(輸出に関する命令)
第二十八条 通商産業大臣は、第五条第一項の規定による届出をして協定を締結し、又は第十一条第二項の規定による届出をして定めた組合員の遵守すべき事項の適用を受けている輸出業者の当該仕向地に対する当該貨物の輸出額が当該仕向地に対する当該貨物の総輸出額に対し相当の比率を占めている場合において、その協定又は組合員の遵守すべき事項をもつてしては輸出取引の秩序の確立又は輸出貿易の建全な発展に対して生じている著しい支障を除去することが困難であると認めるときは、通商産業省令で、当該仕向地に輸出する当該貨物の輸出取引における価格、品質、意匠その他の取引条件又は数量について輸出業者の遵守すべき事項を定めることができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定に該当する場合において、同項に規定する事由を除去するための措置として、当該仕向地に輸出する当該貨物の輸出取引における価格、品質、意匠又は数量を定める通商産業省令を制定することが適切でないと認めるときは、通商産業省令で、輸出業者は、当該仕向地に当該貨物を輸出しようとするときは、その輸出取引における価格、品質、意匠又は数量について通商産業大臣の承認を受けなければならないものとすることができる。ただし、外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第一項の規定に基く政令の規定により通商産業大臣の輸出の承認を受けるべき特定の種類の又は特定の地域を仕向地とする貨物については、この限りでない。
3 前二項の通商産業省令による制限は、第一項に規定する事由を除去するため必要な最少限度のものでなければならない。
4 通商産業大臣は、第一項又は第二項の通商産業省令に違反した者に対し、一年以内の期間を限り、品目又は仕向地を定めて貨物の輸出を停止すべきことを命ずることができる。
5 通商産業大臣は、第二項の承認に関する事務の処理上特に必要があると認めるときは、同項の通商産業省令で、同項の承認の申請に関する書類は、その指定する輸出組合を経て提出すべきものとすることができる。
6 前項の規定による指定は、第十一条第二項の規定による届出をして組合員の遵守すべき事項を定めている輸出組合の組合員であつて当該仕向地に当該貨物を輸出するものの数が当該仕向地に当該貨物を輸出する輸出業者の総数の二分の一以上であり、かつ、その輸出組合から申出があつた場合に限り行うことができるものとする。
7 第五項の規定による指定を受けた輸出組合は、第二項の承認の申請に関する書類を受け取つたときは、遅滞なく、必要な調査をし、意見を付して、これを通商産業大臣に提出しなければならない。
第二十九条 通商産業大臣は、第五条の二第一項の認可を受けて協定を締結し、又は第十一条第四項の認可を受けて定めた組合員の遵守すべき事項の適用を受けている輸出業者の当該仕向地に対する当該貨物の輸出額が当該仕向地に対する当該貨物の総輸出額に対し相当の比率を占めている場合において、その協定又は組合員の遵守すべき事項をもつてしては輸出取引の秩序の確立又は輸出貿易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去することが困難であると認めるときは、前条第一項又は第二項の通商産業省令をもつてしても輸出取引の秩序の確立又は輸出貿易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去することが困難であると認められる場合に限り、通商産業省令で、当該仕向地に輸出すべき当該貨物の国内取引における価格、品質、意匠その他の取引条件又は数量について輸出業者の遵守すべき事項を定めることができる。
2 前条第三項及び第四項の規定は、前項の通商産業省令に準用する。
(輪入に関する命令)
第三十条 通商産業大臣は、第七条の二第一項の認可を受けて協定を締結し、又は第十九条の四第一項の認可を受けて定めた組合員の遵守すべき事項の適用を受けている輸入業者の当該船積地からの当該貨物の輸入額が当該船積地からの当該貨物の総輸入額に対し相当の比率を占めている場合において、その協定又は組合員の遵守すべき事項をもつてしてはその協定又は組合員の遵守すべき事項に係る第七条の二第一項各号の一に掲げる事由を除去することが困難であると認めるときは、当該事由を除去しなければ輸入取引の秩序の確立を著しく害し、又は輸入貿易の健全な発展に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合に限り、通商産業省令で、当該船積地から輸入する当該貨物の輸入取引における価格、品質その他の取引条件又は数量について輸入業者の遵守すべき事項を定めることができる。
2 通商産業大臣は、前項の規定に該当する場合において、同項に規定する事由を除去するための措置として、当該船積地から輸入する当該貨物の輸入取引における価格又は数量を定める通商産業省令を制定することが適切でないと認めるときは、通商産業省令で、輸入業者は、当該船積地から当該貨物を輸入しようとするときは、その輸入取引における価格又は数量について通商産業大臣の承認を受けなければならないものとすることができる。
3 第二十八条第三項及び第四項の規定は、前二項の通商産業省令に準用する。
4 第二十八条第五項から第七項までの規定は、第二項の場合に準用する。
(輸出入の調整に関する命令)
第三十一条 通商産業大臣は、輸出入組合が第二十三条第一項の認可を受けて組合員の遵守すべき事項を定めている場合において、その組合員の遵守すべき事項をもつてしてはその組合員の遵守すべき事項に係る同項各号の一に掲げる事由を除去することが困難であると認めるときは、当該事由を除去しなければ当該特定地域を仕向地として輸出する貨物の輸出取引及び当該特定地域を船積地として輸入する貨物の輸入取引の秩序の確立を著しく害し、又は当該特定地域との貿易の健全な発展に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合に限り、通商産業省令で、当該特定地域を仕向地として輸出する貨物と当該特定地域を船積地として輸入する貨物との種類、価格、数量、品質又は決済条件の調整に関する事項について輸出業者及び輸入業者の遵守すべき事項を定めることができる。
