治水特別会計法
法令番号: 法律第40号
公布年月日: 昭和35年3月31日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

治山治水事業の促進のため、治山治水にかかる各十カ年計画を樹立し、事業の緊急かつ計画的な実施に努めることとしている。このうち、治水事業について、その経理を一般会計と区分し、事業の収支並びにその成果を明らかにすることが適当であると認められるため、本法案を提案するものである。

参照した発言:
第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号

審議経過

第34回国会

衆議院
(昭和35年2月25日)
参議院
(昭和35年2月25日)
衆議院
(昭和35年3月25日)
(昭和35年3月30日)
(昭和35年3月30日)
参議院
(昭和35年3月30日)
(昭和35年3月31日)
(昭和35年3月31日)
(昭和35年4月20日)
衆議院
(昭和35年7月15日)
治水特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年三月三十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第四十号
治水特別会計法
(設置)
第一条 治山治水緊急措置法(昭和三十五年法律第二十一号。以下「法」という。)第三条に規定する治水事業十箇年計画の実施に伴い、法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で国が施行するもの(以下「直轄治水事業」という。)及び同条第二項第四号に規定する工事(以下「多目的ダム建設工事」という。)に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この会計においては、前項に定めるもののほか、次の事項に関する経理を行なうものとする。
一 法第二条第三項第三号に規定する伊勢湾等高潮対策事業のうち直轄治水事業に密接な関連があつて建設大臣が施行するもの(以下「直轄伊勢湾等高潮対策事業」という。)
二 直轄治水事業又は直轄伊勢湾等高潮対策事業に密接な関連のある工事その他治水のため特に必要のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するもの(以下「治水関係受託工事」という。)及び多目的ダム建設工事に密接な関連のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するもの(以下「多目的ダム関係受託工事」という。)
三 法第二条第二項第一号又は第二号に規定する河川又は砂防設備に係る同条第三項第一号に規定する災害復旧事業及び海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で建設大臣が施行するもの並びにこれらの事業又は工事に密接な関連のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するものの管理
四 法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で都道府県知事が施行するものに係る負担金又は補助金の交付
(管理)
第二条 この会計は、建設大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。
(勘定区分)
第三条 この会計は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分する。
(治水勘定の歳入及び歳出)
第四条 治水勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。
一 第七条第一項の規定による一般会計からの繰入金及び第八条第一項の規定による特定多目的ダム建設工事勘定からの繰入金
二 河川法(明治二十九年法律第七十一号)第二十七条ただし書若しくは第三十三条、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第十四条第二項若しくは第十七条、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第三十三条第一項又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二十八条の規定による負担金で直轄治水事業に係るもの及び昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法(昭和三十四年法律第百七十二号)本則第二項の規定による負担金で直轄伊勢湾等高潮対策事業に係るもの
三 河川法第三十条から第三十二条まで又は砂防法第十六条の規定による負担金
四 治水関係受託工事に係る納付金
2 治水勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。
一 直轄治水事業、直轄伊勢湾等高潮対策事業及び治水関係受託工事に関する費用(国が北海道で行なうこれらの事業又は工事に関する職員の給与に要する費用その他の事務費を除く。)
