農業者年金基金法
法令番号: 法律第七十八号
公布年月日: 昭和45年5月20日
法令の形式: 法律
農業者年金基金法をここに公布する。
御名御璽
昭和四十五年五月二十日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第七十八号
農業者年金基金法
目次
第一章
総則(第一条―第六条)
第二章
役員等(第七条―第十八条)
第三章
業務
第一節
通則(第十九条―第二十一条)
第二節
農業者年金事業
第一款
被保険者(第二十二条―第三十一条)
第二款
給付
第一目
通則(第三十二条―第四十条)
第二目
経営移譲年金(第四十一条―第四十六条)
第三目
農業者老齢年金(第四十七条―第四十九条)
第四目
被保険者及び年金給付に関する経過的特例(第五十条―第五十二条)
第五目
脱退一時金及び死亡一時金(第五十三条―第五十八条)
第六目
給付の制限(第五十九条―第六十三条)
第三款
費用(第六十四条―第六十六条)
第四款
審査会(第六十七条―第七十一条)
第五款
雑則(第七十二条―第八十条)
第三節
農地等の買入れ及び売渡し等(第八十一条―第八十三条)
第四章
財務及び会計(第八十四条―第九十一条)
第五章
監督(第九十二条―第九十四条)
第六章
雑則(第九十五条―第九十八条)
第七章
罰則(第九十九条―第百一条)
附則
第一章 総則
(基金の目的)
第一条 農業者年金基金は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金等の給付の事業を行ない、並びに当該事業に関連して農地等の買入れ及び売渡し等の業務を行なうことにより、国民年金の給付と相まつて農業者の老後の生活の安定及び福祉の向上に資するとともに、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与することを目的とする。
(法人格)
第二条 農業者年金基金(以下「基金」という。)は、法人とする。
(事務所)
第三条 基金は、主たる事務所を東京都に置く。
2 基金は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に従たる事務所を置くことができる。
(登記)
第四条 基金は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定より登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(名称の使用制限)
第五条 基金でない者は、農業者年金基金という名称を用いてはならない。
(民法の準用)
第六条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四十四条(法人の不法行為能力)及び第五十条(法人の住所)の規定は、基金について準用する。
第二章 役員等
(役員)
第七条 基金に、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事一人を置く。
2 基金に、役員として、前項の理事のほか、非常勤の理事三人以内を置くことができる。
(役員の職務及び権限)
第八条 理事長は、基金を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して基金の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行なう。
3 監事は、基金の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は主務大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命)
第九条 理事長及び監事は、主務大臣が任命する。
2 理事は、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
(役員の任期)
第十条 理事長及び理事の任期は、三年とし、監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項)
第十一条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。
(役員の解任)
第十二条 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員となることができない者に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 主務大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号の一に該当するときその他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。
一 心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。
二 職務上の義務違反があるとき。
3 理事長は、前項の規定により理事を解任しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。
(役員の兼職禁止)
第十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、非常勤の理事にあつては、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(代表権の制限)
第十四条 基金と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。この場合には、監事が基金を代表する。
(代理人の選任)
第十五条 理事長は、理事又は基金の職員のうちから、基金の従たる事務所の業務に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命)
第十六条 基金の職員は、理事長が任命する。
(評議員会)
第十七条 基金に、評議員会を置く。
2 評議員会は、理事長の諮問に応じ、基金の業務の運営に関する重要事項を調査審議する。
3 評議員会は、前項の事項に関し、理事長に意見を述べることができる。
4 評議員会は、評議員三十人以内で組織する。
5 評議員は、農業者年金の被保険者及び学識経験を有する者のうちから、主務大臣が任命する。
6 評議員の任期は、二年とする。
7 第十条第一項ただし書及び第二項並びに第十二条第二項の規定は、評議員について準用する。
8 前各項に定めるもののほか、評議員会の組織及び運営に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(役員及び職員の公務員たる性質)
第十八条 基金の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第三章 業務
第一節 通則
(業務の範囲)
第十九条 基金は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行なう。
一 第二節の規定により、農業者年金事業を行なうこと。
二 第三節の規定により、農地等(農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項に規定する農地及び採草放牧地をいう。以下同じ。)及びその附帯施設の買入れ及び売渡しを行ない、並びにこれらの取得に必要な資金の貸付けを行なうこと。
三 前二号に掲げる業務に附帯する業務
2 基金は、前項の規定により行なう業務の遂行に支障のない範囲内で、あらかじめ主務大臣の認可を受けて、農業者年金の被保険者及び被保険者であつた者の福祉を増進するために必要な施設で政令で定めるものの設置及び運営を行なうことができる。
(業務の委託)
第二十条 基金は、あらかじめ主務大臣の認可を受けて、次の各号に掲げる者に対し、その業務(農業者年金の被保険者の資格に関する決定、農業者年金事業の給付に関する決定、農地等及びその附帯施設の買入れ及び売渡しに関する決定並びに農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに関する決定を除く。)の一部を委託することができる。
一 市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区とする。)
二 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第一号及び第二号の事業をあわせ行なう農業協同組合
三 前二号に掲げる者のほか、主務大臣の指定する者
2 前項の主務大臣の認可があつた場合には、同項各号に掲げる者は、他の法律の規定にかかわらず、同項の規定による委託を受けて、当該業務を行なうことができる。
(業務方法書)
第二十一条 基金は、業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、主務省令で定める。
第二節 農業者年金事業
第一款 被保険者
(被保険者の資格)