2 第二十八条第二項から第七項まで及び前条第二項の規定は、前項の場合に準用する。
(秘密保持義務)
第三十二条 第二十八条第五項(第三十条第四項又は前条第二項において準用する場合を含む。)の規定による指定を受けた輸出組合、輸入組合又は輸出入組合の役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外)
第三十三条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定は、第五条第一項の規定による届出をし、若しくは第五条の二第一項、第五条の三第一項若しくは第七条の二第一項の認可を受けて締結した協定又は第十一条第二項の規定による届出をし、若しくは同条第四項、第十九条の四第一項若しくは第二十三条第一項の認可を受けて定めた組合員の遵守すべき事項若しくは第十一条第四項若しくは第十九条の四第一項の認可を受けて締結した団体協約及びこれらに基いてする行為には、適用しない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
一 不公正な取引方法を用いるとき、又は事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにするとき。
二 次条第十一項の規定による公示があつた後一月を経過したとき。(同条第八項若しくは第九項の規定による請求に応じ、通商産業大臣が第五条第二項若しくは第六条第一項(これらの各規定を第十一条第三項において準用する場合を含む。以下この章において同じ。)若しくは同条第二項(第七条の二第三項(第十九条の四第三項において準用する場合を含む。)、第十一条第五項又は第二十三条第三項において準用する場合を含む。第三十五条を除き、以下この章において同じ。)の規定による処分をし、又は次条第十項の規定による請求に応じ、通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣が第六条第三項の規定による処分をした場合を除く。)
2 次条第八項から第十項までの規定による請求が前項に規定する協定又は組合員の遵守すべき事項若しくは団体協約の定の一部について行われたときは、同項第二号の規定にかかわらず、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定は、その協定又は組合員の遵守すべき事項若しくは団体協約の定のうちその請求に係る部分以外の部分に基いてする行為には、適用しない。
(公正取引委員会との関係)
第三十四条 通商産業大臣は、第五条の二第一項、第七条の二第一項、第十一条第四項、第十九条の四第一項又は第二十三条第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
2 通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣は、第五条の三第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
3 通商産業大臣は、第五条第一項若しくは第十一条第二項の規定による届出を受理し、又は第五条第二項若しくは第六条第一項若しくは第二項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、公正取引委員会にその旨を通知しなければならない。
4 通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣は、第六条第三項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、公正取引委員会にその旨を通知しなければならない。
5 通商産業大臣は、第二十八条第一項若しくは第二項(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)、第二十九条第一項、第三十条第一項若しくは第二項(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)又は第三十一条第一項の通商産業省令の制定又は改廃をしようとするときは、あらかじめ、公正取引委員会にその旨を通知しなければならない。
6 公正取引委員会は、前条第一項第一号に該当すると認める場合において、勧告し、又は審判手続を開始しようとするときは、次項の場合を除き、あらかじめ、通商産業大臣に協議しなければならない。
7 公正取引委員会は、生産業者又は販売業者が第五条の三第一項の認可を受けて締結した協定について、前条第一項第一号に該当すると認める場合において、勧告し、又は審判手続を開始しようとするときは、あらかじめ、通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣に協議しなければならない。
8 公正取引委員会は、輸出業者が第五条第一項の規定による届出をした協定又は輸出組合が第十一条第二項の規定による届出をした組合員の遵守すべき事項が第五条第二項第四号から第六号までの各号に適合するものでないと認めるときは、通商産業大臣に対し、同項の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
