日本赤十字社法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百五号
日本赤十字社法
目次
第一章
総則(第一條―第十條)
第二章
社員(第十一條―第十五條)
第三章
管理(第十六條―第二十六條)
第四章
業務(第二十七條―第三十五條)
第五章
監督及び助成(第三十六條―第三十九條)
第六章
罰則(第四十條・第四十一條)
附則
第一章 総則
(目的)
第一條 日本赤十字社は、赤十字に関する諸條約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。
(国際性)
第二條 日本赤十字社は、赤十字に関する国際機関及び各国赤十字社と協調を保ち、国際赤十字事業の発展に協力し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない。
(自主性の尊重)
第三條 日本赤十字社の特性にかんがみ、その自主性は、尊重されなければならない。
(法人格及び組織)
第四條 日本赤十字社は、法人とする。
2 日本赤十字社は、社員をもつて組織する。
(標章)
第五條 日本赤十字社は、その標章として、白地赤十字を使用する。
(主たる事務所)
第六條 日本赤十字社は、主たる事務所を東京都に置く。
(定款)
第七條 日本赤十字社は、定款をもつて、左に掲げる事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 社員に関する事項
五 役員、理事会、代議員及び代議員会に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 資産及び会計に関する事項
八 公告の方法
2 定款は、厚生大臣の認可を受けて変更することができる。
(登記)
第八條 日本赤十字社は、主たる事務所の変更その他政令で定める事項について、政令で定める手続により登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(解散)
第九條 日本赤十字社につき解散を必要とする事由が発生した場合において、その処置に関しては、別に法律で定める。
(民法の準用)
第十條 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四條(法人の不法行為能力)及び第五十條(法人の住所)の規定は、日本赤十字社に準用する。この場合において、同法第四十四條中「理事其他ノ代理人」とあるのは「社長、副社長、理事其他ノ代理人」と、「社員、理事」とあるのは「代議員、社長、副社長又ハ理事」と読み替えるものとする。
第二章 社員
(社員の平等取扱)
第十一條 何人も、社員となるにつき、及び社員の権利義務につき、人種、国籍、信條、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されることがない。
(社員の加入)
第十二條 日本赤十字社は、社員として加入しようとする者があるときは、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。
(社員の脱退)
第十三條 社員は、何時でも、脱退することができる。
2 社員は、左に掲げる事由によつて脱退する。
一 死亡
二 社費の未納額が定款で定める額に達したこと。
三 除名
3 前項第三号の除名は、定款で定める事由に該当する社員につき、定款の定めるところにより、代議員会の議決によつてすることができる。
4 除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもつてその社員に対抗することができない。
(社員の権利)
第十四條 社員は、左に掲げる権利を有する。
一 この法律の定めるところにより、日本赤十字社の役員及び代議員を選出し、並びにこれらの者に選出されること。
二 毎事業年度の日本赤十字社の業務及び収支決算の報告を受けること。
三 日本赤十字社に対し、その業務の運営に関し、代議員を通じて意見を述べること。
2 日本赤十字社は、公告をもつて、前項第二号の報告に代えることができる。
(社費)
第十五條 社員は、定款の定めるところにより、社費を納めるものとする。
第三章 管理
(役員)
第十六條 日本赤十字社に、役員として、社長一人、副社長二人以内、理事六十一人以内及び監事三人以内を置く。
(役員の職務権限)
第十七條 社長は、日本赤十字社を代表し、その業務を総理する。
2 副社長は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長に事故があるときはその職務を代行し、社長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長及び副社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長及び副社長にともに事故があるときは社長の職務を代行し、社長及び副社長がともに欠員のときは社長の職務を行う。
4 監事は、日本赤十字社の業務を監査する。
(役員の選出)
第十八條 役員は、社員の中から、代議員会において、選出する。
(役員の任期)
第十九條 役員の任期は、三年とする。
(理事会)
第二十條 社長、副社長及び理事をもつて理事会を構成する。
2 理事会は、定款の定めるところにより、日本赤十字社の重要な業務の執行について審議する。
(代議員会)
第二十一條 日本赤十字社に代議員会を置く。
2 代議員会は、定款の定めるところにより社員の中から選出された代議員をもつて組織する。
3 代議員会は、少くとも毎年一回、定款の定めるところにより、招集する。
(代議員会の議決事項)
第二十二條 左に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。但し、代議員会が軽微と認めた事項は、この限りでない。
一 収支予算
二 事業計画
三 収支決算の承認
四 定款の変更
五 その他定款で定めた事項
(代議員の任期)
第二十三條 代議員の任期は、三年とする。但し、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。
(役員の解任)
第二十四條 代議員会は、役員が心身の故障のため職務の執行の任にたえないと認めるとき、又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認めるときは、その役員の解任の議決をすることができる。
