第三条 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四款 債権及びその他の財産権に対する強制執行(第百四十三条―第百六十七条)」を
「
第二目 |
少額訴訟債権執行(第百六十七条の二―第百六十七条の十四) |
第五款 |
扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例(第百六十七条の十五・第百六十七条の十六) |
」に改める。
第六条第一項ただし書中「第六十四条の二第五項」の下に「(第百八十八条において準用する場合を含む。)」を加える。
第十四条第一項中「執行裁判所の」を「裁判所書記官の」に、「執行裁判所が」を「裁判所書記官が相当の期間を定めてその」に改め、同条中第三項を第五項とし、第二項を第四項とし、第一項の次に次の二項を加える。
2 前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
3 第一項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
第十八条第一項中「執行裁判所」の下に「又は執行官」を加える。
第三十三条第二項第三号中「第三百九十七条第一項」を「第百三十二条の十第一項本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促」に、「同条第三項及び第四項」を「当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条(同法第四百二条第二項において準用する場合を含む。)」に改める。
第四十二条第九項中「同法第七十四条第三項」を「同条第三項」に改める。
第四十七条第三項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第五項を同条第七項とし、同条第四項ただし書中「第六十二条第二号」を「第六十二条第一項第二号」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項の次に次の二項を加える。
4 前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
5 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
第四十九条第一項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第二項中「配当要求の終期が定められたときは、裁判所書記官は」を「裁判所書記官は、配当要求の終期を定めたときは」に改め、同条第三項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第四項中「前項の規定により配当要求の終期が延期されたときは、裁判所書記官は」を「裁判所書記官は、前項の規定により配当要求の終期を延期したときは」に改め、同条に次の二項を加える。
5 第一項又は第三項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
6 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
第五十八条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。
2 評価人は、近傍同種の不動産の取引価格、不動産から生ずべき収益、不動産の原価その他の不動産の価格形成上の事情を適切に勘案して、遅滞なく、評価をしなければならない。この場合において、評価人は、強制競売の手続において不動産の売却を実施するための評価であることを考慮しなければならない。
第五十九条第五項中「最低売却価額」を「次条第一項に規定する売却基準価額」に改める。
第六十条の見出し中「最低売却価額」を「売却基準価額」に改め、同条第一項中「最低売却価額」を「、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)」に改め、同条第二項中「最低売却価額」を「売却基準価額」に改め、同条に次の一項を加える。
3 買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。
第六十一条ただし書中「最低売却価額」を「買受可能価額」に改める。
第六十二条第一項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第二項中「執行裁判所は」を「裁判所書記官は」に改め、同条に次の二項を加える。
3 前二項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
4 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
第六十三条の見出し中「場合」を「場合等」に改め、同条第一項を次のように改める。
執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。
一 差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。
二 優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。
第六十三条第二項中「手続費用及び優先債権の見込額を超える額(以下この条」を「優先債権がない場合にあつては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあつては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(以下この項」に改め、同項ただし書中「その期間内に同項の剰余を生ずる見込みがある」を「、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であつて不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者(買受可能価額で自己の優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。)の同意を得た」に改め、同項第二号中「最低売却価額」を「買受可能価額」に改め、同条第三項中「最低売却価額を超える価額」を「買受可能価額以上の額」に改める。
第六十四条第一項及び第三項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第四項中「前項」を「第三項」に、「最低売却価額」を「売却基準価額」に改め、同項を同条第五項とし、同条第三項の次に次の一項を加える。
4 前項の場合においては、第二十条において準用する民事訴訟法第九十三条第一項の規定にかかわらず、売却決定期日は、裁判所書記官が、売却を実施させる旨の処分と同時に指定する。
第六十四条に次の二項を加える。
6 第一項、第三項又は第四項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
