首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律
法令番号: 法律第百三十七号
公布年月日: 昭和37年5月16日
法令の形式: 法律
首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月十六日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百三十七号
首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律
首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第一条の前に次の目次及び章名を加える。
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
工業団地造成事業等
第一節
工業団地造成事業(第四条―第七条)
第二節
測量、調査及び土地の収用等(第八条―第十七条)
第三節
造成敷地等の処分及び管理等(第十八条―第二十六条)
第四節
補則(第二十七条―第三十条)
第三章
雑則(第三十一条―第三十五条)
第四章
罰則(第三十六条―第三十九条)
附則
第一章 総則
第二条に次の六項を加える。
2 この法律で「市街地開発区域整備計画」とは、市街地開発区域の整備に関する事項についての法第二十一条第三項の整備計画をいう。
3 この法律で「市街地開発区域事業計画」とは、法第二十一条第四項の事業計画で、市街地開発区域整備計画の実施のための事業に係るものをいう。
4 この法律で「製造工場等」とは、製造業(物品の加工修理業を含む。)又は電気供給業若しくはガス供給業に必要な工場及びその附属施設をいう。
5 この法律で「工業団地造成事業」とは、市街地開発区域内において、この法律で定めるところに従つて行なわれる、製造工場等の敷地の造成及びその敷地とあわせて整備されるべき道路、排水施設、鉄道、倉庫その他の施設の敷地の造成又はそれらの施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業(造成された敷地又は整備された施設の処分及び管理に関するものを除く。)をいう。
6 この法律で「造成敷地等」とは、工業団地造成事業により造成された敷地及び整備された施設をいう。
7 この法律で「造成工場敷地」とは、工業団地造成事業により造成された製造工場等の敷地をいう。
第三条第二項中「市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画(法第二十一条第三項の整備計画をいう。以下同じ。)」を「市街地開発区域整備計画」に改め、「当該整備計画」を「当該市街地開発区域整備計画」に改める。
第八条第二項中「当該市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画」を「当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画」に改め、同条を第三十五条とし、第七条第一項中「当該市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画」を「当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画」に改め、同条を第三十四条とし、第六条中「事業計画に基いて市街地開発区域の整備のための」を「市街地開発区域事業計画に基づく」に改め、同条を第三十三条とし、第五条中「事業計画に基いて市街地開発区域内において」を「市街地開発区域事業計画に基づいて」に改め、同条を第三十二条とし、第四条中「事業計画(法第二十一条第四項の事業計画をいう。以下同じ。)に基いて市街地開発区域の整備のための」を「市街地開発区域事業計画に基づいて」に改め、同条を第三十一条とし、第三条の次に次の一章及び章名を加える。
第二章 工業団地造成事業等
第一節 工業団地造成事業
(工業団地の造成に関する都市計画)
第四条 建設大臣は、次の各号に掲げる条件に該当する土地の区域について、工業団地造成事業を施行すべきことを、都市計画法の定める手続きによつて、都市計画として決定することができる。
一 工業都市として発展させることが適当な市街地開発区域内にあつて、当該市街地開発区域の開発発展の中核となるべき相当規模の区域であること。
二 前号の市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画が整備されていること。
三 当該区域内において建築物の敷地として利用されている土地がきわめて少ないこと。
四 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十条第三項の工業専用地区内にあること。
2 建設大臣は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、工業立地上の観点からする通商産業大臣の意見及び鉄道等の輸送施設の配置上の観点からする運輸大臣の意見をきかなければならない。
第五条 前条第一項の都市計画は、次の各号に掲げるところに従つて決定しなければならない。
一 道路、下水道その他の施設に関して都市計画が決定されている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。
二 当該区域が製造工場等の生産能率が十分に発揮されるよう適切な配置及び規模の道路、排水施設、公園又は緑地その他の施設を備えた工業団地となるように定めること。
(工業団地造成事業の施行)
第六条 工業団地造成事業は、都市計画事業として施行する。
(施行者)
第七条 都市計画法第五条の規定は、工業団地造成事業には適用しない。
2 工業団地造成事業は、都県、都県の加入する一部事務組合(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項に規定する一部事務組合をいう。以下同じ。)又は日本住宅公団で、建設大臣に工業団地造成事業を施行することを申し出たものが施行する。
第二節 測量、調査及び土地の収用等
(測量及び調査のための土地の立入り等)
