商工会の組織等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年五月二十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第八十九号
商工会の組織等に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
商工会
第一節
通則(第三条―第十条)
第二節
事業(第十一条・第十二条)
第三節
会員(第十三条―第二十条)
第四節
設立(第二十一条―第二十七条)
第五節
管理(第二十八条―第四十八条)
第六節
監督(第四十九条―第五十一条)
第七節
解散及び清算(第五十二条―第五十五条)
第三章
商工会等の行なう小規模事業者のための事業の助成(第五十六条)
第四章
雑則(第五十七条―第六十一条)
第五章
罰則(第六十二条―第六十六条)
附則
第一章 総則
(法律の目的)
第一条 この法律は、主として町村における商工業の総合的な改善発達を図るための組織として商工会を設け、あわせて商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業活動を促進するための措置を講じ、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「商工業者」とは、次のいずれか一に該当する者をいう。
一 自己の名をもつて商行為をすることを業とする者
二 店舗その他これに類似する設備によつて物品を販売することを業とする者
三 鉱業を営む者
四 商法(明治三十二年法律第四十八号)第五十二条第二項の規定により会社とみなされる社団
五 有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第二条の規定により商人とみなされる有限会社
2 この法律において「小規模事業者」とは、常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、五人)以下の商工業者をいう。
第二章 商工会
第一節 通則
(目的)
第三条 商工会は、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図ることを目的とする。
(人格)
第四条 商工会は、法人とする。
(名称)
第五条 商工会は、その名称中に商工会という文字を用いなければならない。
2 商工会でない者は、商工会という名称を用いてはならない。
(原則)
第六条 商工会は、営利を目的としてはならない。
2 商工会は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行なつてはならない。
3 商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。
(地区)
第七条 商工会の地区は、一の町村の区域とする。ただし、商工業の状況により必要があるときは、一の市又は隣接する二以上の市町村の区域とすることができる。
2 商工会の地区は、他の商工会の地区又は商工会議所の地区と重複するものであつてはならない。
(市町村の廃置分合に伴う地区の特例)
第八条 商工会の設立後にその地区たる市町村について廃置分合があつた場合において、その商工会の地区を廃置分合後の市町村の区域とするための定款の変更をし、又はその商工会が解散するまでの間は、前条第一項の規定にかかわらず、その商工会の地区は、廃置分合前の市町村の区域とする。
(登記)
第九条 商工会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、商工会について準用する。
第二節 事業
(事業の範囲)
第十一条 商工会は、第三条の目的を達成するため、次に掲げる事業の全部又は一部を行なうものとする。
一 商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行なうこと。
二 商工業に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
三 商工業に関する講習会又は講演会を開催すること。
四 展示会、共進会等を開催し、又はこれらの開催のあつせんを行なうこと。
五 商工会としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。
六 行政庁等の諮問に応じて、答申すること。
七 前各号に掲げるもののほか、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行なうべき事務(その従業員のための事務を含む。)を処理し、その他商工会の目的を達成するために必要な事業を行なうこと。
(手数料)
第十二条 商工会は、定款で定めるところにより、手数料を徴収することができる。
第三節 会員
(資格)
第十三条 商工会の会員たる資格を有する者は、その地区内において、引き続き六月以上営業所、事務所、工場又は事業場を有する商工業者とする。ただし、定款で別段の定めをしたときは、六月以上であることを要しない。
(加入)
第十四条 商工会は、会員たる資格を有する者が商工会に加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒み、又はその加入につき不当な条件を附してはならない。
2 商工会に加入しようとする者は、加入につきその商工会の承諾を得、かつ、加入金を納めた時に、その商工会の会員となる。ただし、定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。
(議決権及び選挙権)
第十五条 会員は、各一個の議決権及び選挙権を有する。
2 会員は、定款で定めるところにより、あらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行使することができる。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行使する者は、出席者とみなす。
4 第二項の代理人は、その代理権を証する書面を商工会に提出しなければならない。
(会費)
第十六条 会員は、定款で定めるところにより、会費を納入しなければならない。
2 会員は、会費の払込みについて、相殺をもつて商工会に対抗することができない。
(過怠金)
第十七条 商工会は、定款で定めるところにより、会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員に対して、過怠金を課することができる。
(会員権の停止)
第十八条 商工会は、定款で定めるところにより、会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員に対して、総会の議決によつてその権利の行使を停止することができる。
2 前項の規定による権利の行使の停止は、その権利の行使を停止された会員にその旨を通知しなければ、これをもつてその会員に対抗することができない。
(脱退)
第十九条 会員は、六十日前までに予告し、事業年度の終りにおいて商工会を脱退することができる。
2 会員は、次の場合には、脱退する。
一 会員たる資格を喪失した場合
二 死亡し、又は解散した場合
三 除名された場合
(除名)
第二十条 商工会は、次の各号の一に該当する会員を総会の議決によつて除名することができる。この場合には、商工会は、その会員に対して、その総会の会日の一週間前までにその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたつて会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員
二 商工会の体面を傷つけ、又は商工会の目的遂行に反する行為を行なつた会員
三 その他定款で定める理由に該当する会員
2 第十八条第二項の規定は、会員の除名について準用する。
第四節 設立
(発起人)
第二十一条 商工会を設立するには、その会員になろうとする十五人以上の商工業者が発起人となることを要する。
(創立総会)
第二十二条 発起人は、定款、事業計画及び収支予算を作成し、定款並びに事業計画及び収支予算の概要を会議の日時、場所及び議題とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項に規定する公告は、会日の少なくとも二週間前までに、会員たる資格を有するすべての者に対し周知させることができるように行なわなければならない。
