣は、第二項の認定を行う場合において、必要があると認めるときは、農林中央金庫又は日本銀行に対し、意見を求めることができる。
5 第六十五条第二項の規定は、第二項の認定を受けた合併等又は信用事業再建措置に係る資金援助(以下「特別資金援助」という。)について同条第一項の委員会の議決を行う場合には、適用しない。この場合において、委員会は、特別資金援助が合併等又は信用事業再建措置に係る経営困難農水産業協同組合の財務の状況に照らし当該合併等又は信用事業再建措置が行われるために必要な範囲を超えていないと認めるときは、当該特別資金援助を行う旨の決議をすることができる。
6 第六十五条第三項の規定は、特別資金援助について同条第一項の規定による決定をしようとする場合には、適用しない。
(貯金等債権の買取りの特例)
第八条 機構は、平成十三年三月三十一日までを限り、第六十八条第一項の規定により貯金等債権の買取りを行うことを決定しようとするときは、あらかじめその旨を主務大臣に報告しなければならない。
2 主務大臣は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該報告のされた貯金等債権の買取りに係る概算払率が第六十八条の二第二項の規定に基づき定められたならば信用秩序の維持に大きな支障が生ずるおそれがあると認めるときは、信用秩序の維持のために必要と認められる概算払率(以下「特別払戻率」という。)を定め、これを機構に通知しなければならない。
3 第六十八条の二第三項及び前条第四項の規定は、前項の特別払戻率を定める場合について準用する。
4 機構は、概算払率を特別払戻率とする貯金等債権の買取り(以下「貯金等債権の特別買取り」という。)に係る第六十八条第一項の規定による決定をしたときは、第六十八条の二第一項の規定による認可を受けることを要しない。
(区分経理)
第九条 機構は、次に掲げる業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「特別勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
一 第三十四条第三号に掲げる業務のうち、特別資金援助
二 第三十四条第四号に掲げる業務のうち、貯金等債権の特別買取り
三 次条第一項に規定する特別保険料の収納
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務
2 機構は、特別資金援助を行つたときは、一般勘定(特別勘定以外の一般の勘定をいう。以下同じ。)から、当該特別資金援助に係る経営困難農水産業協同組合の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用に相当する金額を、特別勘定に繰り入れるものとする。
3 第一項の規定により特別勘定が設けられている場合には、第三十四条第一号中「保険料の収納」とあるのは「保険料の収納及び附則第十条の規定による特別保険料の収納」と、第五十一条第二項中「機構の業務に要する費用」とあるのは「機構の業務に要する費用(附則第九条第一項各号に掲げる業務に要する費用(同条第二項の規定により一般勘定から特別勘定へ繰り入れられるものを除く。)を除く。)」と、同条第三項中「資金の借入れ」とあるのは「資金の借入れ(附則第九条第一項に規定する特別勘定において経理されるものを除く。)」とする。
(特別保険料)
第十条 農水産業協同組合は、平成八年から平成十二年までの間、第五十条第一項に規定する保険料のほか、前条第一項各号に掲げる業務の実施に要する費用に充てるため、機構に対し、特別保険料を納付しなければならない。
2 第五十条、第五十一条第一項及び第五十二条から第五十四条までの規定は、前項の特別保険料について準用する。この場合において、第五十一条第一項中「機構が委員会の議決を経て定める率(以下「保険料率」という。)」とあるのは、「附則第十条第三項に規定する特別保険料率」と読み替えるものとする。
3 特別保険料率は、前条第一項各号に掲げる業務に要する費用の予想額(同条第二項の規定による一般勘定から特別勘定への繰入れにより賄われると見込まれる費用の額を除く。)及び農水産業協同組合の財務の状況を勘案し、政令で定めるものとする。この場合において、政令で定める特別保険料率は、特定の農水産業協同組合に対し差別的なものであつてはならない。
(特別勘定の廃止等)
第十一条 機構は、平成十三年度末において、特別勘定を廃止するものとし、その廃止の際特別勘定に属する資産及び負債については、政令で定めるところにより、一般勘定に帰属させるものとする。
附則に次の一条を加える。
(罰則)