第八条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者(工業団地造成事業を施行する者をいう。以下同じ。)は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第九条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、工業団地造成事業を施行しようとする者若しくは施行者又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第十条 第八条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第十一条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、第八条第一項又は第九条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者が協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(測量のための標識の設置)
第十二条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行に必要な測量を行なうため必要がある場合においては、建設省令で定める標識を設けることができる。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(関係簿書の閲覧等)
第十三条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行しようとする、又は施行する土地を管轄する登記所に対し、又はその他の官公署の長に対し、無償で必要な簿書の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
(建築行為等の制限)
第十四条 都市計画事業として決定された工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内において、工業団地造成事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都県知事の許可を受けなければならない。
2 都県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、この許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 都県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、工業団地造成事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 都県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、工業団地造成事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 都県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都県知事は、それらの者の負担において、その措置を自ら行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(工業団地造成事業のための土地等の収用)
第十五条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地又はその土地にある土地収用法第五条第一項各号に掲げる権利を収用することができる。
2 前項の規定により土地又は権利が収用される場合において、権原により当該土地又は当該権利の目的である土地に建築物その他の土地に定着する工作物を所有する者は、その工作物の収用を請求することができる。
(材料置場等の施設の設置のための土地等の使用)
第十六条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
(土地収用法の適用等)
第十七条 第十五条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用に関しては、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法の規定を適用する。
2 都市計画法第十九条及び第二十条の規定は、第十五条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用について準用する。
3 土地収用法第八十七条の規定は、第十五条第二項の規定による収用の請求について準用する。
第三節 造成敷地等の処分及び管理等
(造成敷地等の処分管理計画)
第十八条 工業団地造成事業が都市計画事業として決定されたときは、施行者である都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団は、遅滞なく、首都圏整備委員会規則(以下「委員会規則」という。)で定めるところにより、造成敷地等の処分及び管理に関する計画(以下「造成敷地等処分管理計画」という。)を定め、首都圏整備委員会にこれを提出しなければならない。
2 施行者である都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団は、造成敷地等処分管理計画を定めようとするときは、あらかじめ、他の者が管理すべき施設又はその敷地に係る事項について、その管理すべき者に協議しなければならない。
3 首都圏整備委員会は、第一項の規定により造成敷地等処分管理計画の提出を受けた場合においては、関係行政機関の長の意見をきき、この法律及び当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画の趣旨に照らして必要があると認めるときは、当該造成敷地等処分管理計画の変更を求めることができる。
