多極分散型国土形成促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年六月十四日
内閣総理大臣 竹下登
法律第八十三号
多極分散型国土形成促進法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
国の行政機関等の移転等(第三条―第五条)
第三章
地方の振興開発
第一節
地方の振興開発に関する施策(第六条)
第二節
振興拠点地域の開発整備(第七条―第二十条)
第四章
大都市地域の秩序ある整備
第一節
大都市の機能の改善等(第二十一条)
第二節
業務核都市の整備(第二十二条―第二十六条)
第五章
住宅等の供給の促進(第二十七条)
第六章
地域間の交流の促進(第二十八条―第三十条)
第七章
雑則(第三十一条―第三十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し、並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより、人口及びこれらの機能が特定の地域に過度に集中することなくその全域にわたり適正に配置され、それぞれの地域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土(以下「多極分散型国土」という。)の形成を促進し、もつて住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(施策における配慮)
第二条 国及び地方公共団体は、この法律に規定する多極分散型国土の形成の促進に関する施策の策定及び実施に当たつては、地域における創意工夫を尊重し、並びに適正かつ合理的な土地利用の確保、環境の保全、国土の保全及び災害の防止に配慮するとともに、民間事業者、地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。
第二章 国の行政機関等の移転等
(国の行政機関及び特殊法人の配置)
第三条 国は、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)その他の法律の規定により内閣の統轄又は所轄の下に行政事務をつかさどるものとして置かれる機関(次条において「行政機関」という。)の官署並びに法律により直接に設立される法人及び特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人(総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)第四条第十一号の規定の適用を受けない法人及び同号の規定の適用を受ける法人であつて株式会社であるものを除く。以下「特殊法人」という。)の主たる事務所の新設又は移転に当たつては、多極分散型国土の形成について配慮しなければならない。
(国の行政機関等の東京都区部からの移転等)
第四条 国は、東京都の特別区の存する区域(以下「東京都区部」という。)における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中の是正に資するため、行政機関の官署(東京都のみ又は東京都区部若しくはその一部のみをその管轄区域とするものを除く。次項において同じ。)及び特殊法人の主たる事務所の移転に関する基本方針(以下「移転基本方針」という。)に基づき、その東京都区部からの移転に努めなければならない。
2 移転基本方針においては、行政機関の官署及び特殊法人の主たる事務所のうち移転に努めるべきものの範囲に関する事項及びその移転に際し配慮すべき事項を定めるものとする。
3 内閣総理大臣は、移転基本方針の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。
4 前項の規定は、移転基本方針の変更について準用する。
5 内閣総理大臣及び各省大臣は、東京都区部において、その所掌に係る行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する建築物をいう。以下同じ。)の新築をし、又はその所管に属する庁舎について新たな使用若しくは使用の変更をしようとする場合において、関係法令の定めるところにより、当該庁舎の新築に関する計画書を大蔵大臣及び建設大臣に送付し、又は当該庁舎の使用に関し大蔵大臣に報告したときは、庁舎の新築又は使用に関する政令で定める事項を内閣総理大臣に通知しなければならない。ただし、当該庁舎を新たに使用することとなる行政機関の官署のすべてが東京都のみ又は東京都区部若しくはその一部のみをその管轄区域とするものである場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
6 特殊法人がその主たる事務所を東京都区部において新設し、又は移転しようとするときは、政令で定めるところにより、当該特殊法人を監督する大臣は、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。ただし、当該移転が主たる事務所の用に供する建築物の改築等のための一時的なものであるときは、この限りでない。
7 内閣総理大臣は、前二項の規定による通知を受けた場合において、東京都区部における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中を是正するため必要があると認めるときは、第五項の規定による庁舎の新築に係る通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣、大蔵大臣及び建設大臣に対し、同項の規定による庁舎の使用に係る通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣及び大蔵大臣に対し、前項の規定による通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣に対し、それぞれ意見を述べることができる。
(民間の施設の移転の促進等)
第五条 国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所、研究施設、教育文化施設等の施設の国土の全域にわたる適正な配置を図るため、これらの施設について、これらの施設が過度に集中している地域からその他の地域への移転又は当該地域における新設若しくは増設を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第三章 地方の振興開発
第一節 地方の振興開発に関する施策
第六条 国及び地方公共団体は、地域社会の中心となる地方都市の育成を図るため、地方都市とその周辺地域の一体的な振興及び行政、経済、文化等に関する機能の各地方都市への適正な配置に留意しつつ、地方都市における産業の高度化、経済社会の情報化等に対応した都市機能の増進に資する施策の推進に努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、地域の特性に即した農林漁業その他の産業の振興を図り、豊かで住みよい農山漁村の育成を図るため、これらの地域における生活環境、産業基盤等の整備の推進に努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、人口の著しい減少、高齢化の進展等によりその基礎条件が著しく変化した集落について、住民の生活の安定と福祉の向上を図り、及び農林地その他の国土の保全に資するため、その再編整備その他必要な施策の推進に努めなければならない。
4 国は、前三項に規定する施策を実施するために必要な財政金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 振興拠点地域の開発整備
(振興拠点地域基本構想の作成)
第七条 都道府県は、当該都道府県内の特定の地域について、当該地域の特性に即した産業、文化、学術、研究、交流等に関する特色ある機能を集積させるための事業の総合的かつ計画的な実施を促進することにより、当該地域をその周辺の相当程度広範囲の地域の振興の拠点として開発整備するため、当該開発整備に関する基本的な構想(以下「振興拠点地域基本構想」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
2 振興拠点地域基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 前項に規定する開発整備を行おうとする地域(以下「振興拠点地域」という。)の区域
二 前項に規定する開発整備の方針に関する事項
三 振興拠点地域のうち、次号に規定する施設の整備を特に促進することが適当と認められる地区(以下「重点整備地区」という。)の区域
四 前項の特色ある機能を集積させる上で中核となる民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第二条第一項各号に掲げる施設その他政令で定める施設(以下この節において「中核的施設」という。)であつて民間事業者が設置及び運営をするもの(以下この節において「中核的民間施設」という。)のうち当該重点整備地区において整備されるべきものの種類、位置、規模、機能及び運営に関する基本的な事項
