(事業の種類)
第九条 森林組合(以下この章において「組合」という。)は、次に掲げる事業の全部又は一部を行うものとする。
三 組合員の所有する森林の経営を目的とする信託の引受け
四 病害虫の防除その他組合員の森林の保護に関する施設
2 組合は、前項に掲げる事業のほか、次に掲げる事業の全部又は一部を行うことができる。
三 組合員の生産する林産物及び林産物以外の森林の産物の運搬、加工、保管又は販売
四 組合員の生産する環境緑化木(林産物以外の木竹及びその種苗で、環境の整備の用に供されるものをいう。以下同じ。)の採取、育成、運搬、加工、保管又は販売
五 組合員の行う林業に必要な種苗の採取又は育成、林道の設置その他共同利用に関する施設
六 森林施業の共同化その他林業労働の効率の増進に関する施設
七 組合員の行う林業の目的に供するための土地(その上にある立木竹を含む。)の売渡し、貸付け又は交換
八 組合員が森林所有者である森林で公衆の保健の用に供するものの保健機能の増進に関する施設
九 組合員の労働力を利用して行う林産物その他の物資の加工に関する施設
十二 組合員の林業労働に係る安全及び衛生に関する施設
十四 林業に関する組合員の技術の向上及び組合の事業に関する組合員の知識の向上を図るための教育並びに組合員に対する一般的情報の提供
十五 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
3 組合員に出資をさせる組合(以下「出資組合」という。)でなければ、第一項第三号に掲げる事業(以下「信託事業」という。)又は前項第十一号に掲げる事業(以下「共済事業」という。)を行うことができない。
4 組合は、正当な理由がないのに、組合員以外の者が林道を利用することを拒んではならない。
5 組合は、前項の場合において利用料の納付その他の条件を付することを妨げない。ただし、第二十五条第一項の規定による分担金を負担させた者に対しては、組合員に付した条件を超える条件を付してはならない。
6 第二項第一号に掲げる事業を行う組合は、森林国営保険法(昭和十二年法律第二十五号)の定めるところにより森林保険に関する事務を取り扱い、若しくは森林組合連合会の行う第百一条第一項第十三号に掲げる事業に関する事務を取り扱い、又は定款で定める金融機関に対して組合員の負担する債務を保証し、若しくはその金融機関の委任を受けてその債権を取り立てることができる。
7 出資組合は、組合員の委託を受けて行うその所有に係る森林の土地で林業以外の目的に供されることが相当と認められるもの(これに附帯するその他の土地を含む。以下この項において同じ。)の売渡し又は区画形質の変更の事業並びに組合員からのその所有に係る森林の土地で林業以外の目的に供されることが相当と認められるものの買入れ及びその買入れに係る土地の売渡し(当該土地の区画形質を変更してする売渡しを含む。)の事業を行うことができる。
8 組合は、定款で定めるところにより、組合員以外の者に林道以外の施設(次項の規定によるものを除く。)を利用させることができる。ただし、一事業年度において組合員並びに他の組合及びその組合員以外の者が利用することができる事業の分量の額は、その事業年度において組合員並びに他の組合及びその組合員が利用するその事業の分量の額を超えてはならない。
9 組合は、組合員のためにする事業の遂行を防げない限度において、定款で定めるところにより、国、地方公共団体その他農林水産省令で定める営利を目的としない法人に第一項第二号に掲げる事業その他農林水産省令で定める事業を、組合員が森林所有者である森林と一体として整備することが必要であると認められる森林(組合の地区内にあるものに限る。)に係る森林所有者に同項に掲げる事業を、それぞれ利用させることができる。
(信託規程)
第十条 組合が信託事業を行おうとするときは、信託規程を定め、行政庁の承認を受けなければならない。
2 前項の信託規程には、信託事業の実施方法及び信託契約に関して農林水産省令で定める事項を記載しなければならない。
3 第一項の信託規程の変更又は廃止は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
(信託法の特例)
第十一条 信託事業を行う組合(以下「信託組合」という。)に森林を信託した組合員は、受益者となり信託の利益の全部を亨受する。
2 信託組合は、他の者と共同して信託の引受けをすることができない。
3 信託組合は、その引き受けた信託に係る事務を他の者に委託して処理させることができない。
4 信託組合は、委託者たる組合員に資金を貸し付ける場合において必要があるときは、信託法(大正十一年法律第六十二号)第二十二条第一項本文の規定にかかわらず、その組合員の信託財産につき抵当権を取得することができる。
第十二条 信託組合については、信託法第二十二条第一項ただし書、第二十三条、第四十六条、第四十七条及び第五十八条に規定する裁判所の権限は、行政庁に属する。
第十三条 信託組合への信託は、信託法第五十六条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。
二 信託法第四十四条の規定により受託者の任務が終了したとき。
三 信託法第四十七条の規定により受託者が解任されたとき。