二 第一条第二項第三号に規定する事業又は工事、多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に関する事務費(国が北海道で行なうこれらの事業又は工事に関する事務費を除く。)
三 第一条第二項第四号に規定する事業に係る国の負担金及び補助金
四 第九条の規定による一般会計への繰入金
(特定多目的ダム建設工事勘定の歳入及び歳出)
第五条 特定多目的ダム建設工事勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。
一 第七条第二項の規定による一般会計からの繰入金
二 河川法第二十七条ただし書又は第三十三条の規定による負担金で多目的ダム建設工事に係るもの
三 特定多目的ダム法第七条第一項又は第九条第一項の規定による負担金及び河川法第三十一条又は第三十二条の規定による負担金で多目的ダム建設工事に係るもの
四 多目的ダム関係受託工事に係る納付金
2 特定多目的ダム建設工事勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。
一 多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に要する費用(工事に関する事務費を除く。)
二 第八条第一項の規定による治水勘定への繰入金
三 第九条の規定による一般会計への繰入金
四 特定多目的ダム法第十二条の規定による還付金
(特定多目的ダム建設工事勘定の歳入及び歳出等の整理)
第六条 特定多目的ダム建設工事勘定においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別その他の政令で定める区分(以下「工事別等の区分」という。)に従つて整理しなければならない。
(一般会計からの繰入れ)
第七条 直轄治水事業又は直轄伊勢湾等高潮対策事業に関する費用で国庫が負担するもの、第一条第二項第三号に規定する事業又は工事に関する事務費並びに同項第四号に規定する事業に係る負担金及び補助金の額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から治水勘定に繰り入れるものとする。
2 多目的ダム建設工事に関する費用で国庫が負担するものの額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定に繰り入れるものとする。
3 前二項の規定による繰入れは、国が北海道において行なう事業又は工事に関する事務費の額その他政令で定める額に相当する金額を除き、予算の範囲内において、政令で定めるところにより行なうものとする。
(特定多目的ダム建設工事勘定からの治水勘定への繰入れ)
第八条 多目的ダム建設工事又は多目的ダム関係受託工事に関する事務費の額に相当する金額は、毎会計年度、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から治水勘定に繰り入れるものとする。
2 前条第三項の規定は、前項の規定による繰入れについて準用する。
(一般会計への繰入れ)
第九条 第一条第二項第二号に規定する受託工事に係る納付金のうち、当該工事について一般会計において支弁した政令で定める経費の額に相当する金額は、当該納付金を収納した年度内において、治水関係受託工事に係るものにあつては治水勘定から、多目的ダム関係受託工事に係るものにあつては、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から、それぞれ一般会計に繰り入れるものとする。
(歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)
第十条 建設大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 前前年度の事業実績表並びに前年度及び当該年度の事業計画表
二 国庫債務負担行為で翌年度以後にわたるものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込み、当該年度以後の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴なうものについてはその全体の計画及びその進行状況等に関する調書
3 前項各号の書類のうち特定多目的ダム建設工事勘定に係るものは、工事別等の区分に従つて作成するものとする。ただし、当該年度の事業計画表については、この限りでない。
(歳入歳出予算の区分)
第十一条 この会計の歳入歳出予算は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分し、各勘定において、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(国庫債務負担行為の区分)
第十二条 この会計の国庫債務負担行為は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定の区分に従い、更に特定多目的ダム建設工事勘定にあつては工事別に、その必要の理由を明らかにし、かつ、これをする年度及び債務負担の限度額を明らかにし、また、必要に応じ、これに基づいて支出をすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
