不動産特定共同事業法をここに公布する。
御名御璽
平成六年六月二十九日
内閣総理大臣 羽田孜
法律第七十七号
不動産特定共同事業法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
許可(第三条―第十三条)
第三章
業務(第十四条―第三十一条)
第四章
監督(第三十二条―第四十条)
第五章
不動産特定共同事業協会(第四十一条―第四十三条)
第六章
雑則(第四十四条―第五十一条)
第七章
罰則(第五十二条―第五十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、不動産特定共同事業を営む者について許可制度を実施して、その業務の遂行に当たっての責務等を明らかにし、及び事業参加者が受けることのある損害を防止するため必要な措置を講ずることにより、その業務の適正な運営を確保し、もって事業参加者の利益の保護を図るとともに、不動産特定共同事業の健全な発達に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「不動産」とは、宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第一号に掲げる宅地又は建物をいう。
2 この法律において「不動産取引」とは、不動産の売買、交換又は賃貸借をいう。
3 この法律において「不動産特定共同事業契約」とは、次に掲げる契約(予約を含む。)であって、契約(予約を含む。)の締結の態様、当事者の関係等を勘案して収益又は利益の分配を受ける者の保護が確保されていると認められる契約(予約を含む。)として政令で定めるものを除いたものをいう。
一 各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約
二 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため出資を行い、相手方がその出資された財産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる利益の分配を行うことを約する契約
三 当事者の一方が相手方の行う不動産取引のため自らの共有に属する不動産の賃貸をし、又はその賃貸の委任をし、相手方が当該不動産により不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約
四 外国の法令に基づく契約であって、前三号に掲げるものに相当するもの
五 前各号に掲げるもののほか、不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を行うことを約する契約(外国の法令に基づく契約を含む。)であって、当該不動産取引に係る事業の公正及び当該不動産取引から生ずる収益又は利益の分配を受ける者の保護を確保することが必要なものとして政令で定めるもの
4 この法律において「不動産特定共同事業」とは、次に掲げる行為で業として行うものをいう。
一 不動産特定共同事業契約を締結して当該不動産特定共同事業契約に基づき営まれる不動産取引から生ずる利益又は利益の分配を行う行為(前項第一号に掲げる不動産特定共同事業契約若しくは同項第四号に掲げる不動産特定共同事業契約のうち同項第一号に掲げる不動産特定共同事業契約に相当するもの又はこれらに類する不動産特定共同事業契約として政令で定めるものにあっては、業務の執行の委任を受けた者又はこれに相当する者を行うものに限る。)
二 不動産特定共同事業契約の締結の代理又は媒介する行為
5 この法律において「不動産特定共同事業者」とは、次条第一項の許可を受けて不動産特定共同事業を営む者をいう。
6 この法律において「事業参加者」とは、不動産特定共同事業契約の当事者で、当該不動産特定共同事業契約に基づき不動産特定共同事業を営む者以外のものをいう。
第二章 許可
(不動産特定共同事業の許可)
第三条 不動産特定共同事業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあっては主務大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 前項の許可のうち主務大臣の許可を受けようとする者は、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)で定めるところにより登録免許税を、同項の許可のうち都道府県知事の許可を受けようとする者は、政令で定めるところにより手数料を、それぞれ納めなければならない。
(許可の条件)
第四条 主務大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。
2 前項の条件は、不動産特定共同事業の適正な運営を確保するため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。
(許可の申請)
第五条 第三条第一項の許可を受けようとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあってはその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して主務大臣に、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
一 商号又は名称及び住所
二 役員の氏名及び住所並びに政令で定める使用人があるときは、その者の氏名及び住所
三 事務所の名称及び所在地並びに事務所ごとに置かれる第十七条第一項に規定する者の氏名及び住所
四 資本又は出資の額
五 宅地建物取引業法第三条第一項の免許に関する事項
六 業務の種別(第二条第四項各号の種別をいう。以下同じ。)
七 他に事業を行っているときは、その事業の種類
八 その他主務省令で定める事項
2 前項の許可申請書には、次に掲げる書類(第二条第四項第二号に掲げる行為に係る事業のみを行おうとする者にあっては、第四号に掲げるものを除く。)を添付しなければならない。
一 定款又はこれに代わる書面
二 登記簿の謄本又はこれに代わる書面
三 事務所について第十七条第一項に規定する要件を備えていることを証する書面
四 不動産特定共同事業契約約款
五 その他主務省令で定める事項を記載した書類
(欠格事由)
第六条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条第一項の許可を受けることができない。
一 法人でない者(外国法人で国内に事務所を有しないものを含む。)
二 宅地建物取引業法第三条第一項の免許を受けていない法人
