(目的)
第一条 この法律は、勤労者の財産形成を促進することにより、勤労者の生活の安定を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 勤労者 職業の種類を問わず、事業主に雇用される者をいう。
二 賃金 賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、勤労の対償として事業主が勤労者に支払うすべてのものをいう。
三 持家 みずから居住するため所有する住宅をいう。
四 財産形成 預貯金の預入、金銭の信託及び有価証券の購入をすること並びに持家の取得をすることをいう。
(国及び地方公共団体の施策)
第三条 国及び地方公共団体は、この法律の目的の達成に資するため、勤労者について、貯蓄の奨励及び持家の取得を促進するための施策を講ずるように配慮しなければならない。
(勤労者財産形成施策基本方針)
第四条 労働大臣、大蔵大臣及び建設大臣(大蔵大臣にあつては勤労者(国家公務員及び地方公務員を除く。第六条から第九条までの規定を除き、以下同じ。)の貯蓄に係る部分に、建設大臣にあつては勤労者の持家の取得に係る部分に限るものとする。)は、勤労者の財産形成に関する施策の基本となるべき方針(以下「勤労者財産形成政策基本方針」という。)を定めるものとする。
2 勤労者財産形成施策基本方針に定める事項は、勤労者の財産形成の動向に関する事項及び勤労者の財産形成を促進するために講じようとする施策の基本となるべき事項とする。
3 労働大臣は、勤労者財産形成政策基本方針を定めるにあたつては、あらかじめ、関係行政機関の長と協議し、かつ、その概要について勤労者財産形成審議会の意見をきかなければならない。
4 労働大臣は、勤労者財産形成政策基本方針を定めたときは、その概要を公表しなければならない。
5 前二項の規定は、勤労者財産形成政策基本方針の変更について準用する。
(関係機関への要請)
第五条 労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勤労者財産形成政策基本方針を定めるための資料の提出又は勤労者財産形成政策基本方針において定められた施策で、当該行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をすることができる。