(予算の作成及び提出)
第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第十条第一項に規定する歳入歳出予定計算書等及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定を準用する。
(特定多目的ダム建設工事勘定の予算の執行)
第十四条 特定多目的ダム建設工事勘定の予算で、その項又は目が工事別等の区分によつていないものの配賦は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第二項の規定によるほか、工事別等の区分により行なうものとする。
2 特定多目的ダム建設工事勘定の工事別等の区分に応ずる収入金は、当談区分に応ずる費用の財源に充てるものとする。この場合において、その収入金のうち当該費用の財源に充てる必要がない剰余を生じたときにおける当該剰余の処理について必要な事項は、政令で定める。
3 特定多目的ダム建設工事勘定において、工事別等の区分による歳出予算の金額を支出するには、当該区分による歳入の収納済額をこえてはならない。
(予備費の使用)
第十五条 治水勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額に相当する額を限度として、使用することができる。
2 特定多目的ダム建設工事勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額で工事別等の区分によるものに相当する額を限度として、工事別等の区分に従つて使用することができる。
(歳入歳出決定計算書等の作成及び送付)
第十六条 建設大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか、特定多目的ダム建設工事勘定にあつては工事別等の区分に従つて、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出決定計算書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 当該年度の事業実績表
二 債務に関する計算書
3 第十条第三項本文の規定は、前項各号の書類について準用する。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十七条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。
(剰余金の繰入れ)
第十八条 治水勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
2 特定多目的ダム建設工事勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを工事別等の区分により翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
(余裕金の預託)
第十九条 治水勘定において、支払上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託することができる。
2 特定多目的ダム建設工事勘定において、工事別等の区分に応ずる支払上現金に余裕があるときは、当該区分に従つて、資金運用部に預託することができる。
(実施規定)
第二十条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十五年度の予算から適用する。
2 特定多目的ダム建設工事特別会計法(昭和三十二年法律第三十六号)は、廃止する。
3 特定多目的ダム建設工事特別会計の昭和三十四年度の収入及び支出並びに同年度以前の年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 昭和三十四年度以前の年度の一般会計の直轄治水事業若しくは直轄伊勢湾等高潮対策事業の施行又は第一条第二項第三号に規定する事業若しくは工事の管理に関する予算(昭和三十五年度に繰り越したものを含む。)に係る一般会計所属の資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の治水勘定又は特定多目的ダム建設工事勘定に帰属するものとする。
5 特定多目的ダム建設工事特別会計の廃止の際同会計に属する資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の特定多目的ダム建設工事勘定に帰属するものとする。
6 旧特定多目的ダム建設工事特別会計法第十四条第一項の規定による借入金で昭和三十四年度に係るものについて同条第二項の規定により国会の議決を経た金額のうち、同年度において借入れをしなかつた金額があるときは、昭和三十五年度において、当該金額を限り、かつ、昭和三十四年度の多目的ダム建設工事のうち昭和三十五年度に繰り越して施行するものに係る経費の財源として必要な金額の範囲内で、特定多目的ダム建設工事勘定の負担において、工事別等の区分に従つて借入金をすることができる。