4 前三項の規定は、施行者である、又は施行者であつた都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団(以下「都県等」と総称する。)が造成敷地等処分管理計画を変更する場合に準用する。
(工事の完了の公告)
第十九条 施行者は、製造工場等の敷地の造成に関する工事が完了したときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
(造成敷地等の処分及び管理)
第二十条 都県等は、造成敷地等をこの法律及び造成敷地等処分管理計画に従つて処分し、又は管理しなければならない。
2 都県等(日本住宅公団を除く。以下この項において同じ。)がこの法律の規定により行なう造成工場敷地の処分については、都県等の財産の処分に関する法令の規定は、適用しない。
(造成工場敷地の譲受人の公募)
第二十一条 都県等は、造成工場敷地について、委員会規則で定めるところにより、その譲受人を公募しなければならない。
(造成工場敷地の譲受人の資格)
第二十二条 造成工場敷地の譲受人は、少なくとも、次の各号に掲げる条件を備えた者でなければならない。
一 当該造成工場敷地において自ら製造工場等を経営しようとする者であること。
二 製造工場等の建設及び経営に必要な資力及び信用を有する者であること。
三 譲渡の対価の支払能力がある者であること。
(造成工場敷地の譲受人の選考)
第二十三条 都県等は、造成工場敷地の譲受人を、次の各号に掲げる者の順に、公正な方法で選考して決定するものとする。
一 製造工場等の敷地を当該工業団地造成事業に必要な土地として提供した者
二 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律(昭和三十四年法律第十七号)以下「工業等制限法」という。)第三条の工業等制限区域(以下「工業等制限区域」という。)内にある工業等制限法第二条第四項の制限施設(以下「制限施設」という。)である製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が同条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
三 工業等制限区域内にある制限施設でない製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が工業等制限法第二条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
四 工業等制限区域内に制限施設である製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第二号に該当する者を除く。)
五 工業等制限区域内に制限施設でない製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第三号に該当する者を除く。)
六 その他の者
(製造工場等の建設)
第二十四条 都県等から造成工場敷地を譲り受けた者は、委員会規則で定めるところにより製造工場等の建設の工期、工事概要等に関する計画を定めて、都県等の承認を受け、当該計画に従つて製造工場等を建設しなければならない。
2 都県等は、前項の規定に違反した者に対して、造成工場敷地の譲渡契約を解除することができる。
(造成工場敷地に関する権利の処分の制限)
第二十五条 第十九条の公告があつた日から起算して十年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は貸借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、委員会規則で定めるところにより、当事者が都県等の長(日本住宅公団が造成した造成工場敷地に関しては、首都圏整備委員会)の承認を受けなければならない。ただし、次の各号の一に掲げる場合は、この限りでない。
一 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
二 滞納処分、強制執行、競売法(明治三十一年法律第十五号)による競売又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
三 土地収用法その他の法律により当該造成工場敷地が収用され、又は使用される場合
2 前項に規定する承認には、造成工場敷地の製造工場等の敷地としての合理的な利用を確保するため必要な条件を附することができる。この場合において、その条件は、当該承認を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
(造成工場敷地を表示した図書の備置き等)
第二十六条 都県等は、造成工場敷地を譲渡したときは、当該造成工場敷地の存する市町村の長に対し、委員会規則で定めるところにより、当該造成工場敷地を表示した図書を送付しなければならない。
2 前項の図書の送付を受けた市町村長は、第十九条の公告があつた日から起算して十年間、その図書を当該市町村の役場に備え置いて、関係人の請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
3 都県等は、委員会規則で定めるところにより、第十九条の公告があつた日から起算して十年間、工業団地造成事業を施行した土地の区域内の見やすい場所に、工業団地造成事業を施行した土地である旨を表示した標識を設置しなければならない。
4 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
第四節 補則
(費用の負担)
第二十七条 工業団地造成事業に要する費用は、施行者が負担する。
(監督)
第二十八条 建設大臣は、施行者の行なう工事が工業団地造成事業につき都市計画法第三条の規定により決定された都市計画事業の内容に従つていないと認める場合においては、その施行者に対し、工業団地造成事業の適正な施行を確保するため必要な限度において、その工事の中止又は変更その他必要な措置を命ずることができる。
2 首都圏整備委員会は、第二十一条から第二十三条までの規定に違反する譲受人の決定又は違法若しくは不当な第二十五条の規定に基づく承認若しくは不承認の処分が行なわれたときは、都県若しくは都県の加入する一部事務組合若しくはそれらの長又は日本住宅公団に対し、造成工場敷地の適正な処分及び管理を確保するため必要な限度において、造成工場敷地の処分の差止めを命じ、又は承認若しくは不承認の処分を取り消すことができる。