3 発起人が作成した定款、事業計画及び収支予算の承認その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款、事業計画又は収支予算を修正することができる。ただし、地区及び会員たる資格に関する定款の規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、会員たる資格を有する者で、その会日までに発起人に対し会員となる旨を申し出たものの二分の一以上が出席して、その出席者の三分の二以上で決定する。
6 第十五条、商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(決議の取消し又は無効)の規定は、創立総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条ノ規定ヲ適用セズ」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第二十二条第一項ノ規定ニ依ル公告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「発起人」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第二十二条第五項」と読み替えるものとする。
(設立の認可)
第二十三条 発起人は、創立総会の終了後、遅滞なく、申請書に定款、事業計画及び収支予算並びに通商産業省令で定める事項を記載した書面を添附して、通商産業大臣に設立の認可を申請しなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする商工会が次の各号に適合していないと認めるときは、同項の認可をしてはならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画の内容が法令に違反しないこと。
二 第十三条本文に規定する者の二分の一以上が会員となるものであること。
三 その設立がその地区内の商工業の総合的な改善発達に寄与するものであること。
四 その事業を実施するために必要な経済的基礎を有すること。
(認可又は不認可の通知)
第二十四条 通商産業大臣は、前条第一項の認可の申請があつたときは、遅滞なく、認可又は不認可の処分をし、その旨を当該発起人に通知しなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定により不認可の通知をするときは、その理由をあわせて通知しなければならない。
(事務の引渡し)
第二十五条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を役員に引き渡さなければならない。
(成立の時期)
第二十六条 商工会は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(商法の準用)
第二十七条 商法第四百二十八条(設立無効の訴え)の規定は、商工会の設立について準用する。
第五節 管理
(定款)
第二十八条 商工会の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名祢
三 事業
四 地区
五 事務所の所在地
六 会員たる資格に関する事項
七 会員の加入及び脱退に関する事項
八 会員の権利及び義務に関する事項
九 会費に関する事項
十 役員に関する事項
十一 総会に関する事項
十二 経理に関する事項
十三 事業年度
十四 公告の方法
(規約)
第二十九条 商工会の業務の執行について必要な事項は、定款で定めなければならないものを除き、規約で定めることができる。
(役員)
第三十条 商工会に、役員として、会長一人、副会長二人以内、理事二十人以内及び監事二人以内を置く。
2 役員は、会員(法人にあつては、その役職員)でなければならない。ただし、理事は、商工会の運営上特に必要がある場合には、その定数の十分の一以内に限り、会員(法人にあつては、その役職員)であることを要しない。
3 設立当時の役員は、会員になろうとする商工業者(法人にあつては、その役職員)でなければならない。ただし、理事は、商工会の運営上特に必要がある場合には、その定数の十分の一以内に限り、会員になろうとする商工業者(法人にあつては、その役職員)であることを要しない。
(役員の職務)
第三十一条 会長は、商工会を代表し、その業務を総理する。
2 副会長は、定款で定めるところにより、会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、定款で定めるところにより、会長及び副会長を補佐して会務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、商工会の業務及び会計の状況を監査し、その監査の結果を総会に報告する。
(役員の任免)
第三十二条 役員は、定款で定めるところにより、総会において選任し、又は解任する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選任する。
2 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 禁治産者、準禁治産者、破産者で復権を得ないもの又は未成年者
二 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しないもの
(役員の変更の届出)
第三十三条 商工会は、役員に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(役員の任期)
第三十四条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年六月をこえてはならない。
3 役員は、再任されることができる。
(監事の兼職の禁止)
第三十五条 監事は、会長、副会長、理事又は商工会の職員を兼ねてはならない。
(代表権の制限)
第三十六条 商工会と会長との利益が相反する事項については、会長は、代表権を有しない。この場合には、監事が商工会を代表する。
(定款その他の書類の備付け及び閲覧)
第三十七条 会長は、定款、規約及び総会の議事録をその商工会の主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会員は、いつでも、前項に規定する書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)
第三十八条 会長は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を監事に提出し、かつ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会長は、監事の意見書を添えて前項に規定する書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 会員は、いつでも、第一項に規定する書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(会計帳簿等の閲覧)
第三十九条 会員は、総会員の十分の一以上の同意を得て、いつでも、会計に関する帳簿及び書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(商法等の準用)
第四十条 商法第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十四条ノ二(取締役の義務)及び第二百五十八条第一項(欠員の場合の処置)の規定は、役員について準用する。
2 民法第五十五条(代表権の委任)の規定は、会長について準用する。
(総会の招集)
第四十一条 会長は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第四十二条 会長は、必要があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
2 会長は、会員が総会員の五分の一以上の同意を得て、会譲の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を会長に提出して総会の招集を請求したときは、その請求のあつた日から三週間以内に、臨時総会を招集しなければならない。
3 前項の規定による請求をした会員は、同項の請求をした日から二週間以内に会長が総会招集の手続をしないときは、通商産業大臣の承認を得て総会を招集することができる。会長の職務を行なう者がない場合において、会員が総会員の五分の一以上の同意を得たときも、同様とする。
(総会招集の手続)
第四十三条 総会の招集は、少なくとも会日の一週間前までに、会議の目的たる事項、日時及び場所を示し、定款に定めた方法に従つてしなければならない。