第二十二条 農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の被保険者であつて、所有権又は使用収益権(地上権、永小作権、賃借権その他の所有権以外の使用及び収益を目的とする権利をいう。以下同じ。)に基づいてその事業に供する農地等の面積の合計が政令で定める面積以上であるものは、農業者年金の被保険者とする。
2 農業者年金の被保険者でなかつた者が前項に規定する者に該当することとなつた場合において、その者の次に掲げる期間を合算した期間が二十年に満たないときは、同項の規定にかかわらず、その者は、農業者年金の被保険者としない。
一 その者が前項に規定する者に該当することとなつた日の属する月から六十歳に達する日の属する月の前月までの期間
二 その者が農業者年金の被保険者期間(以下単に「被保険者期間」という。)を有する者である場合におけるその被保険者期間
3 経営移譲年金を受ける権利を有する者が第一項に規定する者に該当することとなつた場合には、同項の規定にかかわらず、その者は、農業者年金の被保険者としない。
(任意加入被保険者)
第二十三条 国民年金の被保険者で次の各号に掲げるもの(経営移譲年金を受ける権利を有する者を除く。)は、基金に申し出て、農業者年金の被保険者となることができる。
一 農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう者であつて、所有権又は使用収益権に基づいてその事業に供する農地等の面積の合計が前条第一項の政令で定める面積には満たないが政令で定める面積以上であるもののうち、作目の構成その他その者の耕作の事業の態様に照らし、その事業の規模が同項に規定する者の耕作又は養畜の事業の規模に準ずるものとして主務省令で定める基準に適合する者
二 農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう農地法第二条第七項の農業生産法人(以下単に「農業生産法人」という。)の組合員又は社員で前条第一項に規定する者に該当する者以外のもののうち、当該農業生産法人の農地法第二条第七項に規定する常時従事者である者(当該農業生産法人が所有権又は使用収益権に基づいてその事業に供する農地等の合計面積をその組合員又は社員の総数で除して得た面積と当該組合員又は社員が所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供する農地等の合計面積の総合計が前条第一項の政令で定める面積以上である場合における当該組合員又は社員に限る。)
三 その面積の合計が前条第一項の政令で定める面積以上である農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者の直系卑属で政令で定める要件に該当するもののうち、当該耕作又は養畜の事業を行なう者がその事業の後継者として指定する一人の者(同項に規定する者に該当する者を除く。)
2 前条第二項の規定は、前項の規定による申出をした者について準用する。この場合において、同項中「前項に規定する者に該当することとなつた」とあるのは、「第二十三条第一項の規定による申出をした」と読み替えるものとする。
(資格取得の時期)
第二十四条 第二十二条の規定により農業者年金の被保険者となる者は、同条第一項に規定する者に該当することとなつた日に、農業者年金の被保険者の資格を取得する。
2 前条第一項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となる者は、その申出をした日に、農業者年金の被保険者の資格を取得する。
(資格の喪失)
第二十五条 農業者年金の被保険者は、次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日(第一号に該当するに至つたときは、その日)に、農業者年金の被保険者の資格を喪失する。
一 国民年金の被保険者の資格を喪失したとき。
二 第四十一条第一号又は第二号の経営移譲をしたとき。
三 農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて行なう耕作又は養畜の事業を廃止したとき。
四 第二十三条第一項第二号に該当することにより同項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となつた者(第二十二条第一項に規定する者に該当している者を除く。)にあつては、その者が当該農業生産法人の組合員、社員若しくは農地法第二条第七項に規定する常時従事者でなくなり、又は当該農業生産法人が農地等につき所有権若しくは使用収益権に基づいて耕作若しくは養畜の事業を行なう農業生産法人でなくなつたとき(当該被保険者となつた者が引き続き農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なうときを除く。)。
五 第二十三条第一項第三号に該当することにより同項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となつた者(第二十二条第一項に規定する者に該当している者を除く。)にあつては、その者に対し、同号に規定する耕作又は養畜の事業を行なう者がその事業に供する農地等の全部又は一部について所有権又は使用収益権を移転しないでその事業を廃止したとき(当該被保険者となつた者が引き続き農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なうときを除く。)。
(資格の喪失の特例)
第二十六条 保険料納付済期間(納付された保険料(第七十三条の規定により徴収された保険料を含む。)に係る被保険者期間を合算した期間をいう。以下同じ。)が十五年以上である者が、六十歳に達する日前に第四十一条第一号又は第二号の経営移譲をしたことにより農業者年金の被保険者の資格を喪失した場合において、経営移譲年金の支給を受けるのに必要な保険料納付済期間を満たしていないときは、その者は、基金に申し出て、農業者年金の被保険者となることができる。
2 前項の規定による申出は、第四十一条第一号又は第二号の経営移譲をした日から起算して三月以内にしなければならない。ただし、基金は、正当な理由があると認めるときは、その期間を経過した後の申出であつても、受理することができる。
3 第一項の規定による申出をした者は、その申出が受理されたときは、最後に農業者年金の被保険者の資格を喪失した日にさかのぼつて、農業者年金の被保険者の資格を取得するものとする。
4 第一項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となつた者は、前条、次条及び第二十八条の規定によるほか、経営移譲年金の支給を受けるのに必要な保険料納付済期間を満たすに至つた日の翌日に、農業者年金の被保険者の資格を喪失する。
(任意脱退)
第二十七条 農業者年金の被保険者であつて、所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供する農地等の面積の合計が第二十二条第一項の政令で定める面積以上であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、同条の規定にかかわらず、基金の承認を受けて、農業者年金の被保険者の資格を喪失することができる。
一 その者が所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供する農地等につき、耕作又は養畜の目的以外の目的に供することが相当と認められる場合で政令で定める要件に該当するとき。
二 その者が農地等につき耕作又は養畜の事業を引き続き行なうことが著しく困難と認められる政令で定める相当の理由があるとき。
2 前項の承認を受けた者は、その承認を受けた日の翌日に、農業者年金の被保険者の資格を喪失する。ただし、その承認の申請がその者が農業者年金の被保険者の資格を取得した日から起算して三月以内になされたものであるときは、さかのぼつて農業者年金の被保険者とならなかつたものとみなす。
第二十八条 農業者年金の被保険者であつて、所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供する農地等の面積の合計が第二十二条第一項の政令で定める面積に満たないものは、いつでも、基金に申し出て、農業者年金の被保険者の資格を喪失することができる。
2 前項の規定による申出をした者は、その申出をした日の翌日に、農業者年金の被保険者の資格を喪失する。
(被保険者期間の計算)
第二十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、農業者年金の被保険者の資格を取得した日の属する月からその資格を喪失した日の属する月の前月までをこれに算入する。
2 農業者年金の被保険者がその資格を取得した日の属する月にその資格を喪失したときは、その月を一月として被保険者期間に算入する。ただし、その月にさらに農業者年金の被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。
