農業信用基金協会法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第七十一号
公布年月日: 昭和41年5月12日
法令の形式: 法律
農業信用基金協会法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十一年五月十二日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十一号
農業信用基金協会法の一部を改正する法律
農業信用基金協会法(昭和三十六年法律第二百四号)の一部を次のように改正する。
題名及び目次を次のように改める。
農業信用保証保険法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
農業信用基金協会
第一節
総則(第三条―第七条)
第二節
業務(第八条―第十三条)
第三節
会員(第十四条―第二十二条)
第四節
設立(第二十三条―第二十八条)
第五節
管理(第二十九条―第四十八条)
第六節
解散及び清算(第四十九条―第五十四条)
第七節
監督(第五十五条―第五十八条)
第三章
農業信用保険
第一節
農業信用保険協会(第五十九条―第七十七条)
第二節
保証保険(第七十八条―第八十四条)
第三節
融資保険(第八十五条―第九十条)
第四章
雑則(第九十一条)
第五章
罰則(第九十二条―第九十四条)
附則
第一条中「農業経営に必要な資金」を「農業近代化資金その他農業経営に必要な資金」に改め、「農業信用基金協会の制度」の下に「及びその保証等につき農業信用保険協会が行なう農業信用保険の制度」を加える。
第二条に次の一項を加える。
3 この法律において「農業近代化資金」とは、農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)第二条第三項の農業近代化資金をいう。
第二条の次に次の章名及び節名を附する。
第二章 農業信用基金協会
第一節 総則
第三条中「以下「協会」という」を「以下「基金協会」という」に改める。
第四条及び第五条中「協会」を「基金協会」に改める。
第六条第一項中「協会は」を「基金協会は」に改め、同条第二項中「協会でない者」を「基金協会でない者」に、「であることを示すような文字」を「という文字」に改める。
第七条第一項中「協会」を「基金協会」に改める。
「第二章 業務」を削り、第七条の次に次の節名を附する。
第二節 業務
第八条の見出しを「(業務の範囲)」に改め、同条中「協会は」を「基金協会は」に改め、同条第一号中「会員(会員が農業協同組合である場合には、その組合員を含む。)たる農業者等」を「会員たる農業者等(その者が農業協同組合である場合には、その組合員を含む。以下この号において同じ。)」に改め、同号イ中「農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)第二条第三項の」を削る。
第九条前段中「協会」を「基金協会」に、「次条第二項」を「第十条第二項」に改め、「交付された金銭」の下に「(借入金を除く。)」を加え、同条後段を次のように改める。
基金協会が保証債務の弁済(次条第一項の資金その他の借入れに係る資金をもつて行なつたものを除く。)につき農業信用保険協会(以下この条及び次条において「保険協会」という。)から支払を受けた保険金及び当該弁済によつて得た求償権(当該弁済をした日以後の利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)の行使により取得した金銭(第八十三条第一項の規定による保険協会への納付金に対応する部分を除く。)についても、また同様とする。
第九条の次に次の一条を加える。
(保険協会からの借入金)
第九条の二 基金協会は、第六十四条第二号に規定する資金に係る保険協会からの借入金(当該借入金の管理又は使用に伴い取得した金銭を含む。)を、その負担する保証債務のうち農業近代化資金に係るものの弁済に充てるための資金として、前条各号の方法又は農業協同組合法第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう農業協同組合への預金の方法により管理しなければならない。
2 前項の資金は、同項に規定する保証債務の弁済及び同項の借入金の償還に充てる場合のほか、主務省令で定める場合に限り、使用することができる。
第十条第一項中「協会」を「基金協会」に改め、同条第二項中「前条」を「第九条」に改める。
第十一条、第十二条及び第十三条第一項中「協会」を「基金協会」に改める。
「第三章 会員」を削り、第十三条の次に次の節名を附する。
第三節 会員
第十四条、第十五条第四項、第十六条第一項及び第五項、第十七条第四項、第十八条並びに第十九条第二項中「協会」を「基金協会」に改める。
第二十条第一項中「協会の」を削り、同項第一号から第四号まで及び同条第二項から第五項までの規定中「協会」を「基金協会」に改める。
第二十一条第二項中「協会」を「基金協会」に改める。
「第四章 設立」を削り、第二十二条の次に次の節名を附する。