7 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
第六十四条の二第二項中「執行裁判所の」を削り、「命令」を「裁判所書記官の処分」に改める。
第六十七条中「最低売却価額を超え」を「買受可能価額以上で」に、「を超える」を「以上である」に改める。
第六十八条の二第一項中「執行裁判所は、」の下に「裁判所書記官が」を加え、同条第二項中「最低売却価額」を「買受可能価額」に改める。
第六十八条の三第一項中「執行裁判所は、」の下に「裁判所書記官が」を加え、同条第二項中「三月以内に」の下に「、執行裁判所に対し」を加え、「執行裁判所は、」を「裁判所書記官は、第六十四条の定めるところにより」に改め、同条第三項中「規定により」の下に「裁判所書記官が」を加える。
第七十一条第六号中「最低売却価額」を「売却基準価額」に改める。
第七十六条第一項ただし書中「第六十二条第二号」を「第六十二条第一項第二号」に改める。
第七十八条第一項中「執行裁判所」を「裁判所書記官」に改め、同条第四項中「売却決定期日の終了」を「売却許可決定が確定する」に改め、同条に次の三項を加える。
5 裁判所書記官は、特に必要があると認めるときは、第一項の期限を変更することができる。
6 第一項又は前項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
7 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
第八十五条第一項を次のように改める。
執行裁判所は、配当期日において、第八十七条第一項各号に掲げる各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を定める。ただし、配当の順位及び額については、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合は、この限りでない。
第八十五条第四項を削り、同条第三項中「配当表の作成に関し」を「第一項本文に規定する事項を定めるため必要があると認めるときは」に、「並びに」を「かつ、」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「第八十七条第一項各号に掲げる」を「第一項に規定する」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 執行裁判所は、前項本文の規定により配当の順位及び額を定める場合には、民法、商法その他の法律の定めるところによらなければならない。
第八十五条第五項を次のように改める。
5 第一項の規定により同項本文に規定する事項(同項ただし書に規定する場合には、配当の順位及び額を除く。)が定められたときは、裁判所書記官は、配当期日において、配当表を作成しなければならない。
第八十五条第六項中「第二項の」を「第一項に規定する」に改め、同項を同条第七項とし、同条第五項の次に次の一項を加える。
6 配当表には、売却代金の額及び第一項本文に規定する事項についての執行裁判所の定めの内容(同項ただし書に規定する場合にあつては、配当の順位及び額については、その合意の内容)を記載しなければならない。
第八十六条第二項中「最低売却価額」を「売却基準価額」に改める。
第八十七条第三項中「第四十七条第四項」を「第四十七条第六項」に改める。
第九十三条の三中「差押命令」の下に「又は差押処分」を加える。
第九十三条の四第一項中「差押命令」の下に「又は差押処分」を加え、同項ただし書中「第百六十五条各号(」の下に「第百六十七条の十四において第百六十五条各号(第三号及び第四号を除く。)の規定を準用する場合及び」を加え、同条第三項中「第一項の差押命令」の下に「又は差押処分」を、「同項の差押命令」の下に「又は差押処分」を、「当該債権執行」の下に「(第百四十三条に規定する債権執行をいう。)又は少額訴訟債権執行(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行をいう。)」を加える。
第百十一条中「第四項本文及び第五項」を「第六項本文及び第七項」に改める。
第百二十九条第一項中「で手続費用を弁済して剰余を生ずる」を「の額が手続費用の額を超える」に改め、同条第二項中「で差押債権者の債権に優先する債権及び手続費用を弁済して剰余を生ずる」を「の額が手続費用及び差押債権者の債権に優先する債権の額の合計額以上となる」に改める。
第二章第二節第四款中第百四十三条の前に次の目名を付する。
第百四十三条中「(以下」を「(第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行を除く。以下この節において」に改める。
第百四十四条第三項中「債権」の下に「(差押命令により差し押さえられた債権に限る。以下この目において同じ。)」を加える。
第百四十五条第一項中「及び」を「かつ、」に改める。
第百五十六条第一項中「金銭債権」の下に「(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。次項において同じ。)」を加え、同条第二項中「発せられた差押命令」の下に「、差押処分」を加える。
第二章第二節第四款中第百六十七条の次に次の一目を加える。
第二目 少額訴訟債権執行
(少額訴訟債権執行の開始等)
第百六十七条の二 次に掲げる少額訴訟に係る債務名義による金銭債権に対する強制執行は、前目の定めるところにより裁判所が行うほか、第二条の規定にかかわらず、申立てにより、この目の定めるところにより裁判所書記官が行う。
三 少額訴訟における訴訟費用又は和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分
五 少額訴訟における民事訴訟法第二百七十五条の二第一項の規定による和解に代わる決定
2 前項の規定により裁判所書記官が行う同項の強制執行(以下この目において「少額訴訟債権執行」という。)は、裁判所書記官の差押処分により開始する。
3 少額訴訟債権執行の申立ては、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
一 第一項第一号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
二 第一項第二号に掲げる債務名義 同号の判決をした簡易裁判所
三 第一項第三号に掲げる債務名義 同号の処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所
四 第一項第四号に掲げる債務名義 同号の和解が成立し、又は同号の認諾がされた簡易裁判所
五 第一項第五号に掲げる債務名義 同号の和解に代わる決定をした簡易裁判所
4 第百四十四条第三項及び第四項の規定は、差押えに係る金銭債権(差押処分により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押処分がされた場合について準用する。この場合において、同条第三項中「差押命令を発した執行裁判所」とあるのは「差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所」と、「執行裁判所は」とあるのは「裁判所書記官は」と、「他の執行裁判所」とあるのは「他の簡易裁判所の裁判所書記官」と、同条第四項中「決定」とあるのは「裁判所書記官の処分」と読み替えるものとする。