(報告、勧告等)
第二十九条 建設大臣は、施行者に対して、工業団地造成事業の施行に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は工業団地造成事業の施行の促進を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
2 首都圏整備委員会は、都県若しくは都県の加入する一部事務組合若しくはそれらの長又は日本住宅公団に対して、造成敷地等の処分及び管理に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は造成敷地等の処分及び管理を適正に行なわせるため必要な勧告若しくは助言をすることができる。
(審査請求)
第三十条 都県等が第二十四条第一項の規定に基づいてした承認又は不承認の処分に不服がある者は、首都圏整備委員会に対して行政不服審査法(昭和三十七年法律第  号)による審査請求をすることができる。
第三章 雑則
本則に次の一章を加える。
第四章 罰則
(罰則)
第三十六条 第二十四条第一項の規定に違反して、造成工場敷地を製造工場等の建設以外の目的に使用した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第八条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
二 第九条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は都県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
三 第十四条第四項の規定による命令に違反して、土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しなかつた者
四 第二十四条第一項の規定に違反して、計画の承認を受ける手続をせず、又は承認を受けた計画に従つて製造工場等を建設しなかつた者
五 第二十五条第一項の規定に違反して、同項に掲げる権利の設定又は移転につき承認を受けないで、造成工場敷地を権利者に引き渡した者
六 第二十五条第二項の規定により附した条件に違反した者
第三十八条 第十二条第二項又は第二十六条第四項の規定に違反して、第十二条第一項又は第二十六条第三項の規定による標識を移転し、除却し、汚損し、又は損壊した者は、三万円以下の罰金に処する。
第三十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第三十六条又は第三十七条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、改正後の第三十条の規定は、行政不服審査法の施行の日から適用する。
(都市計画法の一部改正)
2 都市計画法の一部を次のように改正する。
第十一条ノ二中「土地区画整理事業」の下に「、第十三条ノ工業団地造成事業」を加える。
第十三条から第十五条までを次のように改める。
第十三条 都市計画区域内ニ於ケル工業都市トシテ発展セシムルコトヲ適当トスル首都圏整備法第二条第五項ノ市街地開発区域内ノ土地ニ付テハ其ノ市街地開発区域ノ開発発展ヲ図ル為首都圏市街地開発区域整備法ノ定ムル所ニ依リ工業団地造成事業ヲ施行スルコトヲ得
第十四条及第十五条 削除
(租税特別措置法の一部改正)
3 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十一条第一項第一号中「水防法」を「首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)、水防法」に改める。
第三十八条の三第一項第一号中「買い取られた場合」の下に「(第三十一条第一項第二号又は第三十二条第一項第一号の規定の適用がある場合を除く。)」を加える。
第六十五条の三第一項第一号中「買い取られた場合」の下に「(第六十四条第一項第二号又は第六十五条第一項第一号の規定の適用がある場合を除く。)」を加える。
(建設省設置法の一部改正)
4 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号の九の次に次の一号を加える。
五の十 首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業に関する事務を管理すること。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
通商産業大臣 佐藤榮作
運輸大臣 齋藤昇
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙
首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月十六日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百三十七号
首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する法律
首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第一条の前に次の目次及び章名を加える。
目次
第一章
総則(第一条―第三条)
第二章
工業団地造成事業等
第一節
工業団地造成事業(第四条―第七条)
第二節
測量、調査及び土地の収用等(第八条―第十七条)
第三節
造成敷地等の処分及び管理等(第十八条―第二十六条)
第四節
補則(第二十七条―第三十条)
第三章
雑則(第三十一条―第三十五条)
第四章
罰則(第三十六条―第三十九条)
附則
第一章 総則
第二条に次の六項を加える。
2 この法律で「市街地開発区域整備計画」とは、市街地開発区域の整備に関する事項についての法第二十一条第三項の整備計画をいう。
3 この法律で「市街地開発区域事業計画」とは、法第二十一条第四項の事業計画で、市街地開発区域整備計画の実施のための事業に係るものをいう。
