(元方事業主の義務)
第五十七条 建設業(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業をいう。)その他労働省令で定める事業の事業主で一の場所において行なう当該事業の仕事の一部を請負人に請け負わせているものは、その労働者及び当該請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行なわれる場合には、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者が当該場所において作業を行なう場合には、労働省令で定めるところにより、当該労働者の作業が同一の場所において行なわれることによつて生ずる労働災害を防止するため、統轄管理者の選任、協議組織の設置、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視その他必要な措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行なわれることにより同項の措置を講ずべき事業主が二以上あることとなる場合において、甲事業主の労働者に関し乙事業主が同項の措置を講ずべきときは、甲事業主については、適用しない。
3 第一項の事業の仕事の発注者(同項の措置を講ずべき者を除く。)は、一の場所において行なわれる同項の事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせている場合において、当該場所において当該仕事に係る二以上の請負人の労働者が作業を行なうときは、労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行なう事業主であるもののうちから、第一項に規定する措置を講ずべき者として一人を指名しなければならない。一の場所において行なわれる同項の事業の仕事の全部を請け負つた者(同項の措置を講ずべき者を除く。)で、当該仕事を二以上の請負人に請け負わせているものについても、同様とする。
4 前項の指名がされたときは、当該指名された事業主は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関して第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業主及び当該指名された事業主以外の事業主については、第一項の規定は、適用しない。
5 第三項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、都道府県労働基準局長がする。
6 都道府県労働基準局長は、労働省令で定めるところにより、前項の権限を労働基準監督署長に行なわせることができる。
(建設物等についての注文者の義務)
第五十八条 前条第一項の事業の仕事を自ら行なう注文者は、建設物若しくは設備又は原料若しくは材料(以下「建設物等」という。)を、当該仕事を行なう場所においてその請負人(当該仕事が数次の請負契約によつて行なわれる場合には、当該請負人の請負契約の後次のすべての請負契約の当事者である請負人を含む。)の労働者に使用させる場合には、当該建設物等について、労働省令で定めるところにより、当該労働者の労働災害を防止するための措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、当該事業の仕事が数次の請負契約によつて行なわれることにより同一の建設物等について同項の措置を講ずべき注文者が二以上あることとなる場合には、後次の請負契約の当事者である注文者については、適用しない。
(請負人等の義務)
第五十九条 第五十七条第一項又は第四項の場合において、同条の規定により同条第一項に規定する措置を講ずべき事業主(以下「元方事業主」という。)以外の請負人で当該仕事を自ら行なうものは、同条第一項又は第四項の規定に基づき講ぜられる措置に応じ、労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
2 前条第一項の場合において、当該建設物等を使用する労働者の使用者である請負人は、同項の規定に基づき講ぜられる措置に応じ、労働省令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。
3 第五十七条第一項若しくは第四項又は前条第一項の場合において、労働者は、これらの規定又は前二項の規定に基づき講ぜられる措置に応じ、労働省令で定めるところにより、必要な事項を守らなければならない。
4 第一項及び第二項の請負人並びに前項の労働者は、元方事業主、注文者又は請負人が第五十七条第一項若しくは第四項、前条第一項又はこの条第一項若しくは第二項の規定に基づく措置の実施を確保するためにする指示に従わなければならない。
(建設物等についての命令)
第六十条 都道府県労働基準局長は、第五十八条の規定により同条第一項に規定する措置を講ずべき注文者がその措置を講じていない場合には、当該注文者に対して、当該建設物等の全部又は一部の使用の停止、変更その他必要な事項を命ずることができる。
2 都道府県労働基準局長は、前項の規定により注文者に命じた事項について必要な事項を使用者又は労働者に命ずることができる。
3 第五十七条第六項の規定は、前二項の権限に準用する。