高速自動車国道法
法令番号: 法律第79号
公布年月日: 昭和32年4月25日
法令の形式: 法律

改正対象法令

提案理由 (AIによる要約)

近年の経済規模拡大と自動車交通の発達に対し、従来の道路整備では自動車の高速性や機動性を十分に活かせない状況を打開するため、自動車専用の高速道路を整備し、高速かつ長距離の交通を確保する必要がある。高速自動車道路の建設は、輸送問題の解決、産業経済活動の活発化、国土の総合開発に大きく寄与する。そこで、国土開発縦貫自動車道を含む高速自動車道路を国が建設管理する体制を確立し、高速自動車国道の整備を図り、自動車交通の発達に寄与するため、本法案を提出するものである。

参照した発言:
第26回国会 衆議院 建設委員会 第12号

審議経過

第26回国会

参議院
(昭和32年3月5日)
衆議院
(昭和32年3月27日)
(昭和32年4月2日)
参議院
(昭和32年4月4日)
衆議院
参議院
(昭和32年4月9日)
衆議院
(昭和32年4月10日)
(昭和32年4月11日)
(昭和32年4月12日)
(昭和32年4月12日)
参議院
(昭和32年4月16日)
(昭和32年4月18日)
(昭和32年4月19日)
衆議院
(昭和32年5月19日)
参議院
(昭和32年5月19日)
高速自動車国道法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年四月二十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十九号
高速自動車国道法
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
管理(第六条―第二十二条)
第三章
雑則(第二十三条―第二十五条)
第四章
罰則(第二十六条―第三十三条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、高速自動車国道に関して、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)に定めるもののほか、路線の指定、整備計画、管理、構造、保全等に関する事項を定め、もつて高速自動車国道の整備を図り、自動車交通の発達に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法第二条第一項に規定する道路をいう。
2 この法律において「一般自動車道」とは、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する一般自動車道をいう。
3 この法律において「国土開発縦貫自動車道」とは、国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)第三条第一項に規定する国土開発縦貫自動車道をいう。
4 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
(予定路線)
第三条 運輸大臣及び建設大臣は、政令で定めるところにより、内閣の議を経て高速自動車国道として建設すべき道路の予定路線(国土開発縦貫自動車道の予定路線を除く。以下本条において同じ。)を定める。この場合においては、一般自動車道との調整について特に考慮されなければならない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の予定路線について内閣の議を経ようとするときは、あらかじめ国土開発縦貫自動車道建設審議会(以下「審議会」という。)の議を経なければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、第一項の規定により高速自動車国道の予定路線を定めたときは、遅滞なく、政令で定める事項を告示しなければならない。
(高速自動車国道の意義及び路線の指定)
第四条 高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもので、次の各号に掲げるものをいう。
一 国土開発縦貫自動車道の予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
二 前条第三項の規定により告示された予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
2 前項の規定による政令においては、路線名、起点、終点、重要な経過地その他路線について必要な事項を明らかにしなければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、第一項の規定による政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ審議会の議を経なければならない。
(整備計画)
第五条 運輸大臣及び建設大臣は、高速自動車国道の路線が指定された場合においては、審議会の議を経て、政令で定めるところにより、当該高速自動車国道の新設に関する整備計画を定めなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の整備計画のうち国土開発縦貫自動車道に係るものは、国土開発縦貫自動車道建設法第五条第一項の規定により決定された基本計画に基き定められなければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、高速自動車国道の改築をしようとする場合においては、審議会の議を経て、政令で定めるところにより、当該高速自動車国道の改築に関する整備計画を定めなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第二章 管理
(管理)
第六条 高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第二条第二項に規定する災害復旧事業(以下「災害復旧」という。)その他の管理は、建設大臣が行う。
(区域の決定及び供用の開始等)
第七条 建設大臣は、第五条第一項の規定により整備計画が決定された場合においては、遅滞なく、高速自動車国道の区域を決定して、政令で定めるところにより、これを公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。高速自動車国道の区域を変更した場合も、同様とする。
