船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律
法令番号: 法律第127号
公布年月日: 昭和42年8月1日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

船舶による海水の油濁防止対策として、一定の総トン数以上の船舶に対する油の廃棄規制を実施するとともに、船舶の廃油処理施設の整備を促進するため本法案を提出するものである。また、これらの施策を実施するために必要な財政融資や補助金支出等の予算措置を講ずることとしている。本法案は、運輸公害対策の一環として、海洋環境の保全を図ることを目的としている。

参照した発言:
第55回国会 参議院 産業公害及び交通対策特別委員会 第2号

審議経過

第55回国会

参議院
衆議院
参議院
衆議院
(昭和42年6月23日)
参議院
(昭和42年7月20日)
(昭和42年7月21日)
船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和四十二年八月一日
内閣総理大臣 佐藤栄作
法律第百二十七号
船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
船舶からの油の排出の規制(第五条―第十条)
第三章
廃油処理事業等(第十一条―第二十六条)
第四章
雑則(第二十七条―第三十四条)
第五章
罰則(第三十五条―第四十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、船舶から海上に油を排出することを規制し、あわせて廃油処理事業等の適正な運営を確保するとともに廃油処理施設の整備を促進することにより、船舶の油による海水の汚濁を防止することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「油」とは、原油、重油(運輸省令で定める重ディーゼル油を含む。以下同じ。)及び潤滑油並びにこれらの油の含有量が一万立方センチメートルにつき一立方センチメートル以上である油性混合物(以下単に「油性混合物」という。)をいう。
2 この法律において、「船舶」とは、海上航行の用に供する船舟類をいう。
3 この法律において「油送船」とは、その貨物艙の大部分がばら積みの液体貨物の輸送のための構造を有する船舶(もつぱらばら積みの油以外の貨物の輸送の用に供されるものを除く。)をいう。
4 この法律において「ビルジ排出防止装置」とは、船舶内に存する重油が船底に流入し、又はビルジ(船底にたまる油性混合物をいう。以下同じ。)が船舶から海上に排出されることを防止するための装置をいう。
5 この法律において「廃油」とは、船舶内において生じた不要な油をいう。
6 この法律において「廃油処理施設」とは、廃油の処理(廃油を生じた船舶内でする処理を除く。以下同じ。)の用に供する設備(以下「廃油処理設備」という。)であつて、その処理をする者の管理に属するものの総体をいう。
7 この法律において「廃油処理事業」とは、一般の需要に応じ、廃油処理施設により廃油の処理をする事業をいう。
8 この法律において「廃油処理事業者」とは、廃油処理事業を行なうことについて第十一条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をした者をいう。
9 この法律において「港湾管理者」とは、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。
(法の適用)
第三条 この法律のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に、船長に関する規定は、船長に代わつてその職務を行なう者に適用する。
(海水の汚濁の防止)
第四条 何人も、船舶から海上に油を排出することにより、海水を汚濁しないように努めなければならない。
第二章 船舶からの油の排出の規制
(船舶からの油の排出の禁止)
第五条 船舶(次条に規定するものを除く。)は、次の海域において抽を排出してはならない。
一 本邦(本州、北海道、四国、九州及び運輸省令で定めるその附属の島をいう。以下同じ。)の海岸の基線(千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約(以下「条約」という。)附属書A(1)に規定する基線をいう。)から五十海里以内の海域(港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)に基づく港の区域を含む。)
二 本邦及び外国の沿岸海域であつて、政令で定めるもの
2 前項の規定は、油送船以外の船舶又は平水区域若しくは沿海区域を航行区域とする油送船(これに準ずる運輸省令で定める油送船を含む。)が次の各号の一に該当する場合における当該船舶からのその運航又は修理に関し必要な油の排出には、適用しない。
一 廃油処理施設が整備されていない港であつて運輸省令で定めるもの(以下この項において「施設未整備港」という。)に入港するため当該港に向つて航行中の場合(施設未整備港以外の港において航行中の場合を除く。)
二 施設未整備港において航行中の場合(施設未整備港以外の港に入港するため当該港に向つて航行中の場合を除く。)
3 前項に規定する抽の排出は、海岸からできる限り離れて行なわなければならない。
第六条 総トン数二万トン以上の船舶であつて条約が日本国について効力を生ずる日(以下「条約発効日」という。)以後に建造契約が結ばれたものは、いかなる海域(港則法に基づく港の区域を含む。)においても油を排出してはならない。ただし、特別の事情により油を船舶内に保留することが適当でないと認められる場合であつて運輸省令で定める場合における前条第一項に規定する海域の外においての油の排出については、この限りでない。