3 農業者年金の被保険者の資格を喪失した後、さらにその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
(届出)
第三十条 農業者年金の被保険者は、主務省令で定めるところにより、その資格の取得及び喪失に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を基金に届け出なければならない。
(国民年金法第八十七条の二の特例)
第三十一条 農業者年金の被保険者は、すべて、その被保険者となつた時に、国民年金法第八十七条の二第一項の規定による保険料を納付する者となる。
2 前項の規定により国民年金法第八十七条の二第一項の規定による保険料を納付する者となつた者については、同条第三項及び第四項の規定は、適用しない。
第二款 給付
第一目 通則
(給付の種類)
第三十二条 農業者年金事業の給付(以下単に「給付」という。)は、次のとおりとする。
一 経営移譲年金
二 農業者老齢年金
三 脱退一時金
四 死亡一時金
(年金額の改定)
第三十三条 年金たる給付(以下「年金給付」という。)の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに、改定の措置が講ぜられなければならない。
(裁定)
第三十四条 給付を受ける権利(以下「受給権」という。)は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基づいて、基金が裁定する。
2 年金給付に係る受給権者は、その受給権を有することとなつたときは、遅滞なく、基金に対し、前項の請求をしなければならない。
(端数処理)
第三十五条 年金給付に係る受給権を裁定する場合において、年金給付の額に一円未満の端数が生じたときは、これを一円に切り上げるものとする。
(年金の支給期間及び支給期月)
第三十六条 年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終わるものとする。
2 年金給付は、その支給を停止すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月からその事由が消滅した日の属する月までの分の支給を停止する。ただし、これらの日が同じ月に属する場合は、支給を停止しない。
3 年金給付は、毎年二月、五月、八月及び十一月の四期に、それぞれその前月までの分を支給する。ただし、その受給権が消滅したとき、又はその支給を停止すべき事由が生じたときは、その支給期月にかかわらず、その際、その月までの分を支給する。
(未支給給付)
第三十七条 年金給付又は脱退一時金に係る受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付又は脱退一時金でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金給付又は脱退一時金の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその給付を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その給付を請求することができる。
3 未支給の年金給付又は脱退一時金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。
4 未支給の年金給付又は脱退一時金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
(不正利得の徴収)
第三十八条 偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、基金は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
(受給権の保護)
第三十九条 受給権は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付及び脱退一時金に係る受給権については、国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
(公課の禁止)
第四十条 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。ただし、年金給付及び脱退一時金については、この限りでない。
第二目 経営移譲年金
(支給要件)
第四十一条 経営移譲年金は、農業者年金の被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当するときに、その者に支給する。
一 保険料納付済期間が二十年以上である者が、六十五歳に達する日前に経営移譲をしたとき。
二 保険料納付済期間が二十年に満たない者が、経営移譲をした後、六十歳に達する日前に保険料納付済期間が二十年に達したとき。
(経営移譲)
第四十二条 前条第一号又は第二号の経営移譲とは、農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者が当該耕作又は養畜の事業を廃止し又は縮小した場合において、その廃止又は縮小が次の各号に掲げる要件に該当することをいうものとする。
一 その廃止又は縮小が終了する日として主務省令で定める日の一年前の日(以下この条において「基準日」という。)においてその面積の合計が第二十三条第一項第一号の政令で定める面積以上である農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者であつた者(以下「経営移譲者」という。)が、耕作又は養畜の事業を廃止し、又は縮小したものであること。
二 耕作又は養畜の事業の廃止の場合にあつては、経営移譲者が、基準日において所有権若しくは使用収益権に基づいてその耕作若しくは養畜の事業に供していた農地等(その者が基準日後一年間に所有権若しくは使用収益権を取得し、又は使用収益権に基づき使用及び収益をさせている農地等の返還を受けたときは、その取得又は返還に係る農地等を含む。以下「処分対象農地等」という。)のすべてについて、次のイに掲げる者に対し、政令で定めるところにより、所有権若しくは使用収益権を移転し、若しくは使用収益権を設定することにより、当該耕作若しくは養畜の事業を廃止したものであるか、又は経営移譲者が、処分対象農地等のすべてについて、次のロに掲げる者に対し、政令で定めるところにより、所有権若しくは使用収益権を移転することにより、当該耕作若しくは養畜の事業を廃止したものであること。
イ 農業者年金の被保険者である者(経営移譲者が第二十三条第一項第三号の規定によりその耕作又は養畜の事業の後継者として指定したその者の直系卑属で、同項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となつたものを除く。ロにおいて「譲受適格被保険者」という。)、基金、農地法第三条第二項ただし書に規定する政令で定める法人その他政令で定める者
ロ 経営移譲者の直系卑属(譲受適格被保険者を除く。)のうち政令で定める要件に該当する一人の者(経営移譲者が第二十三条第一項第三号の規定によりその耕作又は養畜の事業の後継者として指定したその者の直系卑属で、同項の規定による申出をして農業者年金の被保険者となり、かつ、引き続き農業者年金の被保険者となつている者があるときは、その者)
三 耕作又は養畜の事業の縮小の場合にあつては、経営移譲者が、処分対象農地等のうちその者の日常生活に必要な最少限度の面積として政令で定める面積以内の面積の農地等を除いた残余のすべてについて、前号イに掲げる者に対し、政令で定めるところにより、所有権若しくは使用収益権を移転し、又は使用収益権を設定することにより、当該耕作又は養畜の事業を縮小したものであること。
2 経営移譲者が、基準日後一年間に農業生産法人に対する持分を取得した者である場合における前条の規定の適用については、前項の規定によるほか、その者が当該期間内に同項第二号イ又はロに掲げる者に対しその取得に係る持分の全部の譲渡しをした場合に限り、同条第一号又は第二号の経営移譲があつたものとする。
3 処分対象農地等のうちに小作地等(農地法第二条第二項の小作地及び同条第三項の小作採草放牧地をいう。以下同じ。)があり、又は処分対象農地等のすべてが小作地等である場合において、経営移譲者が、基準日後一年内に、その小作地等の全部又は一部(処分対象農地等のすべてが小作地等である場合にあつては、その一部)についてその有する使用収益権を消滅させ、かつ、その他の処分対象農地等について次の各号のいずれかにより所有権若しくは使用収益権の移転又は使用収益権の設定をしたときは、その区分に応じ、その使用収益権を消滅させた小作地等についても、第一項第二号イ若しくはロに掲げる者に対する同号に該当する所有権若しくは使用収益権の移転若しくは使用収益権の設定又は同項第三号に該当する所有権若しくは使用収益権の移転若しくは使用収益権の設定があつたものとみなす。