五 当該重点整備地区において整備されるべき中核的民間施設以外の中核的施設の設置に関する基本的な事項
六 前項に規定する開発整備のために特に必要と認められる公共施設その他の施設(中核的施設であるものを除く。以下この節において「公共施設等」という。)の整備の方針に関する事項
七 環境の保全、地価の安定その他前項に規定する開発整備に際し配慮すべき事項
3 振興拠点地域基本構想は、国土総合開発計画その他法律の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 都道府県は、振興拠点地域基本構想を作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
(振興拠点地域基本構想の承認)
第八条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る振興拠点地域基本構想が同条第三項に規定する計画との調和が保たれたものであり、かつ、次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 当該振興拠点地域基本構想に係る地域が次に掲げる要件に該当するものであること。
イ 人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域及びその周辺の地域であつて政令で定めるもの以外の地域であること。
ロ 自然的経済的社会的条件からみて一体として前条第一項に規定する開発整備を図ることが相当と認められる地域であること。
ハ 中核的施設及び公共施設等の用に供する土地の確保が容易であり、かつ、立地条件等からみて相当程度のそれらの施設の整備が確実と見込まれる地域であること。
二 当該振興拠点地域基本構想に係る前条第一項に規定する開発整備が当該振興拠点地域及びその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な効果を及ぼすものであること。
三 その他内閣総理大臣が承認に当たつての基準として次条の規定により定める事項(以下「承認基準」という。)に適合するものであること。
2 主務大臣は、振興拠点地域基本構想につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 都道府県は、振興拠点地域基本構想が第一項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(承認基準)
第九条 承認基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 第七条第一項に規定する開発整備に関する基本的な事項
二 振興拠点地域及び重点整備地区の設定に関する基本的な事項
三 中核的施設の設置、中核的民間施設の運営及び公共施設等の整備の方針に関する基本的な事項
四 環境の保全、地価の安定その他第七条第一項に規定する開発整備に際し配慮すべき重要事項
2 内閣総理大臣は、承認基準を定めるに当たつては、第七条第一項に規定する開発整備に関し地方公共団体の自主性が生かされるよう配慮しなければならない。
3 内閣総理大臣は、承認基準を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 内閣総理大臣は、承認基準を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、承認基準の変更について準用する。
(振興拠点地域基本構想の変更)
第十条 都道府県は、第八条第一項の規定による承認を受けた振興拠点地域基本構想を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 第七条第四項及び第八条の規定は、前項の場合について準用する。
(振興拠点地域基本構想の実施等)
第十一条 都道府県は、関係民間事業者の能力を活用しつつ、第七条第一項に規定する開発整備を第八条第一項の規定による承認を受けた振興拠点地域基本構想(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下この節において「承認基本構想」という。)に基づいて計画的に行うよう努めなければならない。
2 主務大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、承認基本構想の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(促進協議会)
第十二条 承認基本構想に係る第七条第一項に規定する開発整備の内容が著しく広範にわたる等の場合において、主務大臣、関係行政機関の長及び当該承認基本構想を作成した都道府県の知事(以下この条において「主務大臣等」という。)が必要があると認めるときは、承認基本構想ごとに、当該開発整備の促進に関し必要な協議を行うための協議会(以下「促進協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の協議を行うための会議(次項において「会議」という。)は、主務大臣等又はその指名する職員をもつて構成する。
3 会議において協議が調つた事項については、主務大臣等は、その協議の結果を尊重しなければならない。
4 促進協議会の庶務は、国土庁において処理する。ただし、当該促進協議会が北海道又は沖縄県の区域内の地域について作成された承認基本構想に係るものであるときは、国土庁及び北海道開発庁において又は国土庁及び沖縄開発庁において、それぞれ共同してこれを処理する。
5 前項に定めるもののほか、促進協議会の運営に関し必要な事項は、促進協議会が定める。
(税制上の措置)
第十三条 国は、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、承認基本構想に定める中核的民間施設の重点整備地区内における整備の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(地方税の不均一課税に伴う措置)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、自治省令で定める地方公共団体が、重点整備地区内において中核的民間施設のうち自治省令で定めるものを承認基本構想に従つて設置した者について、当該中核的民間施設の用に供する家屋若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税又は当該中核的民間施設の用に供する家屋若しくは構築物若しくはこれらの敷地である土地に対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が自治省令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
(資金の確保)
第十五条 国及び地方公共団体(港務局を含む。次条、第十七条及び第十八条第二項において同じ。)は、承認基本構想に定める中核的民間施設の設置に要する経費に充てるために必要な資金の確保に努めなければならない。
(公共施設の整備)
第十六条 国及び地方公共団体は、承認基本構想に定める公共施設の整備の促進に努めなければならない。
(国等の援助)
第十七条 国及び地方公共団体は、承認基本構想の達成に資するため、承認基本構想に基づき中核的民間施設の設置及び運営を行う者に対し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
(地方債の特例等)
第十八条 地方公共団体が、民間事業者に貸し付け、又は出資の目的とするために、承認基本構想に定める重点整備地区において整備されるべき中核的施設及び第七条第一項に規定する開発整備のために特に必要と認められる施設であつて、公共施設以外のものの整備を行おうとする場合においては、当該整備に要する経費(当該地方公共団体の財政状況、当該事業の性質等を勘案して自治大臣が指定する経費に限る。)であつて地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条第一項各号に規定する経費に該当しないものは、同項第五号に規定する経費とみなす。
2 地方公共団体が、承認基本構想を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。
(農地法等による処分についての配慮)
第十九条 国の行政機関の長又は都道府県知事は、重点整備地区内の土地を承認基本構想に定める中核的施設の用に供するため、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該施設の設置の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。
(監視区域の指定)
第二十条 都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の長は、振興拠点地域及びその周辺の地域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十七条の二第一項の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。
第四章 大都市地域の秩序ある整備
