(目的)
第一条 この法律は、民間事業者によつて行われる都市開発事業を推進するための特別の措置を定めるところにより、良好な市街地の形成と都市機能の維持及び増進を図り、もつて地域社会の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「公共施設」とは、道路、公園、広場その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。
2 この法律において「民間都市開発事業」とは、民間事業者によつて行われる次に掲げる事業をいう。
一 都市における土地の合理的かつ健全な利用及び都市機能の増進に寄与する建築物及びその敷地の整備に関する事業(これに附帯する事業を含む。)のうち公共施設の整備を伴うものであつて、政令で定める要件に該当するもの
二 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第六項の都市計画施設のうち政令で定めるものの整備に関する事業であつて、同法第五十九条第四項の認可を受けたもの
(民間都市開発推進機構の指定)
第三条 建設大臣は、民間都市開発事業の推進を目的として設立された民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の財団法人であつて、次条第一項各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申出により、民間都市開発推進機構(以下「機構」という。)として指定することができる。
2 建設大臣は、前項の指定をしたときは、当該機構の名称、住所及び事務所の所在地を官報で公示しなければならない。
3 機構は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を建設大臣に届け出なければならない。
4 建設大臣は、前項の届出があつたときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(機構の業務)
第四条 機構は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 特定民間都市開発事業(第二条第二項第一号に掲げる民間都市開発事業のうち地域社会における都市の健全な発展を図る上でその事業を推進することが特に有効な地域として政令で定める地域において施行されるもの及び同項第二号に掲げる民間都市開発事業をいう。以下この条において同じ。)について、当該事業の施行に要する費用の一部(同項第一号に掲げる民間都市開発事業にあつては、公共施設並びにこれに準ずる避難施設、駐車場その他の建築物の利用者及び都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設(以下この条において「公共施設等」という。)の整備に要する費用の額の範囲内に限る。)を負担して、当該事業に参加すること。
二 特定民間都市開発事業を施行する者に対し、当該事業の施行に要する費用(第二条第二項第一号に掲げる民間都市開発事業にあつては、公共施設等の整備に要する費用)に充てるための長期かつ低利の資金の融通を行うこと。
三 民間都市開発事業の基礎的調査の実施に対する助成を行うこと。
四 民間都市開発事業を施行する者に対し、必要な資金のあつせんを行うこと。
五 民間都市開発事業の推進に関する調査研究を行うこと。
2 機構は、前項第二号に掲げる業務については、日本開発銀行、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫(以下「日本開発銀行等」という。)とそれぞれ次に掲げる事項をその内容に含む協定を締結し、これに従いその業務を行うものとする。
一 機構は、日本開発銀行等に対し、前項第二号の融通に必要な資金を寄託すること。
二 日本開発銀行等は、機構が推薦した特定民間都市開発事業を施行する者に対し、前項第二号に規定する費用に充てるための資金の貸付けを行うこと。
三 利息その他の第一号の寄託の条件に関する事項及び前号の貸付けの条件の基準に関する事項
3 機構は、前項の協定を締結しようとするときは、あらかじめ、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(資金の貸付け)
第五条 政府は、機構に対し、都市開発資金の貸付けに関する法律(昭和四十一年法律第二十号)第一条第二項の規定によるもののほか、前条第一項第一号及び第二号に掲げる業務に要する資金のうち、政令で定める道路又は港湾施設の整備に関する費用に充てるべきものの一部を無利子で貸し付けることができる。
2 前項の規定による貸付金の償還方法は、政令で定める。
(事業計画等)
第六条 機構は、毎事業年度開始前に(第三条第一項の指定を受けた日の属する事業年度にあつては、その指定を受けた後速やかに)、建設省令で定めるところにより、事業計画及び収支予算を作成し、建設大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 機構は、毎事業年度経過後三月以内に、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、建設大臣に提出しなければならない。
(区分経理)
第七条 機構は、第四条第一項第二号に掲げる業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。
(借入金及び債券)
第八条 機構は、弁済期限が一年を超える資金を借り入れようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。
2 機構は、基本財産の額又は純資産額のいずれか少ない額の十倍に相当する金額を限度として、債券を発行することができる。ただし、その発行した債券の借換えのためには、一時その限度を超えて債券を発行することができる。
3 機構は、前項の規定により債券を発行しようとするときは、建設大臣の認可を受けなければならない。
4 機構は、第二項の規定による債券を発行する場合においては、割引の方法によることができる。
5 第二項の規定による債券の債権者は、機構の財産について他の債権者に先だつて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
6 前項の先取特権の順位は、民法の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
7 機構は、建設大臣の認可を受けて、第二項の規定による債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
8 商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条から第三百十一条までの規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
9 第二項の規定による債券で当該債券に係る債務について次条の規定により政府が保証契約をしているものについては、これを社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)第十四条の規定に基づき同法が準用される債券とみなす。
10 第二項から前項までに定めるもののほか、第二項の規定による債券に関し必要な事項は、政令で定める。
(債務保証)
第九条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、第四条第一項第二号に掲げる業務に要する資金の財源(公共施設の整備に要する費用に充てるものに限る。)に充てるための前条第二項の規定による債券に係る債務(国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律(昭和二十八年法律第五十一号)第二条第一項の規定に基づき政府が保証契約をすることができる債務を除く。)について、保証契約をすることができる。