(総会の決議)
第四十四条 次の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 事業計画及び収支予算の決定又は変更
四 その他定款で定める事項
2 会長は、総会において定款の変更の決議があつたときは、遅滞なく、申請書に変更の理由その他通商産業省令で定める事項を記載した書面を添附して、通商産業大臣に定款の変更の認可を申請しなければならない。
3 定款の変更は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 第二十三条第二項及び第二十四条の規定は、第二項の認可について準用する。
(総会の議事等)
第四十五条 総会は、この法律に別段の定めのある場合を除き、総会員の二分の一以上の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 総会の議事は、この法律に別段の定めのある場合を除き、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
3 議長は、定款で定めるところによる。
4 総会においては、第四十三条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。ただし、出席者の三分の二以上の同意があつた場合は、この限りでない。
(特別の議決)
第四十六条 次の事項は、総会員の二分の一以上が出席し、その出席者の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散
三 会員の除名
(商法の準用)
第四十七条 商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(決議の取消し又は無効)の規定は、総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第四十三条」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第四十六条」と読み替えるものとする。
(総代会)
第四十八条 会員の総数が二百人をこえる商工会は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款で定めるところにより、会員のうちから、その住所、事業の種類等に応じて公平に選挙されなければならない。
3 総代の定数は、その選挙の時における会員の総数の十分の二(会員の総数が五百人をこえる商工会にあつては、百人)を下つてはならない。
4 総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
5 総会に関する規定は、総代会について準用する。ただし、総代会においては、総代の選挙をし、又は解散の議決をすることはできない。
第六節 監督
(届出等)
第四十九条 商工会は、設立の登記をしたときは、その日から二週間以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。主たる事務所を移転したときも、同様とする。
2 商工会は、毎事業年度、通常総会の終了の日から一月以内に、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財算目録を通商産業大臣に提出しなければならない。
(報告及び検査)
第五十条 通商産業大臣は、この法律の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、商工会に対して、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、商工会の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(警告等)
第五十一条 通商産業大臣は、商工会の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくは定款に違反し、又は著しく不当であると認めるときは、その商工会に対して警告を発し、それによつてもなお改善されないと認めるときは、次の各号の一に掲げる処分をすることができる。
一 業務の一部の停止
二 設立の認可の取消し
2 通商産業大臣は、商工会が第二十三条第二項第二号に規定する要件を欠くに至つたと認めるときは、その商工会に対して警告を発し、それによつてもなお当該要件をみたすことが困難であると認めるときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
3 通商産業大臣は、市町村の区域の一部を地区とし又は地区の一部とする商工会について、それをそのまま存置することが不適当であると認めるときは、その商工会に対して、第七条第一項に適合するようにその地区を変更し、又は解散すべき旨の勧告をすることができる。
4 通商産業大臣は、前項の勧告を受けた商工会がその勧告に従わないときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
5 通商産業大臣は、第一項又は第二項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事、第三項の勧告又は前項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。
第七節 解散及び清算
(解散)
第五十二条 商工会は、次の場合には、解散する。
一 総会において解散の決議をした場合
二 破産した場合
三 設立の認可を取り消された場合
2 商工会は、前項第一号の規定により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(清算人)
第五十三条 清算人は、前条第一項第一号の規定による解散の場合には総会において選任し、同項第三号の規定による解散の場合には通商産業大臣が選任する。
第五十四条 清算人は、財産処分の方法を定め、総会の議決を経て、通商産業大臣の認可を受けなければならない。
2 総会が前項の議決をしないとき又はすることができないときは、清算人は、通商産業大臣の認可を受けて、財産処分の方法を定めなければならない。
3 残余財産は、商工会又はその目的と類似の公益目的を有する法人その他の団体に帰属させなければならない。
4 第二十四条の規定は、第一項及び第二項の認可について準用する。
(民法の準用)
第五十五条 民法第七十条(破産)、第七十三条、第七十五条、第七十六条、第七十八条から第八十一条まで、第八十二条(解散に係るものを除く。)及び第八十三条(清算)の規定は、商工会の解散及び清算について準用する。
第三章 商工会等の行なう小規模事業者のための事業の助成
(助成)
第五十六条 国は、政令で定めるところにより、都道府県が、商工会又は商工会義所の行なう小規模事業者の経営又は技術の改善発達のための事業の実施に要する経費について補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該補助に要する経費の一部を補助することができる。
第四章 雑則
(不服の申立て)
第五十七条 この法律の規定による通商産業大臣の処分(第六十一条の規定により通商産業大臣の権限の一部が通商産業局長又は都道府県知事に委任された場合には、当該通商産業局長又は都道府県知事の処分)に不服のある者は、通商産業大臣に対して不服の申立てをすることができる。
2 不服の申立ては、処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、理由を記載した申立書を通商産業大臣に提出してしなければならない。ただし、処分の日から六十日を経過したときは、不服の申立てをすることができない。
3 正当な理由により前項の期間内に不服の申立てをすることができなかつたことを疎明したときは、同項の期間経過後でも、不服の申立てをすることができる。
第五十八条 通商産業大臣は、不服の申立てが不適法であると認めるときは、直ちにこれを却下する。
2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行ない、かつ、理由を附さなければならない。
3 通商産業大臣は、決定書の写しを申立人に送付しなければならない。
第五十九条 通商産業大臣は、不服の申立てがあつたときは、前条第一項の規定により却下する場合を除き、相当な期間をおいて予告したうえ、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 聴聞に際しては、不服の申立てをした者及び利害関係者に対して、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第六十条 通商産業大臣は、聴聞の結果を参酌して、事案の決定を行なう。