第一節 大都市の機能の改善等
第二十一条 国及び地方公共団体は、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している大都市について、これらの機能の適正な配置を図るための施策その他都市機能の改善に資する施策の推進に努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策の推進に当たつては、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するために必要な建物の不燃堅牢化の促進、河川、道路、公園及び緑地の整備その他の措置を講じつつ、これを行うよう努めるものとする。
第二節 業務核都市の整備
(業務核都市基本方針)
第二十二条 内閣総理大臣は、東京都区部における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中を是正し、これらの機能の東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県及び茨城県の区域のうち、東京都区部及びこれと社会的経済的に一体である政令で定める広域をいう。以下同じ。)における適正な配置を図るため、東京圏における東京都区部以外の地域においてその周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市の区域(以下「業務核都市」という。)について、事務所、営業所等の業務施設(以下「業務施設」という。)を集積させることによるその整備に関する基本方針(以下「業務核都市基本方針」という。)を定めなければならない。
2 業務核都市は、次に掲げる要件を備えていなければならない。
一 広域的な経済社会生活圏の中心であること。
二 行政、経済、文化等に関する機能の東京圏における適正な配置に資するものであること。
三 次項第四号の施設及び業務施設の用に供する土地の確保が容易であること。
3 業務核都市基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本構想の指針となるべきものを定めるものとする。
一 第一項に規定する整備に関する基本的な事項
二 業務核都市の設定に関する事項
三 業務核都市のうち、業務施設を特に集積させることが適当と認められる地区(以下「業務施設集積地区」という。)の設定に関する事項
四 業務施設集積地区を整備する上で中核となる特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設その他政令で定める施設(以下この節において「中核的施設」という。)の設置並びに中核的施設であつて民間事業者が設置及び運営をするもの(以下この節において「中核的民間施設」という。)の運営に関する基本的な事項
五 第一項に規定する整備のために特に必要と認められる公共施設その他の施設(中核的施設であるものを除く。以下この節において「公共施設等」という。)の整備の方針に関する基本的な事項
六 環境の保全、地価の安定その他第一項に規定する整備に際し配慮すべき重要事項
4 業務核都市基本方針は、国土総合開発計画、首都圏整備計画その他法律の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
5 内閣総理大臣は、業務核都市基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
6 内閣総理大臣は、業務核都市基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 前二項の規定は、業務核都市基本方針の変更について準用する。
(業務核都市基本構想の作成)
第二十三条 都県は、業務核都市基本方針に基づき、当該都県内の都市の区域であつて前条第二項各号に掲げる要件に該当すると認められるものについて、同条第一項に規定する整備に関する基本構想(以下「業務核都市基本構想」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
2 業務核都市基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 業務核都市の名称及び範囲
二 前条第一項に規定する整備の方針に関する事項
三 業務施設集積地区の区域
四 中核的民間施設の種類、位置、規模、機能及び運営に関する基本的な事項
五 中核的民間施設以外の中核的施設の設置に関する基本的な事項
六 公共施設等の整備の方針に関する事項
七 環境の保全、地価の安定その他前条第一項に規定する整備に際し配慮すべき事項
3 都県は、業務核都市基本構想を作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
(業務核都市基本構想の承認)
第二十四条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る業務核都市基本構想が次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 当該業務核都市基本構想に係る業務核都市が第二十二条第二項各号に掲げる要件に該当し、かつ、業務核都市基本方針に適合するものであること。
二 前条第二項第二号から第七号までに掲げる事項にあつては、業務核都市基本方針に適合するものであること。
三 当該業務都市基本構想に係る第二十二条第一項に規定する整備が当該業務核都市及びその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な効果を及ぼすものであること。
四 その他業務核都市基本方針に照らして適切なものであること。
2 主務大臣は、業務核都市基本構想につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 都県は、業務核都市基本構想が第一項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(業務核都市基本構想の変更)
第二十五条 都県は、前条第一項の規定による承認を受けた業務核都市基本構想を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 第二十三条第三項及び前条の規定は、前項の場合について準用する。
(振興拠点地域に関する規定の準用)
第二十六条 第十一条第一項の規定は第二十二条第一項に規定する整備について、第十一条第二項の規定は第二十四条第一項の規定による承認を受けた業務核都市基本構想(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下この条において「承認基本構想」という。)について、第十三条及び第十五条の規定は承認基本構想に定める中核的民間施設について、第十六条の規定は承認基本構想に定める公共施設について、第十七条の規定は承認基本構想に基づき中核的民間施設の設置及び運営を行う者について、第十八条第一項の規定は承認基本構想に定める中核的施設及び第二十二条第一項に規定する整備のために特に必要と認められる施設であつて、公共施設以外のものについて、第十八条第二項の規定は承認基本構想を達成するために行う事業について、第二十条の規定は業務核都市及びその周辺の地域について、それぞれ準用する。
第五章 住宅等の供給の促進
第二十七条 国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、居住環境の良好な住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施するよう努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、優良な宅地開発を促進するために必要な措置並びに宅地開発及び鉄道新線の建設を一体的に推進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、市街地における住宅、事務所等の供給を促進するため、道路、空地の整備等市街地の環境の整備改善に配意しつつ、民間事業者による市街地の再開発を促進すること等により土地の合理的かつ健全な高度利用が図られるよう努めなければならない。
第六章 地域間の交流の促進
(総合的な高速交通施設の体系の整備)
第二十八条 国は、全国各地域を有機的かつ効率的に連結した高速交通網の構築による全国各地域間の交流の促進を図るため、地域間の交通の利便性の向上、地域間の交通の利便性に関する地域格差の是正並びに各地域における地域間の交通に係る需要の動向及び交通施設に関する利用者の選好の動向に配慮しつつ、全国的な交通網を構成する道路、鉄道、空港等の交通施設で高速交通の用に供するものの総合的な体系の整備を促進するものとし、このために必要な調査及び計画の作成の推進、資金の確保等の財政金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
(情報の円滑な流通の促進を図るための措置)