4 この法律で「製造工場等」とは、製造業(物品の加工修理業を含む。)又は電気供給業若しくはガス供給業に必要な工場及びその附属施設をいう。
5 この法律で「工業団地造成事業」とは、市街地開発区域内において、この法律で定めるところに従つて行なわれる、製造工場等の敷地の造成及びその敷地とあわせて整備されるべき道路、排水施設、鉄道、倉庫その他の施設の敷地の造成又はそれらの施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業(造成された敷地又は整備された施設の処分及び管理に関するものを除く。)をいう。
6 この法律で「造成敷地等」とは、工業団地造成事業により造成された敷地及び整備された施設をいう。
7 この法律で「造成工場敷地」とは、工業団地造成事業により造成された製造工場等の敷地をいう。
第三条第二項中「市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画(法第二十一条第三項の整備計画をいう。以下同じ。)」を「市街地開発区域整備計画」に改め、「当該整備計画」を「当該市街地開発区域整備計画」に改める。
第八条第二項中「当該市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画」を「当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画」に改め、同条を第三十五条とし、第七条第一項中「当該市街地開発区域の整備に関する事項についての整備計画」を「当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画」に改め、同条を第三十四条とし、第六条中「事業計画に基いて市街地開発区域の整備のための」を「市街地開発区域事業計画に基づく」に改め、同条を第三十三条とし、第五条中「事業計画に基いて市街地開発区域内において」を「市街地開発区域事業計画に基づいて」に改め、同条を第三十二条とし、第四条中「事業計画(法第二十一条第四項の事業計画をいう。以下同じ。)に基いて市街地開発区域の整備のための」を「市街地開発区域事業計画に基づいて」に改め、同条を第三十一条とし、第三条の次に次の一章及び章名を加える。
第二章 工業団地造成事業等
第一節 工業団地造成事業
(工業団地の造成に関する都市計画)
第四条 建設大臣は、次の各号に掲げる条件に該当する土地の区域について、工業団地造成事業を施行すべきことを、都市計画法の定める手続きによつて、都市計画として決定することができる。
一 工業都市として発展させることが適当な市街地開発区域内にあつて、当該市街地開発区域の開発発展の中核となるべき相当規模の区域であること。
二 前号の市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画が整備されていること。
三 当該区域内において建築物の敷地として利用されている土地がきわめて少ないこと。
四 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十条第三項の工業専用地区内にあること。
2 建設大臣は、前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、工業立地上の観点からする通商産業大臣の意見及び鉄道等の輸送施設の配置上の観点からする運輸大臣の意見をきかなければならない。
第五条 前条第一項の都市計画は、次の各号に掲げるところに従つて決定しなければならない。
一 道路、下水道その他の施設に関して都市計画が決定されている場合においては、その都市計画に適合するように定めること。
二 当該区域が製造工場等の生産能率が十分に発揮されるよう適切な配置及び規模の道路、排水施設、公園又は緑地その他の施設を備えた工業団地となるように定めること。
(工業団地造成事業の施行)
第六条 工業団地造成事業は、都市計画事業として施行する。
(施行者)
第七条 都市計画法第五条の規定は、工業団地造成事業には適用しない。
2 工業団地造成事業は、都県、都県の加入する一部事務組合(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百八十四条第一項に規定する一部事務組合をいう。以下同じ。)又は日本住宅公団で、建設大臣に工業団地造成事業を施行することを申し出たものが施行する。
第二節 測量、調査及び土地の収用等
(測量及び調査のための土地の立入り等)
第八条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者(工業団地造成事業を施行する者をいう。以下同じ。)は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう必要がある場合においては、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。
2 前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、立ち入ろうとする日の三日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により、建築物が所在し、又はかき、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合においては、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を土地の占有者に告げなければならない。
4 日出前及び日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き、前項に規定する土地に立ち入つてはならない。
5 土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。
(障害物の伐除及び土地の試掘等)
