港湾労働法
法令番号: 法律第四十号
公布年月日: 昭和63年5月17日
法令の形式: 法律
港湾労働法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年五月十七日
内閣総理大臣 竹下登
法律第四十号
港湾労働法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
港湾雇用安定等計画(第三条)
第三章
港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等(第四条―第十一条)
第四章
港湾労働者雇用安定センター(第十二条―第二十五条)
第五章
雑則(第二十六条―第二十八条)
第六章
罰則(第二十九条―第三十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 港湾 政令で指定する港湾(その水域は、政令で定める区域とする。)をいう。
二 港湾運送 港湾において行う行為であつて、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第二条第一項に規定する港湾運送のうち、同項第二号から第五号までのいずれかに該当する行為
ロ イに規定する行為に準ずる行為であつて政令で定めるもの
三 事業主 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 港湾運送事業法第三条第一号から第四号までに規定する事業の事業主
ロ 前号ロに規定する行為を行う事業の事業主
四 港湾労働者 港湾運送の業務に従事する労働者をいう。ただし、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員を除く。
第二章 港湾雇用安定等計画
第三条 労働大臣は、港湾ごとに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に関する計画(以下「港湾雇用安定等計画」という。)を策定するものとする。
2 港湾雇用安定等計画に定める事項は、当該港湾における次の事項とする。
一 港湾労働者の雇用の動向に関する事項
二 労働力の需給の調整の目標に関する事項
三 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を促進するための方策に関する事項
3 労働大臣は、港湾雇用安定等計画を策定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見を聴くほか、必要があると認めるときは、関係都道府県知事その他関係行政機関の意見を聴くものとする。
4 労働大臣は、港湾雇用安定等計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前二項の規定は、港湾雇用安定等計画の変更について準用する。
第三章 港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等
(関係者の責務)
第四条 事業主は、募集、雇入れ及び配置を計画的に行うことその他の港湾労働者の雇用の改善に資する措置を講ずるとともに、港湾運送の業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行うことにより、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならない。
2 事業主及びその団体は、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に関し、相互に協力するように努めなければならない。
第五条 国及び地方公共団体は、事業主及びその団体の自主的な努力を尊重しつつ、その実情に応じてこれらの者に対し必要な援助を行うこと等により、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならない。
2 国及び雇用促進事業団は、港湾労働者に対し事業主が行う教育訓練の円滑な実施に資するため、必要な職業訓練の効果的な実施について特別の配慮をするものとする。
(雇用管理者)
第六条 事業主は、次に掲げる事項を管理させるため、労働省令で定めるところにより、雇用管理者を選任しなければならない。
一 港湾労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項
二 港湾労働者の教育訓練に関する事項
三 その他港湾労働者の雇用管理に関する事項で労働省令で定めるもの
2 事業主は、雇用管理者について、必要な研修を受けさせる等前項各号に掲げる事項を管理するための知識の習得及び向上を図るように努めなければならない。
(雇用管理に関する勧告等)
第七条 公共職業安定所長は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画に定める事項に照らして、事業主が行う雇用管理について、その改善を図る必要があると認めたときは、当該事業主に対し必要な勧告をすることができる。
2 前項の規定による勧告を受けた事業主は、必要に応じ雇用管理に関する計画を作成するものとする。
3 公共職業安定所長は、第一項の勧告に関し、並びに前項に規定する計画の作成及びその円滑な実施に関し、必要な助言その他の援助を行うものとする。
(職業紹介)
第八条 公共職業安定所は、港湾運送の業務に関する職業紹介については、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して、迅速かつ的確に行うよう努めなければならない。
(港湾労働者の雇用の届出等)
第九条 事業主は、その雇用する労働者(日々又は二月以内の期間を定めて雇用する労働者(次条において「日雇労働者」という。)を除く。)を港湾運送の業務に従事させようとするときは、その者の氏名、港湾運送の業務に従事させる期間その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
2 公共職業安定所長は、前項の規定による届出に係る労働者であつて常時港湾運送の業務に従事するものに対し、港湾労働者証を交付する。
3 前項の規定により港湾労働者証の交付を受けた労働者は、港湾運送の業務に従事するときは、港湾労働者証を携帯し、公共職業安定所の職員から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
(日雇労働者の雇用)
第十条 事業主は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、日雇労働者として港湾運送の業務に従事させてはならない。ただし、公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者の紹介を受けることができない場合その他の労働省令で定める理由がある場合は、この限りでない。
2 事業主は、前項ただし書に規定する場合において、公共職業安定所の紹介を受けないで日雇労働者を雇い入れようとするときは、その旨を公共職業安定所長に届け出なければならない。
(事業主の報告)
第十一条 事業主は、港湾労働者の雇入れの状況その他の労働省令で定める事項を、定期的に、公共職業安定所長に報告しなければならない。
第四章 港湾労働者雇用安定センター
(指定等)
第十二条 労働大臣は、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であつて、第十四条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、当該業務を行う者として各港湾について、指定することができる。
一 業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
二 前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に資すると認められること。
2 労働大臣は、前項の申請が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の指定をしてはならない。
一 現に当該港湾について他に指定した者があること。
二 申請者が第二十四条第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過していない者であること。
三 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ 禁 錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下この章において「労働者派遣法」という。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過していない者
ロ 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ないもの