三 第三十六条の規定により第三条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない法人又はこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可(当該許可に類する登録その他の行政処分を含む。第六号へにおいて同じ。)を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない法人
四 第三十六条各号のいずれかに該当するとして第三条第一項の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があった日から当該処分があった日又は処分をしないことの決定があった日までの間に第十一条第一項第四号に該当する旨の同項の規定による届出をした法人で当該届出の日から五年を経過しないもの
五 この法律、宅地建物取引業法若しくは出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定により罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない法人
六 役員(業務を執行する社員若しくは取締役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問、その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員若しくは取締役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、次条第三号及び第三十五条第一項第六号において同じ。)又は政令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者のある法人
イ 禁治産者若しくは準禁治産者又は外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
ロ 破産者で復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ニ 前号に規定する法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十一条第七項の規定を除く。)若しくはこれらに相当する外国の法令の規定に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条ノ二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ホ 不動産特定共同事業者が第三十六条の規定により第三条第一項の許可を取り消された場合において、その取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該不動産特定共同事業者の役員であった者で当該取消しの日から五年を経過しないもの
ヘ この法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている同種の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された法人の当該取消しの日前六十日以内に役員に相当する者であった者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
(許可の基準)
第七条 主務大臣又は都道府県知事は、第五条の規定による許可の申請をした者が次に掲げる基準(第二条第四項第二号に掲げる行為に係る事業のみを行おうとする者にあっては、第五号に掲げるものを除く。)に適合していると認めるときでなければ、第三条第一項の許可をしてはならない。
一 その資本又は出資の額が事業参加者の保護のため必要かつ適当なものとして業務の種別ごとに政令で定める金額を満たすものであること。
二 その資産の合計額から負債の合計額を控除した額が資本又は出資の額の百分の九十に相当する額を満たすものであること。
三 その者又はその役員若しくは政令で定める使用人が当該許可の申請前五年以内に不動産特定共同事業に関し不正又は著しく不当な行為をしたものでないこと。
四 その事務所が第十七条第一項に規定する要件を満たすものであること。
五 その不動産特定共同事業契約約款の内容が政令で定める基準に適合するものであること。
六 不動産特定共同事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有するものであること。
(変更の許可)
第八条 不動産特定共同事業者が第三条第一項の許可を受けた後次の各号のいずれかに該当して引き続き不動産特定共同事業を営もうとする場合においては、第五条の規定にかかわらず、第一号又は第二号に該当するときは当該各号に定めるその有し、又は設置することとなった事務所の所在地を管轄する都道府県知事に対し、第三号に該当するときはその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して主務大臣に対し、主務省令で定めるところにより、同条第一項第三号に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
一 主務大臣の許可を受けた者が一の都道府県の区域内にのみ事務所を有することとなったとき。
二 都道府県知事の許可を受けた者が当該都道府県の区域内における事務所を廃止して、他の一の都道府県の区域内に事務所を設置することとなったとき。
三 都道府県知事の許可を受けた者が二以上の都道府県の区域内に事務所を有することとなったとき。
2 前項の規定による許可申請書の提出があった場合においては、主務大臣又は都道府県知事は、前条の規定にかかわらず、その提出をした者が同条第三号及び第四号に掲げる基準に適合すると認めるときは、第三条第一項の許可をしなければならない。
3 不動産特定共同事業者が前項の規定により第三条第一項の許可を受けたときは、その者に係る従前の主務大臣又は都道府県知事の同項の許可は、その効力を失う。
(変更の認可)
第九条 不動産特定共同事業者は、業務の種別の変更をしようとするとき、又は第五条第二項第四号に掲げる不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更(不動産特定共同事業契約約款に記載された事項の追加又は変更で主務省令で定める軽微なものを除く。第四十六条第四項及び第五十三条第二号において同じ。)をしようとするときは、主務省令で定めるところにより、第三条第一項の許可を受けた主務大臣又は都道府県知事の認可を受けなければならない。
2 不動産特定共同事業者が、事務所を追加して設置しようとするとき(前条第一項各号に掲げるときを除く。)も、前項と同様とする。
(変更の届出)