7 前項の規定による借入金、特定多目的ダム法第八条の利息並びに第五項の規定により特定多目的ダム建設工事勘定に帰属した地方債証券及び前項の昭和三十五年度に繰り越して施行する多目的ダム建設工事に係る地方債証券の償還金及び利子は、特定多目的ダム建設工事勘定の歳入とし、第五項の規定により同勘定に帰属した旧特定多目的ダム建設工事特別会計の借入金及び前項の規定による借入金の償還金及び利子は、同勘定の歳出とする。
8 地方負担金(旧特定多目的ダム建設工事特別会計法第三条に規定する地方負担金をいう。以下同じ。)で昭和三十四年度以前の年度の予算により施行した多目的ダム建設工事(昭和三十五年度に繰り越して施行するものを含む。)に係るもの及び特定多目的ダム法第八条の利息並びに前項に規定する地方債証券の償還金及び利子は、同項に規定する借入金の償還金及び利子の財源に充てるものとし、当該財源に充ててなお残余があるときは、その残余の額は、多目的ダム建設工事に関する費用のうち国庫が負担するものの財源に充てなければならない。
9 第七項に規定する借入金の借入れ又は償還に関する事務は、大蔵大臣が行なう。
10 第七項に規定する借入金の償還金及び利子の額に相当する金額は、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
11 第十条第二項又は第十三条第二項の規定によりこの会計の歳入歳出予定計算書等又は予算に添附すべき前前年度の事業実績表又は前年度の事業計画表は、昭和三十五年度分(前前年度の事業実績表については、昭和三十六年度分を含む。)に限り、これらの規定にかかわらず、その添附を要しないものとする。
12 この会計の昭和三十六年度又は昭和三十七年度の歳入歳出予定計算書等又は予算には、第十条第二項又は第十三条第二項に規定する書類のほか、昭和三十六年度分にあつては、工事別等の区分に従つて作成した前年度の借入金の借入れ及び償還計画表並びに地方負担金に係る債権の発生予定及び回収計画表を、昭和三十七年度分にあつては、工事別等の区分に従つて作成した前前年度の借入金の借入れ及び償還実績表並びに地方負担金に係る債権の発生及び回収実積表を添附するものとする。
13 この会計の昭和三十五年度の歳入歳出決定計算書又は歳入歳出決算には、第十六条第二項又は第十七条第二項に規定する書類のほか、工事別等の区分に従つて作成した地方負担金に係る債権の発生及び回収実績表を添附するものとする。
14 海岸法の一部を次のように改正する。
附則第四項以下を一項ずつ繰り下げ、附則第三項の次に次の一項を加える。
4 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で治水特別会計の負担において行なうものについては、第二十九条中国費のみをもつてする施行に関する部分の規定は、適用しないものとする。
15 地すべり等防止法の一部を次のように改正する。
附則第四条の二中「国有林野事業特別会計」の下に「又は治水特別会計」を加える。
16 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「印刷局特別会計」の下に「、国債整理基金特別会計」を加え、「特定多目的ダム建設工事特別会計」を「治水特別会計」に改める。
17 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第八号の三中「特定多目的ダム建設工事特別会計」を「治水特別会計」に改める。
大蔵大臣 佐藤榮作
建設大臣 村上勇
内閣総理大臣 岸信介
治水特別会計法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十五年三月三十一日
内閣総理大臣 岸信介
法律第四十号
治水特別会計法
(設置)
第一条 治山治水緊急措置法(昭和三十五年法律第二十一号。以下「法」という。)第三条に規定する治水事業十箇年計画の実施に伴い、法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で国が施行するもの(以下「直轄治水事業」という。)及び同条第二項第四号に規定する工事(以下「多目的ダム建設工事」という。)に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
2 この会計においては、前項に定めるもののほか、次の事項に関する経理を行なうものとする。
一 法第二条第三項第三号に規定する伊勢湾等高潮対策事業のうち直轄治水事業に密接な関連があつて建設大臣が施行するもの(以下「直轄伊勢湾等高潮対策事業」という。)
二 直轄治水事業又は直轄伊勢湾等高潮対策事業に密接な関連のある工事その他治水のため特に必要のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するもの(以下「治水関係受託工事」という。)及び多目的ダム建設工事に密接な関連のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するもの(以下「多目的ダム関係受託工事」という。)
三 法第二条第二項第一号又は第二号に規定する河川又は砂防設備に係る同条第三項第一号に規定する災害復旧事業及び海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第一項に規定する海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で建設大臣が施行するもの並びにこれらの事業又は工事に密接な関連のある工事で建設大臣が委託に基づき施行するものの管理