2 建設大臣は、高速自動車国道の供用を開始し、又は廃止しようとする場合においては、政令で定めるところにより、その旨を公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。
(兼用工作物の管理)
第八条 高速自動車国道と他の工作物(道路法第二十条第一項に規定する他の工作物をいい、以下「他の工作物」という。)とが相互に効用を兼ねる場合においては、建設大臣及び当該他の工作物の管理者は、当該高速自動車国道及び他の工作物の管理については、第六条の規定にかかわらず、協議して別にその維持、修繕、災害復旧その他の管理の方法を定めることができる。ただし、他の工作物の管理者が私人である場合においては、当該高速自動車国道については、修繕に関する工事及び維持以外の管理を行わせることができない。
2 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、当該他の工作物に関する主務大臣とあらためて協議することができる。
3 前項の規定により建設大臣と当該他の工作物に関する主務大臣との協議が成立した場合においては、第一項の規定の適用については、建設大臣と当該他の工作物の管理者との協議が成立したものとみなす。
4 第一項の規定による協議が成立した場合(前項の規定により建設大臣と当該他の工作物の管理者との協議が成立したものとみなされる場合を含む。)においては、建設大臣は、成立した協議の内容を公示しなければならない。
(建設大臣の権限の代行)
第九条 前条の規定による協議に基き他の工作物の管理者が高速自動車国道を管理する場合においては、当該他の工作物の管理者は、政令で定めるところにより、建設大臣に代つてその権限を行うものとする。
(高速自動車国道と道路、鉄道、軌道等との交差の方式)
第十条 高速自動車国道と道路、鉄道、軌道、一般自動車道又は交通の用に供する通路その他の施設とが相互に交差する場合においては、当該交差の方式は、立体交差としなければならない。
(高速自動車国道と道路等との連結)
第十一条 道路、一般自動車道又は政令で定める交通の用に供する通路その他の施設以外の交通の用に供する通路その他の施設は、高速自動車国道と連結させてはならない。
2 道路(高速自動車国道を除く。)、一般自動車道又は前項の政令で定める交通の用に供する通路その他の施設(以下「道路等」という。)の管理者は、道路等を高速自動車国道と連絡させようとする場合においては、建設省令で定めるところにより、あらかじめ建設大臣の許可を受けなければならない。この場合において、建設大臣は、第五条の規定により定められた整備計画に基き許可しなければならない。
3 道路運送法第七十四条第二項の規定は、前項の許可については適用しない。
(高速自動車国道と鉄道との交差)
第十二条 高速自動車国道と日本国有鉄道の鉄道又は地方鉄道とが相互に交差する場合においては、建設大臣は、日本国有鉄道又は当該地方鉄道業者と当該交差の構造、工事の施行方法及び費用負担について、あらかじめ協議しなければならない。
2 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、運輸大臣とあらためて協議するものとする。
3 前項の規定により建設大臣と運輸大臣との協議が成立した場合においては、第一項の規定の適用については、建設大臣と日本国有鉄道又は当該地方鉄道業者との協議が成立したものとみなす。
(特別沿道区域の指定)
第十三条 建設大臣は、高速自動車国道に接続する区域について、当該高速自動車国道を通行する自動車の高速交通に及ぼすべき危険を防止するため、当該道路の構造及びその存する地域の状況を勘案して、政令で定める基準に従い、特別沿道区域の指定をすることができる。ただし、高速自動車国道の各一側について幅二十メートルをこえる区域を特別沿道区域として指定することはできない。
2 前項の規定により特別沿道区域の指定をした場合においては、建設大臣は、遅滞なく、政令で定めるところにより、その区域を公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。
(特別沿道区域内の制限)
第十四条 前条第二項の規定により公示された特別沿道区域内においては、高速自動車国道を通行する自動車の高速交通を著しく妨げるおそれのある建築物その他の工作物又は物件で政令で定めるもの(以下「建築物等」という。)を建築し、又は設けてはならない。
2 建設大臣は、前項の規定に違反して、建築し、又は設けた建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、当該建築物等の改築、移転、除却その他必要な措置をすることを命ずることができる。
3 建設大臣は、前条第二項の公示の際特別沿道区域内に現に存する建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより、通常生ずべき損失を補償して、当該建築物等の改築、移転、除却その他必要な措置をすることを命ずることができる。
4 前項の建築物等又はこれが存する土地の所有者は、同項の建築物等の改築、移転、除却その他の措置によつて、当該建築物等又は土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、政令で定めるところにより、建設大臣に対し当該建築物等又は土地の買取を請求することができる。
5 第三項の規定により補償すべき損失の額並びに前項の規定による買取及びその価額等の条件は、建設大臣と当該建築物等又は土地の所有者その他の権原を有する者とが協議して定める。
6 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣又は当該建築物等若しくは土地の所有者その他の権原を有する者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
第十五条 建設大臣は、前条第一項の規定による特別沿道区域内における用益の制限により通常生ずべき損失を当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより、補償しなければならない。
