建設省設置法
法令番号: 法律第113号
公布年月日: 昭和23年7月8日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

災害復興事業の促進、住宅問題の解決、治山治水・水害対策の実施、国土再建の推進は緊急かつ恒久的な課題である。現在、建設院は総理庁の外局であるが、総理庁は行政全般の共通施策を所管する機関であり、建設院のような実務官庁を外局とすることは不適当である。建設院は日本再建のために重要かつ広範な事務を所管しており、国務大臣を総裁としているにもかかわらず、総理大臣も院務を見ることは事務の繁雑化を招いている。建設省への昇格により事務の簡素化と能率向上を図り、将来的には各省に分散している建設行政の統合を目指す。当面は運輸省の建設関係業務を吸収して発足させ、その他の建設行政は段階的に統合を進める方針である。

参照した発言:
第2回国会 衆議院 決算委員会 第20号

審議経過

第2回国会

参議院
(昭和23年6月11日)
衆議院
(昭和23年6月24日)
(昭和23年6月25日)
(昭和23年6月26日)
参議院
衆議院
(昭和23年6月29日)
(昭和23年6月29日)
参議院
(昭和23年6月30日)
衆議院
(昭和23年7月2日)
参議院
(昭和23年7月3日)
(昭和23年7月4日)
衆議院
(昭和23年7月5日)
参議院
(昭和23年7月5日)
建設省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月八日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百十三号
建設省設置法
第一章 総則
(設置)
第一條 この法律により、建設省を設置する。
2 建設省の長は、建設大臣とする。
(機関)
第二條 建設省に、本省の外、地方支分部局として地方建設局を置く。
第二章 本省
(本省の所掌事務及び権限)
第三條 本省の所掌事務の範囲は、左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基く命令を含む。)に從つてなされなければならない。
一 國土計画及び地方計画に関する調査及び立案を行うこと。
二 土地の測量、地図の調整その他これに附帶する事業を実施すること。
三 都会地轉入抑制に関する事務を管理すること。
四 東北興業株式会社の業務の監督その他東北興業株式会社法(昭和十一年法律第十五号)の施行に関する事務を管理すること。
五 都市計画及び都市計画事業に関する事務を管理し、並びに都市計画事業を実施すること。
六 廣告物取締法(明治四十四年法律第七十号)の施行に関する事務を管理すること。
七 水道及び下水道の工事の指導及び監督を行うこと。
八 河川、水流及び水面(港湾内の水面を除く。)の利用、改良、維持及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
九 砂防に関する事業を実施、助成及び監督しその他砂防法(明治三十年法律第十九号)の施行に関する事務を管理すること。
十 公有水面(港湾内の水面を除く。)の埋立に関する事務を管理すること。
十一 運河に関する事務を管理すること。
十二 水防の発達及び改善を助長し、並びに水害予防組合の助成及び監督を行うこと。
十三 道路の新設、改築、維持及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
十四 河川、道路、砂防設備及び海岸堤防の災害復旧並びにその助成を行うこと。
十五 軌道の監督に関する事務を管理すること。
十六 自動車道事業の監督に関する事務を管理すること。
十七 土地の使用及び收用に関する事務を管理すること。
十八 宅地の利用の調整に関する調査及び企画を行うこと。
十九 戰災地その他の災害地における土地物件の権利に関する事務を管理すること。
二十 市街地建築物に関する事務を管理すること。
二十一 不良住宅地区改良に関する事務を管理すること。
二十二 建築の発達及び改善の助長並びに建築に関する監督を行うこと。
二十三 住宅等の建設、供給、改善及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
二十四 住宅の緊急措置に関する事務を管理すること。
二十五 土木建築請負業の発達及び改善の助長を行うこと。
二十六 國費の支弁に属する建物の営繕(別に法律で定めるものを除く。)を行うこと。
二十七 連合國最高司令官から政府に返還された物品等の処分を行うこと。
二十八 建設省の所管行政に関する観察事務を処理すること。
二十九 建設省の所管行政に関する調査、統計、試驗、研究並びに資料の收集、整理及び編集に関する事務を処理すること。
