(事業適応計画の承認)
第五条 特定事業者であつて、新たな経済的環境への適応のため、特定設備の処理(廃棄若しくは長期の格納若しくは休止(廃棄に代わるべき設備の生産能力の縮小の態様として妥当なものに限る。)又は譲渡(譲渡された設備が廃棄されることが明らかな場合に限る。)により特定設備が生産の用に供されないようにすることをいう。以下同じ。)を行おうとするものは、当該特定設備の処理(当該特定設備の処理と併せて事業の転換その他の新たな経済的環境への適応のための措置(以下「事業転換等」という。)を実施しようとする場合にあつては、当該事業転換等を含む。)に関する計画(以下「事業適応計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業適応計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 事業適応計画には、当該特定事業者がその事業者に対しその経営を実質的に支配していると認められるものとして政令で定める関係を持つている事業者(以下「関係事業者」という。)が当該特定事業者の新たな経済的環境への適応のために行う措置に関する計画を含めることができる。
3 事業適応計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
三 特定設備の処理を行うのに必要な資金の額及びその調達方法
四 事業転換等(関係事業者が行う前項に規定する措置を含む。以下同じ。)について承認を受けようとする場合にあつては、次に掲げる事項
ロ 事業転換等を行うのに必要な資金の額及びその調達方法
五 特定設備の処理又は事業転換等に伴う労務に関する事項その他の主務省令で定める事項
4 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その事業適応計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 前項第一号及び第二号(事業転換等を含む場合にあつては、前項第一号、第二号及び第四号イ)に掲げる事項が、当該事業適応計画に係る特定事業者が内外の経済的事情の変化に対応して新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであること。
二 当該事業適応計画に係る特定事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。
三 当該事業適応計画に事業転換等を含む場合にあつては、前項第四号イに掲げる事項が国民経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を阻害すると認められるものでないこと。
四 その他政令で定める基準に適合するものであると認められること。
5 主務大臣は、事業転換等を含む事業適応計画について第一項の承認をしようとするときは、当該事業転換等に関する事項に関し、当該特定事業者(当該特定事業者に係る関係事業者を含む。)が当該事業適応計画に従つて行おうとする事業転換等に係る事業を所管する大臣に協議しなければならない。
(事業適応計画の変更等)
第六条 前条第一項の承認を受けた特定事業者(以下「承認特定事業者」という。)は、当該承認に係る事業適応計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、承認特定事業者(当該承認特定事業者に係る関係事業者を含む。第十一条第二項及び第二十三条において同じ。)が当該承認に係る事業適応計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下「承認事業適応計画」という。)に従つて特定設備の処理又は事業転換等を行つていないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。
3 前条第四項及び第五項の規定は、第一項の承認に準用する。
(事業提携計画の承認)
第七条 同一の業種に属する二以上の特定事業者であつて、特定設備の処理その他の新たな経済的環境への適応のための措置の実施の円滑化を図るため、生産若しくは販売の共同化、生産品種の専門化又は合併若しくは営業の全部若しくは重要部分の譲渡若しくは譲受けその他これらに準ずる行為(以下「事業提携」と総称する。)を実施しようとするもの(以下「提携事業者」という。)は、共同して、実施しようとする事業提携に関する計画(以下「事業提携計画」という。)を作成し、これを主務大臣に提出して、その事業提携計画が適当である旨の承認を受けることができる。
2 事業提携計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
四 事業提携に伴う労務に関する事項その他の主務省令で定める事項
3 主務大臣は、第一項の承認の申請があつた場合において、その事業提携計画が次の各号に適合するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 当該事業提携計画に係る提携事業者の特定設備の処理の促進に資すると認められるものであること。
二 当該事業提携計画に係る提携事業者が内外の経済的事情の変化に対応して新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであること。
三 国民経済の国際経済環境と調和のある健全な発展を阻害すると認められるものでないこと。
四 当該事業提携計画に係る提携事業者と他の事業者との間の適正な競争が確保されること。
五 一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。
六 当該事業提携計画に係る提携事業者の従業員の地位を不当に害するものでないこと。
(事業提携計画の変更等)
第八条 前条第一項の承認を受けた者(以下「承認提携事業者」という。)は、当該承認に係る事業提携計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 主務大臣は、前条第一項の承認をした事業提携計画(前項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下「承認事業提携計画」という。)が同条第三項の基準に適合するものでなくなつたと認めるときは、承認提携事業者に対して、当該事業提携計画の変更を指示し、又はその承認を取り消さなければならない。
(公正取引委員会との関係)
第九条 主務大臣は、第七条第一項の承認(前条第一項の規定による変更の承認を含む。以下この章において同じ。)の申請を受理した場合において、必要があると認めるときは、その申請書の写しを公正取引委員会に送付するものとする。
2 主務大臣は、前項の規定により申請書の写しを公正取引委員会に送付した場合において、当該申請に係る事業提携計画について第七条第一項の承認をしようとするときは、公正取引委員会に対し、その旨を通知し、並びに当該事業提携計画に係る提携事業者の経営の状況その他の事業活動の状況、当該事業提携計画に定める事業提携に係る競争の状況及び当該事業提携の実施が当該競争に及ぼす影響に関する事項について意見を述べるものとする。
3 公正取引委員会は、前項の規定による通知に係る事業提携計画について、主務大臣に対し、必要な意見を述べるものとする。
4 公正取引委員会は、前項の規定による意見を述べた事業提携計画であつて主務大臣が第七条第一項の承認をしたものに定めるところに従つてする行為につき当該承認後私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定に違反する事実があると思料するときは、その旨を主務大臣に通知するものとする。
5 主務大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、公正取引委員会に対し、当該承認後の経済的事情の変化に即して第二項に規定する事項について意見を述べることができる。
6 主務大臣は、第四項の規定による通知を受けた場合において、当該通知に係る事業提携計画が前条第二項に規定する場合に該当することとなるときは、当該事業提携計画につき、同項に規定する措置をとるものとする。
(資金の確保)
第十条 国は、承認特定事業者が承認事業適応計画に従つて特定設備の処理又は事業転換等を行うのに必要な資金の確保に努めるものとする。
(課税の特例)
第十一条 承認特定事業者が承認事業適応計画に従つて特定設備の処理(廃棄によるものに限る。以下この項において同じ。)を行つた場合において、当該特定設備の処理を行つた承認特定事業者について当該特定設備の処理により欠損金を生じたときは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、法人税に係る欠損金の繰越しについて特別の措置を講ずる。
2 承認特定事業者又は承認提携事業者(第七条第一項の承認に係る合併により設立した法人又は当該承認に係る出資に基づいて設立された法人を含む。)が、それぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて新たに取得し、又は製作した機械及び装置については、租税特別措置法で定めるところにより、特別償却をすることができる。
(雇用の安定等)
第十二条 承認特定事業者又は承認提携事業者は、それぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて特定設備の処理若しくは事業転換等又は事業提携を行うに当たつては、当該措置に係る事業所における労働組合(当該事業所において、労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者)と協議して、その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、承認特定事業者又は承認提携事業者であつてそれぞれ承認事業適応計画又は承認事業提携計画に従つて特定設備の処理若しくは事業転換等又は事業提携を行うものの雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
3 国及び都道府県は、前項に規定する事業者に雇用されていた労働者について、職業訓練の実施、就職のあつせんその他その者の職業及び生活の安定に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
4 国及び都道府県は、第二項に規定する事業者の関連中小企業者について、その新たな経済的環境への適応の円滑化に資するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。