第十条 不動産特定共同事業者は、第五条第一項各号(第五号及び第六号を除く。)に掲げる事項について変更(同項第三号に掲げる事務所の所在地の変更については、第八条第一項各号及び前条第二項の規定に該当するものを除く。)があったときは、二週間以内に、主務省令で定めるところにより、その旨を第三条第一項の許可を受けた主務大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
(廃業等の届出)
第十一条 不動産特定共同事業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、三十日以内に、主務省令で定めるところにより、その旨を第三条第一項の許可を受けた主務大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
一 合併により消滅した場合 消滅した法人を代表する役員であった者
二 破産により解散した場合 破産管財人
三 合併及び破産以外の理由により解散した場合 清算人
四 不動産特定共同事業を廃止した場合(外国法人にあっては、国内に事務所を有しないこととなった場合を含む。) 不動産特定共同事業者であった法人を代表する役員
2 不動産特定共同事業者が前項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該不動産特定共同事業者に対する第三条第一項の許可は、その効力を失う。
(不動産特定共同事業者名簿)
第十二条 主務大臣及び都道府県知事は、その第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者に関する第五条第一項第一号から第七号までに掲げる事項その他主務省令で定める事項を登載した不動産特定共同事業者名簿を備えなければならない。
(不動産特定共同事業者名簿等の閲覧)
第十三条 主務大臣又は都道府県知事は、主務省令で定めるところにより、第五条第二項各号に掲げる書類、不動産特定共同事業者名簿その他主務省令で定める書類を一般の閲覧に供しなければならない。
第三章 業務
(業務遂行の原則)
第十四条 不動産特定共同事業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。
2 不動産特定共同事業者は、その業務を行うに当たっては、不動産の適正かつ合理的な利用の確保に努めるとともに、投機的取引の抑制が図られるよう配慮しなければならない。
(名義貸しの禁止)
第十五条 不動産特定共同事業者は、自己の名義をもって、他人に不動産特定共同事業を営ませてはならない。
(標識の掲示)
第十六条 不動産特定共同事業者は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、主務省令で定める様式の標識を掲示しなければならない。
2 不動産特定共同事業者以外の者は、前項の標識又はこれに類似する標識を掲示してはならない。
(業務管理者)
第十七条 不動産特定共同事業者は、事務所ごとに、第二十四条第二項、第二十五条第二項及び第二十八条第三項の規定による業務のほか、当該事務所における次に掲げる業務の実施に関し必要な助言、指導その他の監督管理を行わせるため、その従業者であって宅地建物取引業法第十八条に規定する登録を受けていることその他主務省令で定める要件を満たす者を置かなければならない。
一 不動産特定共同事業契約の締結の勧誘
二 不動産特定共同事業契約の内容についての説明
三 第二十八条第一項の規定による業務
2 不動産特定共同事業者は、主務省令で定めるところにより、事務所ごとに、前項の規定により置かれた者(以下「業務管理者」という。)の氏名その他主務省令で定める事項を記載した名簿(以下「業務管理者名簿」という。)を備え置き、事業参加者(不動産特定共同事業契約の締結をしようとする者を含む。)から請求があったときは、これをその者の閲覧に供しなければならない。
3 不動産特定共同事業者は、第一項の規定に抵触する事務所を開設してはならず、既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは、二週間以内に、同項の規定に適合させるため必要な措置を執らなければならない。
(広告の規制)
第十八条 不動産特定共同事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条の許可、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物について不動産特定共同事業に関する広告をしてはならない。
2 不動産特定共同事業者は、その行おうとする不動産特定共同事業に関する広告をするときは、自己が不動産特定共同事業契約の当事者となるか、若しくはその代理人となるか、又は不動産特定共同事業契約の締結の媒介を行うかの別及び当該不動産特定共同事業契約の第二条第三項各号に掲げる契約の種別を明示しなければならない。
3 不動産特定共同事業者は、その業務に関して広告をするときは、不動産取引による利益の見込みその他主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
(事業実施の時期に関する制限)
第十九条 不動産特定共同事業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第二十九条の許可、建築基準法第六条第一項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物について不動産特定共同事業を行ってはならない。
(不当な勧誘等の禁止)
第二十条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方に対し、当該不動産特定共同事業契約に関する事項であってその相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。
2 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約の解除(組合からの脱退を含む。以下同じ。)を妨げるため、事業参加者に対し、当該不動産特定共同事業契約に関する事項であって事業参加者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
第二十一条 不動産特定共同事業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下この条において「不動産特定共同事業者等」という。)は、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。
2 不動産特定共同事業者等は、不動産特定共同事業契約の解除を妨げるため、事業参加者を、威迫して困惑させてはならない。
3 不動産特定共同事業者等は、前二項に定めるもののほか、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘又は解除の妨げに関する行為であって、相手方又は事業参加者の保護に欠けるものとして主務省令で定めるものをしてはならない。
