(組織変更)
第百条の三 事業協同組合、企業組合又は協業組合(以下この節において「組合」という。)は、その組織を変更し、株式会社又は有限会社(以下「会社」という。)になることができる。
(組織変更計画書の承認等)
第百条の四 組合は、前条の組織変更(以下この節において「組織変更」という。)をするには、組織変更計画書を作成して、総会の議決により、その承認を受けなければならない。
2 前項の総会においては、その議決により、定款その他会社の組織に必要な事項を定めるとともに、組織変更後の会社の取締役及び監査役となるべき者を選任しなければならない。
3 前二項の場合において、事業協同組合及び企業組合については協同組合法第五十三条に規定する議決に、協業組合については第五条の十九第一項に規定する議決によらなければならない。
4 総代会においては、協同組合法第五十五条第六項の規定にかかわらず、組織変更について議決することができない。
5 第一項の総会の招集に対する協同組合法第四十九条(第五条の二十三第三項において準用する場合を含む。)の適用については、協同組合法第四十九条中「十日前まで」とあるのは「二週間前まで」と、「会議の目的たる事項」とあるのは「会議の目的たる事項、組織変更計画書の要領、組織変更後の会社の定款及び中小企業団体の組織に関する法律第百条の四第二項に規定する者の選任に関する議案の要領」とする。
6 組合は、組織変更計画書において、政令で定める事項を記載しなければならない。
(組織変更の議決の公告等)
第百条の五 組合が、組織変更の議決を行つたときは、当該議決の日から二週間以内に、議決の内容及び貸借対照表を公告しなければならない。
2 前項の場合については、商法第百条(債権者の異議)の規定を準用する。
(組織変更に反対する組合員の持分払戻請求権)
第百条の六 組織変更を行う組合の組合員で、第百条の四第一項の総会に先立つて当該組合に対し書面をもつて組織変更に反対の意思を通知したものは、組織変更の議決の日から二十日以内に書面をもつて持分の払戻しを請求することにより、組織変更の日に当該組合を脱退することができる。
2 前項の規定による組合員の脱退については、協同組合法第二十条から第二十二条まで(持分の払戻し)の規定を準用する。この場合において、組合員は、定款の定めにかかわらず、その持分の全部の払戻しを請求することができる。
3 前項の場合には、組織変更の日を協同組合法第二十条第二項に規定する脱退した事業年度の終わりとみなす。
(組合員への株式又は持分の割当て)
第百条の七 組織変更を行う組合の組合員(前条第一項の請求をしている者その他政令で定める者を除く。以下この条において同じ。)は、組織変更計画書の定めるところにより、組織変更後の会社の株式又は持分の割当てを受けるものとする。
2 前項の株式又は持分の割当ては、組合員の出資口数に応じてしなければならない。
3 前二項の株式又は持分の割当てについては、商法第二百十七条第一項及び第二項(一株に満たない端数に関する処置)並びに非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第百二十六条第一項(管轄裁判所)及び第百三十二条ノ三(端株の任意売却許可の申請)の規定を準用する。
4 第一項の規定により組合員に割り当てた株式を発行する場合には、当該株式を商法第百六十六条第一項第六号、第二項及び第三項(定款の記載事項)に規定する会社の設立に際して発行する株式とみなす。
(新会社の資本及び理事のてん補責任)
第百条の八 組織変更後の会社の資本の額は、組織変更時に組織変更前の組合に現に存する純資産額を上回ることができない。
2 前項の場合において、組織変更時における組織変更後の会社に現に存する純資産額が資本の額に不足するときは、組織変更の議決の当時の組合の理事は、組織変更後の会社に対し連帯してその不足額を支払う義務を負う。
(準備金の積立て)
第百条の九 組織変更後の会社は、組織変更時における純資産額から資本の額を控除した残額については、商法第二百八十八条ノ二第一項(資本準備金)の資本準備金として積み立てなければならない。