第九条 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行なう者は、その測量又は調査を行なうにあたり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくはかき、さく等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行なおうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都県知事の許可を受けて当該土地に試掘等を行なうことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都県知事が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
2 前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
3 第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、工業団地造成事業を施行しようとする者若しくは施行者又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
(証明書等の携帯)
第十条 第八条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯しなければならない。
2 前条の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、その身分を示す証明書及び市町村長又は都県知事の許可証を携帯しなければならない。
3 前二項に規定する証明書又は許可証は、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(土地の立入り等に伴う損失の補償)
第十一条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、第八条第一項又は第九条第一項若しくは第三項の規定による行為により他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して通常生ずべき損失を補償しなければならない。
2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者が協議しなければならない。
3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。
(測量のための標識の設置)
第十二条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行に必要な測量を行なうため必要がある場合においては、建設省令で定める標識を設けることができる。
2 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
(関係簿書の閲覧等)
第十三条 工業団地造成事業を施行しようとする者又は施行者は、工業団地造成事業の施行の準備又は施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行しようとする、又は施行する土地を管轄する登記所に対し、又はその他の官公署の長に対し、無償で必要な簿書の閲覧若しくは謄写又はその謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
(建築行為等の制限)
第十四条 都市計画事業として決定された工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内において、工業団地造成事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都県知事の許可を受けなければならない。
2 都県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、この許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 都県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、工業団地造成事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 都県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物若しくは物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、工業団地造成事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 都県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都県知事は、それらの者の負担において、その措置を自ら行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(工業団地造成事業のための土地等の収用)
第十五条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため必要がある場合においては、工業団地造成事業を施行すべき土地の区域内の土地又はその土地にある土地収用法第五条第一項各号に掲げる権利を収用することができる。
2 前項の規定により土地又は権利が収用される場合において、権原により当該土地又は当該権利の目的である土地に建築物その他の土地に定着する工作物を所有する者は、その工作物の収用を請求することができる。
(材料置場等の施設の設置のための土地等の使用)
第十六条 施行者は、工業団地造成事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
(土地収用法の適用等)
第十七条 第十五条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用に関しては、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法の規定を適用する。
