(設立)
第三十七条 弁理士は、この章の定めるところにより、特許業務法人を設立することができる。
(名称)
第三十八条 特許業務法人は、その名称中に特許業務法人という文字を使用しなければならない。
(社員の資格)
第三十九条 特許業務法人の社員は、弁理士でなければならない。
2 次に掲げる者は、社員となることができない。
一 第三十二条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
二 第五十四条の規定により特許業務法人が解散又は業務の停止を命ぜられた場合において、その処分の日以前三十日内にその社員であった者でその処分の日から三年(業務の停止を命ぜられた場合にあっては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの
(業務の範囲)
第四十条 特許業務法人は、第四条第一項の業務を行うほか、定款で定めるところにより、同条第二項及び第三項の業務の全部又は一部を行うことができる。
第四十一条 前条に規定するもののほか、特許業務法人は、第五条及び第六条の規定により弁理士が処理することができる事務を当該特許業務法人の社員又は使用人である弁理士(以下「社員等」という。)に行わせる事務の委託を受けることができる。この場合において、当該特許業務法人は、委託者に、当該特許業務法人の社員等のうちからその補佐人又は訴訟代理人を選任させなければならない。
(登記)
第四十二条 特許業務法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(設立の手続)
第四十三条 特許業務法人を設立するには、その社員になろうとする弁理士が、共同して定款を定めなければならない。
2 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
(成立の時期)
第四十四条 特許業務法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
(成立の届出)
第四十五条 特許業務法人は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記簿の謄本及び定款を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(業務を執行する権限)
第四十六条 特許業務法人の社員は、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。
(定款の変更)
第四十七条 特許業務法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
(特定の事件についての業務の制限)
第四十八条 特許業務法人は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行ってはならない。ただし、第三号に規定する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 第三項各号に掲げる事件として特許業務法人の社員の半数以上の者が関与してはならない事件
2 特許業務法人の社員等は、前項各号に掲げる事件については、自己又は第三者のためにその業務を行ってはならない。
3 特許業務法人の社員等は、当該特許業務法人が行う業務であって、次の各号のいずれかに該当する事件に係るものには関与してはならない。
一 社員等が当該特許業務法人の社員等となる前に相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 社員等が当該特許業務法人の社員等となる前に相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
四 社員等が仲裁手続により仲裁人として取り扱った事件
五 社員等が当該特許業務法人の社員等となる前に他の特許業務法人の社員等としてその業務に従事していた期間内に、その特許業務法人が相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
六 社員等が当該特許業務法人の社員等となる前に他の特許業務法人の社員等としてその業務に従事していた期間内に、その特許業務法人が相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
(業務の執行方法)
第四十九条 特許業務法人は、弁理士でない者にその業務を行わせてはならない。
(弁理士の業務に関する規定の準用)
第五十条 第二十九条の規定は、特許業務法人について準用する。
(法定脱退)
第五十一条 特許業務法人の社員は、次に掲げる理由によって脱退する。
(解散)
第五十二条 特許業務法人は、次に掲げる理由によって解散する。
2 特許業務法人は、前項の規定による場合のほか、社員が一人になり、そのなった日から引き続き六月間その社員が二人以上にならなかった場合においても、その六月を経過した時に解散する。
3 特許業務法人は、第一項第三号及び第六号の事由以外の事由により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(合併)
第五十三条 特許業務法人は、総社員の同意があるときは、他の特許業務法人と合併することができる。
2 合併は、合併後存続する特許業務法人又は合併によって成立した特許業務法人が、その主たる事務所の所在地において登記することによって、その効力を生ずる。
3 特許業務法人は、合併したときは、合併の日から二週間以内に、登記簿の謄本(合併によって設立した特許業務法人にあっては、登記簿の謄本及び定款)を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
(違法行為等についての処分)
第五十四条 経済産業大臣は、特許業務法人がこの法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるときは、その特許業務法人に対し、戒告し、若しくは二年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができる。
2 第三十三条、第三十四条及び第三十六条の規定は、前項の処分について準用する。
3 第一項の規定は、同項の規定により特許業務法人を処分する場合において、当該特許業務法人の社員等につき第三十二条に該当する事実があるときは、その社員等である弁理士に対し、懲戒の処分を併せて行うことを妨げるものと解してはならない。
(民法の準用等)
第五十五条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第五十条、第五十五条及び第八十一条から第八十三条まで並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第三十五条第二項、第三十六条、第百二十六条第一項、第百三十四条から第百三十五条ノ五まで、第百三十五条ノ八、第百三十六条から第百三十七条まで、第百三十八条及び第百三十八条ノ三の規定は、特許業務法人について準用する。
2 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三十二条から第三十六条までの規定は特許業務法人の帳簿その他の書類について、同法第五十八条及び第五十九条の規定は特許業務法人について、それぞれ準用する。この場合において、同法第五十八条及び第五十九条第一項中「株主」とあるのは、「社員」と読み替えるものとする。
3 商法第六十八条、第六十九条及び第七十二条から第七十五条までの規定は、特許業務法人の内部の関係について準用する。
4 商法第七十六条から第八十三条までの規定は、特許業務法人の外部の関係について準用する。
5 商法第八十四条、第八十六条第一項及び第二項(除名及び代表権の喪失に関する部分に限る。)並びに第八十七条から第九十三条までの規定は、特許業務法人の社員の脱退について準用する。
6 商法第百条、第百三条から第百六条まで及び第百九条から第百十一条までの規定は、特許業務法人の合併について準用する。
7 商法第百十六条から第百十九条まで、第百二十条から第百二十二条まで、第百二十四条第一項及び第二項、第百二十五条、第百二十六条、第百二十八条から第百三十三条まで、第百三十四条ノ二、第百三十五条、第百三十六条、第百三十八条並びに第百四十三条から第百四十五条までの規定は、特許業務法人の清算について準用する。この場合において、同法第百十七条第二項及び第百二十二条中「第九十四条第四号又ハ第六号」とあるのは、「弁理士法第五十二条第一項第五号若ハ第六号又ハ第二項」と読み替えるものとする。
8 商法第百六十七条の規定は、特許業務法人の定款について準用する。
9 破産法(大正十一年法律第七十一号)第百二十七条の規定の適用については、特許業務法人は、合名会社とみなす。