2 第五十八条第二項及び第三項の規定は、前項の決定について準用する。
(通商産業大臣の権限の委任)
第六十一条 通商産業大臣は、政令で定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を通商産業局長又は都道府県知事に行なわせることができる。
第五章 罰則
第六十二条 第二十三条第一項の規定による申請書又は添附書類に虚偽の記載をして提出した発起人は、三万円以下の罰金に処する。
第六十三条 第五十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした商工会の役員又は職員は、一万円以下の罰金に処する。
第六十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第六十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした商工会の発起人、役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 第九条第一項の政令に違反して登記することを怠つたとき。
二 第十四条第一項、第三十七条、第三十八条又は第三十九条後段の規定に違反したとき。
三 第二十二条第六項、第二十七条若しくは第四十七条において準用する商法の規定又は第五十五条において準用する民法の規定による公告をせず、又は不正の公告をしたとき。
四 第四十四条第二項の規定による申請書又は添附書類に虚偽の記載をして提出したとき。
五 第四十九条第一項又は第五十二条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
六 第四十九条第二項に規定する書類を同項に規定する期間内に提出しなかつたとき。
七 第五十五条において準用する民法の規定による破産宣告の請求をしなかつたとき。
八 定款、事業報告書、貸借対照表、収支決算書、財産目録又は議事録に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
第六十六条 第五条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置等)
第二条 この法律の施行の際現に商工会という名称を用いている者は、この法律の施行後三年以内に、その名称を変更しなければならない。
2 第五条第二項の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。
第三条 この法律の施行の日前四年間に行なわれた市町村の廃置分合によつて、町村が消滅し、その町村の区域の全部が商工会議所の地区である市町村の区域の一部となつた場合において、消滅前の町村(以下この条において「旧町村」という。)の区域に、その区域の商工業者で組織する団体で商工会の目的と類似の公益目的を有し、かつ、第十一条各号に掲げる事業の全部又は一部を行なつているもの(以下この条において「地域商工団体」という。)が旧町村の消滅前から引き続き存続しているときは、第七条第一項の規定にかかわらず、当該旧町村の区域を地区として商工会を設立することができる。この法律の施行の際現に二以上の市町村の区域を地区とする商工会議所の地区の一部である一又は二以上の町村の区域に、この法律の施行の日の一年以上前から引き続き地域商工団体がある場合において、その町村の区域が引き続き商工会議所の地区の一部であり、かつ、その町村がこの法律の施行の日から二年以内に市町村の廃置分合によつて消滅し、旧町村の区域の全部が商工会議所の地区である市町村の区域の一部となつたときも、同様とする。
2 前項の規定により商工会を設立しようとするときは、この法律の施行の日(前項後段の場合は、当該廃置分合の日)から一年以内に、旧町村の区域において引き続き六月以上営業所、事務所、工場又は事業場を有する商工業者の総数の二分の一以上の連署をもつて、その代表者から、その区域を地区とする商工会議所に対し、旧町村の区域を当該商工会議所の地区から除外すべき旨の申出をしなければならない。
3 前項の申出があつたときは、商工会議所は、同項の代表者と協義しなければならない。
4 前項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわない場合においては、当事者は、通商産業大臣に裁定を申請することができる。
5 通商産業大臣は、前項の規定による申請に基づいて裁定をしようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。
6 裁定は、文書をもつて行ない、かつ、理由を附してこれを当事者に交付しなければならない。
7 通商産業大臣の裁定があつたときは、当該商工会議所の地区に関する当事者間の協議がととのつたものとみなす。
(登録税法の一部改正)
第四条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を、「商工会議所法」の下に「、商工会の組織等に関する法律」を加える。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第八号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第一号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(中小企業庁設置法の一部改正)
第七条 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第二号の二の次に次の一号を加える。
二の三 商工会の組織等に関する法律(昭和三十五年法律第八十九号)の施行に関すること。
(地方税法の一部改正)
第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第一号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(商工会議所法の一部改正)
第九条 商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項ただし書中「県の区域、」を削り、「又は」及び「若しくは」の下に「隣接する」を加え、同条第三項中「相互に」を「他の商工会議所の地区又は商工会の地区と」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(市町村の廃置分合に伴う地区の特例)
第八条の二 商工会議所の設立後にその地区たる市町村について廃置分合があつた場合において、その商工会議所の地区を廃置分合後の市町村の区域とするための定款の変更をし、又はその商工会議所が解散するまでの間は、前条第一項の規定にかかわらず、その商工会議所の地区は、廃置分合前の市町村の区域とする。
第五十九条第二項を次のように改める。
2 通商産業大臣は、市町村の区域の一部を地区とし又は地区の一部とする商工会議所について、それをそのまま存置することが不適当であると認めるときは、その商工会議所に対して、第八条第一項に適合するようにその地区を変更し、又は解散すべき旨の勧告をすることができる。
第五十九条第二項の次に次の二項を加える。
3 通商産業大臣は、前項の勧告を受けた商工会議所がその勧告に従わないときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
4 通商産業大臣は、第一項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事及び日本商工会議所、第二項の勧告又は前項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事、関係市町村長及び日本商工会議所の意見をきかなければならない。
(商工会議所法の一部改正に伴う経過措置等)
第十条 この法律の施行の際現に存する商工会議所であつて、県の区域を地区とするもの又は隣接しない二以上の市町村の区域を地区とするものについての改正後の商工会議所法第八条第一項の規定の適用については、この法律の施行後三月間は、同項ただし書中「町の区域又は隣接する市と市町村若しくは隣接する町と町村をあわせたものの区域」とあるのは、「県の区域、町の区域又は市町村若しくは町と町村をあわせたものの区域」とする。