3 労働大臣は、第一項の指定をしたときは、同項の指定を受けた者(以下「港湾労働者雇用安定センター」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。
4 港湾労働者雇用安定センターは、その名称若しくは住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を労働大臣に届け出なければならない。
5 労働大臣は、前項の届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(指定の条件)
第十三条 前条第一項の指定には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(業務)
第十四条 港湾労働者雇用安定センターは、第十二条第一項の指定に係る港湾における港湾労働者又は事業主に関し、次に掲げる業務を行うものとする。
一 港湾労働者の雇用の安定に関する調査研究を行うこと。
二 事業主に対し、港湾労働者の雇用管理に関する技術的事項について相談その他の援助を行うこと。
三 雇用管理者に対する研修を行うこと。
四 港湾労働者に対する訓練を行うこと。
五 当該港湾における港湾運送の業務に関し、労働者派遣(労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣をいい、船員職業安定法第六条第一項に規定する船員を対象とするものを除く。以下同じ。)を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図るための業務を行うこと。
(労働者派遣法の特例)
第十五条 港湾労働者雇用安定センターが行う前条第五号に掲げる業務(以下この章において「労働者派遣業務」という。)に関しては、労働者派遣法第二章(第二十四条を除く。)の規定並びに労働者派遣法第二十六条第二項から第四項まで及び第四十八条第二項の規定は適用しないものとし、労働者派遣法の他の規定の適用については港湾労働者雇用安定センターを労働者派遣法第二十三条第一項に規定する派遣元事業主とみなす。
(労働者派遣の業務方法等)
第十六条 港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣は、その常時雇用する労働者を派遣することにより行わなければならない。ただし、その常時雇用する労働者のみの派遣によつては労働者派遣の需要に応じられない場合その他の労働省令で定める場合には、その常時雇用する労働者以外の労働者であつて労働大臣が定める基準に適合するものを派遣することができる。
2 港湾労働者雇用安定センターは、事業主から労働者の派遣を求められたときは、労働者派遣を拒んではならない。ただし、労働省令で定める正当な理由がある場合は、この限りでない。
3 第九条第一項及び第十条第二項の規定は港湾労働者雇用安定センターが労働者派遣の対象となる者として労働者を雇い入れ、又はその雇用する労働者を新たに労働者派遣の対象としようとする場合について、第九条第二項及び第三項の規定は当該労働者について準用する。この場合において、第十条第二項中「前項ただし書に規定する場合において、公共職業安定所」とあるのは、「公共職業安定所」と読み替えるものとする。
(労働者派遣規程)
第十七条 港湾労働者雇用安定センターは、労働者派遣業務に関する規程(以下この章において「労働者派遣規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 労働者派遣規程には、労働者派遣業務の実施方法、労働者派遣に関する料金その他の労働省令で定める事項を定めておかなければならない。この場合において、当該料金は、能率的な業務運営の下における適正な原価を償う限度のものであり、かつ、公正妥当なものでなければならない。
3 労働大臣は、第一項の認可をした労働者派遣規程が労働者派遣業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、港湾労働者雇用安定センターに対し、その労働者派遣規程を変更すべきことを命ずることができる。
(区分経理)
第十八条 港湾労働者雇用安定センターは、労働省令で定めるところにより、労働者派遣業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
(事業計画書等)
第十九条 港湾労働者雇用安定センターは、毎事業年度、労働省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 事業計画書は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して作成するものとする。
3 事業計画書には、労働者派遣の対象となる常時雇用する労働者の数その他の労働省令で定める事項を記載しなければならない。
4 港湾労働者雇用安定センターは、労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、労働大臣に提出しなければならない。
(国の補助)
第二十条 国は、港湾労働者雇用安定センターに対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その行う業務に要する費用の一部を補助することができる。
(役員の選任及び解任)
第二十一条 港湾労働者雇用安定センターの役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 港湾労働者雇用安定センターの役員が、この章の規定(当該規定に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十七条第一項の規定により認可を受けた労働者派遣規程に違反する行為をしたとき、第十四条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその在任により港湾労働者雇用安定センターが第十二条第二項第三号に該当することとなるときは、労働大臣は、当該港湾労働者雇用安定センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第二十二条 労働大臣は、第十四条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、当該業務の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、港湾労働者雇用安定センターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第二十三条 労働大臣は、この章の規定を施行するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、第十四条に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第二十四条 労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第十二条第一項の指定(以下この条において「指定」という。)を取り消し、又は期間を定めて第十四条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十四条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この章の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
四 第十三条第一項の条件に違反したとき。
五 第十七条第一項の規定により認可を受けた労働者派遣規程に違反して労働者派遣業務を行つたとき。
2 労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第十四条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
(聴聞)
第二十五条 労働大臣は、次に掲げる処分をしようとするときは、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞を行わなければならない。
一 第二十一条第二項の規定による役員の解任命令
二 前条第一項の規定による指定の取消し又は業務の全部若しくは一部の停止命令
2 前項の聴聞に際しては、当該処分に係る港湾労働者雇用安定センター及び利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
第五章 雑則
(労働者派遣に係る事業主の義務)
第二十六条 事業主は、第十二条第一項の指定に係る港湾において、その常時雇用する労働者以外の者を港湾運送の業務に従事させようとするときは、港湾労働者雇用安定センターに対し、労働者の派遣を求めなければならない。
(経過措置の政令への委任)