一 当該その他の処分対象農地等のすべてについて、第一項第二号の規定の例により、所有権若しくは使用収益権を移転し、又は使用収益権を設定すること。
二 当該その他の処分対象農地等のうち第一項第三号の政令で定める面積以内の面積の農地等を除いた残余のすべてについて、同号の規定の例により、所有権若しくは使用収益権を移転し、又は使用収益権を設定すること。
4 処分対象農地等のすべてが小作地等である場合において、経営移譲者が基準日後一年内に処分対象農地等のすべてについてその有する使用収益権を消滅させたときは、その使用収益権を消滅させた処分対象農地等については、第一項第二号イに掲げる者に対する同号に該当する使用収益権の移転があつたものとみなし、経営移譲者が基準日後一年内に処分対象農地等のうち同項第三号の政令で定める面積以内の面積の小作地等を除いた残余のすべてについてその有する使用収益権を消滅させたときは、その使用収益権を消滅させた処分対象農地等については、同項第三号に該当する使用収益権の移転があつたものとみなす。
5 前二項の規定は、処分対象農地等のうちに基準日後一年内に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律によつて収用されたものその他政令で定めるものがあり、又は処分対象農地等のすべてがこれらの農地等である場合について準用する。
第四十三条 農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう農業生産法人の組合員又は社員である者(主務省令で定める者に限る。)についての第四十一条第一号又は第二号の経営移譲とは、前条の規定にかかわらず、その者が当該農業生産法人に対して有する持分の全部の譲渡しをしてその組合員又は社員でなくなり、かつ、その者が農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて行なう耕作又は養畜の事業を廃止し又は縮小した場合において、その持分の全部の譲渡し及びその事業の廃止又は縮小が次の各号に掲げる要件に該当することをいうものとする。
一 その持分の全部の譲渡しが終了する日として主務省令で定める日又はその事業の廃止若しくは縮小が終了する日として主務省令で定める日のいずれか遅い日の一年前の日(以下この条において「基準日」という。)において当該農業生産法人が所有権又は使用収益権に基づいてその事業に供していた農地等の合計面積を基準日におけるその組合員又は社員の総数で除して得た面積と基準日においてその者が所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供していた農地等の合計面積の総合計が、第二十三条第一項第一号の政令で定める面積以上であつた場合において、その者がその持分の全部の譲渡しをし、かつ、当該耕作又は養畜の事業を廃止し、又は縮小したものであること。
二 その者が前条第一項第二号イ又はロに掲げる者に対しその持分(その者が基準日後一年間に農業生産法人に対する持分を取得したときは、その取得に係る持分を含む。)の全部の譲渡しをしたものであること。
三 その者が、基準日において所有権又は使用収益権に基づいてその耕作又は養畜の事業に供していた農地等(その者が基準日後一年間に農地等について所有権若しくは使用収益権を取得し又は使用収益権に基づき使用及び収益をさせている農地等の返還を受けたときは、その取得又は返還に係る農地等を含む。)について、前条(同条第一項第一号及び第二項を除く。)の規定の例により、所有権若しくは使用収益権を移転し、若しくは使用収益権を設定し、又は使用収益権を消滅させることにより、当該耕作又は養畜の事業を廃止し、又は縮小したものであること。
(年金額)
第四十四条 経営移譲年金の額は、受給権者が六十五歳に達する日の属する月までの分については第一号に掲げる額とし、受給権者が六十五歳に達する日の属する月の翌月以後の分については第二号に掲げる額とする。
一 八百円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額
二 八十円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額
(失権)
第四十五条 経営移譲年金に係る受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。
(支給停止)
第四十六条 経営移譲年金は、受給権者が六十歳未満であるときは、六十歳未満である間、その支給を停止する。ただし、受給権者が疾病又は負傷により政令で定める程度の廃疾の状態にある場合におけるその廃疾の状態にある期間については、この限りでない。
2 経営移譲年金は、前項の規定による場合のほか、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当している期間、その支給を停止する。
一 農地等の所有権若しくは使用収益権を取得し、又は使用収益権に基づき使用及び収益をさせている農地等の返還を受けて、その取得又は返還に係る農地等につき耕作又は養畜の事業を行なう者となつたとき(その者が、経営移譲年金の支給を受ける原因となつた第四十一条第一号又は第二号の経営移譲において、第四十二条第一項第二号ロに掲げる者に対して農地等の所有権又は使用収益権を移転した受給権者以外の者である場合には、その取得又は返還に係る農地等につき耕作又は養畜の事業を行なうことにより、その者が同項第三号の政令で定める面積をこえる面積の農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者となつた場合に限る。)
二 農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう農業生産法人の組合員又は社員となつたとき。
第三目 農業者老齢年金
(支給要件)
第四十七条 農業者老齢年金は、次の各号のいずれかに該当する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。
一 経営移譲年金に係る受給権者
二 前号に掲げる者以外の者で、保険料納付済期間が二十年以上であり、かつ、六十歳に達した日の前日において農業者年金の被保険者であつたもの
(年金額)
第四十八条 農業者老齢年金の額は、二百円に保険料納付済期間の月数を乗じて得た額とする。
(準用規定)
第四十九条 第四十五条の規定は、農業者老齢年金について準用する。
第四目 被保険者及び年金給付に関する経過的特例
(被保険者の適用除外)
第五十条 大正五年一月一日以前に生まれた者(昭和四十六年一月一日において五十五歳をこえる者)は、第二十二条第一項の規定にかかわらず、農業者年金の被保険者としない。
(年金の受給資格期間等についての特例)
第五十一条 次の表の上欄に掲げる者については、第二十二条第二項(第二十三条第二項において準用する場合を含む。)、第四十一条第一号及び第二号並びに第四十七条第二号中「二十年」とあるのは、それぞれ同表の下欄に掲げる年数とする。
大正十年一月一日以前に生まれた者
(五十歳をこえる者)
五年
大正十年一月二日から大正十一年一月一日までの間に生まれた者
(四十九歳をこえ、五十歳をこえない者)
六年
大正十一年一月二日から大正十二年一月一日までの間に生まれた者
(四十八歳をこえ、四十九歳をこえない者)
七年
大正十二年一月二日から大正十三年一月一日までの間に生まれた者
(四十七歳をこえ、四十八歳をこえない者)
八年
大正十三年一月二日から大正十四年一月一日までの間に生まれた者
(四十六歳をこえ、四十七歳をこえない者)
九年
大正十四年一月二日から大正十五年一月一日までの間に生まれた者
(四十五歳をこえ、四十六歳をこえない者)
十年
大正十五年一月二日から昭和二年一月一日までの間に生まれた者
(四十四歳をこえ、四十五歳をこえない者)
十一年
昭和二年一月二日から昭和三年一月一日までの間に生まれた者
(四十三歳をこえ、四十四歳をこえない者)
十二年
昭和三年一月二日から昭和四年一月一日までの間に生まれた者
(四十二歳をこえ、四十三歳をこえない者)
十三年
昭和四年一月二日から昭和五年一月一日までの間に生まれた者
(四十一歳をこえ、四十二歳をこえない者)
十四年
昭和五年一月二日から昭和六年一月一日までの間に生まれた者
(四十歳をこえ、四十一歳をこえない者)
十五年
昭和六年一月二日から昭和七年一月一日までの間に生まれた者
(三十九歳をこえ、四十歳をこえない者)
十六年
昭和七年一月二日から昭和八年一月一日までの間に生まれた者
(三十八歳をこえ、三十九歳をこえない者)
十七年
昭和八年一月二日から昭和九年一月一日までの間に生まれた者
(三十七歳をこえ、三十八歳をこえない者)
十八年
昭和九年一月二日から昭和十年一月一日までの間に生まれた者
(三十六歳をこえ、三十七歳をこえない者)
十九年
備考 この表の中欄の記載は、上欄に掲げる者を昭和四十六年一月一日におけるその者の年齢であらわしたものである。
(経営移譲年金の額についての特例)