四 信託組合が解散(合併による解散を除く。)をしたとき、又は第十条第一項の承認の取消しがあつたとき。
第十四条 信託法第二条、第六条から第八条まで、第十五条、第二十四条から第二十六条まで、第四十一条、第四十二条、第四十五条、第四十八条、第四十九条及び第六十六条から第七十三条までの規定は、信託組合への信託については、適用しない。
(倉荷証券の発行)
第十五条 第九条第二項第三号又は第四号に掲げる保管事業を行う組合は、農林水産大臣及び運輸大臣の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷証券を発行することができる。
2 前項の許可の申請は、申請書に農林水産省令、運輸省令で定める書類を添えてしなければならない。
3 第一項の許可を受けた組合は、寄託者の請求により、寄託物の倉荷証券を交付しなければならない。
4 商法(明治三十二年法律第四十八号)第六百二十七条第二項及び第六百二十八条の規定は、第一項の倉荷証券について準用する。
5 倉庫業法(昭和三十一年法律第百二十一号)第八条第二項、第十二条、第十三条第二項及び第三項、第二十二条、第二十六条並びに第二十七条の規定は、第一項の場合について準用する。この場合において、これらの規定の準用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
第十六条 前条第一項の許可を受けた組合の作成する倉荷証券には、その組合の名称を冠する倉荷証券という文字を記載しなければならない。
2 組合でない者の作成する倉荷証券には、森林組合倉荷証券という文字を記載してはならない。
第十七条 組合が倉荷証券を発行した寄託物の保管期間は、寄託の日から六月以内とする。
2 前項の寄託物の保管期間は、六月を限度として更新することができる。ただし、更新の際の証券の所持人が組合員でないときは、組合員の利用に支障がない場合に限る。
第十八条 商法第六百十六条第一項、第六百十七条から第六百十九条まで及び第六百二十四条から第六百二十六条までの規定は、組合が倉荷証券を発行した場合について準用する。
(共済規程)
第十九条 組合が共済事業を行おうとするときは、共済規程を定め、行政庁の承認を受けなければならない。
2 前項の共済規程には、共済事業の種類その他の共済事業の実施方法、共済契約、共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関して農林水産省令で定める事項を記載しなければならない。
3 第一項の共済規程の変更又は廃止は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
(責任準備金)
第二十条 共済事業を行う組合は、農林水産省令で定めるところにより、毎事業年度末において、共済事業の種類ごとに、責任準備金を計算し、これを積み立てなければならない。
(会計の区分経理)
第二十一条 共済事業を行う組合は、共済事業に係る会計を他の事業に係る会計と区分して経理しなければならない。
(財産の運用方法の制限)
第二十二条 共済事業を行う組合の財産で前条の規定により共済事業に係るものとして区分された会計に属するものは、農林水産省令で定める方法によるほか、これを運用してはならない。
(団体協約の効力)
第二十三条 第九条第二項第十五号の団体協約は、書面をもつてすることによつて、その効力を生ずる。
2 組合員の締結する契約であつてその内容が前項の団体協約に定める規準に違反するものについては、その規準に違反する契約の部分は、その規準によつて契約したものとみなす。
(林地処分事業実施規程)
第二十四条 組合が第九条第七項に規定する事業(以下「林地処分事業」という。)を行おうとするときは、林地処分事業実施規程を定め、行政庁の承認を受けなければならない。
2 前項の林地処分事業実施規程には、林地処分事業の実施方法及び林地処分事業に係る契約に関して農林水産省令で定める事項を記載しなければならない。
3 第一項の林地処分事業実施規程の変更又は廃止は、行政庁の承認を受けなければ、その効力を生じない。
(分担金)
第二十五条 組合は、林道を開設し、改良し、又は復旧したときは、都道府県知事の認可を受け、その事業の実施によつて特に利益を受ける者(その組合の組合員を除く。)にその事業に要した費用の一部を負担させることができる。
2 組合は、前項の認可を受けようとするときは、申請書にその事業に関する事業計画書、経費明細書及び受益者別分担金額を記載した書面を添え、その林道の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ同項の受益者の意見を聴かなければならない。
(森林の経営)
第二十六条 出資組合は、組合員の三分の二以上の書面による同意を得て、森林の保続培養及び森林生産力の増進を期するためにはその組合が自ら経営することが相当と認められる森林で、その組合の地区内にあるもの及びこれに併せて経営することを相当とするその組合の地区外にあるものにつき、森林の経営(委託又は信託を受けて行うものを除く。)及びこれに附帯する事業を行うことができる。
2 出資組合の行う前項の事業に常時従事する者の三分の一以上は、その組合の組合員又は組合員と同一の世帯に属する者でなければならない。