2 前項の土地の所有者は、前条第一項の規定による特別沿道区域内における用益の制限によつて当該土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、同条第四項の規定による場合を除き、政令で定めるところにより、建設大臣に対しその土地の買取を請求することができる。
3 前条第五項及び第六項の規定は、前二項の場合について準用する。
(準用規定)
第十六条 前三条の規定は、高速自動車国道の区域が決定された後当該道路の供用が開始されるまでの間において、建設大臣が当該道路の区域内にある土地について権原を取得した後においては、当該土地について準用する。
(出入の制限等)
第十七条 何人もみだりに高速自動車国道に立ち入り、又は高速自動車国道を自動車による以外の方法により通行してはならない。
2 建設大臣は、高速自動車国道の入口その他必要な場所に通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければならない。
(違反行為に対する措置)
第十八条 建設大臣は、前条第一項の規定に違反している者に対し、行為の中止その他交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる。
(道路監理員の監督処分)
第十九条 建設大臣は、道路法第七十一条第四項の規定により建設大臣が命じた道路監理員に、第十四条第一項(第十六条において準用する場合を含む。)若しくは第十七条第一項の規定又は第十四条第二項若しくは第三項(第十六条において準用する場合を含む。)又は前条の規定に基く処分に違反している者に対して、その違反行為の中止を命じ、又は建築物等の改築、移転、除却その他の必要な措置をすることを命ずる権限を行わせることができる。
2 道路法第七十一条第五項及び第六項の規定は、前項の規定により権限を行使する道路監理員に準用する。
(費用の負担)
第二十条 高速自動車国道の管理に要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合を除くほか、国の負担とする。
2 国は、高速自動車国道の存する都道府県が著しく利益を受ける場合においては、別に法律で定めるところにより、当該高速自動車国道の管理に要する費用の一部を当該都道府県に負担させるものとする。
(兼用工作物の費用)
第二十一条 前条第一項の規定により国の負担すべき高速自動車国道の管理に要する費用で当該道路が他の工作物と効用を兼ねるものに関するものについては、建設大臣は、他の工作物の管理者と協議してその分担すべき金額及び分担の方法を定めることができる。
2 前項の場合において、他の工作物が河川法(明治二十九年法律第七十一号)第四条第二項に規定する河川の附属物であるときは、同法第三十条の規定を適用する。
3 第一項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、当該他の工作物に関する主務大臣とあらためて協議することができる。
4 第八条第三項の規定は、前項の規定による協議が成立した場合について準用する。
(義務履行のために要する費用)
第二十二条 この法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、当該義務者が負担しなければならない。
第三章 雑則
(運輸大臣が行う道路に関する調査)
第二十三条 運輸大臣は、この法律に規定するその権限を行うため特に必要があると認めるときは、その職員をして道路を通行する車両を一時停止させ、当該車両の発地及び着地、積載物品の種類及び数量その他道路の交通量調査に必要な事項について質問させることができる。この場合においては、運輸大臣は、あらかじめ建設大臣と協議し、道路法第七十七条の規定により建設大臣の行う道路の交通量調査と重複しないよう調整を図らなければならない。
2 前項前段の規定により調査を命ぜられた職員は、運輸省令で定める様式による身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項前段に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(異議の申立又は訴訟)
第二十四条 この法律又は道路法の規定に基き、高速自動車国道に関して建設大臣がした処分について不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、建設大臣に異議の申立をすることができる。
2 第十九条第一項の規定又は道路法第七十一条第四項の規定に基き、高速自動車国道に関して道路監理員がした処分に対して不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、建設大臣に異議の申立をすることができる。
3 第九条の規定により他の工作物の管理者が建設大臣に代つてその権限を行う場合においてした処分に対して不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、当該処分をした他の工作物の管理者に異議の申立をすることができる。
4 前三項の規定による異議の申立があつた場合においては、建設大臣又は他の工作物の管理者は、申立を受理した日から三十日以内に、文書をもつて決定しなければならない。
5 第三項の規定による異議の申立に係る前項の決定に不服のある者は、決定の通知を受けた日から十日以内に、建設大臣及び他の工作物に関する主務大臣に訴願することができる。
6 第四項の規定により建設大臣がした決定又は前項の規定による裁決に不服がある者は、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)第五条第一項の規定にかかわらず、決定又は裁決のあつた日から三月以内に限り、訴を提起することができる。
7 訴願法(明治二十三年法律第百五号)第十二条の規定は、第一項から第三項までの規定による異議の申立について準用する。
(道路法の適用)