第五十二条 前条の表の上欄に掲げる者であつて、被保険者期間が二十年未満であり、かつ、保険料納付済期間が五年以上であるものに支給する経営移譲年金の額は、第四十四条の規定にかかわらず、その者が六十五歳に達する日の属する月までの分については第一号に掲げる額と同条第一号に掲げる額とを合算した額とし、その者が六十五歳に達した日の属する月の翌月以後の分については第二号に掲げる額と同条第二号に掲げる額とを合算した額とする。
一 八百円に、二百四十から被保険者期間の月数を控除した数を乗じて得た額の三分の一に相当する額
二 八十円に、二百四十から被保険者期間の月数を控除した数を乗じて得た額の三分の一に相当する額
第五目 脱退一時金及び死亡一時金
(脱退一時金の支給要件)
第五十三条 脱退一時金は、資格喪失日(農業者年金の被保険者の資格を喪失した日をいう。以下同じ。)の前日において資格喪失日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が三年以上である者が農業者年金の被保険者の資格を喪失した場合に、その者に支給する。ただし、その者が第四十七条各号のいずれかに該当する者であるときは、この限りでない。
(死亡一時金の支給要件)
第五十四条 死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る保険料納付済期間が三年以上である者が六十五歳に達する日前に死亡した場合において、その者に遺族があるときに、その遺族に支給する。ただし、その死亡した者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 経営移譲年金の支給を受けた者であるとき。
二 支給を受けるべき経営移譲年金でまだ支給を受けていないものがある者であるとき。
三 脱退一時金に係る受給権者であるとき。
(遺族の範囲及び順位等)
第五十五条 死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする。
2 死亡一時金を受けるべき者の順位は、前項に規定する順序による。
3 死亡一時金を受けるべき同順位の遺族が二人以上あるときは、その一人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
(金額)
第五十六条 脱退一時金及び死亡一時金の額は、資格喪失日又は死亡日の属する月の前月までの被保険者期間に係る資格喪失日又は死亡日の前日における保険料納付済期間についての別表の上欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額とする。
(脱退一時金の支給の効果)
第五十七条 脱退一時金の支給を受けたときは、支給を受けた者は、その額の計算の基礎となつた農業者年金の被保険者であつた期間は、農業者年金の被保険者でなかつたものとみなす。
(脱退一時金の失権)
第五十八条 脱退一時金に係る受給権は、受給権者が農業者年金の被保険者となつたときは、消滅する。
第六目 給付の制限
第五十九条 故意に廃疾又はその直接の原因となつた事故を生じさせた者の当該廃疾については、第四十六条第一項ただし書の規定は、適用しない。
第六十条 故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、廃疾若しくはその原因となつた事故を生じさせ、又は廃疾の程度を増進させた者の当該廃疾については、基金は、第四十六条第一項ただし書の規定を適用しないことができる。
第六十一条 死亡一時金は、農業者年金の被保険者又は被保険者であつた者を故意に死亡させたその者の遺族には、支給しない。農業者年金の被保険者又は被保険者であつた者の死亡前に、その者の死亡によつて死亡一時金に係る受給権者となるべき者を故意に死亡させた者で、当該農業者年金の被保険者又は被保険者であつた者の遺族であるものについても、同様とする。
第六十二条 年金給付は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その支給を停止することができる。
一 受給権者が、正当な理由がなくて、第八十条第二項の規定による基金の求めに応じないか、又は同項の規定による基金の職員の質問に応じなかつたとき。
二 第四十六条第一項ただし書に該当する者が、正当な理由がなくて、第八十条第三項の規定による基金の求めに応じないか、又は同項の規定による基金の職員の診断を拒んだとき。
第六十三条 受給権者が、正当な理由がなくて、第七十九条第二項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、基金は、年金給付の支払を一時差し止めることができる。
第三款 費用
(国庫負担)
第六十四条 国庫は、毎年度、経営移譲年金の給付に要する費用の三分の一に相当する額を負担する。
(保険料)
第六十五条 基金は、農業者年金事業に要する費用に充てるため、保険料を徴収する。
2 保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3 保険料の額は、農業者年金事業の給付に要する費用の予想額並びに予定運用収入及び国庫負担の額に照らし、将来にわたつて財政の均衡を保つことができるものでなければならない。
4 保険料の額は、少なくとも五年ごとに、前項の基準に従つて再計算され、その結果に基づいて所要の調整が加えられるべきものとする。
5 保険料の額は、政令で定める。
(保険料の納付義務)
第六十六条 農業者年金の被保険者は、保険料を納付しなければならない。
2 一月、二月及び三月分の保険料はその年の四月末日までに、四月、五月及び六月分の保険料はその年の七月末日までに、七月、八月及び九月分の保険料はその年の十月末日までに、十月、十一月及び十二月分の保険料は翌年の一月末日までに、それぞれ納付しなければならない。
第四款 審査会
(審査会)
第六十七条 農業者年金の被保険者の資格に関する決定、給付に関する決定、保険料その他この節の規定による徴収金の徴収又は第七十三条第五項若しくは第六項の規定による処分に対する不服を審査するため、基金に審査会を置く。
2 審査会は、委員九人をもつて組織する。
3 委員は、学識経験を有する者のうちから、理事長が主務大臣の承認を受けて委嘱する。
4 委員の任期は、三年とする。
5 第十条第一項ただし書及び第二項並びに第十八条の規定は、委員について準用する。
第六十八条 審査会に、会長を置く。会長は、審査会において、委員のうちから選挙する。
2 会長は、会務を総理する。会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめその指名する委員がその職務を行なう。
(議事)
第六十九条 審査会は、過半数の委員が出席しなければ、会議を開き、及び議決をすることができない。
2 審査会の議事は、出席委員の過半数で決する。可否同数のときは、会長の決するところによる。
(審査請求)
第七十条 農業者年金の被保険者の資格に関する決定、給付に関する決定、保険料その他この節の規定による徴収金の徴収又は第七十三条第五項若しくは第六項の規定による処分に対する不服がある者は、文書又は口頭で、審査会に対して行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
2 前項の審査請求は、同項に規定する決定、徴収又は処分があつたことを知つた日から六十日以内にしなければならない。ただし、正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかつたことを疎明したときは、この限りでない。
3 第一項の審査請求があつたときは、会長は、遅滞なく、審査会を招集しなければならない。
4 審査会は、審査のため必要があると認めるときは、審査請求人若しくは関係人に対し、報告若しくは意見を求め、その出頭を求め、又は医師若しくは歯科医師に診断若しくは検案をさせることができる。
5 給付に関する決定についての第一項の審査請求は、時効の中断に関しては、裁判上の請求とみなす。
(審査会及び審査請求の手続に関する事項の政令への委任)
第七十一条 この款及び行政不服審査法に定めるもののほか、審査会の委員並びに前条第四項の規定により出頭を求めた関係人の報酬及び旅費その他審査会及び審査請求の手続に関し必要な事項は、政令で定める。
第五款 雑則
(保険料等の徴収)
第七十二条 保険料その他この節の規定による徴収金は、この節に別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によつて徴収する。
(督促及び滞納処分)
第七十三条 保険料その他この節の規定による徴収金を滞納する者があるときは、基金は、期限を指定して、これを督促することができる。
2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、基金は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
