科学技術振興事業団法
法令番号: 法律第27号
公布年月日: 平成8年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

行政改革推進方策に基づき、日本科学技術情報センターと新技術事業団を統合し、科学技術振興事業団を設立する。これは、研究開発の高度化・複雑化に対応し、科学技術振興のための基盤整備と先端的・独創的な研究開発の効率的実施を図るためである。また、科学技術基本法の制定により、科学技術振興が国の最重要政策課題として位置づけられ、科学技術創造立国を目指す総合的な施策展開が求められている。新事業団は、行政改革の趣旨を踏まえた合理化を行いつつ、科学技術基本法に定められた諸施策の重要な担い手として積極的な事業展開を図る。

参照した発言:
第136回国会 衆議院 科学技術委員会 第3号

審議経過

第136回国会

衆議院
(平成8年3月27日)
(平成8年3月27日)
参議院
(平成8年3月29日)
科学技術振興事業団法をここに公布する。
御名御璽
平成八年三月三十一日
内閣総理大臣 橋本龍太郎
法律第二十七号
科学技術振興事業団法
目次
第一章
総則(第一条―第十条)
第二章
役員等(第十一条―第二十三条)
第三章
新技術審議会(第二十四条―第二十九条)
第四章
業務(第三十条―第三十四条)
第五章
財務及び会計(第三十五条―第四十五条)
第六章
監督(第四十六条・第四十七条)
第七章
雑則(第四十八条―第五十一条)
第八章
罰則(第五十二条―第五十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 科学技術振興事業団は、我が国における科学技術情報に関する中枢的機関としての科学技術情報の流通に関する業務、研究交流の促進に関する業務等を行うことにより科学技術の振興のための基盤の整備を図るとともに、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究及び新技術の開発を行い、並びにこれらの成果を普及し、もって科学技術の振興に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「科学技術情報」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する情報をいう。
2 この法律において「研究交流」とは、科学技術に関する試験研究に係る交流のことをいう。
3 この法律において「新技術」とは、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果であって、企業化されていないものをいう。
4 この法律において「創製」とは、科学技術に関する試験研究を行うことにより、その成果としての新技術を生み出すことをいう。
5 この法律において「開発」とは、科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施することにより、これを企業とし得るようにすることをいう。
(法人格)
第三条 科学技術振興事業団(以下「事業団」という。)は、法人とする。
(事務所)
第四条 事業団は、主たる事務所を埼玉県に置く。
2 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(資本金)
第五条 事業団の資本金は、附則第六条第四項及び第五項並びに附則第八条第四項の規定により政府及び政府以外の者から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 事業団は、必要があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により事業団がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、事業団に出資することができる。
4 政府は、事業団に出資するときは、土地、建物その他の土地の定着物又は物品(以下「土地等」という。)を出資の目的とすることができる。
5 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
6 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
7 政府及び政府以外の者は、第二項の認可があった場合において、事業団に出資しようとするときは、第三十条第一項第一号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。)のうち政令で定めるもの(以下「文献情報提供業務」という。)又はその他の業務のそれぞれに必要な資金に充てるべき金額(土地等を出資の目的とする場合にあっては、土地等)を示すものとする。
(出資証券)
第六条 事業団は、出資に対し、出資証券を発行する。
2 出資証券は、記名式とする。
3 前項に規定するもののほか、出資証券に関し必要な事項は、政令で定める。
(持分の払戻し等の禁止)
第七条 事業団は、出資者に対し、その持分を払い戻すことができない。
2 事業団は、出資者の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けることができない。
(登記)
第八条 事業団は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第九条 事業団でない者は、科学技術振興事業団という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第十条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条及び第五十条の規定は、事業団について準用する。
第二章 役員等
(役員)
第十一条 事業団に、役員として、理事長一人、専務理事二人、理事七人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限)
第十二条 理事長は、事業団を代表し、その業務を総理する。
2 専務理事は、理事長の定めるところにより、事業団を代表し、理事長を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 理事は、理事長の定めるところにより、理事長及び専務理事を補佐して事業団の業務を掌理し、理事長及び専務理事に事故があるときはその職務を代理し、理事長及び専務理事が欠員のときはその職務を行う。
4 監事は、事業団の業務を監査する。