2 都市計画法第十九条及び第二十条の規定は、第十五条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用について準用する。
3 土地収用法第八十七条の規定は、第十五条第二項の規定による収用の請求について準用する。
第三節 造成敷地等の処分及び管理等
(造成敷地等の処分管理計画)
第十八条 工業団地造成事業が都市計画事業として決定されたときは、施行者である都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団は、遅滞なく、首都圏整備委員会規則(以下「委員会規則」という。)で定めるところにより、造成敷地等の処分及び管理に関する計画(以下「造成敷地等処分管理計画」という。)を定め、首都圏整備委員会にこれを提出しなければならない。
2 施行者である都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団は、造成敷地等処分管理計画を定めようとするときは、あらかじめ、他の者が管理すべき施設又はその敷地に係る事項について、その管理すべき者に協議しなければならない。
3 首都圏整備委員会は、第一項の規定により造成敷地等処分管理計画の提出を受けた場合においては、関係行政機関の長の意見をきき、この法律及び当該市街地開発区域に係る市街地開発区域整備計画の趣旨に照らして必要があると認めるときは、当該造成敷地等処分管理計画の変更を求めることができる。
4 前三項の規定は、施行者である、又は施行者であつた都県、都県の加入する一部事務組合又は日本住宅公団(以下「都県等」と総称する。)が造成敷地等処分管理計画を変更する場合に準用する。
(工事の完了の公告)
第十九条 施行者は、製造工場等の敷地の造成に関する工事が完了したときは、遅滞なく、その旨を公告しなければならない。
(造成敷地等の処分及び管理)
第二十条 都県等は、造成敷地等をこの法律及び造成敷地等処分管理計画に従つて処分し、又は管理しなければならない。
2 都県等(日本住宅公団を除く。以下この項において同じ。)がこの法律の規定により行なう造成工場敷地の処分については、都県等の財産の処分に関する法令の規定は、適用しない。
(造成工場敷地の譲受人の公募)
第二十一条 都県等は、造成工場敷地について、委員会規則で定めるところにより、その譲受人を公募しなければならない。
(造成工場敷地の譲受人の資格)
第二十二条 造成工場敷地の譲受人は、少なくとも、次の各号に掲げる条件を備えた者でなければならない。
一 当該造成工場敷地において自ら製造工場等を経営しようとする者であること。
二 製造工場等の建設及び経営に必要な資力及び信用を有する者であること。
三 譲渡の対価の支払能力がある者であること。
(造成工場敷地の譲受人の選考)
第二十三条 都県等は、造成工場敷地の譲受人を、次の各号に掲げる者の順に、公正な方法で選考して決定するものとする。
一 製造工場等の敷地を当該工業団地造成事業に必要な土地として提供した者
二 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律(昭和三十四年法律第十七号)以下「工業等制限法」という。)第三条の工業等制限区域(以下「工業等制限区域」という。)内にある工業等制限法第二条第四項の制限施設(以下「制限施設」という。)である製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が同条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
三 工業等制限区域内にある制限施設でない製造工場等の敷地に替えて造成工場敷地を取得しようとする者で、従前の製造工場等の敷地が工業等制限法第二条第二項の作業場又は同条第三項の教室の用に供されないことが確実と認められるもの
四 工業等制限区域内に制限施設である製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第二号に該当する者を除く。)
五 工業等制限区域内に制限施設でない製造工場等を有する者で、造成工場敷地にその製造工場等と同一の業種に属する製造工場等を新設しようとするもの(第三号に該当する者を除く。)
六 その他の者
(製造工場等の建設)
第二十四条 都県等から造成工場敷地を譲り受けた者は、委員会規則で定めるところにより製造工場等の建設の工期、工事概要等に関する計画を定めて、都県等の承認を受け、当該計画に従つて製造工場等を建設しなければならない。
2 都県等は、前項の規定に違反した者に対して、造成工場敷地の譲渡契約を解除することができる。
(造成工場敷地に関する権利の処分の制限)
第二十五条 第十九条の公告があつた日から起算して十年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は貸借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、委員会規則で定めるところにより、当事者が都県等の長(日本住宅公団が造成した造成工場敷地に関しては、首都圏整備委員会)の承認を受けなければならない。ただし、次の各号の一に掲げる場合は、この限りでない。
一 相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
二 滞納処分、強制執行、競売法(明治三十一年法律第十五号)による競売又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
三 土地収用法その他の法律により当該造成工場敷地が収用され、又は使用される場合
2 前項に規定する承認には、造成工場敷地の製造工場等の敷地としての合理的な利用を確保するため必要な条件を附することができる。この場合において、その条件は、当該承認を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
(造成工場敷地を表示した図書の備置き等)
第二十六条 都県等は、造成工場敷地を譲渡したときは、当該造成工場敷地の存する市町村の長に対し、委員会規則で定めるところにより、当該造成工場敷地を表示した図書を送付しなければならない。
