(業務)
第二十七条 基金は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡につき、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金及び葬祭料の給付(以下「救済給付」という。)を行うこと。
二 救済給付の支給に係る者について保健福祉事業を行うこと。
2 基金は、前項第二号に掲げる業務を行おうとするときは、厚生大臣の承認を受けなければならない。
(救済給付)
第二十八条 救済給付は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者に対して行うものとし、救済給付を受けようとする者の請求に基づき、基金が支給を決定する。
一 医療費及び医療手当 医薬品の副作用による疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
二 障害年金 医薬品の副作用により政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳以上の者
三 障害児養育年金 医薬品の副作用により政令で定める程度の廃疾の状態にある十八歳未満の者を養育する者
四 遺族年金又は遺族一時金 医薬品の副作用により死亡した者の政令で定める遺族
五 葬祭料 医薬品の副作用により死亡した者の葬祭を行う者
2 救済給付は、前項の規定にかかわらず、次の各号の一に該当する場合は、行わない。
一 その者の医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡が予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)又は結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)の規定による予防接種を受けたことによるものである場合
二 その者の医薬品の副作用による疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者があることが明らかな場合
3 救済給付の額、請求の期限、支給方法その他救済給付に関して必要な事項は、政令で定める。
(判定の申出)
第二十九条 基金は、前条第一項の規定による支給の決定につき、救済給付の請求のあつた者に係る疾病、廃疾又は死亡が、医薬品の副作用によるものであるかどうかその他医学的薬学的判定を要する事項に関し、厚生大臣に判定を申し出るものとする。
2 厚生大臣は、前項の規定による判定の申出があつたときは、中央薬事審議会の意見を聴いて判定を行い、基金に対し、その結果を通知するものとする。
(救済給付の中止等)
第三十条 基金は、救済給付を受けている者に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者があることが明らかとなつた場合には、以後救済給付は行わない。
2 基金は、救済給付に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品について賠償の責任を有する者がある場合には、その行つた救済給付の価額の限度において、救済給付を受けた者がその者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
(拠出金)
第三十一条 各年四月一日において薬事法第十二条第一項又は同法第二十二条第一項の規定による医薬品の製造業の許可又は輸入販売業の許可を受けている者(第二条第一項各号に掲げる医薬品のみを製造し、又は輸入している者を除く。以下「製造業者等」という。)は、基金の業務に必要な費用に充てるため、各年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)、基金に対し、拠出金を納付しなければならない。
2 前項の拠出金の額は、製造業者等が製造し、又は輸入した医薬品の前年度における総出荷数量を基礎として厚生省令で定めるところにより算定される算定基礎取引額に拠出金率を乗じて得た額(その額が政令で定める額に満たないときは、当該政令で定める額)とする。
4 基金は、第二項の拠出金率を定め、又はこれを変更しようとするときは、厚生大臣の認可を受けなければならない。
5 第二項の拠出金率は、救済給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入の額及び政府の補助金があるときはその額に照らし、将来にわたつて基金の財政の均衡を保つことができるものでなければならず、かつ、少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算されるべきものとし、当分の間、千分の二を超えない範囲内の率とする。
6 基金が前年度において救済給付の支給を決定した者に係る疾病、廃疾又は死亡の原因となつた医薬品(以下この項において「原因医薬品」という。)を製造し、又は輸入した製造業者等の第一項の拠出金の額は、第二項の規定による額に、基金が前年度に支給を決定した救済給付のうち、当該製造業者等が製造し、又は輸入した原因医薬品によるものの現価に相当する額を基礎として厚生省令で定める算定方法により算定した額を加えた額とする。
7 拠出金の納期限、延納その他拠出金の納付に関して必要な事項は、政令で定める。
(資料の提出の請求)
第三十二条 基金は、第二十七条第一項第三号に掲げる業務を行うため必要があるときは、製造業者等に対し、資料の提出を求めることができる。
2 前項の規定により資料の提出を求められた者は、遅滞なく、これを提出しなければならない。
(督促及び滞納処分)
第三十三条 基金は、第三十一条第一項の拠出金の納付義務者が納期限までに同項の拠出金を納付しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。
2 基金は、前項の規定により督促をするときは、納付義務者に対し、督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。
3 基金は、第一項の規定による督促を受けた納付義務者がその指定の期限までにその督促に係る拠出金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、厚生大臣の認可を受けて、滞納処分をすることができる。
4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。
5 基金は、第一項の規定により督促をしたときは、その督促に係る拠出金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその拠出金の完納の日又は財産の差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。ただし、厚生省令で定める場合は、この限りでない。
(業務の委託)
第三十四条 基金は、厚生大臣の認可を受けて、第二十七条第一項第三号に掲げる業務(督促及び滞納処分を除く。)の一部を製造業者等が加入している団体又はその連合団体で厚生大臣の指定するものに委託することができる。
(業務方法書)
第三十五条 基金は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、厚生大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生省令で定める。