5 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は内閣総理大臣(第五十条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官)に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第十三条 理事長及び監事は、内閣総理大臣が任命する。
2 専務理事及び理事は、内閣総理大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第十四条 理事長及び専務理事の任期は四年とし、理事及び監事の任期は二年とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十五条 次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
一 政府又は地方公共団体の職員(教育公務員又は研究公務員で政令で定めるもの及び非常勤の者を除く。)
二 物品の製造若しくは販売若しくは工事の請負を業とする者であって事業団と取引上密接な利害関係を有するもの又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
三 前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。)
(役員の解任)
第十六条 内閣総理大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号の一に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定によりその任命に係る役員を解任しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十七条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十八条 事業団と理事長又は専務理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が事業団を代表する。
(代理人の選任)
第十九条 理事長及び専務理事は、理事又は事業団の職員のうちから、事業団の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(顧問)
第二十条 事業団に、その業務の運営に関する基本的事項に参画させるため、顧問を置くことができる。
2 顧問は、学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(職員の任命)
第二十一条 事業団の職員は、理事長が任命する。
(秘密保持義務)
第二十二条 役員、顧問若しくは職員又はこれらの職にあった者は、第三十条第一項第二号、第三号、第五号及び第六号に掲げる業務に係る職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
(役員等の公務員たる性質)
第二十三条 役員、顧問及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 新技術審議会
(設置)
第二十四条 事業団に、新技術審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(権能)
第二十五条 次の各号に掲げる場合においては、理事長は、あらかじめ、審議会の意見を聴かなければならない。
一 新技術の開発に関する基本方針を決定するとき。
二 開発を実施すべき新技術を選定するとき。
三 新技術の開発を実施した結果についてその成否を認定するとき。
四 新技術の創製に資すると認められる基礎的研究に関する基本方針を決定するとき。
2 審議会は、前項各号に掲げる場合のほか、理事長の諮問に応じ、事業団の業務の実施に関する専門的事項のうち重要なものを審議することができる。
(組織)
第二十六条 審議会は、委員二十五人以内をもって組織する。
2 審議会に会長一人を置き、委員の互選により選任する。
3 会長は、会務を総理する。
4 審議会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。
(委員の任命)
第二十七条 委員は、科学技術に関し学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(委員の任期)
第二十八条 委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
(準用規定)
第二十九条 第十六条第二項及び第三項並びに第二十二条の規定は、委員について準用する。
第四章 業務
(業務の範囲)
第三十条 事業団は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 内外の科学技術情報を収集し、分類し、整理し、保管し、又は提供するほか、これらの業務を妨げない範囲内において、事業団が保管する科学技術情報を閲覧させること。
二 研究交流に関し、次に掲げる業務(科学技術庁の所掌事務に係るものに限る。)を行うこと。
イ 外国の研究者の受入れに係る支援、国内及び国外の試験研究機関への研究者の派遣、研究集会の開催、外国の研究者のための宿舎の設置及び運営その他の研究者の交流を促進するための業務
ロ 科学技術に関する試験研究を行う者が科学技術に関する試験研究を共同して行うこと(営利を目的とする団体が他の営利を目的とする団体との間で行う場合を除く。)についてあっせんする業務
三 科学技術に関する試験研究を行う者に対し、試験研究を効果的かつ効率的に行うために必要な人的及び技術的援助を行い、並びに資材及び設備を提供する業務(科学技術庁の所掌事務に係るものに限る。)を行うこと。
四 科学技術に関し、知識を普及し、並びに国民の関心及び理解を増進すること。
五 新技術の創製に資することとなる初期的段階の技術に関する知見を探索することを内容とする基礎的研究を行い、その成果を普及すること。
六 企業化が著しく困難な新技術について企業等に委託して開発を実施し、その成果を普及するほか、新技術の開発について企業等にあっせんすること。
七 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
八 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務を行うこと。