(執行裁判所)
第百六十七条の三 少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分に関しては、その裁判所書記官の所属する簡易裁判所をもつて執行裁判所とする。
(裁判所書記官の執行処分の効力等)
第百六十七条の四 少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分は、特別の定めがある場合を除き、相当と認める方法で告知することによつて、その効力を生ずる。
2 前項に規定する裁判所書記官が行う執行処分に対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。
3 第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による執行異議の申立てがあつた場合について準用する。
(差押処分)
第百六十七条の五 裁判所書記官は、差押処分において、債務者に対し金銭債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
2 第百四十五条第二項から第四項までの規定は、差押処分について準用する。
3 差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4 前項の執行異議の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第三項及び前項並びに同条第三項の規定を準用する。
(費用の予納等)
第百六十七条の六 少額訴訟債権執行についての第十四条第一項及び第四項の規定の適用については、これらの規定中「執行裁判所」とあるのは、「裁判所書記官」とする。
2 第十四条第二項及び第三項の規定は、前項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定による裁判所書記官の処分については、適用しない。
3 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定により少額訴訟債権執行の手続を取り消す旨の裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
(第三者異議の訴えの管轄裁判所)
第百六十七条の七 少額訴訟債権執行の不許を求める第三者異議の訴えは、第三十八条第三項の規定にかかわらず、執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
(差押禁止債権の範囲の変更)
第百六十七条の八 執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押処分の全部若しくは一部を取り消し、又は第百六十七条の十四において準用する第百五十二条の規定により差し押さえてはならない金銭債権の部分について差押処分をすべき旨を命ずることができる。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押処分が取り消された金銭債権について差押処分をすべき旨を命じ、又は同項の規定によりされた差押処分の全部若しくは一部を取り消すことができる。
3 第百五十三条第三項から第五項までの規定は、前二項の申立てがあつた場合について準用する。この場合において、同条第四項中「差押命令」とあるのは、「差押処分」と読み替えるものとする。
(配当要求)
第百六十七条の九 執行力のある債務名義の正本を有する債権者及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、裁判所書記官に対し、配当要求をすることができる。
2 第百五十四条第二項の規定は、前項の配当要求があつた場合について準用する。
3 第一項の配当要求を却下する旨の裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
4 前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
(転付命令等のための移行)
第百六十七条の十 差押えに係る金銭債権について転付命令又は譲渡命令、売却命令、管理命令その他相当な方法による換価を命ずる命令(以下この条において「転付命令等」という。)のいずれかの命令を求めようとするときは、差押債権者は、執行裁判所に対し、転付命令等のうちいずれの命令を求めるかを明らかにして、債権執行の手続に事件を移行させることを求める旨の申立てをしなければならない。
2 前項に規定する命令の種別を明らかにしてされた同項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
3 前項の規定による決定が効力を生ずる前に、既にされた執行処分について執行異議の申立て又は執行抗告があつたときは、当該決定は、当該執行異議の申立て又は執行抗告についての裁判が確定するまでは、その効力を生じない。
4 第二項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
5 第一項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第二項の規定による決定が効力を生じたときは、差押処分の申立て又は第一項の申立てがあつた時に第二項に規定する地方裁判所にそれぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立てがあつたものとみなし、既にされた執行処分その他の行為は債権執行の手続においてされた執行処分その他の行為とみなす。
(配当等のための移行等)
第百六十七条の十一 第百六十七条の十四において準用する第百五十六条第一項若しくは第二項又は第百五十七条第五項の規定により供託がされた場合において、債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができないため配当を実施すべきときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
2 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令又は差押処分が発せられたときは、執行裁判所は、同項に規定する地方裁判所における債権執行の手続のほか、当該差押命令を発した執行裁判所又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続にも事件を移行させることができる。
3 第一項に規定する供託がされた場合において、債権者が一人であるとき、又は債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができるときは、裁判所書記官は、供託金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
