(目的)
第一条 この法律は、新エネルギー・産業技術総合開発機構に産業技術に関する研究開発、研究基盤施設の整備等の業務を国際的に協調しつつ総合的、計画的かつ効率的に行わせるための措置を構ずること等により、産業技術の向上を図り、あわせて産業技術の分野における国際交流の進展を図り、もつて国民経済の国際経済環境と調和のある中長期的な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「産業技術」とは、鉱業及び工業の技術のうち通商産業省の所掌に係るものをいう。
2 この法律において「研究基盤施設」とは、技術革新の進展に寄与する高度な産業技術に関する研究開発を行うために必要な相当の規模の施設及び設備であつて、産業技術に関する研究開発を行う者の共用に供されるものをいう。
(基本方針)
第三条 通商産業大臣は、内外における産業技術に関する研究開発の動向を勘案して、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「機構」という。)に行わせる次に掲げる業務について、その総合的、計画的かつ効率的な実施のための基本方針を定め、これを機構に指示するとともに、公表しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
一 民間の産業技術に関する研究開発能力又は機構若しくはその出資に係る法人が整備した研究基盤施設を活用することによりその効果的な実施を図ることができる産業技術(原子力に係るものを除く。)に関する研究開発(石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(昭和五十五年法律第七十一号。以下「石油代替エネルギー法」という。)第三十九条第一項第一号に掲げる業務を除く。)
二 研究基盤施設(機構が自ら整備する研究基盤施設にあつては、原子力に係る技術に関する研究開発を行うためのものを除く。)の整備に関する業務
2 通商産業大臣は、前項の基本方針を定めるに当たつては、産業技術に関する研究開発が国際的に協調して行われるよう配慮しなければならない。
(機構の行う産業技術に関する研究開発等の業務)
第四条 機構は、前条の規定に基づいて通商産業大臣が定める基本方針に従つて、次の業務を行う。
一 前条第一項第一号に規定する産業技術に関する研究開発を行うこと。
二 機構がその整備を行うべきものとして前条第一項の基本方針において定められた研究基盤施設を整備してこれを産業技術に関する研究開発を行う者の共用に供すること。
三 研究基盤施設を整備してこれを産業技術に関する研究開発を行う者の共用に供するために必要な資金を供給するための出資を行うこと。
四 外国の研究者が参加する産業技術に関する研究開発を助成すること。
六 前各号に掲げる業務のほか、前条第一項第三号に規定する業務であつて、通商産業大臣の認可を受けたものを行うこと。
(機構の運営委員会の議事及び議決)
第五条 機構の行う前条に掲げる業務に係る予算、事業計画及び資金計画並びに決算に関する石油代替エネルギー法第二十条に規定する運営委員会の議事及び議決については、石油代替エネルギー法第二十六条に規定するもののほか、通商産業省令で定める。
(特別の勘定)
第六条 機構は、第四条第一号、第二号及び第四号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に係る経理並びに同条第三号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。以下「研究基盤出資業務」という。)に係る経理については、その他の経理と区分し、それぞれ特別の勘定を設けて整理しなければならない。
2 機構は、研究基盤出資業務に係る勘定において、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、石油代替エネルギー法第四十六条第一項の規定にかかわらず、その残余の額のうち、政令で定める基準により計算した額を積立金として積み立てなければならない。
3 機構は、研究基盤出資業務に係る勘定において、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
4 機構は、研究基盤出資業務に係る勘定において、第二項の規定による積立てを行つた後、なお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。
5 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。
(石油代替エネルギー法の特例)
第七条 第四条の規定により機構の業務が行われる場合には、石油代替エネルギー法第四十条第一項中「前条第一項第一号」とあるのは「前条第一項第一号並びに産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律(以下「研究開発体制整備法」という。)第四条第一号及び第二号」と、石油代替エネルギー法第四十一条第一項中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び研究開発体制整備法第四条」と、石油代替エネルギー法第五十二条中「この法律及びこれに基づく政令」とあるのは「この法律及び研究開発体制整備法並びにこれらに基づく政令」と、石油代替エネルギー法第五十三条第二項及び第五十四条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は研究開発体制整備法」と、石油代替エネルギー法第五十六条第一号中「又は第四十九条」とあるのは「若しくは第四十九条又は研究開発体制整備法第四条第六号」と、同条第二号中「又は第五十二条の通商産業省令」とあるのは「若しくは第五十二条の通商産業省令又は研究開発体制整備法第三条第一項の基本方針」と、石油代替エネルギー法第五十九条第三号中「第三十九条第一項」とあるのは「第三十九条第一項及び研究開発体制整備法第四条」とする。
(産業基盤整備基金の行う研究基盤施設整備促進業務)
第八条 産業基盤整備基金(以下「基金」という。)は、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第四十条第一項に規定する業務のほか、研究基盤施設の整備等を促進するため、次の業務を行う。
一 機構の出資を受けた者が研究基盤施設を整備してこれを産業技術に関する研究開発を行う者の共用に供するために必要な資金の借入れに係る債務の保証を行うこと。
(特定施設整備法の特例)
第九条 前条の規定により基金の業務が行われる場合には、特定施設整備法第四十条第二項中「前項第一号の業務」とあるのは「前項第一号の業務及び産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律(以下「研究開発体制整備法」という。)第八条第一号の業務」と、特定施設整備法第六十三条第三号中「第四十条第一項」とあるのは「第四十条第一項及び研究開発体制整備法第八条」とする。
(政府の責務)
第十条 政府は、この法律の目的を達成するために必要な産業技術に関する研究開発の推進を図るための財政上及び金融上の措置等を講ずるよう努めなければならない。