大気汚染防止法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第三十三号
公布年月日: 平成元年6月28日
法令の形式: 法律
大気汚染防止法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
平成元年六月二十八日
内閣総理大臣 宇野宗佑
法律第三十三号
大気汚染防止法の一部を改正する法律
大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
目次中「第十八条の五」を「第十八条の十三」に改める。
第二条第六項を同条第八項とし、同項の前に次の一項を加える。
7 この法律において「特定粉じん発生施設」とは、工場又は事業場に設置される施設で特定粉じんを発生し、及び排出し、又は飛散させるもののうち、その施設から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものをいう。
第二条第五項中「粉じん発生施設」を「一般粉じん発生施設」に、「粉じんを」を「一般粉じんを」に、「粉じんが」を「一般粉じんが」に改め、同項を同条第六項とし、同条第四項の次に次の一項を加える。
5 この法律において「特定粉じん」とは、粉じんのうち、石綿その他の人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質で政令で定めるものをいい、「一般粉じん」とは、特定粉じん以外の粉じんをいう。
第十八条の見出し、同条第一項及び第二項、第十八条の二第一項、第十八条の三並びに第十八条の四中「粉じん発生施設」を「一般粉じん発生施設」に改める。
第十八条の五を次のように改める。
(特定粉じんの規制基準)
第十八条の五 特定粉じんに係る規制基準(以下この章において単に「規制基準」という。)は、特定粉じん発生施設を設置する工場又は事業場における事業活動に伴い発生し、又は飛散する特定粉じんで工場又は事業場から大気中に排出され、又は飛散するものについて、特定粉じんの種類ごとに、工場又は事業場の敷地の境界線における大気中の濃度の許容限度として、総理府令で定める。
第二章の二中第十八条の五の次に次の八条を加える。
(特定粉じん発生施設の設置等の届出)
第十八条の六 特定粉じんを大気中に排出し、又は飛散させる者は、特定粉じん発生施設を設置しようとするときは、総理府令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 工場又は事業場の名称及び所在地
三 特定粉じん発生施設の種類
四 特定粉じん発生施設の構造
五 特定粉じん発生施設の使用の方法
六 特定粉じんの処理又は飛散の防止の方法
2 前項の規定による届出には、特定粉じん発生施設の配置図、特定粉じんの排出の方法その他の総理府令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
3 第一項又は次条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第一項第四号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、総理府令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
(経過措置)
第十八条の七 一の施設が特定粉じん発生施設となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)であつて特定粉じんを大気中に排出し、又は飛散させるものは、当該施設が特定粉じん発生施設となつた日から三十日以内に、総理府令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
(計画変更命令等)
第十八条の八 都道府県知事は、第十八条の六第一項又は第三項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る特定粉じん発生施設が設置される工場又は事業場の敷地の境界線における大気中の特定粉じんの濃度が規制基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る特定粉じん発生施設の構造若しくは使用の方法若しくは特定粉じんの処理の方法若しくは飛散の防止の方法に関する計画の変更(同条第三項の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は同条第一項の規定による届出に係る特定粉じん発生施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。
(実施の制限)
