農業協同組合法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第184号
公布年月日: 昭和29年6月15日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

農業協同組合法制定から5年余が経過し、組合は農業生産力の増進と農民の地位向上に努めてきたが、経済的社会的変動により経営不振の組合も少なくない。これまで法改正等で対応してきたものの、組合の組織、事業及び経営の現況には、なお整備強化を要する部分が多い。特に組合の指導体制を確立し、現行の組合制度に修正を加え、国民経済の推移に即応した組合の更なる発展を図る必要があることから、本法律案を提出するものである。

参照した発言:
第19回国会 衆議院 農林委員会 第37号

審議経過

第19回国会

衆議院
(昭和29年4月28日)
参議院
(昭和29年5月7日)
衆議院
(昭和29年5月12日)
(昭和29年5月13日)
(昭和29年5月18日)
(昭和29年5月19日)
(昭和29年5月20日)
(昭和29年5月21日)
(昭和29年5月22日)
(昭和29年5月22日)
参議院
(昭和29年5月31日)
(昭和29年6月1日)
(昭和29年6月2日)
(昭和29年6月3日)
(昭和29年6月8日)
衆議院
(昭和29年6月9日)
(昭和29年6月15日)
農業協同組合法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和二十九年六月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
法律第百八十四号
農業協同組合法の一部を改正する法律
農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。
第八条及び第九条を削り、第二条から第七条までを二条ずつ繰り下げ、第一条の次に次のように加える。
第二条 この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
第三条 この法律において、農民とは、みずから農業を営み、又は農業に従事する個人をいう。
この法律において、農業とは、耕作、養畜又は養蚕の業務(これに附随する業務を含む。)をいう。
みずから前項に掲げる業務を営み、又はこれに従事する者が行う薪炭生産の業務(これに附随する業務を含む。)は、この法律の適用については、農業とみなす。
第二章 農業協同組合及び農業協同組合連合会
第一節 通則
「第二章 事業」を削り、第十条の前に次のように加える。
第二節 事業
第十条第一項第二号中「貯金」の下に「又は定期積金」を加え、同項第八号から第十号までをそれぞれ次のように改める。
八 共済に関する施設
九 医療に関する施設
十 組合員の農業に関する技術及び経営の向上を図るための教育又は農村の生活及び文化の改善に関する施設
第十条第二項中「同項第一号及び第二号の事業を併せ」を「同項第二号又は第八号の事業を」に改める。
第十条第四項を次のように改める。
第一項第二号又は第八号の事業の利用に関する前項但書の規定の適用については、同項第二号の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者及び営利を目的としない法人、同項第八号の事業にあつては組合員と同一の世帯に属する者は、これを組合員とみなす。
第十条第五項中「第一項第一号及び第二号の事業を併せ」を「第一項第二号の事業を」に、「これら」を「同項第一号の事業及び同項第一号又は第二号」に改め、同条第六項中「手形の割引をし、」の下に「国、地方公共団体」を加える。
第十条第七項を次のように改める。
第一項第八号の事業を行う農業協同組合連合会は、同項の規定にかかわらず、同号の事業に附帯する事業の外他の事業を行うことができない。
第十条第八項を削る。
第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 組合が、前条第一項第八号の事業を行おうとするときは、共済規程を定め、行政庁の承認を受けなければならない。
前項の共済規程には、事業の実施方法、共済契約、共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関して省令で定める事項を記載しなければならない。
共済規程の変更又は廃止は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
第十一条第一項中「前条」を「第十条」に改める。
「第三章 組合員」を削り、第十二条の前に次のように加える。
第三節 組合員
