(けい肺健康診断)
第三条 使用者は、別表第二に掲げる作業(けい肺を生ずるおそれがないと認められる政令で定める作業を除く。以下同じ。)に常時従事させる労働者に対して、その就業の際、けい肺健康診断を行わなければならない。ただし、次の各号の一に該当する者に対しては、この限りでない。
一 その作業に従事する前一年以内にけい肺健康診断を受けて第五条第一項、第六条第三項(第七条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第二項の規定によりけい肺第二症度又はけい肺第三症度のけい肺にかかつていると決定された者
二 前号以外の者で、その作業に従事する前三年以内にけい肺健康診断を受けて第五条第一項、第六条第三項(第七条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第二項の規定によりけい肺にかかつていないか、又はけい肺第一症度のけい肺にかかつていると決定されたもの
三 前二号以外の者で、その作業に従事する前粉じん作業に従事したことがないもの
2 使用者は、別表第二に掲げる作業に常時従事させる労働者に対して、三年以内ごとに一回、けい肺健康診断を行わなければならない。
3 使用者は、前項の規定にかかわらず、別表第二に掲げる作業に常時従事させる労働者のうち、第五条第一項、第六条第三項(第七条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第二項の規定によりけい肺第二症度又はけい肺第三症度のけい肺にかかつていると決定された者に対して、一年以内ごとに一回、けい肺健康診断を行わなければならない。
4 使用者は、前二項に規定する場合のほか、別表第二に掲げる作業に常時従事させる労働者のうち、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第五十二条第一項の規定による健康診断において医師により肺結核にかかつていると診断された者に対して、遅滞なく、けい肺健康診断を行わなければならない。ただし、同項の規定による健康診断を行う前において、第五条第一項、第六条第三項(第七条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第二項の規定によりけい肺第一症度、けい肺第二症度又はけい肺第三症度のけい肺にかかつていると決定された労働者については、この限りでない。
5 使用者は、第八条第一項の勧告に係る労働者が当該事業において粉じん作業以外の作業に従事しているときは、その者に対して、三年以内ごとに一回、けい肺健康診断を行わなければならない。ただし、当該けい肺健康診断の結果、けい肺の症状がその直前のけい肺健康診断の結果の症状に比較して進行していないときは、その後は、けい肺健康診断を行わなくてもよい。
6 使用者は、けい肺健康診断において医師によりけい肺にかかつていると診断された労働者のうち、エツクス線写真に融合像又は塊状陰影が認められない者に対しては労働省令で定める心肺機能検査(以下「機能検査」という。)を、エツクス線写真に融合像又は塊状陰影が認められる者に対しては労働省令で定める結核精密検査(以下「結核検査」という。)を、結核検査により活動性の肺結核にかかつていないと診断された者に対しては機能検査を、遅滞なく、行わなければならない。
7 使用者は、第四項本文に規定する労働者で同項ただし書の規定により同項のけい肺健康診断を行わないもの及び第八条第一項の勧告に係る労働者で当該事業において粉じん作業以外の作業に従事しているもののうち、労働基準法第五十二条第一項の規定による健康診断において、医師により、肺結核にかかつているが、それが活動性の肺結核でないと診断された者に対して、遅滞なく、機能検査を行わなければならない。
8 第一項から前項までの規定によるけい肺健康診断、機能検査又は結核検査の対象労働者は、正当な理由がある場合を除き、それぞれ使用者が行うけい肺健康診断、機能検査又は結核検査を受けなければならない。ただし、使用者が指定した医師のけい肺健康診断、機能検査又は結核検査を受けることを希望しない場合において、他の医師のけい肺健康診断、機能検査又は結核検査を受けて、それぞれエツクス線写真及びけい肺健康診断の結果を証明する書面、機能検査の結果を証明する書面又は結核検査の結果を証明する書面を使用者に提出したときは、この限りでない。
9 使用者は、けい肺健康診断、機能検査又は結核検査を行つた場合においては、その限度において、労働基準法第五十二条第一項の規定による健康診断を行わなくてもよい。
(エツクス線写真等の提出義務)
第四条 使用者が前条第一項から第六項までの規定によりけい肺健康診断、機能検査若しくは結核検査を行つたとき、又は労働者が同条第八項ただし書の規定により提出すべきエツクス線写真若しくは書面を使用者に提出したときは、使用者は、医師によりけい肺にかかつていると診断された者について、遅滞なく、それぞれ次の各号に掲げる物を当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働基準局長に提出しなければならない。
一 けい肺健康診断については、エツクス線写真、粉じん作業についての職歴を証明する書面及びけい肺健康診断の結果を証明する書面
