(沿道整備権利移転等促進計画の作成等)
第十条の二 市町村は、道路交通騒音により生ずる障害の防止と適正かつ合理的な土地利用の促進を図るため、沿道地区計画の区域内の土地(国又は地方公共団体が所有する土地で公共施設の用に供されているもの、農地その他の政令で定める土地を除く。次条において同じ。)を対象として、所有権の移転又は地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のためのものであることが明らかなものを除く。次項第五号、次条及び第十条の五において同じ。)の設定若しくは移転(以下この章において「権利の移転等」という。)を促進する事業を行おうとするときは、沿道整備権利移転等促進計画を定めるものとする。
2 沿道整備権利移転等促進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
二 前号に規定する者が権利の移転等を受ける土地の所在、地番、地目及び面積
三 第一号に規定する者に前号に規定する土地について権利の移転等を行う者の氏名又は名称及び住所
四 第一号に規定する者が移転を受ける所有権の移転の後における土地の利用目的並びに当該所有権の移転の時期並びに移転の対価及びその支払の方法
五 第一号に規定する者が設定又は移転を受ける地上権又は賃借権の種類、内容(土地の利用目的を含む。)、始期又は移転の時期、存続期間又は残存期間並びに地代又は借賃及びその支払の方法
六 権利の移転等が行われた後に第二号に規定する土地において行われることとなる土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他建設省令で定める行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他建設省令で定める事項
3 沿道整備権利移転等促進計画は、次に掲げる要件に該当するものでなければならない。
一 沿道整備権利移転等促進計画の内容が沿道地区計画に適合するものであること。
二 沿道整備権利移転等促進計画において、道路交通騒音により生ずる障害の防止と適正かつ合理的な土地利用の促進を図るための権利の移転等で次に掲げるもののいずれかが定められていること。
イ 遮音上有効な機能を有する建築物等の新築その他沿道における適正かつ合理的な土地利用を図るための行為で建設省令で定めるものを伴う権利の移転等(ロに該当するものを除く。)
ロ 沿道地区施設の整備を図るため行う権利の移転等又はこれと併せて行う当該権利の移転等を円滑に推進するために必要な権利の移転等
三 前項第二号に規定する土地ごとに、同項第一号に規定する者並びに当該土地について所有権、地上権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者のすべての同意が得られていること。
四 前項第二号に規定する土地に存する建物その他の土地に定着する物件ごとに、当該物件について所有権、質権、賃借権、使用貸借による権利又はその他の使用及び収益を目的とする権利を有する者並びに当該物件について先取特権若しくは抵当権の登記、仮登記、買戻しの特約その他権利の消滅に関する事項の定めの登記又は処分の制限の登記に係る権利を有する者のすべての同意が得られていること。
五 前項第一号に規定する者が、権利の移転等が行われた後において、同項第二号に規定する土地を同項第四号又は第五号に規定する土地の利用目的に即して適正かつ確実に利用することができると認められること。
4 市町村は、第一項の規定により沿道整備権利移転等促進計画を定めようとする場合において、第二項第二号に規定する土地の全部又は一部が市街化調整区域(都市計画法第七条第一項の規定による市街化調整区域をいう。第十条の七第二項において同じ。)内にあり、かつ、権利の移転等が行われた後において、同法第二十九条又は同法第四十三条第一項の規定による許可を要する行為(次項において「特定行為」という。)が行われることとなるときは、当該沿道整備権利移転等促進計画について、建設省令で定めるところにより、あらかじめ都道府県知事の承認を受けなければならない。
5 都道府県知事は、前項の承認の申請があつた場合において、沿道整備権利移転等促進計画に定められた特定行為が市街化区域(都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域をいう。以下この項において同じ。)における市街化の状況等からみて当該都市計画区域の計画的な市街化を図る上に支障がないと認められるとき(第二項第二号に規定する土地の面積が同法第三十四条第十号イの政令で定める面積を下回る場合にあつては、当該特定行為が、当該土地の区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められるときに限る。)は、同項の承認をするものとする。
(沿道整備権利移転等促進計画の作成の要請)
第十条の三 沿道地区計画の区域内の土地について所有権、地上権又は賃借権を有する者及び当該土地について権利の移転等を受けようとする者は、その全員の合意により、前条第二項各号に掲げる事項を内容とする協定を締結した場合において、同条第三項第三号及び第四号に規定する者のすべての同意を得たときは、建設省令で定めるところにより、その協定の目的となつている土地につき、沿道整備権利移転等促進計画を定めるべきことを市町村に対し要請することができる。
(沿道整備権利移転等促進計画の公告)
第十条の四 市町村は、沿道整備権利移転等促進計画を定めたときは、建設省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
2 市町村は、前項の規定による公告をしようとするときは、建設省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。ただし、第十条の二第四項の承認を受けた沿道整備権利移転等促進計画について前項の規定による公告を行う場合については、この限りでない。
(公告の効果)
第十条の五 前条第一項の規定による公告があつたときは、その公告があつた沿道整備権利移転等促進計画の定めるところによつて所有権が移転し、又は地上権若しくは賃借権が設定され、若しくは移転する。
(登記の特例)
第十条の六 第十条の四第一項の規定による公告があつた沿道整備権利移転等促進計画に係る土地の登記については、政令で、不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)の特例を定めることができる。
(開発許可の特例)
第十条の七 第十条の四第一項の規定による公告があつた沿道整備権利移転等促進計画(第十条の二第四項の承認を受けたものに限る。次項において同じ。)に定められた事項に従つて行われる都市計画法第四条第十二項に規定する開発行為(同法第三十四条各号に掲げるものを除く。)は、同法第三十四条の規定の適用については、同条第十号に掲げる開発行為とみなす。
2 都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市若しくは同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市の長は、市街化調整区域のうち都市計画法第二十九条の規定による許可を受けた同法第四条第十三項に規定する開発区域以外の区域内において、第十条の四第一項の規定による公告があつた沿道整備権利移転等促進計画に定められた事項に従つて行われる建築行為等(建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は同法第四条第十一項に規定する第一種特定工作物の新設をいう。以下この項において同じ。)について、同法第四十三条第一項の規定による許可の申請があつた場合において、当該申請に係る建築行為等が同条第二項の政令で定める許可の基準のうち同法第三十三条に規定する開発許可の基準の例に準じて定められた基準に適合するときは、その許可をしなければならない。
(勧告)
第十条の八 市町村は、権利の移転等を受けた者が沿道整備権利移転等促進計画に定められた土地の利用目的に従つて土地を利用していないと認めるときは、当該権利の移転等を受けた者に対し、相当の期限を定めて、当該沿道整備権利移転等促進計画に定められた事項の適正かつ確実な実施を図るために必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。