第四節 設立
第二十三条第一項、第二十四条第二項、第二十六条第三号及び第二十八条中「協会」を「基金協会」に改める。
「第五章 管理」を削り、第二十八条の次に次の節名を附する。
第五節 管理
第二十九条中「協会」を「基金協会」に改める。
第三十条中「協会」を「基金協会」に改め、同条第一号中「基金」の下に「及び第九条の二第一項の資金」を加える。
第三十二条第一項、第三十三条第一項及び第二項、第三十五条、第三十六条並びに第四十条第一項中「協会」を「基金協会」に改める。
第四十一条第一項中「、基金明細書」を削り、同条第三項を削り、同条第四項中「協会」を「基金協会」に改め、同項を同条第三項とする。
第四十二条第二項、第四十三条の見出し、同条第一項及び第四十七条第二号中「協会」を「基金協会」に改める。
第四十八条中「農業信用基金協会法」を「農業信用保証保険法」に改める。
「第六章 解散及び清算」を削り、第四十八条の次に次の節名を附する。
第六節 解散及び清算
第四十九条第一項、第五十条、第五十一条及び第五十二条第一項中「協会」を「基金協会」に改める。
第五十四条中「協会の」を「基金協会の」に、「農業信用基金協会法」を「農業信用保証保険法」に改める。
「第七章 監督」を削り、第五十四条の次に次の節名を附する。
第七節 監督
第五十五条中「協会」を「基金協会」に改め、「以下」の下に「この条及び次条において」を加える。
第五十六条及び第五十七条中「協会」を「基金協会」に改める。
第六十二条中「第六条第二項」の下に「又は第六十三条第二項」を加え、同条を第九十四条とする。
第六十一条第一号中「認可」の下に「又は承認」を加え、同条第二号中「第七条第一項」の下に「(第七十七条第一項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第四号中「第九条」の下に「若しくは第九条の二第一項」を加え、同条第五号中「第十八条第一項」の下に「(第七十七条第三項において準用する場合を含む。)」を、「第十九条第二項後段」の下に「(第七十七条第三項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第六号中「第二十条第三項」の下に「(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第七号中「第三十五条」の下に「(第七十七条第五項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第八号中「第三十九条」の下に「(これらの規定を第七十七条第五項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第九号中「第四十二条」の下に「(これらの規定を第七十七条第五項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第十号中「第五十三条」の下に、「(これらの規定を第七十七条第六項において準用する場合を含む。)」を加え同条第十一号中「第五十二条」の下に「(第七十七条第六項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第十二号中「第五十四条」の下に「(第七十七条第六項において準用する場合を含む。以下同じ。)」を加え、同条に次の二号を加え、同条を第九十三条とする。
十五 第六十六条第一項から第三項まで又は第六十八条の規定に違反する経理をしたとき。
十六 第六十七条の規定に違反して責任準備金を計算せず、又はこれを積み立てなかったとき。
第六十条第一項中「第五十五条」の下に「(第七十七条第七項において準用する場合を含む。)」を、「第五十六条」の下に「(第七十七条第七項において準用する場合を含む。)」を加え、同条第二項中「協会の役員」を「協会(基金協会及び保険協会をいう。以下同じ。)の役員」に、「受託者の代表者」を「受託者(協会から業務の委託を受けた者をいう。以下同じ。)の代表者」に改め、同条を第九十二条とし、第八章を第五章とする。
第五十九条第一項ただし書中「第五十六条」の下に「(これらの規定を第七十七条第七項において準用する場合を含む。)」を加え、同条を第九十一条とし、同条の前に次の章名を附する。
第四章 雑則
第五十八条の次に次の一章を加える。
第三章 農業信用保険
第一節 農業信用保険協会
(目的)
第五十九条 農業信用保険協会は、基金協会が行なう農業近代化資金に係る債務の保証等につき保険を行なうとともに、基金協会に対して当該業務に必要な資金を融通することにより、農業近代化資金の融通を円滑にすることを目的とする。
(法人格)
第六十条 農業信用保険協会(以下「保険協会」という。)は、法人とする。
(区域)
第六十一条 保険協会の区域は、全国の区域による。
(住所)
第六十二条 保険協会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(名称)
第六十三条 保険協会は、その名称中に農業信用保険協会という文字を用いなければならない。
2 保険協会でない者は、その名称中に農業信用保険協会という文字を用いてはならない。