2 使用者は、前条第七項の労働者に係る労働基準法第五十二条第一項の規定による健康診断において、当該労働者が医師により活動性の肺結核にかかつていると診断されたときは、その者について、遅滞なく、その診断の結果を証明する書面を当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働基準局長に提出しなければならない。
3 使用者が前条第七項の規定により機能検査を行つたとき、又は労働者が同条第八項ただし書の規定により提出すべき書面を使用者に提出したときは、使用者は、その者について、遅滞なく、同条第七項に規定する医師の診断の結果を証明する書面及び機能検査の結果を証明する書面を当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働基準局長に提出しなければならない。
(症状等の決定)
第五条 都道府県労働基準局長は、前条の規定によりエツクス線写真又は書面の提出を受けたときは、これを基礎として、地方けい肺診査医の診断又は審査により、当該労働者がけい肺にかかつているかどうか、及びけい肺にかかつている者については第二条第二項の症状の区分に従つてその症状を決定し、その旨を当該使用者に通知するものとする。
2 都道府県労働基準局長は、前項の通知をしたときは、遅滞なく、前条の規定により提出されたエツクス線写真又は書面を使用者に返還するものとする。
3 使用者は、第一項の通知を受けたときは、遅滞なく、その内容を当該労働者に通知するとともに、けい肺の症状がけい肺第四症度に該当すると決定された者については療養を要する旨を通知しなければならない。
第六条 粉じん作業に従事する労働者又は従事していた労働者若しくは労働者であつた者は、けい肺健康診断、機能検査又は結核検査を受け、医師によりけい肺にかかつていると診断されたときは、随時に、都道府県労働基準局長に第二条第二項の症状の区分に従つてけい肺の症状の決定をすべきことを申請することができる。
2 前項の規定による申請をしようとする者は、申請書に、エツクス線写真、粉じん作業についての職歴を証明する書面、けい肺健康診断の結果を証明する書面及び次の各号に掲げる書面を添えて、都道府県労働基準局長に提出しなければならない。
一 医師によりエツクス線写真に融合像又は塊状陰影がないと認められた者については、機能検査の結果を証明する書面
二 医師によりエツクス線写真に融合像又は塊状陰影があると認められた者については、結核検査の結果を証明する書面
三 医師によりエツクス線写真に融合像又は塊状陰影があると認められた者で、結核検査により活動性の肺結核にかかつていないと診断されたものについては、機能検査の結果を証明する書面
3 都道府県労働基準局長は、第一項の規定による申請を受けたときは、前項の規定により提出されたエツクス線写真及び書面を基礎として、地方けい肺診査医の診断又は審査により申請者がけい肺にかかつているかどうか、及びけい肺にかかつている者については第二条第二項の症状の区分に従つてけい肺の症状を決定し、その旨を申請者及び当該使用者に通知するものとする。
4 都道府県労働基準局長は、前項の通知をしたときは、遅滞なく、第二項の規定により申請書に添えて提出されたエツクス線写真及び書面を申請者に返還するものとする。
第七条 粉じん作業に従事する労働者がけい肺健康診断、機能検査又は結核検査を受け、医師によりけい肺にかかつていると診断されたときは、使用者は、当該労働者について、随時に、都道府県労働基準局長に第二条第二項の症状の区分に従つてけい肺の症状の決定をすべきことを申請することができる。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。この場合において、前条第三項中「当該使用者」とあるのは「当該労働者」と読み替えるものとする。
(作業の転換)
第八条 都道府県労働基準局長は、第五条第一項、第六条第三項(前条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第二項の規定による症状の決定を受けた労働者で次の各号の一に該当するものが現に粉じん作業に従事しているときは、使用者に対して、その者を粉じん作業以外の作業につかせることを勧告することができる。
一 けい肺第三症度のけい肺にかかつていると決定された者
二 けい肺第二症度のけい肺にかかつていると決定された者で、粉じん作業に従事した期間が五年以内であり、かつ、エツクス線写真の像が第二型に該当するもの
三 けい肺第二症度のけい肺にかかつていると決定された者で、粉じん作業に従事した期間が十年以内であり、かつ、エツクス線写真の像が第三型に該当するもの
2 使用者は、前項の勧告を受けたときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業につかせるように努めなければならない。
3 使用者は、第一項の勧告を受けて、当該労働者を粉じん作業に従事させなくなつたときは、遅滞なく、その旨を当該事業場の所在地を管轄する都道府県労働基準局長に通知しなければならない。
(職業紹介等)
第九条 公共職業安定所その他の職業安定機関は、前条第一項の勧告に係る労働者が作業の転換に関する使用者の努力にもかかわらず、当該事業において粉じん作業以外の作業につくことができないときは、当該労働者に対して職業紹介、職業補導等について適切な措置を講ずるように努めなければならない。