4 基金は、第一項の規定による督促を受けた者が督促状に指定した期限までに保険料その他この節の規定による徴収金を完納しないときは、滞納者の居住地又はその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区とする。以下この条において同じ。)に対して、その処分を請求することができる。
5 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の滞納処分の例によつて、これを処分することができる。この場合においては、基金は、徴収金額の百分の四に相当する金額を当該市町村に交付しなければならない。
6 市町村が、第四項の請求を受けた日から三十日以内にその処分に着手せず、又は九十日以内にこれを結了しないときは、基金は、主務大臣の認可を受け、国税滞納処分の例によつて、これを処分することができる。
(延滞金)
第七十四条 前条第一項の規定によつて督促をしたときは、基金は、徴収金額につき年十四・六パーセントの割合で、納付期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの日数によつて計算した延滞金を徴収する。ただし、徴収金額が五百円未満であるとき、又は滞納につきやむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
2 前項の場合において、徴収金額の一部につき納付があつたときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあつた徴収金額を控除した金額による。
3 延滞金を計算するに当たり、徴収金額に五百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は前三項の規定によつて計算した金額が五十円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
5 延滞金の金額に五十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
(先取特権)
第七十五条 保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(時効)
第七十六条 保険料その他この節の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、二年を経過したとき、給付を受ける権利は、五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 保険料その他この節の規定による徴収金についての第七十三条第一項の規定による督促は、民法第百五十三条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する。
(期間の計算)
第七十七条 この節又はこの節に基づく命令に規定する期間の計算については、この節に別段の規定がある場合を除くほか、民法の期間に関する規定を準用する。
(戸籍事項の無料証明)
第七十八条 市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては、区長とする。)は、基金、農業者年金の被保険者若しくは被保険者であつた者又は受給権者に対して、当該市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより、農業者年金の被保険者若しくは被保険者であつた者又は受給権者の戸籍に関し、無料で証明を行なうことができる。
(届出等)
第七十九条 農業者年金の被保険者は、主務省令で定めるところにより、第三十条に規定する事項を除くほか、主務省令で定める事項を基金に届け出なければならない。
2 受給権者は、主務省令で定めるところにより、基金に対し、主務省令で定める事項を届け出、かつ、主務省令で定める書類その他の物件を提出しなければならない。
3 農業者年金の被保険者又は受給権者が死亡したときは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の規定による死亡の届出義務者は、十日以内に、その旨を基金に届け出なければならない。
(農業者年金の被保険者又は受給権者に関する調査)
第八十条 基金は、必要があると認めるときは、農業者年金の被保険者に対し、農業者年金の被保険者の資格若しくは保険料に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを求め、又はその職員に、これらの事項に関し農業者年金の被保険者に質問させることができる。
2 基金は、必要があると認めるときは、受給権者に対し、受給権の消滅若しくは支給の停止に係る事項に関する書類その他の物件を提出すべきことを求め、又はその職員に、これらの事項に関し受給権者に質問させることができる。
3 基金は、必要があると認めるときは、第四十六条第一項ただし書に該当する者に対し、その指定する医師若しくは歯科医師の診断を受けるべきことを求め、又はその職員に、その廃疾の状態を診断させることができる。
4 第一項若しくは第二項の規定により質問を行ない、又は前項の規定によつて診断を行なう職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第三節 農地等の買入れ及び売渡し等
(農地等の買入れ)
第八十一条 基金は、農業者年金の被保険者その他農林省令で定める者で農地等につき行なう耕作又は養畜の事業を廃止しようとする者(その行なう耕作又は養畜の事業を第四十二条第一項第三号の政令で定める面積以内の面積の農地等につき行なうものに縮小しようとする者を含む。以下「離農希望者」という。)の申出があつた場合には、政令で定めるところにより、その申出に応じ、その者が所有する農地等で農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第八条第二項第一号の農用地区域をいう。以下同じ。)の区域内にあるものを買い入れることができる。
2 基金は、前項の規定により農地等を買い入れる場合において、その買入れに係る農地等の農業上の利用のため特に必要があると認めるときは、その買入れに係る農地等の所有者が所有する附帯施設(農地等の農業上の利用のために必要な土地、立木、建物、工作物又は水の使用に関する権利をいう。以下同じ。)をあわせて買い入れることができる。
(農地等の売渡し)
第八十二条 基金は、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資することとなるように、政令で定めるところにより、農業者年金の被保険者その他農林省令で定める者に対し、前条第一項又は第二項の規定による買入れに係る農地等又はその附帯施設を売り渡さなければならない。ただし、耕作又は養畜の目的以外の目的に供することが相当となつた農地等又はその附帯施設については、この限りでない。
(資金の貸付け)
第八十三条 基金は、農業者年金の被保険者その他農林省令で定める者で離農希望者から農地等を取得しようとするものに対し、その農地等の取得に必要な資金(その農地等の農業上の利用のために必要な附帯施設で当該離農希望者が所有するものをあわせて取得するのに必要な資金を含む。)の貸付けを行なうことができる。
2 前項の規定による資金の貸付けは、次の各号に掲げる要件に適合する場合に限り、するものとする。
一 その貸付けを受けて取得される農地等が農用地区域の区域内にあるものであること。
二 その農地等の取得が、農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資する見地からみて、必要で、かつ、適切であると認められるものであること。
第四章 財務及び会計
(区分経理)
第八十四条 基金は、第十九条第一項第一号の業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理、同項第二号の業務のうち農地等及びその附帯施設の買入れ及び売渡しに係る業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理及び同号の業務のうち農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに係る業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理については、政令で定めるところにより、それぞれ、特別の勘定を設けて他の業務に係る経理と区分して整理しなければならない。
(事業年度)
第八十五条 基金の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(事業計画等の認可)
第八十六条 基金は、毎事業年度、事業計画、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、主務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(財務諸表)
