海岸法
法令番号: 法律第101号
公布年月日: 昭和31年5月12日
法令の形式: 法律

提案理由 (AIによる要約)

我が国は長大な海岸線を有し、産業発展や民生安定に密接な関係があるため、国土保全上の防護が必要である。しかし現状では海岸の管理責任が不明確で十分な措置が講じられておらず、高潮や波浪、侵食等による災害が連年発生している。特に近年は管理の不徹底による大災害が続発しており、抜本的対策の確立が急務である。そこで海岸法案では、管理責任の明確化、海岸保全施設の整備、保全に支障のある行為の制限等を規定し、海岸の防護と国土保全の充実を図るものである。

参照した発言:
第24回国会 衆議院 建設委員会 第19号

審議経過

第24回国会

衆議院
(昭和31年3月28日)
参議院
(昭和31年3月29日)
衆議院
(昭和31年4月4日)
参議院
(昭和31年4月4日)
衆議院
(昭和31年4月6日)
(昭和31年4月10日)
参議院
(昭和31年4月17日)
(昭和31年4月19日)
(昭和31年4月24日)
(昭和31年4月25日)
衆議院
(昭和31年6月3日)
参議院
(昭和31年6月3日)
海岸法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十一年五月十二日
内閣総理大臣 鳩山一郎
法律第百一号
海岸法
目次
第一章
総則(第一条―第四条)
第二章
海岸保全区域に関する管理(第五条―第二十四条)
第三章
海岸保全区域に関する費用(第二十五条―第三十七条)
第四章
雑則(第三十八条―第四十条)
第五章
罰則(第四十一条―第四十三条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害から海岸を防護し、もつて国土の保全に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「海岸保全施設」とは、次条の規定により指定される海岸保全区域内にある堤防、突堤、護岸、胸壁その他海水の侵入又は海水による侵食を防止するための施設をいう。
2 この法律において「海岸管理者」とは、次条の規定により指定される海岸保全区域について第五条第一項から第四項までの規定によりその管理を行うべき者をいう。
(海岸保全区域の指定)
第三条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。ただし、河川法(明治二十九年法律第七十一号)第一条に規定する河川、同法第四条に規定する河川の支川若しくは派川若しくは同法第五条の規定によつて同法が準用される水流、水面若しくは河川(以下これらを「河川」と総称する。)の区域、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地又は森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項の規定による保安林(以下次項において「保安林」という。)若しくは同法第四十一条の規定による保安施設地区(以下次項において「保安施設地区」という。)については、指定することができない。
2 都道府県知事は、前項ただし書の規定にかかわらず、海岸の保全上特別の必要があると認めるときは、農林大臣に協議して保安林又は保安施設地区の全部又は一部を海岸保全区域として指定することができる。
3 前二項の規定による指定は、この法律の日的を達成するため必要な最小限度の区域に限つてするものとし、陸地においては満潮時(指定の日の属する年の春分の日における満潮時をいう。)の水際線から、水面においては干潮時(指定の日の属する年の春分の日における干潮時をいう。)の水際線からそれぞれ五十メートルをこえてしてはならない。ただし、地形、地質、潮位、潮流等の状況により必要やむを得ないと認められるときは、それぞれ五十メートルをこえて指定することができる。
4 都道府県知事は、第一項又は第二項の規定により海岸保全区域を指定するときは、主務省令で定めるところにより、当該海岸保全区域を公示するとともに、その旨を主務大臣に報告しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。
5 海岸保全区域の指定又は廃止は、前項の公示によつてその効力を生ずる。
(指定についての協議)
第四条 都道府県知事は、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第三項に規定する港湾区域(以下「港湾区域」という。)、同法第三十七条第一項に規定する港湾隣接地域(以下「港湾隣接地域」という。)若しくは同法第五十六条第一項の規定により都道府県知事が公告した水域(以下「公告水域」という。)又は漁港法(昭和二十五年法律第百三十七号)第五条第一項の規定により農林大臣が指定した漁港の区域(以下「漁港区域」という。)の全部又は一部を海岸保全区域として指定しようとするときは、それぞれ港湾管理者、港湾管理者の長若しくは公告水域を管理する都道府県知事又は農林大臣に協議しなければならない。
2 港湾管理者が前項の規定による協議に応じようとする場合において、当該港湾が港湾法第二条第二項に規定する重要港湾又は同項に規定する地方港湾で政令で定めるものであるときは、港湾管理者は、あらかじめ運輸大臣の同意を得なければならない。
第二章 海岸保全区域に関する管理
(海岸管理者)
第五条 海岸保全区域の管理は、当該海岸保全区域の存する地域を統括する都道府県知事が行うものとする。
2 前項の規定にかかわらず、市町村長が管理することが適当であると認められる海岸保全区域で都道府県知事が主務大臣の承認を得て指定したものについては、当該海岸保全区域の存する市町村の長がその管理を行うものとする。
