都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律
法令番号: 法律第百四十二号
公布年月日: 昭和37年5月18日
法令の形式: 法律
都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律をここに公布する。
御名御璽
昭和三十七年五月十八日
内閣総理大臣 池田勇人
法律第百四十二号
都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、都市の美観風致を維持するため、樹木の保存に関し必要な事項を定め、もつて都市の健全な環境の維持及び向上に寄与することを目的とする。
(保存樹等の指定)
第二条 市町村長(都の特別区の存する区域にあつては、都知事。以下同じ。)は、都市計画法(大正八年法律第三十六号)第二条の規定により決定された都市計画区域内において、美観風致を維持するため必要があると認めるときは、政令で定める基準に該当する樹木又は樹木の集団を保存樹又は保存樹林として指定することができる。
2 市町村長は、前項の指定をするときは、その旨を当該保存樹又は保存樹林の所有者(以下単に「所有者」という。)に通知しなければならない。
3 第一項の規定は、次の各号に掲げる樹木又は樹木の集団については、適用しない。
一 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第六十九条第一項、第七十条第一項又は第九十八条第二項の規定により指定され、又は仮指定された樹木又は樹木の集団
二 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条の規定により指定された保安林に係る樹木の集団
三 国又は地方公共団体の所有又は管理に係る樹木又は樹木の集団で前二号に掲げるもの以外のもの
(指定の解除)
第三条 市町村長は、保存樹若しくは保存樹林が前条第三項各号の一に該当するに至つたとき、又は保存樹若しくは保存樹林について滅失、枯死等によりその指定の理由が消滅したときは、遅滞なく、その指定を解除しなければならない。
2 市町村長は、公益上の理由その他特別な理由があるときは、保存樹又は保存樹林の指定を解除することができる。
3 所有者は、市町村長に対し、保存樹又は保存樹林について前項の規定による指定の解除をすべき旨を申請することができる。
4 前条第二項の規定は、第一項又は第二項の規定により指定を解除する場合について準用する。
(標識の設置)
第四条 市町村長は、保存樹又は保存樹林の指定をしたときは、建設省令で定めるところにより、これを表示する標識を設置しなければならない。
(所有者の保存義務等)
第五条 所有者は、保存樹又は保存樹林について、枯損の防止その他その保存に努めなければならない。
2 何人も、保存樹又は保存樹林が大切に保存されるように協力しなければならない。
(所有者の変更等の場合の届出)
第六条 保存樹又は保存樹林について、所有者が変更したときは、新たに所有者となつた者は、遅滞なく、その旨を市町村長に届け出なければならない。
2 保存樹又は保存樹林が滅失し、又は枯死したときは、所有者は、遅滞なく、その旨を市町村長に届け出なければならない。
(保存樹等に関する台帳)
第七条 市町村長は、建設省令で定めるところにより、保存樹及び保存樹林に関する台帳を作成し、これを保管しなければならない。
(報告の徴取)
第八条 市町村長は、必要があると認めるときは、所有者に対し、保存樹又は保存樹林の現状につき報告を求めることができる。
(市町村長の助言等)
第九条 市町村長は、所有者に対し、保存樹又は保存樹林の枯損の防止その他その保存に関し必要な助言又は援助をすることができる。
(報告、勧告等)
第十条 建設大臣又は都道府県知事は、市町村長に対し、保存樹若しくは保存樹林に関し、この法律の施行のため必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は保存樹若しくは保存樹林の指定その他その保存に関し必要な勧告、助言若しくは技術的援助をすることができる。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(建設省設置法の一部改正)
2 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第六号の次に次の一号を加える。
六の二 都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(昭和三十七年法律第百四十二号)の施行に関する事務を管理すること。
建設大臣 中村梅吉
自治大臣 安井謙
内閣総理大臣 池田勇人