(金銭等の貸付け又はその媒介等の禁止)
第二十二条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約の締結の勧誘をするに際し、その行う不動産特定共同事業に関し、その相手方に対し金銭若しくは有価証券を貸し付け、又はその相手方への第三者による金銭若しくは有価証券の貸付けにつき媒介、取次ぎ若しくは代理をしてはならない。
(約款に基づく契約の締結)
第二十三条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約については、第三条第一項の許可又は第九条第一項の認可に係る不動産特定共同事業契約約款に基づいて、これを締結しなければならない。
(不動産特定共同事業契約の成立前の書面の交付)
第二十四条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約が成立するまでの間に、その申込者に対し、不動産特定共同事業契約の内容及びその履行に関する事項であって主務省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。
2 不動産特定共同事業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、業務管理者をして、当該書面に記名押印させなければならない。
(不動産特定共同事業契約の成立時の書面の交付)
第二十五条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約が成立したときは、当該不動産特定共同事業契約の当事者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 不動産特定共同事業契約の第二条第三項各号に掲げる契約の種別
二 不動産特定共同事業契約に係る不動産取引の目的となる不動産を特定するために必要な表示及びその不動産取引の内容
三 事業参加者に対する収益又は利益の分配に関する事項
四 不動産特定共同事業契約に係る財産の管理に関する事項
五 契約期間に関する事項
六 契約終了時の清算に関する事項
七 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
八 その他主務省令で定める事項
2 不動産特定共同事業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、業務管理者をして、当該書面に記名押印させなければならない。
(書面による解除)
第二十六条 事業参加者は、その締結した不動産特定共同事業契約について前条第一項の書面を受領した日から起算して八日を経過するまでの間、書面により当該不動産特定共同事業契約の解除をすることができる。
2 前項の解除は、その解除をする旨の書面を発した時に、その効力を生ずる。
3 第一項の規定による解除があった場合には、当該不動産特定共同事業者は、その解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
4 前三項の規定に反する特約で事業参加者に不利なものは、無効とする。
(財産の分別管理)
第二十七条 不動産特定共同事業者は、主務省令で定めるところにより、不動産特定共同事業契約に係る財産を、自己の固有財産及び他の不動産特定共同事業契約に係る財産と分別して管理しなければならない。
(財産管理報告書の交付等)
第二十八条 不動産特定共同事業者は、事業参加者の求めに応じ、不動産特定共同事業契約に係る財産の管理の状況について説明しなければならない。
2 不動産特定共同事業者は、事業参加者に対し、主務省令で定めるところにより、定期に、不動産特定共同事業契約に係る財産の管理の状況についての報告書を交付しなければならない。
3 不動産特定共同事業者は、前項の規定により交付すべき書面を作成するときは、業務管理者をして、当該書面に記名押印させなければならない。
(書類の閲覧)
第二十九条 不動産特定共同事業者(不動産特定共同事業契約の当事者に限る。次条において同じ。)は、主務省令で定めるところにより、その業務及び財産の状況を記載した書類を事務所ごとに備え置き、事業参加者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
(事業参加者名簿)
第三十条 不動産特定共同事業者は、不動産特定共同事業契約を締結したときは、主務省令で定めるところにより、不動産特定共同事業契約に係る事業参加者の名簿(以下「事業参加者名簿」という。)を作成し、これを保存しなければならない。
2 不動産特定共同事業者は、事業参加者名簿に登載された事業参加者の求めに応じ、これを閲覧させなければならない。
(秘密を守る義務)
第三十一条 不動産特定共同事業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。不動産特定共同事業を営まなくなった後においても、同様とする。
2 不動産特定共同事業者の代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由がある場合でなければ、不動産特定共同事業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。不動産特定共同事業者の代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とする。
第四章 監督
(業務に関する帳簿書類)
第三十二条 不動産特定共同事業者は、主務省令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。
(事業報告書の提出)
第三十三条 不動産特定共同事業者は、事業年度ごとに、主務省令で定める様式による事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、第三条第一項の許可を受けた主務大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
(指示)
第三十四条 主務大臣又は都道府県知事は、その第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者が次の各号のいずれかに該当するとき、又はこの法律の規定に違反したときは、当該不動産特定共同事業者に対し、必要な指示をすることができる。
一 業務に関し、事業参加者に損害を与えたとき、又は損害を与えるおそれが大であるとき。
二 業務に関し、その公正を害する行為をしたとき、又はその公正を害するおそれが大であるとき。
三 業務に関し他の法令に違反し、不動産特定共同事業者として不適当であると認められるとき。