3 前二項の規定にかかわらず、海岸保全区域と港湾区域若しくは港湾隣接地域又は漁港区域とが重複して存するときは、その重複する部分については、当該港湾区域若しくは港湾隣接地域の港湾管理者の長又は当該漁港の漁港管理者である地方公共団体の長がその管理を行うものとする。
4 第一項及び第二項の規定にかかわらず、港湾区域若しくは港湾隣接地域又は漁港区域に接する海岸保全区域のうち、港湾管理者の長又は漁港管理者である地方公共団体の長が管理することが適当であると認められ、かつ、都道府県知事と当該港湾管理者の長又は漁港管理者である地方公共団体の長とが協議して定める区域については、当該港湾管理者の長又は漁港管理者である地方公共団体の長がその管理を行うものとする。
5 前四項の規定にかかわらず、海岸管理者を異にする海岸保全区域相互にわたる海岸保全施設で一連の施設として一の海岸管理者が管理することが適当であると認められるものがある場合において、第四十条第二項の規定による関係主務大臣の協議が成立したときは、当該協議に基きその管理を所掌する主務大臣の監督を受ける海岸管理者がその管理を行うものとする。
6 都道府県知事は、第二項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ当該市町村長の意見をきかなければならない。
7 都道府県知事は、第二項の規定により指定をするとき、又は第四項の規定により協議して区域を定めるときは、主務省令で定めるところにより、これを公示するとともに、その旨を主務大臣に報告しなければならない。これを変更するときも、同様とする。
8 第二項に規定する指定及び第四項に規定する協議は、前項の公示によつてその効力を生ずる。
(主務大臣の直轄工事)
第六条 主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該海岸保全施設が国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、海岸管理者に代つて自ら当該海岸保全施設の新設又は改良に関する工事を施行することができる。この場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該海岸管理者の意見をきかなければならない。
一 海岸保全施設の新設又は改良に関する工事の規模が著しく大であるとき。
二 海岸保全施設の新設又は改良に関する工事が高度の技術を必要とするとき。
三 海岸保全施設の新設又は改良に関する工事が高度の機械力を使用して実施する必要があるとき。
四 海岸保全施設の新設又は改良に関する工事が都府県の区域の境界に係るとき。
2 主務大臣は、前項の規定により海岸保全施設の新設又は改良に関する工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、海岸管理者に代つてその権限を行うものとする。
3 主務大臣は、第一項の規定により海岸保全施設の新設又は改良に関する工事を施行する場合においては、主務省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
(海岸保全区域の占用)
第七条 海岸管理者以外の者が海岸保全区域(水面及び海岸管理者以外の者がその権原に基き管理する土地(以下次条及び第十一条において「他の土地」という。)を除く。)内において、海岸保全施設以外の施設又は工作物(以下次条、第九条及び第十二条において「他の施設等」という。)を設けて当該海岸保全区域を占用しようとするときは、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。
2 海岸管理者は、前項の規定による許可の申請があつた場合において、その申請に係る事項が海岸の保全に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、これを許可してはならない。
3 海岸管理者は、第一項の許可に海岸の保全上必要な条件を附することができる。
(海岸保全区域における行為の制限)
第八条 海岸保全区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、主務省令で定めるところにより、海岸管理者の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める行為については、この限りでない。
一 土石(砂を含む。以下同じ。)を採取すること。
二 水面若しくは他の土地に他の施設等を新設し、又は水面若しくは他の土地にある他の施設等を改築すること。
三 土地の掘さく、盛土、切土その他政令で定める行為をすること。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項の許可について準用する。
(経過措置)
第九条 第三条の規定による海岸保全区域の指定の際現に当該海岸保全区域内において権原に基き他の施設等を設置(工事中の場合を含む。)している者は、従前と同様の条件により、当該他の施設等の設置について第七条第一項又は前条第一項の規定による許可を受けたものとみなす。第三条の規定による海岸保全区域の指定の際現に当該海岸保全区域内において権原に基き前条第一項第一号及び第三号に掲げる行為を行つている者についても、同様とする。
(許可の特例)
第十条 港湾法第三十七条第一項又は第五十六条第一項の規定による許可を受けた者は、当該許可に係る事項については、第七条第一項又は第八条第一項の規定による許可を受けることを要しない。