2 前項に規定する船舶が同項ただし書に規定する油の排出をしたときは、当該船舶の船長は、運輸省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を運輸大臣に報告しなければならない。
第七条 前二条の規定は、次の各号の一に該当する油の排出には、適用しない。
一 船舶の安全を確保し、船舶若しくは積荷の損傷を防止し、又は海上において人命を救助するための油の排出
二 船舶の損傷その他やむを得ない原因による油の排出。ただし、当該油の排出を防止し、又は減少させるための措置をとつた場合に限る。
三 船舶の使用する重油又は潤滑油の清浄化により生ずる残留物の当該船舶からの排出
四 原油、重油及び船舶の機関室以外の場所から流出した潤滑油を含まないビルジの排出
五 捕鯨業に従事する船舶が現に捕鯨作業に使用されている場合の当該船舶からの油の排出
2 前項第三号の残留物の排出は、海岸からできる限り離れて行なわなければならない。
(ビルジ排出防止装置)
第八条 船舶所有者は、運輸省令で定めるビルジ排出防止装置を船舶に設置しなければならない。ただし、当該船舶の推進のために油を燃料として使用しない船舶については、この限りでない。
(油記録簿)
第九条 船長(もつぱら他の船舶に引かれ、又は押されて航行する船舶(以下「引かれ船等」という。)にあつては、船舶所有者。次項及び第三項において同じ。)は、油記録簿を船舶内(引かれ船等にあつては、当該船舶を管理する船舶所有者の事務所。第三項において同じ。)に備え付けなければならない。ただし、油送船以外の船舶であつて当該船舶の推進のために油を燃料として使用しないものについては、この限りでない。
2 船長は、当該船舶に係る油の排出又は油に関する作業であつて、運輸省令で定めるものが行なわれたときは、そのつど、前項の油記録簿に運輸省令で定める事項を記載しなければならない。
3 船長は、第一項の油記録簿をその最後の記載をした日から二年間船舶内に保存しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、油記録簿の様式その他油記録簿に関し必要な事項は、運輸省令で定める。
(適用除外)
第十条 第五条及び前二条の規定は、油送船以外の船舶であつて総トン数五百トン未満のもの及び総トン数百五十トン未満の油送船には、適用しない。
2 前二条の規定は、日本船舶(船舶法(明治三十二年法律第四十六号)第一条に規定する日本船舶をいう。)以外の船舶には、適用しない。
第三章 廃油処理事業等
(事業の許可及び届出)
第十一条 港湾管理者以外の者は、廃油処理事業を行なおうとするときは、事業区域ごとに、運輸大臣の許可を受けなければならない。
2 港湾管理者は、廃油処理事業を行なおうとするときは、その廃油処理設備の設置の工事の開始の日(工事を要しないときは、その事業の開始の日)の六十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
第十二条 前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を運輸大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつてはその代表者の氏名及び住所
二 事業区域
三 当該事業の用に供する廃油処理設備に関する次の事項
イ 設置の場所(船舶の場合にあつては、主たる根拠地)
ロ 種類及び能力
ハ 処理する廃油の種類
2 前条第二項の規定による届出をする港湾管理者は、前項第三号の事項を記載した届出書を運輸大臣に提出しなければならない。
3 第一項の申請書又は前項の届出書には、事業計画書、廃油処理設備の工事設計書その他の運輸省令で定める書類を添附しなければならない。
(許可の欠格条項)
第十三条 次の各号の一に該当する者は、第十一条第一項の許可を受けることができない。
一 この法律の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から一年を経過しない者
二 第二十四条第一項の規定により第十一条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない者
三 法人で、その業務を行なう役員のうちに前二号の一に該当する者があるもの
(許可の基準)
第十四条 運輸大臣は、第十一条第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 当該事業の開始が当該事業区域に係る一般の需要に適合するものであること。
二 当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。
三 当該事業の用に供する廃油処理設備が運輸省令で定める技術上の基準に適合するものであること。
四 当該事業を適確に遂行するに足りる能力を有するものであること。
(事業開始前の廃油処理設備の変更命令)
第十五条 運輸大臣は、第十一条第二項の規定による届出があつた場合において、当該事業の用に供する廃油処理設備が前条第三号の運輸省令で定める技術上の基準に適合するものでないと認めるときは、その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その事業の開始前)に限り、その届出をした港湾管理者に対し、廃油処理設備の工事設計の変更(工事を要しないときは、修理又は改造)をすべきことを命ずることができる。
(事業開始の届出)
第十六条 廃油処理事業者は、事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(廃油処理規程)
第十七条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、廃油の処理の料金その他の廃油の処理の条件について廃油処理規程を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 港湾管理者たる廃油処理事業者は、廃油の処理の料金その他の廃油の処理の条件について廃油処理規程を定め、あらかじめ、運輸大臣に届け出なければならない。これを変更するときも、同様とする。