2 都道府県知事は、主務大臣又は他の都道府県知事の第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者で当該都道府県の区域内において業務を行うものが、当該都道府県の区域内における業務に関し、前項各号のいずれかに該当するとき、又はこの法律の規定に違反したときは、当該不動産特定共同事業者に対し、必要な指示をすることができる。
3 都道府県知事は、前項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を、当該不動産特定共同事業者が主務大臣の第三条第一項の許可を受けたものであるときは主務大臣に報告し、当該不動産特定共同事業者が他の都道府県知事の同項の許可を受けたものであるときは当該他の都道府県知事に通知しなければならない。
(業務停止命令)
第三十五条 主務大臣又は都道府県知事は、その第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該不動産特定共同事業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
一 前条第一項第三号に該当するとき。
二 第八条第一項、第九条、第十条、第十五条、第十六条第一項、第十七条、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条から第二十五条まで、第二十七条から第三十条まで、第三十一条第一項、第三十二条又は第三十七条第一項後段(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。
三 前条第一項又は第二項の規定による指示に従わないとき。
四 この法律の規定に基づく主務大臣又は都道府県知事の処分に違反したとき。
五 不動産特定共同事業に関し、不正又は著しく不当な行為をしたとき。
六 役員又は政令で定める使用人のうちに、業務の停止をしようとするとき以前五年以内に不動産特定共同事業に関し不正又は著しく不当な行為をした者があるに至ったとき。
2 都道府県知事は、主務大臣又は他の都道府県知事の第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者で当該都道府県の区域内において業務を行うものが、当該都道府県の区域内における業務に関し、前項第一号から第五号までのいずれかに該当するときは、当該不動産特定共同事業者に対し、一年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
3 前条第三項の規定は、前項の場合について準用する。
(許可の取消し)
第三十六条 主務大臣又は都道府県知事は、その第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該不動産特定共同事業者に対し、同項の許可を取り消すことができる。
一 第六条第二号、第三号(この法律に相当する外国の法令の規定に係る部分に限る。)、第五号又は第六号に該当するに至ったとき。
二 第七条第一号又は第二号に掲げる基準に適合しなくなったとき。
三 不正の手段により第三条第一項の許可を受けたとき。
四 第四条第一項の規定により付された条件に違反したとき。
五 前条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第一項若しくは第二項の規定による業務の停止の命令に違反したとき。
(業務管理者の解任命令)
第三十七条 主務大臣又は都道府県知事は、その第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者に係る業務管理者がその業務に関し不正又は著しく不当な行為をしたときは、当該不動産特定共同事業者に対し、その解任を命ずることができる。この場合において、当該不動産特定共同事業者は、その命令を受けた日から一年以内においてその命令をした主務大臣又は都道府県知事が定める期間内は、その命令に係る者を業務管理者として選任してはならない。
2 都道府県知事は、主務大臣又は他の都道府県知事の第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者に係る業務管理者が当該都道府県の区域内において前項に規定する行為をしたときは、当該不動産特定共同事業者に対し、その解任を命ずることができる。
3 第三十四条第三項の規定及び第一項後段の規定は、前項の場合について準用する。
(監督処分の公告)
第三十八条 主務大臣又は都道府県知事は、第三十五条第一項若しくは第二項又は第三十六条の規定による処分をしたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。
(指導等)
第三十九条 主務大臣はすべての不動産特定共同事業者に対し、都道府県知事は当該都道府県の区域内において不動産特定共同事業を営む不動産特定共同事業者に対し、不動産特定共同事業の適正な運営を確保し、又は不動産特定共同事業の健全な発達を図るため、必要な指導、助言及び勧告をすることができる。
(立入検査等)
第四十条 主務大臣は不動産特定共同事業を営むすべての者に対し、都道府県知事は当該都道府県の区域内において不動産特定共同事業を営む者に対し、この法律の施行のため必要があると認めるときは、その業務若しくは財産について報告若しくは資料の提出を命じ、又はその職員に事務所その他その業務が行われる場所に立ち入り、その業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第五章 不動産特定共同事業協会
(不動産特定共同事業協会)
第四十一条 不動産特定共同事業者は、事業参加者の保護を図るとともに、不動産特定共同事業の健全な発展に資することを目的として、不動産特定共同事業者を会員とし、その名称中に不動産特定共同事業協会という文字を用いる民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定による法人を設立することができる。
2 前項に規定する法人(以下この章において「協会」という。)は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
一 会員の営む不動産特定共同事業の業務に関し、この法律、宅地建物取引業法、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律その他の法令の規定を遵守させるための会員に対する指導、勧告その他の業務
二 会員の営む不動産特定共同事業に関し、不動産特定共同事業契約の内容の適正化その他事業参加者の利益の保護を図るため必要な指導、勧告その他の業務
三 会員の営む不動産特定共同事業の業務に関する事業参加者等からの苦情の解決