2 国、日本専売公社、日本国有鉄道、日本電信電話公社、原子燃料公社又は地方公共団体(港湾法に規定する港務局を含む。以下同じ。)が第七条第一項の規定による占用又は第八条第一項の規定による行為をしようとするときは、あらかじめ海岸管理者に協議することをもつて足りる。
(占用料及び土石採取料)
第十一条 海岸管理者は、主務省令で定める基準に従い、第七条第一項又は第八条第一項第一号の規定による許可を受けた者から占用料又は土石採取料を徴収することができる。ただし、他の土地における土石の採取については、土石採取料を徴収することができない。
(監督処分及び損失補償)
第十二条 海岸管理者は、次の各号の一に該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転若しくは除却、他の施設等により生ずべき海岸の保全上の障害を予防するために必要な施設をすること若しくは原状回復を命ずることができる。
一 第七条第一項又は第八条第一項の規定に違反した者
二 第七条第一項又は第八条第一項の規定による許可に附した条件に違反した者
三 偽りその他不正な手段により第七条第一項又は第八条第一項の規定による許可を受けた者
2 海岸管理者は、次の各号の一に該当する場合においては、第七条第一項又は第八条第一項の規定による許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
一 海岸保全施設に関する工事のためやむを得ない必要が生じたとき。
二 海岸の保全上著しい支障が生じたとき。
三 海岸の保全上の理由以外の理由に基く公益上やむを得ない必要が生じたとき。
3 海岸管理者は、前項の規定による処分又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
4 前項の規定による損失の補償については、海岸管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
5 前項の規定による協議が成立しない場合においては、海岸管理者は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
6 海岸管理者は、第三項の規定による補償の原因となつた損失が第二項第三号の規定による処分又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。
(海岸管理者以外の者の施行する工事)
第十三条 海岸管理者以外の者が海岸保全施設に関する工事を施行しようとするときは、あらかじめ当該海岸保全施設に関する工事の設計及び実施計画について海岸管理者の承認を受けなければならない。ただし、第六条第一項の規定による場合は、この限りでない。
2 第十条第二項に規定する者は、前項本文の規定にかかわらず、海岸保全施設に関する工事の設計及び実施計画について海岸管理者に協議することをもつて足りる。
3 海岸管理者は、第一項本文の承認に海岸の保全上必要な条件を附することができる。
(築造の基準)
第十四条 海岸保全施設は、地形、地質、地盤の変動、侵食の状態その他海岸の状況を考慮し、自重、水圧、波力、土圧及び風圧並びに地震、漂流物等による振動及び衝撃に対して安全な構造のものでなければならない。
2 海岸保全施設の形状、構造及び位置は、前項の規定によるほか、次の各号に定めるところによらなければならない。
一 堤防及び護岸については、イ 高さは、異常高潮位、波高、砕波の状況等を考慮して定めること。
ロ のりこう配及び堤防の天ば幅は、堤体の型式及び地盤並びに使用材料の種類及び性質を考慮して定めること。
ハ 堤防又は護岸の表のりは、波力に耐え、海水その他による侵食及びま耗並びに表のり背面の土砂の流失を防止しうる構造とすること。
ニ 状況により、堤防及び護岸の表のりには波返工を設け、波の洗掘力に耐えるように充分に根入れをし、又はこれに根固工若しくは波力を減殺する施設を設け、堤防及び護岸の天ばには被覆工を施し、かつ、排水こうを設け、堤防の裏のりには被覆工、のり尻保護工、根留工若しくは水たたき工を施し、又は潮遊びを施すこと。
二 胸壁については、前号に定めるところに準ずること。
三 突堤については、潮流、潮位、風速、風向、漂砂、波高、波向等を考慮して定めること。
3 海岸保全施設には、近傍の土地の利用状況により、ひ門、ひ管、陸こう、えい船道その他排水又は通行のための設備を設けなければならない。
4 海岸保全施設の形状、構造及び位置は、状況により、船舶の運航及び船舶による衝撃を考慮して定めなければならない。
(兼用工作物の工事の施行)
第十五条 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設が道路、水門、物揚場その他の施設又は工作物(以下これらを「他の工作物」と総称する。)の効用を兼ねるときは、当該他の工作物の管理者との協議によりその者に当該海岸保全施設に関する工事を施行させ、又は当該海岸保全施設を維持させることができる。
(工事原因者の工事の施行)
第十六条 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設に関する工事以外の工事(以下「他の工事」という。)又は海岸保全施設に関する工事の必要を生じさせた行為(以下「他の行為」という。)により必要を生じたその管理する海岸保全施設に関する工事を当該他の工事の施行者又は他の行為者に施行させることができる。