3 前二項の廃油処理規程は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 料金が能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。
二 料金が定率又は定額をもつて明確に定められていること。
三 料金の収受及び廃油処理事業者の責任に関する事項が適正かつ明確に定められていること。
四 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。
(廃油の処理の引受義務)
第十八条 廃油処理事業者は、正当な理由がなければ、廃油の処理の引受けを拒絶してはならない。
(廃油処理設備の変更)
第十九条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、第十二条第一項第三号の事項を変更しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。ただし、同号の事項の変更であつて運輸省令で定める軽微なものをしようとするときは、この限りでない。
2 第十四条の規定は、前項の許可に準用する。
3 港湾管理者たる廃油処理事業者は、第十二条第一項第三号の事項を変更しようとするときは、その変更に必要な廃油処理設備の変更の工事の開始の日(工事を要しないときは、その変更の日)の三十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。ただし、第一項ただし書の運輸省令で定める変更をしようとするときは、この限りでない。
4 第十五条の規定は、前項の規定による届出があつた場合に準用する。この場合において、同条中「その事業の開始前」とあるのは、「その変更前」と読み替えるものとする。
5 第一項の許可を受け、又は第三項の規定による届出をした廃油処理事業者は、その許可又は届出に係る第十二条第一項第三号の事項を変更したときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
6 廃油処理事業者は、第一項ただし書の運輸省令で定める変更をしたときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(氏名等の変更)
第二十条 港湾管理者以外の廃油処理事業者は、第十二条第一項第一号の事項に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(廃油処理設備の維持等)
第二十一条 廃油処理事業者は、当該事業の用に供する廃油処理設備を第十四条第三号の運輸省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。
2 廃油処理事業者は、廃油の処理の方法に関し運輸省令で定める技術上の基準に従つて廃油を処理しなければならない。
3 運輸大臣は、当該事業の用に供する廃油処理設備又は当該事業における廃油の処理の方法が、第十四条第三号又は前項の運輸省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、廃油処理事業者に対し、その技術上の基準に適合するように当該事業の用に供する廃油処理設備を修理し、若しくは改造し、又はその技術上の基準に従つて廃油を処理すべきことを命ずることができる。
(承継)
第二十二条 港湾管理者以外の廃油処理事業者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、廃油処理事業者の地位を承継する。
2 前項の規定により廃油処理事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業の休止及び廃止)
第二十三条 廃油処理事業者は、事業の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、運輸省令で定めるところにより、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
(事業の許可の取消し等)
第二十四条 運輸大臣は、港湾管理者以外の廃油処理事業者が次の各号の一に該当するときは、六月以内の期間を定めて事業の停止を命じ、又は第十一条第一項の許可を取り消すことができる。
一 この法律又はこの法律に基づく処分に違反したとき。
二 正当な理由がないのに認可を受けた事項を実施しないとき。
三 第十三条第一号又は第三号に該当することとなつたとき。
2 運輸大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、当該処分に係る者に対し、相当な期間をおいて予告した上、公開による聴聞を行なわなければならない。
3 前項の予告においては、期日、場所及び事案の内容を示さなければならない。
4 聴聞に際しては、当該処分に係る者及び利害関係人に対し、当該事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(自家用廃油処理施設)
第二十五条 廃油処理事業の用に供する廃油処理施設以外の廃油処理施設(運輸省令で定める小規模のものを除く。以下「自家用廃油処理施設」という。)により廃油の処理を行なおうとする者は、その廃油処理設備の設置の工事の開始の日(工事を要しないときは、その廃油の処理の開始の日)の六十日前までに、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。
2 第十二条第一項(同項第二号に係る部分を除く。)及び第三項の規定は、前項の規定による届出に準用する。
3 第十五条の規定は、第一項の規定による届出があつた場合に準用する。この場合において、同条中「その事業の開始前」とあるのは、「その廃油の処理の開始前」と読み替えるものとする。