4 前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられたときは、執行裁判所は、同項の規定にかかわらず、その所在地を管轄する地方裁判所又は当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
5 差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられた場合において、当該差押命令を発した執行裁判所が第百六十一条第六項において準用する第百九条の規定又は第百六十六条第一項第二号の規定により配当等を実施するときは、執行裁判所は、当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
6 第一項、第二項、第四項又は前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
7 第八十四条第三項及び第四項、第八十八条、第九十一条(第一項第六号及び第七号を除く。)並びに第九十二条第一項の規定は第三項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続について、前条第三項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項、第二項、第四項又は第五項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。
(裁量移行)
第百六十七条の十二 執行裁判所は、差し押さえるべき金銭債権の内容その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
2 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
3 第百六十七条の十第三項の規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。この場合において、同条第六項中「差押処分の申立て又は第一項の申立て」とあるのは「差押処分の申立て」と、「それぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立て」とあるのは「差押命令の申立て」と読み替えるものとする。
(総則規定の適用関係)
第百六十七条の十三 少額訴訟債権執行についての第一章及び第二章第一節の規定の適用については、第十三条第一項中「執行裁判所でする手続」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行の手続」と、第十六条第一項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第十七条中「執行裁判所の行う民事執行」とあるのは「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行」と、第四十条第一項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「裁判所書記官」と、第四十二条第四項中「執行裁判所の裁判所書記官」とあるのは「裁判所書記官」とする。
(債権執行の規定の準用)
第百六十七条の十四 第百四十六条から第百五十二条まで、第百五十五条から第百五十八条まで、第百六十四条第五項及び第六項並びに第百六十五条(第三号及び第四号を除く。)の規定は、少額訴訟債権執行について準用する。この場合において、第百四十六条、第百五十五条第三項及び第百五十六条第三項中「執行裁判所」とあるのは「裁判所書記官」と、第百四十六条第一項中「差押命令を発する」とあるのは「差押処分をする」と、第百四十七条第一項、第百四十八条第二項、第百五十条及び第百五十五条第一項中「差押命令」とあるのは「差押処分」と、第百四十七条第一項及び第百四十八条第一項中「差押えに係る債権」とあるのは「差押えに係る金銭債権」と、第百四十九条中「差押命令が発せられたとき」とあるのは「差押処分がされたとき」と、第百六十四条第五項中「差押命令の取消決定」とあるのは「差押処分の取消決定若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、第百六十五条(見出しを含む。)中「配当等」とあるのは「弁済金の交付」と読み替えるものとする。
第二章第二節に次の一款を加える。
第五款 扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例
(扶養義務等に係る金銭債権についての間接強制)
第百六十七条の十五 第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権についての強制執行は、前各款の規定により行うほか、債権者の申立てがあるときは、執行裁判所が第百七十二条第一項に規定する方法により行う。ただし、債務者が、支払能力を欠くためにその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するときは、この限りでない。
2 前項の規定により同項に規定する金銭債権について第百七十二条第一項に規定する方法により強制執行を行う場合において、債務者が債権者に支払うべき金銭の額を定めるに当たつては、執行裁判所は、債務不履行により債権者が受けるべき不利益並びに債務者の資力及び従前の債務の履行の態様を特に考慮しなければならない。
3 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、債務者の申立てにより、その申立てがあつた時(その申立てがあつた後に事情の変更があつたときは、その事情の変更があつた時)までさかのぼつて、第一項の規定による決定を取り消すことができる。
4 前項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その裁判が効力を生ずるまでの間、担保を立てさせ、又は立てさせないで、第一項の規定による決定の執行の停止を命ずることができる。
5 前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
6 第百七十二条第二項から第五項までの規定は第一項の場合について、同条第三項及び第五項の規定は第三項の場合について、第百七十三条第二項の規定は第一項の執行裁判所について準用する。
(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
第百六十七条の十六 債権者が第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち六月以内に確定期限が到来するものについても、前条第一項に規定する方法による強制執行を開始することができる。
第百七十三条第一項中「あるときは、」の下に「執行裁判所が」を加える。
第百九十三条第二項中「前章第二節第四款」を「前章第二節第四款第一目」に改める。
第二百五条第一項第一号中「物件明細書の作成」を「売却基準価額の決定」に改める。