(業務の範囲)
第十七條 公庫は、第一條に掲げる目的を逹成するため、左に掲げる者に対し、住宅の建設(新たに建設された住宅で、まだ人の住居の用に供したことのないものの購入を含む。以下同じ。)に必要な資金の貸付の業務を行う。
二 住宅組合法(大正十年法律第六十六号)による住宅組合(以下「住宅組合」という。)
三 自ら居住するため住宅を必要とする者に対し住宅を建設して賃貸する事業を行う会社その他の法人
2 公庫は、前項各号に掲げる者が、住宅の建設に附随して新たに土地又は借地権の取得を必要とする場合においては、土地又は借地権の取得に必要な資金を当該住宅の建設に必要な資金にあわせて貸し付けることができる。
3 公庫は、前二項に規定する業務の外、主務大臣の承認を得て、左の業務を行うことができる。
二 住宅の建設に必要な土地又は借地権の取得に関するあつ旋
三 貸付金の回收に関連して取得した住宅又は土地若しくは借地権の管理及び処分
(貸付を受けるべき者の選定)
第十八條 公庫は、前條第一項及び第二項の規定による貸付の業務を行う場合においては、貸付の申込をした者(以下「申込者」という。)の貸付希望金額、申込者の元利金の償還の見込及び前條第一項第一号に該当する者についてはその住宅を必要とする事由、同項第二号に該当する住宅組合についてはその組合員の住宅を必要とする事由、同項第三号に該当する者についてはその事業の内容をそれぞれ充分に審査し、且つ、申込者の総数及び申込に係る貸付希望金額の総額を参しやくして、公庫から資金の貸付を受けるべき者を公正に選ばなければならない。
(貸付をすることができる住宅)
第十九條 公庫が第十七條第一項の規定により貸付をすることができる住宅は、一戸当りの床面積が百平方メートルをこえないものであつて、且つ、建設費(購入の場合にあつては、購入価額。以下同じ。)が第二十條第一項に規定する標準建設費の一・二倍をこえないものでなければならない。
(貸付金額の限度)
第二十條 第十七條第一項の規定による貸付金の一戸当りの金額は、住宅の建設費の七割五分に相当する金額を限度とする。但し、当該建設費が標準建設費をこえる場合においては、標準建設費の七割五分に相当する金額をこえることができない。
2 前項の場合において、住宅の床面積が六十平方メートルをこえる場合においては、当該床面積は、六十平方メートルとして計算する。
3 第十七條第二項の規定による貸付金の一戸当りの金額は、土地又は借地権の価額の七割五分に相当する金額を限度とする。但し、当該価額が土地又は借地権の標準価額をこえる場合においては、標準価額の七割五分に相当する金額をこえることができない。
4 第一項に規定する標準建設費は、地域別及び住宅の構造別に、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設のため通常必要な費用を参しやくして、前項に規定する標準価額は、地域別の單位面積当りの取引価格の平均及び当該土地に建設されるベき、又は建設された住宅の床面積を参しやくして、公庫が主務大臣の承認を得て定める。これを変更しようとするときも、また同様とする。
5 公庫は、前項の規定により標準建設費及び標準価額を定めたとき又は変更したときは、主務省令で定める方法により、これを公表しなければならない。
(貸付金の利率並びに償還の期間及び方法)
第二十一條 第十七條第一項及び第二項の規定による貸付金の利率は、年五分五厘とし、その償還期間は、左の通りとする。
住宅の構造による区別 |
償還期間 |
木造若しくは木骨防火造又はこれらに類する構造の住宅の建設及びこれらに付随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
十五年以内 |
外壁をコンクリート造、コンクリート・ブロツク造、れんが造その他の耐火構造とした住宅又は主要構造部を金属板その他の不燃材料で造つた住宅の建設及びこれらに付随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
二十年以内 |
主要構造部を鉄筋コンクリート造その他の耐火構造とした住宅の建設及びこれらに付随する土地又は借地権の取得を目的とする貸付金 |
三十年以内 |
2 前項の住宅の構造の区別について必要な技術的事項は、主務省令で定める。
3 公庫の貸付金の償還は、割賦償還の方法によるものとする。但し、公庫から資金の貸付を受けた者(包括承継人を含む。以下「貸付を受けた者」という。)は、貸付金についていつでも一時償還をすることができる。
4 公庫は、前項の規定にかかわらず、左の各号の一に該当する場合においては、貸付を受けた者に対し、いつでも貸付金につき一時償還を請求することができる。但し、一時償還を請求することができる額は、第五号又は第六号に該当する場合においては、当該住宅又は土地若しくは借地権に係る貸付金の額を、第七号に該当する場合においては、当該住宅に係る貸付金の額をそれぞれこえることができない。