第十二条第一項第二号中「前号に掲げる者の外、農業協同組合の地区内に住所を有する者」を「当該農業協同組合の地区内に住所を有する個人」に改め、同号の次に次の二号を加える。
三 当該農業協同組合の地区の全部又は一部を地区とする農業協同組合
四 当該農業協同組合の地区内に住所を有する農民の組織する団体
第十三条の二に次の一項を加える。
組合員は、前項の規定による出資(以下回転出資金という。)の払込について、相殺をもつて出資組合に対抗することができない。
第十六条第一項中「及び役員」を「並びに役員及び総代」に、同項但書中「第十二条第一項第二号及び第二項第二号」を「第十二条第一項第二号乃至第四号又は第二項第二号」に改める。
第二十二条第二項但書を次のように改める。
この場合において、組合は、その総会の会日から十日前までにその組合員に対しその旨を通知し、且つ、総会において弁明する機会を与えなければならない。
第二十二条に次の一項を加える。
前項の除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもつてその組合員に対抗することができない。
「第四章 管理」を削り、第二十八条の前に次のように加える。
第四節 管理
第二十八条第一項第十号中「選挙」を「選挙又は選任」に改め、同条第三項中「、第十三条の二の規定による出資(以下回転出資金という。)の払込をさせようとするときはこれに関する規定を」を削る。
第三十条中第九項を第十項とし、第八項の次に次の一項を加える。
役員は、第三項の規定にかかわらず、定款の定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員は創立総会)においてこれを選任することができる。
第三十一条第三項中「第一項」を「前項」に改め、同条第二項を削る。
第三十一条の次に次の一条を加える。
第三十一条の二 理事は、法令、法令に基いてする行政庁の処分、定款、規約、共済規程及び総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。
理事がその任務を怠つたときは、その理事は、組合に対して連帯して損害賠償の責に任ずる。
理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があつたときは、その理事は、第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。重要な事項につき第三十九条第一項に掲げる書類に虚偽の記載をし、又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも、また同様とする。
第四十条第二項中「若しくは規約」を「、規約若しくは共済規程」に改める。
第四十一条を次のように改める。
第四十一条 理事及び監事には、商法第二百五十四条第三項、第二百五十六条第三項及び第二百五十八条第一項の規定を、理事には、民法第四十四条第一項、第五十二条第二項、第五十三条乃至第五十五条及び第六十一条第一項の規定を、監事には、第三十一条の二、民法第五十九条及び商法第二百七十八条の規定を準用する。
第四十一条の二中「行政庁は、」の下に「仮理事を選任し、又は」を加え、「選挙」を「選挙し、又は選任」に改める。
第四十四条第一項第二号中「規約」を「規約及び共済規程」に改め、同項に次の二号を加える。
八 農業協同組合連合会又は農業協同組合中央会の設立の発起人となり又は設立準備会の議事に同意すること。
九 組合又は農業協同組合中央会への加入及び組合又は農業協同組合中央会からの脱退
第四十四条第三項中「前項の認可については、」の下に「第五十九条第二項、」を加える。
第四十六条第四号及び第五号を削る。
第四十六条の二第二項を削る。
第四十七条を次のように改める。
第四十七条 総会には、民法第六十四条及び第六十六条並びに商法第二百四十三条及び第二百四十四条の規定を準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあり、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは、それぞれ「農業協同組合法第三十七条第三項」と読み替えるものとする。
第四十八条第一項中「千人」を「五百人」に、同条第三項中「二百人」を「百人」に改め、同条第五項但書中「総代会においては、」の下に「役員の選挙又は選任及び総代の選挙並びに」を加え、同条第三項の次に次の一項を加える。
総代の任期は、三年以内において定款で定める。
「第五章 設立」を削り、第五十五条の前に次のように加える。
第五節 設立
第五十八条第七項を次のように改める。
創立総会については、第十六条第一項及び第三項乃至第五項、第四十五条第二項及び第三項、民法第六十六条並びに商法第二百四十四条の規定を準用する。この場合において、商法第二百四十四条第二項中「取締役」とあるのは、「発起人」と読み替えるものとする。