(事業年度)
第二十五條 日本赤十字社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(民法の準用)
第二十六條 民法第五十四條(代表権の制限)、第五十六條(仮理事)及び第五十七條(特別代理人)の規定は、日本赤十字社に準用する。この場合において、同法第五十四條中「理事」とあるのは「副社長又ハ理事」と、同法第五十六條中「理事」とあるのは「社長、副社長及ヒ理事」と、「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「厚生大臣ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ」と、同法第五十七條中「理事」とあるのは「社長、副社長又ハ理事」と、「此場合ニ於テハ前條ノ規定ニ依リテ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス」とあるのは「此場合ニ於テハ監事法人ヲ代表ス」と読み替えるものとする。
第四章 業務
(業務)
第二十七條 日本赤十字社は、第一條の目的を達成するため、左に掲げる業務を行う。
一 赤十字に関する諸條約に基く業務に従事すること。
二 非常災害時又は伝染病流行時において、傷病その他の災やくを受けた者の救護を行うこと。
三 常時、健康の増進、疾病の予防、苦痛の軽減その他社会奉仕のために必要な事業を行うこと。
四 前各号に掲げる業務のほか、第一條の目的を達成するために必要な業務
2 前項第一号及び第二号に掲げる業務には、第三十三條第一項の規定により国の委託を受けて行うものを含むものとする。
(救護員の確保)
第二十八條 日本赤十字社は、前條第一項第一号及び第二号に掲げる業務(以下「救護業務」という。)に従事させるために必要な者(以下「救護員」という。)を常時確保しておかなければならない。
(救護員の養成)
第二十九條 日本赤十字社は、前條の救護員を確保するために、必要があるときは、医師、看護婦その他の特殊技能者を養成しなければならない。
2 前項の養成は、日本赤十字社が学資その他の費用を負担して日本赤十字社の目的、特に日本赤十字社の行う救護業務に深い理解を有する者について行う。
3 前二項の規定による養成を受けた者は、日本赤十字社が、これらの者が救護員として救護業務に従事するのでなければその救護業務を適正に行うことができないと認めて、救護業務に従事すべきことを求めたときは、これに応ずるように努めなければならない。
(使用者の協力)
第三十條 前條第一項及び第二項の規定による養成を受けた者を雇用しようとするとき、又は雇用している場合において、使用者は、その者が、同條第三項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。
2 前條第一項及び第二項の規定による養成を受けた者が、同條第三項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事しようとする場合においては、使用者は、これに協力するように努めなければならない。
(実費弁償)
第三十一條 日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事した場合においては、その実費を弁償しなければならない。
(扶助金の支給)
第三十二條 日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事し、これがため負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第二十四條(従事命令)の規定により救助に関する業務に従事した者に係る扶助金に関する同法の規定の例により、扶助金を支給しなければならない。
(国の救護に関する業務の委託)
第三十三條 国は、赤十字に関する諸條約に基く国の業務及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。
2 前項の場合において、国は、同項の規定により委託すべき業務の実施に必要な施設又は設備を、あらかじめ、整備すべきことを日本赤十字社に命ずることができる。
3 国は、日本赤十字社が第一項の規定により委託された業務を実施するために支弁した費用を補償する。但し、他の法律に別段の定があるときは、その定に従う。
4 国は、日本赤十字社が第一項の規定により委託された業務を実施するため必要な施設又は設備を整備する場合においては、その整備に要する費用の全部又は一部を負担する。
(運送及び通信に関する便宜供与)
第三十四條 日本国有鉄道その他運送又は運送取扱を業とする者は、日本赤十字社が迅速且つ適正に救護業務を実施することができるように、救護員又は救護用の物資の運送に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
2 郵政大臣、日本電信電話公社、国際電信電話株式会社、日本放送協会又は一般放送事業者は、日本赤十字社が迅速且つ適正に救護業務に実施することができるように、救護業務に関する通信に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
(社会福祉事業の経営)
第三十五條 日本赤十字社は、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の定めるところにより、同法に規定する第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業を経営するものとする。
2 日本赤十字社が前項の規定により社会福祉事業を経営する場合においては、社会福祉事業法第七章(社会福祉事業)の規定及びこれに係る罰則の適用については、日本赤十字社は、社会福祉法人とみなす。
第五章 監督及び助成
(報告及び検査)
第三十六條 厚生大臣は、日本赤十字社に法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款を守らせるために必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして日本赤十字社の事務所その他の場所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の職員は、同項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督処分)
