(建築行為等の制限)
第九条 前条第一項の告示があつた日後、改良地区内において、住宅地区改良事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行ない、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行なおうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 都道府県知事は、前項に規定する許可の申請があつた場合において、その許可を与えようとするときは、あらかじめ、施行者の意見をきかなければならない。
3 都道府県知事は、第一項に規定する許可をする場合において、住宅地区改良事業の施行のため必要があると認めるときは、許可に期限その他必要な条件を附することができる。この場合において、これらの条件は、当該許可を受けた者に不当な義務を課するものであつてはならない。
4 都道府県知事は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により附した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物又は物件についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、住宅地区改良事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。
5 都道府県知事は、前項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとするときは、あらかじめ、その原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者について聴聞を行なわなければならない。ただし、それらの者が正当な理由がなくて聴聞に応じないときは、この限りでない。
6 第四項の規定により土地の原状回復又は建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命じようとする場合において、過失がなくてその原状回復又は移転若しくは除却を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事は、それらの者の負担において、その措置を自ら行ない、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行なわせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、これを原状回復し、又は移転し、若しくは除却すべき旨及びその期限までに原状回復し、又は移転し、若しくは除却しないときは、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、原状回復し、又は移転し、若しくは除却する旨を、政令で定めるところにより、公告しなければならない。
7 前項の規定により土地を原状回復し、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しようとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつた場合においては、これを提示しなければならない。
(不良住宅の除却)
第十条 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却しなければならない。
(不良住宅の収用等)
第十一条 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却するため必要がある場合においては、当該不良住宅又はこれに関する所有権以外の権利を収用することができる。
2 施行者は、改良地区内の不良住宅を除却するため必要がある場合においては、改良地区内の不良住宅の占有者で当該不良住宅に関し施行者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、これを明け渡すべきことを命ずることができる。
(土地の整備)
第十二条 施行者は、改良地区内の土地の利用に関する基本計画に従つて、改良地区内の土地について区画形質の変更、整地その他健全な住宅地区を形成するため必要な整備を行なわなければならない。
(土地の整備のための土地の収用等)
第十三条 施行者は、前条の規定による土地の整備のため必要がある場合においては、改良地区内の土地又はその土地にある土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第五条第一項各号に掲げる権利を収用することができる。
2 施行者は、前条の規定による土地の整備のため必要がある場合においては、改良地区内の不良住宅以外の建築物、工作物その他の物件の所有者で当該物件の存する土地に関し施行者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、当該物件の移転を命じ、当該物件の占有者で当該物件に関し所有者に対抗することができる権利を有しないものに対して、相当の期限を定めて、当該物件を所有者に引き渡すべきことを命ずることができる。
(一時収容施設の設置)
第十四条 施行者は、第十八条の規定により改良住宅に入居させるべき者を一時収容するため必要がある場合においては、これに必要な施設を設置しなければならない。
(一時収容施設等の設置のための土地等の使用)
第十五条 施行者は、前条の施設その他改良地区内における住宅地区改良事業の施行のため欠くことのできない材料置場等の施設を設置するため必要な土地又はこれに関する所有権以外の権利を使用することができる。
(土地収用法の適用)
第十六条 第十一条第一項若しくは第十三条第一項の規定による収用又は前条の規定による使用に関しては、この法律に特別の規定がある場合のほか、土地収用法の規定を適用する。
(改良住宅の建設)
第十七条 施行者は、改良地区の指定の日において、改良地区内に居住する者で、住宅地区改良事業の施行に伴いその居住する住宅を失うことにより、住宅に困窮すると認められるものの世帯の数に相当する戸数の住宅を建設しなければならない。
2 施行者は、前項の規定により建設しなければならない住宅の戸数が、次条の規定により改良住宅に入居させるべき者の世帯の数に比較して過不足を生ずることが明らかとなつた場合においては、これを増減することができる。
3 第一項の規定により建設する住宅は、第六条第六項に規定する場合その他特別の事情がある場合を除き、改良地区内に建設しなければならない。
4 第一項の規定により建設する住宅は、原則として、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)に規定する耐火建築物又は簡易耐火建築物としなければならない。
(改良住宅に入居させるべき者)
第十八条 施行者は、次の各号に掲げる者で、改良住宅への入居を希望し、かつ、住宅に困窮すると認められるものを改良住宅に入居させなければならない。
一 次に掲げる者で住宅地区改良事業の施行に伴い住宅を失つたもの
イ 改良地区の指定の日から引き続き改良地区内に居住していた者。ただし、改良地区の指定の日後に別世帯を構成するに至つた者を除く。
ロ イただし書に該当する者及び改良地区の指定の日後に改良地区内に居住するに至つた者。ただし、政令で定めるところにより、施行者が承認した者に限る。
ハ 改良地区の指定の日後にイ又はロに該当する者と同一の世帯に属するに至つた者
二 前号イ、ロ又はハに該当する者で改良地区の指定の日後に改良地区内において災害により住宅を失つたもの
(整備完了後の土地の引渡し)
第十九条 施行者は、第十二条の規定による改良地区内の土地の整備を完了したときは、遅滞なく、事業計画で定めるところに従つて、第七条第一号若しくは第三号に掲げる者又は地区施設その他の施設を設置すべき者にその土地を引き渡さなければならない。