第六十条を次のように改める。
第六十条 行政庁は、前条第一項の申請があつたときは、左の場合を除き、その申請に係る同項の認可をしなければならない。
一 設立の手続又は定款若しくは事業計画の内容が、法令又は法令に基いてする行政庁の処分に違反するとき。
二 その事業が健全に行われず、且つ、公益に反すると認められるとき。
三 農業協同組合連合会にあつては、当該連合会が農業協同組合中央会の事業の全部又は一部と同種の事業を行うことにより農業協同組合中央会の事業の発展に支障があると認められるとき。
第六十一条第二項の次に次の一項を加える。
行政庁が第五十九条第二項の規定により報告書の提出の請求を発したときは、その日からその報告書が行政庁に到達するまでの期間は、第一項の期間に算入しない。
「第六章 解散及び清算」を削り、第六十四条の前に次のように加える。
第六節 解散及び清算
第六十四条第三項中「前項の場合には、」の下に「第十条第一項第二号又は第八号の事業を行う組合にあつては第五十九条第二項の規定を、その他の組合にあつては第五十九条第二項、」を、同条第四項中「解散する。」の下に「この場合には、組合は、遅滞なくその旨を行政庁に届け出なければならない。」を加え、同条第五項を次のように改める。
第十条第一項第八号の事業及びこれに付帯する事業のみを行う組合にあつては、第一項及び前項の事由に因る外、第九十五条第三項の規定による承認の取消に因つて解散する。
第六十五条第五項中「前項の場合には、」の下に「第十条第一項第二号又は第八号の事業を行う組合にあつては第五十九条第二項の規定を、その他の組合にあつては第五十九条第二項、」を加え、同条第二項及び第三項を削る。
第六十九条に次の一項を加える。
第十条第一項第八号の事業を行う組合が、第六十四条第五項の規定により解散したときは、前項の規定にかかわらず、行政庁が清算人を選任する。
第七十三条中「第百三十六条第一項、」を削る。
第七十三条の次に次の一章を加える。
第三章 農業協同組合中央会
第七十三条の二 農業協同組合中央会(以下中央会という。)は、組合の健全な発達を図ることを目的とする。
第七十三条の三 中央会は、都道府県農業協同組合中央会(以下都道府県中央会という。)及び全国農業協同組合中央会(以下全国中央会という。)とする。
第七十三条の四 中央会でない者は、農業協同組合中央会という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。
第七十三条の五 中央会は、法人とする。
第七十三条の六 中央会の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第七十三条の七 都道府県中央会の地区は、都道府県の区域に、全国中央会の地区は、全国の区域による。
同一の区域を地区とする中央会は、一個とする。
第七十三条の八 国は、毎年度予算の範囲内において、中央会の事業に要する経費の一部を補助することができる。
第七十三条の九 中央会は、その目的を達成するため、左の事業を行う。
一 組合の組織、事業及び経営の指導
二 組合の監査
三 組合に関する教育及び情報の提供
四 組合の連絡及び組合に関する紛争の調停
五 組合に関する調査及び研究
六 前各号の事業の外、中央会の目的を達成するために必要な事業
中央会は、組合に関する事項について、行政庁に建議することができる。
第七十三条の十 全国中央会は、その事業の浸透徹底を図り、又は都道府県中央会の事業の総合調整を行うため、都道府県中央会の指導及び連絡に関する事業を行うことができる。
全国中央会は、前項の指導及び連絡を行うために必要があると認めるときは、定款の定めるところにより、事業計画の設定若しくは変更その他業務若しくは会計に関する重要事項について都道府県中央会に指示し、若しくは都道府県中央会をして全国中央会に協議をさせ、又は都道府県中央会に事務の報告若しくは書類及び帳簿の提出を求めることができる。
第七十三条の十一 中央会は、第七十三条の九第一項第二号の事業を行おうとするときは、監査規程を定め、主務大臣の承認を受けなければならない。
前項の監査規程には、監査の要領及びその実施の方法並びに第七十三条の二十一の農業協同組合監査士の服務に関する事項を記載しなければならない。
監査規程を変更し、又は廃止するには、主務大臣の承認を受けなければならない。
第七十三条の十二 中央会の会員は、正会員及び准会員とする。
都道府県中央会の正会員たる資格を有する者は、都道府県中央会の地区の全部又は一部を地区とする組合とする。
都道府県中央会の准会員たる資格を有する者は、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で都道府県中央会の地区内に住所を有するもののうち定款で定めるものとする。