三十 建設省の所管行政に関する啓発及びこう報並びに部内の人事、会計及び庶務に関する事務を処理すること。但し、人事に関しては、國家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に從つて処理しなければならない。
(本省の内部部局及びその所掌事務)
第四條 本省に大臣官房及び左の六局を置く。
総務局
河川局
道路局
都市局
建築局
特別建設局
2 大臣官房においては、前條第二十八号及び第三十号に規定する事務を掌る。
3 総務局においては、前條第一号、第三号、第四号、第十七号、第二十五号及び第二十七号に規定する事務並びに同條第二十九号に規定する事務(試驗及び研究に関する事務を除く。)を掌る。
4 河川局においては、前條第八号から第十二号までに規定する事務及び同條第十四号に規定する事務(道路の災害復旧工事の指導に関する事務を除く。)を掌る。
5 道路局においては、前條第十三号、第十五号及び第十六号に規定する事務並びに同條第十四号に規定する事務のうち道路の災害復旧工事の指導に関する事務を掌る。
6 都市局においては、前條第五号から第七号までに規定する事務並びに同條第二十号に規定する事務のうち市街地建築物法による地域及び地区の指定に関する事務を掌る。
7 建築局においては、前條第十八号、第十九号及び第二十一号から第二十四号までに規定する事務並びに同條第二十号に規定する事務(市街地建築物法による地域及び地区の指定に関する事務を除く。)を掌る。
8 特別建設局においては、前條第二十六号及び第十二條に規定する事務を掌る。
(本省の附属機関)
第五條 建設省に所要の研究所を置き、土木建築及び都市計画に関する調査、試驗及び研究並びに技術者の養成訓練に関する事務を掌らしめる。
2 建設省に地理調査所を置き、第三條第二号に規定する事務を掌らしめる。
3 建設省に建設工事本部を置き、第十一條第一項に規定する事務を掌らしめる。
第三章 地方支分部局
(地方建設局)
第六條 地方建設局は、建設大臣の管理に属し、河川、道路、砂防その他直轄の土木工事の実施に関する事務を分掌する。
2 地方建設局の名称、位置、所管区域その他必要な事項は、政令でこれを定める。
3 建設大臣は、局務の一部を所掌させるため、所要の地に工事事務所を設置することができる。その名称、位置その他必要な事項は、建設大臣がこれを定める。
第四章 職員及び組織の細目
第七條 建設省におかれる職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
2 この法律に定めるものの外、建設省の組織の細目については、建設大臣がこれを定める。
附 則
第八條 この法律は、昭和二十三年七月十日から、これを施行する。
第九條 建設院設置法(昭和二十二年法律第二百三十七号)及び運輸大臣において委託に依り戰災地の復興に関する工事を施行する等の件(昭和二十一年勅令第五十一号)は、これを廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定めある場合を除く外、從前の機関及びその職員は、この法律に基く建設省の相当の機関及びその職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
第十條 國費の支弁に属する建物の営繕(別に法律で定めるものを除く。)に関する事務でこの法律施行の際現に各省大臣の所管に属するものについては、当分の間、なお、從前の例による。
第十一條 建設大臣は、昭和二十四年三月三十一日まで、一般の委託により、戰災地の復興に関する工事その他緊急工事を施行することができる。
2 建設大臣は、必要と認めるときは、委託者をして前項に規定する事務施行の費用に充てるべき資金を國庫に納付させることができる。
3 建設大臣は、第一項の規定により委託者に属する支拂事務を取り扱う場合においては、現金の前渡を受けた官吏現金取扱の例に準じ、主任の官吏をしてその現金の取扱をさせることができる。
第十二條 建設大臣は、昭和二十三年十二月三十一日まで、左に掲げる事務を行うことができる。但し、第一号の事務は、特別調達廳がこれを行う準備完了をしたときは、同日以前においても特別調達廳に移管されるものとする。
一 この法律施行の際継続中の連合國最高司令官の要求に係る建設工事及び設備工事について、國費の不当支出を防止するためにする技術的監督及び監視をすること。
二 昭和二十二年八月三十一日以前にしゆん功した連合國最高司令官の要求に係る工事の契約金額に対する査定及びその精算をすること。
第十三條 建設省に、昭和二十三年八月三十一日まで、地方支分部局として建築出張所を置く。