2 附則第三条第三項の規定による当事者間の協議がととのつた場合又は同条第四項の裁定があつた場合において、商工会議所がその協議又は裁定に基づいてその地区を縮少するときは、商工会議所法第八条第一項の規定にかかわらず、当該商工会議所の地区は、市若しくは町の区域又は市と市町村若しくは町と町村をあわせたものの区域の一部とすることができる。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 井野碩哉
大蔵大臣 佐藤榮作
通商産業大臣 池田勇人
商工会の組織等に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年五月二十日
内閣総理大臣 岸信介
法律第八十九号
商工会の組織等に関する法律
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
商工会
第一節
通則(第三条―第十条)
第二節
事業(第十一条・第十二条)
第三節
会員(第十三条―第二十条)
第四節
設立(第二十一条―第二十七条)
第五節
管理(第二十八条―第四十八条)
第六節
監督(第四十九条―第五十一条)
第七節
解散及び清算(第五十二条―第五十五条)
第三章
商工会等の行なう小規模事業者のための事業の助成(第五十六条)
第四章
雑則(第五十七条―第六十一条)
第五章
罰則(第六十二条―第六十六条)
附則
第一章 総則
(法律の目的)
第一条 この法律は、主として町村における商工業の総合的な改善発達を図るための組織として商工会を設け、あわせて商工会及び商工会議所の行なう小規模事業者のための事業活動を促進するための措置を講じ、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「商工業者」とは、次のいずれか一に該当する者をいう。
一 自己の名をもつて商行為をすることを業とする者
二 店舗その他これに類似する設備によつて物品を販売することを業とする者
三 鉱業を営む者
四 商法(明治三十二年法律第四十八号)第五十二条第二項の規定により会社とみなされる社団
五 有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第二条の規定により商人とみなされる有限会社
2 この法律において「小規模事業者」とは、常時使用する従業員の数が二十人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、五人)以下の商工業者をいう。
第二章 商工会
第一節 通則
(目的)
第三条 商工会は、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図ることを目的とする。
(人格)
第四条 商工会は、法人とする。
(名称)
第五条 商工会は、その名称中に商工会という文字を用いなければならない。
2 商工会でない者は、商工会という名称を用いてはならない。
(原則)
第六条 商工会は、営利を目的としてはならない。
2 商工会は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行なつてはならない。
3 商工会は、これを特定の政党のために利用してはならない。
(地区)
第七条 商工会の地区は、一の町村の区域とする。ただし、商工業の状況により必要があるときは、一の市又は隣接する二以上の市町村の区域とすることができる。
2 商工会の地区は、他の商工会の地区又は商工会議所の地区と重複するものであつてはならない。
(市町村の廃置分合に伴う地区の特例)
第八条 商工会の設立後にその地区たる市町村について廃置分合があつた場合において、その商工会の地区を廃置分合後の市町村の区域とするための定款の変更をし、又はその商工会が解散するまでの間は、前条第一項の規定にかかわらず、その商工会の地区は、廃置分合前の市町村の区域とする。
(登記)
第九条 商工会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、商工会について準用する。
第二節 事業
(事業の範囲)
第十一条 商工会は、第三条の目的を達成するため、次に掲げる事業の全部又は一部を行なうものとする。
一 商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行なうこと。
二 商工業に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
三 商工業に関する講習会又は講演会を開催すること。
四 展示会、共進会等を開催し、又はこれらの開催のあつせんを行なうこと。
五 商工会としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。
六 行政庁等の諮問に応じて、答申すること。
七 前各号に掲げるもののほか、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行なうべき事務(その従業員のための事務を含む。)を処理し、その他商工会の目的を達成するために必要な事業を行なうこと。
(手数料)
第十二条 商工会は、定款で定めるところにより、手数料を徴収することができる。
第三節 会員
(資格)
第十三条 商工会の会員たる資格を有する者は、その地区内において、引き続き六月以上営業所、事務所、工場又は事業場を有する商工業者とする。ただし、定款で別段の定めをしたときは、六月以上であることを要しない。
(加入)
第十四条 商工会は、会員たる資格を有する者が商工会に加入しようとするときは、正当な理由がないのにその加入を拒み、又はその加入につき不当な条件を附してはならない。
2 商工会に加入しようとする者は、加入につきその商工会の承諾を得、かつ、加入金を納めた時に、その商工会の会員となる。ただし、定款で別段の定めをしたときは、この限りでない。
(議決権及び選挙権)
第十五条 会員は、各一個の議決権及び選挙権を有する。
2 会員は、定款で定めるところにより、あらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行使することができる。
3 前項の規定により議決権又は選挙権を行使する者は、出席者とみなす。
4 第二項の代理人は、その代理権を証する書面を商工会に提出しなければならない。
(会費)
第十六条 会員は、定款で定めるところにより、会費を納入しなければならない。
2 会員は、会費の払込みについて、相殺をもつて商工会に対抗することができない。
(過怠金)
第十七条 商工会は、定款で定めるところにより、会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員に対して、過怠金を課することができる。
(会員権の停止)
第十八条 商工会は、定款で定めるところにより、会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員に対して、総会の議決によつてその権利の行使を停止することができる。
2 前項の規定による権利の行使の停止は、その権利の行使を停止された会員にその旨を通知しなければ、これをもつてその会員に対抗することができない。
(脱退)
第十九条 会員は、六十日前までに予告し、事業年度の終りにおいて商工会を脱退することができる。
2 会員は、次の場合には、脱退する。
一 会員たる資格を喪失した場合
二 死亡し、又は解散した場合
三 除名された場合
(除名)
第二十条 商工会は、次の各号の一に該当する会員を総会の議決によつて除名することができる。この場合には、商工会は、その会員に対して、その総会の会日の一週間前までにその旨を通知し、かつ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
一 長期間にわたつて会費の納入その他会員たるの義務を怠つた会員
二 商工会の体面を傷つけ、又は商工会の目的遂行に反する行為を行なつた会員
三 その他定款で定める理由に該当する会員
2 第十八条第二項の規定は、会員の除名について準用する。
第四節 設立
(発起人)
第二十一条 商工会を設立するには、その会員になろうとする十五人以上の商工業者が発起人となることを要する。
(創立総会)
第二十二条 発起人は、定款、事業計画及び収支予算を作成し、定款並びに事業計画及び収支予算の概要を会議の日時、場所及び議題とともに公告して、創立総会を開かなければならない。
2 前項に規定する公告は、会日の少なくとも二週間前までに、会員たる資格を有するすべての者に対し周知させることができるように行なわなければならない。
3 発起人が作成した定款、事業計画及び収支予算の承認その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
4 創立総会においては、前項の定款、事業計画又は収支予算を修正することができる。ただし、地区及び会員たる資格に関する定款の規定については、この限りでない。