第八十七条 基金は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に主務大臣に提出して、その承認を受けなければならない。
2 基金は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、これに、当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書を添え、かつ、財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見をつけなければならない。
(借入金の制限)
第八十八条 基金は、借入金をしてはならない。ただし、基金の目的を達成するため必要な場合において、主務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(余裕金の運用)
第八十九条 基金の業務上の余裕金の運用は、政令で定めるところにより、基金の業務の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。
(給与及び退職手当の支給の基準)
第九十条 基金は、その役員及び職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定めようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(会計等に関する事項の主務省令への委任)
第九十一条 この法律及びこの法律に基づく政令に規定するもののほか、基金の財務及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第五章 監督
(監督)
第九十二条 基金は、主務大臣が監督する。
2 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査)
第九十三条 主務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、基金若しくは第二十条第一項の規定による委託を受けた者(以下「受託者」という。)に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、基金若しくは受託者の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、当該受託業務の範囲内に限る。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(権限の委任)
第九十四条 前条に規定する主務大臣の権限のうち、受託者に対するものは、政令で定めるところにより、その全部又は一部を都道府県知事に委任することができる。
第六章 雑則
(大蔵大臣との協議)
第九十五条 主務大臣は、次の各号に掲げる場合には、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第十九条第二項、第二十条第一項、第二十一条第一項又は第八十六条の認可をしようとするとき。
二 第二十一条第二項又は第九十一条の主務省令を定めようとするとき。
三 第八十七条第一項、第八十八条ただし書又は第九十条の承認をしようとするとき。
(主務大臣)
第九十六条 この法律において主務大臣は、次のとおりとする。
一 基金の事務所、役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、厚生大臣及び農林大臣
二 第十九条第一項第一号及び第二項に規定する業務(これらに附帯する業務を含む。)に関する事項については、厚生大臣及び農林大臣
三 第十九条第一項第二号に規定する業務(これに附帯する業務を含む。)に関する事項については、農林大臣
(他の法令の準用)
第九十七条 不動産登記法(明治三十二年法律第二十四号)及び政令で定めるその他の法令については、政令で定めるところにより、基金を国の行政機関とみなして、これらの法令を準用する。
(施行手続等の主務省令への委任)
第九十八条 この法律に別段の定めがあるものを除くほか、この法律の実施のための手続その他その施行について必要な事項は、主務省令で定める。
第七章 罰則
第九十九条 第九十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の罰金に処する。
2 基金又は受託者の役員、代理人又は使用人その他の従業者が、基金の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同項の罰金刑を科する。
第百条 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした基金の役員は、三万円以下の過料に処する。
一 この法律の規定により主務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかつたとき。
二 第四条第一項の規定に違反して、登記することを怠つたとき。
三 第十九条に規定する業務以外の業務を行なつたとき。
四 第八十九条の規定に違反して、業務上の余裕金を運用したとき。
五 第九十二条第二項の規定による主務大臣の命令に違反したとき。
第百一条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の過料に処する。
一 第五条の規定に違反した者
二 第三十条又は第七十九条の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章第二節第一款、第五十条、第五十一条、第三章第二節第三款中保険料に関する部分並びに附則第六条及び第七条の規定は、昭和四十六年一月一日から施行する。
(基金の設立)
第二条 厚生大臣及び農林大臣は、基金の理事長又は監事となるべき者を指名する。
2 前項の規定により指名された理事長又は監事となるべき者は、基金の成立の時において、この法律の規定により、それぞれ理事長又は監事に任命されたものとする。
第三条 厚生大臣及び農林大臣は、設立委員を命じて、基金の設立に関する事務を処理させる。
2 設立委員は、基金の設立の準備を完了したときは、遅滞なく、その旨を厚生大臣及び農林大臣に届け出るとともに、その事務を前条第一項の規定により指名された理事長となるべき者に引き継がなければならない。
第四条 附則第二条第一項の規定により指名された理事長となるべき者は、前条第二項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 基金は、設立の登記をすることによつて成立する。
(経過規定)
第五条 この法律の施行の際現に農業者年金基金という名称を使用している者については、第五条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第六条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行の際現に第二十二条第一項に規定する者に該当している者についての第二十四条第一項の規定の適用については、同項中「同条第一項に規定する者に該当することとなつた日」とあるのは、「附則第一条ただし書に規定する規定の施行の日」とする。
第七条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行後最初の保険料の額は、第六十五条第三項及び第五項の規定にかかわらず、一月につき七百五十円とする。
2 国庫は、前項の保険料の額の適用がある間は、毎年度、基金に対し、納付された保険料(第七十三条の規定により徴収された保険料を含む。)一月分につき三百二十一円の割合で算定した額を補助する。
第八条 この法律の施行の日から昭和五十年三月三十一日までの間において基金が行なう農地等の買入れ及び農地等の取得に必要な資金の貸付けについては、第八十一条第一項又は第八十三条第二項第一号中「区域内」とあるのは、「区域内又は都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域以外の地域で農林大臣の承認を受けて基金が定める区域内」とする。
第九条 基金の最初の事業年度は、第八十五条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、昭和四十六年三月三十一日に終わるものとする。
第十条 基金の最初の事業年度の事業計画、予算及び資金計画については、第八十六条中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「基金の成立後遅滞なく」とする。
(基金の業務の範囲に係る経過的特例)
第十一条 基金は、この法律の施行の日から起算して十年をこえない範囲内において政令で定める日までの間は、第十九条に規定する業務のほか、農地等につき所有権又は使用収益権に基づいて耕作又は養畜の事業を行なう者で農業者年金の被保険者でないもの(経営移譲年金に係る受給権者その他政令で定める者を除く。)が第四十二条又は第四十三条に規定する経営移譲をした場合において、その経営移譲が次の各号に掲げる要件に適合するときに、政令で定めるところにより、その者に対して一時金たる給付金(以下「離農給付金」という。)を支給する業務を行なうことができる。
