(行政廳)
第三條 行政廳は、この法律の規定するところに從い、道路運送に関し、第一條の目的を達成するため必要な監理をする。
第四條 この法律中主務大臣とあるのは、自動車道事業に関しては運輸大臣及び内務大臣、その他に関してはこの法律に別段の定のある場合を除いて、運輸大臣とする。
この法律において行政官廳の職権に属させた事項の一部で都府縣の区域内又は政令の定める道内の区域内におけるものを掌理させるため、都府縣廳の所在地、札幌市、函館市、室蘭市、帶廣市、釧路市、北見市及び旭川市に道路運送監理事務所を置く。
前項の道路運送監理事務所中特定の道路運送監理事務所は、前項に規定する事項の外、政令の定めるところにより、この法律において行政官廳の職権に属させた事項の一部で一定の区域内における二以上の都府縣の区域又は二以上の前項に規定する政令の定める道内の区域にわたるものその他の事項を掌理することができる。
前二項に規定するものの外、道路運送監理事務所に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
この法律に規定する主務大臣の職権の一部は、政令の定めるところにより、左の各号の区分に從い、各ゝその号に定める下級の行政廳に委任することができる。
一 第三章及び第七章に規定する職権については道路運送監理事務所長
二 第五章に規定する職権については道路運送監理事務所長及び都道府縣知事
第四章、第五章及び第八章に規定する行政廳は、政令の定める場合を除いて、左の各号に定める区分による。
一 貨物軽車両運送事業に関する事項及び自動車に関する第八章に規定する事項については道路運送監理事務所長
二 旅客軽車両運送事業に関する事項及び旅客軽車両に関する第八章に規定する事項については都の区の長又は市町村長
三 自動車道の工事のためにする土地の立入及び使用に関する事項については都道府縣知事
(免許等の條件)
第五條 免許、許可又は認可には、條件を附することができる。
前項の條件は、公共の福祉を確保するため必要があるときは、これを変更することができる。
(調査及び臨檢檢査)
第六條 当該行政廳は、必要があると認めるときは、道路運送事業者その他車両を所有し、若しくは使用する者、自動車道事業者又はこれらの者の組織する團体に、事業又は車両の所有若しくは使用に関し、届出をさせ、報告をさせ、又は書類を提出させることができる。
当該行政廳は、必要があると認めるときは、当該官吏吏員に事業場その他の場所に臨檢し、事業若しくは車両の所有若しくは使用の状況若しくは帳簿書類その他の物件を檢査させ、又は質問をさせることができる。
前項の場合には、当該官吏吏員は、その身分を示す証票を携帶しなければならない。
(車両檢査官)
第七條 当該行政廳は、所部の官吏吏員の中から車両檢査官を命じ、第八章の規定による職権の行使を補助させることができる。
車両檢査官は、必要があると認めるときは、車庫その他車両の所在すると認める場所に臨檢し、車両を檢査し、又は質問をすることができる。
前項の場合には、車両檢査官は、その身分を示す証票を携帶しなければならない。
(道路運送委員会)
第八條 この法律の適正な運用を図るため、道路運送委員会を置く。
道路運送委員会は、中央道路運送委員会及び地方道路運送委員会とし、地方道路運送委員会は、第四條第三項に規定する一定区域ごとにこれを置く。
中央道路運送委員会は、委員九人を以て、地方道路運送委員会は、委員若干人を以てこれを組織する。
中央道路運送委員会の委員は、地方道路運送委員会の委員長を以てこれに充て、地方道路運送委員会の委員は、各都道府縣知事の推薦に基く運輸大臣の申出により、内閣総理大臣が、これを命ずる。
前項の各都道府縣知事の推薦すべき人員は、都府縣にあつては二人、北海道にあつては若干人とする。
官吏又は吏員であつた者は、その退職後一年間は道路運送委員会の委員となることができない。
道路運送委員会の委員の任期は、三年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。但し、再任されることを防げない。
道路運送委員会の委員は、在職中道路運送委員会の承認及び運輸大臣の同意のある場合を除く外、報酬のある他の職務に從事し、又は商業を営みその他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。
道路運送委員会の委員が現に経営中の道路運送事業につき著しい経済的な利害関係を有し、又は道路運送事業に関し他の者と競爭的若しくは対立的立場にあると認められる場合において、当該道路運送委員会においてその委員を罷免すべき旨の議決をしたときは、運輸大臣の申出により、内閣総理大臣が、これを解任する。
道路運送委員会の委員が心身の故障のため職務を執ることができず、又はその職務を怠り、若しくはその職務に対し不正の行爲をしたと認められる場合において、当該道路運送委員会においてその委員を罷免すべき旨の議決をしたときは、運輸大臣の申出により、内閣総理大臣が、これを解任する。
道路運送委員会の委員の報酬及び旅費については、命令でこれを定める。
行政官廳は、左の事項で重要なものは、道路運送委員会の意見を徴し、その意見を尊重してこれをしなければならない。
一 この法律を改正する法律案及びこの法律に基く政令案の立案並びにこの法律に基く命令の制定及び改正
二 自動車運送事業の免許に関する基準の設定及び変更
五 自動車運送事業に係る第五十條第一項の協議に対する承諾
道路運送委員会は、道路運送の改善に関し、関係行政廳に建議をすることができる。
道路運送委員会は、その職務を行うため必要があるときは、公務所又は道路運送事業者若しくはその組織する團体その他の関係者に対し、必要な報告、情報又は資料を求めることができる。
道路運送委員会は、その職務を行うため必要があるときは、公務所、道路運送事業者若しくはその組織する團体又は学識経驗のある者に必要な調査を嘱託することができる。
道路運送委員会は、第十三項の規定による職務を行うには、事件関係人又は参考人に対し、出頭を求めてその意見又は報告を徴しなければならない。
この法律に規定するものの外、道路運送委員会の組織、運用その他道路運送委員会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
(訴願)
第九條 この法律又はこの法律に基いて発する命令に規定する事項につき行政廳のした処分に不服のある者は、訴願をすることができる。