2 前項の場合において、他の工事が河川に関する工事又は道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事であるときは、当該海岸保全施設に関する工事については、河川法第十一条第二項又は道路法第二十三条第一項の規定を適用する。
(附帯工事の施行)
第十七条 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設に関する工事により必要を生じた他の工事又はその管理する海岸保全施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事をその海岸保全施設に関する工事とあわせて施行することができる。
2 前項の場合において、他の工事が河川に関する工事若しくは道路に関する工事又は砂防工事(砂防法による砂防工事をいう。以下同じ。)であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十一条第一項若しくは道路法第二十二条第一項又は砂防法第八条の規定を適用する。
(土地等の立入及び一時使用並びに損失補償)
第十八条 海岸管理者又はその命じた者若しくはその委任を受けた者は、海岸保全区域に関する調査若しくは測量又は海岸保全施設に関する工事のためやむを得ない必要があるときは、あらかじめその占有者に通知して、他人の占有する土地若しくは水面に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場若しくは作業場として一時使用することができる。ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、通知することを要しない。
2 前項の規定により宅地又はかき、さく等で囲まれた土地若しくは水面に立ち入ろうとするときは、立入の際あらかじめその旨を当該土地又は水面の占有者に告げなければならない。
3 日出前及び日没後においては、占有者の承認があつた場合を除き、前項に規定する土地又は水面に立ち入つてはならない。
4 第一項の規定により土地又は水面に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
5 第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場又は作業場として一時使用しようとするときは、あらかじめ当該土地の占有者及び所有者に通知して、その者の意見をきかなければならない。
6 土地又は水面の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。
7 海岸管理者は、第一項の規定による立入又は一時使用により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
8 第十二条第四項及び第五項の規定は、前項の場合について準用する。
9 第四項の規定による証明書の様式その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。
(海岸保全施設の新設又は改良に伴う損失補償)
第十九条 土地収用法第九十三条第一項の規定による場合を除き、海岸管理者が海岸保全施設を新設し、又は改良したことにより、当該海岸保全施設に面する土地又は水面について、通路、みぞ、かき、さくその他の施設若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、海岸管理者は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部又は一部を補償しなければならない。この場合において、海岸管理者又は損失を受けた者は、補償金の全部又は一部に代えて、海岸管理者が当該工事を施行することを要求することができる。
2 前項の規定による損失の補償は、海岸保全施設に関する工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
3 第一項の規定による損失の補償については、海岸管理者と損失を受けた者とが協議しなければならない。
4 前項の規定による協議が成立しない場合においては、海岸管理者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
(海岸管理者以外の者の管理する海岸保全施設に関する監督)
第二十条 海岸管理者は、その職務の執行に関し必要があると認めるときは、海岸管理者以外の海岸保全施設の管理者に対し報告若しくは資料の提出を求め、又はその命じた者に当該海岸保全施設に立ち入り、これを検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
4 第二項の規定による証明書の様式その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第二十一条 海岸管理者は、海岸管理者以外の者の管理する海岸保全施設が次の各号の一に該当する場合において、当該海岸保全施設が第十四条の規定に適合しないときは、その管理者に対し改良、補修その他当該海岸保全施設の管理につき必要な措置を命ずることができる。
一 第十三条第一項本文の規定に違反して工事が施行されたとき。
二 第十三条第一項本文の規定による承認に附した条件に違反して工事が施行されたとき。
三 偽りその他不正な手段により第十三条第一項本文の承認を受けて工事が施行されたとき。
2 海岸管理者は、海岸保全施設が前項各号のいずれにも該当しない場合において、当該海岸保全施設が第十四条の規定に適合しなくなり、かつ、海岸の保全上著しい支障があると認められるときは、その管理者に対し前項に規定する措置を命ずることができる。