第二十九条 国は、全国各地域間における情報の円滑な流通の促進を図るため、情報の流通に関する地域格差の是正と経費の低廉化に配慮しつつ、基幹的な電気通信設備の計画的な整備、地域の特性に応じた情報処理又は電気通信の高度化のための基盤の整備等を促進し、並びに高度かつ多様な情報処理及び電気通信のサービスの普及を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(地域間の交流の機会の増大等)
第三十条 前二条に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、都市と農山漁村との間等の地域間の交流の促進を図るため、経済活動、教養文化活動、スポーツ、レクリエーション等を通じた地域間の多様な交流の機会を増大させ、又は展示施設その他の施設の整備等を促進するために必要な資金の確保、助言、指導、情報の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第七章 雑則
(権限の委任)
第三十一条 国は、行政機能の各地域への分散を図ることにより多極分散型国土の形成に資するため、法律又はこれに基づく命令の規定により国の行政機関の長に属させられた権限を地方公共団体若しくはその長又は関係地方支分部局の長に委任すること等に努めるものとする。
(公共事業の実施についての配慮)
第三十二条 国は、公共事業の実施に関し多極分散型国土の形成が図られるよう適切な配慮をしなければならない。
(連絡調整等)
第三十三条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、総合的かつ計画的に実施すべき多極分散型国土の形成の促進に関する事業について、関係行政機関、関係地方公共団体及び関係事業者相互間の連絡調整を行うこと等により、その円滑な実施が図られるよう努めるものとする。
(大都市の特例)
第三十四条 第七条、第八条、第十条、第十一条(第二十六条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)、第十二条及び第二十三条から第二十五条までの規定により都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、振興拠点地域又は業務核都市の全部が指定都市の区域に含まれる場合においては、当該指定都市が処理し、又は当該指定都市の長が行う。
2 前項の場合においては、第七条、第八条、第十条、第十一条及び第二十三条から第二十五条までの規定中都道府県に関する規定は、指定都市に関する規定として指定都市に適用があるものとする。
3 第一項の場合においては、第十二条第一項中「及び当該承認基本構想を作成した都道府県の知事」とあるのは、「並びに当該承認基本構想を作成した指定都市の長及び当該指定都市を包括する都道府県の知事」とする。
(主務大臣)
第三十五条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 振興拠点地域基本構想の承認に関する事項及び承認を受けた振興拠点地域基本構想の円滑な実施の促進に関する事項については、内閣総理大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣並びに当該振興拠点地域基本構想に定める第七条第二項第四号の中核的民間施設に係る次の区分に応じて次の大臣
イ 特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設 当該施設ごとに同法第五十九条各号の区分に応じて当該各号に定める大臣
ロ 第七条第二項第四号の政令で定める施設 当該施設ごとに政令で定める大臣
二 業務核都市基本構想の承認に関する事項及び承認を受けた業務核都市基本構想の円滑な実施の促進に関する事項については、内閣総理大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣並びに当該業務核都市基本構想に定める第二十二条第三項第四号の中核的民間施設に係る次の区分に応じて次の大臣
イ 特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設 当該施設ごとに同法第五十九条各号の区分に応じて当該各号に定める大臣
ロ 第二十二条第三項第四号の政令で定める施設 当該施設ごとに政令で定める大臣
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章第二節、第四章第二節、第三十四条、第三十五条、次条、附則第三条及び附則第五条から附則第十条までの規定は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(北海道開発法の一部改正)
第二条 北海道開発法(昭和二十五年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項に次の一号を加える。
六 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)に基づく内閣総理大臣の権限(振興拠点地域の開発整備に関する部分(同法第九条の規定に基づき承認基準を定めることを除く。)で、北海道の区域内の地域に係るものに限る。)の行使について補佐すること及び同法第十二条第四項の規定に基づき、促進協議会の庶務を処理すること。
(沖縄開発庁設置法の一部改正)
第三条 沖縄開発庁設置法(昭和四十七年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。
第四条中第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。
八 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項(振興拠点地域の開発整備に関する部分(同法第九条の規定に基づき承認基準を定めることを除く。)で、沖縄県の区域内の地域に係るものに限る。)について内閣総理大臣を補佐すること。
(国土庁設置法の一部改正)
第四条 国土庁設置法(昭和四十九年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十一号中ヱをヒとし、シをヱとし、ミをシとし、メをミとし、ユをメとし、キをユとし、サをキとし、アをサとし、テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤの次に次のように加える。
マ 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)
(農林水産省設置法の一部改正)
第五条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十七号の二の次に次の一号を加える。
二十七の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十九号の二の次に次の一号を加える。
三十九の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(運輸省設置法の一部改正)
第七条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三条の二第一項第十号の次に次の一号を加える。
十の二 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関すること。
第四条第一項第十号の次に次の一号を加える。
十の二 多極分散型国土形成促進法の規定に基づき、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想を承認すること。
(郵政省設置法の一部改正)
第八条 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条中第六十六号を第六十七号とし、第六十五号の次に次の一号を加える。
六十六 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関すること。
第五条第二十二号の十七の次に次の一号を加える。
二十二の十八 多極分散型国土形成促進法の定めるところに従い、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想の承認をすること。
第六条第五項及び第六項中「、第六十四号及び第六十五号」を「及び第六十四号から第六十六号まで」に改め、同条第八項中「第六十六号」を「第六十七号」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
第九条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第三号の三の次に次の一号を加える。
三の四 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務を管理すること。
(自治省設置法の一部改正)
第十条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務を行うこと。
第五条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 多極分散型国土形成促進法に基づき、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想を承認すること。