第三十七條 厚生大臣は、日本赤十字社が、その業務に関し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、日本赤十字社に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
(解任勧告)
第三十八條 厚生大臣は、日本赤十字社の役員が、日本赤十字社の業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又は著しく公益を害する行為をしたときは、日本赤十字社に対し、その役員の解任を勧告することができる。
(助成)
第三十九條 国又は地方公共団体は、日本赤十字社が、その業務の実施に必要な施設又は設備を整備する場合において、必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、補助金を支出し、又は通常の條件よりも日本赤十字社に有利な條件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第八條第一項(財産の管理及び処分)並びに私立図書館の事業についての補助金の交付に関する図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十六條(国及び地方公共団体との関係)の規定の適用を妨げない。
2 日本赤十字社が、左の各号の一に該当するときは、前項の規定により交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。
一 施設又は設備の全部又は一部を他の用途に供したこと。
二 助成の條件に違反したこと。
第六章 罰則
第四十條 日本赤十字社の役員又は職員が第三十六條第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同條の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一万円以下の罰金に処する。
第四十一條 日本赤十字社の役員がこの法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたときは、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定を除き、公布の日から施行し、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定は、公布の日から起算して六箇月をこえない期期間内において政令で定める日から施行する。但し、附則第二十七項の規定は、昭和二十七年六月一日から適用する。
(組織変更)
2 この法律施行の際現に存する日本赤十字社(以下「旧法人」という。)は、この法律施行の日から起算して六箇月以内に、その組織を変更してこの法律による日本赤十字社(以下「新法人」という。)となるものとする。この場合においては、旧法人は、定款の定めるところにより、組織変更のために必要な定款の変更をし、厚生大臣の認可を受けなければならない。
3 前項の認可があつたときは、旧法人は、第十八條及び第二十一條第二項の例により、新法人の役員及び代議員を選出するものとし、この場合において、代議員会の招集は、旧法人の社長がしなければならない。
4 附則第二項の規定による旧法人の新法人への組織変更は、前項の規定により選出された役員の全部が新法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。
5 前項の規定による登記に関し必要な事項は、政令で定める。
6 この項の規定施行の際における他の法律中の旧法人に関する規定及び附則第七項から附則第十五項までの規定は、新法人に関する規定とする。但し、この項の規定施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(あらたな社会福祉事業の経営)
7 旧法人は、この項の規定施行後あらたに社会福祉施設を設置して社会福祉事業法に規定する社会福祉事業を経営しようとするときは、当分の間、厚生大臣の認可を受けなければならない。
(定期の寄附金募集)
8 旧法人は、当分の間、毎年一回、厚生大臣の定める期間内において、その業務(第三十五條第一項の社会福祉事業を除く。)を行うのに必要な資金を得るために寄附金を募集することができる。
9 前項の規定により寄附金を募集するには、あらかじめ、募集しようとする寄附金の目標額、募集の方法及び寄附金の使途を定め、厚生大臣に届け出なければならない。
10 旧法人は、附則第八項の規定による寄附金の募集を終了したときは、募集の結果を公告するとともに、厚生大臣に報告しなければならない。
(臨時の寄附金募集)
11 旧法人は、前三項の規定による場合のほか、特別の事情に基き、附則第八項に規定する業務を行うのに必要な経費の支出に充てるために寄附金を募集しようとするときは、当分の間、厚生大臣の定める手続に従い、募集しようとする地域の都道府県知事(募集しようとする地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは、厚生大臣)に対し、募集の期間、地域及び方法並びに寄附金の使途を明らかにした書面を提出して、その許可を受けなければならない。
12 前項の許可には、募集の期間、寄附金の使途及び寄附金によつて取得する財産の処分につき、條件を附することができる。
13 旧法人は、附則第十一項の規定による寄附金の募集を終了したときは、寄附金の募集の許可を受けた行政庁に対し、募集の結果を報告しなければならない。
(罰則)
14 左の場合においては、その違反行為をした旧法人の役員又は職員を一箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 附則第十一項の許可を受けないで、又は附則第十二項の許可の條件に違反して寄附金を募集したとき。
二 附則第十二項の許可の條件に違反して、寄附金を使用し、又はこれによつて取得した財産を処分したとき。
15 左の場合においては、その違反行為をした旧法人の役員又は職員を六万円以下の罰金に処する。
一 附則第九項の規定による届出又は附則第十項の規定による公告を怠つたとき。