第二十七条 第二条第一号又は第二号ロの規定に基づいて政令を制定し、又は改廃する場合には、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(労働省令への委任)
第二十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な手続その他の事項は、労働省令で定める。
第六章 罰則
第二十九条 第十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十条 第二十三条の規定による命令に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項(第十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第二十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十四年一月一日から施行する。
(港湾労働法の廃止)
第二条 港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)は、廃止する。
(港湾労働者の雇用の届出等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に前条の規定による廃止前の港湾労働法(以下「旧法」という。)第十三条第一項若しくは第二十一条又は第十六条第二項の規定により行われた届出は、それぞれ第九条第一項又は第十条第二項の規定により行われた届出とみなす。
2 施行日前に旧法第十三条第二項の規定により交付された常用港湾労働者証は、第九条第二項の規定により交付された港湾労働者証とみなす。
(旧雇用調整手当等に関する経過措置)
第四条 施行日前の日に係る旧法の規定による雇用調整手当(以下「旧雇用調整手当」という。)の支給については、なお従前の例による。
2 偽りその他不正の行為によつて旧雇用調整手当の支給を受け、又は受けようとした者に対する旧雇用調整手当を支給しないこととする処分については、なお従前の例による。
3 偽りその他不正の行為によつて旧雇用調整手当の支給を受けた者及び当該旧雇用調整手当の支給に関し偽りの報告又は証明をした事業主に対するその支給した旧雇用調整手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることとする処分については、なお従前の例による。
(旧納付金等に関する経過措置)
第五条 施行日前の期間に係る旧法の規定による納付金及び当該納付金に係る徴収金(以下「旧納付金等」という。)並びに当該納付金の負担については、なお従前の例による。
2 この法律の施行の際現に旧法第四十四条第二項の認可を受けている事業主の団体は、施行日以後においても、同条第三項に規定する納付金事務組合として、旧納付金等に関し同条第一項に規定する納付金事務を処理することができるものとし、当該納付金事務の処理については、なお従前の例による。
(旧雇用調整手当に係る時効等に関する経過措置)
第六条 旧雇用調整手当及び旧納付金等に係る時効については、なお従前の例による。
2 旧雇用調整手当に係る受給権の譲渡、担保への提供及び差押えの禁止並びに公課の禁止については、なお従前の例による。
(国の補助に関する経過措置)
第七条 附則第四条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる旧雇用調整手当の支給に要する費用に係る旧法第五十二条に規定する国の補助については、なお従前の例による。
(雇用促進事業団に対する監督等に関する経過措置)
第八条 雇用促進事業団が施行日以後に行う旧法第五十一条に規定する港湾労働者福祉業務に関しては、旧法第五十三条から第五十五条まで及び第六十二条の規定は、なおその効力を有する。
(退職金共済制度に関する経過措置)
第九条 この法律の施行の際現に旧法第五十六条第一項の規定により同項に規定する中小企業者の雇用する従業員とみなされて中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)が適用されている旧法第九条第一項に規定する登録日雇港湾労働者(以下「旧登録日雇港湾労働者」という。)については、施行日の前日に退職したものとみなして、中小企業退職金共済法(第二十六条を除く。)の規定を適用する。この場合において、同法第十条第一項ただし書中「十二月に満たないとき」とあるのは、「十二月に満たないとき(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)附則第九条第二項第一号又は第三号に該当する場合を除く。)」とする。
2 前項の規定により退職したものとみなされる者であつて、旧登録日雇港湾労働者であつたときの掛金納付月数(中小企業退職金共済法第十条第一項に規定する掛金納付月数をいう。以下この条において同じ。)を基礎として施行日以後に最初に支給される退職金(以下この項において「特定退職金」という。)に係る掛金納付月数が二十四月に満たないものの特定退職金の額は、同法第十条第二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 特定退職金に係る退職が前項の規定により退職したものとみなされたものである場合 特定退職金に係る納付された掛金の総額(次号において「特定退職金掛金総額」という。)
二 施行日から特定退職金に係る退職の日までの間において中小企業退職金共済法第十四条の規定による掛金納付月数の通算が行われた場合であつて、特定退職金掛金総額に係る掛金納付月数が十二月以上のとき 施行日前における掛金納付月数(以下この項において「退職前掛金納付月数」という。)に係る掛金の総額に、特定退職金掛金総額に係る掛金納付月数について同法第十条第二項の規定に基づき算定した金額と退職前掛金納付月数について同項の規定に基づき算定した金額(退職前掛金納付月数が十二月に満たない場合にあつては、同項第一号中「応じ別表第一の第二欄に定める金額」とあるのは「相当する数に九百円を乗じて得た金額」と、同項第二号中「応じ別表第一の第三欄(掛金月額の変更があつた場合において、退職金共済契約の効力が生じた日における掛金月額を超える掛金月額があるとき(掛金納付月数が二十四月未満である場合を除く。)は、その超える額については、その超える額を千円ごとに区分し、当該区分ごとに、当該区分に係る掛金納付月数に応じ同表の第四欄)に定める金額」とあるのは「相当する数に三百円を乗じて得た金額」として同項の規定を適用して算定した金額)との差額を加えた額(特定退職金に係る退職が死亡によるものである場合にあつては、同項ただし書の規定に基づき算定した額)
三 前二号に該当する場合以外の場合 退職前掛金納付月数に係る掛金の総額(特定退職金に係る退職が死亡によるものである場合にあつては、中小企業退職金共済法第十条第二項ただし書の規定に基づき算定した額)
3 旧登録日雇港湾労働者が施行日以後において中小企業退職金共済法第十四条の規定により掛金納付月数の通算をしようとする場合には、同条の規定による労働大臣の認定は要しないものとする。
(雇用保険法の特例に関する経過措置)
第十条 施行日前に事業主が旧法第二条第二号に規定する港湾運送の業務に使用するために雇い入れた旧登録日雇港湾労働者であつて、当該雇入れに係る雇用期間の末日が施行日以後の日であるものに対する当該雇用期間に係る雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四十二条の規定の適用については、なお従前の例による。
(不服申立てに関する経過措置)
第十一条 旧法の規定(これらの規定の例によることとされる場合を含む。)による処分であつて、旧法第六十五条第一項及び第六十六条に規定するものに対する不服申立て及び当該処分の取消しの訴えについては、旧法第六十五条から第六十八条までの規定は、なおその効力を有する。
(雇用促進事業団の業務に関する暫定措置等)
第十二条 雇用促進事業団(以下この条において「事業団」という。)は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)第十九条に規定する業務のほか、施行日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、旧登録日雇港湾労働者のうちその就職の促進及び生活の安定を図る必要がある者として労働省令で定めるものに関し、次の業務を行う。
一 就職のために必要な知識及び技能を習得させるための講習を行うこと。
二 職業及び生活に関する相談を行うこと。
三 求職活動の促進と生活の安定とを図るための給付金を支給すること。
四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 事業団は、政令で定めるところにより、旧法第五十一条に規定する特別の会計(以下この条において「特別の会計」という。)に係る昭和六十三年末における収支の状況、旧法第五十一条の規定がなおその効力を有することとした場合に特別の会計において経理すべきこととなる昭和六十四年一月一日から三月三十一日までの間における収入及び支出の見込みその他の政令で定める事項について、必要な資料を添えて、労働大臣に報告しなければならない。