内閣総理大臣 竹下登
大蔵大臣 宮澤喜一
農林水産大臣 佐藤隆
通商産業大臣 田村元
運輸大臣 石原慎太郎
郵政大臣 中山正暉
建設大臣 越智伊平
自治大臣 梶山静六
多極分散型国土形成促進法をここに公布する。
御名御璽
昭和六十三年六月十四日
内閣総理大臣 竹下登
法律第八十三号
多極分散型国土形成促進法
目次
第一章
総則(第一条・第二条)
第二章
国の行政機関等の移転等(第三条―第五条)
第三章
地方の振興開発
第一節
地方の振興開発に関する施策(第六条)
第二節
振興拠点地域の開発整備(第七条―第二十条)
第四章
大都市地域の秩序ある整備
第一節
大都市の機能の改善等(第二十一条)
第二節
業務核都市の整備(第二十二条―第二十六条)
第五章
住宅等の供給の促進(第二十七条)
第六章
地域間の交流の促進(第二十八条―第三十条)
第七章
雑則(第三十一条―第三十五条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し、並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより、人口及びこれらの機能が特定の地域に過度に集中することなくその全域にわたり適正に配置され、それぞれの地域が有機的に連携しつつその特性を生かして発展している国土(以下「多極分散型国土」という。)の形成を促進し、もつて住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(施策における配慮)
第二条 国及び地方公共団体は、この法律に規定する多極分散型国土の形成の促進に関する施策の策定及び実施に当たつては、地域における創意工夫を尊重し、並びに適正かつ合理的な土地利用の確保、環境の保全、国土の保全及び災害の防止に配慮するとともに、民間事業者、地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。
第二章 国の行政機関等の移転等
(国の行政機関及び特殊法人の配置)
第三条 国は、国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)その他の法律の規定により内閣の統轄又は所轄の下に行政事務をつかさどるものとして置かれる機関(次条において「行政機関」という。)の官署並びに法律により直接に設立される法人及び特別の法律により特別の設立行為をもつて設立すべきものとされる法人(総務庁設置法(昭和五十八年法律第七十九号)第四条第十一号の規定の適用を受けない法人及び同号の規定の適用を受ける法人であつて株式会社であるものを除く。以下「特殊法人」という。)の主たる事務所の新設又は移転に当たつては、多極分散型国土の形成について配慮しなければならない。
(国の行政機関等の東京都区部からの移転等)
第四条 国は、東京都の特別区の存する区域(以下「東京都区部」という。)における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中の是正に資するため、行政機関の官署(東京都のみ又は東京都区部若しくはその一部のみをその管轄区域とするものを除く。次項において同じ。)及び特殊法人の主たる事務所の移転に関する基本方針(以下「移転基本方針」という。)に基づき、その東京都区部からの移転に努めなければならない。
2 移転基本方針においては、行政機関の官署及び特殊法人の主たる事務所のうち移転に努めるべきものの範囲に関する事項及びその移転に際し配慮すべき事項を定めるものとする。
3 内閣総理大臣は、移転基本方針の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。
4 前項の規定は、移転基本方針の変更について準用する。
5 内閣総理大臣及び各省大臣は、東京都区部において、その所掌に係る行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する建築物をいう。以下同じ。)の新築をし、又はその所管に属する庁舎について新たな使用若しくは使用の変更をしようとする場合において、関係法令の定めるところにより、当該庁舎の新築に関する計画書を大蔵大臣及び建設大臣に送付し、又は当該庁舎の使用に関し大蔵大臣に報告したときは、庁舎の新築又は使用に関する政令で定める事項を内閣総理大臣に通知しなければならない。ただし、当該庁舎を新たに使用することとなる行政機関の官署のすべてが東京都のみ又は東京都区部若しくはその一部のみをその管轄区域とするものである場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
6 特殊法人がその主たる事務所を東京都区部において新設し、又は移転しようとするときは、政令で定めるところにより、当該特殊法人を監督する大臣は、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。ただし、当該移転が主たる事務所の用に供する建築物の改築等のための一時的なものであるときは、この限りでない。
7 内閣総理大臣は、前二項の規定による通知を受けた場合において、東京都区部における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中を是正するため必要があると認めるときは、第五項の規定による庁舎の新築に係る通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣、大蔵大臣及び建設大臣に対し、同項の規定による庁舎の使用に係る通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣及び大蔵大臣に対し、前項の規定による通知を受けた場合にあつては当該通知をした大臣に対し、それぞれ意見を述べることができる。
(民間の施設の移転の促進等)
第五条 国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所、研究施設、教育文化施設等の施設の国土の全域にわたる適正な配置を図るため、これらの施設について、これらの施設が過度に集中している地域からその他の地域への移転又は当該地域における新設若しくは増設を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第三章 地方の振興開発
第一節 地方の振興開発に関する施策
第六条 国及び地方公共団体は、地域社会の中心となる地方都市の育成を図るため、地方都市とその周辺地域の一体的な振興及び行政、経済、文化等に関する機能の各地方都市への適正な配置に留意しつつ、地方都市における産業の高度化、経済社会の情報化等に対応した都市機能の増進に資する施策の推進に努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、地域の特性に即した農林漁業その他の産業の振興を図り、豊かで住みよい農山漁村の育成を図るため、これらの地域における生活環境、産業基盤等の整備の推進に努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、人口の著しい減少、高齢化の進展等によりその基礎条件が著しく変化した集落について、住民の生活の安定と福祉の向上を図り、及び農林地その他の国土の保全に資するため、その再編整備その他必要な施策の推進に努めなければならない。
4 国は、前三項に規定する施策を実施するために必要な財政金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第二節 振興拠点地域の開発整備
(振興拠点地域基本構想の作成)
第七条 都道府県は、当該都道府県内の特定の地域について、当該地域の特性に即した産業、文化、学術、研究、交流等に関する特色ある機能を集積させるための事業の総合的かつ計画的な実施を促進することにより、当該地域をその周辺の相当程度広範囲の地域の振興の拠点として開発整備するため、当該開発整備に関する基本的な構想(以下「振興拠点地域基本構想」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
2 振興拠点地域基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 前項に規定する開発整備を行おうとする地域(以下「振興拠点地域」という。)の区域
二 前項に規定する開発整備の方針に関する事項
三 振興拠点地域のうち、次号に規定する施設の整備を特に促進することが適当と認められる地区(以下「重点整備地区」という。)の区域
四 前項の特色ある機能を集積させる上で中核となる民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法(昭和六十一年法律第七十七号。以下「特定施設整備法」という。)第二条第一項各号に掲げる施設その他政令で定める施設(以下この節において「中核的施設」という。)であつて民間事業者が設置及び運営をするもの(以下この節において「中核的民間施設」という。)のうち当該重点整備地区において整備されるべきものの種類、位置、規模、機能及び運営に関する基本的な事項
五 当該重点整備地区において整備されるべき中核的民間施設以外の中核的施設の設置に関する基本的な事項