2 前項の残額については、商法第二百八十八条ノ二第三項(合併の場合の準備金の積立て)の規定を準用する。この場合において、同項中「合併ニ因リ消滅シタル会社ノ利益準備金」とあるのは「組織変更前ノ事業協同組合、企業組合又ハ協業組合ノ準備金」と、「其ノ利益準備金」とあるのは「其ノ準備金」と読み替えるものとする。
(質権の効力)
第百条の十 組合の持分を目的とする質権は、当該組合の組合員が組織変更により受けるべき金銭、株式又は持分の上に存在する。
2 組合は、組織変更の議決を行つたときは、当該議決の日から二週間以内に、その旨を前項の質権を有する者で知れているものに各別に通知しなければならない。
(登記)
第百条の十一 組合は、組織変更に必要な行為を終つてから、主たる事務所及び本店の所在地においては二週間以内に、従たる事務所及び支店の所在地においては三週間以内に、組織変更前の組合については協同組合法第八十八条(第五条の二十三第五項において準用する場合を含む。)の登記を、組織変更後の株式会社については商法第百八十八条第二項に規定する登記を、組織変更後の有限会社については有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第十三条第二項に規定する登記をしなければならない。
2 前項の規定により組織変更後の会社についてする登記の申請書には、商業登記法第十八条(申請書の添付書面)に定める書類及び組織変更後の株式会社については同法第七十九条(株式会社の添付書面の通則)に定める書類、組織変更後の有限会社については同法第九十四条(有限会社の添付書面の通則)に定める書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
五 第百条の五第二項において準用する商法第百条(債権者の異議)の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、その者に対し弁済し、若しくは担保を提供し、若しくは信託したこと又は組織変更をしてもその者を害するおそれがないことを証する書面
六 組織変更時に組織変更前の組合に現に存する純資産額を証する書面
七 会社の取締役、代表取締役及び監査役が就任を承諾したことを証する書面
八 名義書換代理人又は登録機関を置いたときは、これらの者との契約を証する書面
3 第一項の登記については、商業登記法第七十一条及び第七十三条(組織変更の登記)の規定を準用する。
(組織変更の効力発生)
第百条の十二 組織変更は、本店の所在地において前条第一項の規定による登記をすることによつてその効力を生ずる。
(株主又は社員となる時期)
第百条の十三 組織変更を行う組合の組合員で第百条の七第一項の規定により株式又は持分を割り当てられた者は、組織変更により組織変更後の会社の株主又は社員となる。
2 前項の場合においては、当該組織変更の日を商法第二百二十五条第二号(株券の記載事項)に掲げる日とみなし、当該組織変更を同法第二百二十六条(株券発行の時期)に規定する会社の成立とみなして、これらの規定を適用する。
(組織変更の届出)
第百条の十四 組合は、組織変更をしたときは、遅滞なく、その旨を、事業協同組合及び企業組合については協同組合法第百十一条第一項の規定による行政庁に、協業組合については主務大臣に届け出なければならない。
(組織変更事項を記載した書面の備置き等)
第百条の十五 会社の取締役は、第百条の五に規定する手続の経過、組織変更の日、組織変更時に組織変更前の組合に現に存する純資産額その他の組織変更に関する事項を記載した書面を、組織変更の日から六月間、本店に備え置かなければならない。
2 前項の書面については、商法第四百八条ノ二第二項(合併契約書等の閲覧等)の規定を準用する。
(組織変更無効の訴え)
第百条の十六 組織変更の無効は、本店の所在地において組織変更の日から六月以内に、訴えをもつてのみ主張することができる。
2 前項の訴えについては、商法第八十八条(管轄裁判所)、第百五条第二項から第四項まで、第百六条、第百八条から第百十条まで(合併無効の訴え)、第二百四十九条(担保の提供)及び第四百十五条第二項(提起権者)並びに非訟事件手続法第百三十五条ノ六(設立無効の登記)及び第百四十条(裁判の謄本の添付)の規定を準用する。