(積立金等保全措置を講ずべき義務)
第十七条 積立式宅地建物販売業者は、毎年三月三十一日及び九月三十日(以下これらの日を「基準日」という。)において、積立式宅地建物販売の契約を締結した者(当該契約に係る宅地又は建物の引渡しを受けた者を除く。第二十五条第一項及び第三十六条第一項において同じ。)のために、次条の積立金等保全措置を講じ、その旨をその許可を受けた建設大臣又は都道府県知事に届け出た後でなければ、基準日の翌日から起算して五十日を経過した日以後においては、新たに積立式宅地建物販売の契約を締結してはならない。
(積立金等保全措置の内容)
第十八条 積立金等保全措置は、営業保証金の供託又は営業保証金供託委託契約の締結であつて、その措置により、積立式宅地建物販売業者が、積立金その他の積立式宅地建物販売の契約に基づいて受領している金銭(以下「積立金等」という。)で、基準日において受領しているものの合計額の三分の一に相当する額(以下「基準額」という。)を積立金等の返還債務の弁済に充てることができるものとする。
(営業保証金の供託)
第十九条 積立金等保全措置としての営業保証金の供託は、積立式宅地建物販売業者の主たる事務所のもよりの供託所にするものとする。
2 前項の営業保証金は、建設省令で定めるところにより、国債証券、地方債証券その他建設省令で定める有価証券をもつて、充てることができる。
(営業保証金供託委託契約)
第二十条 積立金等保全措置として締結する営業保証金供託委託契約は、次条第一項の規定による届出の日の翌日以降次の基準日の翌日から起算して五十日を経過する日(その日前に当該次の基準日に係る基準額について同項の規定による届出があつたときは、その届出の日)までの間に委託者たる積立式宅地建物販売業者が第三十六条第一項各号の一に該当することとなつた場合において、第二十九条の規定による通知を受けた受託者が委託者のために委託額に相当する額の営業保証金の供託をすることを約する契約とする。
2 銀行、信託会社その他政令で定める金融機関でなければ、前項の営業保証金供託委託契約の受託者となることができない。
(積立金等保全措置が講ぜられている旨の届出等)
第二十一条 積立式宅地建物販売業者は、基準日ごとに、当該基準日に係る基準額について講じた積立金等保全措置につき、書面で、その許可を受けた建設大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 積立式宅地建物販売業者が新たな積立金等保全措置を講じて前項に規定する届出をする場合においては、当該積立金等保全措置が、営業保証金の供託であるときは供託物受入れの記載のある供託書の写しを、営業保証金供託委託契約の締結であるときは当該契約書の写しをそれぞれ前項の書面に添附しなければならない。
(営業保証金供託委託契約の解除の制限)
第二十二条 積立金等保全措置としての営業保証金供託委託契約は、次条の規定による場合のほか、その全部又は一部の解除をすることができない。ただし、当該営業保証金供託委託契約の一部を解除した場合において、なお当該営業保証金供託委託契約が第二十条第一項に規定する要件を満たすものであるときは、この限りでない。
(積立金等保全措置の変更)
第二十三条 積立式宅地建物販売業者は、基準日において積立金等保全措置により積立金等の返還債務の弁済に充てることができる額が当該基準日に係る基準額をこえることとなつたときは、次の基準日までに、そのこえる額につき、営業保証金を取り戻し、又は営業保証金供託委託契約の一部を解除して委託額を減ずることができる。
2 前項の規定による営業保証金の取戻しは、建設省令で定めるところにより、その許可を受けた建設大臣又は都道府県知事の承認を受けなければ、することができない。
3 第一項の規定による委託額の減額は、建設省令で定めるところにより、その許可を受けた建設大臣又は都道府県知事の承認を受けなければ、その効力を生じない。
4 前二項の承認は、当該積立式宅地建物販売業者について第二十九条の規定による公告があつたときは、することができない。
5 この条に定めるもののほか、第一項の規定による営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令、建設省令で定める。
(権利の実行があつた場合の新たな積立金等保全措置)
第二十四条 積立式宅地建物販売業者は、第二十九条の規定による公告がされた後に新たな積立式宅地建物販売の契約を締結しようとするときは、あらかじめ、その直前の基準日に係る基準額について新たに積立金等保全措置を講じ、書面で、その旨をその許可を受けた建設大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
2 第二十一条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。
(営業保証金の還付)
第二十五条 積立式宅地建物販売業者と積立式宅地建物販売の契約を締結した者は、当該契約による積立金等の返還債権に関し、第十九条第一項又は第三十条の規定により供託された営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する。
2 前項の規定による権利の実行については、次節で定めるところによる。
(営業保証金の保管替え等)
第二十六条 積立式宅地建物販売業者は、金銭のみで営業保証金を供託している場合において、主たる事務所の所在地について変更があつたためそのもよりの供託所が変更したときは、遅滞なく、営業保証金を供託している供託所に対し、費用を予納して、所在地変更後の主たる事務所のもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。
2 積立式宅地建物販売業者は、第十九条第二項に規定する有価証券又はその有価証券及び金銭で営業保証金を供託している場合において、主たる事務所の所在地について変更があつたためそのもよりの供託所が変更したときは、遅滞なく、当該営業保証金の額と同額の営業保証金を所在地変更後の主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。その供託をしたときは、法務省令、建設省令で定めるところにより、所在地変更前の主たる事務所のもよりの供託所に供託した営業保証金を取り戻すことができる。
3 第十九条第二項の規定は、前項の規定により営業保証金を供託する場合について準用する。
(営業保証金の取戻し)
第二十七条 積立式宅地建物販売業者又は積立式宅地建物販売業者であつた者若しくはその承継人は、第二十九条の規定により公告された債権の申出をすべき期間内にその申出がなかつた場合には、当該積立式宅地建物販売業者又は積立式宅地建物販売業者であつた者が供託した営業保証金を取り戻すことができる。
2 前項の規定による営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令、建設省令で定める。