2 事業団は、前項第八号に掲げる業務を行おうとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(業務の委託)
第三十一条 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて定める基準に従ってその業務の一部を委託することができる。
(業務方法書)
第三十二条 事業団は、業務の開始の際、業務方法書を作成し、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、総理府令で定める。
(開発の委託等に関する認可)
第三十三条 事業団は、企業等への委託により新技術の開発を実施しようとするときは、開発を実施しようとする新技術及び開発を委託しようとする企業等の選定並びに当該開発の規模の決定について、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 事業団は、新技術の開発の成果を企業に実施させようとするときは、当該成果を実施させる企業の選定について、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(関係機関との協力)
第三十四条 事業団は、第三十条第一項第一号に掲げる業務を行うに際しては、できる限り、国立国会図書館その他の関係機関の文献及び資料の利用を図るほか、関係機関と緊密に協力しなければならない。
第五章 財務及び会計
(事業年度)
第三十五条 事業団の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第三十六条 事業団は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第三十七条 事業団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に内閣総理大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 事業団は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見を付けなければならない。
3 事業団は、第一項の規定による内閣総理大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の事業報告書及び決算報告書を各事務所に備えて置かなければならない。
(書類の送付)
第三十八条 事業団は、第三十六条又は前条第一項の規定による認可又は承認を受けたときは、当該認可又は承認に係る事業計画、予算及び資金計画に関する書類又は財務諸表を政府以外の出資者に送付しなければならない。
(区分経理)
第三十九条 事業団は、文献情報提供業務に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「文献情報提供勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
(利益及び損失の処理)
第四十条 事業団は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額(文献情報提供勘定においては、当該勘定に係る残余の額に政令で定める率を乗じて得た額以上の額)は積立金として整理しなければならない。
2 事業団は、文献情報提供勘定において、前項に規定する残余の額から同項の規定により積立金として整理した額を控除してなお残余があるときは、内閣総理大臣の認可を受けて、その残余の額を出資者の出資に対しそれぞれの出資額に応じて分配することができる。
3 事業団は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、第一項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。
(借入金)
第四十一条 事業団は、内閣総理大臣の認可を受けて、短期借入金をすることができる。
2 前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、内閣総理大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
3 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
(余裕金の運用)
第四十二条 事業団は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
一 国債その他内閣総理大臣の指定する有価証券の取得
二 銀行その他内閣総理大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
三 信託業務を営む銀行又は信託会社への金銭信託
(財産の処分等の制限)
第四十三条 事業団は、総理府令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第四十四条 事業団は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(総理府令への委任)
第四十五条 この法律及びこれに基づく命令に規定するもののほか、事業団の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令で定める。
第六章 監督
(監督)
第四十六条 事業団は、内閣総理大臣が監督する。
2 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対してその業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第四十七条 内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業団に対してその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、事業団の事務所その他の事業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の必要な物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第七章 雑則
(関係行政機関の長の協力)
第四十八条 関係行政機関の長は、事業団の行う科学技術情報の収集について、できる限り協力するものとする。
(解散)