3 海岸管理者は、前項の規定による命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
4 第十二条第四項及び第五項の規定は、前項の場合について準用する。
5 前三項の規定は、第十条第二項に規定する者の管理する海岸保全施設については、適用しない。
(漁業権の取消等及び損失補償)
第二十二条 都道府県知事は、海岸管理者の申請があつた場合において、海岸保全施設に関する工事を行うため特に必要があるときは、海岸保全区域内の水面に設定されている漁業権を取り消し、変更し、又はその行使の停止を命じなければならない。
2 海岸管理者は、前項の規定による漁業権の取消、変更又はその行使の停止によつて生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならない。
3 漁業法(昭和二十四年法律第二百六十七号)第三十九条第六項から第十四項まで(公益上の必要による漁業権の変更、取消又は行使の停止)の規定は、前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、同条第九項中「国」とあり、同条第十項中「政府」とあり、又は同条第十二項中「都道府県知事」とあるのは、「海岸管理者」と読み替えるものとする。
(海岸保全施設の整備基本計画)
第二十三条 都道府県知事は、政令で定めるところにより、海岸保全施設の整備に関する基本計画を作成し、これを主務大臣に提出するものとする。これを変更したときも、同様とする。
2 都道府県知事は、前項の規定による基本計画を作成しようとするときは、関係海岸管理者に協議しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(海岸保全区域台帳)
第二十四条 海岸管理者は、海岸保全区域台帳を調製し、これを保管しなければならない。
2 海岸管理者は、海岸保全区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない。
3 海岸保全区域台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、主務省令で定める。
第三章 海岸保全区域に関する費用
(海岸保全区域の管理に要する費用の負担原則)
第二十五条 海岸管理者が海岸保全区域を管理するために要する費用は、この法律及び公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)並びに他の法律に特別の規定がある場合を除き、当該海岸管理者の属する地方公共団体の負担とする。
(主務大臣の直轄工事に要する費用)
第二十六条 第六条第一項の規定により主務大臣が施行する海岸保全施設の新設又は改良に要する費用は、国及び当該海岸管理者の属する地方公共団体がそれぞれその二分の一を負担するものとする。
2 前項の場合において、当該海岸保全施設の新設又は改良によつて他の都府県も著しく利益を受けるときは、主務大臣は、政令で定めるところにより、その利益を受ける限度において、当該海岸保全施設を管理する海岸管理者の属する地方公共団体の負担すべき負担金の一部を著しく利益を受ける他の都府県に分担させることができる。
3 前項の規定により主務大臣が著しく利益を受ける他の都府県に負担金の一部を分担させようとする場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都府県の意見をきかなければならない。
(海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設又は改良に要する費用の一部負担)
第二十七条 海岸管理者が管理する海岸保全施設の新設又は改良に関する工事で政令で定めるものに要する費用は、政令で定めるところにより国がその一部を負担するものとする。
2 海岸管理者は、前項の工事を施行しようとするときは、あらかじめ主務大臣の承認を受けなければならない。
3 主務大臣は、前項の承認をする場合には、第一項の規定により国が負担することとなる金額が予算の金額をこえない範囲内でしなければならない。
(市町村の分担金)
第二十八条 前三条の規定により海岸管理者の属する地方公共団体が負担する費用のうち、都道府県である地方公共団体が負担し、かつ、その工事又は維持が当該都道府県の区域内の市町村を利するものについては、当該工事又は維持による受益の限度において、当該市町村に対し、その工事又は維持に要する費用の一部を負担させることができる。
2 前項の費用について同項の規定により市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見をきいた上、当該都道府県の議会の議決を経て定めなければならない。
(負担金の納付)
第二十九条 主務大臣が海岸保全施設の新設又は改良に関する工事を施行する場合においては、まず全額国費をもつてこれを施行した後、海岸管理者の属する地方公共団体又は負担金を分担すべき他の都府県は、政令で定めるところにより第二十六条第一項又は第二項の規定に基く負担金を国庫に納付しなければならない。
(兼用工作物の費用)
第三十条 海岸管理者の管理する海岸保全施設が他の工作物の効用を兼ねるときは、当該海岸保全施設の管理に要する費用の負担については、海岸管理者と当該他の工作物の管理者とが協議して定めるものとする。
(原因者負担金)
第三十一条 海岸管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた当該海岸管理者の管理する海岸保全施設に関する工事の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。