第十八条の九 第十八条の六第一項の規定による届出をした者又は同条第三項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、それぞれ、その届出に係る特定粉じん発生施設を設置し、又はその届出に係る特定粉じん発生施設の構造若しくは使用の方法若しくは特定粉じんの処理の方法若しくは飛散の防止の方法の変更をしてはならない。
(規制基準の遵守義務)
第十八条の十 特定粉じん発生施設を設置する工場又は事業場における事業活動に伴い発生し、又は飛散する特定粉じんを工場又は事業場から大気中に排出し、又は飛散させる者(以下「特定粉じん排出者」という。)は、規制基準を遵守しなければならない。
(改善命令等)
第十八条の十一 都道府県知事は、特定粉じん排出者が排出し、又は飛散させる特定粉じんの当該工場又は事業場の敷地の境界線における大気中の濃度が規制基準に適合しないと認めるときは、当該特定粉じん排出者に対し、期限を定めて当該特定粉じん発生施設の構造若しくは使用の方法の改善若しくは特定粉じんの処理の方法若しくは飛散の防止の方法の改善を命じ、又は当該特定粉じん発生施設の使用の一時停止を命ずることができる。
(特定粉じんの濃度の測定)
第十八条の十二 特定粉じん排出者は、総理府令で定めるところにより、その工場又は事業場の敷地の境界線における大気中の特定粉じんの濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。
(準用)
第十八条の十三 第十条第二項の規定は、第十八条の九の規定による実施の制限について準用する。
2 第十一条及び第十二条の規定は、第十八条第一項、第十八条の二第一項、第十八条の六第一項又は第十八条の七第一項の規定による届出をした者について準用する。
3 第十三条第二項の規定は、第十八条の四及び第十八条の十一の規定による命令について準用する。
第二十六条第一項中「若しくは粉じん発生施設を設置している者に対し」を「、一般粉じん発生施設を設置している者若しくは特定粉じん排出者に対し」に、「粉じん発生施設の状況」を「一般粉じん発生施設の状況、特定粉じん発生施設の状況」に、「若しくは粉じん発生施設を設置している者の工場」を「、一般粉じん発生施設を設置している者若しくは特定粉じん排出者の工場」に、「粉じん発生施設その他の」を「一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設その他の」に改める。
第二十七条第二項中「粉じん発生施設」を「一般粉じん発生施設」に、「特定物質又は粉じん」を「特定物質又は一般粉じん」に、「第十八条の五第一項において」を「第十八条の十三第二項において第十八条第一項又は第十八条の二第一項の規定による届出をした者について」に改め、同条第三項中「第十八条の五第一項において」を「第十八条の十三第二項において第十八条第一項又は第十八条の二第一項の規定による届出をした者について」に改める。
第二十八条第二項中「若しくは粉じん発生施設」を「、一般粉じん発生施設若しくは特定粉じん発生施設」に改める。
第二十九条中「ばい煙処理施設の整備を促進することにより、大気の汚染の防止に資するため、ばい煙処理施設」を「工場又は事業場における事業活動に伴い発生するばい煙若しくは特定粉じんによる大気の汚染の防止のための施設」に改める。
第三十二条中「並びに粉じん発生施設以外の粉じん」を「一般粉じん発生施設以外の一般粉じんを発生し、及び排出し、又は飛散させる施設について、その施設において発生し、又は飛散する一般粉じんの大気中への排出又は飛散に関し、特定粉じん発生施設について、その特定粉じん発生施設において発生し、又は飛散する特定粉じん以外の物質の大気中への排出又は飛散に関し、並びに特定粉じん発生施設以外の特定粉じん」に、「その施設から排出され、又は飛散する粉じんについて」を「その施設において発生し、又は飛散する特定粉じんの」に改める。
第三十三条中「又は第十四条第一項若しくは第三項」を「、第十四条第一項若しくは第三項、第十八条の八又は第十八条の十一」に、「二十万円」を「五十万円」に改める。
第三十三条の二第一項中「十万円」を「三十万円」に改め、同条第二項中「五万円」を「二十万円」に改める。
第三十四条中「五万円」を「二十万円」に改め、同条第一号中「又は第八条第一項」を「、第八条第一項又は第十八条の六第一項若しくは第三項」に改める。
第三十五条中「五万円」を「十万円」に改め、同条第一号中「又は第十八条の二第一項」を「、第十八条の二第一項又は第十八条の七第一項」に改め、同条第二号中「第十条第一項」の下に「又は第十八条の九」を加える。