六 前項に規定する開発整備のために特に必要と認められる公共施設その他の施設(中核的施設であるものを除く。以下この節において「公共施設等」という。)の整備の方針に関する事項
七 環境の保全、地価の安定その他前項に規定する開発整備に際し配慮すべき事項
3 振興拠点地域基本構想は、国土総合開発計画その他法律の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
4 都道府県は、振興拠点地域基本構想を作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
(振興拠点地域基本構想の承認)
第八条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る振興拠点地域基本構想が同条第三項に規定する計画との調和が保たれたものであり、かつ、次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 当該振興拠点地域基本構想に係る地域が次に掲げる要件に該当するものであること。
イ 人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域及びその周辺の地域であつて政令で定めるもの以外の地域であること。
ロ 自然的経済的社会的条件からみて一体として前条第一項に規定する開発整備を図ることが相当と認められる地域であること。
ハ 中核的施設及び公共施設等の用に供する土地の確保が容易であり、かつ、立地条件等からみて相当程度のそれらの施設の整備が確実と見込まれる地域であること。
二 当該振興拠点地域基本構想に係る前条第一項に規定する開発整備が当該振興拠点地域及びその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な効果を及ぼすものであること。
三 その他内閣総理大臣が承認に当たつての基準として次条の規定により定める事項(以下「承認基準」という。)に適合するものであること。
2 主務大臣は、振興拠点地域基本構想につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 都道府県は、振興拠点地域基本構想が第一項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(承認基準)
第九条 承認基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 第七条第一項に規定する開発整備に関する基本的な事項
二 振興拠点地域及び重点整備地区の設定に関する基本的な事項
三 中核的施設の設置、中核的民間施設の運営及び公共施設等の整備の方針に関する基本的な事項
四 環境の保全、地価の安定その他第七条第一項に規定する開発整備に際し配慮すべき重要事項
2 内閣総理大臣は、承認基準を定めるに当たつては、第七条第一項に規定する開発整備に関し地方公共団体の自主性が生かされるよう配慮しなければならない。
3 内閣総理大臣は、承認基準を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
4 内閣総理大臣は、承認基準を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、承認基準の変更について準用する。
(振興拠点地域基本構想の変更)
第十条 都道府県は、第八条第一項の規定による承認を受けた振興拠点地域基本構想を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 第七条第四項及び第八条の規定は、前項の場合について準用する。
(振興拠点地域基本構想の実施等)
第十一条 都道府県は、関係民間事業者の能力を活用しつつ、第七条第一項に規定する開発整備を第八条第一項の規定による承認を受けた振興拠点地域基本構想(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下この節において「承認基本構想」という。)に基づいて計画的に行うよう努めなければならない。
2 主務大臣、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、承認基本構想の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
(促進協議会)
第十二条 承認基本構想に係る第七条第一項に規定する開発整備の内容が著しく広範にわたる等の場合において、主務大臣、関係行政機関の長及び当該承認基本構想を作成した都道府県の知事(以下この条において「主務大臣等」という。)が必要があると認めるときは、承認基本構想ごとに、当該開発整備の促進に関し必要な協議を行うための協議会(以下「促進協議会」という。)を組織することができる。
2 前項の協議を行うための会議(次項において「会議」という。)は、主務大臣等又はその指名する職員をもつて構成する。
3 会議において協議が調つた事項については、主務大臣等は、その協議の結果を尊重しなければならない。
4 促進協議会の庶務は、国土庁において処理する。ただし、当該促進協議会が北海道又は沖縄県の区域内の地域について作成された承認基本構想に係るものであるときは、国土庁及び北海道開発庁において又は国土庁及び沖縄開発庁において、それぞれ共同してこれを処理する。
5 前項に定めるもののほか、促進協議会の運営に関し必要な事項は、促進協議会が定める。
(税制上の措置)
第十三条 国は、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、承認基本構想に定める中核的民間施設の重点整備地区内における整備の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。
(地方税の不均一課税に伴う措置)
第十四条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、自治省令で定める地方公共団体が、重点整備地区内において中核的民間施設のうち自治省令で定めるものを承認基本構想に従つて設置した者について、当該中核的民間施設の用に供する家屋若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税又は当該中核的民間施設の用に供する家屋若しくは構築物若しくはこれらの敷地である土地に対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が自治省令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
(資金の確保)
第十五条 国及び地方公共団体(港務局を含む。次条、第十七条及び第十八条第二項において同じ。)は、承認基本構想に定める中核的民間施設の設置に要する経費に充てるために必要な資金の確保に努めなければならない。
(公共施設の整備)
第十六条 国及び地方公共団体は、承認基本構想に定める公共施設の整備の促進に努めなければならない。
(国等の援助)
第十七条 国及び地方公共団体は、承認基本構想の達成に資するため、承認基本構想に基づき中核的民間施設の設置及び運営を行う者に対し必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めなければならない。
(地方債の特例等)
第十八条 地方公共団体が、民間事業者に貸し付け、又は出資の目的とするために、承認基本構想に定める重点整備地区において整備されるべき中核的施設及び第七条第一項に規定する開発整備のために特に必要と認められる施設であつて、公共施設以外のものの整備を行おうとする場合においては、当該整備に要する経費(当該地方公共団体の財政状況、当該事業の性質等を勘案して自治大臣が指定する経費に限る。)であつて地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条第一項各号に規定する経費に該当しないものは、同項第五号に規定する経費とみなす。
2 地方公共団体が、承認基本構想を達成するために行う事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。
(農地法等による処分についての配慮)
第十九条 国の行政機関の長又は都道府県知事は、重点整備地区内の土地を承認基本構想に定める中核的施設の用に供するため、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該施設の設置の促進が図られるよう適切な配慮をするものとする。
(監視区域の指定)
第二十条 都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の長は、振興拠点地域及びその周辺の地域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十七条の二第一項の規定により監視区域として指定するよう努めるものとする。
第四章 大都市地域の秩序ある整備
第一節 大都市の機能の改善等