2 前項の場合において、他の工事が河川に関する工事又は道路に関する工事であるときは、当該海岸保全施設に関する工事の費用については、河川法第三十二条第二項又は道路法第五十九条第一項及び第三項の規定を適用する。
(附帯工事に要する費用)
第三十二条 海岸管理者の管理する海岸保全施設に関する工事により必要を生じた他の工事又は当該海岸保全施設に関する工事を施行するため必要を生じた他の工事に要する費用は、第七条第一項及び第八条第一項の規定による許可に附した条件に特別の定がある場合並びに第十条第二項の規定による協議による場合を除き、その必要を生じた限度において、当該海岸管理者の属する地方公共団体がその全部又は一部を負担するものとする。
2 前項の場合において、他の工事が河川に関する工事若しくは道路に関する工事又は砂防工事であるときは、他の工事に要する費用については、河川法第三十二条第一項若しくは道路法第五十八条第一項又は砂防法第十六条の規定を適用する。
3 海岸管理者は、第一項の海岸保全施設に関する工事が他の工事又は他の行為のため必要となつたものである場合においては、同項の他の工事に要する費用の全部又は一部をその必要を生じた限度において、その原因となつた工事又は行為につき費用を負担する者に負担させることができる。
(受益者負担金)
第三十三条 海岸管理者は、その管理する海岸保全施設に関する工事によつて著しく利益を受ける者がある場合においては、その利益を受ける限度において、当該工事に要する費用の一部を負担させることができる。
2 前項の場合において、負担金の徴収を受ける者の範囲及びその徴収方法については、海岸管理者の属する地方公共団体の条例で定める。
3 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百十七条第三項及び第四項(分担金)の規定は、前項の規定による条例を制定し、又は改正する場合について準用する。
(負担金の通知及び納入手続等)
第三十四条 前三条の規定による負担金の額の通知及び納入手続その他負担金に関し必要な事項は、政令で定める。
(強制徴収)
第三十五条 第十一条の規定に基く占用料及び土石採取料並びに第三十条、第三十一条第一項、第三十二条第三項及び第三十三条第一項の規定に基く負担金(以下この条及び次条においてこれらを「負担金等」と総称する。)を納付しない者があるときは、海岸管理者は、督促状によつて納付すべき期限を指定して督促しなければならない。
2 前項の場合においては、海岸管理者は、主務省令で定めるところにより延滞金を徴収することができる。ただし、延滞金は、百円につき一日四銭の割合を乗じて計算した額をこえない範囲内で定めなければならない。
3 第一項の規定による督促を受けた者がその指定する期限までにその納付すべき金額を納付しないときは、海岸管理者は、国税滞納処分の例により、前二項に規定する負担金等及び延滞金を徴収することができる。この場合における負担金等及び延滞金の先取特権は、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号に規定する地方公共団体の徴収金以外の地方公共団体の徴収金と同順位とする。
4 延滞金は、負担金等に先だつものとする。
5 負担金等及び延滞金を徴収する権利は、五年間行わないときは、時効により消滅する。
(収入の帰属)
第三十六条 負担金等及び前条第二項の延滞金は、当該海岸管理者の属する地方公共団体に帰属する。
(義務履行のために要する費用)
第三十七条 この法律又はこの法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、この法律に特別の規定がある場合を除き、当該義務者が負担しなければならない。
第四章 雑則
(報告の徴収)
第三十八条 主務大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、都道府県知事及び海岸管理者に対し報告又は資料の提出を求めることができる。
(訴願及び裁定)
第三十九条 次に掲げる処分について不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に主務大臣に訴願をすることができる。ただし、第三項の規定により土地調整委員会の裁定を申請することができる処分については、この限りでない。
一 第七条第一項若しくは第八条第一項の規定による許可又はこれらの規定による許可を与えないこと。
二 第十二条第一項又は第二項の規定による処分又はこれらの規定による必要な措置の命令
三 第十三条第一項本文の規定による承認又は同項本文の規定による承認を与えないこと。
四 第十六条第一項の規定による工事の施行命令
五 第二十一条第一項又は第二項の規定による必要な措置の命令
六 第三十一条第一項、第三十二条第一項若しくは第三項又は第三十三条第一項の規定による負担の決定
2 第二十二条第一項の規定により都道府県知事のする漁業権に関する処分について不服のある者は、処分のあつた日から四十日以内に農林大臣に訴願をすることができる。
3 第一項第一号又は第二号に掲げる処分について不服のある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、その処分につき土地調整委員会の裁定を申請することができる。
(主務大臣等)
第四十条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 港湾区域、港湾隣接地域及び公告水域に係る海岸保全区域に関する事項については、運輸大臣