(業務の範囲)
第六十四条 保険協会は、第五十九条の目的を達成するため、次の業務を行なう。
一 次節及び第三節の規定による保険
二 会員たる基金協会の農業近代化資金に係る保証債務の額を増大するために必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするために必要な資金の貸付け
三 前二号に掲げる業務に附帯する業務
(交付金)
第六十五条 政府は、予算の範囲内において、保険協会に対し、前条第一号の保険の事業における保険金の支払又は同条第二号の貸付けの事業における貸付けの財源に充てるため、交付金を交付する。この場合には、政府は、保険金の支払の財源に充てるべきもの又は貸付けの財源に充てるべきものの額を示すものとする。
(資金)
第六十六条 保険協会は、第六十四条第一号の保険の事業に関して、保険準備資金を設け、第七十七条第三項において準用する第十五条の規定による出資金の額及び前条の規定により政府が保険金の支払の財源に充てるべきものとして交付した交付金の額の合計額をもつてこれに充てなければならない。
2 保険協会は、第六十四条第二号の貸付けの事業に関して、融資資金を設け、前条の規定により政府が貸付けの財源に充てるべきものとして交付した交付金の額をもつてこれに充てなければならない。
3 前二項に規定する資金(以下この条及び第六十八条において「資金」という。)は、第六十八条第二項の規定により損失をうめる場合を除き取りくずしてはならない。
4 資金の経理に関しては、この法律に定めるもののほか、政令の定めるところによる。
(責任準備金)
第六十七条 保険協会は、主務省令の定めるところにより、毎事業年度末において、責任準備金を計算し、これを積み立てなければならない。
(利益及び損失の処理)
第六十八条 保険協会は、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、その全部を準備金として積み立てなければならない。ただし、次項の規定による資金の取りくずしがなされているときは、その利益を当該取りくずしがなされた資金の額に相当する額に達するまで資金に組み入れ、なお残余があるときは、その残余の額は、準備金として積み立てなければならない。
2 保険協会は、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の準備金を取りくずして整理し、なお不足があるときは、その不足の額は、資金を取りくずして整理しなければならない。
3 第一項の準備金は、前項の規定により損失をうめる場合を除き取りくずしてはならない。
(財務についての主務省令への委任)
第六十九条 前三条に規定するもののほか、保険協会がその財務を適正に処理するために従わなければならない準則は、主務省令で定める。
(会員の資格)
第七十条 保険協会の会員たる資格を有する者は、基金協会及び農林中央金庫とする。
(議決権)
第七十一条 会員は、各一個の議決権を有する。ただし、出資金の額が政令で定める額以上である会員に対しては、その出資金の額に応じて、政令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、二個以上の議決権を与えることができる。
(脱退)
第七十二条 会員は、事業年度の終りにおいて脱退することができる。ただし、次の各号の一に該当する場合は、この限りでない。
一 保険協会と当該会員との間に保険関係が成立している場合
二 保険協会が当該会員に対してその脱退を承認しない旨を通知した場合
(業務方法書に記載すべき事項)
第七十三条 保険協会の業務方法書には、次の事項を記載しなければならない。
一 保険関係が成立する保証及び貸付けの範囲
二 保険事故
三 保険金額の保険価額に対する割合
四 保険料に関する事項
五 保険金に関する事項
六 回収金の納付その他被保険者の守るべき条件に関する事項
七 貸付金の使途、利率、償還期限、金額の限度、償還方法その他貸付金に関する事項
八 業務の委託に関する事項
(役員の選任)
第七十四条 保険協会の役員は、定款で定めるところにより、総会において選任する。
2 前項の規定による役員の選任は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
3 設立当初の役員は、創立総会において選任する。この場合には、前項の規定を準用する。
(事業計画等の承認)
第七十五条 保険協会は、主務省令の定めるところにより、毎事業年度、事業計画及び収支予算を主務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
(監督命令)
第七十六条 主務大臣は、次条第七項において準用する第五十七条第一項の規定によるほか、保険協会の業務を適正円滑に行なわせるため特に必要があるときは、保険協会に対し、業務の執行方法の変更その他監督上必要な命令をすることができる。
(準用規定)
第七十七条 保険協会の登記に関する事項については、第七条の規定を準用する。
