(特定建築主の努力)
第二条 病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店その他の不特定かつ多数の者が利用する政令で定める建築物(建築物の部分を含む。以下「特定建築物」という。)を建築しようとする者(建築物の用途を変更して特定建築物としようとする者を含む。以下「特定建築主」という。)は、出入口、廊下、階段、昇降機、便所その他の建設省令で定める施設(以下「特定施設」という。)を高齢者で日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受けるもの、身体障害者その他日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者(以下単に「高齢者、身体障害者等」という。)が円滑に利用できるようにするための措置を講ずるよう努めなければならない。
(特定建築主の判断の基準となるべき事項)
第三条 建設大臣は、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進を図るため、特定施設を高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための措置に関し特定建築主の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。
(指導及び助言並びに指示等)
第四条 都道府県知事は、特定建築物について第二条に規定する措置の適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定建築主に対し、前条に規定する判断の基準となるべき事項を勘案して、特定建築物の設計及び施工に係る事項について必要な指導及び助言をすることができる。
2 都道府県知事は、特定建築物のうち政令で定める規模以上のものの特定施設を高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための措置が前条に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、特定建築主に対し、その判断の根拠を示して、当該特定建築物の設計及び施工に係る事項のうち特定施設を高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするための措置に関するものについて必要な指示をすることができる。
3 都道府県知事は、前項の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、特定建築主に対し、特定建築物の設計及び施工に係る事項に関し報告させ、又はその職員に、特定建築物若しくは特定建築物の工事現場に立ち入り、特定建築物、建築設備、書類その他の物件を検査させることができる。
4 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
5 第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(計画の認定)
第五条 特定建築主は、建設省令で定めるところにより、特定建築物の建築及び維持保全の計画を作成し、都道府県知事の認定を申請することができる。
2 前項の計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
二 特定建築物の延べ面積、構造方法及び用途並びに敷地面積
三 特定建築物に設ける特定施設の構造及び配置並びに維持保全に関する事項
3 都道府県知事は、第一項の申請があった場合において、特定施設の構造及び配置並びに維持保全に関する事項が第三条に規定する判断の基準となるべき事項に適合し、かつ、前項第四号に規定する資金計画が特定建築物の建築の事業を確実に遂行するため適切なものであると認めるときは、認定(以下「計画の認定」という。)をすることができる。
4 計画の認定の申請をする者は、都道府県知事に対し、当該申請に併せて、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項(同法第八十七条第一項において準用する場合を含む。第七項において同じ。)の規定による確認の申請書を提出して、当該申請に係る特定建築物の建築の計画が当該特定建築物の敷地、構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定に適合する旨の建築主事の通知(第七項及び第八項において「適合通知」という。)を受けるよう申し出ることができる。
5 前項の申出を受けた都道府県知事は、速やかに当該申出に係る特定建築物の建築の計画を建築主事に通知しなければならない。
6 建築基準法第十八条第三項の規定は、建築主事が前項の通知を受けた場合について準用する。
7 都道府県知事が、適合通知を受けて計画の認定をしたときは、当該計画の認定に係る特定建築物の建築の計画は、建築基準法第六条第一項の規定による確認を受けたものとみなす。
8 建築基準法第九十三条及び第九十三条の二の規定は、建築主事が適合通知をする場合について準用する。
(計画の変更)
第六条 計画の認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)は、当該計画の認定を受けた計画の変更(建設省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、都道府県知事の認定を受けなければならない。
(報告の徴収)
第七条 都道府県知事は、認定事業者に対し、計画の認定を受けた計画(前条第一項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。次条において同じ。)に係る特定建築物(以下「認定建築物」という。)の建築又は維持保全の状況について報告を求めることができる。
(改善命令)
第八条 都道府県知事は、認定事業者が計画の認定を受けた計画に従って認定建築物の建築又は維持保全を行っていないと認めるときは、当該認定事業者に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(計画の認定の取消し)
第九条 都道府県知事は、認定事業者が前条の規定による処分に違反したときは、計画の認定を取り消すことができる。
(資金の確保等)
第十条 国及び地方公共団体は、認定建築物の特定施設を高齢者、身体障害者等が円滑に利用できるようにするため必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
(既存の特定建築物に設ける昇降機についての建築基準法の特例)
第十一条 この法律の施行の際現に存する特定建築物に専ら車いすを使用している者の利用に供する昇降機を設置する場合において、当該昇降機が次に掲げる基準に適合し、特定行政庁(建築基準法第二条第三十二号に規定する特定行政庁をいう。次項において同じ。)が防火上及び避難上支障がないと認めたときは、当該昇降機については、同法第二十七条第一項、第六十一条及び第六十二条第一項の規定は適用しない。
一 昇降機及び当該昇降機の設置に係る特定建築物の主要構造部の部分の構造が建設省令で定める安全上及び防火上の基準に適合していること。
二 昇降機の制御方法及びその作動状態の監視方法が建設省令で定める安全上の基準に適合していること。
2 建築基準法第九十三条第一項本文及び第二項の規定は、前項の規定により特定行政庁が防火上及び避難上支障がないと認める場合について準用する。