全国中央会の正会員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。
一 都道府県中央会
二 都道府県中央会の正会員たる組合
三 都道府県の区域をこえる区域を地区とする組合
全国中央会の准会員たる資格を有する者は、組合の行う事業と同種の事業を行う法人で定款で定めるものとする。
第七十三条の十三 会員たる資格を有する者が都道府県中央会に加入しようとするときは、都道府県中央会は、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の会員が加入の際に附されたよりも困難な条件を附してはならない。
都道府県中央会の会員の脱退については、第二十一条及び第二十二条の規定を準用する。
前条第四項第一号又は第二号に該当する者は、全国中央会が成立したときは、すべてその正会員となる。全国中央会が成立した後において同項第一号又は第二号に該当するに至つた者についても、また同様とする。
前条第四項第三号に該当する者及び准会員たる資格を有する者が全国中央会に加入しようとする場合には、第一項の規定を準用する。
全国中央会の前条第四項第一号又は第二号の規定による正会員の脱退については、第二十二条第一項第一号及び第二号の規定を、その他の正会員及び准会員の脱退については、第二十一条及び第二十二条の規定を準用する。
第七十三条の十四 都道府県中央会の正会員は、各々一個の議決権(第七十三条の二十二第一項の規定により代議員をもつて総会を組織する都道府県中央会の正会員にあつては代議員の選挙権)を、全国中央会の正会員は、代議員の選挙権を有する。但し、全国中央会の代議員の選挙については、都道府県中央会及び第七十三条の二十三第二項第三号に規定する農業協同組合連合会は、この限りでない。
第七十三条の十五 中央会は、定款の定めるところにより、会員に経費を賦課することができる。
会員は、前項の経費の支払について、相殺をもつて中央会に対抗することができない。
中央会は、定款の定めるところにより、会員に対して過怠金を課することができる。
第七十三条の十六 中央会の会員に対してする通知又は催告については、第三十七条第一項及び第二項の規定を準用する。
第七十三条の十七 中央会の定款には、左の事項を記載しなければならない。
一 事業
二 名称
三 事務所の所在地
四 会員たる資格並びに会員の加入及び脱退に関する規定
五 経費の分担に関する規定
六 業務の執行及び会計に関する規定
七 役員の定数、職務の分担及び選任に関する規定
八 第七十三条の二十二第一項の規定により代議員をもつて総会を組織する都道府県中央会及び全国中央会にあつては代議員の定数及び選挙に関する規定
九 事業年度
十 公告の方法
定款の変更は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第七十三条の十八 中央会に、役員として会長一人、副会長一人(全国中央会にあつては、三人以内)、理事五人以上及び監事二人以上を置く。
役員は、定款の定めるところにより、総会において選任する。
設立当時の役員は、前項の規定にかかわらず、創立総会において選任する。
役員の任期は、三年以内において定款で定める。
設立当時の役員の任期は、前項の規定にかかわらず、創立総会において定める。但し、その期間は、一年をこえてはならない。
第七十三条の十九 会長は、中央会を代表し、その業務を総理する。
副会長は、定款の定めるところにより、中央会を代表し、会長を補佐して中央会の業務を掌理し、会長に事故があるときには会長の職務を代理し、会長が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、中央会を代表し、会長及び副会長を補佐して中央会の業務を掌理し、会長及び副会長に事故があるときにはその職務を代理し、会長及び副会長が欠員のときにはその職務を行う。
第七十三条の二十 中央会の会長、副会長、理事及び監事には、第三十一条の二及び第三十二条並びに商法第二百五十四条第三項、第二百五十六条第三項及び第二百五十八条第一項の規定を、会長には、第三十四条、第三十五条、第三十八条及び第三十九条並びに民法第六十一条第一項の規定を、会長、副会長及び理事には、民法第四十四条第一項、第五十四条及び第五十五条の規定を、監事には、第三十三条及び第三十六条、民法第五十九条並びに商法第二百七十八条の規定を準用する。この場合において、第三十六条中「理事」とあるのは、「会長、副会長及び理事」と読み替えるものとする。
第七十三条の二十一 第七十三条の九第一項第二号の事業を行う中央会には、組合の監査に当らせるため、農業協同組合監査士を置かなければならない。
農業協同組合監査士は、省令で定める資格を有する者のうちから選任しなければならない。