(準用規定)
第二十六条 第十六条、第十九条第三項から第六項まで及び第二十条から第二十三条までの規定は、前条第一項の規定による届出をした者(以下「自家用廃油処理施設の設置者」という。)に準用する。
第四章 雑則
(港湾管理者への勧告)
第二十七条 運輸大臣は、港湾管理者の管理する港湾において廃油処理施設の整備が十分に行なわれていない場合であつて、船舶の油による海水の汚濁の防止のため必要があると認めるときは、当該港湾管理者に対し、廃油処理施設を整備すべきことを勧告することができる。
(港湾管理者に対する補助)
第二十八条 国は、必要があると認めるときは、廃油処理施設の建設又は改良を行なう港湾管理者に対し、予算の範囲内において、その建設又は改良に要する費用の十分の五を補助するものとする。
(報告の徴収)
第二十九条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、船舶所有者又は船長に対し、当該船舶に係る油の排出又は油に関する作業に関し報告をさせることができる。
2 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、運輸省令で定めるところにより、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者に対し、その事業又はその廃油処理施設による廃油の処理に関し報告をさせることができる。
(立入検査)
第三十条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、船舶又は引かれ船等を管理する船舶所有者の事務所に立ち入り、ビルジ排出防止装置、油記録簿その他の物件を検査させることができる。
2 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者の事務所その他の事業場に立ち入り、廃油処理設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(油記録簿の写しの証明)
第三十一条 運輸大臣は、この法律の施行に必要な限度において、前条第一項の規定により船舶又は引かれ船等を管理する船舶所有者の事務所に立ち入つた職員に、その職員が作成した油記録簿の記載事項の写しが真正である旨の証明を船長又は引かれ船等の船舶所有者に対して求めさせることができる。
(国の援助)
第三十二条 国は、船舶の油による海水の汚濁の防止に資するため、ビルジ排出防止装置及び廃油処理施設の設置又は改善につき必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。
(研究の推進等)
第三十三条 国は、船舶からの油の排出の防止及び廃油の処理に関する技術の研究その他船舶の油による海水の汚濁の防止に関する研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。
(職権の委任)
第三十四条 この法律の規定により運輸大臣の職権に属する事項は、運輸省令で定めるところにより、海運局長に行なわせることができる。
第五章 罰則
第三十五条 第十一条第一項の規定に違反して廃油処理事業を行なつた者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
第三十六条 第五条第一項又は第六条第一項の規定の違反となるような行為をした者は、三月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。
一 港湾管理者以外の廃油処理事業者であつて、第十八条の規定に違反したもの
二 第十九条第一項の規定に違反して第十二条第一項第三号の事項を変更した者
三 港湾管理者以外の廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者であつて、第二十一条第三項(第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したもの
四 第二十四条第一項の規定による事業の停止の命令に違反した者
五 第二十五条第三項において、又は第二十六条において準用する第十九条第四項において、それぞれ準用する第十五条の規定による命令に違反した者
第三十八条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第八条の規定に違反して船舶を航行の用に供した者
二 港湾管理者以外の廃油処理事業者であつて、第十七条第一項の規定による認可を受けないで、又は認可を受けた廃油処理規程によらないで廃油を処理したもの
三 第二十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第三十九条 次の各号の一に該当する者は、一万円以下の罰金に処する。
一 第六条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
二 第九条第一項又は第三項の規定に違反した者
三 第九条第二項の規定により油記録簿に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をした者
四 港湾管理者以外の廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者であつて、第十六条、第十九条第五項、第二十二条第二項又は第二十三条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたもの
五 第二十六条において準用する第十九条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
六 第二十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