第二十五条 高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理については、この法律に定めるもののほか、道路法の規定の適用があるものとする。この場合において、同法第二条第二項第二号又は第五号中「第十八条第一項に規定する道路管理者」とあるのは「建設大臣」と、同法第三十九条第二項又は第六十一条第二項中「道路管理者である地方公共団体の条例」とあるのは「政令」と、同法第四十四条第一項又は第七十三条第二項中「条例」とあるのは「政令」と、同法第七十一条第四項中「吏員」とあるのは「職員」と、同法第百六条中「第二十七条の規定により道路管理者に代つて」とあるのは「高速自動車国道法第九条の規定により建設大臣に代つて」と、「道路管理者とみなす」とあるのは「建設大臣とみなす」とする。
2 前項に定めるもののほか、道路法の規定の適用についての必要な技術的読替は、政令で定める。
第四章 罰則
第二十六条 高速自動車国道を損壊し、若しくは高速自動車国道の附属物を移転し、若しくは損壊して高速自動車国道の効用を害し、又は高速自動車国道における交通に危険を生じさせた者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
第二十七条 前条第一項の罪を犯しよつて自動車を転覆させ、又は破壊した者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯しよつて人を傷つけた者は、一年以上の有期懲役に処し、死亡させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
第二十八条 過失により第二十六条第一項の罪を犯した者は、二万円以下の罰金に処する。高速自動車国道の管理に従事する者が犯したときは、一年以下の禁又は三万円以下の罰金に処する。
第二十九条 第十四条第二項又は第三項(第十六条において準用する場合を含む。)の規定による建設大臣の命令に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。第十九条第一項の規定により道路監理員がした第十四条第二項又は第三項(第十六条において準用する場合を含む。)の命令に違反した者についても、同様とする。
第三十条 第十八条の規定による建設大臣の命令に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。第十九条第一項の規定により道路監理員がした第十八条の命令に違反した者についても、同様とする。
第三十一条 第十四条第一項(第十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して建築物等を建築し、又は設けた者は、一万円以下の罰金に処する。
第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十三条 第九条の規定により建設大臣に代つてその権限を行う者は、この法律による罰則の適用については、建設大臣とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(道路交通取締法の一部改正)
2 道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「一般交通の用に供する通路」の下に「(高速自動車国道を除く。)」を加える。
第十条の二を第十条の三とし、第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 高速自動車国道で運転する自動車の最高速度は、前条第一項の規定にかかわらず、命令でこれを定める。
公安委員会は、前条第二項又は第三項の規定の例により、最高速度の制限を定めることができる。
高速自動車国道で運転する自動車の最低速度については、命令でこれを定める。
第三十条中「第十三条」を、「第十条の二第三項、第十三条」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
3 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項の表道路審議会の項中「建議すること。」を「建議すること。(国土開発縦貫自動車道建設審議会の権限に属せしめられた事項を除く。)」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
4 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
国土開発縦貫自動車道建設審議会
国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議すること。
国土開発縦貫自動車道建設審議会
国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)の規定によりその権限に属せしめられた事項及び高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
に改める。
(運輸省設置法の一部改正)
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第三十八号の二の次に次の一号を加える。
三十八の三 高速自動車国道の予定路線及び整備計画を定めること。
第二十八条第一項第八号の二の次に次の二号を加える。
八の三 高速自動車国道の予定路線及び路線に関すること。
八の四 高速自動車国道の整備計画に関すること
第二十八条第三項中「第八号の二」を「第八号の四」に改める。
(道路運送法の一部改正)
6 道路運送法の一部を次のように改正する。
第二条第八項中「設けられた道」の下に「(高速自動車国道を除く。)」を加える。
(道路法の一部改正)
7 道路法の一部を次のように改正する。
目次中「第三条」を「第四条」に、「道路の種類」を「一級国道等の意義」に、「第四条」を「第五条」に改める。
第二条第一項中「一般交通の用に供する道」の下に「(自動車のみの一般交通の用に供する道を含む。)」を加え、「第四条各号」を「次条各号」に改める。
第四条を削り、第一章中第三条を第四条とし、第二条の次に次の二条を加える。
(道路の種類)
第三条 道路の種類は、左に掲げるものとする。
一 高速自動車国道
二 一級国道
三 二級国道
四 都道府県道
五 市町村道
(高速自動車国道)