2 建築出張所は、建設大臣の管理に属し、建築の監督及び本省の所管行政に属する資材の割当に関する事務を分掌する。
3 建築出張所の名称、位置、管轄区域その他必要な事項は、建設大臣がこれを定める。
第十四條 内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律(昭和二十二年法律第二百三十九号)の一部を次のように改正する。
第三條 削除
第十五條 道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第四條第一項中「内務大臣」を「建設大臣」に改める。
第十六條 行政官廳法(昭和二十二年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第十三條中「特命全権大使、特命全権公使及び建設院の長」を「特別全権大使及び特命全権公使」に改める。
内閣総理大臣 芦田均
運輸大臣 岡田勢一
建設省設置法をここに公布する。
御名御璽
昭和二十三年七月八日
内閣総理大臣 芦田均
法律第百十三号
建設省設置法
第一章 総則
(設置)
第一条 この法律により、建設省を設置する。
2 建設省の長は、建設大臣とする。
(機関)
第二条 建設省に、本省の外、地方支分部局として地方建設局を置く。
第二章 本省
(本省の所掌事務及び権限)
第三条 本省の所掌事務の範囲は、左の通りとし、その権限の行使は、その範囲内で法律(法律に基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。
一 国土計画及び地方計画に関する調査及び立案を行うこと。
二 土地の測量、地図の調整その他これに附帯する事業を実施すること。
三 都会地転入抑制に関する事務を管理すること。
四 東北興業株式会社の業務の監督その他東北興業株式会社法(昭和十一年法律第十五号)の施行に関する事務を管理すること。
五 都市計画及び都市計画事業に関する事務を管理し、並びに都市計画事業を実施すること。
六 広告物取締法(明治四十四年法律第七十号)の施行に関する事務を管理すること。
七 水道及び下水道の工事の指導及び監督を行うこと。
八 河川、水流及び水面(港湾内の水面を除く。)の利用、改良、維持及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
九 砂防に関する事業を実施、助成及び監督しその他砂防法(明治三十年法律第十九号)の施行に関する事務を管理すること。
十 公有水面(港湾内の水面を除く。)の埋立に関する事務を管理すること。
十一 運河に関する事務を管理すること。
十二 水防の発達及び改善を助長し、並びに水害予防組合の助成及び監督を行うこと。
十三 道路の新設、改築、維持及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
十四 河川、道路、砂防設備及び海岸堤防の災害復旧並びにその助成を行うこと。
十五 軌道の監督に関する事務を管理すること。
十六 自動車道事業の監督に関する事務を管理すること。
十七 土地の使用及び収用に関する事務を管理すること。
十八 宅地の利用の調整に関する調査及び企画を行うこと。
十九 戦災地その他の災害地における土地物件の権利に関する事務を管理すること。
二十 市街地建築物に関する事務を管理すること。
二十一 不良住宅地区改良に関する事務を管理すること。
二十二 建築の発達及び改善の助長並びに建築に関する監督を行うこと。
二十三 住宅等の建設、供給、改善及び管理並びにこれらの助成及び監督を行うこと。
二十四 住宅の緊急措置に関する事務を管理すること。
二十五 土木建築請負業の発達及び改善の助長を行うこと。
二十六 国費の支弁に属する建物の営繕(別に法律で定めるものを除く。)を行うこと。
二十七 連合国最高司令官から政府に返還された物品等の処分を行うこと。
二十八 建設省の所管行政に関する観察事務を処理すること。
二十九 建設省の所管行政に関する調査、統計、試験、研究並びに資料の収集、整理及び編集に関する事務を処理すること。
三十 建設省の所管行政に関する啓発及びこう報並びに部内の人事、会計及び庶務に関する事務を処理すること。但し、人事に関しては、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に従つて処理しなければならない。
(本省の内部部局及びその所掌事務)
第四条 本省に大臣官房及び左の六局を置く。
総務局
河川局
道路局
都市局
建築局
特別建設局
2 大臣官房においては、前条第二十八号及び第三十号に規定する事務を掌る。
3 総務局においては、前条第一号、第三号、第四号、第十七号、第二十五号及び第二十七号に規定する事務並びに同条第二十九号に規定する事務(試験及び研究に関する事務を除く。)を掌る。