5 創立総会の議事は、会員たる資格を有する者で、その会日までに発起人に対し会員となる旨を申し出たものの二分の一以上が出席して、その出席者の三分の二以上で決定する。
6 第十五条、商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(決議の取消し又は無効)の規定は、創立総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条ノ規定ヲ適用セズ」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第二十二条第一項ノ規定ニ依ル公告ハ之ヲ為スコトヲ要セズ」と、同法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは「発起人」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第二十二条第五項」と読み替えるものとする。
(設立の認可)
第二十三条 発起人は、創立総会の終了後、遅滞なく、申請書に定款、事業計画及び収支予算並びに通商産業省令で定める事項を記載した書面を添附して、通商産業大臣に設立の認可を申請しなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、設立しようとする商工会が次の各号に適合していないと認めるときは、同項の認可をしてはならない。
一 設立の手続並びに定款及び事業計画の内容が法令に違反しないこと。
二 第十三条本文に規定する者の二分の一以上が会員となるものであること。
三 その設立がその地区内の商工業の総合的な改善発達に寄与するものであること。
四 その事業を実施するために必要な経済的基礎を有すること。
(認可又は不認可の通知)
第二十四条 通商産業大臣は、前条第一項の認可の申請があつたときは、遅滞なく、認可又は不認可の処分をし、その旨を当該発起人に通知しなければならない。
2 通商産業大臣は、前項の規定により不認可の通知をするときは、その理由をあわせて通知しなければならない。
(事務の引渡し)
第二十五条 設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を役員に引き渡さなければならない。
(成立の時期)
第二十六条 商工会は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
(商法の準用)
第二十七条 商法第四百二十八条(設立無効の訴え)の規定は、商工会の設立について準用する。
第五節 管理
(定款)
第二十八条 商工会の定款には、次の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名祢
三 事業
四 地区
五 事務所の所在地
六 会員たる資格に関する事項
七 会員の加入及び脱退に関する事項
八 会員の権利及び義務に関する事項
九 会費に関する事項
十 役員に関する事項
十一 総会に関する事項
十二 経理に関する事項
十三 事業年度
十四 公告の方法
(規約)
第二十九条 商工会の業務の執行について必要な事項は、定款で定めなければならないものを除き、規約で定めることができる。
(役員)
第三十条 商工会に、役員として、会長一人、副会長二人以内、理事二十人以内及び監事二人以内を置く。
2 役員は、会員(法人にあつては、その役職員)でなければならない。ただし、理事は、商工会の運営上特に必要がある場合には、その定数の十分の一以内に限り、会員(法人にあつては、その役職員)であることを要しない。
3 設立当時の役員は、会員になろうとする商工業者(法人にあつては、その役職員)でなければならない。ただし、理事は、商工会の運営上特に必要がある場合には、その定数の十分の一以内に限り、会員になろうとする商工業者(法人にあつては、その役職員)であることを要しない。
(役員の職務)
第三十一条 会長は、商工会を代表し、その業務を総理する。
2 副会長は、定款で定めるところにより、会長を補佐し、会長に事故があるときはその職務を代理し、会長が欠員のときはその職務を行なう。
3 理事は、定款で定めるところにより、会長及び副会長を補佐して会務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときはその職務を代理し、会長及び副会長が欠員のときはその職務を行なう。
4 監事は、商工会の業務及び会計の状況を監査し、その監査の結果を総会に報告する。
(役員の任免)
第三十二条 役員は、定款で定めるところにより、総会において選任し、又は解任する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選任する。
2 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 禁治産者、準禁治産者、破産者で復権を得ないもの又は未成年者
二 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しないもの
(役員の変更の届出)
第三十三条 商工会は、役員に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(役員の任期)
第三十四条 役員の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
2 設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年六月をこえてはならない。
3 役員は、再任されることができる。
(監事の兼職の禁止)
第三十五条 監事は、会長、副会長、理事又は商工会の職員を兼ねてはならない。
(代表権の制限)
第三十六条 商工会と会長との利益が相反する事項については、会長は、代表権を有しない。この場合には、監事が商工会を代表する。
(定款その他の書類の備付け及び閲覧)
第三十七条 会長は、定款、規約及び総会の議事録をその商工会の主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会員は、いつでも、前項に規定する書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(決算関係書類の提出、備付け及び閲覧)
第三十八条 会長は、通常総会の会日の一週間前までに、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を監事に提出し、かつ、これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 会長は、監事の意見書を添えて前項に規定する書類を通常総会に提出し、その承認を求めなければならない。
3 会員は、いつでも、第一項に規定する書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(会計帳簿等の閲覧)
第三十九条 会員は、総会員の十分の一以上の同意を得て、いつでも、会計に関する帳簿及び書類の閲覧を求めることができる。この場合には、会長は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(商法等の準用)
第四十条 商法第二百五十四条第三項(取締役と会社との関係)、第二百五十四条ノ二(取締役の義務)及び第二百五十八条第一項(欠員の場合の処置)の規定は、役員について準用する。
2 民法第五十五条(代表権の委任)の規定は、会長について準用する。
(総会の招集)
第四十一条 会長は、定款で定めるところにより、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
第四十二条 会長は、必要があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
2 会長は、会員が総会員の五分の一以上の同意を得て、会譲の目的たる事項及び招集の理由を記載した書面を会長に提出して総会の招集を請求したときは、その請求のあつた日から三週間以内に、臨時総会を招集しなければならない。
3 前項の規定による請求をした会員は、同項の請求をした日から二週間以内に会長が総会招集の手続をしないときは、通商産業大臣の承認を得て総会を招集することができる。会長の職務を行なう者がない場合において、会員が総会員の五分の一以上の同意を得たときも、同様とする。
(総会招集の手続)
第四十三条 総会の招集は、少なくとも会日の一週間前までに、会議の目的たる事項、日時及び場所を示し、定款に定めた方法に従つてしなければならない。
(総会の決議)