3 前項の報告において旧法第五十一条の規定がなおその効力を有することとした場合に昭和六十四年三月三十一日において特別の会計において剰余金が生ずると見込まれるときは、事業団は、労働大臣の承認を得て、当該剰余金の額を第一項に規定する業務に要する費用に充てることができる。
4 労働大臣は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見を聴かなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、特別の会計の廃止に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
6 労働大臣は、この条の規定を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対し、第一項の業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
7 雇用促進事業団法第二十条及び第三十七条第一項(同法第二十条第一項及び第二項に係る部分に限る。)の規定は、第一項の業務について準用する。
8 雇用促進事業団法第二十二条第二項及び第二十四条第三項の規定は、第一項の業務については、適用しない。
9 第七項において準用する雇用促進事業団法第二十条第一項の規定は同法第四十条第一号の規定の適用については同法の規定と、第一項の業務は同条第三号の規定の適用については同法第十九条に規定する業務と、第六項の規定による労働大臣の命令は同法第四十条第五号の規定の適用については同法第三十二条第二項の規定による労働大臣の命令とみなす。
(職業安定法の一部改正)
第十三条 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第十二条第三項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)、」を削り、「及び労働者派遣法」を「、労働者派遣法及び港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第十二号中「、炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第一号又は港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第二十九条第二号若しくは第三号」を「又は炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第一号」に改める。
第三百四十八条第二項第十九号中「、炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第一号又は港湾労働法第二十九条第二号若しくは第三号」を「又は炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第一号」に改める。
(港湾運送事業法の一部改正)
第十五条 港湾運送事業法の一部を次のように改正する。
第六条第二項第二号中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第十六条第一項若しくは第十七条」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第十条第一項」に、「終り」を「終わり」に改める。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正)
第十六条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項及び第七条第二項後段を削る。
第二十五条第二項中「港湾労働法第六十五条第一項の規定による再審査請求の事件及び」を削る。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正に伴う経過措置)
第十七条 前条の規定による改正前の労働保険審査官及び労働保険審査会法第二条第三項、第七条第二項及び第二十五条第二項の規定(以下この条において「旧審査会法の規定」という。)は、旧法第六十五条第一項の規定による審査請求又は再審査請求については、なおその効力を有する。この場合において、旧審査会法の規定中「港湾労働法」とあるのは、「旧港湾労働法」とする。
(所得税法の一部改正)
第十八条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
第七十四条第二項中第四号を削り、第五号を第四号とし、第六号から第十四号までを一号ずつ繰り上げる。
(印紙税法の一部改正)
第十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第三港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)に定める納付金その他の徴収金の納付に関する文書の項を削る。
(社会保険労務士法の一部改正)
第二十条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第十七号を次のように改める。
十七 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正)
第二十一条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(職業安定法等の一部を改正する法律の一部改正)
第二十二条 職業安定法等の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)の一部を次のように改正する。
第三条を次のように改める。
第三条 削除
第九条のうち、労働保険審査官及び労働保険審査会法第七条の改正規定中「港湾労働法第六十五条第一項の規定による審査請求についても、同様とする。」を削る。
第十二条のうち、労働省設置法第十条第一項及び第二項の改正規定中「第四十二号」の下に「から第四十三号まで、第四十四号」を加える。
附則第十三条の次に次の一条を加える。
(旧港湾労働法の一部改正)
第十三条の二 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)附則第十一条の規定によりなおその効力を有することとされる旧港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
第六十八条中「都道府県知事」を「都道府県労働局長」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
第二十三条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第八条第三項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(労働省設置法の一部改正)
第二十四条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第四十三号の次に次の一号を加える。
四十三の二 港湾労働者雇用安定センターの監督に関すること。
第四条第五十一号中「、港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を削り、「及び地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)」を「、地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)及び港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
第五条第五十二号中「港湾雇用調整計画を定めること」を「港湾雇用安定等計画を策定すること」に改め、同条第五十三号を次のように改める。
五十三 港湾労働法に基づいて、港湾労働者雇用安定センターを指定し、及びこれに対し、認可その他監督を行うこと。
第十条第一項中「、港湾労働法」を削り、「及び地域雇用開発等促進法」を「、地域雇用開発等促進法及び港湾労働法」に改める。
(その他の経過措置の政令への委任)
第二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則に関する経過措置)
第二十六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第二十七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 竹下登
大蔵大臣 宮澤喜一