四 法第二条第二項第一号から第三号までに掲げる事業(同条第三項の規定に該当するものを除く。)で都道府県知事が施行するものに係る負担金又は補助金の交付
(管理)
第二条 この会計は、建設大臣が、法令で定めるところに従い、管理する。
(勘定区分)
第三条 この会計は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分する。
(治水勘定の歳入及び歳出)
第四条 治水勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。
一 第七条第一項の規定による一般会計からの繰入金及び第八条第一項の規定による特定多目的ダム建設工事勘定からの繰入金
二 河川法(明治二十九年法律第七十一号)第二十七条ただし書若しくは第三十三条、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第十四条第二項若しくは第十七条、特定多目的ダム法(昭和三十二年法律第三十五号)第三十三条第一項又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第二十八条の規定による負担金で直轄治水事業に係るもの及び昭和三十四年台風第十五号により災害を受けた伊勢湾等に面する地域における高潮対策事業に関する特別措置法(昭和三十四年法律第百七十二号)本則第二項の規定による負担金で直轄伊勢湾等高潮対策事業に係るもの
三 河川法第三十条から第三十二条まで又は砂防法第十六条の規定による負担金
四 治水関係受託工事に係る納付金
2 治水勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。
一 直轄治水事業、直轄伊勢湾等高潮対策事業及び治水関係受託工事に関する費用(国が北海道で行なうこれらの事業又は工事に関する職員の給与に要する費用その他の事務費を除く。)
二 第一条第二項第三号に規定する事業又は工事、多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に関する事務費(国が北海道で行なうこれらの事業又は工事に関する事務費を除く。)
三 第一条第二項第四号に規定する事業に係る国の負担金及び補助金
四 第九条の規定による一般会計への繰入金
(特定多目的ダム建設工事勘定の歳入及び歳出)
第五条 特定多目的ダム建設工事勘定においては、次に掲げる収入及び附属雑収入をもつてその歳入とする。
一 第七条第二項の規定による一般会計からの繰入金
二 河川法第二十七条ただし書又は第三十三条の規定による負担金で多目的ダム建設工事に係るもの
三 特定多目的ダム法第七条第一項又は第九条第一項の規定による負担金及び河川法第三十一条又は第三十二条の規定による負担金で多目的ダム建設工事に係るもの
四 多目的ダム関係受託工事に係る納付金
2 特定多目的ダム建設工事勘定においては、次に掲げる費用及び附属諸費をもつてその歳出とする。
一 多目的ダム建設工事及び多目的ダム関係受託工事に要する費用(工事に関する事務費を除く。)
二 第八条第一項の規定による治水勘定への繰入金
三 第九条の規定による一般会計への繰入金
四 特定多目的ダム法第十二条の規定による還付金
(特定多目的ダム建設工事勘定の歳入及び歳出等の整理)
第六条 特定多目的ダム建設工事勘定においては、歳入及び歳出並びに資産及び負債を工事別その他の政令で定める区分(以下「工事別等の区分」という。)に従つて整理しなければならない。
(一般会計からの繰入れ)
第七条 直轄治水事業又は直轄伊勢湾等高潮対策事業に関する費用で国庫が負担するもの、第一条第二項第三号に規定する事業又は工事に関する事務費並びに同項第四号に規定する事業に係る負担金及び補助金の額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から治水勘定に繰り入れるものとする。
2 多目的ダム建設工事に関する費用で国庫が負担するものの額に相当する金額は、毎会計年度、一般会計から、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定に繰り入れるものとする。
3 前二項の規定による繰入れは、国が北海道において行なう事業又は工事に関する事務費の額その他政令で定める額に相当する金額を除き、予算の範囲内において、政令で定めるところにより行なうものとする。
(特定多目的ダム建設工事勘定からの治水勘定への繰入れ)
第八条 多目的ダム建設工事又は多目的ダム関係受託工事に関する事務費の額に相当する金額は、毎会計年度、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から治水勘定に繰り入れるものとする。
2 前条第三項の規定は、前項の規定による繰入れについて準用する。
(一般会計への繰入れ)