第四十四条 次の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 規約の設定、変更又は廃止
三 事業計画及び収支予算の決定又は変更
四 その他定款で定める事項
2 会長は、総会において定款の変更の決議があつたときは、遅滞なく、申請書に変更の理由その他通商産業省令で定める事項を記載した書面を添附して、通商産業大臣に定款の変更の認可を申請しなければならない。
3 定款の変更は、通商産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
4 第二十三条第二項及び第二十四条の規定は、第二項の認可について準用する。
(総会の議事等)
第四十五条 総会は、この法律に別段の定めのある場合を除き、総会員の二分の一以上の出席がなければ、議事を開き、議決をすることができない。
2 総会の議事は、この法律に別段の定めのある場合を除き、出席者の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
3 議長は、定款で定めるところによる。
4 総会においては、第四十三条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ議決することができる。ただし、出席者の三分の二以上の同意があつた場合は、この限りでない。
(特別の議決)
第四十六条 次の事項は、総会員の二分の一以上が出席し、その出席者の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
一 定款の変更
二 解散
三 会員の除名
(商法の準用)
第四十七条 商法第二百三十九条第五項、第二百四十条第二項(特別利害関係人の議決権)、第二百四十三条(総会の延期又は続行の決議)、第二百四十四条(議事録)、第二百四十七条から第二百五十条まで、第二百五十二条及び第二百五十三条(決議の取消し又は無効)の規定は、総会について準用する。この場合において、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第四十三条」と、同法第二百四十七条第一項中「第三百四十三条」とあるのは「商工会の組織等に関する法律第四十六条」と読み替えるものとする。
(総代会)
第四十八条 会員の総数が二百人をこえる商工会は、定款で定めるところにより、総会に代わるべき総代会を設けることができる。
2 総代は、定款で定めるところにより、会員のうちから、その住所、事業の種類等に応じて公平に選挙されなければならない。
3 総代の定数は、その選挙の時における会員の総数の十分の二(会員の総数が五百人をこえる商工会にあつては、百人)を下つてはならない。
4 総代の任期は、三年以内において定款で定める期間とする。
5 総会に関する規定は、総代会について準用する。ただし、総代会においては、総代の選挙をし、又は解散の議決をすることはできない。
第六節 監督
(届出等)
第四十九条 商工会は、設立の登記をしたときは、その日から二週間以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。主たる事務所を移転したときも、同様とする。
2 商工会は、毎事業年度、通常総会の終了の日から一月以内に、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財算目録を通商産業大臣に提出しなければならない。
(報告及び検査)
第五十条 通商産業大臣は、この法律の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、商工会に対して、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、商工会の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(警告等)
第五十一条 通商産業大臣は、商工会の運営がこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくは定款に違反し、又は著しく不当であると認めるときは、その商工会に対して警告を発し、それによつてもなお改善されないと認めるときは、次の各号の一に掲げる処分をすることができる。
一 業務の一部の停止
二 設立の認可の取消し
2 通商産業大臣は、商工会が第二十三条第二項第二号に規定する要件を欠くに至つたと認めるときは、その商工会に対して警告を発し、それによつてもなお当該要件をみたすことが困難であると認めるときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
3 通商産業大臣は、市町村の区域の一部を地区とし又は地区の一部とする商工会について、それをそのまま存置することが不適当であると認めるときは、その商工会に対して、第七条第一項に適合するようにその地区を変更し、又は解散すべき旨の勧告をすることができる。
4 通商産業大臣は、前項の勧告を受けた商工会がその勧告に従わないときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
5 通商産業大臣は、第一項又は第二項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事、第三項の勧告又は前項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。
第七節 解散及び清算
(解散)
第五十二条 商工会は、次の場合には、解散する。
一 総会において解散の決議をした場合
二 破産した場合
三 設立の認可を取り消された場合
2 商工会は、前項第一号の規定により解散したときは、解散の日から二週間以内に、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。
(清算人)
第五十三条 清算人は、前条第一項第一号の規定による解散の場合には総会において選任し、同項第三号の規定による解散の場合には通商産業大臣が選任する。
第五十四条 清算人は、財産処分の方法を定め、総会の議決を経て、通商産業大臣の認可を受けなければならない。
2 総会が前項の議決をしないとき又はすることができないときは、清算人は、通商産業大臣の認可を受けて、財産処分の方法を定めなければならない。
3 残余財産は、商工会又はその目的と類似の公益目的を有する法人その他の団体に帰属させなければならない。
4 第二十四条の規定は、第一項及び第二項の認可について準用する。
(民法の準用)
第五十五条 民法第七十条(破産)、第七十三条、第七十五条、第七十六条、第七十八条から第八十一条まで、第八十二条(解散に係るものを除く。)及び第八十三条(清算)の規定は、商工会の解散及び清算について準用する。
第三章 商工会等の行なう小規模事業者のための事業の助成
(助成)
第五十六条 国は、政令で定めるところにより、都道府県が、商工会又は商工会義所の行なう小規模事業者の経営又は技術の改善発達のための事業の実施に要する経費について補助する場合には、当該都道府県に対し、予算の範囲内において、当該補助に要する経費の一部を補助することができる。
第四章 雑則
(不服の申立て)
第五十七条 この法律の規定による通商産業大臣の処分(第六十一条の規定により通商産業大臣の権限の一部が通商産業局長又は都道府県知事に委任された場合には、当該通商産業局長又は都道府県知事の処分)に不服のある者は、通商産業大臣に対して不服の申立てをすることができる。
2 不服の申立ては、処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、理由を記載した申立書を通商産業大臣に提出してしなければならない。ただし、処分の日から六十日を経過したときは、不服の申立てをすることができない。
3 正当な理由により前項の期間内に不服の申立てをすることができなかつたことを疎明したときは、同項の期間経過後でも、不服の申立てをすることができる。
第五十八条 通商産業大臣は、不服の申立てが不適法であると認めるときは、直ちにこれを却下する。
2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行ない、かつ、理由を附さなければならない。
3 通商産業大臣は、決定書の写しを申立人に送付しなければならない。
第五十九条 通商産業大臣は、不服の申立てがあつたときは、前条第一項の規定により却下する場合を除き、相当な期間をおいて予告したうえ、公開による聴聞を行なわなければならない。
