(宅地造成に関する工事の許可)
第八条 宅地造成工事規制区域内において行なわれる宅地造成に関する工事については、造成主は、当該工事に着手する前に、建設省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の許可の申請に係る宅地造成に関する工事の計画が次条の規定に適合しないと認めるときは、同項の許可をしてはならない。
3 都道府県知事は、第一項の許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を附することができる。
(宅地造成に関する工事の技術的基準等)
第九条 宅地造成工事規制区域内において行なわれる宅地造成に関する工事は、政令(その政令で都道府県の規則に委任した事項に関しては、その規則を含む。)で定める技術的基準に従い、擁壁又は排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
2 前項の規定により講ずべきものとされる措置のうち政令(同項の政令で都道府県の規則に委任した事項に関しては、その規則を含む。)で定めるものの工事は、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。
(許可又は不許可の通知)
第十条 都道府県知事は、第八条第一項の許可の申請があつた場合においては、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければならない。
2 前項の処分をするには、文書をもつて当該申請者に通知しなければならない。この場合において、不許可の処分をするときは、その理由をあわせて通知しなければならない。
(国又は都道府県の特例)
第十一条 国又は都道府県(指定都市の区域内においては、指定都市を含む。以下この条において同じ。)が、宅地造成工事規制区域内において行なう宅地造成に関する工事については、国又は都道府県と都道府県知事との協議が成立することをもつて第八条第一項の許可があつたものとみなす。
(エ事完了の検査)
第十二条 造成主は、第八条第一項の工事を完了した場合においては、建設省令で定めるところにより、その工事が第九条第一項の規定に適合しているかどうかについて、都道府県知事の検査を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項の検査の結果工事が第九条第一項の規定に適合していると認めた場合においては、建設省令で定める様式の検査済証を造成主に交付しなければならない。
(監督処分)
第十三条 都道府県知事は、偽りその他不正な手段により第八条第一項の許可を受けた者又はその許可に附した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。
2 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内において行なわれている宅地造成に関する工事で、第八条第一項の規定に違反して同項の許可を受けず、同項の許可に附した条件に違反し、又は第九条第一項の規定に適合していないものについては、当該造成主又は当該工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者に対して、当該工事の施行の停止を命じ、又は相当の猶予期限をつけて、擁壁若しくは排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを命ずることができる。
3 都道府県知事は、第八条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで宅地造成に関する工事が施行された宅地又は前条第一項の規定に違反して同項の検査を受けず、若しくは同項の検査の結果工事が第九条第一項の規定に適合していないと認められた宅地については、当該宅地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該造成主に対して、当該宅地の使用を禁止し、若しくは制限し、又は相当の猶予期限をつけて、擁壁若しくは排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを命ずることができる。
4 都道府県知事は、前三項の規定により処分をし、又は必要な措置をとることを命じようとする場合においては、あらかじめ、当該処分をし、又は当該措置をとることを命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。
5 都道府県知事は、第二項に規定する工事に該当することが明らかな工事については、緊急の必要があつて前項に定める手続によることができない場合に限り、その手続によらないで、第二項に規定する者に対して、当該工事の施行の停止を命ずることができる。この場合において、これらの者が当該工事の現場にいないときは、当該工事に従事する者に対して、当該工事に係る作業の停止を命ずることができる。
6 都道府県知事は、第二項又は第三項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくてその措置をとることを命ずべき者を確知することができず、かつ、これを放置することが著しく公益に反すると認められるときは、その者の負担において、その措置をみずから行ない、又はその命じた者若しくは委任した者に行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置をとるべき旨及びその期限までにその措置をとらないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行なうベき旨をあらかじめ公告しなければならない。
(工事等の届出)
第十四条 宅地造成工事規制区域の指定の際、当該宅地造成工事規制区域内において行なわれている宅地造成に関する工事の造成主は、その指定があつた日から二十一日以内に、建設省令で定めるところにより、当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。
2 宅地造成工事規制区域内の宅地において、擁壁又は排水施設に関する工事その他の工事で政令で定めるものを行なおうとする者は、第八条第一項の許可を受けなければならない場合を除き、その工事に着手する日の十四日前までに、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
3 宅地造成工事規制区域内において、宅地以外の土地を宅地に転用した者は、第八条第一項の許可を受けなければならない場合を除き、その転用した日から十四日以内に、建設省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
(宅地の保全等)
第十五条 宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者、管理者又は占有者は、宅地造成(宅地造成工事規制区域の指定前に行なわれたものを含む。以下次項、次条第一項及び第二十条において同じ。)に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
2 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地について、宅地造成に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その宅地の所有者、管理者、占有者等に対し、擁壁又は排水施設の設置又は改造その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができる。
(改善命令)
第十六条 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で、宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁又は排水施設が設置されていないか又はきわめて不完全であるために、これを放置するときは、宅地造成に伴う災害の発生のおそれが著しいものがある場合においては、その著しいおそれを除去するため必要であり、かつ、土地の利用状況等からみて相当であると認められる限度において、当該宅地又は擁壁若しくは排水施設の所有者、管理者又は占有者に対して、相当の猶予期限をつけて、擁壁若しくは排水施設の設置若しくは改造又は地形の改良のための工事を行なうことを命ずることができる。
2 前項の場合において、同項の宅地又は擁壁若しくは排水施設の所有者、管理者又は占有者(以下この項において「宅地所有者等」という。)以外の者の行為によつて同項に規定する災害の発生の著しいおそれが生じたことが明らかであり、その行為をした者(その行為が隣地における土地の形質の変更であるときは、その土地の所有者を含む。以下この項において同じ。)に同項の工事の全部又は一部を行なわせることが相当であると認められ、かつ、これを行なわせることについて当該宅地所有者等に異議がないときは、都道府県知事は、その行為をした者に対して、同項の工事の全部又は一部を行なうことを命ずることができる。
3 第十三条第四項及び第六項の規定は、前二項の場合について準用する。
(立入検査)
第十七条 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は、第八条第一項、第十二条第一項、第十三条第一項から第三項まで若しくは第五項又は前条第一項若しくは第二項の規定による権限を行なうため必要がある場合においては、当該宅地に立ち入り、当該宅地又は当該宅地において行なわれている宅地造成に関する工事の状況を検査することができる。
2 第六条第一項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(報告の徴取)
第十八条 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内における宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、当該宅地又は当該宅地において行なわれている工事の状況について報告を求めることができる。