9 公正取引委員会は、輸出業者若しくは輸入業者が第五条第一項の規定による届出をし、若しくは第五条の二第一項若しくは第七条の二第一項の認可を受けて締結した協定又は輸出組合、輸入組合若しくは輸出入組合が第十一条第二項の規定による届出をし、若しくは同条第四項、第十九条の四第一項若しくは第二十三条第一項の認可を受けて定めた組合員の遵守すべき事項若しくは輸出組合若しくは輸入組合が第十一条第四項若しくは第十九条の四第一項の認可を受けて締結した団体協約が、第五条第二項第四号から第六号までの各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、通商産業大臣に対し、第六条第一項又は第二項の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
10 公正取引委員会は、生産業者又は販売業者が第五条の三第一項の認可を受けて締結した協定が第五条第二項第四号から第六号までの各号に適合するものでなくなつたと認めるときは、通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣に対し、第六条第三項の規定による処分をすべき旨を請求することができる。
11 公正取引委員会は、前三項の規定による請求をしたときは、遅滞なく、その旨を官報に公示しなければならない。
(貨物についての主務大臣との関係)
第三十五条 通商産業大臣は、第五条の二第一項、第七条の二第一項、第十一条第四項、第十四条第一項(第十九条の六において準用する場合を含む。以下同じ。)、第十九条第一項(第十九条の六において準用する場合を含む。以下同じ。)において準用する中小企業等協同組合法第五十一条第二項若しくは第六十三条第三項若しくは第十九条の四第一項の認可をし、第六条第二項(第七条の二第三項(第十九条の四第三項において準用する場合を含む。)又は第十一条第五項において準用する場合を含む。)若しくは第十八条(第十九条の六において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定による処分をし、又は第二十八条第一項若しくは第二項、第二十九条第一項若しくは第三十条第一項若しくは第二項の通商産業省令の制定若しくは改廃をしようとするときは、当該処分又は通商産業省令に係る貨物(第十四条第一項若しくは第十九条第一項において準用する中小企業等協同組合法第五十一条第二項若しくは第六十三条第三項の認可又は第十八条の規定による処分の場合にあつては、認可又は処分に係る輸出組合の所属員たる輸出業者又は輸入組合の組合員たる輸入業者の取扱に係る貨物)についての主務大臣の同意を得なければならない。
2 通商産業大臣は、第五条第一項又は第十一条第二項の規定による届出を受理したときは、遅滞なく、当該協定又は組合員の遵守すべき事項に係る貨物についての主務大臣にその旨を通知しなければならない。
(税関長に対する権限委任)
第三十六条 通商産業大臣は、政令で定めるところにより、この法律に基く権限の一部を税関長に委任することができる。
(輸出入取引審議会への諮問)
第三十七条 通商産業大臣は、第二条第四号、第十九条の三若しくは第二十一条の政令の制定若しくは改廃の立案をし、又は第二十八条第一項若しくは第二項(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)、第二十九条第一項、第三十条第一項若しくは第二項(第三十一条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第三十一条第一項の通商産業省令の制定若しくは改廃をしようとするときは、輸出入取引審議会に諮問しなければならない。
(聴聞)
第三十八条 通商産業大臣は、第四条第二項、第六条第一項若しくは第二項又は第十八条(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間を置いて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
2 通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣は、第六条第三項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間を置いて予告をした上、公開による聴聞を行わなければならない。
3 前二項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
4 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(不服の申立)
第三十九条 この法律の規定による通商産業大臣の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣に不服の申立をすることができる。
2 この法律の規定による通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣の処分に対して不服のある者は、その旨を記載した書面をもつて、通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣に不服の申立をすることができる。
3 通商産業大臣又は通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣は、前二項の不服の申立があつたときは、前条の例により公開の聴聞をした後、文書をもつて決定をし、その写を不服の申立をした者に送付しなければならない。
(報告)
第四十条 通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、輸出業者、輸入業者、輸出組合、輸入組合、輸出入組合、輸出すべき貨物の生産業者若しくは販売業者又は輸入する貨物の需要者若しくは販売業者から報告を徴することができる。
2 当該貨物についての主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、第五条の三第一項の認可を受けて協定を締結している生産業者又は販売業者から報告を徴することができる。