第三条の二 高速自動車国道については、この法律に定めるもののほか、別に法律で定める。
第二章の章名中「道路の種類」を「一級国道等の意義」に改める。
第五条第一項中「前条第一号」を「第三条第二号」に改め、「又は循環して」の下に「、高速自動車国道とあわせて」を加える。
第六条第一項各号列記以外の部分中「第四条第二号」を「第三条第三号」に、「一級国道」を「高速自動車国道及び一級国道」に改め、同項第二号から第四号まで中「一級国道」を「高速自動車国道又は一級国道」に改める。
第七条第一項中「第四条第三号」を「第三条第四号」に改め、同項第五号中「一級国道」を「高速自動車国道、一級国道」に改める。
第八条第一項中「第四条第四号」を「第三条第五号」に改める。
第七十九条第一項中「諮問に応じ、」の下に「国土開発縦貫自動車道建設審議会の権限に属せしめられた事項を除き、」を加える。
第九十一条第二項中「第三条」を「第四条」に改める。
第九十六条第七項中「第一項」を「第一項から第三項まで」に改める。
第九十八条中「第三条」を「第四条」に改める。
第九十九条中「みだりに道路」の下に「(高速自動車国道を除く。以下本条中同じ。)」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
運輸大臣 宮澤胤勇
建設大臣 南條徳男
高速自動車国道法をここに公布する。
御名御璽
昭和三十二年四月二十五日
内閣総理大臣 岸信介
法律第七十九号
高速自動車国道法
目次
第一章
総則(第一条―第五条)
第二章
管理(第六条―第二十二条)
第三章
雑則(第二十三条―第二十五条)
第四章
罰則(第二十六条―第三十三条)
附則
第一章 総則
(この法律の目的)
第一条 この法律は、高速自動車国道に関して、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)に定めるもののほか、路線の指定、整備計画、管理、構造、保全等に関する事項を定め、もつて高速自動車国道の整備を図り、自動車交通の発達に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において「道路」とは、道路法第二条第一項に規定する道路をいう。
2 この法律において「一般自動車道」とは、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する一般自動車道をいう。
3 この法律において「国土開発縦貫自動車道」とは、国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)第三条第一項に規定する国土開発縦貫自動車道をいう。
4 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
(予定路線)
第三条 運輸大臣及び建設大臣は、政令で定めるところにより、内閣の議を経て高速自動車国道として建設すべき道路の予定路線(国土開発縦貫自動車道の予定路線を除く。以下本条において同じ。)を定める。この場合においては、一般自動車道との調整について特に考慮されなければならない。
2 運輸大臣及び建設大臣は、前項の予定路線について内閣の議を経ようとするときは、あらかじめ国土開発縦貫自動車道建設審議会(以下「審議会」という。)の議を経なければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、第一項の規定により高速自動車国道の予定路線を定めたときは、遅滞なく、政令で定める事項を告示しなければならない。
(高速自動車国道の意義及び路線の指定)
第四条 高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもので、次の各号に掲げるものをいう。
一 国土開発縦貫自動車道の予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
二 前条第三項の規定により告示された予定路線のうちから政令でその路線を指定したもの
2 前項の規定による政令においては、路線名、起点、終点、重要な経過地その他路線について必要な事項を明らかにしなければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、第一項の規定による政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、あらかじめ審議会の議を経なければならない。
(整備計画)
第五条 運輸大臣及び建設大臣は、高速自動車国道の路線が指定された場合においては、審議会の議を経て、政令で定めるところにより、当該高速自動車国道の新設に関する整備計画を定めなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の整備計画のうち国土開発縦貫自動車道に係るものは、国土開発縦貫自動車道建設法第五条第一項の規定により決定された基本計画に基き定められなければならない。
3 運輸大臣及び建設大臣は、高速自動車国道の改築をしようとする場合においては、審議会の議を経て、政令で定めるところにより、当該高速自動車国道の改築に関する整備計画を定めなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
第二章 管理
(管理)
第六条 高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法(昭和二十六年法律第九十七号)第二条第二項に規定する災害復旧事業(以下「災害復旧」という。)その他の管理は、建設大臣が行う。
(区域の決定及び供用の開始等)
第七条 建設大臣は、第五条第一項の規定により整備計画が決定された場合においては、遅滞なく、高速自動車国道の区域を決定して、政令で定めるところにより、これを公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。高速自動車国道の区域を変更した場合も、同様とする。
2 建設大臣は、高速自動車国道の供用を開始し、又は廃止しようとする場合においては、政令で定めるところにより、その旨を公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。