4 河川局においては、前条第八号から第十二号までに規定する事務及び同条第十四号に規定する事務(道路の災害復旧工事の指導に関する事務を除く。)を掌る。
5 道路局においては、前条第十三号、第十五号及び第十六号に規定する事務並びに同条第十四号に規定する事務のうち道路の災害復旧工事の指導に関する事務を掌る。
6 都市局においては、前条第五号から第七号までに規定する事務並びに同条第二十号に規定する事務のうち市街地建築物法による地域及び地区の指定に関する事務を掌る。
7 建築局においては、前条第十八号、第十九号及び第二十一号から第二十四号までに規定する事務並びに同条第二十号に規定する事務(市街地建築物法による地域及び地区の指定に関する事務を除く。)を掌る。
8 特別建設局においては、前条第二十六号及び第十二条に規定する事務を掌る。
(本省の附属機関)
第五条 建設省に所要の研究所を置き、土木建築及び都市計画に関する調査、試験及び研究並びに技術者の養成訓練に関する事務を掌らしめる。
2 建設省に地理調査所を置き、第三条第二号に規定する事務を掌らしめる。
3 建設省に建設工事本部を置き、第十一条第一項に規定する事務を掌らしめる。
第三章 地方支分部局
(地方建設局)
第六条 地方建設局は、建設大臣の管理に属し、河川、道路、砂防その他直轄の土木工事の実施に関する事務を分掌する。
2 地方建設局の名称、位置、所管区域その他必要な事項は、政令でこれを定める。
3 建設大臣は、局務の一部を所掌させるため、所要の地に工事事務所を設置することができる。その名称、位置その他必要な事項は、建設大臣がこれを定める。
第四章 職員及び組織の細目
第七条 建設省におかれる職員について必要な事項は、政令でこれを定める。
2 この法律に定めるものの外、建設省の組織の細目については、建設大臣がこれを定める。
附 則
第八条 この法律は、昭和二十三年七月十日から、これを施行する。
第九条 建設院設置法(昭和二十二年法律第二百三十七号)及び運輸大臣において委託に依り戦災地の復興に関する工事を施行する等の件(昭和二十一年勅令第五十一号)は、これを廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定めある場合を除く外、従前の機関及びその職員は、この法律に基く建設省の相当の機関及びその職員となり、同一性をもつて存続するものとする。
第十条 国費の支弁に属する建物の営繕(別に法律で定めるものを除く。)に関する事務でこの法律施行の際現に各省大臣の所管に属するものについては、当分の間、なお、従前の例による。
第十一条 建設大臣は、昭和二十四年三月三十一日まで、一般の委託により、戦災地の復興に関する工事その他緊急工事を施行することができる。
2 建設大臣は、必要と認めるときは、委託者をして前項に規定する事務施行の費用に充てるべき資金を国庫に納付させることができる。
3 建設大臣は、第一項の規定により委託者に属する支払事務を取り扱う場合においては、現金の前渡を受けた官吏現金取扱の例に準じ、主任の官吏をしてその現金の取扱をさせることができる。
第十二条 建設大臣は、昭和二十三年十二月三十一日まで、左に掲げる事務を行うことができる。但し、第一号の事務は、特別調達庁がこれを行う準備完了をしたときは、同日以前においても特別調達庁に移管されるものとする。
一 この法律施行の際継続中の連合国最高司令官の要求に係る建設工事及び設備工事について、国費の不当支出を防止するためにする技術的監督及び監視をすること。
二 昭和二十二年八月三十一日以前にしゆん功した連合国最高司令官の要求に係る工事の契約金額に対する査定及びその精算をすること。
第十三条 建設省に、昭和二十三年八月三十一日まで、地方支分部局として建築出張所を置く。
2 建築出張所は、建設大臣の管理に属し、建築の監督及び本省の所管行政に属する資材の割当に関する事務を分掌する。
3 建築出張所の名称、位置、管轄区域その他必要な事項は、建設大臣がこれを定める。
第十四条 内務省官制等廃止に伴う法令の整理に関する法律(昭和二十二年法律第二百三十九号)の一部を次のように改正する。
第三条 削除
第十五条 道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項中「内務大臣」を「建設大臣」に改める。
第十六条 行政官庁法(昭和二十二年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。
第十三条中「特命全権大使、特命全権公使及び建設院の長」を「特別全権大使及び特命全権公使」に改める。
内閣総理大臣 芦田均
運輸大臣 岡田勢一