農業協同組合監査士の選任及び解任は、会長が副会長及び過半数の理事の同意を得てこれを決する。
第七十三条の二十二 都道府県中央会の総会は、定款の定めるところにより、代議員をもつて組織することができる。
代議員は、各々一個の議決権を有する。
代議員は、正会員が選挙した者をもつて充てる。
代議員は、正会員たる組合の理事でなければならない。
代議員の定数は、正会員の総数のおおむね十分の一を下らないように定款で定めなければならない。
代議員の任期は、三年以内において定款で定める。
代議員の選挙については、第三十条第四項乃至第八項の規定を準用する。
第七十三条の二十三 全国中央会の総会は、代議員をもつて組織する。
代議員は、左に掲げる者をもつて充てる。
一 都道府県の区域ごとに、その区域の全部又は一部を地区とする組合(その区域をこえる区域を地区とする農業協同組合でその区域内に住所を有するものを含む。)であつて第七十三条の十四の規定により選挙権を有する正会員たるものが選挙した者
二 都道府県中央会の会長
三 正会員たる農業協同組合連合会で都道府県の区域をこえる区域を地区とするものごとに、全国中央会の定款で定める理事一人
前項第一号の規定により正会員が選挙する代議員の定数は、都道府県の区域ごとに、その区域につき選挙権を有する正会員の数におおむね比例するように、定款で定める。
代議員については、前条第二項、第四項、第六項及び第七項の規定を準用する。この場合において、前条第四項、第六項及び第七項中「代議員」とあるのは、「第二項第一号の規定により正会員が選挙する代議員」と読み替えるものとする。
第七十三条の二十四 中央会の成立の日から一年以内において創立総会で定める期間内は、代議員は、第七十三条の二十二第三項又は前条第二項の規定にかかわらず、都道府県中央会にあつては創立総会において選任した者をもつて、全国中央会にあつては創立総会において選任した者並びに前条第二項第二号及び第三号に掲げる者をもつて充てる。
前項の規定により創立総会において選任する代議員(以下選任による代議員という。)は、発起人たる組合の理事又は正会員たる資格を有する組合で発起人に対し設立の同意を申し出たもの(全国中央会にあつては、都道府県の区域をこえる区域を地区とする農業協同組合連合会を除く。)の理事でなければならない。
選任による代議員の定数は、創立総会において定める。
第七十三条の二十五 左の事項は、総会の議決を経なければならない。
一 定款の変更
二 解散
三 会員の除名
四 役員の解任
五 毎事業年度の事業計画の設定及び変更
六 経費の賦課及び徴収の方法
前項第一号から第四号までに掲げる事項は、都道府県中央会にあつては正会員(第七十三条の二十二第一項の規定により代議員をもつて総会を組織する都道府県中央会にあつては代議員)、全国中央会にあつては代議員の半数以上が出席し、その議決権の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
中央会の総会には、第十六条第二項乃至第五項、第三十七条第三項、第四十五条、民法第六十四条及び第六十六条並びに商法第二百四十三条及び第二百四十四条の規定を準用する。この場合において、民法第六十四条中「第六十二条」とあり、商法第二百四十三条中「第二百三十二条」とあるのは、それぞれ「農業協同組合法第七十三条の二十五第三項ニ於テ準用スル同法第三十七条第三項」と読み替えるものとする。
第七十三条の二十六 都道府県中央会を設立するには都道府県の区域をこえない区域を地区とする組合が、全国中央会を設立するには都道府県の区域をこえる区域を地区とする農業協同組合連合会又は都道府県中央会が、それぞれ発起人となり、定款及び事業計画を作成し、会日の二週間前までにこれを創立総会の日時及び場所とともに公告して、創立総会を招集しなければならない。
前項の発起人の数は、五以上でなければならない。この場合において、都道府県中央会の設立にあつては、その中に都道府県の区域を地区とする農業協同組合連合会二以上を含まなければならない。
発起人は、創立総会を招集するには、都道府県中央会の設立にあつてはその地区の全部又は一部を地区とする組合の総数の十分の一以上の同意を、全国中央会の設立にあつては都道府県中央会の総数の三分の二以上及び都道府県の区域をこえる区域を地区とする組合の総数の十分の一以上の同意を得なければならない。
定款の決定、事業計画の設定、役員及び代議員の選任その他設立に必要な事項の決定は、創立総会の議決によらなければならない。
創立総会には、第五十八条第五項乃至第七項の規定を準用する。
第七十三条の二十七 発起人は、創立総会終了の後遅滞なく、定款及び事業計画を主務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