(兼用工作物の管理)
第八条 高速自動車国道と他の工作物(道路法第二十条第一項に規定する他の工作物をいい、以下「他の工作物」という。)とが相互に効用を兼ねる場合においては、建設大臣及び当該他の工作物の管理者は、当該高速自動車国道及び他の工作物の管理については、第六条の規定にかかわらず、協議して別にその維持、修繕、災害復旧その他の管理の方法を定めることができる。ただし、他の工作物の管理者が私人である場合においては、当該高速自動車国道については、修繕に関する工事及び維持以外の管理を行わせることができない。
2 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、当該他の工作物に関する主務大臣とあらためて協議することができる。
3 前項の規定により建設大臣と当該他の工作物に関する主務大臣との協議が成立した場合においては、第一項の規定の適用については、建設大臣と当該他の工作物の管理者との協議が成立したものとみなす。
4 第一項の規定による協議が成立した場合(前項の規定により建設大臣と当該他の工作物の管理者との協議が成立したものとみなされる場合を含む。)においては、建設大臣は、成立した協議の内容を公示しなければならない。
(建設大臣の権限の代行)
第九条 前条の規定による協議に基き他の工作物の管理者が高速自動車国道を管理する場合においては、当該他の工作物の管理者は、政令で定めるところにより、建設大臣に代つてその権限を行うものとする。
(高速自動車国道と道路、鉄道、軌道等との交差の方式)
第十条 高速自動車国道と道路、鉄道、軌道、一般自動車道又は交通の用に供する通路その他の施設とが相互に交差する場合においては、当該交差の方式は、立体交差としなければならない。
(高速自動車国道と道路等との連結)
第十一条 道路、一般自動車道又は政令で定める交通の用に供する通路その他の施設以外の交通の用に供する通路その他の施設は、高速自動車国道と連結させてはならない。
2 道路(高速自動車国道を除く。)、一般自動車道又は前項の政令で定める交通の用に供する通路その他の施設(以下「道路等」という。)の管理者は、道路等を高速自動車国道と連絡させようとする場合においては、建設省令で定めるところにより、あらかじめ建設大臣の許可を受けなければならない。この場合において、建設大臣は、第五条の規定により定められた整備計画に基き許可しなければならない。
3 道路運送法第七十四条第二項の規定は、前項の許可については適用しない。
(高速自動車国道と鉄道との交差)
第十二条 高速自動車国道と日本国有鉄道の鉄道又は地方鉄道とが相互に交差する場合においては、建設大臣は、日本国有鉄道又は当該地方鉄道業者と当該交差の構造、工事の施行方法及び費用負担について、あらかじめ協議しなければならない。
2 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、運輸大臣とあらためて協議するものとする。
3 前項の規定により建設大臣と運輸大臣との協議が成立した場合においては、第一項の規定の適用については、建設大臣と日本国有鉄道又は当該地方鉄道業者との協議が成立したものとみなす。
(特別沿道区域の指定)
第十三条 建設大臣は、高速自動車国道に接続する区域について、当該高速自動車国道を通行する自動車の高速交通に及ぼすべき危険を防止するため、当該道路の構造及びその存する地域の状況を勘案して、政令で定める基準に従い、特別沿道区域の指定をすることができる。ただし、高速自動車国道の各一側について幅二十メートルをこえる区域を特別沿道区域として指定することはできない。
2 前項の規定により特別沿道区域の指定をした場合においては、建設大臣は、遅滞なく、政令で定めるところにより、その区域を公示し、かつ、これを表示した図面を一般の縦覧に供しなければならない。
(特別沿道区域内の制限)
第十四条 前条第二項の規定により公示された特別沿道区域内においては、高速自動車国道を通行する自動車の高速交通を著しく妨げるおそれのある建築物その他の工作物又は物件で政令で定めるもの(以下「建築物等」という。)を建築し、又は設けてはならない。
2 建設大臣は、前項の規定に違反して、建築し、又は設けた建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、当該建築物等の改築、移転、除却その他必要な措置をすることを命ずることができる。
3 建設大臣は、前条第二項の公示の際特別沿道区域内に現に存する建築物等の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより、通常生ずべき損失を補償して、当該建築物等の改築、移転、除却その他必要な措置をすることを命ずることができる。
4 前項の建築物等又はこれが存する土地の所有者は、同項の建築物等の改築、移転、除却その他の措置によつて、当該建築物等又は土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、政令で定めるところにより、建設大臣に対し当該建築物等又は土地の買取を請求することができる。
5 第三項の規定により補償すべき損失の額並びに前項の規定による買取及びその価額等の条件は、建設大臣と当該建築物等又は土地の所有者その他の権原を有する者とが協議して定める。
6 前項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣又は当該建築物等若しくは土地の所有者その他の権原を有する者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
第十五条 建設大臣は、前条第一項の規定による特別沿道区域内における用益の制限により通常生ずべき損失を当該土地の所有者その他の権原を有する者に対し、政令で定めるところにより、補償しなければならない。
2 前項の土地の所有者は、前条第一項の規定による特別沿道区域内における用益の制限によつて当該土地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、同条第四項の規定による場合を除き、政令で定めるところにより、建設大臣に対しその土地の買取を請求することができる。
3 前条第五項及び第六項の規定は、前二項の場合について準用する。