2 保険協会の業務に関する事項については、第六十四条から第六十九条までに規定するもののほか、第十二条並びに第十三条第一項及び第三項の規定を準用する。この場合において、第十三条第一項中「債務の保証の決定」とあるのは「保証保険に係る保険契約の締結及び融資保険の業務」と、「融資機関」とあるのは「農林中央金庫」と読み替えるものとする。
3 保険協会の会員に関する事項については、第七十条から第七十二条までに規定するもののほか、第十五条、第十六条第一項から第四項まで、第十七条第二項から第四項まで、第十八条、第十九条(同条第一項第一号及び第三号を除く。)、第二十条第二項及び第四項、第二十一条第一項及び第三項並びに第二十二条の規定を準用する。この場合において、第十五条第二項中「一万円」とあるのは「十万円」と、第十九条第一項第二号中「死亡又は解散」とあるのは「解散」と、第二十条第二項中「前項」とあるのは「第七十二条」と、同条第四項中「第一項第三号」とあるのは「第七十二条第二号」と、第二十一条第三項中「脱退の時(前項の規定により払戻しを停止されたときは、払戻しを請求することができるようになつた時)」とあるのは「脱退の時」と、第二十二条第二項中「前二条」とあるのは「第七十二条並びに第七十七条第三項において準用する第二十条第二項及び第四項並びに第二十一条第一項及び第三項」と読み替えるものとする。
4 保険協会の設立に関する事項については、前章第四節の規定を準用する。この場合において、第二十三条第一項中「第十四条第一項」とあるのは「第七十条」と、第二十四条第五項中「半数以上で、かつ、その引き受けた出資の合計額が引受出資総額の二分の一以上になるもの」とあるのは「半数以上」と、同条第六項中「第十七条及び」とあるのは「第十七条第二項から第四項まで及び第七十一条本文並びに」と読み替えるものとする。
5 保険協会の管理に関する事項については、第七十三条及び第七十四条に規定するもののほか、第二十九条、第三十一条、第三十二条、第三十四条から第四十四条まで、第四十五条第一項及び第二項並びに第四十六条から第四十八条までの規定を準用する。この場合において、第二十九条第八号中「剰余金の処分」とあるのは「利益」と、同条第十号中「並びに選任及び委嘱」とあるのは「及び選任」と、第三十八条中「その出資の合計額が出資総額の五分の一以上となる会員」とあるのは「議決権の総数の五分の一以上に当たる議決権を有する会員」と、第四十一条第二項第一号中「氏名又は名称」とあるのは「名称」と、同条第三項中「債権者(基金協会が保証契約を結んでいる融資機関を含む。以下次条において同じ。)」とあるのは「債権者」と、第四十二条第一項中「及び剰余金処分案又は損失処理案」とあり、第四十五条第一項第五号中「、剰余金処分案及び損失処理案」とあるのは「及び利益又は損失の処理案」と、第四十七条中「その出資の合計額が出資総額」とあるのは「その議決権の合計数が議決権の総数」と読み替えるものとする。
6 保険協会の解散及び清算に関する事項については、第四十九条第一項及び第二項並びに第五十条から第五十四条までの規定を準用する。この場合において、第四十九条第一項第三号中「第五十七条第二項」とあるのは、「第七十七条第七項において準用する第五十七条第二項」と読み替えるものとする。
7 保険協会の監督に関する事項については、前二条に規定するもののほか、前章第七節の規定を準用する。この場合において、第五十六条第一項及び第五十八条第一項中「その出資の合計額が出資総額の十分の一以上となる会員」とあるのは「議決権の総数の十分の一以上に当たる議決権を有する会員」と、第五十七条第二項中「前項」とあるのは「前項又は第七十六条」と読み替えるものとする。
第二節 保証保険
(保険契約)
第七十八条 保険協会は、事業年度ごとに、会員たる基金協会を相手方として、その基金協会が農業近代化資金(一の借入れに係る借入金の額が政令で定める額以上のものに限る。)に係る債務の保証をすることにより、その基金協会が借入金につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、保険協会とその基金協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 保険協会は、事業年度ごとに、会員たる基金協会を相手方として、その基金協会が農業近代化資金(一の借入れに係る借入金の額が前項の政令で定める額未満のものに限る。)に係る債務の保証をしたことを保険協会に通知することにより、その基金協会が借入金につき保証をした金額の総額が一定の金額に達するまで、その保証につき、保険協会とその基金協会との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
3 前二項の保険関係においては、基金協会が借入金につき保証をした金額を保険価額とし、基金協会が被保証者に代わつてする借入金の全部又は一部の弁済を保険事故とし、保険価額に百分の七十を乗じて得た金額を保険金額とする。
(保険料)
第七十九条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内で政令で定める率を乗じて得た額とする。