一 貸付を受けた者が六月以上割賦金の償還をしなかつたとき、又は正当な理由がなくて割賦金の償還を怠つたと認められるとき。
二 貸付を受けた者が当該貸付金を担保するため設定された抵当権の目的たる住宅又は土地に係る租税その他の公課を滯納したとき。
三 貸付を受けた者が貸付金を貸付の目的以外の目的に使用したとき。
四 貸付を受けた者で第十七條第一項第一号又は第三号の規定に該当するものが貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権を他人に讓渡したとき。
五 貸付を受けた者たる住宅組合から貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権の讓渡を受けた組合員が、当該住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権を他人に讓渡したとき。
六 貸付を受けた者たる住宅組合が、当該組合から貸付金に係る住宅又は住宅及びこれに附随する土地若しくは借地権の讓渡を受けるべき組合員の持分の讓渡を承諾したとき。
七 貸付金に係る住宅が貸付の際定められた用途以外の用途に供せられたとき。
八 貸付を受けた者で第十七條第一項第三号の規定に該当するものが第三十五條第一項又は第二項の規定に違反したとき。
九 前各号に掲げるものの外、貸付を受けた者が正当な理由がなくて契約の條項に違反したとき。
5 前項の規定により貸付金の一時償還を請求した場合において、償還をなすべき者が償還を怠つた場合においては、公庫は、当該貸付金を担保するため設定された抵当権を実行するものとする。
(貸付の條件の変更等)
第二十二條 貸付を受けた者が、災害その他特殊の事由に因り、元利金の支拂が著しく困難となつた場合においては、公庫は、主務大臣の認可を受けて、貸付の條件の変更又は延滯元利金の支拂方法の変更をすることができる。
(業務の委託)
第二十三條 公庫は、主務大臣の認可を受けて、公庫の業務を委託するに必要で、且つ、適切な組織と能力とを有する銀行(日本銀行を除く。)その他の金融機関(以下「金融機関」と総称する。)に対し、公庫の貸付に関する申込の受理及び審査、資金の貸付、元利金の回收その他貸付及び回收に関する業務を、地方公共団体に対し、貸付金に係る住宅の建設工事の審査を委託することができる。但し、貸付の決定については、この限りでない。
2 公庫は、前項の規定により業務の一部を委託しようとする場合においては、当該業務の委託を受ける者(以下「受託者」という。)に対し、委託業務に関する準則を示さなければならない。
3 公庫は、第一項の規定により業務を委託した場合においては、受託者に対し、手数料を支拂わなければならない。
4 前項の手数料は、公庫が、主務大臣の認可を受けて、元利金の回收に関する業務以外の委託業務については、その業務に必要な経費を基準として、元利金の回收に関する業務については、その業務に必要な経費に元利金の回收割合(元利金を回收した額の回收すべき額に対する割合をいう。)に応じて公庫が定める率により算出した金額を加えた額を基準として定める。
5 公庫は、必要があると認める場合においては、受託者に対し、当該委託業務の処理について報告をさせ、又は役員若しくは職員をして当該委託業務について必要な調査をさせることができる。
6 受託者たる金融機関の役員又は職員であつて第一項の規定による委託業務に従事する者は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の規定の適用については、これを法令により公務に従事する職員とみなす。
(業務方法書)
第二十四條 公庫は、業務開始の際、業務方法書を定め、主務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
2 前項の業務方法書には、資金の貸付の方法、元利金の回收の方法、貸付をすることができる住宅の規模及び規格に関する基準、前條第二項に規定する委託業務に関する準則並びに抵当権の設定、火災保險契約の締結、貸付金に係る住宅の維持補修の義務、貸付金に係る住宅の大修繕又は改築に対する公庫の承認その他の貸付の條件を記載しなければならない。
(事業計画及び資金計画)
第二十五條 公庫は、毎事業年度において当該事業年度の予算の添付書類に定める計画に適合するように、四半期ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを主務大臣に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、また同様とする。
2 公庫は、前項の事業計画及び資金計画を作成する場合においては、一事業年度を通じて、第十七條第一項第三号の規定に該当する者に対して貸し付ける金額の総額の当該年度における貸付金の総額に対する割合が百分の三十をこえないようにこれを定めなければならない。