一 その経営移譲が、第四十二条第一項第二号ロに掲げる者に対し農地等の所有権又は使用収益権を移転することによつてしたものでないこと。
二 その経営移譲に係る第四十二条又は第四十三条の基準日においてその事業に供されていた農地等のうちその者の所有に係るもの(政令で定めるものを除く。)の面積の合計が政令で定める面積以上である耕作又は養畜の事業に係る経営移譲であること。
2 政府は、予算の範囲内で、基金に対し、前項の業務に必要な経費の財源に充てるため、交付金を交付するものとする。
3 第一項の規定により同項に規定する業務が行なわれる場合には、第十九条第二項中「前項の規定により行なう業務」とあるのは「前項及び附則第十一条第一項の規定により行なう業務」と、第二十条第一項中「並びに農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに関する決定」とあるのは「、農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに関する決定並びに離農給付金の交付に関する決定」と、第八十四条中「及び同号の業務のうち農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに係る業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理」とあるのは「、同号の業務のうち農地等及びその附帯施設の取得に必要な資金の貸付けに係る業務(これに附帯する業務を含む。)に係る経理及び附則第十一条第一項の業務に係る経理」と、第九十六条第三号中「業務を含む。)」とあるのは「業務を含む。)及び附則第十一条第一項に規定する業務」と、第百条第三号中「業務以外」とあるのは「業務及び附則第十一条第一項に規定する業務以外」とする。
(厚生省設置法の一部改正)
第十二条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第六十二号の七を第六十二号の八とし、第六十二号の六を第六十二号の七とし、第六十二号の五の次に次の一号を加える。
六十二の六 農業者年金基金を監督すること。
第十四条の二中第八号を第九号とし、第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 農業者年金基金を指導監督すること。
第三十六条の四中「第六十二号の六」を「第六十二号の七」に改める。
(農林省設置法の一部改正)
第十三条 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第九条第一項第六号の次に次の一号を加える。
六の二 農業者年金基金の指導監督を行なうこと。
(地方税法の一部改正)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の五第一項第四号中「中小企業退職金共済事業団」を「農業者年金基金、中小企業退職金共済事業団」に改める。
第七十三条の四第一項第九号の二の次に次の一号を加える。
九の三 農業者年金基金が農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)第十九条第一項第二号に規定する業務の用に供する不動産で政令で定めるもの
(農地法の一部改正)
第十五条 農地法の一部を次のように改正する。
第三条第一項第七号の次に次の一号を加える。
七の二 農業者年金基金が農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)第十九条第一項第二号に掲げる業務の実施により所有権を取得する場合
第七条第一項第七号の次に次の一号を加える。
七の二 農業者年金基金が所有し、かつ、農業者年金基金法第十九条第一項第二号に掲げる業務の実施により売り渡すまでの間一時貸し付けている小作地
(所得税法の一部改正)
第十六条 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)の一部を次のように改正する。
別表第一第一号の表中農業協同組合中央会の項の次に次のように加える。
農業者年金基金
農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)
(法人税法の一部改正)
第十七条 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)の一部を次のように改正する。
別表第二第一号の表中農業協同組合中央会の項の次に次のように加える。
農業者年金基金
農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)
(印紙税法の一部改正)
第十八条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
別表第三中港湾労働法(昭和四十年法律第百二十号)に定める納付金その他の徴収金の納付に関する文書の項の次に次のように加える。
農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)第十九条第一項第一号(業務の範囲)に掲げる農業者年金事業に関する文書
農業者年金基金又は同法第二十条第一項第二項に規定する農業協同組合
(登録免許税法の一部改正)
第十九条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第三中二十六の項の次に次のように加える。
二十六の二 農業者年金基金
農業者年金基金法(昭和四十五年法律第七十八号)
一 事務所用建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記二 農業者年金基金法第十九条第一項第二号及び第二項(業務の範囲)に規定する業務のための別表第一の第一号に掲げる登記
(国民年金法の一部を改正する法律の一部改正)
第二十条 国民年金法の一部を改正する法律(昭和四十四年法律第八十六号)の一部を次のように改正する。
附則第二十九条を次のように改める。
(厚生省設置法の一部改正)
第二十九条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
第五条中第六十二号の八を第六十二号の九とし、第六十二号の七を第六十二号の八とし、第六十二号の六を第六十二号の七とし、第六十二号の五の次に次の一号を加える。
六十二の六 国民年金基金の設立又は規約の変更を認可し、これに対しその事業の状況に関する報告をさせ、その状況を検査し、その他監督上必要な命令又は処分をすること。
第十四条の二中第九号を第十号とし、第八号を第九号とし、第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。
七 国民年金基金を指導監督すること。
第三十六条の四中「第六十二号の七」を「第六十二号の八」に改める。
別表
資格喪失日又は死亡日の属する月の前月までの農業者年金の被保険者期間に係る資格喪失日又は死亡日の前日における保険料納付済期間
金額
三年以上 四年未満
三〇、〇〇〇円
四年以上 五年未満
四〇、〇〇〇円
五年以上 六年未満
五〇、〇〇〇円
六年以上 七年未満
六五、〇〇〇円
七年以上 八年未満
八〇、〇〇〇円
八年以上 九年未満
九五、〇〇〇円
九年以上一〇年未満
一一〇、〇〇〇円
一〇年以上一一年未満
一二五、〇〇〇円
一一年以上一二年未満
一四〇、〇〇〇円
一二年以上一三年未満
一五五、〇〇〇円
一三年以上一四年未満
一七〇、〇〇〇円
一四年以上一五年未満
一八五、〇〇〇円
一五年以上一六年未満
二〇〇、〇〇〇円
一六年以上一七年未満
二一五、〇〇〇円
一七年以上一八年未満
二三〇、〇〇〇円
一八年以上一九年未満
二四五、〇〇〇円
一九年以上二〇年未満
二六〇、〇〇〇円
二〇年以上二一年未満
二七五、〇〇〇円
二一年以上二二年未満
二九〇、〇〇〇円
二二年以上二三年未満
三〇五、〇〇〇円
二三年以上二四年未満
三二〇、〇〇〇円
二四年以上二五年未満
三三五、〇〇〇円
二五年以上二六年未満
三五〇、〇〇〇円
二六年以上二七年未満
三六五、〇〇〇円
二七年以上二八年未満
三八○、〇〇〇円
二八年以上二九年未満
三九五、〇〇〇円
二九年以上三〇年未満
四一〇、〇〇〇円
三〇年以上三一年未満
四二五、〇〇〇円
三一年以上三二年未満
四四〇、〇〇〇円
三二年以上三三年未満
四五五、〇〇〇円
三三年以上三四年未満
四七〇、〇〇〇円
三四年以上三五年未満
四八五、〇〇〇円
三五年以上三六年未満
五〇〇、〇〇〇円
三六年以上三七年未満
五一五、〇〇〇円
三七年以上三八年未満
五三〇、〇〇〇円
三八年以上三九年未満
五四五、〇〇〇円
三九年以上
五六〇、〇〇〇円
大蔵大臣 福田赳夫
厚生大臣 内田常雄
農林大臣 倉石忠雄
自治大臣 秋田大助
内閣総理大臣 佐藤栄作