2 聴聞に際しては、不服の申立てをした者及び利害関係者に対して、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第六十条 通商産業大臣は、聴聞の結果を参酌して、事案の決定を行なう。
2 第五十八条第二項及び第三項の規定は、前項の決定について準用する。
(通商産業大臣の権限の委任)
第六十一条 通商産業大臣は、政令で定めるところにより、この法律に基づく権限の一部を通商産業局長又は都道府県知事に行なわせることができる。
第五章 罰則
第六十二条 第二十三条第一項の規定による申請書又は添附書類に虚偽の記載をして提出した発起人は、三万円以下の罰金に処する。
第六十三条 第五十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした商工会の役員又は職員は、一万円以下の罰金に処する。
第六十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第六十五条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした商工会の発起人、役員又は清算人は、一万円以下の過料に処する。
一 第九条第一項の政令に違反して登記することを怠つたとき。
二 第十四条第一項、第三十七条、第三十八条又は第三十九条後段の規定に違反したとき。
三 第二十二条第六項、第二十七条若しくは第四十七条において準用する商法の規定又は第五十五条において準用する民法の規定による公告をせず、又は不正の公告をしたとき。
四 第四十四条第二項の規定による申請書又は添附書類に虚偽の記載をして提出したとき。
五 第四十九条第一項又は第五十二条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
六 第四十九条第二項に規定する書類を同項に規定する期間内に提出しなかつたとき。
七 第五十五条において準用する民法の規定による破産宣告の請求をしなかつたとき。
八 定款、事業報告書、貸借対照表、収支決算書、財産目録又は議事録に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
第六十六条 第五条第二項の規定に違反した者は、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置等)
第二条 この法律の施行の際現に商工会という名称を用いている者は、この法律の施行後三年以内に、その名称を変更しなければならない。
2 第五条第二項の規定は、前項に規定する期間内は、同項に規定する者には、適用しない。
第三条 この法律の施行の日前四年間に行なわれた市町村の廃置分合によつて、町村が消滅し、その町村の区域の全部が商工会議所の地区である市町村の区域の一部となつた場合において、消滅前の町村(以下この条において「旧町村」という。)の区域に、その区域の商工業者で組織する団体で商工会の目的と類似の公益目的を有し、かつ、第十一条各号に掲げる事業の全部又は一部を行なつているもの(以下この条において「地域商工団体」という。)が旧町村の消滅前から引き続き存続しているときは、第七条第一項の規定にかかわらず、当該旧町村の区域を地区として商工会を設立することができる。この法律の施行の際現に二以上の市町村の区域を地区とする商工会議所の地区の一部である一又は二以上の町村の区域に、この法律の施行の日の一年以上前から引き続き地域商工団体がある場合において、その町村の区域が引き続き商工会議所の地区の一部であり、かつ、その町村がこの法律の施行の日から二年以内に市町村の廃置分合によつて消滅し、旧町村の区域の全部が商工会議所の地区である市町村の区域の一部となつたときも、同様とする。
2 前項の規定により商工会を設立しようとするときは、この法律の施行の日(前項後段の場合は、当該廃置分合の日)から一年以内に、旧町村の区域において引き続き六月以上営業所、事務所、工場又は事業場を有する商工業者の総数の二分の一以上の連署をもつて、その代表者から、その区域を地区とする商工会議所に対し、旧町村の区域を当該商工会議所の地区から除外すべき旨の申出をしなければならない。
3 前項の申出があつたときは、商工会議所は、同項の代表者と協義しなければならない。
4 前項の規定による協議をすることができず、又は協議がととのわない場合においては、当事者は、通商産業大臣に裁定を申請することができる。
5 通商産業大臣は、前項の規定による申請に基づいて裁定をしようとするときは、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見をきかなければならない。
6 裁定は、文書をもつて行ない、かつ、理由を附してこれを当事者に交付しなければならない。
7 通商産業大臣の裁定があつたときは、当該商工会議所の地区に関する当事者間の協議がととのつたものとみなす。
(登録税法の一部改正)
第四条 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を、「商工会議所法」の下に「、商工会の組織等に関する法律」を加える。
(所得税法の一部改正)
第五条 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第八号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(法人税法の一部改正)
第六条 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第一号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(中小企業庁設置法の一部改正)
第七条 中小企業庁設置法(昭和二十三年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第二号の二の次に次の一号を加える。
二の三 商工会の組織等に関する法律(昭和三十五年法律第八十九号)の施行に関すること。
(地方税法の一部改正)
第八条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第一号中「日本商工会議所」の下に「、商工会」を加える。
(商工会議所法の一部改正)
第九条 商工会議所法(昭和二十八年法律第百四十三号)の一部を次のように改正する。
第八条第一項ただし書中「県の区域、」を削り、「又は」及び「若しくは」の下に「隣接する」を加え、同条第三項中「相互に」を「他の商工会議所の地区又は商工会の地区と」に改め、同条の次に次の一条を加える。
(市町村の廃置分合に伴う地区の特例)
第八条の二 商工会議所の設立後にその地区たる市町村について廃置分合があつた場合において、その商工会議所の地区を廃置分合後の市町村の区域とするための定款の変更をし、又はその商工会議所が解散するまでの間は、前条第一項の規定にかかわらず、その商工会議所の地区は、廃置分合前の市町村の区域とする。
第五十九条第二項を次のように改める。
2 通商産業大臣は、市町村の区域の一部を地区とし又は地区の一部とする商工会議所について、それをそのまま存置することが不適当であると認めるときは、その商工会議所に対して、第八条第一項に適合するようにその地区を変更し、又は解散すべき旨の勧告をすることができる。
第五十九条第二項の次に次の二項を加える。
3 通商産業大臣は、前項の勧告を受けた商工会議所がその勧告に従わないときは、その設立の認可の取消しをすることができる。
4 通商産業大臣は、第一項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事及び日本商工会議所、第二項の勧告又は前項に規定する処分をする場合には関係都道府県知事、関係市町村長及び日本商工会議所の意見をきかなければならない。
(商工会議所法の一部改正に伴う経過措置等)
第十条 この法律の施行の際現に存する商工会議所であつて、県の区域を地区とするもの又は隣接しない二以上の市町村の区域を地区とするものについての改正後の商工会議所法第八条第一項の規定の適用については、この法律の施行後三月間は、同項ただし書中「町の区域又は隣接する市と市町村若しくは隣接する町と町村をあわせたものの区域」とあるのは、「県の区域、町の区域又は市町村若しくは町と町村をあわせたものの区域」とする。
2 附則第三条第三項の規定による当事者間の協議がととのつた場合又は同条第四項の裁定があつた場合において、商工会議所がその協議又は裁定に基づいてその地区を縮少するときは、商工会議所法第八条第一項の規定にかかわらず、当該商工会議所の地区は、市若しくは町の区域又は市と市町村若しくは町と町村をあわせたものの区域の一部とすることができる。
内閣総理大臣 岸信介
法務大臣 井野碩哉
大蔵大臣 佐藤栄作
通商産業大臣 池田勇人