第四十九条 事業団は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、当該残余財産の額のうち、文献情報提供勘定に属する額に相当する額を文献情報提供勘定に係る各出資者に対し、文献情報提供勘定以外の一般の勘定(以下この条において「一般勘定」という。)に属する額に相当する額を一般勘定に係る各出資者に対し、それぞれ、その出資額に応じて分配するものとする。
2 前項の規定により一般勘定に係る各出資者に分配することができる額は、その出資額を限度とする。
3 前二項に規定するもののほか、事業団の解散については、別に法律で定める。
(科学技術庁長官への委任)
第五十条 この法律に規定する内閣総理大臣の権限は、科学技術庁長官に委任することができる。ただし、第十三条、第十六条第一項、同条第二項及び第三項(第二十九条において準用する場合を含む。)、第二十条第二項並びに第二十七条に規定する権限については、この限りでない。
(関係大臣との協議)
第五十一条 内閣総理大臣(前条の規定により委任された場合には、科学技術庁長官。以下同じ。)は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第五条第二項、第三十条第二項、第三十二条第一項、第三十六条、第四十条第二項、第四十一条第一項及び第二項ただし書並びに第四十三条の規定による認可をしようとするとき。
二 第三十七条第一項及び第四十四条の規定による承認をしようとするとき。
三 第四十二条第一号及び第二号の規定による指定をしようとするとき。
四 第三十二条第二項、第四十三条及び第四十五条の規定により総理府令を定めようとするとき。
2 内閣総理大臣は、第三十三条の認可をしようとするときは、あらかじめ、当該新技術に係る事業を所管する大臣に協議しなければならない。
第八章 罰則
第五十二条 第二十二条(第二十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第五十三条 第四十七条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした事業団の役員又は職員は、二十万円以下の罰金に処する。
第五十四条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした事業団の役員は、二十万円以下の過料に処する。
一 この法律により内閣総理大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。
二 第八条第一項の規定に違反して登記することを怠ったとき。
三 第三十条第一項に規定する業務以外の業務を行ったとき。
四 第四十二条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
五 第四十六条第二項の規定による内閣総理大臣の命令に違反したとき。
第五十五条 第九条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、附則第十三条から第二十四条までの規定は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(事業団の設立)
第二条 内閣総理大臣は、事業団の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、事業団の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 内閣総理大臣は、設立委員を命じて、事業団の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、事業団の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第二項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第五条 事業団は、設立の登記をすることによって成立する。
(日本科学技術情報センターの解散等)
第六条 日本科学技術情報センター(以下「センター」という。)は、事業団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において事業団が承継する。
2 センターの平成八年四月一日に始まる事業年度は、センターの解散の日の前日に終わるものとする。
3 センターの平成八年四月一日に始まる事業年度に係る決算及び財務諸表については、なお従前の例による。この場合において、当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して三月を経過する日とする。
4 第一項の規定により事業団がセンターの権利及び義務を承継したときは、その承継の際におけるセンターに対する政府の出資金に相当する金額は、事業団の設立に際し政府から事業団に出資されたものとする。この場合において、文献情報提供業務又は事業団のその他の業務に相当する業務で、日本科学技術情報センター法(昭和三十二年法律第八十四号)第二十二条第一項の規定により従前センターが行うこととされていたもののそれぞれに必要な資金に充てるため政府からセンターに対して出資された金額として内閣総理大臣が定める金額は、それぞれ、事業団の設立に際し政府から事業団に文献情報提供業務又は事業団のその他の業務に必要な資金に充てるべきものとして出資されたものとする。
5 第一項の規定により事業団がセンターの権利及び義務を承継したときは、その承継の際におけるセンターに対する政府以外の者の出資金に相当する金額は、事業団の設立に際し当該政府以外の者から事業団に文献情報提供業務に必要な資金に充てるべきものとして出資されたものとする。
6 センターが発行した出資証券の上に存在する質権は、第六条第一項の規定により出資者が受けるべき事業団の出資証券の上に存在する。
7 第一項の規定によりセンターが解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(持分の払戻し)
第七条 前条第五項の規定により政府以外の者が事業団に出資したものとされた金額については、当該政府以外の者は、事業団に対し、その成立の日から起算して一月を経過する日までの間に限り、当該持分の払戻しを請求することができる。
2 事業団は、前項の規定による請求があったときは、第七条第一項の規定にかかわらず、当該持分に係る出資額に相当する金額により払戻しをしなければならない。この場合において、事業団は、その払戻しをした金額により資本金を減少するものとする。
(新技術事業団の解散等)