二 附則第十項又は附則第十三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(児童福祉法の一部改正)
16 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第五十六條の二第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、日本赤十字社」を加える。
(生活保護法の一部改正)
17 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四十一條の見出し及び同條第一項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人及び日本赤十字社」に、同條第二項及び第五項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人又は日本赤十字社」に改める。
第四十二條の見出し中「社会福祉法人」を「社会福祉法人及び日本赤十字社」に改める。
第四十二條、第四十三條第二項及び第四十五條第二項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人又は日本赤十字社」に改める。
(図書館法の一部改正)
18 図書館法の一部を次のように改正する。
第二條第一項中「地方公共団体」の下に「、日本赤十字社」を加え、同條第二項中「民法第三十四條の法人」を「日本赤十字社又は民法第三十四條の法人」に改める。
(博物館法の一部改正)
19 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)の一部を次のように改正する。
第二條第一項中「地方公共団体又は」を「地方公共団体、日本赤十字社、」に、「若しくは宗教法人」を「又は宗教法人」に、同條第二項中「民法第三十四條の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四條の法人」に改める。
第十條中「又は民法第三十四條の法人若しくは」を「、日本赤十字社、民法第三十四條の法人又は」に改める。
第十一條第一項第一号中「民法第三十四條の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四條の法人」に改める。
(登録税法の一部改正)
20 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「社会福祉法人、」の下に「日本赤十字社、」を、「社会福祉事業法、」の下に「日本赤十字社法、」を加える。
第十九條第十四号ノ三の次に次の一号を加える。
十四ノ四 日本赤十字社ガ日本赤十字社法第二十七條ノ業務ノ為ニスル土地、建物又ハ船舶ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
(印紙税法の一部改正)
21 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五條第六号ノ九の次に次の一号を加える。
六ノ九ノ二 日本赤十字社ノ業務ニ関スル証書、帳簿
(関税定率法の一部改正)
22 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第七條第十一号ノ二の次に次の一号を加える。
十一ノ三 日本赤十字社ニ赤十字国際機関又ハ外国赤十字社ヨリ寄贈セラレタル日本赤十字社ノ直接使用スル医療用ノ機械類及器具類ニシテ大蔵大臣ノ認許シタルモノ
(所得税法の一部改正)
23 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三條第九号中「民法第三十四條」を「日本赤十字社、民法第三十四條」に改める。
(法人税法の一部改正)
24 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五條第一項第一号中「民法第三十四條」を「日本赤十字社、民法第三十四條」に改める。
(地方税法の一部改正)
25 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十四條第二号中「学校教育法」を「日本赤十字社、学校教育法」に改める。
第七十八條第一項中「第二十一條の公民館、」の下に「日本赤十字社、」を、「公民館が行う社会教育、」の下に「日本赤十字社がその目的を達成するために行う業務(社会教育を含む。)、」を加える。
第百四十六條第二項に後段として次のように加える。
日本赤十字社が所有する自動車のうち直接その本来の事業の用に供する救急自動車その他これに類するもので道府県の條例で定めるものに対しても、また、同様とする。
第二百九十六條中「土地改良区」を「日本赤十字社、土地改良区」に改める。
第三百四十八條第二項第八号中「民法第三十四條の法人」を「日本赤十字社又は民法第三十四條の法人」に、「同條の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四條の法人」に改め、同項第九号の次に次の一号を加える。
九の二 前二号に掲げる固定資産の外、日本赤十字社が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるもの
第七百四十三條第二号中「民法第三十四條の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四條の法人」に改める。
(国有財産特別措置法の一部改正)
26 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三條第一項第四号中「又は社会福祉事業法」を「、社会福祉事業法」に改め、「(以下「社会福祉法人」という。)」の下に「又は日本赤十字社」を加え、「又は社会福祉事業施設」を「、社会福祉事業施設又は日本赤十字社の業務の用に供する施設」に、同條第二項中「補助を行うことができる場合」を「補助を行うことができる場合、日本赤十字社にあつては日本赤十字社法(昭和二十七年法律第三百五号)第三十九條第一項の規定により助成を行うことができる場合」に改める。
第十一條第一項第一号「社会福祉法人」の下に「、日本赤十字社」を加える。
(旧法人に関する経過規定)
27 旧法人は、昭和二十七年六月一日以降附則第二項から附則第五項までの規定により新法人となるまでの間、左に掲げる法律の適用については、社会福祉法人とみなす。この場合において、登録税法第十九條第七号中「社会福祉事業法」とあるのは「民法」と読み替えるものとする。