四 不動産の適正かつ合理的な利用の確保及び投機的取引の抑制を図るため必要な調査及び研究
五 その他協会の目的を達成するため必要な業務
3 協会は、会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。
(名称の使用の制限)
第四十二条 協会でない者は、その名称中に不動産特定共同事業協会という文字を用いてはならない。
2 協会に加入していない者は、その名称中に不動産特定共同事業協会会員という文字を用いてはならない。
(苦情の解決)
第四十三条 協会は、事業参加者等から会員の営む不動産特定共同事業の業務に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、その苦情に係る事情を調査するとともに、当該会員に対しその苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。
2 協会は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該会員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。
3 会員は、協会から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がないのに、これを拒んではならない。
4 協会は、第一項の申出、当該苦情に係る事情及びその解決の結果について、会員に周知させなければならない。
第六章 雑則
(許可の取消し等に伴う業務の結了)
第四十四条 第十一条第二項の規定により第三条第一項の許可が効力を失ったとき、又は第三十六条の規定により同項の許可が取り消されたときは、当該許可に係る不動産特定共同事業者であった者又はその一般承継人は、当該不動産特定共同事業者が締結した不動産特定共同事業契約に基づく業務を結了する目的の範囲内においては、なお不動産特定共同事業者とみなす。
(外国法人等に対するこの法律の規定の適用に当たっての技術的読替え等)
第四十五条 不動産特定共同事業者が外国法人である場合又は不動産特定共同事業に係る不動産が外国にある場合において、当該不動産特定共同事業者又は当該不動産特定共同事業に対するこの法律の規定の適用に当たっての技術的読替えその他この法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(信託会社等に関する特例)
第四十六条 第三条から第十条まで及び第三十六条の規定は、信託会社及び信託業務を兼営する銀行で宅地建物取引業法第七十七条第三項の規定による届出をしたもの(以下この条において「特定信託会社等」という。)には、適用しない。
2 不動産特定共同事業を営む特定信託会社等については、前項に規定する規定を除き、主務大臣の第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者とみなしてこの法律の規定を適用する。この場合において、第二十三条中「第三条第一項の許可又は第九条第一項の認可」とあるのは「第四十六条第三項又は第四項の届出」と、第三十八条中「第三十六条の規定による処分」とあるのは「第四十六条第五項の規定による業務の停止の命令」とする。
3 特定信託会社等は、不動産特定共同事業を営もうとするときは、主務省令で定めるところにより、不動産特定共同事業契約約款を添付して、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
4 第二項の規定により不動産特定共同事業者とみなされた特定信託会社等は、第十二条の規定により不動産特定共同事業者名簿に登載された事項(第五条第一項第五号に掲げるものを除く。)について変更があったとき、又は不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更をしたときは、二週間以内に、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
5 第二項の規定により不動産特定共同事業者とみなされた特定信託会社等が、第三十五条第一項各号のいずれかに該当し情状が特に重いとき、又は同条第一項若しくは第二項の規定による業務の停止の命令に違反したときは、主務大臣は、当該特定信託会社等に対し、五年以内の期間を定めて、その業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(適用の除外)
第四十七条 第二十二条の規定は、宅地建物取引業法第二条第三号に掲げる宅地建物取引業者(次項において「宅地建物取引業者」という。)を相手方とする場合については、適用しない。
2 第二十六条の規定は、事業参加者が宅地建物取引業者である場合については、適用しない。
3 この法律の規定は、国及び地方公共団体については、適用しない。
(宅地建物取引業法の規定の不適用)
第四十八条 宅地建物取引業法の規定は、第二条第三項第一号に掲げる契約に基づき不動産取引を行う事業参加者その他政令で定める事業参加者については、適用しない。
(主務大臣等)
第四十九条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 第二条第三項第一号若しくは第二号に掲げる不動産特定共同事業契約若しくは同項第四号に掲げる不動産特定共同事業契約のうち同項第一号若しくは第二号に掲げる不動産特定共同事業契約に相当するもの又はこれらに類する不動産特定共同事業契約として政令で定めるものであって、金銭をもって出資の目的とし、かつ、契約の終了の場合における残余財産の分割若しくは出資の返還が金銭により行われることを内容とするもの又はこれらに類する事項として政令で定めるものを内容とするものに係る不動産特定共同事業に関する事項については、大蔵大臣及び建設大臣
二 前号に規定する不動産特定共同事業以外の不動産特定共同事業に関する事項については、建設大臣
2 この法律における主務省令は、大蔵省令・建設省令とする。
3 この法律による主務大臣の権限は、政令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。
(主務省令への委任)
第五十条 この法律に定めるもののほか、この法律を実施するため必要な事項は、主務省令で定める。
(経過措置)
第五十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要とされる範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第五十二条 次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の許可を受けないで不動産特定共同事業を営んだ者
二 不正の手段により第三条第一項の許可を受けた者
三 第十五条の規定に違反して、他人に不動産特定共同事業を営ませた者