(準用規定)
第十六条 前三条の規定は、高速自動車国道の区域が決定された後当該道路の供用が開始されるまでの間において、建設大臣が当該道路の区域内にある土地について権原を取得した後においては、当該土地について準用する。
(出入の制限等)
第十七条 何人もみだりに高速自動車国道に立ち入り、又は高速自動車国道を自動車による以外の方法により通行してはならない。
2 建設大臣は、高速自動車国道の入口その他必要な場所に通行の禁止又は制限の対象を明らかにした道路標識を設けなければならない。
(違反行為に対する措置)
第十八条 建設大臣は、前条第一項の規定に違反している者に対し、行為の中止その他交通の危険防止のための必要な措置をすることを命ずることができる。
(道路監理員の監督処分)
第十九条 建設大臣は、道路法第七十一条第四項の規定により建設大臣が命じた道路監理員に、第十四条第一項(第十六条において準用する場合を含む。)若しくは第十七条第一項の規定又は第十四条第二項若しくは第三項(第十六条において準用する場合を含む。)又は前条の規定に基く処分に違反している者に対して、その違反行為の中止を命じ、又は建築物等の改築、移転、除却その他の必要な措置をすることを命ずる権限を行わせることができる。
2 道路法第七十一条第五項及び第六項の規定は、前項の規定により権限を行使する道路監理員に準用する。
(費用の負担)
第二十条 高速自動車国道の管理に要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合を除くほか、国の負担とする。
2 国は、高速自動車国道の存する都道府県が著しく利益を受ける場合においては、別に法律で定めるところにより、当該高速自動車国道の管理に要する費用の一部を当該都道府県に負担させるものとする。
(兼用工作物の費用)
第二十一条 前条第一項の規定により国の負担すべき高速自動車国道の管理に要する費用で当該道路が他の工作物と効用を兼ねるものに関するものについては、建設大臣は、他の工作物の管理者と協議してその分担すべき金額及び分担の方法を定めることができる。
2 前項の場合において、他の工作物が河川法(明治二十九年法律第七十一号)第四条第二項に規定する河川の附属物であるときは、同法第三十条の規定を適用する。
3 第一項の規定による協議が成立しない場合においては、建設大臣は、当該他の工作物に関する主務大臣とあらためて協議することができる。
4 第八条第三項の規定は、前項の規定による協議が成立した場合について準用する。
(義務履行のために要する費用)
第二十二条 この法律によつてする処分による義務を履行するために必要な費用は、当該義務者が負担しなければならない。
第三章 雑則
(運輸大臣が行う道路に関する調査)
第二十三条 運輸大臣は、この法律に規定するその権限を行うため特に必要があると認めるときは、その職員をして道路を通行する車両を一時停止させ、当該車両の発地及び着地、積載物品の種類及び数量その他道路の交通量調査に必要な事項について質問させることができる。この場合においては、運輸大臣は、あらかじめ建設大臣と協議し、道路法第七十七条の規定により建設大臣の行う道路の交通量調査と重複しないよう調整を図らなければならない。
2 前項前段の規定により調査を命ぜられた職員は、運輸省令で定める様式による身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
3 第一項前段に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(異議の申立又は訴訟)
第二十四条 この法律又は道路法の規定に基き、高速自動車国道に関して建設大臣がした処分について不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、建設大臣に異議の申立をすることができる。
2 第十九条第一項の規定又は道路法第七十一条第四項の規定に基き、高速自動車国道に関して道路監理員がした処分に対して不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、建設大臣に異議の申立をすることができる。
3 第九条の規定により他の工作物の管理者が建設大臣に代つてその権限を行う場合においてした処分に対して不服のある者は、処分のあつた日から三十日以内に、当該処分をした他の工作物の管理者に異議の申立をすることができる。
4 前三項の規定による異議の申立があつた場合においては、建設大臣又は他の工作物の管理者は、申立を受理した日から三十日以内に、文書をもつて決定しなければならない。
5 第三項の規定による異議の申立に係る前項の決定に不服のある者は、決定の通知を受けた日から十日以内に、建設大臣及び他の工作物に関する主務大臣に訴願することができる。
6 第四項の規定により建設大臣がした決定又は前項の規定による裁決に不服がある者は、行政事件訴訟特例法(昭和二十三年法律第八十一号)第五条第一項の規定にかかわらず、決定又は裁決のあつた日から三月以内に限り、訴を提起することができる。
7 訴願法(明治二十三年法律第百五号)第十二条の規定は、第一項から第三項までの規定による異議の申立について準用する。
(道路法の適用)
第二十五条 高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理については、この法律に定めるもののほか、道路法の規定の適用があるものとする。この場合において、同法第二条第二項第二号又は第五号中「第十八条第一項に規定する道路管理者」とあるのは「建設大臣」と、同法第三十九条第二項又は第六十一条第二項中「道路管理者である地方公共団体の条例」とあるのは「政令」と、同法第四十四条第一項又は第七十三条第二項中「条例」とあるのは「政令」と、同法第七十一条第四項中「吏員」とあるのは「職員」と、同法第百六条中「第二十七条の規定により道路管理者に代つて」とあるのは「高速自動車国道法第九条の規定により建設大臣に代つて」と、「道路管理者とみなす」とあるのは「建設大臣とみなす」とする。
2 前項に定めるもののほか、道路法の規定の適用についての必要な技術的読替は、政令で定める。
第四章 罰則