第九条 第一条第二項第二号に規定する受託工事に係る納付金のうち、当該工事について一般会計において支弁した政令で定める経費の額に相当する金額は、当該納付金を収納した年度内において、治水関係受託工事に係るものにあつては治水勘定から、多目的ダム関係受託工事に係るものにあつては、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から、それぞれ一般会計に繰り入れるものとする。
(歳入歳出予定計算書等の作成及び送付)
第十条 建設大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 前前年度の事業実績表並びに前年度及び当該年度の事業計画表
二 国庫債務負担行為で翌年度以後にわたるものについての前年度末までの支出額及び支出額の見込み、当該年度以後の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴なうものについてはその全体の計画及びその進行状況等に関する調書
3 前項各号の書類のうち特定多目的ダム建設工事勘定に係るものは、工事別等の区分に従つて作成するものとする。ただし、当該年度の事業計画表については、この限りでない。
(歳入歳出予算の区分)
第十一条 この会計の歳入歳出予算は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定に区分し、各勘定において、歳入にあつては、その性質に従つて款及び項に区分し、歳出にあつては、その目的に従つて項に区分する。
(国庫債務負担行為の区分)
第十二条 この会計の国庫債務負担行為は、治水勘定及び特定多目的ダム建設工事勘定の区分に従い、更に特定多目的ダム建設工事勘定にあつては工事別に、その必要の理由を明らかにし、かつ、これをする年度及び債務負担の限度額を明らかにし、また、必要に応じ、これに基づいて支出をすべき年度、年限又は年割額を示さなければならない。
(予算の作成及び提出)
第十三条 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の予算には、第十条第一項に規定する歳入歳出予定計算書等及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。この場合においては、同条第三項の規定を準用する。
(特定多目的ダム建設工事勘定の予算の執行)
第十四条 特定多目的ダム建設工事勘定の予算で、その項又は目が工事別等の区分によつていないものの配賦は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第三十一条第二項の規定によるほか、工事別等の区分により行なうものとする。
2 特定多目的ダム建設工事勘定の工事別等の区分に応ずる収入金は、当談区分に応ずる費用の財源に充てるものとする。この場合において、その収入金のうち当該費用の財源に充てる必要がない剰余を生じたときにおける当該剰余の処理について必要な事項は、政令で定める。
3 特定多目的ダム建設工事勘定において、工事別等の区分による歳出予算の金額を支出するには、当該区分による歳入の収納済額をこえてはならない。
(予備費の使用)
第十五条 治水勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額に相当する額を限度として、使用することができる。
2 特定多目的ダム建設工事勘定の予備費は、当該年度の予見し難い必要に基づく経費の財源に充てるための特別の収入その他政令で定める収入の収納済額で工事別等の区分によるものに相当する額を限度として、工事別等の区分に従つて使用することができる。
(歳入歳出決定計算書等の作成及び送付)
第十六条 建設大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分によるほか、特定多目的ダム建設工事勘定にあつては工事別等の区分に従つて、この会計の歳入歳出決定計算書を作成し、大蔵大臣に送付しなければならない。
2 前項の歳入歳出決定計算書には、次に掲げる書類を添附しなければならない。
一 当該年度の事業実績表
二 債務に関する計算書
3 第十条第三項本文の規定は、前項各号の書類について準用する。
(歳入歳出決算の作成及び提出)
第十七条 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
2 前項の歳入歳出決算には、前条第一項に規定する歳入歳出決定計算書及び同条第二項各号に掲げる書類を添附しなければならない。
(剰余金の繰入れ)
第十八条 治水勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
2 特定多目的ダム建設工事勘定において、毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余を生じたときは、これを工事別等の区分により翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
(余裕金の預託)
第十九条 治水勘定において、支払上現金に余裕があるときは、資金運用部に預託することができる。
2 特定多目的ダム建設工事勘定において、工事別等の区分に応ずる支払上現金に余裕があるときは、当該区分に従つて、資金運用部に預託することができる。
(実施規定)