(余裕金の運用)
第十条 機構は、次の方法によるほか、第四条第一項第二号に掲げる業務に係る業務上の余裕金を運用してはならない。
(報告及び検査)
第十一条 主務大臣は、第四条第一項各号に掲げる業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、機構に対し、当該業務若しくは資産の状況に関し報告をさせ、又はその職員に、機構の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳薄、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(改善命令)
第十二条 主務大臣は、第四条第一項各号に掲げる業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、機構に対し、その改善に必要な措置を採るべきことを命じることができる。
(指定の取消し)
第十三条 建設大臣は、機構が次の各号の一に該当するとき、又は次項の規定による請求があつたときは、第三条第一項の指定を取り消すことができる。
一 第四条第一項各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができないと認められるとき。
二 この法律又はこの法律に基づく命令に違反したとき。
三 前条の規定による建設大臣の処分に違反したとき。
2 運輸大臣は、機構が前項第一号若しくは第二号に該当するとき、又は前条の規定による運輸大臣の処分に違反したときは、建設大臣に対し、第三条第一項の指定を取り消すべきことを請求することができる。
3 建設大臣は、第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消そうとするときは、あらかじめ、その相手方にその処分の理由を通知し、弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えなければならない。
4 建設大臣は、第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消したときは、その旨を官報で公示しなければならない。
(指定を取り消した場合における経過措置)
第十四条 前条第一項の規定により第三条第一項の指定を取り消した場合における第四条第一項第一号及び第二号に掲げる業務に関する所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、合理的に必要と判断される範囲内において、政令で定めることができる。
(国の援助等)
第十五条 国は、民間都市開発事業の推進を図るため、当該事業を施行する者に対し、必要な助言、指導その他の援助を行うよう努めるものとする。
2 地方公共団体(港務局を含む。)は、民間都市開発事業の円滑な推進が図られるように、当該事業を施行する者に対し、必要な協力を行うものとする。
(協議)
第十六条 建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、運輸大臣に協議しなければならない。
一 第三条第一項又は第十条第一号の指定をしようとするとき。
二 第四条第二項第四号、第六条第一項、第十条第三号又は第十九条の建設省令を定めようとするとき。
三 第四条第三項、第六条第一項又は第八条第一項、第三項若しくは第七項の認可をしようとするとき。
四 第十三条第一項の指定の取消しをしようとするとき。
2 建設大臣は、次の場合には、あらかじめ、大蔵大臣に協議しなければならない。
一 第六条第一項又は第八条第一項、第三項若しくは第七項の認可をしようとするとき。
三 第十八条第三号の建設省令を定めようとするとき。
3 建設大臣は、第四条第三項の認可をしようとするときは、あらかじめ、機構と日本開発銀行との協定に係るものにあつては大蔵大臣に、機構と北海道東北開発公庫又は沖縄振興開発金融公庫との協定に係るものにあつては内閣総理大臣及び大蔵大臣に協議しなければならない。
(主務大臣)
第十七条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 機構の財務及び会計その他管理業務に関する事項については、建設大臣
二 第四条第一項各号に掲げる業務のうち港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項の港湾施設に係るものに関する事項については、運輸大臣
三 第四条第一項各号に掲げる業務に関する事項(前号に規定する事項を除く。)については、建設大臣
(日本開発銀行法等の特例)
第十八条 日本開発銀行等は、日本開発銀行法(昭和二十六年法律第百八号)第十八条第一項、北海道東北開発公庫法(昭和三十一年法律第九十七号)第十九条及び沖縄振興開発金融公庫法(昭和四十七年法律第三十一号)第十九条第一項の規定によるもののほか、日本開発銀行にあつては大蔵大臣、北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫にあつては内閣総理大臣及び大蔵大臣の認可を受けて、機構に拠出することができる。
2 前項の規定により日本開発銀行等が拠出する場合においては、日本開発銀行法第五十一条第二号中「場合」とあるのは「場合及び民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定により大蔵大臣の認可を受けなければならない場合」と、同条第四号中「規定する業務」とあるのは「規定する業務並びに民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定による拠出」とし、北海道東北開発公庫法第三十八条第一号中「場合」とあるのは「場合並びに民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定により内閣総理大臣及び大蔵大臣の認可を受けなければならない場合」と、同条第三号中「規定する業務」とあるのは「規定する業務及び民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定による拠出」とし、沖縄振興開発金融公庫法第三十九条第一号中「場合」とあるのは「場合並びに民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定により内閣総理大臣及び大蔵大臣の認可を受けなければならない場合」と、同条第三号中「又は附則第五条の業務」とあるのは「若しくは附則第五条の業務又は民間都市開発の推進に関する特別措置法第十八条第一項の規定による拠出」とする。
(建設省令への委任)
第十九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、建設省令で定める。
(罰則)
第二十条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
二 第十二条の規定による主務大臣の処分に違反した者
第二十一条 機構の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が機構の業務に関し前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、機構に対しても、同条の刑を科する。
第二十二条 第八条第一項、第三項又は第七項の規定に違反して認可を受けなかつたときは、その違反行為をした機構の役員は、五十万円以下の過料に処する。