第二十六条 高速自動車国道を損壊し、若しくは高速自動車国道の附属物を移転し、若しくは損壊して高速自動車国道の効用を害し、又は高速自動車国道における交通に危険を生じさせた者は、五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
2 前項の未遂罪は、罰する。
第二十七条 前条第一項の罪を犯しよつて自動車を転覆させ、又は破壊した者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の罪を犯しよつて人を傷つけた者は、一年以上の有期懲役に処し、死亡させた者は、無期又は三年以上の懲役に処する。
第二十八条 過失により第二十六条第一項の罪を犯した者は、二万円以下の罰金に処する。高速自動車国道の管理に従事する者が犯したときは、一年以下の禁又は三万円以下の罰金に処する。
第二十九条 第十四条第二項又は第三項(第十六条において準用する場合を含む。)の規定による建設大臣の命令に違反した者は、五万円以下の罰金に処する。第十九条第一項の規定により道路監理員がした第十四条第二項又は第三項(第十六条において準用する場合を含む。)の命令に違反した者についても、同様とする。
第三十条 第十八条の規定による建設大臣の命令に違反した者は、三万円以下の罰金に処する。第十九条第一項の規定により道路監理員がした第十八条の命令に違反した者についても、同様とする。
第三十一条 第十四条第一項(第十六条において準用する場合を含む。)の規定に違反して建築物等を建築し、又は設けた者は、一万円以下の罰金に処する。
第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
第三十三条 第九条の規定により建設大臣に代つてその権限を行う者は、この法律による罰則の適用については、建設大臣とみなす。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
(道路交通取締法の一部改正)
2 道路交通取締法(昭和二十二年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
第二条第三項中「一般交通の用に供する通路」の下に「(高速自動車国道を除く。)」を加える。
第十条の二を第十条の三とし、第十条の次に次の一条を加える。
第十条の二 高速自動車国道で運転する自動車の最高速度は、前条第一項の規定にかかわらず、命令でこれを定める。
公安委員会は、前条第二項又は第三項の規定の例により、最高速度の制限を定めることができる。
高速自動車国道で運転する自動車の最低速度については、命令でこれを定める。
第三十条中「第十三条」を、「第十条の二第三項、第十三条」に改める。
(建設省設置法の一部改正)
3 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。
第十条第一項の表道路審議会の項中「建議すること。」を「建議すること。(国土開発縦貫自動車道建設審議会の権限に属せしめられた事項を除く。)」に改める。
(総理府設置法の一部改正)
4 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一項の表中
国土開発縦貫自動車道建設審議会
国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議すること。
国土開発縦貫自動車道建設審議会
国土開発縦貫自動車道建設法(昭和三十二年法律第六十八号)の規定によりその権限に属せしめられた事項及び高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)の規定によりその権限に属せしめられた事項を行うこと。
に改める。
(運輸省設置法の一部改正)
5 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第三十八号の二の次に次の一号を加える。
三十八の三 高速自動車国道の予定路線及び整備計画を定めること。
第二十八条第一項第八号の二の次に次の二号を加える。
八の三 高速自動車国道の予定路線及び路線に関すること。
八の四 高速自動車国道の整備計画に関すること
第二十八条第三項中「第八号の二」を「第八号の四」に改める。
(道路運送法の一部改正)
6 道路運送法の一部を次のように改正する。
第二条第八項中「設けられた道」の下に「(高速自動車国道を除く。)」を加える。
(道路法の一部改正)
7 道路法の一部を次のように改正する。
目次中「第三条」を「第四条」に、「道路の種類」を「一級国道等の意義」に、「第四条」を「第五条」に改める。
第二条第一項中「一般交通の用に供する道」の下に「(自動車のみの一般交通の用に供する道を含む。)」を加え、「第四条各号」を「次条各号」に改める。
第四条を削り、第一章中第三条を第四条とし、第二条の次に次の二条を加える。
(道路の種類)
第三条 道路の種類は、左に掲げるものとする。
一 高速自動車国道
二 一級国道
三 二級国道
四 都道府県道
五 市町村道
(高速自動車国道)
第三条の二 高速自動車国道については、この法律に定めるもののほか、別に法律で定める。
第二章の章名中「道路の種類」を「一級国道等の意義」に改める。
第五条第一項中「前条第一号」を「第三条第二号」に改め、「又は循環して」の下に「、高速自動車国道とあわせて」を加える。
第六条第一項各号列記以外の部分中「第四条第二号」を「第三条第三号」に、「一級国道」を「高速自動車国道及び一級国道」に改め、同項第二号から第四号まで中「一級国道」を「高速自動車国道又は一級国道」に改める。
第七条第一項中「第四条第三号」を「第三条第四号」に改め、同項第五号中「一級国道」を「高速自動車国道、一級国道」に改める。
第八条第一項中「第四条第四号」を「第三条第五号」に改める。
第七十九条第一項中「諮問に応じ、」の下に「国土開発縦貫自動車道建設審議会の権限に属せしめられた事項を除き、」を加える。
第九十一条第二項中「第三条」を「第四条」に改める。
第九十六条第七項中「第一項」を「第一項から第三項まで」に改める。
第九十八条中「第三条」を「第四条」に改める。
第九十九条中「みだりに道路」の下に「(高速自動車国道を除く。以下本条中同じ。)」を加える。
内閣総理大臣 岸信介
運輸大臣 宮沢胤勇
建設大臣 南条徳男