一 身体障害者福祉法
二 生活保護法
三 社会福祉事業法
四 登録税法
五 国有財産特別措置法
法務大臣 木村篤太郎
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 岡野清豪
厚生大臣 吉武恵市
郵政大臣 佐藤栄作
内閣総理大臣 吉田茂
日本赤十字社法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十七年八月十四日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第三百五号
日本赤十字社法
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
社員(第十一条―第十五条)
第三章
管理(第十六条―第二十六条)
第四章
業務(第二十七条―第三十五条)
第五章
監督及び助成(第三十六条―第三十九条)
第六章
罰則(第四十条・第四十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 日本赤十字社は、赤十字に関する諸条約及び赤十字国際会議において決議された諸原則の精神にのつとり、赤十字の理想とする人道的任務を達成することを目的とする。
(国際性)
第二条 日本赤十字社は、赤十字に関する国際機関及び各国赤十字社と協調を保ち、国際赤十字事業の発展に協力し、世界の平和と人類の福祉に貢献するように努めなければならない。
(自主性の尊重)
第三条 日本赤十字社の特性にかんがみ、その自主性は、尊重されなければならない。
(法人格及び組織)
第四条 日本赤十字社は、法人とする。
2 日本赤十字社は、社員をもつて組織する。
(標章)
第五条 日本赤十字社は、その標章として、白地赤十字を使用する。
(主たる事務所)
第六条 日本赤十字社は、主たる事務所を東京都に置く。
(定款)
第七条 日本赤十字社は、定款をもつて、左に掲げる事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 社員に関する事項
五 役員、理事会、代議員及び代議員会に関する事項
六 業務及びその執行に関する事項
七 資産及び会計に関する事項
八 公告の方法
2 定款は、厚生大臣の認可を受けて変更することができる。
(登記)
第八条 日本赤十字社は、主たる事務所の変更その他政令で定める事項について、政令で定める手続により登記しなければならない。
2 前項の規定により登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(解散)
第九条 日本赤十字社につき解散を必要とする事由が発生した場合において、その処置に関しては、別に法律で定める。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、日本赤十字社に準用する。この場合において、同法第四十四条中「理事其他ノ代理人」とあるのは「社長、副社長、理事其他ノ代理人」と、「社員、理事」とあるのは「代議員、社長、副社長又ハ理事」と読み替えるものとする。
第二章 社員
(社員の平等取扱)
第十一条 何人も、社員となるにつき、及び社員の権利義務につき、人種、国籍、信条、性別、社会的身分又は門地によつて、差別されることがない。
(社員の加入)
第十二条 日本赤十字社は、社員として加入しようとする者があるときは、正当な理由がないのに、その加入を拒んではならない。
(社員の脱退)
第十三条 社員は、何時でも、脱退することができる。
2 社員は、左に掲げる事由によつて脱退する。
一 死亡
二 社費の未納額が定款で定める額に達したこと。
三 除名
3 前項第三号の除名は、定款で定める事由に該当する社員につき、定款の定めるところにより、代議員会の議決によつてすることができる。
4 除名は、除名した社員にその旨を通知しなければ、これをもつてその社員に対抗することができない。
(社員の権利)
第十四条 社員は、左に掲げる権利を有する。
一 この法律の定めるところにより、日本赤十字社の役員及び代議員を選出し、並びにこれらの者に選出されること。
二 毎事業年度の日本赤十字社の業務及び収支決算の報告を受けること。
三 日本赤十字社に対し、その業務の運営に関し、代議員を通じて意見を述べること。
2 日本赤十字社は、公告をもつて、前項第二号の報告に代えることができる。
(社費)
第十五条 社員は、定款の定めるところにより、社費を納めるものとする。
第三章 管理
(役員)
第十六条 日本赤十字社に、役員として、社長一人、副社長二人以内、理事六十一人以内及び監事三人以内を置く。
(役員の職務権限)
第十七条 社長は、日本赤十字社を代表し、その業務を総理する。
2 副社長は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長に事故があるときはその職務を代行し、社長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、定款の定めるところにより、日本赤十字社を代表し、社長及び副社長を補佐して日本赤十字社の業務を掌理し、社長及び副社長にともに事故があるときは社長の職務を代行し、社長及び副社長がともに欠員のときは社長の職務を行う。
4 監事は、日本赤十字社の業務を監査する。
(役員の選出)
第十八条 役員は、社員の中から、代議員会において、選出する。
(役員の任期)
第十九条 役員の任期は、三年とする。
(理事会)
第二十条 社長、副社長及び理事をもつて理事会を構成する。
2 理事会は、定款の定めるところにより、日本赤十字社の重要な業務の執行について審議する。
(代議員会)
第二十一条 日本赤十字社に代議員会を置く。
2 代議員会は、定款の定めるところにより社員の中から選出された代議員をもつて組織する。
3 代議員会は、少くとも毎年一回、定款の定めるところにより、招集する。
(代議員会の議決事項)
第二十二条 左に掲げる事項は、代議員会の議決を経なければならない。但し、代議員会が軽微と認めた事項は、この限りでない。
一 収支予算
二 事業計画
三 収支決算の承認
四 定款の変更
五 その他定款で定めた事項
(代議員の任期)
第二十三条 代議員の任期は、三年とする。但し、補欠の代議員の任期は、前任者の残任期間とする。
