(森林整備市町村の指定)
第十条の七 都道府県知事は、次に掲げる要件に該当する市町村を森林整備市町村として指定することができる。
一 当該市町村の区域内にある地域森林計画の対象となつている民有林の面積が政令で定める面積以上であるか、又はその民有林の面積のうち人工植栽に係る森林の面積の占める比率が都道府県ごとに政令で定める比率以上であること。
二 当該市町村の区域内にある地域森林計画の対象となつている民有林であつて一体的かつ計画的に間伐又は保育を推進する必要のあるものが相当規模以上集団的に存在すること。
2 都道府県知事は、森林整備市町村の指定をしようとするときは、当該市町村に協議しなければならない。
3 都道府県知事は、森林整備市町村の指定をしたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、農林水産大臣に報告しなければならない。
4 都道府県知事は、森林整備市町村が第一項各号に掲げる要件の全部又は一部に該当しなくなつたと認めるときは、森林整備市町村の指定を解除するものとする。
5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による解除について準用する。
(森林整備計画)
第十条の八 森林整備市町村は、地勢その他の条件を勘案し、前条第一項第二号に規定する森林で相当規模以上集団的に存在するものにつき、間伐、保育その他森林の整備に関し、五年ごとに、十年を一期とする森林整備計画をたてなければならない。ただし、当該森林の属する森林計画区に係る地域森林計画の期間の開始する時期と異なる時期をその期間の開始する時期とする森林整備計画については当該森林整備計画の期間の終了する時期は当該地域森林計画の期間の終了する時期として、当該森林整備計画に引き続く次の森林整備計画についてはその期間の開始する時期は当該地域森林計画に引き続きたてられる次の地域森林計画の期間の開始する時期として、たてなければならない。
2 森林整備市町村の区域が二以上の森林計画区にわたる場合には、当該森林整備市町村は、前項に規定する森林の属する森林計画区別に、森林整備計画をたてなければならない。
3 森林整備計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
三 間伐立木材積、間伐を実施すべき標準的な林齢その他間伐及び保育の基準
四 間伐は保育が適正に実施されていない森林であつてこれらを早急に実施する必要のあるもの(以下「特定森林」という。)の所在及び特定森林について実施すべき間伐又は保育の方法及び時期に関する事項
五 作業路網その他森林の整備のために必要な施設の整備に関する事項
4 前項第四号の間伐又は保育の方法及び時期に関する事項は、地域森林計画の達成のため必要な限度において定めなければならない。
5 森林整備計画は、地域森林計画に適合したものでなければならない。
6 森林整備市町村は、森林整備計画をたてようとするときは、都道府県知事の承認を受けなければならない。
7 森林整備市町村は、森林整備計画をたてたときは、遅滞なく、これを公表するとともに、都道府県知事に当該森林整備計画書の写しを送付しなければならない。
8 第七条の規定は、森林整備計画について準用する。この場合において、同条中「第五条第六項」とあるのは「第十条の八第七項」と、「都道府県知事」とあるのは「森林整備市町村の長」と読み替えるものとする。
(森林整備計画の変更)
第十条の九 都道府県知事は、地域森林計画の変更により森林整備計画が地域森林計画に適合しなくなつたと認めるときは、当該森林整備計画に係る森林整備市町村に対し、当該森林整備計画を変更すべき旨を通知しなければならない。
2 森林整備市町村は、前項の規定による通知を受けたときは、森林整備計画を変更しなければならない。
3 森林整備市町村は、前項の場合を除くほか、森林の現況等に変動があつたため必要があると認めるときは、森林整備計画を変更することができる。
4 第七条並びに前条第六項及び第七項の規定は、森林整備計画の変更について準用する。この場合において、第七条中「第五条第六項」とあるのは「第十条の九第四項において準用する第十条の八第七項」と、「都道府県知事」とあるのは「森林整備市町村の長」と読み替えるものとする。
(間伐又は保育についての勧告)
第十条の十 森林整備市町村の長は、特定森林についての間伐又は保育が森林整備計画において定められている当該特定森林に係る間伐又は保育の方法及び時期に関する事項に従つて実施されていない場合において、森林整備計画の達成上必要があるときは、当該特定森林の森林所有者等に対し、期限を定めて、当該事項に従つて間伐又は保育を実施すべき旨を勧告することができる。
2 森林整備市町村の長は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わないとき、又は従う見込みがないと認めるときは、その者に対し、当該特定森林又は当該特定森林の立木について所有権又は使用及び収益を目的とする権利を取得しようとする者で森林整備市町村の長の指定を受けたものと当該特定森林又は当該特定森林の立木についての所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転に関し協議すべき旨を勧告することができる。
(都道府県知事の調停)
第十条の十一 森林整備市町村の長が前条第二項の規定による勧告をした場合において、その勧告に係る協議が調わず、又は協議をすることができないときは、同項の指定を受けた者は、その勧告があつた日から起算して二月以内に、省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、その協議に係る所有権の移転又は使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転につき必要な調停をなすべき旨を申請することができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による申請があつたときは、速やかに調停を行うものとする。
3 都道府県知事は、第一項の調停を行う場合には、当事者の意見を聴くとともに、当該森林整備市町村の長に対し、助言、資料の提供その他必要な協力を求めて、調停案を作成しなければならない。
4 都道府県知事は、前項の規定により調停案を作成したときは、これを当事者に示してその受諾を勧告するものとする。
(報告の徴収)
第十条の十二 森林整備市町村の長は、森林整備計画の達成のため必要があるときは、特定森林の森林所有者等からその森林の現況又は施業の状況に関する報告を徴することができる。