(保険金)
第八十条 保険協会が第七十八条第一項又は第二項の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、基金協会が被保証者に代わつて弁済をした借入金の額から基金協会がその支払の請求をする時までにその被保証者に対する求償権(弁済をした日以後の利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)を行使して取得した額を控除した残額に、百分の七十を乗じて得た額とする。
2 前項の求償権を行使して取得した額は、基金協会が借入金のほか利息又は費用についても弁済をしたときは、当該求償権を行使して取得した総額に、その弁済をした借入金の額の総弁済額に対する割合を乗じて得た額とする。
第八十一条 基金協会は、保険事故の発生の日から一月を経過した後でなければ、保険金の支払の請求をすることができない。
2 基金協会は、保険事故の発生の日から一年三月を経過した後は、前項の請求をすることができない。
(求償)
第八十二条 基金協会は、第七十八条第一項又は第二項の保険関係が成立した保証に基づき被保証者に代わつて弁済をした場合には、その求償に努めなければならない。
(回収金の納付)
第八十三条 保険金の支払を受けた基金協会は、その支払の請求をした後被保証者に対する求償権(基金協会がその被保証者に代わつて弁済をした日以後保険金の支払を受けた日までの利息及び避けることができなかつた費用その他の損害の賠償に係る部分を除く。)を行使して取得した額に、当該支払を受けた保険金の額の当該保険金に係る第八十条第一項に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を保険協会に納付しなければならない。
2 前項の求償権を行使して取得した額については、第八十条第二項の規定を準用する。
(契約の解除等)
第八十四条 保険協会は、基金協会がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定又は第七十八条第一項若しくは第二項の保険契約の条項に違反したときは、同条第一項若しくは第二項の保険関係に基づく保険金の全部若しくは一部を支払わず、若しくは保険金の全部若しくは一部を返還させ、又は将来にわたつて当該保険契約を解除することができる。
第三節 融資保険
(保険契約)
第八十五条 保険協会は、事業年度ごとに、会員たる農林中央金庫を相手方として、農林中央金庫が農業近代化資金の貸付け(一の貸付けに係る金額が政令で定める額以上のものに限る。)をすることにより、その貸付金の総額が一定の金額に達するまで、その貸付けにつき、保険協会と農林中央金庫との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
2 保険協会は、事業年度ごとに、会員たる農林中央金庫を相手方として、農林中央金庫が農業近代化資金の貸付け(一の貸付けに係る金額が前項の政令で定める額未満のものに限る。)をしたことを保険協会に通知することにより、その貸付金の総額が一定の金額に達するまで、その貸付けにつき、保険協会と農林中央金庫との間に保険関係が成立する旨を定める契約を締結することができる。
3 前二項の規定は、農業近代化資金の貸付けにつき基金協会による債務の保証が行なわれる場合における当該貸付けについては、適用しない。
4 第一項又は第二項の保険関係においては、貸付金の額を保険価額とし、弁済期後政令で定める期間を経過した時における債務の不履行による貸付金の全部又は一部の回収未済を保険事故とし、保険価額に百分の七十を乗じて得た金額を保険金額とする。
(保険料)
第八十六条 保険料の額は、保険金額に年百分の三以内で政令で定める率を乗じて得た額とする。
(保険金)
第八十七条 保険協会が第八十五条第一項又は第二項の保険関係に基づいて支払うべき保険金の額は、同条第四項の回収未済の貸付金の額から農林中央金庫がその支払の請求をする時までに回収をした貸付金の額を控除した残額に、百分の七十を乗じて得た額とする。
(回収)
第八十八条 農林中央金庫は、第八十五条第一項又は第二項の保険関係が成立した貸付けについて、貸付金の回収に努めなければならない。
(回収金の納付)
第八十九条 農林中央金庫は、保険金の支払を受けた場合には、その支払の請求をした後回収をした貸付金の額とその支払を受けた日の翌日以後の利息の受領した額との合計額に、当該支払を受けた保険金の額の当該保険金に係る第八十七条に規定する残額に対する割合を乗じて得た額を保険協会に納付しなければならない。
(準用規定)
第九十条 第八十五条第一項又は第二項の保険関係については、第八十一条及び第八十四条の規定を準用する。この場合において、第八十四条中「第七十八条」とあるのは、「第八十五条」と読み替えるものとする。
附則第二条第一項中「協会」を「基金協会」に、「当該協会」を「当該基金協会」に改め、同条第二項中「協会」を「基金協会」に改め、同条第四項中「協会」を「基金協会」に、「当該協会」を「当該基金協会」に改める。