(役員の解任)
第二十四条 代議員会は、役員が心身の故障のため職務の執行の任にたえないと認めるとき、又は役員に職務上の義務違反その他役員たるに適しない非行があると認めるときは、その役員の解任の議決をすることができる。
(事業年度)
第二十五条 日本赤十字社の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終る。
(民法の準用)
第二十六条 民法第五十四条(代表権の制限)、第五十六条(仮理事)及び第五十七条(特別代理人)の規定は、日本赤十字社に準用する。この場合において、同法第五十四条中「理事」とあるのは「副社長又ハ理事」と、同法第五十六条中「理事」とあるのは「社長、副社長及ヒ理事」と、「裁判所ハ利害関係人又ハ検察官ノ請求ニ因リ」とあるのは「厚生大臣ハ利害関係人ノ請求ニ因リ又ハ職権ヲ以テ」と、同法第五十七条中「理事」とあるのは「社長、副社長又ハ理事」と、「此場合ニ於テハ前条ノ規定ニ依リテ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス」とあるのは「此場合ニ於テハ監事法人ヲ代表ス」と読み替えるものとする。
第四章 業務
(業務)
第二十七条 日本赤十字社は、第一条の目的を達成するため、左に掲げる業務を行う。
一 赤十字に関する諸条約に基く業務に従事すること。
二 非常災害時又は伝染病流行時において、傷病その他の災やくを受けた者の救護を行うこと。
三 常時、健康の増進、疾病の予防、苦痛の軽減その他社会奉仕のために必要な事業を行うこと。
四 前各号に掲げる業務のほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
2 前項第一号及び第二号に掲げる業務には、第三十三条第一項の規定により国の委託を受けて行うものを含むものとする。
(救護員の確保)
第二十八条 日本赤十字社は、前条第一項第一号及び第二号に掲げる業務(以下「救護業務」という。)に従事させるために必要な者(以下「救護員」という。)を常時確保しておかなければならない。
(救護員の養成)
第二十九条 日本赤十字社は、前条の救護員を確保するために、必要があるときは、医師、看護婦その他の特殊技能者を養成しなければならない。
2 前項の養成は、日本赤十字社が学資その他の費用を負担して日本赤十字社の目的、特に日本赤十字社の行う救護業務に深い理解を有する者について行う。
3 前二項の規定による養成を受けた者は、日本赤十字社が、これらの者が救護員として救護業務に従事するのでなければその救護業務を適正に行うことができないと認めて、救護業務に従事すべきことを求めたときは、これに応ずるように努めなければならない。
(使用者の協力)
第三十条 前条第一項及び第二項の規定による養成を受けた者を雇用しようとするとき、又は雇用している場合において、使用者は、その者が、同条第三項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事する場合のあること又は従事したことを理由として、不当な取扱をしてはならない。
2 前条第一項及び第二項の規定による養成を受けた者が、同条第三項の規定により、救護員として日本赤十字社の行う救護業務に従事しようとする場合においては、使用者は、これに協力するように努めなければならない。
(実費弁償)
第三十一条 日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事した場合においては、その実費を弁償しなければならない。
(扶助金の支給)
第三十二条 日本赤十字社は、救護員が日本赤十字社の行う救護業務に従事し、これがため負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)第二十四条(従事命令)の規定により救助に関する業務に従事した者に係る扶助金に関する同法の規定の例により、扶助金を支給しなければならない。
(国の救護に関する業務の委託)
第三十三条 国は、赤十字に関する諸条約に基く国の業務及び非常災害時における国の行う救護に関する業務を日本赤十字社に委託することができる。
2 前項の場合において、国は、同項の規定により委託すべき業務の実施に必要な施設又は設備を、あらかじめ、整備すべきことを日本赤十字社に命ずることができる。
3 国は、日本赤十字社が第一項の規定により委託された業務を実施するために支弁した費用を補償する。但し、他の法律に別段の定があるときは、その定に従う。
4 国は、日本赤十字社が第一項の規定により委託された業務を実施するため必要な施設又は設備を整備する場合においては、その整備に要する費用の全部又は一部を負担する。
(運送及び通信に関する便宜供与)
第三十四条 日本国有鉄道その他運送又は運送取扱を業とする者は、日本赤十字社が迅速且つ適正に救護業務を実施することができるように、救護員又は救護用の物資の運送に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
2 郵政大臣、日本電信電話公社、国際電信電話株式会社、日本放送協会又は一般放送事業者は、日本赤十字社が迅速且つ適正に救護業務に実施することができるように、救護業務に関する通信に関し、便宜を与えるように努めなければならない。
(社会福祉事業の経営)
第三十五条 日本赤十字社は、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)の定めるところにより、同法に規定する第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業を経営するものとする。
2 日本赤十字社が前項の規定により社会福祉事業を経営する場合においては、社会福祉事業法第七章(社会福祉事業)の規定及びこれに係る罰則の適用については、日本赤十字社は、社会福祉法人とみなす。
第五章 監督及び助成
(報告及び検査)
第三十六条 厚生大臣は、日本赤十字社に法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款を守らせるために必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、その業務若しくは財産の状況に関し報告をさせ、又はその職員をして日本赤十字社の事務所その他の場所に立ち入り、業務若しくは財産の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の職員は、同項の規定により立入検査をする場合においては、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督処分)