発起人は、主務大臣の要求があるときは、中央会の設立に関する報告書を提出しなければならない。
第七十三条の二十八 前条第一項の認可があつたときは、発起人は、遅滞なくその事務を会長に引き渡さなければならない。
第七十三条の二十九 中央会は、主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。
第七十三条の三十 中央会は、左の事由によつて解散する。
一 総会の議決
二 破産
解散の議決は、主務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
中央会の解散及び清算には、第六十九条乃至第七十二条、民法第七十三条、第七十五条、第七十六条及び第七十八条乃至第八十三条並びに非訟事件手続法第三十五条第二項、第三十六条、第三十七条ノ二、第百三十五条ノ二十五第二項第三項、第百三十七条及び第百三十八条の規定を準用する。この場合において、第六十九条中「理事」とあるのは「会長、副会長及び理事」と、民法第七十五条中「前条」とあるのは「農業協同組合法第七十三条の三十第三項ニ於テ準用スル同法第六十九条」と読み替えるものとする。
「第七章 登記」を「第四章 登記」に改める。
第七十四条第一項及び第二項中「設立の登記」を「組合の設立の登記」に、同条第一項中「及び第四項」を「及び第五項」に改め、同条第三項中「組合」の下に「又は中央会」を加え、同項中「前項」を「第二項又は前項」に改め、同条第二項の次に次の二項を加える。
中央会の設立の登記は、設立の認可があつた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてこれをしなければならない。
中央会の設立の登記には左の事項を掲げなければならない。
一 事業
二 名称
三 事務所
四 役員の氏名及び住所
五 副会長又は理事に代表権を与えたときは、その者の氏名
六 公告の方法
第七十五条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を、「前条第二項」の下に「又は第四項」を加える。
第七十六条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を、「第七十四条第二項」の下に「又は第四項」を加え、「同項」を「これら」に改める。
第七十七条第一項中「第七十四条第二項」の下に「又は第四項」を加える。
第七十八条及び第八十一条中「組合」の下に「又は中央会」を加える。
第八十二条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を加え、同条第二項中「及び農業協同組合連合会登記簿」を「、農業協同組合連合会登記簿及び農業協同組合中央会登記簿」に改める。
第八十三条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を加え、同条第三項中「第六十五条第六項」を「第六十五条第四項」に改める。
第八十四条中「第七十四条第三項」を「第七十四条第五項」に改め、「理事」の下に「(中央会にあつては、会長)」を加える。
第八十五条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を、「第七十四条第二項」の下に「又は第四項」を、「理事」の下に「(中央会にあつては、会長)」を加え、同条第三項中「第六十五条第六項」を「第六十五条第四項」に改める。
第八十六条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を加え、同条第三項中「裁判所」を「行政庁」に改める。
第八十八条第一項中「理事」の下に「(中央会にあつては、会長、副会長及び理事)」を加える。
第八十九条第一項中「組合」の下に「又は中央会」を、同条第二項中「第七十二条」の下に「(第七十三条の三十第三項において準用する場合を含む。)」を加える。
第九十条但書中「及び第四項」を「及び第五項」に改める。
第九十二条中「組合」の下に「又は中央会」を加える。
「第八章 監督」を「第五章 監督」に改める。
第九十三条中「組合」の下に「若しくは中央会」を、「組合員」の下に「(中央会にあつては、会員。以下本章において同じ。)」を加え、「若しくは規約」を「、規約若しくは共済規程」に改める。
第九十四条第一項中「総組合員」を「その総数」に改め、同条第一項及び第二項中「組合」の下に「又は中央会」を加え、「若しくは規約」を「、規約若しくは共済規程」に改め、同条第三項中「第二号」の下に「又は第八号」を加え、「組合又は」を「組合、」に、「組合の業務」を「組合又は中央会の業務」に改め、同条第二項の次に次の一項を加える。