七 第三十条第一項又は第二項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
八 第三十一条の規定による証明を拒み、又は忌避した者
第四十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前五条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、各本条の罰金刑を科する。
第四十一条 港湾管理者以外の廃油処理事業者又は自家用廃油処理施設の設置者であつて、第十九条第六項又は第二十条(これらの規定を第二十六条において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたものは、一万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。ただし、第五条から第七条まで及び第九条の規定は条約発効日から、第八条の規定は条約発効日の翌日から起算して一年を経過した日から施行する。
(船舶からの油の排出の禁止に関する規定の適用)
第二条 第五条の規定は、次の各号に掲げる日までの間は、当該各号に掲げる船舶からの油の排出には、適用しない。
一 条約発効日の翌日から起算して三年を経過する日 油送船以外の船舶からの油の排出
二 条約発効日の翌日から起算して一年を経過する日 油送船からのビルジの排出
2 前項(同項第一号に係る部分に限る。)の場合において、油の排出は、海岸からできる限り離れて行なわなければならない。ただし、条約発効日の翌日から起算して一年を経過する日までの間におけるビルジの排出については、この限りでない。
3 第六条の規定は、条約発効日の翌日から起算して一年を経過する日までの間は、ビルジの排出には、適用しない。
(廃油処理事業に関する経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に廃油処理事業を行なつている者は、第十一条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をしたものとみなす。
2 前項の規定により第十一条第一項の許可を受け、又は同条第二項の規定による届出をしたものとみなされた者(以下「既存廃油処理事業者」という。)は、この法律の施行の日から起算して一月以内に、第十二条第一項各号(港湾管理者たる既存廃油処理事業者にあつては、同項第三号)の事項を記載した届出書に事業の概況及び廃油処理設備の状況を記載した書類その他の運輸省令で定める書類を添附して、運輸大臣に提出しなければならない。
第四条 この法律の施行の際現に、廃油処理事業の用に供する廃油処理設備(以下「事業用廃油処理設備」という。)の設置の工事を行なつており、又はこの法律の施行の日から起算して三月を経過した日前に、事業用廃油処理設備の設置の工事を開始し、若しくは事業用廃油処理設備の設置の工事を行なわないで廃油処理事業を開始する港湾管理者(既存廃油処理事業者を除く。)に対する第十一条第二項の規定の適用については、同項中「その廃油処理設備の工事の開始の日(工事を要しないときは、その事業の開始の日)の六十日前まで」とあるのは、「この法律の施行の日から起算して一月以内」とする。
2 前項の規定により読み替えられた第十一条第二項の規定による届出をして港湾管理者たる廃油処理事業者に対する第十五条の規定の適用については、同条中「その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その事業の開始前)」とあるのは、「その事業開始前」とする。
第五条 港湾管理者以外の既存廃油処理事業者は、第十七条第一項の規定にかかわらず、この法律の施行の日から起算して三月間は、廃油処理規程の認可を受けなくても、廃油を処理することができる。その者がその期間内に同項の認可を申請した場合において、認可があつた旨又は認可しない旨の通知を受ける日までも、同様とする。
2 港湾管理者たる既存廃油処理事業者に対する第十七条第二項の規定の適用については、同項中「あらかじめ」とあるのは、「この法律の施行の日から起算して三月以内に」とする。
第六条 この法律の施行の際現に第十二条第一項第三号の事項を変更するため事業用廃油処理設備の変更の工事を行なつており、又はこの法律の施行の日から起算して二月を経過した日前に、同号の事項を変更するため事業用廃油処理設備の変更の工事を開始し、若しくは事業用廃油処理設備の変更の工事を行なわないで同号の事項を変更する港湾管理者たる廃油処理事業者に対する第十九条第三項の規定の適用については、同項中「その変更に必要な廃油処理設備の変更の工事の開始の日(工事を要しないときは、その変更の日)の三十日前まで」とあるのは、「この法律の施行の日から起算して一月以内」とする。
2 前項の規定により読み替えられた第十九条第三項の規定による届出をした港湾管理者たる廃油処理事業者に対する同条第四項において準用する第十五条の規定の適用については、同項の規定により読み替えられた同条中「その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その変更前)」とあるのは、「その変更前」とする。
(自家用廃油処理施設に関する経過措置)
第七条 この法律の施行の際現に自家用廃油処理施設により廃油の処理を行なつている者は、第二十五条第一項の規定による届出をしたものとみなす。
2 附則第三条第二項の規定は、前項の規定により第二十五条第一項の規定による届出をしたものとみなされた者(以下「既存自家用廃油処理施設の設置者」という。)に準用する。この場合において、附則第三条第二項中「第十二条第一項各号(港湾管理者たる既存廃油処理事業者にあつては、同項第三号)」とあるのは、「第十二条第一項第一号及び第三号」と読み替えるものとする。