四 第三十五条第一項若しくは第二項又は第四十六条第五項の規定による業務の停止の命令に違反した者
第五十三条 次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四条第一項の規定により付された条件に違反した者
二 第九条第一項の規定に違反して、業務の種別の変更をし、又は第五条第二項第四号に掲げる不動産特定共同事業契約約款の追加若しくは変更をした者
三 第二十条第一項の規定に違反して、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げた者
四 第二十条第二項の規定に違反して、不実のことを告げた者
五 第二十二条の規定に違反して、相手方に対し金銭若しくは有価証券を貸し付け、又は相手方への第三者による金銭若しくは有価証券の貸付けにつき媒介、取次ぎ若しくは代理をした者
第五十四条 第十八条第三項の規定に違反して、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をした者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第五十五条 次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第五条第一項の許可申請書又は同条第二項各号に掲げる書類に虚偽の記載をして提出した者
二 第八条第一項の許可申請書に虚偽の記載をして提出した者
三 第十七条第三項の規定に違反して、事務所を開設し、又は必要な措置を執らなかった者
四 第二十四条第一項、第二十五条第一項又は第二十八条第二項の規定に違反して、書面若しくは報告書を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは報告書若しくは虚偽の記載のある書面若しくは報告書を交付した者
五 第二十四条第二項の規定による記名押印のない書面を不動産特定共同事業契約の申込者に対し交付した者
六 第二十五条第二項の規定による記名押印のない書面を不動産特定共同事業契約の当事者に対し交付した者
七 第二十八条第三項の規定による記名押印のない書面を事業参加者に対し交付した者
八 第三十七条第一項前段若しくは第二項の規定による命令に違反して業務管理者を解任せず、又は同条第一項後段(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して業務管理者を選任した者
第五十六条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第十条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第十六条第一項の規定に違反した者
三 第十六条第二項の規定に違反して、同条第一項の標識又はこれに類似する標識を掲示した者
四 第十七条第二項の規定に違反して、業務管理者名簿を備え置かず、又はこれに同項に規定する事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者
五 第二十三条の規定に違反して、不動産特定共同事業契約約款に基づかないで不動産特定共同事業契約を締結した者
六 第二十九条の規定に違反して、書類を備え置かず、若しくは事業参加者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の記載のある書類を備え置き、若しくは事業参加者に閲覧させた者
七 第三十条の規定に違反して、事業参加者名簿を作成せず、若しくは保存せず、若しくはこれを事業参加者の求めに応じて閲覧させず、又は虚偽の事業参加者名簿を作成し、若しくは保存し、若しくはこれを事業参加者に閲覧させた者
八 第三十二条の規定に違反して、帳簿書類を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の帳簿書類を作成し、若しくは保存した者
九 第三十三条の規定に違反して、事業報告書を作成せず、若しくは提出せず、又は虚偽の事業報告書を作成し、若しくは提出した者
十 第四十条第一項の規定による命令に違反して、報告をせず、若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載のある資料の提出をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
十一 第四十二条第二項の規定に違反して、その名称中に不動産特定共同事業協会会員という文字を用いた者
十二 第四十六条第三項の規定に違反して、届出をしないで、又は虚偽の届出をして不動産特定共同事業を営んだ者
十三 第四十六条第四項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
第五十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五十二条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第五十八条 第十一条第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、百万円以下の過料に処する。
第五十九条 第四十二条第一項の規定に違反して、その名称中に不動産特定共同事業協会という文字を用いた者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行の際現に不動産特定共同事業を営んでいる者は、この法律の施行の日から六月間(当該期間内に第六条若しくは第七条の規定に基づく不許可の処分があったとき、又は次項の規定により読み替えて適用される第三十六条の規定により不動産特定共同事業の廃止を命ぜられたときは、当該処分のあった日又は当該廃止を命ぜられた日までの間)に限り、第三条の規定にかかわらず、引き続き不動産特定共同事業を営むことができる。その者がその期間内に第五条の規定による許可の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。