二 漁港区域に係る海岸保全区域に関する事項については、農林大臣
三 第三条の規定による海岸保全区域の指定の際現に国、都道府県、土地改良区その他の者が土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第二条第二項の規定による土地改良事業として管理している施設で海岸保全施設に該当するものの存する地域に係る海岸保全区域及び同法の規定により決定されている土地改良事業計画に基き海岸保全施設に該当するものを設置しようとする地域に係る海岸保全区域に関する事項については、農林大臣
四 第三条の規定による海岸保全区域の指定の際現に都道府県、市町村その他の者が農地の保全のため必要な事業として管理している施設で海岸保全施設に該当するものの存する地域(前号に規定する地域を除く。)に係る海岸保全区域に関する事項については、農林大臣及び建設大臣
五 前各号に掲げる海岸保全区域以外の海岸保全区域に関する事項については、建設大臣
2 前項の規定にかかわらず、主務大臣を異にする海岸保全区域相互にわたる海岸保全施設で一連の施設として一の主務大臣がその管理を所掌することが適当であると認められるものについては、関係主務大臣が協議して別にその管理の所掌の方法を定めることができる。
3 前項の協議が成立したときは、関係主務大臣は、政令で定めるところにより、成立した協議の内容を公示するとともに、関係都道府県知事及び関係海岸管理者に通知しなければならない。
第五章 罰則
(罰則)
第四十一条 第七条第一項又は第八条第一項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
第四十二条 次の各号の一に該当する者は、六月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十八条第六項の規定に違反して土地若しくは水面の立入若しくは一時使用を拒み、又は妨げた者
二 第二十条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者
三 第二十条第一項の規定による立入検査を拒み、妨げ、又は忌避した者
(両罰規定)
第四十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するのほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過規定)
2 この法律の施行の際現に工事施行中の海岸保全施設に相当する施設の存する地域につき第三条の規定による指定があつた場合において、当該海岸保全区域についての主務大臣たるべき者と現に当該施設の管理を所掌する主務大臣とが異なるときは、第四十条第一項の規定にかかわらず、当該工事の完了するまでの間に限り、現に当該施設の管理を所掌する主務大臣を当該施設についての主務大臣とする。
3 この法律の施行の際現に工事施行中の海岸保全施設に相当する施設の存する地域につき第三条の規定による指定があつた場合において、当該海岸保全区域についての海岸管理者たるべき者と現に当該施設について工事を施行している地方公共団体の長とが異なるときは、第五条第一項から第四項までの規定にかかわらず、当該工事の完了するまでの間に限り、現に当該施設について工事を施行している地方公共団体の長を当該施設についての海岸管理者とする。
(漁港法の一部改正)
4 漁港法の一部を次のように改正する。
第五条第四項中「河川の区域」の下に「又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定される海岸保全区域」を、「当該河川を管理する地方行政庁」の下に「又は当該海岸保全区域を管理する海岸管理者」を加える。
(港湾法の一部改正)
5 港湾法の一部を次のように改正する。
第四条第五項中「河川の区域」の下に「又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定される海岸保全区域」を、「当該河川を管理する地方行政庁」の下に「又は当該海岸保全区域を管理する海岸管理者」を加える。
(土地収用法の一部改正)
6 土地収用法の一部を次のように改正する。
第三条第十号の次に次の一号を加える。
十の二 海岸法(昭和三十一年法律第百一号)による海岸保全施設
(森林法の一部改正)
7 森林法の一部を次のように改正する。
第二十五条第一項に次のただし書を加える。
但し、海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条の規定により指定される海岸保全区域については、指定することができない。
第二十五条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項但書の規定にかかわらず、農林大臣は、特別の必要があると認めるときは、海岸管理者に協議して海岸保全区域内の森林を保安林として指定することができる。
第二十六条第三項中「前条第二項」を「前条第三項」に改める。
第四十条第二項中「第二十五条第二項」を「第二十五条第三項」に改める。
第四十一条に次の一項を加える。
3 第二十五条第一項但書及び第二項の規定は、前二項の指定をしようとする場合に準用する。この場合において、第二十五条第二項中「森林を保安林として」とあるのは、「森林又は原野その他の土地を保安施設地区として」と読み替えるものとする。
(公衆電気通信法の一部改正)