第八条 この法律の施行の際現に事業用廃油処理設備以外の廃油処理設備(以下「自家用廃油処理設備」という。)の設置の工事を行なつており、又はこの法律の施行の日から起算して三月を経過した日前に、自家用廃油処理設備の設置の工事を開始し、若しくは自家用廃油処理設備の設置の工事を行なわないで自家用廃油処理施設による廃油の処理を開始する者(既存自家用廃油処理施設の設置者を除く。)に対する第二十五条第一項の規定の適用については、同項中「その廃油処理設備の設置の工事の開始の日(工事を要しないときは、その廃油の処理の開始の日)の六十日前まで」とあるのは、「この法律の施行の日から起算して一月以内」とする。
2 前項の規定により読み替えられた第二十五条第一項の規定による届出をした自家用廃油処理施設の設置者に対する同条第三項において準用する第十五条の規定の適用については、同項の規定により読み替えられた同条中「その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その廃油の処理の開始前)」とあるのは、「その廃油の処理の開始前」とする。
第九条 この法律の施行の際現に第十二条第一項第三号の事項を変更するため自家用廃油処理設備の変更の工事を行なつており、又はこの法律の施行の日から起算して二月を経過した日前に、同号の事項を変更するため自家用廃油処理設備の変更の工事を開始し、若しくは自家用廃油処理設備の変更の工事を行なわないで同号の事項を変更する自家用廃油処理施設の設置者に対する第二十六条において準用する第十九条第三項の規定の適用については、同項中「その変更に必要な廃油処理設備の変更の工事の開始の日(工事を要しないときは、その変更の日)の三十日前まで」とあるのは、「この法律の施行の日から起算して一月以内」とする。
2 前項の規定により読み替えられた第二十六条において準用する第十九条第三項の規定による届出をした自家用廃油処理施設の設置者に対する第二十六条において準用する第十九条第四項において準用する第十五条の規定の適用については、第二十六条において準用する同項の規定により読み替えられた第十五条中「その届出に係る工事の開始前(工事を要しないときは、その変更前)」とあるのは、「その変更前」とする。
(経過措置に関する罰則)
第十条 港湾管理者以外の既存廃油処理事業者又は既存自家用廃油処理施設の設置者であつて、附則第三条第二項(附則第七条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して届出書を提出せず、又は虚偽の届出書を提出したものは、一万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して、同項の刑を科する。
(運輸省設置法の一部改正)
第十一条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第十四号の十一の次に次の一号を加える。
十四の十二 廃油処理事業及び自家用廃油処理施設に関し、許可し、認可し、又は必要な処分をすること。
第二十二条第一項第十七号の二の次に次の一号を加える。
十七の三 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)の施行に関すること(港湾局の所掌に属するものを除く。)。
第二十六条第一項第十号の二の次に次の一号を加える。
十の三 港湾管理者の行なう廃油処理事業に関すること。
第四十条第一項第二十二号の三の次に次の一号を加える。
二十二の四 廃油処理事業及び自家用廃油処理施設に関すること。
(港湾法の一部改正)
第十二条 港湾法の一部を次のように改正する。
第二条第五項第九号の次に次の一号を加える。
九の二 廃油処理施設 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第二条第六項に規定する廃油処理施設(港湾役務提供用船舶を除く。)
第二条第五項第十三号中「並びに船舶のための給水、給油及び給炭の用に供する船舶」を「、船舶のための給水、給油及び給炭の用に供する船舶並びに船舶の廃油の処理の用に供する船舶」に改める。
第十二条第一項第八号中「補助」の下に「、船舶の廃油の処理」を加える。
(地方税法の一部改正)
第十三条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
附則に第九十八項として次の一項を加える。
(廃油処理施設に対して課する固定資産税に関する特例)
98 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第十一条第一項の許可を受けた者又は同法第二十五条第一項の規定による届出をした者が昭和四十二年一月二日から昭和四十五年一月一日までの間に新設した同法第二条第六項に規定する廃油処理施設で政令で定めるもの(第三百四十九条の三第六項の規定の適用を受けるものを除く。)に対して課する固定資産税の課税標準は、第三百四十九条の二の規定にかかわらず、当該施設に対して新たに固定資産税が課されることとなつた年度から三年度分の固定資産税に限り、当該施設に対して課する固定資産税の課税標準となるべき価格の二分の一の額とする。
(船舶整備公団法の一部改正)
第十四条 船舶整備公団法(昭和三十四年法律第四十六号)の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
13 この法律において「ビルジ排出防出装置」とは、船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律(昭和四十二年法律第百二十七号)第二条第四項に規定するビルジ排出防止装置をいう。
第十三条第二号中「若しくは港湾運送用荷役機械」を「、港湾運送用荷役機械若しくはビルジ排出防止装置」に改める。
第十九条中第十六号を第十七号とし、第十五号の次に次の一号を加える。
十六 ビルジ排出防止装置を船舶に設置しようとする者に対し、その設置に必要な資金を貸し付けること。
法務大臣 田中伊三次
大蔵大臣 水田三喜男
運輸大臣 大橋武夫
自治大臣 藤枝泉介
内閣総理大臣 佐藤栄作