(過剰設備の処理に関する命令)
第二十四条 同一の事業区分に属する事業を行う生糸製造業者の大部分が、単一の組合の組合員としてその設備処理規程の適用を受け、又は連合会の会員たる組合でその設備処理規程の内容が当該連合会の定める第二十条第一号の基準に適合しているもの(以下「適合組合」という。)の組合員としてその設備処理規程の適用を受け、これらの設備処理規程に基いて過剰設備の処理を行つている場合において、当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者でこれらの設備処理規程の適用を受けないものの事業活動が第一条に規定する目的を達成する上に著しい障害となつており、かつ、次に掲げる要件のすべてが備わつているときは、農林大臣は、蚕糸業振興審議会の意見を聞いて、当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者のすべてに対し、当該単一組合又は当該適合組合の設備処理規程の全部又は一部を指定して、その定に従うべきことを農林省令をもつて命ずることができる。
一 当該単一組合又は当該連合会及びその会員たる適合組合の自主的活動のみをもつてしては第一条に規定する目的を達成することが著しく困難であると認められること。
二 当該単一組合又は当該連合会及びその会員たる適合組合がこの項の規定による命令に係る設備処理規程又はこれに係る調整規程の定を公正かつ能率的に運用するに足る十分な能力を有すること。
三 この項の規定による命令に係る設備処理規程の定には、過剰設備の処理に伴う各生糸製造業者の負担の公平を確保し、かつ、相当の対価をもつてその処理が行われるような内容の定が含まれていること。
2 前項の規定による命令は、当該単一組合又は当該連合会の申請により行うものとする。
3 農林大臣は、第一項の規定による命令をしようとするときは、同項の規定により蚕糸業振興審議会の意見を聞く前に、農林省令で定める手続により、その概要を示して当該連合会の会員たる適合組合及び当該事業区分に属する事業を行う生糸製造業者に意見を述べる機会を与え、その意見を述べた者があつたときは、その概要を書面にして当該審議会に意見を聞く際提出しなければならない。
4 第一項の規定による命令があつたときは、当該命令に係る単一組合又は適合組合は、当該命令に係る設備処理規程の定に従い、当該命令に係る事業を実施するものとし、当該連合会は、その調整規程の定に従い、当該命令に係る事業の実施を確保するため必要な連合会の事業を実施するものとする。
(書類の備付及び閲覧)
第二十五条 前条第一項の規定による命令があつたときは、当該命令に係る組合の理事は、当該命令に係る設備処理規程の定の運用に関する書類であつて農林省令で定めるものを作成し、これをその主たる事務所に備えて置かなければならない。
2 前条第一項の規定により一の組合の設備処理規程の定に従うべき旨の命令を受けた生糸製造業者は、何時でも、当該組合の理事に対し、前項の書類の閲覧又は謄写を求めることができる。この場合には、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。
(監督上必要な命令)
第二十六条 農林大臣は、第二十四条第一項の規定による命令をした場合において、当該命令の公正かつ円滑な実施を確保し、又は当該命令に係る生糸製造業者が簡易かつ能率的に過剰設備の処理を行うことができるようにするため特に必要があるときは、その必要の限度において、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会に対し、期間を定めて、当該命令に係る業務につき必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
(役員の解任)
第二十七条 農林大臣は、第二十四条第一項の規定による命令をした場合において、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会の役員が同条第四項の事業に係る業務に関し法令、法令に基いてする行政庁の処分、定款又は設備処理規程若しくは調整規程に違反し、役員たるに適しないと認めるときは、これを解任することができる。
(組合の役員等の地位)
第二十八条 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合には、当該命令に係る組合又はその組合が属する連合会の役員又は職員で同条第四項の事業に係る業務に従事するものは、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(不服の申立)
第二十九条 第二十四条第一項の規定による命令があつた場合において、当該命令に係る設備処理規程の定に基いてした組合の処分に不服のある者は、その処分のあつたことを知つた日から三十日以内に、その旨を記載した書面をもつて、農林大臣に不服を申し立てることができる。ただし、処分のあつた日から六十日を経過したときは、不服の申立をすることができない。
2 農林大臣は、前項の申立があつたときは、文書をもつて決定をし、これをその申立をした者及びその申立に係る処分をした組合に送付しなければならない。
(立入検査)
第三十条 農林大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、その職員に、生糸製造業者の事業場又は事務所に立ち入り、生糸製造設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。