第三十七条 厚生大臣は、日本赤十字社が、その業務に関し、法令、法令に基いてする行政庁の処分又は定款に違反したときは、日本赤十字社に対し、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。
(解任勧告)
第三十八条 厚生大臣は、日本赤十字社の役員が、日本赤十字社の業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分若しくは定款に違反し、又は著しく公益を害する行為をしたときは、日本赤十字社に対し、その役員の解任を勧告することができる。
(助成)
第三十九条 国又は地方公共団体は、日本赤十字社が、その業務の実施に必要な施設又は設備を整備する場合において、必要があると認めるときは、日本赤十字社に対し、補助金を支出し、又は通常の条件よりも日本赤十字社に有利な条件で、貸付金を支出し、若しくはその他の財産を譲渡し、若しくは貸し付けることができる。但し、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)及び地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第八条第一項(財産の管理及び処分)並びに私立図書館の事業についての補助金の交付に関する図書館法(昭和二十五年法律第百十八号)第二十六条(国及び地方公共団体との関係)の規定の適用を妨げない。
2 日本赤十字社が、左の各号の一に該当するときは、前項の規定により交付した補助金若しくは貸付金又は譲渡し、若しくは貸し付けたその他の財産の全部又は一部の返還を命ずることができる。
一 施設又は設備の全部又は一部を他の用途に供したこと。
二 助成の条件に違反したこと。
第六章 罰則
第四十条 日本赤十字社の役員又は職員が第三十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一万円以下の罰金に処する。
第四十一条 日本赤十字社の役員がこの法律に基く政令の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたときは、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定を除き、公布の日から施行し、附則第六項及び附則第十六項から附則第二十六項までの規定は、公布の日から起算して六箇月をこえない期期間内において政令で定める日から施行する。但し、附則第二十七項の規定は、昭和二十七年六月一日から適用する。
(組織変更)
2 この法律施行の際現に存する日本赤十字社(以下「旧法人」という。)は、この法律施行の日から起算して六箇月以内に、その組織を変更してこの法律による日本赤十字社(以下「新法人」という。)となるものとする。この場合においては、旧法人は、定款の定めるところにより、組織変更のために必要な定款の変更をし、厚生大臣の認可を受けなければならない。
3 前項の認可があつたときは、旧法人は、第十八条及び第二十一条第二項の例により、新法人の役員及び代議員を選出するものとし、この場合において、代議員会の招集は、旧法人の社長がしなければならない。
4 附則第二項の規定による旧法人の新法人への組織変更は、前項の規定により選出された役員の全部が新法人の主たる事務所の所在地において登記をすることによつて、その効力を生ずる。
5 前項の規定による登記に関し必要な事項は、政令で定める。
6 この項の規定施行の際における他の法律中の旧法人に関する規定及び附則第七項から附則第十五項までの規定は、新法人に関する規定とする。但し、この項の規定施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(あらたな社会福祉事業の経営)
7 旧法人は、この項の規定施行後あらたに社会福祉施設を設置して社会福祉事業法に規定する社会福祉事業を経営しようとするときは、当分の間、厚生大臣の認可を受けなければならない。
(定期の寄附金募集)
8 旧法人は、当分の間、毎年一回、厚生大臣の定める期間内において、その業務(第三十五条第一項の社会福祉事業を除く。)を行うのに必要な資金を得るために寄附金を募集することができる。
9 前項の規定により寄附金を募集するには、あらかじめ、募集しようとする寄附金の目標額、募集の方法及び寄附金の使途を定め、厚生大臣に届け出なければならない。
10 旧法人は、附則第八項の規定による寄附金の募集を終了したときは、募集の結果を公告するとともに、厚生大臣に報告しなければならない。
(臨時の寄附金募集)
11 旧法人は、前三項の規定による場合のほか、特別の事情に基き、附則第八項に規定する業務を行うのに必要な経費の支出に充てるために寄附金を募集しようとするときは、当分の間、厚生大臣の定める手続に従い、募集しようとする地域の都道府県知事(募集しようとする地域が二以上の都道府県の区域にわたるときは、厚生大臣)に対し、募集の期間、地域及び方法並びに寄附金の使途を明らかにした書面を提出して、その許可を受けなければならない。
12 前項の許可には、募集の期間、寄附金の使途及び寄附金によつて取得する財産の処分につき、条件を附することができる。
13 旧法人は、附則第十一項の規定による寄附金の募集を終了したときは、寄附金の募集の許可を受けた行政庁に対し、募集の結果を報告しなければならない。
(罰則)
14 左の場合においては、その違反行為をした旧法人の役員又は職員を一箇月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 附則第十一項の許可を受けないで、又は附則第十二項の許可の条件に違反して寄附金を募集したとき。
二 附則第十二項の許可の条件に違反して、寄附金を使用し、又はこれによつて取得した財産を処分したとき。
15 左の場合においては、その違反行為をした旧法人の役員又は職員を六万円以下の罰金に処する。
一 附則第九項の規定による届出又は附則第十項の規定による公告を怠つたとき。
二 附則第十項又は附則第十三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(児童福祉法の一部改正)