運輸大臣 石原慎太郎
労働大臣 中村太郎
自治大臣 梶山静六
港湾労働法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年五月十七日
内閣総理大臣 竹下登
法律第四十号
港湾労働法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
港湾雇用安定等計画(第三条)
第三章
港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等(第四条―第十一条)
第四章
港湾労働者雇用安定センター(第十二条―第二十五条)
第五章
雑則(第二十六条―第二十八条)
第六章
罰則(第二十九条―第三十二条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 港湾 政令で指定する港湾(その水域は、政令で定める区域とする。)をいう。
二 港湾運送 港湾において行う行為であつて、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第二条第一項に規定する港湾運送のうち、同項第二号から第五号までのいずれかに該当する行為
ロ イに規定する行為に準ずる行為であつて政令で定めるもの
三 事業主 次のいずれかに該当する者をいう。
イ 港湾運送事業法第三条第一号から第四号までに規定する事業の事業主
ロ 前号ロに規定する行為を行う事業の事業主
四 港湾労働者 港湾運送の業務に従事する労働者をいう。ただし、船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第六条第一項に規定する船員を除く。
第二章 港湾雇用安定等計画
第三条 労働大臣は、港湾ごとに、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に関する計画(以下「港湾雇用安定等計画」という。)を策定するものとする。
2 港湾雇用安定等計画に定める事項は、当該港湾における次の事項とする。
一 港湾労働者の雇用の動向に関する事項
二 労働力の需給の調整の目標に関する事項
三 港湾労働者の雇用の改善並びに能力の開発及び向上を促進するための方策に関する事項
3 労働大臣は、港湾雇用安定等計画を策定しようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見を聴くほか、必要があると認めるときは、関係都道府県知事その他関係行政機関の意見を聴くものとする。
4 労働大臣は、港湾雇用安定等計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。
5 前二項の規定は、港湾雇用安定等計画の変更について準用する。
第三章 港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等
(関係者の責務)
第四条 事業主は、募集、雇入れ及び配置を計画的に行うことその他の港湾労働者の雇用の改善に資する措置を講ずるとともに、港湾運送の業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行うことにより、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならない。
2 事業主及びその団体は、港湾労働者の安定した雇用の確保その他の港湾労働者の福祉の増進に関し、相互に協力するように努めなければならない。
第五条 国及び地方公共団体は、事業主及びその団体の自主的な努力を尊重しつつ、その実情に応じてこれらの者に対し必要な援助を行うこと等により、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に努めなければならない。
2 国及び雇用促進事業団は、港湾労働者に対し事業主が行う教育訓練の円滑な実施に資するため、必要な職業訓練の効果的な実施について特別の配慮をするものとする。
(雇用管理者)
第六条 事業主は、次に掲げる事項を管理させるため、労働省令で定めるところにより、雇用管理者を選任しなければならない。
一 港湾労働者の募集、雇入れ及び配置に関する事項
二 港湾労働者の教育訓練に関する事項
三 その他港湾労働者の雇用管理に関する事項で労働省令で定めるもの
2 事業主は、雇用管理者について、必要な研修を受けさせる等前項各号に掲げる事項を管理するための知識の習得及び向上を図るように努めなければならない。
(雇用管理に関する勧告等)
第七条 公共職業安定所長は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画に定める事項に照らして、事業主が行う雇用管理について、その改善を図る必要があると認めたときは、当該事業主に対し必要な勧告をすることができる。
2 前項の規定による勧告を受けた事業主は、必要に応じ雇用管理に関する計画を作成するものとする。
3 公共職業安定所長は、第一項の勧告に関し、並びに前項に規定する計画の作成及びその円滑な実施に関し、必要な助言その他の援助を行うものとする。
(職業紹介)
第八条 公共職業安定所は、港湾運送の業務に関する職業紹介については、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して、迅速かつ的確に行うよう努めなければならない。
(港湾労働者の雇用の届出等)
第九条 事業主は、その雇用する労働者(日々又は二月以内の期間を定めて雇用する労働者(次条において「日雇労働者」という。)を除く。)を港湾運送の業務に従事させようとするときは、その者の氏名、港湾運送の業務に従事させる期間その他労働省令で定める事項を公共職業安定所長に届け出なければならない。
2 公共職業安定所長は、前項の規定による届出に係る労働者であつて常時港湾運送の業務に従事するものに対し、港湾労働者証を交付する。
3 前項の規定により港湾労働者証の交付を受けた労働者は、港湾運送の業務に従事するときは、港湾労働者証を携帯し、公共職業安定所の職員から提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
(日雇労働者の雇用)
第十条 事業主は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、日雇労働者として港湾運送の業務に従事させてはならない。ただし、公共職業安定所に日雇労働者に係る求人の申込みをしたにもかかわらず適格な求職者の紹介を受けることができない場合その他の労働省令で定める理由がある場合は、この限りでない。
2 事業主は、前項ただし書に規定する場合において、公共職業安定所の紹介を受けないで日雇労働者を雇い入れようとするときは、その旨を公共職業安定所長に届け出なければならない。
(事業主の報告)
第十一条 事業主は、港湾労働者の雇入れの状況その他の労働省令で定める事項を、定期的に、公共職業安定所長に報告しなければならない。
第四章 港湾労働者雇用安定センター
(指定等)
第十二条 労働大臣は、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の法人であつて、第十四条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、当該業務を行う者として各港湾について、指定することができる。
一 業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると認められること。
二 前号に定めるもののほか、業務の運営が適正かつ確実に行われ、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進に資すると認められること。
2 労働大臣は、前項の申請が次の各号のいずれかに該当するときは、同項の指定をしてはならない。
一 現に当該港湾について他に指定した者があること。
二 申請者が第二十四条第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過していない者であること。
三 申請者の役員のうちに、次のいずれかに該当する者があること。
イ 禁 錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下この章において「労働者派遣法」という。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過していない者
ロ 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ないもの
3 労働大臣は、第一項の指定をしたときは、同項の指定を受けた者(以下「港湾労働者雇用安定センター」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。