第二十条 この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、政令で定める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十五年度の予算から適用する。
2 特定多目的ダム建設工事特別会計法(昭和三十二年法律第三十六号)は、廃止する。
3 特定多目的ダム建設工事特別会計の昭和三十四年度の収入及び支出並びに同年度以前の年度の決算に関しては、なお従前の例による。
4 昭和三十四年度以前の年度の一般会計の直轄治水事業若しくは直轄伊勢湾等高潮対策事業の施行又は第一条第二項第三号に規定する事業若しくは工事の管理に関する予算(昭和三十五年度に繰り越したものを含む。)に係る一般会計所属の資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の治水勘定又は特定多目的ダム建設工事勘定に帰属するものとする。
5 特定多目的ダム建設工事特別会計の廃止の際同会計に属する資産及び負債は、政令で定めるところにより、この会計の特定多目的ダム建設工事勘定に帰属するものとする。
6 旧特定多目的ダム建設工事特別会計法第十四条第一項の規定による借入金で昭和三十四年度に係るものについて同条第二項の規定により国会の議決を経た金額のうち、同年度において借入れをしなかつた金額があるときは、昭和三十五年度において、当該金額を限り、かつ、昭和三十四年度の多目的ダム建設工事のうち昭和三十五年度に繰り越して施行するものに係る経費の財源として必要な金額の範囲内で、特定多目的ダム建設工事勘定の負担において、工事別等の区分に従つて借入金をすることができる。
7 前項の規定による借入金、特定多目的ダム法第八条の利息並びに第五項の規定により特定多目的ダム建設工事勘定に帰属した地方債証券及び前項の昭和三十五年度に繰り越して施行する多目的ダム建設工事に係る地方債証券の償還金及び利子は、特定多目的ダム建設工事勘定の歳入とし、第五項の規定により同勘定に帰属した旧特定多目的ダム建設工事特別会計の借入金及び前項の規定による借入金の償還金及び利子は、同勘定の歳出とする。
8 地方負担金(旧特定多目的ダム建設工事特別会計法第三条に規定する地方負担金をいう。以下同じ。)で昭和三十四年度以前の年度の予算により施行した多目的ダム建設工事(昭和三十五年度に繰り越して施行するものを含む。)に係るもの及び特定多目的ダム法第八条の利息並びに前項に規定する地方債証券の償還金及び利子は、同項に規定する借入金の償還金及び利子の財源に充てるものとし、当該財源に充ててなお残余があるときは、その残余の額は、多目的ダム建設工事に関する費用のうち国庫が負担するものの財源に充てなければならない。
9 第七項に規定する借入金の借入れ又は償還に関する事務は、大蔵大臣が行なう。
10 第七項に規定する借入金の償還金及び利子の額に相当する金額は、工事別等の区分に従つて、特定多目的ダム建設工事勘定から国債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
11 第十条第二項又は第十三条第二項の規定によりこの会計の歳入歳出予定計算書等又は予算に添附すべき前前年度の事業実績表又は前年度の事業計画表は、昭和三十五年度分(前前年度の事業実績表については、昭和三十六年度分を含む。)に限り、これらの規定にかかわらず、その添附を要しないものとする。
12 この会計の昭和三十六年度又は昭和三十七年度の歳入歳出予定計算書等又は予算には、第十条第二項又は第十三条第二項に規定する書類のほか、昭和三十六年度分にあつては、工事別等の区分に従つて作成した前年度の借入金の借入れ及び償還計画表並びに地方負担金に係る債権の発生予定及び回収計画表を、昭和三十七年度分にあつては、工事別等の区分に従つて作成した前前年度の借入金の借入れ及び償還実績表並びに地方負担金に係る債権の発生及び回収実積表を添附するものとする。
13 この会計の昭和三十五年度の歳入歳出決定計算書又は歳入歳出決算には、第十六条第二項又は第十七条第二項に規定する書類のほか、工事別等の区分に従つて作成した地方負担金に係る債権の発生及び回収実績表を添附するものとする。
14 海岸法の一部を次のように改正する。
附則第四項以下を一項ずつ繰り下げ、附則第三項の次に次の一項を加える。
4 海岸保全施設の新設、改良又は災害復旧に関する工事で治水特別会計の負担において行なうものについては、第二十九条中国費のみをもつてする施行に関する部分の規定は、適用しないものとする。
15 地すべり等防止法の一部を次のように改正する。
附則第四条の二中「国有林野事業特別会計」の下に「又は治水特別会計」を加える。
16 退職職員に支給する退職手当支給の財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律(昭和二十五年法律第六十二号)の一部を次のように改正する。
第一条中「印刷局特別会計」の下に「、国債整理基金特別会計」を加え、「特定多目的ダム建設工事特別会計」を「治水特別会計」に改める。
17 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第八号の三中「特定多目的ダム建設工事特別会計」を「治水特別会計」に改める。
大蔵大臣 佐藤栄作
建設大臣 村上勇
内閣総理大臣 岸信介