行政庁は、第十条第一項第二号又は第八号の事業を行う組合の事業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、何時でも、当該組合の業務又は会計の状況を検査することができる。
第九十四条の次に次の一条を加える。
第九十四条の二 行政庁は、第十条第一項第二号又は第八号の事業を行う組合に対し、その事業の健全な運営を確保し、又は組合員を保護するため、組合の業務若しくは財産の状況又は事情の変更によつて必要があると認めるときは、当該事業に関し、定款、規約若しくは共済規程の変更、業務執行の方法の変更、業務の全部若しくは一部の停止若しくは財産の供託を命じ、又は財産の処分を禁止し、若しくは制限し、その他監督上必要な命令をすることができる。
行政庁は、中央会の事業の健全な運営を確保するため、当該中央会の業務又は会計に関し、監督上必要な指示をすることができる。
第九十五条中「前条」を「第九十四条」に、「当該組合の業務」を「当該組合又は中央会の業務」に、「若しくは規約」を「、規約若しくは共済規程」に、「当該組合に対し」を「当該組合又は中央会に対し、期間を定めて」に改め、同条に次の二項を加える。
組合又は中央会が前項の命令に従わないときは、行政庁は、期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止又は役員の改選を命ずることができる。
行政庁は、組合が共済規程に定めた特に重要な事項に違反した場合において、第一項の命令をしたにもかかわらず、これに従わないときは、第十条の二第一項の承認を取り消すことができる。
第九十五条の二を次のように改める。
第九十五条の二 左の場合には、行政庁は、当該組合の解散を命ずることができる。
一 組合が法律の規定に基いて行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 組合が、正当な理由がないのに、その成立の日から一年を経過してもなおその事業を開始せず、又は一年以上事業を停止したとき。
三 組合が法令に違反した場合において、行政庁が前条第一項の命令をしたにもかかわらず、これに従わないとき。
第九十五条の二の次に次の一条を加える。
第九十五条の三 行政庁は、第九十五条第三項の規定による処分をし、又は前条の規定による命令をしようとするときは、当該組合に対し、あらかじめ、処分又は命令をしようとする理由を通知し、且つ、弁明する機会を与えなければならない。
行政庁は、組合に対し、前項にいう処分又は命令をしようとするときは、あらかじめ、都道府県の区域をこえない区域を地区とする組合にあつては都道府県中央会の、都道府県の区域をこえる区域を地区とする組合にあつては全国中央会の意見を聞かなければならない。
第九十六条中「総組合員」を「その総数」に改め、「総会」の下に「(創立総会を含む。)」を加える。
第九十八条第一項中「第六十八条の場合を除いては、」を「第六十八条及び第七十三条の九第二項の場合を除いては、中央会及び」に改め、同条第二項中「主務大臣の権限の一部は、」の下に「政令の定めるところにより、」を加える。
「第九章 罰則」を「第六章 罰則」に改める。
第百条第二項中「組合」の下に「又は中央会」を加える。
第百一条を次のように改める。
第百一条 左の場合には、組合又は中央会の役員又は清算人は、これを一万円以下の過料に処する。
一 法律の規定に基いて組合又は中央会が行うことができる事業以外の事業を行つたとき。
二 第十条の二第一項の規定に違反したとき。
三 第十九条第二項の規定に違反したとき。
四 第二十条又は第七十三条の十三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
五 第二十二条第二項後段(第七十三条の十三第二項及び第五項において準用する場合を含む。)、第四十条第四項又は第四十三条第四項の規定に違反したとき。
六 第三十二条(第七十三条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
七 第三十四条、第三十五条又は第三十六条(これらの規定を第七十三条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
八 第三十八条第一項若しくは第三十九条第一項(これらの規定を第七十三条の二十において準用する場合を含む。)の規定に違反して書類を備え置かず、その書類に記載すべき事項を記載せず、若しくは不実の記載をし、又は正当な理由がないのに第三十八条第三項若しくは第三十九条第二項(これらの規定を第七十三条の二十において準用する場合を含む。)の規定による閲覧を拒んだとき。
九 第四十九条又は第五十条第二項(これらの規定を第六十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して出資一口の金額を減少し、又は出資組合の合併をしたとき。