4 港湾労働者雇用安定センターは、その名称若しくは住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を労働大臣に届け出なければならない。
5 労働大臣は、前項の届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(指定の条件)
第十三条 前条第一項の指定には、条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、当該指定に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。
(業務)
第十四条 港湾労働者雇用安定センターは、第十二条第一項の指定に係る港湾における港湾労働者又は事業主に関し、次に掲げる業務を行うものとする。
一 港湾労働者の雇用の安定に関する調査研究を行うこと。
二 事業主に対し、港湾労働者の雇用管理に関する技術的事項について相談その他の援助を行うこと。
三 雇用管理者に対する研修を行うこと。
四 港湾労働者に対する訓練を行うこと。
五 当該港湾における港湾運送の業務に関し、労働者派遣(労働者派遣法第二条第一号に規定する労働者派遣をいい、船員職業安定法第六条第一項に規定する船員を対象とするものを除く。以下同じ。)を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、港湾労働者の雇用の安定その他の港湾労働者の福祉の増進を図るための業務を行うこと。
(労働者派遣法の特例)
第十五条 港湾労働者雇用安定センターが行う前条第五号に掲げる業務(以下この章において「労働者派遣業務」という。)に関しては、労働者派遣法第二章(第二十四条を除く。)の規定並びに労働者派遣法第二十六条第二項から第四項まで及び第四十八条第二項の規定は適用しないものとし、労働者派遣法の他の規定の適用については港湾労働者雇用安定センターを労働者派遣法第二十三条第一項に規定する派遣元事業主とみなす。
(労働者派遣の業務方法等)
第十六条 港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣は、その常時雇用する労働者を派遣することにより行わなければならない。ただし、その常時雇用する労働者のみの派遣によつては労働者派遣の需要に応じられない場合その他の労働省令で定める場合には、その常時雇用する労働者以外の労働者であつて労働大臣が定める基準に適合するものを派遣することができる。
2 港湾労働者雇用安定センターは、事業主から労働者の派遣を求められたときは、労働者派遣を拒んではならない。ただし、労働省令で定める正当な理由がある場合は、この限りでない。
3 第九条第一項及び第十条第二項の規定は港湾労働者雇用安定センターが労働者派遣の対象となる者として労働者を雇い入れ、又はその雇用する労働者を新たに労働者派遣の対象としようとする場合について、第九条第二項及び第三項の規定は当該労働者について準用する。この場合において、第十条第二項中「前項ただし書に規定する場合において、公共職業安定所」とあるのは、「公共職業安定所」と読み替えるものとする。
(労働者派遣規程)
第十七条 港湾労働者雇用安定センターは、労働者派遣業務に関する規程(以下この章において「労働者派遣規程」という。)を定め、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 労働者派遣規程には、労働者派遣業務の実施方法、労働者派遣に関する料金その他の労働省令で定める事項を定めておかなければならない。この場合において、当該料金は、能率的な業務運営の下における適正な原価を償う限度のものであり、かつ、公正妥当なものでなければならない。
3 労働大臣は、第一項の認可をした労働者派遣規程が労働者派遣業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、港湾労働者雇用安定センターに対し、その労働者派遣規程を変更すべきことを命ずることができる。
(区分経理)
第十八条 港湾労働者雇用安定センターは、労働省令で定めるところにより、労働者派遣業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
(事業計画書等)
第十九条 港湾労働者雇用安定センターは、毎事業年度、労働省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 事業計画書は、当該港湾に係る港湾雇用安定等計画の定めるところに即して作成するものとする。
3 事業計画書には、労働者派遣の対象となる常時雇用する労働者の数その他の労働省令で定める事項を記載しなければならない。
4 港湾労働者雇用安定センターは、労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、労働大臣に提出しなければならない。
(国の補助)
第二十条 国は、港湾労働者雇用安定センターに対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、その行う業務に要する費用の一部を補助することができる。
(役員の選任及び解任)
第二十一条 港湾労働者雇用安定センターの役員の選任及び解任は、労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2 港湾労働者雇用安定センターの役員が、この章の規定(当該規定に基づく命令又は処分を含む。)若しくは第十七条第一項の規定により認可を受けた労働者派遣規程に違反する行為をしたとき、第十四条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその在任により港湾労働者雇用安定センターが第十二条第二項第三号に該当することとなるときは、労働大臣は、当該港湾労働者雇用安定センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第二十二条 労働大臣は、第十四条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、当該業務の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、港湾労働者雇用安定センターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第二十三条 労働大臣は、この章の規定を施行するために必要な限度において、港湾労働者雇用安定センターに対し、第十四条に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第二十四条 労働大臣は、港湾労働者雇用安定センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第十二条第一項の指定(以下この条において「指定」という。)を取り消し、又は期間を定めて第十四条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第十四条に規定する業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この章の規定又は当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき。
四 第十三条第一項の条件に違反したとき。
五 第十七条第一項の規定により認可を受けた労働者派遣規程に違反して労働者派遣業務を行つたとき。
2 労働大臣は、前項の規定により指定を取り消し、又は第十四条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。
(聴聞)
第二十五条 労働大臣は、次に掲げる処分をしようとするときは、労働省令で定めるところにより、あらかじめ、期日及び場所を指定して、聴聞を行わなければならない。
一 第二十一条第二項の規定による役員の解任命令
二 前条第一項の規定による指定の取消し又は業務の全部若しくは一部の停止命令
2 前項の聴聞に際しては、当該処分に係る港湾労働者雇用安定センター及び利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会を与えなければならない。
第五章 雑則
(労働者派遣に係る事業主の義務)
第二十六条 事業主は、第十二条第一項の指定に係る港湾において、その常時雇用する労働者以外の者を港湾運送の業務に従事させようとするときは、港湾労働者雇用安定センターに対し、労働者の派遣を求めなければならない。
(経過措置の政令への委任)
第二十七条 第二条第一号又は第二号ロの規定に基づいて政令を制定し、又は改廃する場合には、政令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
(労働省令への委任)
第二十八条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な手続その他の事項は、労働省令で定める。