第二十一条 国及び地方公共団体は、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している大都市について、これらの機能の適正な配置を図るための施策その他都市機能の改善に資する施策の推進に努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策の推進に当たつては、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するために必要な建物の不燃堅牢化の促進、河川、道路、公園及び緑地の整備その他の措置を講じつつ、これを行うよう努めるものとする。
第二節 業務核都市の整備
(業務核都市基本方針)
第二十二条 内閣総理大臣は、東京都区部における人口及び行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中を是正し、これらの機能の東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県及び茨城県の区域のうち、東京都区部及びこれと社会的経済的に一体である政令で定める広域をいう。以下同じ。)における適正な配置を図るため、東京圏における東京都区部以外の地域においてその周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市の区域(以下「業務核都市」という。)について、事務所、営業所等の業務施設(以下「業務施設」という。)を集積させることによるその整備に関する基本方針(以下「業務核都市基本方針」という。)を定めなければならない。
2 業務核都市は、次に掲げる要件を備えていなければならない。
一 広域的な経済社会生活圏の中心であること。
二 行政、経済、文化等に関する機能の東京圏における適正な配置に資するものであること。
三 次項第四号の施設及び業務施設の用に供する土地の確保が容易であること。
3 業務核都市基本方針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の基本構想の指針となるべきものを定めるものとする。
一 第一項に規定する整備に関する基本的な事項
二 業務核都市の設定に関する事項
三 業務核都市のうち、業務施設を特に集積させることが適当と認められる地区(以下「業務施設集積地区」という。)の設定に関する事項
四 業務施設集積地区を整備する上で中核となる特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設その他政令で定める施設(以下この節において「中核的施設」という。)の設置並びに中核的施設であつて民間事業者が設置及び運営をするもの(以下この節において「中核的民間施設」という。)の運営に関する基本的な事項
五 第一項に規定する整備のために特に必要と認められる公共施設その他の施設(中核的施設であるものを除く。以下この節において「公共施設等」という。)の整備の方針に関する基本的な事項
六 環境の保全、地価の安定その他第一項に規定する整備に際し配慮すべき重要事項
4 業務核都市基本方針は、国土総合開発計画、首都圏整備計画その他法律の規定による地域振興に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。
5 内閣総理大臣は、業務核都市基本方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
6 内閣総理大臣は、業務核都市基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
7 前二項の規定は、業務核都市基本方針の変更について準用する。
(業務核都市基本構想の作成)
第二十三条 都県は、業務核都市基本方針に基づき、当該都県内の都市の区域であつて前条第二項各号に掲げる要件に該当すると認められるものについて、同条第一項に規定する整備に関する基本構想(以下「業務核都市基本構想」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
2 業務核都市基本構想においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 業務核都市の名称及び範囲
二 前条第一項に規定する整備の方針に関する事項
三 業務施設集積地区の区域
四 中核的民間施設の種類、位置、規模、機能及び運営に関する基本的な事項
五 中核的民間施設以外の中核的施設の設置に関する基本的な事項
六 公共施設等の整備の方針に関する事項
七 環境の保全、地価の安定その他前条第一項に規定する整備に際し配慮すべき事項
3 都県は、業務核都市基本構想を作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
(業務核都市基本構想の承認)
第二十四条 主務大臣は、前条第一項の承認の申請に係る業務核都市基本構想が次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
一 当該業務核都市基本構想に係る業務核都市が第二十二条第二項各号に掲げる要件に該当し、かつ、業務核都市基本方針に適合するものであること。
二 前条第二項第二号から第七号までに掲げる事項にあつては、業務核都市基本方針に適合するものであること。
三 当該業務都市基本構想に係る第二十二条第一項に規定する整備が当該業務核都市及びその周辺の相当程度広範囲の地域に対して適切な効果を及ぼすものであること。
四 その他業務核都市基本方針に照らして適切なものであること。
2 主務大臣は、業務核都市基本構想につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
3 都県は、業務核都市基本構想が第一項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(業務核都市基本構想の変更)
第二十五条 都県は、前条第一項の規定による承認を受けた業務核都市基本構想を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
2 第二十三条第三項及び前条の規定は、前項の場合について準用する。
(振興拠点地域に関する規定の準用)
第二十六条 第十一条第一項の規定は第二十二条第一項に規定する整備について、第十一条第二項の規定は第二十四条第一項の規定による承認を受けた業務核都市基本構想(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下この条において「承認基本構想」という。)について、第十三条及び第十五条の規定は承認基本構想に定める中核的民間施設について、第十六条の規定は承認基本構想に定める公共施設について、第十七条の規定は承認基本構想に基づき中核的民間施設の設置及び運営を行う者について、第十八条第一項の規定は承認基本構想に定める中核的施設及び第二十二条第一項に規定する整備のために特に必要と認められる施設であつて、公共施設以外のものについて、第十八条第二項の規定は承認基本構想を達成するために行う事業について、第二十条の規定は業務核都市及びその周辺の地域について、それぞれ準用する。
第五章 住宅等の供給の促進
第二十七条 国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、居住環境の良好な住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施するよう努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、優良な宅地開発を促進するために必要な措置並びに宅地開発及び鉄道新線の建設を一体的に推進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、市街地における住宅、事務所等の供給を促進するため、道路、空地の整備等市街地の環境の整備改善に配意しつつ、民間事業者による市街地の再開発を促進すること等により土地の合理的かつ健全な高度利用が図られるよう努めなければならない。
第六章 地域間の交流の促進
(総合的な高速交通施設の体系の整備)
第二十八条 国は、全国各地域を有機的かつ効率的に連結した高速交通網の構築による全国各地域間の交流の促進を図るため、地域間の交通の利便性の向上、地域間の交通の利便性に関する地域格差の是正並びに各地域における地域間の交通に係る需要の動向及び交通施設に関する利用者の選好の動向に配慮しつつ、全国的な交通網を構成する道路、鉄道、空港等の交通施設で高速交通の用に供するものの総合的な体系の整備を促進するものとし、このために必要な調査及び計画の作成の推進、資金の確保等の財政金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
(情報の円滑な流通の促進を図るための措置)
第二十九条 国は、全国各地域間における情報の円滑な流通の促進を図るため、情報の流通に関する地域格差の是正と経費の低廉化に配慮しつつ、基幹的な電気通信設備の計画的な整備、地域の特性に応じた情報処理又は電気通信の高度化のための基盤の整備等を促進し、並びに高度かつ多様な情報処理及び電気通信のサービスの普及を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(地域間の交流の機会の増大等)