十 第五十一条又は第五十二条の規定に違反したとき。
十一 第五十四条の規定に違反して組合員の持分を取得し、又は質権の目的としてこれを受けたとき。
十二 第六十四条第四項の規定に違反して届出をしなかつたとき。
十三 第七十条又は第七十二条(これらの規定を第七十三条の三十第三項において準用する場合を含む。)に掲げる書類に記載すべき事項を記載せず、又は不実の記載をしたとき。
十四 第七十一条(第七十三条の三十第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して組合又は中央会の財産を分配したとき。
十五 第七十三条又は第七十三条の三十第三項において準用する民法第七十九条第一項の期間内に債権者に弁済したとき。
十六 第七十三条又は第七十三条の三十第三項において準用する民法第七十九条又は同法第八十一条に規定する公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
十七 第七十三条又は第七十三条の三十第三項において準用する民法第八十一条第一項の規定に違反して破産宣告の請求を怠つたとき。
十八 第九十四条の二第一項の規定による命令に従わなかつたとき。
十九 この法律の規定による登記を怠り、又は不実の登記をしたとき。
第百一条の二の次に次の一条を加える。
第百一条の三 中央会の役員又は職員が第七十三条の九第一項第二号の事業に係る業務に関して知り得た秘密を故なく他に漏らし、又は窃用したときは、これを一万円以下の過料に処する。その者が役員又は職員でなくなつた後において、当該違反行為をした場合においても、また同様とする。
第百二条中「第二条第二項」を「第四条第二項又は第七十三条の四」に改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。但し、第十条第七項及び第十条の二の規定は、この法律の施行の日から六箇月をこえない期間内において政令で定める日から施行する。
2 この法律の施行の際現に改正前の農業協同組合法第十条第一項第九号に規定する農村の生活及び文化の改善に関する事業、同項第十号に規定する事業及び同条第四項に規定する事業を行う農業協同組合連合会は、当分の間、なおその事業を行うことができる。
3 農業協同組合法第十条第七項及び第十条の二の規定の施行の際現に改正前の同法第十条第一項第八号の規定による事業を行つている組合は、改正後の同法第十条第七項及び第十条の二の規定にかかわらず、これらの規定の施行の日から一年を限り、その施行の際現に存する共済契約に係る事業を行うことができる。
4 農業協同組合法第四十四条第一項第八号及び第九号の規定のうち、中央会に係る部分は、この法律の施行の日から一年間は、適用しない。
5 登録税法(明治二十九年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第十九条第七号中「農業協同組合連合会、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
6 印紙税法(明治三十二年法律第五十四号)の一部を次のように改正する。
第五条第五号ノ六の次に次の一号を加える。
五ノ七 農業協同組合中央会ノ発スル証書、帳簿
第五条第六号中「若ハ貯金通帳」を「、貯金通帳、積金通帳若ハ積金証書」に改める。
7 所得税法(昭和二十二年法律第二十七号)の一部を次のように改正する。
第三条第十二号中「農業共済基金、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
8 法人税法(昭和二十二年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項第四号中「農業共済基金、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二十五条第一号中「農業共済基金、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
第七十二条の五第一項第四号中「農業共済基金、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
第七十三条の七中第十一号の次に次の一号を加える。
十二 農業協同組合中央会が農業協同組合法の一部を改正する法律(昭和二十九年法律第百八十四号)附則第二項に規定する農業協同組合連合会からその所有する不動産を取得する場合における当該不動産の取得
第二百九十六条第一号中「農業共済基金、」の下に「農業協同組合中央会、」を加える。
第三百四十八条第四項中「及び連合会」を「、連合会及び農業協同組合中央会」に改める。
大蔵大臣 小笠原三九郎
農林大臣 保利茂
内閣総理大臣 吉田茂