第六章 罰則
第二十九条 第十条第一項の規定に違反した者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十条 第二十三条の規定による命令に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。
第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
一 第九条第一項(第十六条第三項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第二十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、昭和六十四年一月一日から施行する。
(港湾労働法の廃止)
第二条 港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)は、廃止する。
(港湾労働者の雇用の届出等に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に前条の規定による廃止前の港湾労働法(以下「旧法」という。)第十三条第一項若しくは第二十一条又は第十六条第二項の規定により行われた届出は、それぞれ第九条第一項又は第十条第二項の規定により行われた届出とみなす。
2 施行日前に旧法第十三条第二項の規定により交付された常用港湾労働者証は、第九条第二項の規定により交付された港湾労働者証とみなす。
(旧雇用調整手当等に関する経過措置)
第四条 施行日前の日に係る旧法の規定による雇用調整手当(以下「旧雇用調整手当」という。)の支給については、なお従前の例による。
2 偽りその他不正の行為によつて旧雇用調整手当の支給を受け、又は受けようとした者に対する旧雇用調整手当を支給しないこととする処分については、なお従前の例による。
3 偽りその他不正の行為によつて旧雇用調整手当の支給を受けた者及び当該旧雇用調整手当の支給に関し偽りの報告又は証明をした事業主に対するその支給した旧雇用調整手当の額に相当する額の全部又は一部を返還させることとする処分については、なお従前の例による。
(旧納付金等に関する経過措置)
第五条 施行日前の期間に係る旧法の規定による納付金及び当該納付金に係る徴収金(以下「旧納付金等」という。)並びに当該納付金の負担については、なお従前の例による。
2 この法律の施行の際現に旧法第四十四条第二項の認可を受けている事業主の団体は、施行日以後においても、同条第三項に規定する納付金事務組合として、旧納付金等に関し同条第一項に規定する納付金事務を処理することができるものとし、当該納付金事務の処理については、なお従前の例による。
(旧雇用調整手当に係る時効等に関する経過措置)
第六条 旧雇用調整手当及び旧納付金等に係る時効については、なお従前の例による。
2 旧雇用調整手当に係る受給権の譲渡、担保への提供及び差押えの禁止並びに公課の禁止については、なお従前の例による。
(国の補助に関する経過措置)
第七条 附則第四条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる旧雇用調整手当の支給に要する費用に係る旧法第五十二条に規定する国の補助については、なお従前の例による。
(雇用促進事業団に対する監督等に関する経過措置)
第八条 雇用促進事業団が施行日以後に行う旧法第五十一条に規定する港湾労働者福祉業務に関しては、旧法第五十三条から第五十五条まで及び第六十二条の規定は、なおその効力を有する。
(退職金共済制度に関する経過措置)
第九条 この法律の施行の際現に旧法第五十六条第一項の規定により同項に規定する中小企業者の雇用する従業員とみなされて中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)が適用されている旧法第九条第一項に規定する登録日雇港湾労働者(以下「旧登録日雇港湾労働者」という。)については、施行日の前日に退職したものとみなして、中小企業退職金共済法(第二十六条を除く。)の規定を適用する。この場合において、同法第十条第一項ただし書中「十二月に満たないとき」とあるのは、「十二月に満たないとき(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)附則第九条第二項第一号又は第三号に該当する場合を除く。)」とする。
2 前項の規定により退職したものとみなされる者であつて、旧登録日雇港湾労働者であつたときの掛金納付月数(中小企業退職金共済法第十条第一項に規定する掛金納付月数をいう。以下この条において同じ。)を基礎として施行日以後に最初に支給される退職金(以下この項において「特定退職金」という。)に係る掛金納付月数が二十四月に満たないものの特定退職金の額は、同法第十条第二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 特定退職金に係る退職が前項の規定により退職したものとみなされたものである場合 特定退職金に係る納付された掛金の総額(次号において「特定退職金掛金総額」という。)
二 施行日から特定退職金に係る退職の日までの間において中小企業退職金共済法第十四条の規定による掛金納付月数の通算が行われた場合であつて、特定退職金掛金総額に係る掛金納付月数が十二月以上のとき 施行日前における掛金納付月数(以下この項において「退職前掛金納付月数」という。)に係る掛金の総額に、特定退職金掛金総額に係る掛金納付月数について同法第十条第二項の規定に基づき算定した金額と退職前掛金納付月数について同項の規定に基づき算定した金額(退職前掛金納付月数が十二月に満たない場合にあつては、同項第一号中「応じ別表第一の第二欄に定める金額」とあるのは「相当する数に九百円を乗じて得た金額」と、同項第二号中「応じ別表第一の第三欄(掛金月額の変更があつた場合において、退職金共済契約の効力が生じた日における掛金月額を超える掛金月額があるとき(掛金納付月数が二十四月未満である場合を除く。)は、その超える額については、その超える額を千円ごとに区分し、当該区分ごとに、当該区分に係る掛金納付月数に応じ同表の第四欄)に定める金額」とあるのは「相当する数に三百円を乗じて得た金額」として同項の規定を適用して算定した金額)との差額を加えた額(特定退職金に係る退職が死亡によるものである場合にあつては、同項ただし書の規定に基づき算定した額)
三 前二号に該当する場合以外の場合 退職前掛金納付月数に係る掛金の総額(特定退職金に係る退職が死亡によるものである場合にあつては、中小企業退職金共済法第十条第二項ただし書の規定に基づき算定した額)
3 旧登録日雇港湾労働者が施行日以後において中小企業退職金共済法第十四条の規定により掛金納付月数の通算をしようとする場合には、同条の規定による労働大臣の認定は要しないものとする。
(雇用保険法の特例に関する経過措置)
第十条 施行日前に事業主が旧法第二条第二号に規定する港湾運送の業務に使用するために雇い入れた旧登録日雇港湾労働者であつて、当該雇入れに係る雇用期間の末日が施行日以後の日であるものに対する当該雇用期間に係る雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第四十二条の規定の適用については、なお従前の例による。
(不服申立てに関する経過措置)
第十一条 旧法の規定(これらの規定の例によることとされる場合を含む。)による処分であつて、旧法第六十五条第一項及び第六十六条に規定するものに対する不服申立て及び当該処分の取消しの訴えについては、旧法第六十五条から第六十八条までの規定は、なおその効力を有する。
(雇用促進事業団の業務に関する暫定措置等)
第十二条 雇用促進事業団(以下この条において「事業団」という。)は、雇用促進事業団法(昭和三十六年法律第百十六号)第十九条に規定する業務のほか、施行日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、旧登録日雇港湾労働者のうちその就職の促進及び生活の安定を図る必要がある者として労働省令で定めるものに関し、次の業務を行う。
一 就職のために必要な知識及び技能を習得させるための講習を行うこと。
二 職業及び生活に関する相談を行うこと。
三 求職活動の促進と生活の安定とを図るための給付金を支給すること。
四 前三号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 事業団は、政令で定めるところにより、旧法第五十一条に規定する特別の会計(以下この条において「特別の会計」という。)に係る昭和六十三年末における収支の状況、旧法第五十一条の規定がなおその効力を有することとした場合に特別の会計において経理すべきこととなる昭和六十四年一月一日から三月三十一日までの間における収入及び支出の見込みその他の政令で定める事項について、必要な資料を添えて、労働大臣に報告しなければならない。