第三十条 前二条に規定するもののほか、国及び地方公共団体は、都市と農山漁村との間等の地域間の交流の促進を図るため、経済活動、教養文化活動、スポーツ、レクリエーション等を通じた地域間の多様な交流の機会を増大させ、又は展示施設その他の施設の整備等を促進するために必要な資金の確保、助言、指導、情報の提供その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
第七章 雑則
(権限の委任)
第三十一条 国は、行政機能の各地域への分散を図ることにより多極分散型国土の形成に資するため、法律又はこれに基づく命令の規定により国の行政機関の長に属させられた権限を地方公共団体若しくはその長又は関係地方支分部局の長に委任すること等に努めるものとする。
(公共事業の実施についての配慮)
第三十二条 国は、公共事業の実施に関し多極分散型国土の形成が図られるよう適切な配慮をしなければならない。
(連絡調整等)
第三十三条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、総合的かつ計画的に実施すべき多極分散型国土の形成の促進に関する事業について、関係行政機関、関係地方公共団体及び関係事業者相互間の連絡調整を行うこと等により、その円滑な実施が図られるよう努めるものとする。
(大都市の特例)
第三十四条 第七条、第八条、第十条、第十一条(第二十六条において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)、第十二条及び第二十三条から第二十五条までの規定により都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事の権限に属するものとされている事務は、振興拠点地域又は業務核都市の全部が指定都市の区域に含まれる場合においては、当該指定都市が処理し、又は当該指定都市の長が行う。
2 前項の場合においては、第七条、第八条、第十条、第十一条及び第二十三条から第二十五条までの規定中都道府県に関する規定は、指定都市に関する規定として指定都市に適用があるものとする。
3 第一項の場合においては、第十二条第一項中「及び当該承認基本構想を作成した都道府県の知事」とあるのは、「並びに当該承認基本構想を作成した指定都市の長及び当該指定都市を包括する都道府県の知事」とする。
(主務大臣)
第三十五条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 振興拠点地域基本構想の承認に関する事項及び承認を受けた振興拠点地域基本構想の円滑な実施の促進に関する事項については、内閣総理大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣並びに当該振興拠点地域基本構想に定める第七条第二項第四号の中核的民間施設に係る次の区分に応じて次の大臣
イ 特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設 当該施設ごとに同法第五十九条各号の区分に応じて当該各号に定める大臣
ロ 第七条第二項第四号の政令で定める施設 当該施設ごとに政令で定める大臣
二 業務核都市基本構想の承認に関する事項及び承認を受けた業務核都市基本構想の円滑な実施の促進に関する事項については、内閣総理大臣、通商産業大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣並びに当該業務核都市基本構想に定める第二十二条第三項第四号の中核的民間施設に係る次の区分に応じて次の大臣
イ 特定施設整備法第二条第一項各号に掲げる施設 当該施設ごとに同法第五十九条各号の区分に応じて当該各号に定める大臣
ロ 第二十二条第三項第四号の政令で定める施設 当該施設ごとに政令で定める大臣
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章第二節、第四章第二節、第三十四条、第三十五条、次条、附則第三条及び附則第五条から附則第十条までの規定は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(北海道開発法の一部改正)
第二条 北海道開発法(昭和二十五年法律第百二十六号)の一部を次のように改正する。
第五条第一項に次の一号を加える。
六 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)に基づく内閣総理大臣の権限(振興拠点地域の開発整備に関する部分(同法第九条の規定に基づき承認基準を定めることを除く。)で、北海道の区域内の地域に係るものに限る。)の行使について補佐すること及び同法第十二条第四項の規定に基づき、促進協議会の庶務を処理すること。
(沖縄開発庁設置法の一部改正)
第三条 沖縄開発庁設置法(昭和四十七年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。
第四条中第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。
八 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項(振興拠点地域の開発整備に関する部分(同法第九条の規定に基づき承認基準を定めることを除く。)で、沖縄県の区域内の地域に係るものに限る。)について内閣総理大臣を補佐すること。
(国土庁設置法の一部改正)
第四条 国土庁設置法(昭和四十九年法律第九十八号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十一号中ヱをヒとし、シをヱとし、ミをシとし、メをミとし、ユをメとし、キをユとし、サをキとし、アをサとし、テをアとし、エをテとし、コをエとし、フをコとし、ケをフとし、マをケとし、ヤの次に次のように加える。
マ 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)
(農林水産省設置法の一部改正)
第五条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第二十七号の二の次に次の一号を加える。
二十七の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(通商産業省設置法の一部改正)
第六条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。
第四条第三十九号の二の次に次の一号を加える。
三十九の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。
(運輸省設置法の一部改正)
第七条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第三条の二第一項第十号の次に次の一号を加える。
十の二 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関すること。
第四条第一項第十号の次に次の一号を加える。
十の二 多極分散型国土形成促進法の規定に基づき、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想を承認すること。
(郵政省設置法の一部改正)
第八条 郵政省設置法(昭和二十三年法律第二百四十四号)の一部を次のように改正する。
第四条中第六十六号を第六十七号とし、第六十五号の次に次の一号を加える。
六十六 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関すること。
第五条第二十二号の十七の次に次の一号を加える。
二十二の十八 多極分散型国土形成促進法の定めるところに従い、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想の承認をすること。
第六条第五項及び第六項中「、第六十四号及び第六十五号」を「及び第六十四号から第六十六号まで」に改め、同条第八項中「第六十六号」を「第六十七号」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
第九条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第三条第三号の三の次に次の一号を加える。
三の四 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務を管理すること。
(自治省設置法の一部改正)
第十条 自治省設置法(昭和二十七年法律第二百六十一号)の一部を次のように改正する。
第四条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 多極分散型国土形成促進法(昭和六十三年法律第八十三号)の施行に関する事務を行うこと。
第五条第三号の二の次に次の一号を加える。
三の三 多極分散型国土形成促進法に基づき、振興拠点地域基本構想及び業務核都市基本構想を承認すること。
内閣総理大臣 竹下登
大蔵大臣 宮沢喜一
農林水産大臣 佐藤隆
通商産業大臣 田村元
運輸大臣 石原慎太郎
郵政大臣 中山正暉
建設大臣 越智伊平
自治大臣 梶山静六