(安定価格の決定)
第三条 農林大臣は、政令で定めるところにより、毎会計年度、当該年度の開始前に、次の安定価格を定めるものとする。
2 安定価格は、原料乳及び指定乳製品にあつては生産者の販売価格について、指定食肉にあつては中央卸売市場における売買価格について定めるものとする。
3 安定基準価格及び安定下位価格は、その額を下つて原料乳、指定乳製品及び指定食肉の価格が低落することを防止することを目的として定めるものとし、安定上位価格は、その額をこえて指定乳製品及び指定食肉の価格が騰貴することを防止することを目的として定めるものとする。
4 安定価格は、原料乳又は指定食肉(当該家畜を含む。)については、これらの生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、指定乳製品については、その生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して定めるものとする。
5 農林大臣は、安定価格を定めようとするときは、あらかじめ畜産物価格審議会の意見を聞かなければならない。
6 農林大臣は、安定価格を定めたときは、遅滞なく、これを告示するものとする。
(安定価格の改定)
第四条 農林大臣は、物価その他の経済事情に著しい変動が生じ又は生ずるおそれがある場合において、特に必要があると認めるときは、安定価格を改定することができる。
2 前条第五項及び第六項の規定は、前項の場合について準用する。
(原料乳の価格に関する勧告)
第五条 農林大臣又は都道府県知事は、政令で定めるところにより、乳業者(酪農振興法(昭和二十九年法律第百八十二号)第二条第二項の乳業を行なう者をいう。以下同じ。)が安定基準価格に達しない価格で原料乳を買い入れ、又は買い入れるおそれがあると認めるときは、当該乳業者に対し、その価格を少なくとも安定基準価格に達するまで引き上げるべき旨を勧告することができる。
2 農林大臣又は都道府県知事は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表することができる。
(指定乳製品の生産等に関する計画)
第六条 生乳生産者団体(生乳の生産者が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合又は農業協同組合連合会をいう。以下同じ。)は、原料乳の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあると認められる場合は、その価格を回復し又は維持することを目的として、その構成員の生産する原料乳を原料とする指定乳製品の生産(他に委託する生産を含む。)に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができる。
2 次の各号の一に該当する者は、指定乳製品の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあると認められる場合は、その価格を回復し又は維持することを目的として、その者又はその構成員の生産する指定乳製品(他に委託して生産するものを含む。)の保管又は販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができる。
三 乳業者たる農業協同組合又は農業協同組合連合会が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合連合会
3 指定食肉に係る家畜の生産者が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合又は農業協同組合連合会は、指定食肉の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあると認められる場合は、その価格を回復し又は維持することを目的として、その構成員の生産する家畜(当該団体の委託を受けて生産するものを含む。)に係る指定食肉の保管又は販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができる。
4 鶏卵その他原料乳、指定乳製品及び指定食肉以外の主要な畜産物であつて政令で定めるもの(以下「鶏卵等」という。)の生産者が直接又は間接の構成員となつている農業協同組合又は農業協同組合連合会は、鶏卵等の価格が著しく低落し又は低落するおそれがあると認められる場合は、その価格を回復し又は維持することを目的として、その構成員の生産する鶏卵等の保管又は販売に関する計画を定め、農林大臣の認定を受けることができる。
5 農林大臣は、前四項の計画が農林省令で定める基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。
6 農林大臣は、生乳生産者団体が第一項の認定を受けた他に委託する指定乳製品の生産に関する計画を実施しようとする場合において、畜産振興事業団があつせんしてもなお当該計画に係る乳業者が、正当な理由がないのにその生産の委託に応じないときは、その生乳生産者団体の申出により、当該乳業者に対し、その委託に応ずべき旨を命ずることができる。
7 農林大臣は、第一項から第四項までの認定をしようとするときは、あらかじめ畜産振興事業団の意見を聞くものとする。
8 農林大臣は、第一項の指定乳製品の生産の委託について模範契約例を定めることができる。