第十二条 附則第七条第一項又は第八条第一項の規定による報告をしなかつた機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に漁業協同組合から水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第二号の事業を譲り受けた漁業協同組合連合会であって、施行日において現に同法第八十七条第一項第二号の事業を行っているものについては、当該漁業協同組合連合会を改正後の農水産業協同組合貯金保険法(以下「新法」という。)第二条第一項第三号に掲げる漁業協同組合連合会(以下「特定漁業協同組合連合会」という。)とみなして、新法の規定を適用する。ただし、施行日において現に新法第四十九条第二項に規定する保険事故が発生している漁業協同組合連合会その他これに準ずるものとして政令で定める漁業協同組合連合会については、この限りでない。
2 前項ただし書に規定する漁業協同組合連合会のうち、施行日後にその事業及び財産の状況が再び正常になったと認められるもので、主務大臣が指定するものについては、その指定の日から、特定漁業協同組合連合会とみなして、新法の規定を適用する。
第三条 新法第四十条第一項の規定は、平成八年四月一日に始まる事業年度に係る同項に規定する書類から適用する。
2 新法第四十条第三項の規定は、平成七年四月一日に始まる事業年度に係る同項に規定する書類から適用する。
第四条 特定漁業協同組合連合会(附則第二条の規定により特定漁業協同組合連合会とみなされる漁業協同組合連合会を含む。)は、新法第五十条第一項の規定にかかわらず、施行日後一月以内に、施行日の属する年において納付すべき保険料を納付しなければならない。
2 前項の保険料の額については、新法第五十一条第一項中「当該保険料を納付すべき日」とあるのは「農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律(平成八年法律第九十七号)の施行の日」と、「計算した金額」とあるのは「計算した金額を十二で除し、これにその施行の日の属する月以後同日の属する年の十二月までの月数を乗じて得た金額」とする。
第五条 新法第五十六条及び第六十条の規定は、施行日以後に発生する保険事故に係る保険金について適用し、施行日前に発生した保険事故に係る保険金については、なお従前の例による。
第六条 新法第四章の規定及び新法附則第八条の規定は、平成九年四月一日前に発生した保険事故に係る新法第六十八条第一項に規定する貯金等債権については、適用しない。
第七条 施行日前に改正前の農水産業協同組合貯金保険法第六十一条第一項又は第六十二条第一項の規定による申込みがあった資金援助であって、施行日において当該申込みに係る第六十五条第一項の委員会の議決を経ていないものについては、新法附則第七条の規定を適用する。
第八条 農水産業協同組合(附則第二条の規定により特定漁業協同組合連合会とみなされる漁業協同組合連合会を含む。)は、新法附則第十条第二項において準用する新法第五十条第一項の規定にかかわらず、施行日後一月以内に、施行日の属する年において納付すべき特別保険料を納付しなければならない。
2 前項の特別保険料の額については、新法附則第十条第二項において準用する新法第五十一条第一項中「当該保険料を納付すべき日」とあるのは「農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律(平成八年法律第九十七号)の施行の日」と、「計算した金額」とあるのは「計算した金額を十二で除し、これにその施行の日の属する月以後同日の属する年の十二月までの月数を乗じて得た金額」とする。
第九条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(地方税法の一部改正)
第十条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十三条第一項第十四号イ中「並びに預金保険法」を「、預金保険法」に、「を含み」を「並びに農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第六十八条第一項の規定による買取りの対価(同法第六十八条の四第一項の規定により同項第一号に掲げる利子の額とみなされる金額に相当する部分に限る。)及び同法第六十八条第二項ただし書の規定による支払(同法第六十八条の四第二項の規定により同条第一項第一号に掲げる利子の額とみなされる金額に相当する部分に限る。)を含み」に改め、同号へ中「を含む」を「並びに農水産業協同組合貯金保険法第六十八条第一項の規定による買取りの対価(同法第六十八条の四第一項の規定により同項第二号に掲げる給付補てん金の額とみなされる金額に相当する部分に限る。)及び同法第六十八条第二項ただし書の規定による支払(同法第六十八条の四第二項の規定により同条第一項第二号に掲げる給付補てん金の額とみなされる金額に相当する部分に限る。)を含む」に改める。
大蔵大臣 久保亘
農林水産大臣 大原一三
自治大臣 倉田寛之
内閣総理大臣 橋本龍太郎