2 前項の図書の送付を受けた市町村長は、第十九条の公告があつた日から起算して十年間、その図書を当該市町村の役場に備え置いて、関係人の請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
3 都県等は、委員会規則で定めるところにより、第十九条の公告があつた日から起算して十年間、工業団地造成事業を施行した土地の区域内の見やすい場所に、工業団地造成事業を施行した土地である旨を表示した標識を設置しなければならない。
4 何人も、前項の規定により設けられた標識を設置者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊してはならない。
第四節 補則
(費用の負担)
第二十七条 工業団地造成事業に要する費用は、施行者が負担する。
(監督)
第二十八条 建設大臣は、施行者の行なう工事が工業団地造成事業につき都市計画法第三条の規定により決定された都市計画事業の内容に従つていないと認める場合においては、その施行者に対し、工業団地造成事業の適正な施行を確保するため必要な限度において、その工事の中止又は変更その他必要な措置を命ずることができる。
2 首都圏整備委員会は、第二十一条から第二十三条までの規定に違反する譲受人の決定又は違法若しくは不当な第二十五条の規定に基づく承認若しくは不承認の処分が行なわれたときは、都県若しくは都県の加入する一部事務組合若しくはそれらの長又は日本住宅公団に対し、造成工場敷地の適正な処分及び管理を確保するため必要な限度において、造成工場敷地の処分の差止めを命じ、又は承認若しくは不承認の処分を取り消すことができる。
(報告、勧告等)
第二十九条 建設大臣は、施行者に対して、工業団地造成事業の施行に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は工業団地造成事業の施行の促進を図るため必要な勧告、助言若しくは援助をすることができる。
2 首都圏整備委員会は、都県若しくは都県の加入する一部事務組合若しくはそれらの長又は日本住宅公団に対して、造成敷地等の処分及び管理に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は造成敷地等の処分及び管理を適正に行なわせるため必要な勧告若しくは助言をすることができる。
(審査請求)
第三十条 都県等が第二十四条第一項の規定に基づいてした承認又は不承認の処分に不服がある者は、首都圏整備委員会に対して行政不服審査法(昭和三十七年法律第  号)による審査請求をすることができる。
第三章 雑則
本則に次の一章を加える。
第四章 罰則
(罰則)
第三十六条 第二十四条第一項の規定に違反して、造成工場敷地を製造工場等の建設以外の目的に使用した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第三十七条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第八条第一項の規定による土地の立入りを拒み、又は妨げた者
二 第九条第一項に規定する場合において、市町村長の許可を受けないで障害物を伐除した者又は都県知事の許可を受けないで土地に試掘等を行なつた者
三 第十四条第四項の規定による命令に違反して、土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しなかつた者
四 第二十四条第一項の規定に違反して、計画の承認を受ける手続をせず、又は承認を受けた計画に従つて製造工場等を建設しなかつた者
五 第二十五条第一項の規定に違反して、同項に掲げる権利の設定又は移転につき承認を受けないで、造成工場敷地を権利者に引き渡した者
六 第二十五条第二項の規定により附した条件に違反した者
第三十八条 第十二条第二項又は第二十六条第四項の規定に違反して、第十二条第一項又は第二十六条第三項の規定による標識を移転し、除却し、汚損し、又は損壊した者は、三万円以下の罰金に処する。
第三十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第三十六条又は第三十七条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、改正後の第三十条の規定は、行政不服審査法の施行の日から適用する。
(都市計画法の一部改正)
2 都市計画法の一部を次のように改正する。
第十一条ノ二中「土地区画整理事業」の下に「、第十三条ノ工業団地造成事業」を加える。
第十三条から第十五条までを次のように改める。
第十三条 都市計画区域内ニ於ケル工業都市トシテ発展セシムルコトヲ適当トスル首都圏整備法第二条第五項ノ市街地開発区域内ノ土地ニ付テハ其ノ市街地開発区域ノ開発発展ヲ図ル為首都圏市街地開発区域整備法ノ定ムル所ニ依リ工業団地造成事業ヲ施行スルコトヲ得
第十四条及第十五条 削除
(租税特別措置法の一部改正)
3 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十一条第一項第一号中「水防法」を「首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)、水防法」に改める。
第三十八条の三第一項第一号中「買い取られた場合」の下に「(第三十一条第一項第二号又は第三十二条第一項第一号の規定の適用がある場合を除く。)」を加える。
第六十五条の三第一項第一号中「買い取られた場合」の下に「(第六十四条第一項第二号又は第六十五条第一項第一号の規定の適用がある場合を除く。)」を加える。
(建設省設置法の一部改正)
4 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号の九の次に次の一号を加える。
五の十 首都圏市街地開発区域整備法(昭和三十三年法律第九十八号)による工業団地造成事業に関する事務を管理すること。
内閣総理大臣 池田勇人
法務大臣 植木庚子郎
大蔵大臣 水田三喜男
通商産業大臣 佐藤栄作
運輸大臣 斎藤昇
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