3 前項の報告において旧法第五十一条の規定がなおその効力を有することとした場合に昭和六十四年三月三十一日において特別の会計において剰余金が生ずると見込まれるときは、事業団は、労働大臣の承認を得て、当該剰余金の額を第一項に規定する業務に要する費用に充てることができる。
4 労働大臣は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、中央職業安定審議会及び港湾調整審議会の意見を聴かなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、特別の会計の廃止に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
6 労働大臣は、この条の規定を施行するために必要があると認めるときは、事業団に対し、第一項の業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
7 雇用促進事業団法第二十条及び第三十七条第一項(同法第二十条第一項及び第二項に係る部分に限る。)の規定は、第一項の業務について準用する。
8 雇用促進事業団法第二十二条第二項及び第二十四条第三項の規定は、第一項の業務については、適用しない。
9 第七項において準用する雇用促進事業団法第二十条第一項の規定は同法第四十条第一号の規定の適用については同法の規定と、第一項の業務は同条第三号の規定の適用については同法第十九条に規定する業務と、第六項の規定による労働大臣の命令は同法第四十条第五号の規定の適用については同法第三十二条第二項の規定による労働大臣の命令とみなす。
(職業安定法の一部改正)
第十三条 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)の一部を次のように改正する。
第十二条第三項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)、」を削り、「及び労働者派遣法」を「、労働者派遣法及び港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十三条の四第一項第十二号中「、炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第一号又は港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第二十九条第二号若しくは第三号」を「又は炭鉱離職者臨時措置法(昭和三十四年法律第百九十九号)第二十三条第一項第一号」に改める。
第三百四十八条第二項第十九号中「、炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第一号又は港湾労働法第二十九条第二号若しくは第三号」を「又は炭鉱離職者臨時措置法第二十三条第一項第一号」に改める。
(港湾運送事業法の一部改正)
第十五条 港湾運送事業法の一部を次のように改正する。
第六条第二項第二号中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)第十六条第一項若しくは第十七条」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第十条第一項」に、「終り」を「終わり」に改める。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正)
第十六条 労働保険審査官及び労働保険審査会法(昭和三十一年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項及び第七条第二項後段を削る。
第二十五条第二項中「港湾労働法第六十五条第一項の規定による再審査請求の事件及び」を削る。
(労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部改正に伴う経過措置)
第十七条 前条の規定による改正前の労働保険審査官及び労働保険審査会法第二条第三項、第七条第二項及び第二十五条第二項の規定(以下この条において「旧審査会法の規定」という。)は、旧法第六十五条第一項の規定による審査請求又は再審査請求については、なおその効力を有する。この場合において、旧審査会法の規定中「港湾労働法」とあるのは、「旧港湾労働法」とする。
(所得税法の一部改正)
第十八条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
第七十四条第二項中第四号を削り、第五号を第四号とし、第六号から第十四号までを一号ずつ繰り上げる。
(印紙税法の一部改正)
第十九条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第三港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)に定める納付金その他の徴収金の納付に関する文書の項を削る。
(社会保険労務士法の一部改正)
第二十条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
別表第一第十七号を次のように改める。
十七 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)
(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正)
第二十一条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(職業安定法等の一部を改正する法律の一部改正)
第二十二条 職業安定法等の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)の一部を次のように改正する。
第三条を次のように改める。
第三条 削除
第九条のうち、労働保険審査官及び労働保険審査会法第七条の改正規定中「港湾労働法第六十五条第一項の規定による審査請求についても、同様とする。」を削る。
第十二条のうち、労働省設置法第十条第一項及び第二項の改正規定中「第四十二号」の下に「から第四十三号まで、第四十四号」を加える。
附則第十三条の次に次の一条を加える。
(旧港湾労働法の一部改正)
第十三条の二 港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)附則第十一条の規定によりなおその効力を有することとされる旧港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)の一部を次のように改正する。
第六十八条中「都道府県知事」を「都道府県労働局長」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
第二十三条 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第八条第三項中「港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を「港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
(労働省設置法の一部改正)
第二十四条 労働省設置法(昭和二十四年法律第百六十二号)の一部を次のように改正する。
第四条第四十三号の次に次の一号を加える。
四十三の二 港湾労働者雇用安定センターの監督に関すること。
第四条第五十一号中「、港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)」を削り、「及び地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)」を「、地域雇用開発等促進法(昭和六十二年法律第二十三号)及び港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)」に改める。
第五条第五十二号中「港湾雇用調整計画を定めること」を「港湾雇用安定等計画を策定すること」に改め、同条第五十三号を次のように改める。
五十三 港湾労働法に基づいて、港湾労働者雇用安定センターを指定し、及びこれに対し、認可その他監督を行うこと。
第十条第一項中「、港湾労働法」を削り、「及び地域雇用開発等促進法」を「、地域雇用開発等促進法及び港湾労働法」に改める。
(その他の経過措置の政令への委任)
第二十五条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
(罰則に関する経過措置)
第二十六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
第二十七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
内閣総理大臣 竹下登
大蔵大臣 宮沢喜一
運輸大臣 石原慎太郎
労働大臣 中村太郎
自治大臣 梶山静六