(目的)
第一条 この法律は、経済の多様かつ構造的な変化に対処するため、特定産業集積の有する機能を活用しつつ、その活性化を促進する措置を講ずることにより、地域産業の自律的発展の基盤の強化を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「基盤的技術産業」とは、工業製品の設計、製造又は修理に係る技術のうち汎用性を有し、製造業の発展を支えるもの(第三項において「基盤的技術」という。)を主として利用して行う事業が属する業種であって、製造業又は機械修理業、ソフトウェア業、デザイン業、機械設計業その他の工業製品の設計、製造若しくは修理と密接に関連する事業活動を行う業種に属するもの(海外の地域における工業化の進展による影響を受けている業種と関連性が高いものに限る。)として政令で定めるものをいい、「特定事業者」とは、基盤的技術産業に属する事業を行う者をいう。
2 この法律において「基盤的技術産業集積」とは、自然的経済的社会的条件からみて一体である地域において、基盤的技術産業に属する事業を相当数の者が有機的に連携しつつ行っている場合の当該事業者の集積をいう。
3 この法律において「特定基盤的技術の高度化等」とは、特定事業者が次に掲げる措置を行うことにより、当該特定事業者の有する基盤的技術の水準が向上し、又はその適用範囲が拡大することをいう。
一 新商品の開発及び生産(製造業以外の業種の場合は、新役務の開発及び提供)であって、生産に係る商品(製造業以外の業種の場合は、提供に係る役務)の構成を相当程度変化させるもの
二 新たな生産の方式(製造業以外の業種の場合は、新たな提供の方式)の導入であって、商品の生産(製造業以外の業種の場合は、役務の提供。第四号及び第五号において「商品の生産等」という。)を著しく効率化するもの
三 新たな原材料、部品又は半製品の使用であって、商品の生産に係る費用を相当程度低減するもの
四 設備の能率の向上であって、商品の生産等を著しく効率化するもの
五 設備の増設であって、商品の生産等を著しく増加するもの
4 この法律において「基盤的技術産業集積の活性化」とは、基盤的技術産業集積の存在する地域において特定基盤的技術の高度化等により、当該基盤的技術産業集積の有する機能が強化され、かつ、当該基盤的技術産業集積における事業の構造が高度化することをいう。
5 この法律において「中小企業者」とは、次の各号の一に該当する者をいう。
一 資本の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であって、工業、鉱業、運送業その他の業種(次号に掲げる業種及び第三号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であって、小売業又はサービス業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの並びに資本の額又は出資の総額が三千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であって、卸売業(次号の政令で定める業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本の額又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの
六 事業協同組合、協同組合連合会その他の特別の法律により設立された組合及びその連合会であって、政令で定めるもの
6 この法律において「特定中小企業集積」とは、自然的経済的社会的条件からみて一体である地域において、工業に属する特定の事業又はこれと関連性が高い事業を相当数の中小企業者が有機的に連携しつつ行っている場合の当該中小企業者の集積をいう。
7 この法律において「特定中小企業集積の活性化」とは、特定中小企業集積の存在する地域において中小企業者によって新たな経済的環境に即応した事業が行われることにより、当該特定中小企業集積の有する機能が強化され、かつ、当該特定中小企業集積における事業の構造が高度化することをいう。
8 この法律において「特定産業集積」とは、基盤的技術産業集積及び特定中小企業集積をいう。
(特定産業集積の活性化を促進する措置)
第三条 この法律に基づく基盤的技術産業集積に係る措置は、その活性化を図ることが特に必要であると認められる基盤的技術産業集積について、特定基盤的技術の高度化等による基盤的技術産業集積の活性化が図られるよう講ずるものとする。
2 この法律に基づく特定中小企業集積に係る措置は、第一号に掲げる特定中小企業集積について、第二号に掲げる事業の分野への進出による特定中小企業集積の活性化が図られるよう講ずるものとする。
一 次に掲げる要件に該当する特定中小企業集積
イ 当該特定中小企業集積の活性化を図ることが特に必要であると認められること。
ロ 当該特定中小企業集積の活性化を図ることが、その存在する地域の中小企業全体の発展にとって有効かつ適切であると認められること。
二 新たな経済的環境に即応した事業の分野であって、次に掲げる要件に該当するもの
イ 当該特定中小企業集積における事業と関連性が高い事業の分野であること。
(活性化指針)
第四条 主務大臣は、特定産業集積の活性化に関する指針(以下「活性化指針」という。)を定めなければならない。
2 活性化指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
二 基盤的技術産業集積の活性化に関する次に掲げる事項
イ 基盤的技術産業集積の活性化を促進する措置を講ずべき基盤的技術産業集積に関する事項
ロ 基盤的技術産業のうち基盤的技術産業集積の活性化の上で中核となる業種(以下「中核的業種」という。)に関する事項
ハ 特定基盤的技術の高度化等の目標の設定に関する事項
ニ 特定基盤的技術の高度化等に資する施設の整備、特定基盤的技術の高度化等に関する調査研究及びその成果の普及、特定事業者の交流又は連携の推進、特許権その他の工業所有権に関する指導及び情報の提供その他の事業であって、基盤的技術産業集積の活性化を支援するためのもの(以下「基盤的技術産業集積活性化支援事業」という。)に関する事項
ホ イからニまでに掲げるもののほか基盤的技術産業集積の活性化の促進に関する重要事項
ヘ 特定事業者による特定基盤的技術の高度化等について指針となるべき事項
三 特定中小企業集積の活性化に関する次に掲げる事項
イ 特定中小企業集積の活性化を促進する措置を講ずべき特定中小企業集積に関する事項
ロ 特定中小企業集積の活性化に寄与する事業の分野(以下「特定分野」という。)の設定に関する事項
ハ 特定分野に係る事業に関する目標の設定に関する事項
ニ 特定分野に関する調査研究及びその成果の普及、中小企業者の交流又は連携の推進、中小企業者に有益な技術又は経営方法の奨励、特許権その他の工業所有権に関する指導及び情報の提供その他の事業であって、特定中小企業集積の活性化を支援するためのもの(以下「特定中小企業集積活性化支援事業」という。)に関する事項
ホ イからニまでに掲げるもののほか特定中小企業集積の活性化の促進に関する重要事項
ヘ 中小企業者による特定分野への進出について指針となるべき事項
3 主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、活性化指針を変更するものとする。
4 主務大臣は、活性化指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、特定中小企業集積の活性化に係る部分については中小企業近代化審議会の意見を聴かなければならない。
5 主務大臣は、活性化指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。