8 公衆電気通信法(昭和二十八年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第百一条第四項中「河川等に関する工事を行う場合」の下に「又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二条第二項に規定する海岸管理者(以下この条において「海岸管理者」という。)が同条第一項に規定する海岸保全施設(以下この項において「海岸保全施設」という。)に関する工事を施行する場合若しくは同法第六条第一項の規定により主務大臣が海岸保全施設に関する工事を施行する場合」を加え、同条に次の一項を加える。
7 海岸管理者は、第一項の保護区域内の水面における施設若しくは工作物の設置又は行為の許可については、水底線路の保護に必要な配慮をしなければならない。
(砂利採取法の一部改正)
9 砂利採取法(昭和三十一年法律第一号)の一部を次のように改正する。
第十二条中「河川法及びこれに基く命令」を「河川法及び海岸法(昭和三十一年法律第百一号)並びにこれらに基く命令」に改める。
(土地調整委員会設置法の一部改正)
10 土地調整委員会設置法(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。
第四条中第十八号を第十九号とし、第十七号の次に次の一号を加える。
十八 海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三十九条第三項の規定による異議を裁定すること。
第二十五条第二項中「又は農地法第八十五条第二項」を「、農地法第八十五条第二項又は海岸法第三十九条第三項」に改める。
第四十五条中
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)
国立公園法(昭和六年法律第三十六号)
国立公園法(昭和六年法律第三十六号)
森林法
海岸法
に改める。
(農林省設置法の一部改正)
11 農林省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十四号の次に次の一号を加える。
三十四の二 農地の保全に係る海岸保全施設に関する事業を実施すること。
第九条第一項第十二号の次に次の一号を加える。
十二の二 農地の保全に係る海岸保全施設に関する事業を実施し、及び監督すること。
第三十六条第八号の次に次の一号を加える。
八の二 農地の保全に係る海岸保全施設に関する事業を実施し、及び監督すること。
(水産庁設置法の一部改正)
12 水産庁設置法(昭和二十三年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
第二条第六号の次に次の一号を加える。
六の二 漁港の区域に係る海岸保全区域内における海岸保全施設の新設若しくは改良を行い、又は海岸保全区域の管理並びに海岸保全施設の新設、改良及び災害復旧を行う者に対する指導監督及び助成に関する事務を処理すること。
第五条中第十一号を第十二号とし、第十号の次に次の一号を加える。
十一 漁港の区域に係る海岸保全区域内における海岸保全施設の新設若しくは改良を行い、又は海岸保全区域の管理並びに海岸保全施設の新設、改良及び災害復旧を行う者に対する指導監督及び助成に関する事務を処理すること。
(運輸省設置法の一部改正)
13 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第二十五号の次に次の一号を加える。
二十五の二 港湾内の海岸保全施設の建設、改良若しくは管理を行い、又はこれらを行う者に対する助成及び監督を行い、その他海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の施行に関する事務で港湾に関するものを管理すること。
第二十六条第一項第六号を次のように改める。
六 港湾内の海岸保全施設の建設、改良若しくは管理を行い、又はこれらを行う者に対する助成及び監督を行い、その他海岸法の施行に関する事務で港湾に関するものを管理すること。
(建設省設置法の一部改正)
14 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第十一号中「及び海岸堤防(港湾内のもので港湾施設に関係するものを除く。以下同じ。)」を削り、同号の次に次の一号を加える。
十一の二 海岸保全施設に関する事業を実施、助成、及び監督し、その他海岸法(昭和三十一年法律第百一号)の施行に関する事務を管理すること。
(地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の一部改正)
15 地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律(昭和三十一年法律第九十九号)の一部を次のように改正する。
第三条の表中
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十六条第二項
三分の二以内
四分の三以内
森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十六条第二項
三分の二以内
四分の三以内
海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二十六条第一項
国及び当該海岸管理者の属する地方公共団体がそれぞれその二分の一を
国がその十分の六を、当該海岸管理者の属する地方公共団体がその十分の四をそれぞれ
に改める。
内閣総理大臣 鳩山一郎
大蔵大臣 一万田尚登
農林大臣臨時代理 国務大臣 一万田尚登
通商産業大臣 石橋湛山
運輸大臣 吉野信次
郵政大臣 村上勇
建設大臣 馬場元治