附則第五条第一項及び第二項中「協会」を「基金協会」に、「当該協会」を「当該基金協会」に改め、同条第三項から第五項までの規定中「協会」を「基金協会」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
(経過規定)
第二条 農業信用基金協会がこの法律の施行の日の前日までに行なつた保証債務の弁済によつて得た求償権の行使により取得した金銭の管理については、改正後の農業信用保証保険法第九条後段の規定にかかわらず、なお従前の例による。
第三条 この法律の施行前にした行為及び前条の規定により従前の例によることとされる金銭の管理に係るこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第四条 この法律の施行の際現にその名称中に農業信用保険協会という文字を用いている者については、改正後の農業信用保証保険法第六十三条第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
(農業近代化資金助成法の一部改正)
第五条 農業近代化資金助成法(昭和三十六年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。
第四条の見出し中「保証」を「保証等」に改め、同条第一項中「農業信用基金協会の制度」の下に「及びその保証等につき農業信用保険協会が行なう農業信用保険の制度」を加え、同条第二項を次のように改める。
2 前項に規定する農業信用基金協会及び農業信用保険の制度に関しては、農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)の定めるところによる。
第六条第一号中「農業信用基金協会法」を「農業信用保証保険法」に改め、同条第二号中「当該業務に係る弁済」の下に「(当該基金をもつて行なつたものに限る。)」を、「取得した金額」の下に「(その金額のうちに農業信用保証保険法第八十三条第一項の規定により農業信用保険協会へ納付すべき納付金の額が含まれている場合には、その納付金の額を控除した金額)」を加える。
(その他の法律の一部改正)
第六条 農林中央金庫法(大正十二年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項中「漁船保険組合」の下に「、農業信用保険協会」を加える。
第七条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律(昭和二十二年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第二号に次のように加える。
ウ 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)
第八条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第十二条第一項第九号中「農業信用基金協会」の下に「、農業信用保険協会」を加える。
第九条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項第二号中「農林中央金庫」の下に「、農業信用保険協会」を加える。
第十条 農林漁業団体職員共済組合法(昭和三十三年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。
第一条第七号の二を次のように改める。
七の二 農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)第二章
第十一条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「農業信用基金協会」の下に「、農業信用保険協会」を加え、「農業信用基金協会法」を「農業信用保証保険法」に改める。
第十二条 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第九号ノ八中「農業信用基金協会」の下に「、農業信用保険協会」を加える。
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「農業信用基金協会の下に「、農業信用保険協会」を加える。
第十四条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中
農業信用基金協会
農業信用基金協会法(昭和三十六年法律第二百四号)
農業信用基金協会
農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)
農業信用保険協会
に改める。
第十五条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中
農業信用基金協会
農業信用基金協会法(昭和三十六年法律第二百四号)
農業信用基金協会
農業信用保証保険法(昭和三十六年法律第二百四号)
農業信用保険協会
に改める。
内閣総理大臣 佐藤栄作
法務大臣 石井光次郎
大蔵大臣 福田赳夫
農林大臣 坂田英一
自治大臣 永山忠則