第三十七条中「第十八条の五第一項」を「第十八条の十三第二項」に、「三万円」を「十万円」に改める。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第七項中特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(昭和四十六年法律第百七号)第三条第一項第三号の次に一号を加える改正規定及び同法第四条第一項第三号の次に一号を加える改正規定は、公布の日から起算して二年を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 この法律の施行前にされた改正前の第十八条第一項若しくは第三項、第十八条の二第一項又は第十八条の五第一項において準用する第十一条若しくは第十二条第三項の規定による粉じん発生施設に係る届出は、それぞれ、改正後の第十八条第一項若しくは第三項、第十八条の二第一項又は第十八条の十三第二項において準用する第十一条若しくは第十二条第三項の規定による一般粉じん発生施設に係る届出とみなす。
3 この法律の施行前にされた改正前の第二十七条第二項に規定する電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)又はガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)の相当規定による粉じん発生施設に係る許可若しくは認可の申請又は届出は、それぞれ、改正後の第二十七条第二項に規定する電気事業法又はガス事業法の相当規定による一般粉じん発生施設に係る許可若しくは認可の申請又は届出とみなす。
4 この法律の施行前にした行為及び改正前の第十八条の四の規定による命令に関しこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(地方税法の一部改正)
5 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五百八十六条第二項第二号ニ中「同条第五項に規定する粉じん発生施設」を「同条第六項に規定する一般粉じん発生施設」に改める。
附則第十四条第四号中「同条第五項に規定する粉じん発生施設」を「同条第六項に規定する一般粉じん発生施設」に改める。
(中小企業近代化資金等助成法の一部改正)
6 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
第五条ただし書中「同条第五項に規定する粉じん発生施設」を「同条第六項に規定する一般粉じん発生施設若しくは同条第七項に規定する特定粉じん発生施設」に改める。
(特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の一部改正)
7 特定工場における公害防止組織の整備に関する法律の一部を次のように改正する。
第二条中第五号を第六号とし、同条第四号中「粉じん(大気汚染防止法第二条第四項に規定する粉じんをいう。以下同じ。)」を「一般粉じん(大気汚染防止法第二条第五項に規定する一般粉じんをいう。以下同じ。)」に、「飛散する粉じん」を「飛散する一般粉じん」に、「粉じん発生施設」を「一般粉じん発生施設」に、「第一号」を「第一号及び前号」に改め、同号を同条第五号とし、同条第三号の次に次の一号を加える。
四 特定粉じん(大気汚染防止法第二条第五項に規定する特定粉じんをいう。以下同じ。)を発生し、及び排出し、又は飛散させる施設のうちその施設から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるもの(以下「特定粉じん発生施設」という。)が設置されている工場(第一号に掲げるものを除く。)
第三条第一項第五号中「前条第五号」を「前条第六号」に改め、同号を同項第六号とし、同項第四号中「前条第四号」を「前条第五号」に、「粉じん発生施設」を「一般粉じん発生施設」に、「粉じん」を「一般粉じん」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 前条第四号の特定工場にあつては、次に掲げる業務
イ 特定粉じん発生施設の使用の方法の監視並びに特定粉じん発生施設から排出され、又は飛散する特定粉じんを処理するための施設及びこれに附属する施設の維持及び使用に関すること。
ロ 特定工場の敷地の境界線における大気中の特定粉じんの濃度の測定及び記録に関すること。
第四条第一項第五号中「第二条第五号」を「第二条第六号」に、「前条第一項第五号」を「前条第一項第六号」に改め、同号を同項第六号とし、同項第四号中「第二条第四号」を「第二条第五号」に、「前条第一項第四号」を「前条第一項第五号」に改め、同号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。
四 第二条第四号の特定工場にあつては、前条第一項第四号に掲げる業務のうち、使用する原材料の検査、特定粉じんの濃度の測定の実施その他主務省令で定める技術的事項
内閣総理大臣 宇野宗佑
大蔵大臣 村山達雄
通商産業大臣 梶山静六
自治大臣 坂野重信