16 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)の一部を次のように改正する。
第五十六条の二第一項第一号中「社会福祉法人」の下に「、日本赤十字社」を加える。
(生活保護法の一部改正)
17 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四十一条の見出し及び同条第一項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人及び日本赤十字社」に、同条第二項及び第五項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人又は日本赤十字社」に改める。
第四十二条の見出し中「社会福祉法人」を「社会福祉法人及び日本赤十字社」に改める。
第四十二条、第四十三条第二項及び第四十五条第二項中「社会福祉法人」を「社会福祉法人又は日本赤十字社」に改める。
(図書館法の一部改正)
18 図書館法の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「地方公共団体」の下に「、日本赤十字社」を加え、同条第二項中「民法第三十四条の法人」を「日本赤十字社又は民法第三十四条の法人」に改める。
(博物館法の一部改正)
19 博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)の一部を次のように改正する。
第二条第一項中「地方公共団体又は」を「地方公共団体、日本赤十字社、」に、「若しくは宗教法人」を「又は宗教法人」に、同条第二項中「民法第三十四条の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四条の法人」に改める。
第十条中「又は民法第三十四条の法人若しくは」を「、日本赤十字社、民法第三十四条の法人又は」に改める。
第十一条第一項第一号中「民法第三十四条の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四条の法人」に改める。
(登録税法の一部改正)
20 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「社会福祉法人、」の下に「日本赤十字社、」を、「社会福祉事業法、」の下に「日本赤十字社法、」を加える。
第十九条第十四号ノ三の次に次の一号を加える。
十四ノ四 日本赤十字社ガ日本赤十字社法第二十七条ノ業務ノ為ニスル土地、建物又ハ船舶ノ権利ノ取得又ハ所有権ノ保存ノ登記
(印紙税法の一部改正)
21 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号ノ九の次に次の一号を加える。
六ノ九ノ二 日本赤十字社ノ業務ニ関スル証書、帳簿
(関税定率法の一部改正)
22 関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第七条第十一号ノ二の次に次の一号を加える。
十一ノ三 日本赤十字社ニ赤十字国際機関又ハ外国赤十字社ヨリ寄贈セラレタル日本赤十字社ノ直接使用スル医療用ノ機械類及器具類ニシテ大蔵大臣ノ認許シタルモノ
(所得税法の一部改正)
23 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第九号中「民法第三十四条」を「日本赤十字社、民法第三十四条」に改める。
(法人税法の一部改正)
24 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第一号中「民法第三十四条」を「日本赤十字社、民法第三十四条」に改める。
(地方税法の一部改正)
25 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二号中「学校教育法」を「日本赤十字社、学校教育法」に改める。
第七十八条第一項中「第二十一条の公民館、」の下に「日本赤十字社、」を、「公民館が行う社会教育、」の下に「日本赤十字社がその目的を達成するために行う業務(社会教育を含む。)、」を加える。
第百四十六条第二項に後段として次のように加える。
日本赤十字社が所有する自動車のうち直接その本来の事業の用に供する救急自動車その他これに類するもので道府県の条例で定めるものに対しても、また、同様とする。
第二百九十六条中「土地改良区」を「日本赤十字社、土地改良区」に改める。
第三百四十八条第二項第八号中「民法第三十四条の法人」を「日本赤十字社又は民法第三十四条の法人」に、「同条の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四条の法人」に改め、同項第九号の次に次の一号を加える。
九の二 前二号に掲げる固定資産の外、日本赤十字社が直接その本来の事業の用に供する固定資産で政令で定めるもの
第七百四十三条第二号中「民法第三十四条の法人」を「日本赤十字社、民法第三十四条の法人」に改める。
(国有財産特別措置法の一部改正)
26 国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号中「又は社会福祉事業法」を「、社会福祉事業法」に改め、「(以下「社会福祉法人」という。)」の下に「又は日本赤十字社」を加え、「又は社会福祉事業施設」を「、社会福祉事業施設又は日本赤十字社の業務の用に供する施設」に、同条第二項中「補助を行うことができる場合」を「補助を行うことができる場合、日本赤十字社にあつては日本赤十字社法(昭和二十七年法律第三百五号)第三十九条第一項の規定により助成を行うことができる場合」に改める。
第十一条第一項第一号「社会福祉法人」の下に「、日本赤十字社」を加える。
(旧法人に関する経過規定)
27 旧法人は、昭和二十七年六月一日以降附則第二項から附則第五項までの規定により新法人となるまでの間、左に掲げる法律の適用については、社会福祉法人とみなす。この場合において、登録税法第十九条第七号中「社会福祉事業法」とあるのは「民法」と読み替えるものとする。
一 身体障害者福祉法
二 生活保護法
三 社会福祉事業法
四 登録税法
五 国有財産特別措置法
法務大臣 木村篤太郎
大蔵大臣 池田勇人
文部大臣 岡野清豪
厚生大臣 吉武恵市
郵政大臣 佐藤栄作
内閣総理大臣 吉田茂