第八条 新技術事業団は、事業団の成立の時において解散するものとし、その一切の権利及び義務は、その時において事業団が承継する。
2 新技術事業団の平成八年四月一日に始まる事業年度は、新技術事業団の解散の日の前日に終わるものとする。
3 新技術事業団の平成八年四月一日に始まる事業年度に係る決算及び財務諸表については、なお従前の例による。この場合において、当該決算の完結の期限は、解散の日から起算して二月を経過する日とする。
4 第一項の規定により事業団が新技術事業団の権利及び義務を承継したときは、その承継の際における新技術事業団に対する政府の出資金に相当する金額は、事業団の設立に際し政府から事業団に文献情報提供業務以外の事業団の業務に必要な資金に充てるべきものとして出資されたものとする。
5 第一項の規定により新技術事業団が解散した場合における解散の登記については、政令で定める。
(非課税)
第九条 附則第六条第一項及び前条第一項の規定により事業団が権利を承継する場合における当該承継に係る不動産又は自動車の取得に対しては、不動産取得税若しくは土地の取得に対して課する特別土地保有税又は自動車取得税を課することができない。
2 事業団が附則第六条第一項及び前条第一項の規定により権利を承継し、かつ、引き続き保有する土地のうち、センター又は新技術事業団が昭和四十四年一月一日前に取得したもの及び地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第五百九十九条第一項の規定により申告納付すべき日の属する年の一月一日において都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項に規定する市街化区域内に所在する土地以外の土地で同日においてセンター又は新技術事業団が当該土地を取得した日以後十年を経過したものに対しては、土地に対して課する特別土地保有税を課することができない。
3 前条第一項の規定により事業団が権利を承継する場合における当該承継に伴う登記又は登録については、登録免許税を課さない。
(名称の使用制限等に関する経過措置)
第十条 この法律の施行の際現に科学技術振興事業団という名称を使用している者については、第九条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第十一条 事業団の最初の事業年度は、第三十五条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、平成九年三月三十一日に終わるものとする。
第十二条 事業団の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第三十六条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「事業団の成立後遅滞なく」とする。
(日本科学技術情報センター法及び新技術事業団法の廃止)
第十三条 次の法律は、廃止する。
一 日本科学技術情報センター法
二 新技術事業団法(昭和三十六年法律第八十二号)
第十四条 前条の規定の施行前に同条の規定による廃止前の日本科学技術情報センター法(第十三条を除く。)又は新技術事業団法(第十二条及び第二十五条を除く。)の規定によりした処分、手続その他の行為は、この法律中の相当する規定によりした処分、手続その他の行為とみなす。
第十五条 附則第十三条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
第十六条 新技術事業団の役員若しくは職員又は新技術審議会の委員であった者に係るその職務に関して知得した秘密を漏らし、又は盗用してはならない義務については、附則第十三条の規定の施行後も、なお従前の例による。
2 前項の規定により従前の例によることとされる事項に係る附則第十三条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(所得税法の一部改正)
第十七条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表新技術事業団の項を削る。
(法人税法の一部改正)
第十八条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表新技術事業団の項を削る。
(印紙税法の一部改正)
第十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第二新技術事業団の項を削る。
(登録免許税法の一部改正)
第二十条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第二新技術事業団の項を削る。
(消費税法の一部改正)
第二十一条 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。
別表第三第一号の表新技術事業団の項を削る。
(地価税法の一部改正)
第二十二条 地価税法(平成三年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第二十五号中「日本科学技術情報センター」を「科学技術振興事業団」に改める。
(地方税法の一部改正)
第二十三条 地方税法の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第三号中「、新技術事業団」を削る。
第七十三条の四第一項第十三号中「新技術事業団が新技術事業団法(昭和三十六年法律第八十二号)第二十八条第五号」を「科学技術振興事業団が科学技術振興事業団法(平成八年法律第二十七号)第三十条第一項第二号イ」に改める。
第三百四十九条の三第二十六項中「新技術事業団が所有し、かつ、直接新技術事業団法第二十八条第二号に規定する」を「科学技術振興事業団が所有し、かつ、直接科学技術振興事業団法第三十条第一項第五号に規定する基礎的研究に係る」に、「新技術事業団が所有し、かつ、直接同条第五号」を「科学技術振興事業団が所有し、かつ、直接同条第一項第二号イ」に改める。
第七百一条の四十一第一項の表第二号の二中「日本科学技術情報センター」を「科学技術振興事業団」に改める。
(科学技術庁設置法の一部改正)
第二十四条 科学技術庁設置法(昭和三十一年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第三十号中「、日本科学技術情報センター」及び「、新技術事業団」を削り、「及び宇宙開発事業団」を「、宇宙開発事業団及び科学技術振興事業団」に改める。
内閣総理大臣 橋本龍太郎
大蔵大臣 久保亘