2 前項の規定により引き続き不動産特定共同事業を営むことができる場合においては、その者を、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置して営んでいる場合にあっては主務大臣の第三条第一項の許可を受けた不動産特定共同事業者と、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置して営んでいる場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の同項の許可を受けた不動産特定共同事業者と、これらの事務所を代表する者又はこれに準ずる地位にある者を第十七条第一項の規定により置かれる業務管理者とみなして、第八条第三項、第十一条、第十四条、第十七条から第二十二条まで、第二十四条から第三十五条まで、第三十六条(第二号から第四号までを除く。)、第三十七条、第三十九条、第四十条及び第四十四条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、第十一条第一項第一号中「合併により」とあるのは「死亡し、又は合併により」と、「消滅した法人」とあるのは「相続人又は消滅した法人」と、同項第四号中「不動産特定共同事業者であった」とあるのは「不動産特定共同事業者であった個人又は不動産特定共同事業者であった」と、第十七条第三項中「既存の事務所が同項の規定に抵触するに至ったときは」とあるのは「この法律の施行の際附則第二条第二項の規定により業務管理者とみなされる者がいないときはこの法律の施行の日から、既存の事務所が第一項の規定に抵触するに至ったときはその日から」と、第三十六条中「同項の許可を取り消す」とあるのは「不動産特定共同事業の廃止を命ずる」と、同条第一号中「第六条第二号、第三号」とあるのは「第六条第三号」と、第四十四条中「とき、又は第三十六条の規定により同項の許可が取り消されたときは」とあるのは「ときは」と、第五十二条第一号中「第三条第一項の許可を受けないで」とあるのは「附則第二条第二項の規定により読み替えて適用される第三十六条の規定による不動産特定共同事業の廃止の命令に違反して」とする。
3 前項の規定により読み替えて適用される第三十六条の規定により不動産特定共同事業の廃止が命ぜられた場合における第六条第六号ホの規定の適用については、当該廃止の命令を第三条第一項の許可の取消しの処分と、当該廃止を命ぜられた日を同項の許可の取消しの日とみなす。
4 第二項の規定にかかわらず、第二十五条、第二十六条及び第二十八条の規定は、この法律の施行前に締結された不動産特定共同事業契約については、適用しない。
5 第二項の規定により不動産特定共同事業者とみなされる者は、主務省令で定めるところにより、この法律の施行の日から起算して二週間以内に、第五条第一項各号に掲げる事項(その者が個人である場合にあっては、同項第一号に掲げる事項に代えて、氏名及び住所。)を記載した書面に同条第二項各号(第三号及び第四号を除く。)に掲げる書類その他主務省令で定める書類を添付して、第三条第一項の許可を受けたものとみなされる主務大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
6 第二項の規定により不動産特定共同事業者とみなされる者は、前項の規定により提出した書面(添付された書類を含む。)に記載された事項(第五条第一項第五号に掲げる事項を除く。)に変更があった場合には、主務省令で定めるところにより、変更があった日から起算して二週間以内に、その旨を第三条第一項の許可を受けたものとみなされる主務大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
7 前項の規定による届出は、第五条第一項第三号に規定する事務所の所在地の変更があった場合において第八条第一項各号のいずれかに該当するときは、前項の規定にかかわらず、同項に規定する期間内に、第二項の規定により現に第三条第一項の許可を受けたものとみなされる主務大臣又は都道府県知事を経由して、新たに同項の許可を受けたものとみなされる主務大臣又は都道府県知事にしなければならない。
8 第五項の規定に違反して書面若しくは添付書類を提出せず、若しくは書面若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出し、又は前二項の規定に違反して届出をせず、若しくは虚偽の届出をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
9 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同項の刑を科する。
10 第二項の規定により不動産特定共同事業者とみなされる者は、第一項の規定により不動産特定共同事業を営むことができる期間内に締結した不動産特定共同事業契約に基づく業務については、その期間経過後においても、第三条第一項の許可を受けないで結了することができるものとし、当該業務を結了する目的の範囲内においては、その者を引き続き不動産特定共同事業者とみなす。
(検討)
第三条 政府は、この法律の施行後十年以内に、この法律の実施状況、社会経済情勢の推移等を勘案し、事業参加者の利益の保護及び不動産特定共同事業の健全な発達の観点からこの法律に規定する不動産特定共同事業に係る制度等について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(日本勤労者住宅協会法の一部改正)
第四条 日本勤労者住宅協会法(昭和四十一年法律第百三十三号)の一部を次のように改正する。
第四十条の見出し中「宅地建物取引業法」を「宅地建物取引業法等」に改め、同条中「(昭和二十七年法律第百七十六号)」の下に「及び不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)」を加える。
(登録免許税法の一部改正)
第五条 登録免許税法の一部を次のように改正する。
別表第一第四十五号の次に次のように加える。
四十五の二 不動産特定共同事業の許可
不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第三条第一項(不動産特定共同事業の許可)の主務大臣がする不動産特定共同事業の許可
許可件数
一件につき十五万円
(大蔵省設置法の一部改正)
第六条 大蔵省設置法(昭和二十四年法律第百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条第九十七号の十一の次に次の一号を加える。
九十七の十二 不動産特定共同事業(不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)に規定する不動産特定共同事業をいう。次条第三十五条の九において同じ。)を営む者の許可及び監督に関すること。
第五条第三十五号の八の次に次の一号を加える。
三十五の九 不動産特定共同事業を営む者を許可し、これを監督すること。
(建設省設置法の一部改正)
第七条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第四十一号の次に次の一号を加える。
四十一の二 不動産特定共同事業者の監督その他不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)の施行に関する事務を管理すること。
大蔵大臣 藤井裕久
建設大臣 森本晃司
内閣総理大臣 羽田孜